(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074114
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】電気系統を保護するためのインタロック回路
(51)【国際特許分類】
H02H 3/05 20060101AFI20170123BHJP
B60L 3/00 20060101ALI20170123BHJP
H02H 3/00 20060101ALI20170123BHJP
H02M 1/00 20070101ALN20170123BHJP
G01R 31/02 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
H02H3/05 A
B60L3/00 S
H02H3/00 L
!H02M1/00 C
!G01R31/02
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-516027(P2016-516027)
(86)(22)【出願日】2014年9月8日
(65)【公表番号】特表2016-531535(P2016-531535A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2014069028
(87)【国際公開番号】WO2015043930
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】102013219141.3
(32)【優先日】2013年9月24日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブッツマン、シュテファン
【審査官】
久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−331606(JP,A)
【文献】
特開2012−176235(JP,A)
【文献】
特開平09−130166(JP,A)
【文献】
特開2009−193190(JP,A)
【文献】
特開昭62−130012(JP,A)
【文献】
特開平08−018398(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/082674(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/146463(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/042285(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H02H 1/00− 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に駆動可能な車両の電気系統を保護するためのインタロック回路(1)であって、
‐導体路ループ(2)と、
‐第1の電流源(3)と、
‐第1の電流ミラー(10;T3、T4)と、
‐第2の電流ミラー(20;T5、T6)と、
を備え、
第1の電流源(3)は、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の入力口から流れる電流を、前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の入力口へと導くよう構成され、
前記導体路ループは、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の出力口と前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の出力口との間に接続され、
前記インタロック回路は、
‐調整器(5)と、
‐第1の分圧器(R1、R2)と、
‐第2の分圧器(R3、R4)と、
を更に備え、
前記第1の分圧器(R1、R2)は、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記出力口と前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の前記出力口との間の前記導体路ループ(2)に対して平行に配置され、
前記第2の分圧器(R3、R4)は、前記調整器(5)のための基準値を提供するよう構成され、
前記調整器(5)の入力口は、前記第1の分圧器(R1、R2)と前記第2の分圧器(R3、R4)との間に配置される、インタロック回路(1)。
【請求項2】
前記インタロック回路は、
‐第2の電流源と、
‐整流要素(D0)と、
を更に備え、
前記第2の電流源は、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記出力口と前記導体路ループ(2)との間に電流を供給するよう構成され、
前記調整器の前記出力口も同様に、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記出力口と前記導体路ループ(2)との間に接続される、請求項1に記載のインタロック回路。
【請求項3】
前記インタロック回路は、
‐第3の電流ミラー(30;T7、T8)と、
‐第1の切り替え素子(50;T1、T2)と、
‐第2の切り替え素子(60;T9、T10)と、
を備え、
前記第1の切り替え素子(50;T1、T2)は、前記第1の電流源(3)を、選択的に、
‐前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記入力口と前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の前記入力口との間、又は、
‐前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記入力口と前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)の入力口との間、で切り替えるよう構成され、
前記第2の切り替え素子(60;T9、T10)は、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記出力口を、選択的に、
前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の前記出力口、又は、
前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)の出力口、と接続するよう構成される、請求項1又は2に記載のインタロック回路。
【請求項4】
前記導体路ループ(2)は、前記第2の切り替え素子(60;T9、T10)と前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の前記出力口との間で始まり、前記第2の切り替え素子(60;T9、T10)と前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)の前記出力口との間で終わる、請求項3に記載のインタロック回路。
【請求項5】
前記第1の切り替え素子(50;T1、T2)及び/又は前記第2の切り替え素子(60;T9、T10)は各々、第1のトランジスタ(T1、T9)及び第2のトランジスタ(T2、T10)を備え、
‐前記第1の切り替え素子(50)の前記第1のトランジスタ(T1)は、前記第1の電流源(3)と前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)の前記入力口とを互いに接続するよう構成され、
‐前記第1の切り替え素子(50)の前記第2のトランジスタ(T2)は、前記第1の電流源(3)と前記第2の電流ミラー(20)の前記入力口とを互いに接続するよう構成され、
‐前記第2の切り替え素子(60)の前記第1のトランジスタ(T9)は、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記出力口と前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の前記出力口とを接続するよう構成され、及び、
‐前記第2の切り替え素子(60)の前記第2のトランジスタ(T10)は、前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)の前記出力口と前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)の前記出力口とを接続するよう構成される、請求項3又は4に記載のインタロック回路。
【請求項6】
−前記第1の電流ミラー、前記第2の電流ミラー、及び、前記第3の電流ミラーは各々、第1のトランジスタ(T3、T5、T7)及び第2のトランジスタ(T4、T6、T8)を備え、前記第1のトランジスタ(T3、T5、T7)及び前記第2のトランジスタ(T4、T6、T8)は、バイポーラトランジスタとして、又は、MOSFETとして構成され、及び/又は、
−前記第1の切り替え素子(50)の前記トランジスタ(T1、T2)及び前記第2の切り替え素子(60)の前記トランジスタ(T9、T10)は、バイポーラトランジスタとして、又は、MOSFETとして構成される、請求項3〜5のいずれか1項に記載のインタロック回路。
【請求項7】
前記第1の切り替え素子(50;T1、T2)及び前記第2の切り替え素子(60;T9、T10)を、前記導体路ループ(2)を通る電流方向の選択のために作動させるよう構成された電流方向制御ユニットを更に備える、請求項3〜6のいずれか1項に記載のインタロック回路。
【請求項8】
前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)は、第2の変換率(n1)を有し、前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)は、第3の変換率(n2)を有し、これにより、前記インタロック回路(1)は、前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)又は前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)によってミラーリングされる電流を、前記第1の電流源(3)を通って流れる電流の、各前記変換率(n1、n2)に対応する整数倍に変更する、請求項3〜7のいずれか1項に記載のインタロック回路。
【請求項9】
前記第1の電流ミラー(10;T3、T4)は、前記第2の電流ミラー(20;T5、T6)の前記第2の変換率(n1)よりも大きく及び/又は前記第3の電流ミラー(30;T7、T8)の前記第3の変換率(n2)よりも大きい第1の変換率(m)を有する、請求項8に記載のインタロック回路。
【請求項10】
前記第1の分圧器(R1、R2)は、基本的に同じ大きさの2つのオーム抵抗を備える、請求項1に記載のインタロック回路。
【請求項11】
前記第2の分圧器(R3、R4)は、基本的に同じ大きさの2つのオーム抵抗を備える、請求項1に記載のインタロック回路。
【請求項12】
電流限定要素(R0)が、前記調整器(5)の前記出力口と前記導体路ループ(2)との間に配置される、請求項2に記載のインタロック回路。
【請求項13】
前記第2の変換率(n1)と前記第3の変換率(n2)は同じ大きさである、請求項8に記載のインタロック回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に駆動可能な車両の電気系統を保護するためのインタロック回路に関する。特に、本発明は、インタロック回路の動作時の効率改善に関する。
【背景技術】
【0002】
インタロック回路は、例えば電気的パワートレイン等の電気的システムの、高電圧保護ユニットを守るために、バッテリシステム内で利用される。インタロック回路についての他に知られた名称は、「パイロットライン」(Pilot line)という概念である。ここでは、監視すべき構成要素を通る「低電圧−導体路ループ」(Niedervolt−Leiterbahnschleife)が敷設される。例えば上記構成要素間の接続の開放によって上記導体路ループが断線すると、導体路ループを通ってもはや電流が流れず、このことが、評価ユニットによって検出される。評価ユニットは、例えば、バッテリハウジングの内部のバッテリモジュール内に配置されうる。典型的に、この場合には所謂接触器が解放され、従って、車両内の高電圧ネットワーク全体が通電していない状態で(spannungslos)接続される。従来技術によれば、最近では、インタロック信号を生成するために電流源が益々利用されるようになっている。というのは、電流源には、電流が分かっている際には他の評価回路もインタロック回路の完全性の監視が出来るという利点があるからである。これに関して、
図1は、典型的なインタロック−電流源回路1を示し、ここでは、電流源が、バイポーラトランジスタTと、演算増幅器OPと、によって実現され、電流方向が、スイッチS
1、S
2、S
3、S
4によって調整される。外部の構成要素が、図では、導体路ループ2内の抵抗ZLによって示されている。入力側では、基準電圧源U
refと、トランジスタTとグランドとの間に配置されたオーム抵抗Rと、によって、演算増幅器OPに低下した電圧が供給される。描かれた回路トポロジの欠点は、電流源Tでの電圧降下であり、この電圧降下によって、供給電圧が低く負荷Z
Lが高インピーダンスである際には、動作に支障が出る。同様に、例えば出力口に対して抵抗を直列接続することによる、2つのスイッチS
1、S
2のための短絡に対する保護によって、必要な供給電圧U
Bがさらに増大することも欠点である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記の欠点を回避するために、電気的に駆動可能な車両の電気系統を保護するためのインタロック回路が提案される。インタロック回路は、電気系統内の高電圧構成要素の構成の保護すべき接続に伴走する導体路ループを備える。さらに、第1の電流源と、第1の電流ミラーと、第2の電流ミラーと、が設けられる。電流ミラーの構造及び機能は、回路技術分野の当業者には知られているため、詳細には検討せずに概説にとどめる。その際に、第1の電流源は、第1の電流ミラーの入力口から流れる電流を、第2の電流ミラーの入力口へ導くよう構成される。換言すれば、第1の電流源は入力側で、電流を第1の電流ミラーから「引っ張り」、この電流を第2の電流ミラーへと案内する。その際、導体路ループが、第1の電流ミラーの出力口と第2の電流ミラーの出力口との間に配置されている。換言すれば、第1の電流ミラーの入力口から流れた電流は、第2の電流ミラーの出力側を通って流れる前に、導体路ループを通って流れる。従来技術と比較すると、本発明に係るインタロック回路によって短絡電流の制限が実現されるため、導体路ループと供給電圧U
Bとの間の短絡によって損害が発生しない。
【0004】
従属請求項によって、本発明の好適な発展形態が示される。
【0005】
さらに、インタロック回路は好適に、調整器と、第1の分圧器と、第2の分圧器と、を備える。第1の分圧器と第2の分圧器とは各々、例えば、直列接続された2つのオーム抵抗を備えうる。その際に、第1の分圧器は、第1の電流ミラーの出力口と第2の電流ミラーの出力口との間の導体路ループに対して平行に配置される。特に、各分圧器の抵抗は基本的に同じ値を有しうる。さらに、第2の分圧器は、調整器のための基準値を提供するよう構成される。このことは、例えば、第2の分圧器が供給電圧U
Bとグランドとの間に配置されることによって行われる。第2の分圧器も、基本的に同じ大きさの2つのオーム抵抗を有しうる。調整器の入力口は、第1の分圧器と第2の分圧器との間に配置される。換言すれば、調整器の第1の入力端子は、第1の分圧器の出力口に配置され、調整器の第2の端子は、第2の分圧器の出力口に配置される。その際に、導体路ループに対して平行に配置された第1の分圧器は、通常の駆動時に僅かな損失電力しか発生しないように、特に高インピーダンスに構成される。これにより、第1の分圧器の出力口は、インタロック回路の所望の大地電位(Mittelpotential)を調整器のために提供する。その際に、第2の分圧器で生成される電圧は、調整器のための目標値を提供するために用いられる。このように、小さな電力損失で、高電圧ネットワークを保護するためのインタロック回路の導体路ループが駆動されうる。
【0006】
有利に、インタロック回路は、第2の電流源と、整流要素と、を更に備える。整流要素は、例えば、特に調整器の出力口の方へと、逆方向に方向づけられたダイオードとして構成されうる。その際に、第2の電流源は、第1の電流ミラーの出力口と導体路ループとの間に電流を供給するよう構成される。その際に、この電流源は整流要素とも電気的に接続されている。調整器の出力口も整流要素を介して、同じように第1の電流ミラーの出力口と導体路ループとの間に接続されている。その際に、調整器の出力口と第2の電流源との間、又は、調整器の出力口と導体路ループとの間には、特に電流限定要素が、例えばオーム抵抗の形態により配置されうる。これにより、調整回路は、導体ループへと流れる電流を低減することが可能であるが、当該電流を増大させることは出来ない。このことも、調整器の所望の挙動である。なぜならば、第1の電流ミラーの出力口から流れる電流は、導体路ループを通って第2の電流ミラーの出力口へと流れる電流よりも、好適に僅かにしか大きくないからである。換言すれば、本発明に基づき構成されたインタロック回路の本構成によって、第1の電流ミラーの出力口と、第2の電流ミラーの出力口とに配置された導体路ループ端子の電位が対称的に、第2の分圧器により決定された大地電位の分だけ調整される。このように、第2の電流源の供給点は、短絡の場合に自動的には供給電圧の電位にならない。従って、(例えばA/D変換器による)グランドに対する、第2の電流源の供給点の電圧の簡単な測定によって、第2の電流源の供給点に関して短絡が供給電圧の方向に存在するかについての簡単な診断が可能である。
【0007】
さらに有利に、本発明に係るインタロック回路は、第3の電流ミラーと、第1の切り替え素子と、第2の切り替え素子と、を備える。その際に、第1の切り替え素子は、第1の電流源を、選択的に、第1の電流ミラーの入力口と第2の電流ミラーの入力口との間、又は、第1の電流ミラーの入力口と第3の電流ミラーの入力口との間、で切り替えるよう構成される。第2の切り替え素子は、第1の電流ミラーの出力口を、選択的に、第2の電流ミラーの出力口、又は、第3の電流ミラーの出力口と接続するよう構成される。第1の切り替え素子及び/又は第2の切り替え素子を適切に作動させることによって、導体路ループを通る電流の電流方向を決定するための簡単な可能性
が得られる。このことによって、例えば、導体路ループの断線又は短絡をより良好に位置特定することが可能となる。
【0008】
さらに好適に、導体路ループは、第2の切り替え素子と第2の電流ミラーの出力口との間で始まり、第2の切り替え素子と第3の電流ミラーの出力口との間で終わる。このようにして、第2の切り替え素子は選択的に、導体路ループの入力口と、第1の電流ミラーの出力口と、を電気的に接続し、及び/又は、導体路ループの出力口と、第1の電流ミラーの出力口と、を電気的に接続することが可能である。
【0009】
その際に好適に、第1の切り替え素子及び/又は第2の切り替え素子は各々、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを備え、第1の切り替え素子の第1のトランジスタは、第1の電流源と第3の電流ミラーの入力口とを接続するよう構成される。第1の切り替え素子の第2のトランジスタは、第1の電流源と第2の電流ミラーの入力口を接続するよう構成される。第2の切り替え素子の第1のトランジスタは、第1の電流ミラーの出力口と第2の電流ミラーの出力口とを接続するよう構成される。最後に、第2の切り替え素子の第2のトランジスタは、第1の電流ミラーの出力口と第3の電流ミラーの出力口とを互いに接続するよう構成される。上記の電気的接続を構築するための個々のトランジスタの利用は、第1の切り替え素子及び第2の切り替え素子を実現するための、簡単で、低コストで、機能的に確実な(摩耗が発生しないため)可能性を示している。
【0010】
さらに好適に、第1の電流ミラー、第2の電流ミラー、及び、第3の電流ミラーは各々、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを備える。この第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは、バイポーラトランジスタとして、又は、MOSFETとして構成されうる。代替的又は追加的に、第1の切り替え素子のトランジスタ及び第2の切り替え素子のトランジスタは、バイポーラトランジスタとして、又は、MOSFETとして構成されうる。特に、MOSFETが利用される際には、電流が無視されるため、結果的に発生する電力損失が特に小さい。
【0011】
更に好適に、本発明に係るインタロック回路は、第1の切り替え素子及び第2の切り替え素子を、導体路ループを通る電流方向の選択のために作動させるよう構成された電流方向制御ユニットを更に備える。換言すれば、電流方向制御ユニットは、第1の切り替え素子及び第2の切り替え素子のユニットであって、電流がそれを介して導体路ループへと第1の方向又は第2の方向に流れる上記ユニット(例えばトランジスタ)と接続されている。このようにして、導体路ループが万が一断線した際に正確にその位置を特定することが可能となる。
【0012】
さらに好適に、第2の電流ミラーは、第2の変換率を有し、第3の電流ミラーは、第3の変換率を有する。このようにして、インタロック回路は、第2の電流ミラー又は第3の電流ミラーによってミラーリングされる電流を、第1の電流源を通って流れる電流の、各変換率に対応する整数倍に変更するよう構成される。その際に、特に第2の変換率と第3の変換率は、好適に同じ大きさでありうる。
【0013】
第1の電流ミラーが、第2の電流ミラーの第2の変換率よりも大きく及び/又は第3の電流ミラーの第3の変換率よりも大きい第1の変換率を有する場合には、全般的に有利である。電流ミラーを利用することによって、先に挙げた変換率に考慮して、本発明に係るインタロック回路のための短絡に対する保護が、出力口に対して直列の抵抗を追加的に利用せずに行われ、これにより、必要な供給電圧が小さいままに保たれうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下では、本発明の実施例が、添付の図面を用いて詳細に記載される。
【
図2】本発明に係るインタロック回路の第1の実施例の回路図を示す。
【
図3】本発明に係るインタロック回路の第2の実施例の回路図を示す。
【
図4】本発明に係るインタロック回路の第3の実施例の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、インタロック回路1の本発明に係る実施例を示している。第1の電流ミラー10は、第1のトランジスタT
3と第2のトランジスタT
4を含む。その際に、トランジスタT
3、T
4によって変換率mが実現される。換言すれば、動作時に、第1の電流源3により生成され第1のトランジスタT
3を流れる電流I
0は、m倍に変更されて、第2のトランジスタT
4を通って流れる。第2の電流ミラー20は、第1のトランジスタT
5と第2のトランジスタT
6を含む。第2の電流源20の第1のトランジスタT
5にも、第1の電流源3の電流I
0が流れる。トランジスタT
5は、この電流I
0をn倍増幅させて出力側にミラーリングする。第1の電流ミラー10の第2のトランジスタT
4を通って流れる出力側の電流は、第2の電流ミラー20の第2のトランジスタT
6を流れる前に、導体路ループ2のインピーダンスZ
Lを通って流れる。供給電圧としてのバッテリ電圧U
Bは、図示されたインタロック回路1に電気エネルギーを供給する。この提示された構成によって、回路上で損害が生じることなく、(冒頭部で述べたように)バッテリ電圧U
Bと第1の電流ミラー10の第2のトランジスタT
4との間の短絡4が検出される。
【0016】
図3は、インタロック回路1の
図2に示した回路の発展形態を示している。従って、以下では、
図2のインタロック回路1と第3に係るインタロック回路1との相違点、又は第3のインタロック回路1で拡張された点のみ記載することにする。
図2の閉鎖された導体路ループ2は、オーム抵抗R
1、R
2を含む第1の分圧器により補完されている。導体路ループ2は、インピーダンスZ
Lによって終端されず、従って、2つの端子LI
1、LI
2が、導体路ループ2の出力口として提供される。2つのオーム抵抗R
1、R
2の間には、調整器としての演算増幅器5の負の入力端子が接続されている。演算増幅器5の正の入力端子は、第2の分圧器の出力口と接続されており、この第2の分圧器は、バッテリ電圧U
Bに直列に接続された2つのオーム抵抗R
3、R
4で構成される。演算増幅器5の出力口は、電流限定要素としてのオーム抵抗R
0を介して、ダイオードD
0の形態による整流要素と接続されている。ダイオードD
0は、逆方向に、演算増幅器5の出力口へと方向付けられている。他方では、ダイオードD
0は、第2の電流源(図示せず)の供給点6と接続されており、この供給点6に、第1の電流ミラー10の出力口及び導体路ループ2が合流する。
【0017】
図4は、本発明に係るインタロック回路1の更なる別の実施例の回路図を示している。以下では、
図2に示した構成との相違点について検討する。
図2に示された構成に加えて、第1のトランジスタT
7及び第2のトランジスタT
8を備える第3の電流ミラー30が設けられ、この第3の電流ミラー30によって、出力電流と入力電流との間の変換率n
2が実現される。第1のトランジスタT
1及び第2のトランジスタT
2を備える第1の切り替え素子50を介して、第2の電流ミラー20の入力口又は第3の電流ミラー30の入力口が、選択的に、第1の電流源3と接続可能である。第1のトランジスタT
9及び第2のトランジスタT
10を備える第2の切り替え素子60を介して、第1の電流ミラー10の出力口が、選択的に、第2の電流ミラー20の出力口又は第3の電流ミラー30の出力口と接続可能である。第2の切り替え素子60と第2の電流ミラー20の出力口との間、又は、第2の切り替え素子60と第3の電流ミラー30の出力口との間に導体路ループ2が接続され、従って、導体路ループ2の第1の端子が、第2の電流ミラーの出力口20と接続され、導体路ループ2の第2の端子が、第3の電流ミラー30の出力口と接続されている。第2の電流ミラー20の変換率n
1は、好適に、第3の電流ミラー30の変換率n
2と同じ大きさである。第1の切り替え素子50及び第2の切り替え素子60の適切な作動によって、
図2に示した回路の機能に加えて、導体路ループ2を通る電流方向を予め設定することが可能であり、従って導体路ループ2の断線又は短絡をより良好に位置特定することが可能となる。
【0018】
本発明に係る観点、及び、好適な実施形態を、添付の図面との関連で解説した実施例によって詳細に記載してきたが、当業者にとっては、その保護範囲が添付の請求項により定義された本発明の範囲を逸脱することなく、提示された実施例の変更及び当該実施例の組み合わせが可能である。