(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中央部分、前記複数のアウトリガー部分、および前記複数のウイング部分の一つ以上は、前記近位脛骨の対応する面に少なくとも部分的に合致するかあるいはそれに準拠するよう構成された一つ以上の面あるいは点コンタクトを備えることを特徴とする請求項1に記載の患者固有脛骨カッティングガイド。
前記中央部分、前記複数のアウトリガー部分、あるいは前記複数のウイング部分の一つ以上に少なくとも部分的に埋め込まれた補強要素をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の患者固有脛骨カッティングガイド。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1の近位脛骨上に配置された患者適合カッティングガイドの一実施形態を示す図である。
【
図4】
図3の切除近位脛骨の平面図であり、垂直前方隆起切除のためのカッティングプロファイルを示している。
【
図5】別な実施形態に基づく切除近位脛骨の平面図であり、垂直前方隆起切除のためのカッティングプロファイルを示している。
【
図6】
図2の患者適合カッティングガイドおよび近位脛骨の平面図である。
【
図7】切除後の
図2の患者適合カッティングガイドおよび近位脛骨の平面図である。
【
図8】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図9】
図8の患者適合カッティングガイドの斜視図である。
【
図10】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図11】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図12】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図13】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図14】あるコンポーネントを取り外した状態で
図12の患者適合カッティングガイドを示す図である。
【
図15】
図12の患者適合カッティングガイドの補強構造体を示す図である。
【
図16】
図12の患者適合カッティングガイドの平面図である。
【
図18】
図12の患者適合カッティングガイドの正面図である。
【
図20】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図21】
図20の患者適合カッティングガイドの斜視図である。
【
図25】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図26】第一次切除後の近位脛骨を2方向から見て示す図である。
【
図27】仮切除後の近位脛骨を2方向から見て示す図である。
【
図28】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図30】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図31】大腿骨の遠位部分および大腿骨トライアルに加えて
図30の患者適合カッティングガイドを示す図である。
【
図32】患者適合カッティングガイドのさらなる実施形態を示す図である。
【
図33】患者適合カッティングガイドのさらなる実施形態を示す図である。
【
図34】患者適合カッティングガイドのさらなる実施形態を示す図である。
【
図35】患者適合カッティングガイドのさらなる実施形態を示す図である。
【
図37】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図38】
図37の患者適合カッティングガイドを示す付加的な図である。
【
図39】
図37の患者適合カッティングガイドを示す付加的な図である。
【
図40】
図37の患者適合カッティングガイドを示す付加的な図である。
【
図41】
図37の患者適合カッティングガイドを示す付加的な図である。
【
図42】
図37の患者適合カッティングガイドを示す付加的な図である。
【
図44】
図37の患者適合カッティングガイドを別な方向から見て示す図である。
【
図45】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図46】患者適合カッティングガイドの別な実施形態を示す図である。
【
図47】患者適合器具の別な実施形態を示す図である。
【
図48】患者適合器具の別な実施形態を示す図である。
【
図49】患者適合器具の別な実施形態を示す図である。
【
図50】患者適合器具の別な実施形態を示す図である。
【
図51】患者適合器具の別な実施形態を示す図である。
【
図52】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図53】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図54】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図55】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図56】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図57】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図58】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図59】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図60】
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準的、非患者適合器具を示す図である。
【
図61】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図62】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図63】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図64】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図65】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図66】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図67】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図68】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図69】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図70】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図71】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【
図72】
図47ないし
図67に示す器具を用いる関節形成処置の一例のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、しかも開示された実施形態は大まかにかつ部分的に示されていることに留意されたい。ある例では、本発明の理解のために必要ではないかあるいは別な細部を認識するのを困難にする細部は省略している。もちろん、本発明は図示する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。
【0019】
図1は、とりわけ、大腿骨内側顆との接合のために内側関節面111によって内側において取り囲まれ、かつ、大腿骨外側顆との接合のために外側関節面112によって外側において取り囲まれた脛骨隆起110を含む脛骨100の近位部分を示している。脛骨隆起110は、とりわけ、前方および後方十字靭帯のための取り付け位置を提供し得る。必ずしも詳しくは示していないが、半月板、膝蓋腱、側副靭帯、およびその他の軟組織といった、他の組織も存在するであろう。
【0020】
後の図に示しかつ以下で説明するように、ある膝関節成形処置においては、近位脛骨の一つ以上の部分が、脛骨底板および/または別体あるいは一体の脛骨インサートといった整形インプラントの位置決めおよび/または取り付けを容易にするために切除される。以下で説明する二重十字保持膝関節形成処置に関連するもののような、ある実施形態では、内側および外側関節面ならびに脛骨隆起の前方部分が切除され、一方、脛骨隆起のかなりの部分は、ある実施形態では、前方および後方十字靭帯取り付け位置として機能する脛骨隆起110の一部を含んで、そのまま残る。ある例では、脛骨インプラントのための最適なポジションおよび向きを実現するための、これら切除部の適切な位置決めおよび方向付けは困難であり、かつ、時間を浪費することがある。
【0021】
図2は、
図1の近位脛骨上に配置された患者適合器具200を示している。
図2に示す患者適合器具200は、近位脛骨に対する往復・振動鋸歯といったカッティングツールの動きをガイドするための複数のスロットおよびその他のガイド面を備えた脛骨カッティングガイドである。
図2に示す特定の実施形態では、脛骨カッティングガイド200は、水平内側および外側平坦域切除、内側および垂直隆起切除、ならびに垂直および水平前方脛骨隆起切除をガイドするためのガイド面210を含む。
図2の脛骨カッティングガイド200は、患者の頚骨上に適切に配置されかつ方向付けられたとき、これら六つの切除部のポジションおよび向きを確定する。以下でさらに詳しく説明するように、
図2の脛骨カッティングガイド200は、特定の患者の組織の独特のジオメトリーに少なくともある程度合致するかあるいは準拠するよう構成された複数の表面205を含み、これらの表面205は、所望のポジションおよび向きに対して、患者の組織の患者適合器具の正確なあるいは実質的に正確な配置および方向付けを実質的に容易にするが、これは、ある実施形態では、患者の特定の組織のイメージングデータあるいはその他の情報に基づいて、前手術プランニングステージにおいて確定されてもよい。
【0022】
別な実施形態は、患者適合脛骨カッティングガイド、その他のカッティングガイド、および特定の患者の組織に関するその他の切除あるいはその他の骨改修をガイドするためのその他の手術器具を含み得る。別な器具は、必要に応じて、異なる数、ポジションおよび向きのカッティングガイドスロット、あるいは別なガイド面、あるいは、たとえば、変形を伴わずに単一のポイントで組織と接触する小さな半径(すなわち接触される組織の半径よりも小さな半径)を有するプローブといったポイント接触機構を含み得る。
【0023】
図2に示す患者適合脛骨カッティングガイド200は、少なくともある程度近位頚骨の前方および上位部分に重なる中央部分220と、内側および外側関節面の上で中心部分から延在する二つのアウトリガー部分230と、脛骨の前面の内側および外面の周りで内側にかつ外側に中央部分から延在する二つのウイング240とを含む。この特定の実施形態において、中央部分220およびアウトリガー230は、垂直隆起及び前方隆起切除のためのガイドスロットおよびその他のガイド面210を画定し、そして二つのウイング240は水平平坦域切除のためのガイドスリット210を画定する。
図2に示す脛骨カッティングガイド200は、少なくともある程度捕らえられたガイド面210を含む。患者適合器具の別な実施形態は、スロット、あるいはその他のガイド面、あるいは完全に捕らえられるか、全く捕らえられないか、あるいはそれ以外の組み合わせの構造体を含んでいてもよい。
【0024】
図3および
図4は、
図2の患者適合脛骨カッティングガイド200を用いた切除の後の
図1の近位脛骨100を示している。
図3および
図4に示すように、内側平坦域切除部310および外側平坦域切除部320、ならびに水平前方隆起切除部は、実質的に、同一平面上にあり、一方、内側垂直隆起切除部340および外側垂直隆起切除部350ならびに垂直前方隆起切除部360は、平坦域切除部に対して実質的に垂直である。
図3の特定の実施形態において示される、垂直隆起切除部を水平平坦域切除部に結び付ける湾曲セクション370は、以下でさらに説明する二つの固定ピンによって生み出される。
図5は、垂直前方隆起切除部360が湾曲プロファイルを有するカッターによって実現された代替実施形態からの切除部の平面図である。
【0025】
切除部のその他の切除レイアウト、ポジションおよび向きもまた可能であり、本発明の範疇に包含される。たとえば、ある実施形態では、平坦域切除部310,320は同一平面上に存在する必要はなく、しかも、垂直隆起切除部340,350は非平行であってもよく、かつ/または平坦域切除部310,320から非垂直角度で延在してもよい。
【0026】
図2のカッティングガイドを利用するある実施形態においては、二つの平坦域切除部310,320が先ず形成され、続いて2度の前方隆起切除が行われ、最後に2度の垂直隆起切除が実施されるが、別な実施形態では、別な切除順序が採用されてもよい。ある実施形態では、切除のこの順序は、処置の間、ピン固定を、より長く維持し得る。
【0027】
図2の患者適合脛骨カッティングガイド200は、近位脛骨100に対してガイドを固定するために固定ピンを受けるための二つ以上の孔260を含むことができる。図示する特定の実施形態では、二つの二次的な、任意選択の孔250がアウトリガー230の遠位端部に配置され、かつ、内側および外側関節面の表面を貫通するピン255を受けるために垂直に方向付けられる。二つの一次的孔260は中央部分に配置され、かつ、近位脛骨100の前方面を貫通するピン265を受けるために水平に方向付けられる。
図6は二つの垂直ピン255の位置を示している。
図7は二つの水平ピン265の位置を示している。この特定の実施形態では、孔は、器具の骨に面する側において患者適合面の近傍に配置されるが、その他の位置もまた可能である。
【0028】
図2および
図7に示す水平ピン265は近位脛骨の後方面までちょうど延在している。
図7に示す実施形態では、カッティングガイドの中央部分における外面(すなわち骨に面しない表面)が、ピンが近位脛骨の後方面にちょうど達するように、特定の患者に対して、そして使用されることになるピンの特定の長さに対して較正される。この特定の実施形態では、中央部分220の外面205は、正確な所定深さへと各ピン265の前方‐後方挿入深さを制限するために、各ピンのショルダー(図示せず)に接触するが、所定の深さまでピン深さを制限するために、その他の構造およびピン/カッティングガイド相互作用機構が別な実施形態では利用可能である。ある実施形態では、ピンに接触するための「外」面の一部を、周囲の「外」面に比べて、ブロック内に没した状態とすることができるが、別な実施形態では、これらの面は互いに面一であってもあるいは別な様式で配置されてもよい。ある実施形態では、外面あるいはカッティングガイドの別な部分に対するピン深さを較正するために、代替機構を利用できる。たとえば、ある実施形態では、カッティングガイドの患者適合外面に対するピンの前方‐後方深さを指し示すために、レーザーエッチングラインあるいはその他の目印が使用できる。
【0029】
ある実施形態では、この深さは、患者の組織に固有のMRIあるいはその他のイメージデータを調べることで設定可能であり、そして、所望のピン長さと組み合わせて、患者適合カッティングガイドの外面(あるいは外面の一部、あるいは別な構造体あるいは機構)がピンの深さを適切に制限するために配置される場所を決定できる。イメージングデータを処理するか、あるいはさもなければ適切な挿入深さを特定するために、さまざまな自動、半自動、あるいは手動処置およびシステムを使用できる。
【0030】
ある、だが必ずしも全てではない実施形態では、脛骨隆起を、外科的処置の間に使用されるカッティング器具およびその他の器具による、切り込み、切り落としあるいはその他の意図しない切除あるいはダメージから保護するために、水平ピン(あるいはカッティングガイドと関連付けられたその他の構造体)を使用することが望ましいであろう。これら実施形態のいくつか(だが必ずしも全てではない)では、ピンが、実質的に脛骨へと後方に延在することなく(これは周囲の軟組織あるいはそれ以外の組織に悪影響を与えることがある)、そうした保護を提供するために脛骨隆起の前−後長さ全体(あるいは実質的に全体)に沿って延在するように、水平ピン(あるいは、その他の水平、垂直あるいはそれ以外の向きで配置されたピンあるいはそれ以外の取り付け機構)の前‐後深さを正確に調整することが望ましいであろう。そうした例では、上記深さ調整機構が望ましいであろう。
【0031】
ある実施形態では、患者適合脛骨カッティングガイドは、特定の患者のために使用されることになる適切な長さのピンと梱包され、輸送され、かつ/またはそれ以外の方法で関係付けられる。上記あるいはその他の実施形態においては、正確なピン長さは、患者適合ガイドそれ自体の上に(あるいはガイドのパッケージング上に)示すことができる。
【0032】
ある実施形態では、患者適合器具におけるピン受け開口の特定のポジションおよび向きは、いったん全ての切除が完了すると、この開口を経て挿入されたピンによって形成されるキャビティが患者の骨に残らないようなものである。すなわち、ある実施形態では、患者適合器具と共に使用されるピンは、もっぱら、切除によって除去される骨を貫通して延在する。ある実施形態では、ピン長さはまた、残った骨にピン穴が出現するのを低減するかあるいは排除するために調整あるいは最適化されてもよい。たとえば、ある実施形態では、垂直ピンは、それらが水平平坦域切除部が形成されるレベルの下方に延在しないように配置されてもよい。
【0033】
図8は、付加的特徴を有する患者適合脛骨カッティングガイド400の代替実施形態を示している。
図8のカッティングガイドは、脛骨隆起の前方部分を可視化するために、ガイド400の中央部分420に配置された可視化ウインドウ425を含む。図示する特定の実施形態では、可視化ウインドウ425は、ガイド(図示せず)の脆弱部分を壊して取り除くことによって出現させることができる。
【0034】
図8のカッティングガイド400はまた、二つのウイング440の遠位端部に配置されたリトラクタ機構490を含む。ある実施形態では、このリトラクタ機構490は、良好な可視化を可能としかつ軟組織をダメージから保護するために、手術部位から離れて軟組織を保持するのを容易にし得る。
図8の特定の実施形態においては、リトラクタ機構490は中空部分495を含むが、これは、リトラクタ機構490によって保持された軟組織によってカッティングガイド400に加えられる力を少なくともある程度減衰するのを助けることができる。ある実施形態では、これは、カッティングガイドあるいはウイング440およびこれらウイングのガイド面といった、その特定の部分の形状、ポジションおよび/または向きの潜在的に望ましくない撓み、変形あるいはその他の変化を回避するのを助け得る。別な実施形態では、リトラクタ機構490のその他の形状および形態が可能であり、あるいは別な実施形態では、リトラクタ機構は不要である。
【0035】
ある実施形態では、患者適合ガイドのある機構、たとえば
図8の患者適合脛骨カッティングガイド400のリトラクタ機構490および可視化ウインドウ425機構は、除去可能であるか、あるいはさもなければ再構成間可能であってもよい。たとえば、
図9に示すように、リトラクタ機構490は、使用後あるいはそれらが特定の処置のために望ましくない場合に、リトラクタ機構490の除去を容易にし得る一連の細孔491を含んでいてもよい。別な実施形態では、患者適合器具の一部を分離させ、除去し、あるいはさもなければ再配置することを可能とするために、別な脆弱あるいは非脆弱接続部、構造あるいはその他の機構を利用できる。
【0036】
患者適合器具の一部が処置の間に破壊されて除去されることが意図されている、ある実施形態では、創傷位置の汚染を回避するために、破壊される際に過剰な(あるいは全く)破片を生じない脆性接続部を利用することが望ましいであろう。ある実施形態では、脆性接続部の特定のジオメトリーは、脆性部分が除去されたときに、小片が創傷を汚染する可能性を低下させることができる。上記あるいは別な実施形態では、患者適合器具それ自体は、破片が脆性接続部を切断することから生じる可能性を低減させる一つ以上の物質から形成できる。
【0037】
ある実施形態では、脆性な機構は、製造素材としてナイロン12を用いて、選択的レーザー焼結処理で形成された患者適合器具に形成できる。上記あるいは別な実施形態では、曲げ強度が低減され、患者適合器具のある部分を、より容易に破壊して分離させることを可能とする素材のラインあるいは領域を形成するために、レーザーのパワーは製造処理の間、変更可能である。
【0038】
ある実施形態では、除去可能な機構は、処置の以後の部分との干渉を避けるために使用後に除去することができる。ある実施形態では、除去可能な機構の除去は、患者適合器具、組織、あるいは、この除去可能な機構の除去前には容易にアクセスできないかあるいは容易に可視化できないその他の品目の一部のより優れたアクセスあるいは可視化を可能とする。たとえば、ある実施形態では、患者適合器具からの除去可能な機構の除去は、この除去可能な機構によって本来は隠された患者適合ガイドの別な機構を用いて、組織への別な処理あるいは処理の一部をガイドするか、あるいはさもなければそれを実施するための患者適合ガイドの別な機構へのアクセスを可能とし得る。上記あるいはさらに別な実施形態では、除去可能な機構の除去は、患者適合器具のガイドあるいはそれ以外の機構の調整を容易にし得る。
【0039】
図10は、ビルトインドロップロッドコネクター680を含む患者適合脛骨ガイド600を示している。ある実施形態では、これは、患者適合器具の一体部分であってもよく、一方、別な実施形態では、これは、ユーザーの判断で、かつ、ユーザーの選択の際に、患者適合器具に付加し、かつ/またはそれから除去することができる機構であってもよい。ある実施形態では、ドロップロッドコネクター680は、除去可能なリトラクタ特徴部に関して上述したものと類似の脆弱接続部を用いて、患者適合ガイド600に対して固定することができる。
図10に示すドロップロッドコネクター680は、患者適合脛骨ガイド600とのドロップロッド684の接続および整列を容易にするが、これは、ある実施形態では、脛骨あるいは他の組織の脛骨あるいは他の組織の解剖学的あるいは物理的軸線との患者適合器具600のアライメントを可視化するのを容易にし得る。この可視化は、手術中に、患者適合ガイドの向きの相互チェックを可能とするであろう。
【0040】
図11はドロップロッドコネクター780を含む患者適合脛骨カッティングガイドの別な実施形態700を示すが、ドロップロッドコネクター780は、一緒に挟み込まれたとき、コネクター780の開口内でドロップロッド(図示せず)を保持し、それがカッティングガイドに対して所望のポジションおよび向きで存在することを保証する二つの突起785を備えたユーザー操作機構を有する。
図11の特定の実施形態では、ユーザー操作機構785およびドロップロッドコネクター780の開口の少なくとも一部は、突起が一緒に挟み込まれたとき、孔が、それを経て延在するドロップロッドの周囲でのその嵌り具合を少なくとも僅かに締め付けるように変形するようにコンプライアントである素材から形成される。ある実施形態では、患者適合器具全体は、十分なサイズ、形状とされ、かつ、そのある部分が変形できるが別な部分は変形により抗するようなそれ以外の特性を有するコンプライアント素材から形成されてもよい(たとえば、ある実施形態では、カッティングガイド面あるいはポイント接触機構(そのいくつかは上述し、以下でも説明する)を画定しかつ/または支持する部分に関して、脛骨切除の正確なアライメントを保証するために変形に対して抗することが望ましいであろう)。ある実施形態では、患者適合器具の別な部分あるいは患者適合器具と関連付けられた機構は、構造体のコンプライアント部分の利点を活用するための素材から、あるいはそのために十分な形状あるいはその他の形態で形成されてもよい。
【0041】
ある実施形態、たとえば
図12に示す実施形態においては、患者適合器具800は、器具あるいは器具のある部分の剛性を高めるために補強材を含んでいてもよい。たとえば
図12の実施形態においては、患者適合脛骨カッティング800ガイドの多くの部分は、選択的レーザー焼結プロセス(SLS)を用いてナイロン12から形成されてもよく、そして、少なくとも概念的には、特にカッティングブレードあるいは他のカッティングデバイスが器具と共に使用されているときに、望ましくない変形にさらされ得る。これらの例の少なくともいくつかにおいては、デバイスの剛性を高めるのを助けるために、患者適合器具に補強材801を組み込むことが望ましいであろう。
図12の特定の実施形態においては、この補強材801は器具内にほとんど埋め込まれており、(アウトリガーの前方部分から上方に延在する二つのポスト802を除いて)外側からは認識できない。
【0042】
ある実施形態では、補強材は、患者適合器具の残部とは異なる特性を有する素材から形成されてもよい。したがって、ある実施形態では、患者適合器具の大部分は、SLSプロセスを用いてナイロン12から形成されてもよく、一方、補強材は外科的グレードステンレススチールあるいはその他の好適な素材から形成されてもよい。ある実施形態では、補強材は従来の製造方法によって形成されかつスカフォードとして使用可能であるが、このスカフォードの周囲には、患者適合器具の残部がSLSあるいは患者適合器具を形成するために使用されるその他の製造技術を用いて形成される。別な実施形態では、補強材および患者適合器具の残部の両方は、SLSあるいはその他の急速製造技術を用いて形成されてもよく、ある実施形態では、補強材はまず第1の素材を用いて形成され、そして患者適合器具の残部が次に第2の素材を用いて形成される。別な実施形態では、補強材部分および患者適合器具の残部は同時に形成されてもよい。
【0043】
図13に示す実施形態のような別な実施形態では、補強材を含む必要はなく、患者適合器具900は、単一の素材から形成されてもよいが、依然として十分な剛性を有するであろう。
【0044】
図14は、補強部材を受けるよう構成された患者適合脛骨カッティングブロック1000を示しているが、これら補強部材は適所に存在していない。ある実施形態では、患者適合器具は、SLSあるいは別な急速製造技術によって最初に形成でき、そして補強部材は、その後、たとえば患者適合器具に形成された円筒孔内に円柱形補強材を滑り込ませることで、患者適合器具内に(手作業であるいは自動機械を用いて)導入することができる。
【0045】
図15、
図17および
図19は
図12の実施形態から補強部材801および801Aを示している。ある実施形態では、補強部材801および801Aは、患者の組織ならびに特定の患者の計画された外科的処置の別な態様に基づいてカスタム配置されてもよく、一方、別な実施形態では、補強部材801および801Aは、その周囲で特定のタイプあるいはサイズの患者適合器具の全てが組み立てられる「標準化」部分を有していもよい。ある実施形態では、補強部材801および801Aは、患者適合器具の任意選択部分であってもよく、しかも、患者適合ブロックのあるその他の機構がカスタマイズされるときに組み込むことができる。たとえば、ある実施形態では、患者適合器具のウイングに沿って延在するように配置される補強部材801Aは、もっぱら、ガイドスロットが遠位端部において捕らえられない場合に必要になるであろう。
【0046】
図15、
図17および
図19に示す特定の実施形態において、補強部材801はステンレススチールダウエルピンから形成されるが、別な実施形態では、その他の素材を使用できる。
【0047】
図16および
図18に示すように、補強部材801あるいは本明細書で説明する患者適合器具のある実施形態において使用される部材は、付加的あるいは器具に対して補強をもっぱら提供することに対する代替的機能のために使用できる。たとえば、
図16の実施形態において、中央補強部材803の一つもまた、水平内側および外側隆起をカットする際に往復鋸が過度に深く食い込むのを抑止するために、水平ストッパーとして機能する。ある実施形態では、中央補強部材803は、切除部のある態様を制限するために、二つの水平固定ピンと連係して機能する。別な実施形態では、補強部材801は、他のカットのためのストッパーを提供するために、付加的なあるいは代替的な位置に効果を考慮して配置することができる。
【0048】
図20および
図21は、
図2のガイド200と同様に、内側平坦域、内側および外側隆起、ならびに垂直および水平前方隆起切除部のためのガイド面1110を含むが、
図2のガイドとは異なり、外側ウイングあるいは外側平坦域切除部のガイド面を含まない患者適合脛骨カッティングガイド1100の別な実施形態を示している。
図22は、
図20および
図21のカッティングガイドを用いて形成可能な切除部を示しているが、ある実施形態では、カッティングガイド1100は、これら切除部のいくつかだけを形成するために使用されてもよい。ある実施形態では、
図20および
図21の患者適合脛骨カッティングガイド1100は、膝関節形成処置の種類に依存して脛骨切除の残りを完結するために、別な患者適合あるいは標準型器具と組み合わせて使用できる。たとえば、ある実施形態では、標準型外側カッティングガイドが、外側平坦域切除をガイドするために使用でき、そして、外側平坦域切除部を別な切除部と整列させるために、既存の内側平坦域切除部、別な切除部、および/またはピン孔を参照するための構造体を含むことができる。
【0049】
図23は、内側平坦域1120ならびに内側および外側隆起切除部1150および1140が形成された近位脛骨を示しているが、隆起の前方部分は依然として無傷である。少なくとも処置の初期の段階において、隆起の前方部分を無傷のままで残すことで、ある場合には、処置の間に隆起が砕けるかあるいはさもなければ損傷し得るリスクを低減することができるが、これは、トライアルおよび/またはバランシング技術が内側/外側切除を評価するために使用される処置といった、ある処置においてはリスクとなり得る。
図24は内側平坦域1120および隆起1150切除部のみを備えた近位脛骨100を示し、単一顆膝関節形成のための
図20および
図21の患者適合カッティングガイドを使用する可能性を図示している。
【0050】
図25および
図28は、この特定の例では仮内側平坦域切除および仮内側隆起切除といった患者の組織上での仮切除をガイドするための患者適合器具を、この特定の実施形態では、患者適合脛骨カッティングブロック1200を示している。ある例では、上記一次的切除の一つ以上を実施際に行う前に、上記仮切除および/または可能な一次的切除のある特性を評価するための機会を提供するために、近位脛骨100といった、患者の組織における相対的に浅い仮切除を行うことが望ましく、そうした特性は、たとえば、深さ、内側/外側ポジション、前方/後方ポジション、内反/外反回転、内側/外側回転、および/または後方スロープの一つ以上を含むであろう。ある非限定的な例として、
図26は、
図27の仮切除を利用する評価の後に形成された一次切除部を示している。
【0051】
図29は、ある実施形態においては、仮切除がなされた後に、仮患者適合カッティングガイドを取り外すことができるが、任意選択で、(仮ガイドを骨に対して一時的に固定するために使用されたピンのような)ピンあるいはピン群1265を、骨に対する別な器具の位置決めおよび/または固定を容易にするために適所に残すことができることを示している。
【0052】
図30は、患者の組織に対する既存のあるいは可能性のある切除の一つ以上の態様を評価するためのトライアリングあるいはバランシング機構1335を含む患者適合カッティングガイド1300の別な実施形態を示している。
図30は患者適合器具を示しているが、類似の機能を含む標準型カッティングガイドもまた可能である。
図30に示す特定の実施形態においては、トライアリング/バランシング機構1335は、一次切除部が
図30の器具に組み込まれるカッティングガイドを用いて形成される場合に、膝のバランス、タイトネス、バイオメカニクスおよび/または別な態様の評価および/または予測を容易にするための、大腿骨トライアル120(たとえば
図31参照)との接合用のトライアル関節面である。この特定の実施形態において、トライアル関節面は、
図30の器具によって形成される一次切除部に移植される脛骨インプラントの少なくとも内側部分の予期される最終ポジションおよび向きを再現するか、あるいは少なくとも実質的に再現する。
【0053】
ある実施形態では、
図30の器具1300は、異なる特性、たとえば異なる深さおよび/または後方スロープなどの可能な一次切除を評価するための器具のキットの一つであってもよい。たとえば、
図30の実施形態は、標準的な切除深さに対して−2mmの深さを付加する後方スロープの0度の一次的切除のためのトライアリングおよびカッティングガイドを提供し、一方、
図32は0度、0mm一次的切除を実現する器具1400を示し、そして
図33は−3度、0mm一次的切除を実現する器具1500を示している。他の可変部が、そうしたキットに組み込まれてもよい。たとえば、ある実施形態では、器具のセットは、付加的にあるいは代替的に、さまざまな内反/外反回転、内的/外的回転、内側/外側ポジション、および/またはその他の可変部を含むことができる。ある実施形態では、キットは、特定の外科医および/または患者のためにオーダーメードされてもよく、そして、ある実施形態では、ある所望のバランシング/トライアリングオプションのサブセットのみを含んでいてもよい。
【0054】
図34ないし
図36は実施形態1600を示しており、このものでは、バランシング/トライアリングの後、そしていったん許容できる器具が確定されると、選択された器具は、必要ならば、さらに近位脛骨に対してピン留めすることができ、そして1回以上の切除を、この器具を用いて実施できる。
図36に示す特定の実施形態においては、外側切除もまた実施されているが、これは、上記のように、内側切除のために使用されるのと同じ器具あるいは異なる器具を用いて実施することができ、その一方あるいは両方が特定の患者に対して適合させられても、あるいは適合させられなくてもよい。
【0055】
図37は、
図30に示す器具と類似の実施形態1700を示しているが、それはまた取り外し可能なコンポーネント1780を含んでいる。取り外し可能なコンポーネント1780は前方隆起切除ガイドであるが、これは、当初は使用のために配置されないが、ある実施形態では隆起の前方部分の切除に先立って生じ得る、トライアリング/バランシング処置との干渉を回避するように配置される。たとえば、ある実施形態では、使用のために配置されたとき、前方隆起切除ガイド1780は、大腿トライアルコンポーネント1735の一部と干渉しがちである。この特定の実施形態では、前方隆起切除ガイド1780は、当初、トライアリング/バランシング処置と干渉しがちではない場所に配置され、そして、いったんを処置が完了すると、(たとえば脆弱な接続部あるいはその他の適当な構造体あるいは機構を用いて)分離させ、使用のために適したポジションおよび向きで器具に対して再接続できる。
図38ないし
図42は、それが先ず取り付けられ、その後続いて脆弱な接続ポイントにおいて分離させられ、そしてその後続いて隆起の後方部分の切除をガイドするためのポジションおよび向きへと配置される際の前方隆起切除ガイド1780を示している。
【0056】
図38ないし
図42の特定の実施形態において、前方隆起切除ガイド1780と器具の残部との間の脆弱な接続部1782は、一続きの破壊可能なピン(たとえば、破壊の後のピンを示す
図44参照)を含むが、その他の脆弱なあるいは非脆弱な機構もまた可能である。たとえば、ある実施形態では、接続部は破壊可能であるようには設計されず、それ以外の方法で、コンポーネントが第1のポジションから第2のポジションへと移動させられることを可能とする(たとえばヒンジあるいはその他の機構)。
【0057】
図38ないし
図42の特定の実施形態において、後方隆起切除ガイド1780は、円筒形孔1783内に前方隆起切除ガイド1780のポスト1781を挿入し、そして上記水平補強部材の一つに対して弾性溝1784をスナップ嵌合させることで、使用のために接続され、かつ、適切に位置決めおよび方向付けされるが、その一部は円筒形孔を貫通して延在する(
図41)。いったん適所に収まると、器具1700は使用のために脛骨の上に載置することができる(
図42)。溝と水平部材との間の接続部は、ある実施形態では、二つの構造体を互いに固定するだけでなく、互いに関してそれらを適切に方向付けるように機能し得る。その他の接続および向き調整機構もまた可能である。
図43は、
図38ないし
図42に示す器具を用いた切除後の近位脛骨100を示している。
【0058】
図44は、
図37の患者適合器具1700の内側(骨に面する側)を示している。この特定の実施形態に示されるように、器具1700は、この器具1700が特定の患者の組織に対して適切に配置されかつ方向付けられることを保証するために、患者の組織の独特のジオメトリーに合致するかあるいはそれに準拠する患者適合表面1706を含む。上記およびその他の患者適合表面を、特定の患者の組織上に器具を配置し、そして方向付けるのを容易にするために、患者の骨性あるいはその他の組織のさまざまな部分に接触するように組み込むことができる。たとえば、
図2に示す実施形態では、器具はさらに、器具の本体から延在するアウトリガーの少なくとも一部の下側に患者適合表面を含む。それ以外の数、位置および向きの患者適合表面もまた可能である。別な実施形態はポイント接触表面を含んでいてもよい。
【0059】
図45および
図46は別な実施形態を示しており、このものでは、患者適合器具1800は、本体1820上の患者適合表面1806、アウトリガー1830、そして器具のウイング1840を含む。別な実施形態は、ポイント接触表面を含んでいてもよい。
【0060】
図47ないし
図49は、患者適合器具の代替実施形態および一緒に使用できる非患者適合標準形器具を示している。
図47ないし
図50は、標準型器具のような付加的コンポーネントの取り付けのためのマウンティング機構1915,1916だけでなく、(カッティングガイドなどの)ガイド機構1910を含む患者適合器具1900の実施形態を示している。
図47ないし
図50に示す患者適合器具は、患者の組織の上で器具を正確に配置しかつ方向付けるのを容易にするために、特定の患者の組織に対してカスタマイズされた本体およびアウトリガー上の患者適合表面1906を含む。
図47ないし
図50に示す特定の実施形態において、器具1900の患者適合表面1906は、二重十字膝関節形成処置の脛骨切除に関連した自由度の全てにおいて、器具を配置しかつ方向付けるのに十分なものであるが、別な実施形態では、上記面あるいはポイント接触表面およびまたは器具の別な属性は、そうした処置あるいは別な処置に関連した自由度のいくつかを確立することに関係するだけであってもよい。
【0061】
図示する患者適合器具1900はまた、鋸ブレードあるいはブレード群をガイドするためのガイドスロット1910を含む。この特定の実施形態では、ガイドスロット1910は、二重十字保持関節形成処置の2回の垂直隆起切除および垂直前方隆起切除をガイドするが、別な実施形態においては、それ以外の数、ポジション、向きおよびその他のタイプのガイド機構1910が、二重十字保持膝関節形成処置あるいはその他の組織あるいは関節における、その他の種類の膝、ヒップ、あるいはその他の間接形成処置を容易にするために患者適合器具1900に組み込まれてもよい。さらに別の実施形態においては、患者適合器具1900は、ガイド機構1910を含んでおらず、むしろ、単に、患者適合器具に搭載されるか、あるいはそれ以外の方法でそれと関連付けられる標準的な器具あるいは器具群を固定しかつ/または位置決めするためのマウントとして機能する。
【0062】
図47ないし
図50に示す患者適合器具は、患者適合器具1900との付加的コンポーネントの関連付けを容易にするためのマウンティング機構1915,1916を含む。
図47ないし
図50に示す特定の器具は、付加的なコンポーネントの構造体と相互作用するように配置され、方向付けられ、そして形状とされた複数の突起を含み、この突起は、円柱形ピン1915と共に実質的に平坦な突起1916を含んでいる。
図51は、代替実施形態を示しているが、ここで、平坦な突起2016は、脆弱な部分2017を含む長尺な舌部2016である。ある実施形態では、脆弱な突起すなわち舌部2016は、取り付けられたとき、患者適合器具に対して、第1の器具を配置しかつ方向付けるのを容易にすることができ、そして、取り外し後、舌部2016の残りの部分は第2の器具の配置および方向付けを容易にし得る。
図47ないし
図51に示すように、患者適合器具1900のそれ以外の部分もまた脆弱であってもよい。
図47ないし
図51の患者適合器具1900,2000もまた、以下でさらに説明するように、マウンティングボルトを受けるための垂直孔1917を含む。
図47ないし
図51の患者適合器具1900,2000はまた、患者の組織に対して患者適合器具を固定するためのピンあるいはそれ以外のデバイスを受けるための孔1917を含む。
【0063】
図52ないし
図60は、
図47ないし
図51の患者適合器具と共に使用可能な標準型の非患者適合器具2100の実施形態を示している。
図52ないし
図60の標準的な器具は、スロット2118(
図55)と、患者適合器具に対して標準的な器具を固定し、あるいは少なくとも位置決めおよび方向付けするのを容易にするために、
図47ないし
図51の患者適合器具1900,2000のさまざまな突起と相互作用するようなサイズとされ、配置され、そして方向付けられた器具の本体を少なくとも部分的に通って延在する複数の孔2119とを含む。図示する特定の実施形態では、標準的な器具2100は、もっぱら、(患者の組織に配置された際に)患者適合器具2100のポジションおよび向きが(患者の組織に対する)標準的な器具2100のポジションおよび向きを確立するように、単一のポジションおよび向きで患者適合器具に対して搭載することができる。別な実施形態では、標準的な器具2100のポジションおよび/または向きは、標準型の器具2100が患者適合器具に対して搭載された場合でさえ、患者適合器具の対して、少なくともある程度の自由度で調整可能である。たとえば、ある実施形態では、標準的な器具2100は、患者適合器具の舌部上で回動しかつ少なくともある程度スライドすることが可能であってもよく、そして二つのコンポーネント間の接続部は平坦な接続部として機能することができる。別な実施形態では、標準的な器具2100に複数の孔は、患者適合器具上に標準型器具2100を搭載するための、さまざまな別個の異なるポジションおよび/または向きを提供してもよい。さらに別な実施形態では、患者適合器具に対する標準型の器具2100のポジションおよび/または向きは、別な方式で調整可能である。
【0064】
図52ないし
図60の標準的な器具2100はまた、舌部あるいは患者適合器具から延在するその他の突起あるいは別な患者適合あるいは非患者適合器具の機構といった、器具のスロット2118内に配置されたコンポーネントを固定するためのロッキング機構2103を含む。
図52ないし
図60に示す特定の実施形態においては、標準的な器具2100は、アンロックポジション(
図57参照)からロックポジション(
図58参照)へとパドルアーム2108を動作させることによって作動させられるカム機構を含む。
図52ないし
図60の標準的な器具2100はまた、患者適合器具および/または別なコンポーネントに対して標準的な器具を、さらにあるいは代替的に固定するための機構としてマウンティングボルトを受けるためのネジ付き孔2109を含む。
【0065】
図52ないし
図60の標準的な器具2100は、患者の組織に対して器具を固定するために骨ピンを受けるための円筒形孔2116を含む。図示する特定の実施形態においては、器具は、その前方面からその後方面へと延在する平行な開口の複数の対を含むが、これは、患者の組織に対する器具の別個の調整を容易にし得る(たとえば、カットの深さを調整するための器具の上位/下位位置決めの別個の調整あるいはそれ以外の調整あるいは目的を可能とする)。
図52ないし
図60の器具はまた、患者の組織に対して器具をさらに固定するために、やはり骨ピンを受けるための斜め開口2117を含む。上述したように、ある実施形態では、上記開口のいくつかあるいは全ては、患者適合器具に対して標準的な器具の位置決めおよび方向付けを容易にするために患者適合器具上の円柱形突起を受けるといった、その他の目的のために使用できる。
【0066】
図52ないし
図60の標準器具は平坦な上面2102を含むが、これは、ある実施形態では、振動鋸ブレードなどの平坦なカッティングデバイスをガイドするための切除ガイドとして機能し得る。図示する特定の実施形態では、平坦面は近位脛骨の平坦な内側切除を容易にするようなサイズとされ、その上に配置され、そして方向付けられるが、その他の切除をガイドするためのそれ以外の形態もまた可能である。図示する特定の実施形態では、
図52ないし
図60の標準的な器具2100は、単一の平面へと鋸ブレードの動きをさらに制限するために、
図61ないし
図67に示す付加的なコンポーネント2400と共に使用できる。
【0067】
図52ないし
図60の標準的な器具2100はまた、器具にアライメントロッドを固定するためのアタッチメント2112場所を含む。図示する別な実施形態では、器具は、アライメントロッドをスライド式に受けることができるチャネル2112と、このチャネル内にアライメントロッドを固定するためのローレットボルト2113とを含む。必要ならば、器具に対してアライメントロッドを固定するために、それ以外の構造および機構もまた利用できる。ある実施形態では、アライメントロッドは、患者の大腿骨および/または脛骨の解剖学的かつ/または物理的軸線といった患者の解剖学的構造に対する器具のアライメントを確認するために、外科的処置において適切な時点で使用できる。
【0068】
図61ないし
図71は、二重十字保持関節形成処置のステップのいくつかを実施するために、
図47ないし
図67の患者適合および標準的な器具を使用する方法の非限定的な例を示しているが、別な実施形態では、上記実施形態の特徴のいくつかあるいは全てを有する器具を、それ以外の関節形成あるいは別な種類の整形外科処置のために使用できる。
【0069】
図61は、患者の組織に対する器具の所望のポジションおよび向きを確定するために器具が患者の組織(この実施形態では、右側の近位脛骨)に合致するかあるいはそれに準拠するように、特定の患者の組織に対してカスタマイズされた患者適合器具2300を示している。図示する特定の実施形態では、患者適合器具は、器具(この特定の実施形態では図示せず)の組織に面する表面に患者適合接触表面を含むが、これは、MRIデータならびに骨に対する所望の切除の予め選択されたポジションおよび向き(あるいは脛骨インプラントの所望の最終ポジションおよび向き)を用いて確定され、かつ、選択的レーザー焼結技術を用いて製造されたものであるが、別な実施形態では、それ以外のデータコレクション、処理および製造方法が、患者の組織に対して器具をカスタマイズするために使用できる。
【0070】
図62は、マウンティングボルト2310を用いた、
図61の患者適合器具2300に対する
図52の標準的な器具100の接続を示している。図示する特定の実施形態では、標準的な器具2100は、患者の組織上で構造体を位置決めする前に、患者適合器具に対して接続されるが、別な実施形態では、患者適合器具は、標準的な器具が接続される前に組織上に配置されてもよい。
図63は、患者の組織に対する構造体の適切なポジションおよび向きを確定するために患者適合器具の骨に面する側で合致面および/またはポイント接触機構を用いて、患者の近位脛骨100の上に配置された患者適合器具/標準的な器具構造体2400を示している。望むならば、外科医は、この時点で、アライメントロッドを構造体に取り付け、そして患者の脛骨および/または大腿骨の物理的かつ/または解剖学的軸線に対するアライメントをチェックすることによって、患者の脛骨100上での構造体の適切なポジションおよび向きを確認することができる。
【0071】
図64は、複数の骨ピン2464,2465を用いて患者の組織に対して固定された患者適合/標準的な器具2400構造体を示している。この特定の実施形態では、患者適合器具のアウトリガーと関連付けられた二つの垂直ピン2455が存在し、二つの水平ピン2464は患者適合器具の本体を貫通し、二つの水平な平行ピン2465は、先ず標準的な器具を貫通し、続いて患者適合器具を貫通し(逆順は代替実施形態である)、そして一つの斜めピン2466が標準的な器具を貫通する。別な実施形態では、ピンあるいはその他の取り付けデバイスの別な組み合わせが、患者の組織に対して構造体を固定するために使用できる。
【0072】
図示する特定の実施形態では、患者適合/標準器具構造体が近位脛骨100に固定された後、患者適合器具2300内に組み込まれたガイド2310が垂直隆起切除および前方隆起垂直切除をガイドするために使用される、ある実施形態では、往復鋸が垂直隆起切除のために使用され、そしてチゼルが垂直前方隆起切除のために使用される。図示する特定の実施形態では、脛骨に対して患者適合器具を固定する水平ピン2464はまた、これら切除部のカットの深さを制限するよう機能する。
図65は、これら切除が完了した後の、近位脛骨100および患者適合/標準器具構造体2400を示している。
【0073】
図66ないし
図69に示すように、上記切除が完了した後、患者適合器具2300は標準器具からボルトを緩めて外すことができ、かつ、もはや必要ではない患者適合器具2300の一部は、脆弱な接続部に沿って壊して分離させることができる。別な実施形態では、患者適合器具は脆弱である必要はなく、それ以外の様式で構造体2400から部分的にあるいは完全に取り除かれるよう設計することができる。たとえば、ある実施形態では、骨ピン2464,2465は、患者適合/標準器具構造体2400全体を組織から取り外し、分解し、標準的な器具のみを組織に対して置き換えることを可能とするためにプレイスホルダーとして機能できる。さらに別な実施形態では、患者適合器具は、まず、標準的な器具を伴わずに、組織の上に配置でき、そして初期切除を形成すると共に骨ピンを位置決めするために使用し、その後、患者の組織から取り外し、そして標準的な器具で置き換えることができる。
【0074】
ある実施形態では、患者適合器具の一部の除去は、患者適合あるいは標準的な器具の一方あるいは両方の、その他の機構および/または機能へのアクセスを容易にする。たとえば、特に
図70に図示する特定の実施形態においては、患者適合器具の一部の除去は、補助的コンポーネント2200(
図73)を標準的な器具2100に対して固定することを可能とする。
図70に示すように、補助的ピン2200は、さらに水平平坦域切除をガイドするのを助けるためにカッティングブレードの上面と相互作用する平坦面2210を画定すると共に、補助的コンポーネント2200は内側水平ピンを収容するよう構成されている。図示する特定の実施形態において、標準的な器具2200の平坦な上面2210は(補助的コンポーネントの平坦な下面と協同で)切除の深さおよび後方スロープを調整し、そして水平ピンは切除の内側範囲および内側/外側回転を調整する。それ以外のガイド構造および技術もまた可能である。たとえば、ある実施形態では、内側平坦域切除は、捕縄的コンポーネントの使用を伴わずに実施することができる。
図71は、内側平坦域切除後の脛骨100を示している。
【0075】
図72に示すように、標準型コンポーネント、特に、標準型コンポーネントの平坦な上位表面は、やはり水平前方隆起切除をガイドするためにに、ある実施形態において使用可能である。ある実施形態では、垂直および/または水平前方隆起切除は、内側切除部が評価されかつ/またはバランスさせられるまで実施されない。
【0076】
図62ないし
図72は単に、二重十字保持膝関節形成処置のステップのいくつかを示しているに過ぎず、処置の残りは、上記あるいは別な標準的および/または患者適合器具を用いて遂行されてもよい。
【0077】
本発明の範囲あるいは趣旨から逸脱することなく、本明細書中に開示された非限定的実施形態に対して、付加、削除、置き換え、変更およびその他の改変を施すことができる。