(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073222
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】保定リングを用いた基板縁部調整
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
H01L21/304 622G
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-523375(P2013-523375)
(86)(22)【出願日】2011年8月5日
(65)【公表番号】特表2013-536578(P2013-536578A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】US2011046828
(87)【国際公開番号】WO2012019144
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年8月4日
(31)【優先権主張番号】61/479,271
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/371,644
(32)【優先日】2010年8月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハン チー
(72)【発明者】
【氏名】スウ, サミュエル チュ−チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユエン, イン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン, ホワンボ
(72)【発明者】
【氏名】ダンダヴェート, ゴータム シャシャンク
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェッティ, マリオ デーヴィッド
【審査官】
鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−307674(JP,A)
【文献】
特開2002−018709(JP,A)
【文献】
国際公開第99/051397(WO,A1)
【文献】
米国特許第06872130(US,B1)
【文献】
特開2008−147646(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0004361(US,A1)
【文献】
米国特許第06293858(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0119120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨装置用のキャリアヘッドであって、
ベースと、
基板取付面と、
前記基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する内側リングであって、前記内側リングが、前記研磨パッドに制御可能な負荷がかかるように、前記基板取付面に対して垂直方向に移動可能であり、前記内側リングの前記下面が第1の幅を有する、内側リングと、
前記内側リングを円周方向に取り囲む内面と、外面と、前記研磨パッドに接触するための下面とを有する外側リングであって、前記外側リングが、前記研磨パッドに制御可能な負荷がかかるように、前記基板取付面および前記内側リングに対して、前記基板取付面および前記内側リングとは別個に垂直方向に移動可能であり、前記外側リングの前記下面が、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有する、外側リングと、を備える、キャリアヘッド。
【請求項2】
前記外側リングの前記下面が、研磨パッドに対する前記外側リングの前記下面の圧力が前記基板の縁部に対する圧力に影響を及ぼすように、前記基板取付面に十分に近い請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項3】
前記第1の幅が、1.016〜5.080ミリメートル(0.04〜0.20インチ)の間である請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項4】
前記第2の幅が、前記第1の幅の5〜15倍である請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項5】
前記内側リングの前記外面が、傾斜部分を含み、前記外側リングの前記内面が、前記内側リングの前記外面の前記傾斜部分と同じ傾斜角を有する傾斜部分を含む請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項6】
前記内側リングの前記外面の前記傾斜部分が、前記外側リングの前記内面の前記傾斜部分の上に延在する請求項5に記載のキャリアヘッド。
【請求項7】
前記外側リングの前記下面が、前記内側リングの前記下面よりも剛性の高い材料から形成される請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項8】
前記内側リングの前記下面に隣接する前記内側リングの前記外面の下側部分が、前記内側リングの上面に隣接する前記内側リングの前記外面の上側部分よりも小さい外側半径方向直径を有する請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項9】
化学機械研磨装置用のキャリアヘッドであって、
ベースと、
基板取付面と、
前記基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する環状の内側リングであって、前記内側リングが、前記研磨パッドに制御可能な負荷がかかるように、前記基板取付面に対して垂直方向に移動可能である、環状の内側リングと、
前記内側リングを円周方向に取り囲む内面と、外面と、前記研磨パッドに接触するための下面とを有する環状の外側リングであって、前記外側リングが、前記研磨パッドに制御可能な負荷がかかるように、前記基板取付面および前記内側リングに対して、前記基板取付面および前記内側リングとは別個に垂直方向に移動可能であり、前記外側リングの前記下面が、研磨パッドに対する前記外側リングの前記下面の圧力が前記基板の縁部に対する圧力に影響を及ぼすように、前記基板取付面に十分に近い、環状の外側リングと、を備えるキャリアヘッド。
【請求項10】
化学機械研磨装置用のキャリアヘッドであって、
ベースと、
基板取付面と、
前記基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、第1の傾斜部分を有する外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する環状の内側リングであって、前記内側リングが、前記研磨パッドに制御可能な負荷がかかるように、前記基板取付面に対して垂直方向に移動可能である環状の内側リングと、
前記内側リングを円周方向に取り囲む内面と、前記第1の傾斜部分と同じ傾斜角を有する第2の傾斜部分を有する外面と、前記研磨パッドに接触するための下面とを有する環状の外側リングであって、前記外側リングが、前記研磨パッドに制御可能な負荷がかかるように、前記基板取付面および前記内側リングに対して、前記基板取付面および前記内側リングとは別個に垂直方向に移動可能である、環状の外側リングと、を備える、キャリアヘッド。
【請求項11】
前記内側リングの前記外面が、水平な下面を有するリップを形成するように外方向に突出し、
前記リップの前記水平な下面が、前記外側リングに対するハードストップを提供するように構成されている請求項10に記載のキャリアヘッド。
【請求項12】
キャリアヘッドの内側リングに対する第1の圧力を選択し、前記キャリアヘッドの外側リングに対する第2の圧力を選択するステップであって、前記内側リングが、基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面を有し、前記外側リングが、前記内側リングを円周方向に取り囲む内面を有し、前記内側リングが、基板取付面に対して垂直方向に移動可能であり、前記外側リングが、前記基板取付面および前記内側リングに対して、前記基板取付面および前記内側リングとは別個に垂直方向に移動可能であり、前記内側リングの下面が第1の幅を有し、前記外側リングの下面が、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有し、前記第1の幅が、研磨パッドに対する前記外側リングの圧力の変化が前記基板の縁部に対する研磨速度の変化をもたらすように十分に小さい、ステップと、
前記内側リングに対して第1の圧力を加え、前記外側リングに対して前記第2の圧力を加えて前記基板を研磨するステップと、を含む、研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械研磨で使用するためのキャリアヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、導電性、半導電性、または絶縁性の層をシリコン基板上に順次に堆積することによって、基板上に形成される。1つの製造ステップは、非平坦面の上にフィラー層を堆積するステップと、非平坦面が露出されるまでフィラー層を平坦化するステップとを含む。例えば、パターン形成された絶縁層の上に導電性フィラー層を堆積して、絶縁層にあるトレンチまたは穴を充填することができる。次いで、絶縁層の隆起パターンが露出されるまでフィラー層を研磨する。平坦化後、絶縁層の隆起パターン間に残った導電層の部分が、基板上の薄膜回路間の導電経路を提供するビア、プラグ、およびラインを形成する。酸化物研磨など他の用途に関しては、非平坦面の上に所定の厚さが残されるまで、フィラー層が平坦化される。さらに、平坦化は、フォトリソグラフィのために基板表面を平坦化するために必要とされる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、1つの受け入れられている平坦化方法である。この平坦化方法は、典型的には、基板をキャリアヘッドの上に取り付けることを必要とする。基板の露出された表面は、典型的には、回転する研磨パッドに対置される。キャリアヘッドは、研磨パッドに対して基板を押すために、制御可能な負荷を基板に与える。典型的には、摩耗粒子を含むスラリなどの研磨液が、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
キャリアヘッドは、研磨パッドに対して基板を押すために、制御可能な負荷を基板に与える。キャリアヘッドは、研磨中に基板を定位置に保持する内側リングを有する。また、キャリアヘッドは、内側リングを取り囲む外側リングを有することもできる。
【発明の概要】
【0005】
「エッジ除外領域」は、基板の縁部での環状領域であり、この領域では、研磨速度が、基板の中心付近での研磨速度から大幅に外れることがあり、これは、この領域を不適切なものにする、またはデバイスの歩留まりをより低くする。例えば、300mmウエハの研磨のために設計されたいくつかのキャリアヘッドに関して、エッジ除外領域は、幅が約15mmであることがある。
【0006】
様々な技法を使用して、エッジ除外を補償することができる。内側リングと外側リングの両方を有するキャリアヘッドに関しては、内側リングを比較的狭くすることによって、内側リングと外側リングの両方を使用して基板の縁部付近での圧力を制御することができるように、外側リングを基板の縁部の十分近くに移動させることができる。調節可能な直径を有する保定リングを有するキャリアヘッドに関しては、直径は、除外領域内での研磨均一性を改良するような保定リングと基板の間の側方間隔を提供するように選択することができる。また、いくつかのリング幾何形状は、基板縁部から離れるようにパッド接点をずらすことができる。
【0007】
一態様では、化学機械研磨装置用のキャリアヘッドが、ベースと、基板取付面と、環状の内側リングと、環状の外側リングとを含む。内側リングは、基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する。内側リングは、基板取付面に対して垂直方向に移動可能である。外側リングは、内側リングを円周方向に取り囲む内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する。外側リングは、基板取付面および内側リングに対して、基板取付面および内側リングとは別個に垂直方向に移動可能である。内側リングの下面は第1の幅を有し、外側リングの下面は、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する。
【0008】
本発明の実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。基板裏当て部材が、可撓性膜を備える。第1の与圧可能なチャンバは、可撓性膜に第1の圧力を加えることができ、第2の与圧可能なチャンバは、内側リングに第2の圧力を加えることができ、第3の与圧可能なチャンバは、外側リングに第3の圧力を加えることができる。第1の圧力、第2の圧力、および第3の圧力は、別個に調節可能である。外側リングの下面は、研磨パッドに対する外側リングの下面の圧力が基板の縁部に対する圧力に影響を及ぼすように、基板取付面に十分に近いことがある。第1の幅は、約0.04〜0.20インチでよい。第2の幅は、最大で1インチでよい。第2の幅は、第1の幅の5〜15倍である。内側リングの外面は、傾斜部分を含むことがあり、外側リングの内面が、内側リングの内面の傾斜部分と同じ傾斜角を有する傾斜部分を含むことがある。内側リングの外面の傾斜部分は、内側リングの内面の傾斜部分の上に延在することがある。外側リングの下面は、内側リングの底面よりも剛性の高い材料から形成されることがある。内側リングの下面に隣接する内側リングの外面の下側部分は、内側リングの上面に隣接する内側リングの外面の上側部分よりも小さい外側半径方向直径を有することがある。
【0009】
別の態様では、化学機械研磨装置用のキャリアヘッドが、ベースと、基板取付面と、環状の内側リングと、環状の外側リングとを含む。内側リングは、基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する。内側リングは、基板取付面に対して垂直方向に移動可能である。外側リングは、内側リングを円周方向に取り囲む内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する。外側リングは、基板取付面および内側リングに対して、基板取付面および内側リングとは別個に垂直方向に移動可能である。外側リングの下面は、研磨パッドに対する外側リングの下面の圧力が基板の縁部に対する圧力に影響を及ぼすように、基板取付面に十分に近い。
【0010】
本発明の実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。第1の幅は、約0.04〜0.20インチでよい。
【0011】
別の態様では、化学機械研磨装置用のキャリアヘッドが、ベースと、基板取付面と、環状の内側リングと、環状の外側リングとを含む。内側リングは、基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、第1の傾斜部分を有する外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する。内側リングは、基板取付面に対して垂直方向に移動可能である。外側リングは、内側リングを円周方向に取り囲む内面と、第1の傾斜部分と同じ傾斜角を有する第2の傾斜部分を有する外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有する。外側リングは、基板取付面および内側リングに対して、基板取付面および内側リングとは別個に垂直方向に移動可能である。
【0012】
本発明の実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。内側リングの外面の第1の傾斜部分は、内側リングの内面の第2の傾斜部分の上に延在することがある。
【0013】
別の態様では、化学機械研磨装置用のキャリアヘッドが、ベースと、基板取付面と、環状の内側リングと、外側リングとを含む。内側リングは、基板取付面上に位置決めされた基板の上面に接触するように構成された下面と、外面と、下面から下方向に延在し、基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内向きの表面とを有し、内側リングは、基板取付面に対して垂直方向に移動可能である。外側リングは、内側リングを円周方向に取り囲む内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有し、外側リングは、基板取付面および内側リングに対して、基板取付面および内側リングとは別個に垂直方向に移動可能である。
【0014】
いくつかの実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。基板取付面は、可撓性膜でよい。内向きの表面と内側リングの外径との間の内側リングの底面は、第1の幅を有することがあり、外側リングは、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する。突起の高さは、研磨中に突起の底面が研磨パッドに接触しないようなものでよい。外側リングの下面は、研磨パッドに対する外側リングの下面の圧力が基板の縁部に対する圧力に影響を及ぼすように、基板取付面に十分に近いことがある。内向きの表面と内側リングの外径との間の内側リングの底面は、約0.04〜0.20インチでよい。
【0015】
別の態様では、化学機械研磨装置用のキャリアヘッドが、ベースと、基板取付面と、環状の内側リングと、中央リングと、外側リングとを含む。環状の内側リングは、基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有し、内側リングは、基板取付面に対して垂直方向に移動可能である。中央リングは、内側リングを円周方向に取り囲む内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有し、中央リングは、基板取付面および内側リングに対して、基板取付面および内側リングとは別個に垂直方向に移動可能である。外側リングは、中央リングを円周方向に取り囲む内面と、外面と、研磨パッドに接触するための下面とを有し、外側リングは、基板取付面、内側リング、および中央リングに対して、基板取付面、内側リング、および中央リングとは別個に垂直方向に移動可能である。
【0016】
いくつかの実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。基板取付面は、可撓性膜でよい。内側リングは第1の幅を有することがあり、中央リングは、第1の幅よりも大きい第2の幅を有することがある。外側リングは、第2の幅よりも大きい第3の幅を有することがある。第1の幅は、約0.04〜0.20インチでよい。中央リングの下面は、研磨パッドに対する外側リングの下面の圧力が基板の縁部に対する圧力に影響を及ぼすように、基板取付面に十分に近いことがある。外側リングの下面は、研磨パッドに対する外側リングの下面の圧力が基板の縁部に対する圧力に影響を及ぼすように、基板取付面に十分に近い。
【0017】
別の態様では、化学機械研磨装置用のキャリアヘッドが、ベースと、基板取付面と、環状の保定リングとを備え、環状の保定リングが、基板取付面上に位置決めされた基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面と、外面と、底部とを有し、底部が、内面に隣接する下面と、下面の半径方向外側に位置決めされた、研磨パッドに接触するための底面を有する突起とを有する。突起の高さは、内面に隣接する下面が研磨パッドに接触しないようなものであり、内側リングは、基板取付面に対して垂直方向に移動可能である。
【0018】
いくつかの実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。基板取付面は、可撓性膜でよい。下面の幅は、研磨パッドに対する保定リングの圧力の変化が基板の縁部に対する研磨速度の変化をもたらすように、十分に小さくすることができる。内側リングの下面は第1の幅を有し、突起の底面は、第1の幅よりも大きい第2の幅を有することがある。第1の幅は、約0.04〜0.20インチでよい。突起の高さは、下面が基板のはす縁よりも下になるようなものでよい。
【0019】
別の態様では、研磨方法が、キャリアヘッドの内側リングに対する第1の圧力を選択するステップと、キャリアヘッドの外側リングに対する第2の圧力を選択するステップとを含む。内側リングは、基板の縁部を円周方向に取り囲むように構成された内面を有し、外側リングは、内側リングを円周方向に取り囲む内面を有し、内側リングは、基板取付面に対して垂直方向に移動可能であり、外側リングは、基板取付面および内側リングに対して、基板取付面および内側リングとは別個に垂直方向に移動可能であり、内側リングの下面は第1の幅を有し、外側リングの下面は、第1の幅よりも大きい第2の幅を有し、第1の幅は、研磨パッドに対する外側リングの圧力の変化が基板の縁部に対する研磨速度の変化をもたらすように十分に小さい。内側リングに対して第1の圧力を加え、外側リングに対して第2の圧力を加えて基板が研磨され、第1の圧力と第2の圧力は、少なくともいくつかの他の圧力によって実現される研磨均一性よりも高い基板の縁部に対する研磨均一性を提供する。
【0020】
本発明の実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。第1の圧力と第2の圧力は、キャリアヘッドによって実現可能な内側リングと外側リングに対する圧力の組合せのうち、最良の研磨均一性を提供することができるものである。第1の圧力および第2の圧力を選択するステップは、内側リングおよび外側リングに関する複数の異なる圧力で複数のテスト基板を研磨するステップと、複数のテスト基板の研磨均一性を測定するステップとを含むことがある。
【0021】
別の態様では、研磨方法が、第2の値によって実現される研磨均一性よりも高い基板の縁部での研磨均一性を提供するために、キャリアヘッドの保定リングの内径に関して第1の値を選択するステップと、第2の値から第1の値に保定リングの内径を調節するステップであって、第1の値が、内径と基板の間に非ゼロ間隙を提供するステップと、第1の値での内径を有する保定リングを用いてキャリアヘッドに基板を保定しながら、基板を研磨するステップとを含む。
【0022】
本発明の実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。第1の値を選択するステップは、保定リングの内径に関する複数の異なる値で複数のテスト基板を研磨するステップと、複数のテスト基板の研磨均一性を測定するステップとを含むことがある。第1の値は、複数のテスト基板のうち、最良の研磨均一性を有するテスト基板に関する保定リングの内径の値でよい。
【0023】
本発明の実装形態は、以下の利点の1つまたは複数を含むことがある。基板の縁部付近での圧力を制御するために、内側リングと外側リングの両方を使用することができる。これは、基板の縁部に加えられる圧力の調整に関して、追加の制御可能なパラメータを提供する。その結果、基板縁部付近での研磨均一性を改良することができ、エッジ除外を減少させることができ、歩留まりを高めることができる。
【0024】
1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付図面および以下の説明に記載する。他の態様、特徴、および利点は、本説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】一部が斜視図であり、一部が断面図である、キャリアヘッドの拡大側面図である。
【
図7】内側リング、外側リング、および基板の概略側断面図である。
【
図8】3つのリングと1つの基板の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0027】
図1を参照すると、基板10は、キャリアヘッド100を有する化学機械研磨(CMP)装置によって研磨される。CMP装置の説明は、米国特許第5,738,574号で見ることができ、その特許の開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0028】
キャリアヘッド100は、ハウジング102と、ベースアセンブリ104と、ジンバルメカニズム106(これは、ベースアセンブリ104の一部と考えることもできる)と、ローディングチャンバ108と、内側リング200
(これは、保持リングと呼ぶこともある)および環状チャンバ350を提供するように形作られた第1の可撓性膜300を含む内側リングアセンブ
リと、外側リング40
0と、基板裏当てアセンブリ110とを含み、基板裏当てアセンブリ110は、複数の与圧可能なチャンバを画定する第2の可撓性膜500を含む。
【0029】
ハウジング102は、概して円形状でよく、ドライブシャフトに接続することができ、研磨中にドライブシャフトと共に回転する。キャリアヘッド100の空気圧式制御のために、ハウジング102を通って延在する通路(図示せず)が存在することがある。ベースアセンブリ104は、ハウジング102の下に位置された垂直方向に移動可能なアセンブリである。ジンバルメカニズム106は、ベースアセンブリ104をハウジング102に対して向き調整することができるようにするとともに、ハウジング102に対するベースアセンブリ104の側方運動を防止する。ローディングチャンバ108は、ハウジング102とベースアセンブリ104の間に位置されて、負荷、すなわち下方向への圧力または重量をベースアセンブリ104に加える。また、ローディングチャンバ108によって、研磨パッドに対するベースアセンブリ104の垂直方向位置が制御される。基板裏当てアセンブリ110は、基板10のための取付面を提供することができる下面512を有する可撓性膜500を含む。
【0030】
図2を参照すると、基板10は、ベースアセンブリ104にクランプされた内側リングアセンブリによって保持することができる。内側リングアセンブリは、内側リング200と、環状チャンバ350を提供するように形作られた可撓性膜300とから構成することができる。内側リング200は、可撓性膜300の下に位置決めすることができ、可撓性膜300に固定されるように構成することができる。
【0031】
図2および
図3を参照すると、内側リング200は、内面210と、環状の上面220と、環状の下面230と、外面240とを有する環体である。下面230に隣接する内面210の下側領域212は、垂直円筒面でよく、研磨中に基板を保定するために基板10の縁部を円周方向に取り囲むように構成することができる。内面210の下側領域212は、基板装填システムの位置決め公差に対処するように、基板直径よりもわずかに大きい、例えば基板直径よりも約1〜2mm大きい内径を有することができる。内面210の上側領域214は、垂直円筒面でよく、下側領域212に対してわずかに凹ませることができ、例えば、内面210の上側領域214の内側半径方向直径は、内面210の下側領域212の内側半径方向直径よりも大きい。テーパ付き領域216が、下側領域212を上側領域214につなぐことができる。
【0032】
下面230に隣接する外面240の下側領域242は、垂直円筒面でよい。下側領域212と下側領域242の間の内側リングの部分は、例えば0.04〜0.20インチ、例えば0.05〜0.15インチの幅を有する下側環状リングを提供することができる。上面220に隣接する外面240の上側領域244は、垂直円筒面でよく、外面240の下側領域242を上側領域244に対して凹ませることができ、例えば、上側領域244の外側半径方向直径は、外面240の下側領域242の外側半径方向直径よりも大きい。上側領域214と上側領域244の間の内側リングの部分は、下側環状リングよりも広い上側環状リングを提供することができる。下側リング(すなわち外面240の下側領域242)の外側半径方向直径は、上側リング(すなわち内面210の上側領域214)の内側半径方向直径よりも大きくすることができる。
【0033】
内側リング200の外面240は、下側領域242と上側領域244の間にリップ250を形成するように外方向に突出することができる。リップ250は、水平な下面252と、垂直な外面254と、傾斜の付いた水平でない上面256とを有することができる。リップ250は、基板研磨中に内側リングが摩耗するときに、外側リング400の上内縁部に対する内側リングのためのハードストップを提供することができる。リップ250の上方の凹部246は、チャンバ350が排気されるときに可撓性膜300の側壁324が入り込むための空間を提供する。外面240の傾斜領域246が、下側領域242を、リップ250の水平な下面252につなぐことができる。
【0034】
環状の上面220は、環状内側リング200の全周に延在する2つの環状同心凹部222を有することができる。これらの環状同心凹部222は、可撓性膜300と連係するようにサイズ設定することができる。
【0035】
内側リング200の下面230は、研磨パッドと接触させることができる。少なくとも、下面230を含む内側リング200の下側部分は、プラスチック、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)など、CMPプロセス中に化学的に不活性の材料から形成することができる。また、下側部分は、耐久性があり、低い摩耗速度を有するものにすべきである。さらに、内側リングに対する基板縁部の接触によって基板に欠けまたは亀裂が生じないように、下側部分は十分に圧縮可能にすべきである。他方で、内側リングに対する下方向への圧力によって下側部分が基板受取凹部内に突き出るほど下側部分が弾性を有するべきではない。
【0036】
いくつかの実装形態では、内側リング200は、2つのリングと、下側環状部分と、上側環状部分とから構成することができる。内側リング200の上側部分は、下側部分よりも剛性の高い材料から形成することができる。例えば、下側部分は、プラスチック、例えばPPSでよく、上側部分は、金属、例えばステンレス鋼、モリブデン、もしくはアルミニウムでよく、またはセラミック、例えばアルミナでよい。
【0037】
上面220は、内側リング200を、内側リング200の上方に位置決めされた可撓性膜300に固定するための固定具、例えばボルト、ねじ、または他の金属部品を受け取るために、ねじシース(図示せず)を有する円筒形の凹部または穴224を含むことができる。穴224は、内側リングの全周にわたって均等に間隔を空けて設けることができ、2つの環状同心凹部222の間に位置決めすることができる。
【0038】
いくつかの実装形態では、内側リング200は、下面230に形成された1つまたは複数のスラリ輸送チャネルを有する。スラリ輸送チャネルは、下側リング部分の内径から外径まで延在して、研磨中にスラリが内側リングの外部から内部に流れるようにする。スラリ輸送チャネルは、内側リングの全周にわたって均等に間隔を空けて設けることができる。各スラリ輸送チャネルは、チャネルを通る半径に対してある角度、例えば45°ずらすことができる。チャネルは、約0.125インチの幅を有することができる。
【0039】
いくつかの実装形態では、内側リング200は、内側リングの本体を通って内面210から外面240に延在する1つまたは複数の貫通穴を有し、流体、例えば空気や水が、研磨中に内側リングの内部から外部に、または外部から内部に流れることができるようにする。貫通穴は、上側リングを通って延在することができる。貫通穴は、内側リングの全周にわたって均等に間隔を空けて設けることができる。
【0040】
いくつかの実装形態では、内側リングの上側部分244は、その上面よりもその下面で広くすることができる。例えば、内面210は、垂直領域214の下で、上部から底部に内向きに傾斜を付けられた(すなわち直径が減少する)テーパ付き領域216を有することができる。下側部分212の内面は、垂直でよい。基板研磨中に内側リングの下側部分が摩耗するとき、内側リングのより狭い上側内面は、基板取付面を提供する隣接する可撓性膜の摩耗を防止する。さらに、いくつかの実装形態では、内側リングの外面全体を、非接着性コーティング、例えばパリレンでコーティングすることができる。
【0041】
内側リング200と可撓性膜300が合わさって、内側リングアセンブリを形成する。可撓性膜300は、上方でベースアセンブリ104にクランプされ、下方で環状内側リング200に固定されるように構成され、内側リングの上に環状チャンバ350を提供する。環状チャンバ350が与圧されるとき、可撓性膜が、内側リングに対して別個に制御可能な負荷を提供する。内側リングに対する負荷は、研磨パッドへの負荷を提供する。内側リングに対する別個の負荷は、リングが摩耗するときに、パッドに対して一貫した負荷を付与することができるようにする。内側リングとキャリアヘッドの間に可撓性膜を位置決めすることにより、内側リングがキャリアヘッドに直接固定されるときに生じる内側リングに対するキャリア歪の影響を減少させる、またはなくすことができる。このキャリア歪をなくすことで、内側リングに対する不均一な摩耗が減少し、基板縁部でのプロセスばらつきが減少し、より低い研磨圧力を使用できるようになり、リング寿命を延ばす。
【0042】
図4に示されるように、可撓性膜300は、同心の内側壁と外側壁324を有する。可撓性膜300は、側壁324の上縁部から水平内側方向に延在する1対の環状リム322を有することができる。可撓性膜は、可撓性膜の環状リム322の下に位置決めされたクランプリングによって、ベースアセンブリ104にクランプすることができる。さらに、可撓性膜300は、下面を有する。可撓性膜の環状下面から下方向に延在する2つの環状同心突起326が存在することがある。これらの環状同心突起326は、可撓性膜300の下に位置決めされた内側リング200の上面220にある環状同心凹部222内に嵌まるようにサイズ設定することができる。
【0043】
内側リングアセンブリの可撓性膜300は、弾性を有する材料から形成することができ、圧力下で膜が撓むことができるようにする。弾性材料は、シリコンおよび他の例示的な材料を含むことができる。
【0044】
可撓性膜の下面は、円形の穴312を含むことができる。円形の穴312は、2つの環状同心突起326の間に位置決めすることができ、可撓性膜の下面の全周にわたって均等に間隔を空けて設けることができる。円形の穴312は、可撓性膜300を内側リング200に固定するための固定具、例えばボルト、ねじ、または他の金属部品を収容することができる。いくつかの実装形態では、可撓性膜300を内側リング200に固定するために、接着剤、例えばLoctite(登録商標)が、
穴224内に配置され、一方向ねじが、可撓性膜300の穴312を通して、
穴224に挿入される。それにより、可撓性膜300を内側リング200に効果的に永久的に接合させることができる。
【0045】
いくつかの実装形態では、可撓性膜300の同心の内側壁と外側壁324は、下方で巻き込むことができ、湾曲部分328を有する下面を形成する。可撓性膜が内側リング200に固定されるとき、湾曲部分328は、内側リングの上面よりも下まで延在することができる。湾曲部分328は、回転ヒンジを提供し、この回転ヒンジにより、側壁324の膨れを実質的に伴わずに、可撓性膜の底部がチャンバ350の与圧または排気に応答して上下に移動できるようになる。いくつかの実施形態では、環状リム322は、可撓性膜の側壁324よりも厚くすることができる。また、環状同心突起326も、側壁324よりも厚くすることができる。
【0046】
内側リング200が、基板10を保定し、能動縁部プロセス制御を提供するように構成される一方で、外側リング400は、研磨パッドの表面へのキャリアヘッドの位置決めまたは基準合わせを提供する。さらに、外側リング400は、内側リング200に接触して、内側リング200の側方基準合わせを提供する。外側リング400は、内側リング200を円周方向に取り囲むように構成される。内側リングと同様に、外側リング400の下面433は、研磨パッドと接触させることができる。外側リング400の下面433は、滑らかで摩耗しやすい表面でよい。下面433は、研磨パッドを摩滅しないように構成される。
【0047】
図5に示されるように、外側リング400は、内面410と、環状の上面420と、環状の下面430と、外面440とを有する環体である。下面430に隣接する内面410の下側領域412は、垂直円筒面でよく、内側リング200の外面240の下側部分242を円周方向に取り囲むように構成することができる。内面410の上側領域414は、傾斜を付けることができ、内側リング200の傾斜領域246と同じ傾きを有することができる。上側領域414は、下に向かって半径方向内側へ傾斜を付けられ、すなわち、内面410の上側領域414の内側半径方向直径が、上側領域414の上部で底部よりも大きくなっている。内側リング200の傾斜領域246は、垂直方向で、外側リング400の傾斜の付いた上側領域414の上に延在することができる。
【0048】
下面430に隣接する外側リング400の外面440の下側領域442は、垂直円筒面でよい。上面420に隣接する外面440の上側領域444は、垂直円筒面でよく、外面440の下側領域442を上側領域444に対して凹ませることができ、例えば、上側領域444の外側半径方向直径は、外面440の下側領域442の外側半径方向直径よりも大きい。外面440の下側領域442の外側半径方向直径は、内面410の上側領域414の内側半径方向直径よりも大きくすることができる。また、外面440は、水平な下面444と、傾斜の付いた水平でない下面446とを含むこともできる。水平な下面444は、基板装填ステーションに対する外側リング400のためのハードストップを提供することができ、傾斜面446は、基板装填ステーション内にキャリアヘッドが下降されるときに、装填ステーション内でのキャリアヘッドの自動調芯を可能にすることができる。
【0049】
外側リング400の上面420は、ベース104に固定することができ、例えばベース104に対して垂直方向に移動可能でない。外側リング400の上面420は、外側リング400をベースアセンブリ104に固定するための固定具、例えばボルト、ねじ、または他の金属部品を受け取るために、ねじシース(図示せず)を有する円筒形の凹部または穴424を含むことができる。穴424は、外側リング400の全周にわたって均等に間隔を空けて設けることができる。いくつかの実装形態では、穴424は、水平な下面444の上には延在しない。
【0050】
外側リング400の下面430の幅、すなわち内面410の下側領域412と外面440の下側領域442の間の幅は、内側リング200の下面230の幅、すなわち内面210の下側領域212と外面240の下側領域242の間の幅よりも大きくすることができる。例えば、この幅は、0.04〜1.0インチにすることができる。
【0051】
いくつかの実装形態では、外側リング400は、2つのリング、すなわち下側環状部分450と上側環状部分460から構成することができる。外側リング400の上側部分460は、下側部分450よりも剛性の高い材料から形成することができる。例えば、下側部分450は、プラスチック、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、炭素充填PEEK、Teflon(登録商標)充填PEEK、ポリアミドイミド(PAI)、または複合材料でよい。上側部分460は、金属、例えばステンレス鋼、モリブデン、もしくはアルミニウムでよく、またはセラミック、例えばアルミナでよい。
【0052】
下面430を含む外側リング400の部分は、下面230を含む内側リング200の部分よりも剛性の高い材料から形成することができる。これにより、外側リングの摩耗の速度を内側リングよりも遅くすることができる。例えば、外側リング400の下側部分450は、内側リング200のプラスチックよりも硬いプラスチックでよい。
【0053】
いくつかの実装形態では、外側リング400は、1つまたは複数の貫通穴を有し、これらの貫通穴は、内面410から外面430まで延在して、液体または空気が、研磨中に外側リング400の内部から外部に、または外部から内部に流れることができるようにする。貫通穴は、外側リング400の全周にわたって均等に間隔を空けて設けることができる。いくつかの実装形態では、外側リング400に貫通穴が存在し、内側リング200には存在しない。したがって、外側リング400の貫通穴を通して噴霧される流体、例えば洗浄システムからの水は、内側リング200の外面に沿って下方向に押し流され、それにより、外側リング400と内側リング200の間の空間を一掃する。他の実装形態では、外側リング400と内側リング200の両方に貫通穴が存在し、貫通穴は、流体が外側リング400と内側リング200の両方を通って流れるように位置合わせされる。そのような実装形態では、外側リング400を通る貫通穴は、内側リング200を通る貫通穴と同じ幅であるか、それよりも広くすることができる。いくつかの実装形態では(
図2参照)、貫通穴450は、外側リング自体を通してではなく、内側リング200を取り囲むベース104の一部分を通して形成される。
【0054】
図6を参照すると、いくつかの実装形態では、外側リング400は、底面430に1つまたは複数のスラリ輸送チャネル432を有し、これらのスラリ輸送チャネル432は、内面410から外面440に延在して、研磨中にスラリが外側リングの外部から内部に流れることができるようにする。チャネルは、外側リングの全周にわたって均等に間隔を空けて設けることができる。各スラリ輸送チャネルは、チャネルを通る半径に対してある角度、例えば45°ずらすことができる。外側リングチャネル432は、内側リングチャネルと位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、外側リングチャネル432は、内側リングチャネル232よりも広く、内側リング200の内部へスラリがより自由に流れることができるようにする。例えば、外側リングチャネル432は、約0.25インチの幅を有することができる。
【0055】
図1に戻ると、可撓性膜500は、基板10を取り付けるために表面502を提供する。可撓性膜500は、複数のフラップ504を含み、これらのフラップ504が、可撓性膜500とベースアセンブリ104の間の体積を、複数の別個に与圧可能なチャンバ506に分割する。与圧可能なチャンバ506は、複数の同心クランプリングを用いてフラップ504をベースアセンブリ104にクランプすることによって形成することができる。チャンバは、最も内側のチャンバから最も外側のチャンバへ、連続的に狭くなっていくように構成することができる。
【0056】
キャリアヘッド内の各チャンバは、ベースアセンブリ104およびハウジング102を通る通路(図示せず)によって、ポンプまたは圧力ラインもしくは真空ラインなど関連の圧力源に流体結合することができる。可撓性膜300の環状チャンバ350のための1つの通路、ローディングチャンバ108のための1つの通路、ベースアセンブリ104と可撓性膜500の間の各与圧可能なチャンバ506のための1つの通路が存在することがある。ベースアセンブリ104からの1つまたは複数の通路は、ローディングチャンバ108の内部またはキャリアヘッド100の外部に延在する可撓性の配管によって、ハウジング102内の通路に連結することができる。各チャンバの与圧、および基板10に対する可撓性膜500の主要部分510の関連区域によって加えられる力は、別個に制御することができる。これにより、研磨中に、基板の異なる半径方向領域に異なる圧力を加えることができるようになり、それにより不均一な研磨速度を補償する。
【0057】
内側リング200に対する圧力は、膜500によって画定されるチャンバ506内の圧力に対して、チャンバ506内の圧力とは別個に、チャンバ350を使用して変えることができ、外側リング400に対する圧力は、内側リング200に対する圧力、および膜500によって画定されるチャンバ506内の圧力に対して、チャンバ506内の圧力とは別個に、ローディングチャンバ108を使用して変えることができる。
【0058】
キャリアヘッドの外側リング400は、研磨パッドに下方向の圧力を加えることができる。上述したように、内側リング200の下面230は比較的狭く、それにより、外側リング400を使用して基板の縁部付近の領域内での基板に対する圧力を制御することができるように、外側リング400の下面430を基板の縁部の十分近くに位置決めすることができる。基板の縁部付近の圧力を制御するために内側リング200と外側リング400の両方を使用することができるので、外側リング400からの研磨パッドに対する圧力は、基板の縁部に加えられる圧力の調整に関する追加の制御可能なパラメータを提供する。その結果、基板縁部付近での研磨均一性を改良することができ、エッジ除外を減少させることができ、歩留まりを高めることができる。特に、内側リング200と外側リング400に関する1組の圧力を、実験によって特定することができる。例えば、各テスト基板ごとに、内側リング200と外側リング400に対する圧力の異なる組合せを使用し、しかしその他は、デバイス基板の研磨に関して同じプロセスパラメータを使用して、複数のテスト基板を研磨することができる。縁部付近の領域内でのテスト基板の均一性は、例えば、独立型の計測学ユニットを使用して測定することができ、最良の研磨均一性を提供した圧力の組合せを、デバイス基板の後の研磨のために選択することができる。
【0059】
図7を参照すると、別の実装形態では、内側リング200’は、基板10を取り囲むように位置決めされるのではなく、基板10の上に位置し、かつ基板10に外接することができる(この実装形態は、他の点では、上で論じた実装形態と同様にすることができる)。特に、内側リング200’の底部は、内側リング200’の内径に隣接する水平な下面260と、水平な下面260の半径方向外側に位置決めされた突起262とを含むことができ、突起262は、垂直方向で、水平面260を越えて延在する。水平な下面260は、基板10の上面(すなわち、研磨パッドから遠いほうの基板の面)に接触することができる。突起262の内径は、基板を保定する内向きの表面264を提供する。研磨中に突起262の底面266が研磨パッド20に接触しないように、突起262の高さは、基板10の厚さ未満にすることができる。
【0060】
図8を参照すると、別の実装形態では、キャリアヘッドは、内側リング200と、外側リング400と、中央リング600とを含む3つのリングを含むことができる(この実装形態は、他の点では、上で論じた実装形態と同様にすることができる)。中央リング600に対する圧力は、キャリアヘッド内の追加のチャンバによって、保定リング200と同様に制御することができる。したがって、内側リング200、外側リング400、および中央リング600それぞれの圧力を別個に制御可能にすることができる。中央リング600によって提供される追加の自由度が、優れた研磨均一性を実現可能にすることができる。
【0061】
図9Aを参照すると、別の実装形態では、キャリアヘッドは、調節可能な内径Dを有する保定リング200’を含むことができる。そのような保定リングは、参照により組み込む米国特許第6,436,228号に記載されている。このキャリアヘッドは、(内側と外側の保定リングではなく)ただ1つの保定リング200’を含むことができる。保定リング200’は、(基板の円周の周りで平均を取られる)非ゼロの平均幅Gを有する間隙を提供するために、基板10の直径よりも十分に大きい内径Dを有するように設定することができる。当然、研磨中、
図9Bに示されるように、研磨パッドからの摩擦が、基板10の前縁を保定リング200’に当たらせ、基板10の後縁に対して幅2Gの間隙を残す傾向がある。しかし、基板10と保定リング200’の間の相対回転運動により、基板縁部での研磨速度に対する正味の結果は、研磨パッドに対する様々な圧縮効果の平均となる。
【0062】
保定リング200’の適切な内径Dの選択により、基板縁部付近での研磨均一性を改良し、エッジ除外を減少させ、歩留まりを高めることができる。特に、特定の研磨パラメータの組に関する保定リング200’の好ましい直径Dは、実験によって特定することができる。例えば、各テスト基板ごとに、保定リング200’に関する異なる直径Dを使用し、しかしその他は、デバイス基板の研磨に関して同じプロセスパラメータを使用して、複数のテスト基板を研磨することができる。縁部付近の領域内でのテスト基板の均一性は、例えば、独立型の計測学ユニットを使用して測定することができ、最良の研磨均一性を提供する保定リング直径を、デバイス基板の後の研磨のために選択することができる。上述したように、内径Dは、非ゼロ平均幅Gを有する間隙を提供するために、基板10の直径よりも十分に大きくすることができる。間隙のこの非ゼロの幅Gにより、基板は、実質的に基板の全周縁にわたって延在する連続する円周状の係合区域に沿って、保定リングに接触しない。
【0063】
図10を参照すると、別の実装形態では、キャリアヘッドは、下面に段差がある保定リング200’’を含む。段差は、保定リングの内径270が基板10に隣接して、基板10を保定するように構成することができる(例えば、基板は、研磨中、研磨パッドからの摩擦によって内径270に接触させられる)。基板に接触する内径270に直に隣接する保定リングの底部の部分272は、研磨パッド20に接触しない水平な下面を提供し、一方、部分272の半径方向外側にある保定リングの底部の部分274は、研磨中に研磨パッド20に接触する。特に、保定リング200’’の底部は、内側リング200’の内径270に隣接する水平な下面272と、水平な下面272の半径方向外側に位置決めされた突起276とを含むことができ、突起276は、垂直方向で、水平面272を越えて延在する。突起276の高さは、基板10の厚さ未満にすることができ、例えば基板10の厚さの半分未満にすることができ、それにより、水平な下面272が基板10のはす縁よりも下になる。水平な下面272に関して適切な幅を選択することによって、保定リング200’’と研磨パッドとの接点を、改良された研磨均一性を提供する位置に移動させることができる。保定リング200’’は低摩耗性材料から形成することができ、または、水平な下面272の上の保定リング200’’の部分を、突起276よりも摩耗が速い材料から形成することができる。さらに、水平な下面272の上の保定リング200’’の部分は、摩耗速度を高める特徴を設けられることがあり、例えば、水平な下面272の表面積を減少させる垂直な穴を設けられることがある。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきた。それにも関わらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を施すことができることを理解されたい。例えば、ベースアセンブリ104とハウジング102を単一の剛性部品として組み合わせることができ、キャリアヘッド全体100を、垂直方向に移動可能なドライブシャフトによって上下に移動させることができ、あるいは、内側リングとハウジングが同じ剛性部品に対して共に移動可能であるように、与圧可能なチャンバをハウジング102と外側リングの間に提供することができる。したがって、他の実装形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。