(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ前記重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子に用いられる請求項11に記載の液晶配向膜。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明で使用されるポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体をイミドしたポリイミド(以下、総称して本発明のポリイミドという場合がある。)を得るために用いるジアミン成分やテトラカルボン酸二無水物成分について説明する。
【0023】
<メタフェニレンジアミン>
本発明のメタフェニレンジアミンとしては、無置換のメタフェニレンジアミン及び置換メタフェニレンジアミンが含まれる。
本発明で用いられるメタフェニレンジアミンは、下記式[1]で表されるジアミンである。
【0024】
【化5】
式[1]中、Xは置換基であり、nは0〜4の整数である。nが0の場合、式[1]はメタフェニレンジアミンである。
【0025】
具体的には、式[1]において、Xで表された置換基は、−(CH
2)
a−COOH基(aは0〜4の整数である)、−(CH
2)
b−OH基(bは0〜4の整数である)、炭素数8〜22の炭化水素基、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基又は下記式[2]で表される基である。
【0026】
【化6】
式[2]中、Y
1は単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−である。なかでも、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましい。さらに、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−がより好ましい。
【0027】
式[2]中、Y
2は、単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)である。なかでも、単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)であることが好ましい。
式[2]中、Y
3は、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−である。なかでも、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−が、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましい。さらに、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−がより好ましい。
【0028】
式[2]中、Y
4は、ベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる環状基(これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子により置換されていてもよい。)、又は、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基より選ばれる2価の有機基である。なかでも、ベンゼン環、シクロへキサン環及びステロイド骨格のうちのいずれかを有する炭素数12〜25の2価の有機基が好ましい。
【0029】
式[2]中、Y
5は、ベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる環状基であり、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基及びフッ素原子のうちのいずれかで置換されていてもよい。
式[2]中、nは0〜4の整数である。好ましくは、0〜2の整数である。
【0030】
式[2]中、Y
6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基及び炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基のうちのいずれかである。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基及び炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基のうちのいずれかであることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシル基のうちのいずれかである。さらに好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基及び炭素数1〜9のアルコキシル基のうちのいずれかである。
【0031】
式[1]の置換基Xを構成するための、式[2]におけるY
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの好ましい組み合わせは、以下の表1〜42において、2−1〜2−629として示すとおりである。
【0074】
本発明においては、無置換のメタフェニレンジアミン(以下、メタフェニレンジアミンと記すこともある。)に比べ、置換メタフェニレンジアミンの使用が好ましい。
式[1]において、Xが炭素数1〜6の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基である置換メタフェニレンジアミンは、下記式[1A]で示される。
【化7】
(式[1A]中、R
1、R
2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基である。)
【0075】
式[1A]で表わされる置換メタフェニレンジアミンの好ましい例としては、N−アリルアニリン構造を有する化合物、例えば、下記式[1B]で表わされる化合物を挙げることができる。
【化8】
(式[1B]において、R
1は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
R
1の炭化水素基は、炭素−炭素二重結合を含んでいることが好ましく、この二重結合は、窒素原子から2番目の炭素と3番目の炭素間にあることがより好ましい。また、R
1の炭素数は、組成物またはそれを用いた液晶配向処理剤の印刷性の点から4以下が好ましく、より好ましくは3以下である。
式[1B]において、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基である。式[1B]において、2つのアミノ基の好ましい位置は、N−アリル基に対して、ベンゼン環上の2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置である。
【0076】
式[1B]で表わされるジアミンの好ましい例としては、下記式[1C]で表わされる化合物を挙げることができる。
【化9】
式[1C]で表わされる化合物の好ましい具体例は、下記式[1C−1]〜[1C−6]で示される。なかでも、式[1C−1]のジアミンが特に好ましい。式[1C]で示される構造のジアミンについては、これらの例に限られるわけではない。
【化10】
【0077】
また、式[1A]で示されるジアミンの別の例としては、下記の式[1D]の構造のジアミンを挙げることができる。
【化11】
より具体的には、下記式[1D−1]〜[1D−6]で示される化合物である。なかでも、式[1D−1]のジアミンが特に好ましい。式[1D]で示されるジアミンは、これらの例に限られるわけではない。
【化12】
【0078】
式[1A]で示される置換メタフェニレンジアミンは、ポリイミドとした際の溶媒への溶解性や、例えば、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0079】
さらに、以下に式[1]で示される置換メタフェニレンジアミンの具体例を挙げるが、これらの例に限定されない。
すなわち、m−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸等の他、下記の式[1−1]〜式[1−35]で示されるメタフェニレンジアミンを挙げることができる。
【化13】
(式[1−1]〜式[1−4]中、A
1は、炭素数1〜22のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0083】
【化19】
(式[1−23]〜式[1−25]中、R
1は−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−又は−CH
2OCO−であり、R
2は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0084】
【化20】
(式[1−26]〜式[1−28]中、R
3は−COO−、−OCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−又はCH
2−であり、R
4は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0085】
【化21】
(式[1−29]及び式[1−30]中、R
5は−COO−、−OCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−又はO−であり、R
6はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基又は水酸基である。)
【0086】
【化22】
(式[1−31]及び式[1−32]中、R
7は炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0087】
【化23】
(式[1−33]及び式[1−34]中、R
8は、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0088】
【化24】
(式[1−35]中、B
4はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基であり、B
3は1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基であり、B
2は酸素原子又はCOO−*(但し、「*」を付した結合手がB
3と結合する。)であり、B
1は酸素原子又はCOO−*(但し、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2)と結合する。)である。また、a
1は0又は1の整数であり、a
2は2〜10の整数であり、a
3は0又は1の整数である。)
【0089】
上記のメタフェニレンジアミンは、ポリイミドとした際の溶媒への溶解性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0090】
<メタフェニレンジアミンの合成方法>
式[1]で示されるメタフェニレンジアミンを製造する方法は特に限定されないが、好ましい方法としては、以下に示すものが挙げられる。
【0091】
一例として、本発明のメタフェニレンジアミンは、下記の式[1E]で示されるジニトロ体を合成し、さらにニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得られる。
【0093】
2つのニトロ基を還元する方法には、特に制限はなく、通常、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ、硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコール系溶剤などの溶媒中において、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素などによって行う方法がある。なお、式[1E]中のX及びnは、上記したメタフェニレンジアミンにおける式[1]中の定義と同意義である。
【0094】
<その他のジアミン>
本発明では、後記するように、ポリイミド前駆体を得る場合において、本発明の効果を損なわない限りにおいて、メタフェニレンジアミン及び/又は置換メタフェニレンジアミン以外の他のジアミン(その他のジアミンともいう。)を併用してポリイミド前駆体としてもよい。本発明で適用可能な、その他ジアミンの具体例を以下に挙げる。
【0095】
その他のジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノフェノール、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、2,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−(4−アミノフェノキシ)ドデカン、1,12−(3−アミノフェノキシ)ドデカンなどの芳香族ジアミン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミン;などが挙げられる。
【0096】
また、その他のジアミンとして、ジアミン側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環若しくは複素環を有するもの、又は、これらからなる大環状置換体を有するものなどを挙げることもできる。具体的には、下記の式[DA1]〜[DA8]で示されるジアミンを例示することができる。
【0097】
【化26】
(式[DA1]中、A
1は炭素数1〜22のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0098】
【化27】
(式[DA2]〜[DA7]中、A
2は−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2−、−O−、−CO−又は−NH−であり、A
3は炭素数1〜22のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0099】
【化28】
(式[DA8]中、pは1〜10の整数である。
加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、下記式[DA9]〜[DA16]で示されるジアミンを用いることもできる。
【0100】
【化29】
(式[DA13]中、mは0〜3の整数であり、式[DA16]中、nは1〜5の整数である。)
【0101】
さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、下記式[DA17]〜[DA21]で示される分子内にカルボキシル基を有するジアミンを用いることもできる。
【0103】
(式[DA17]中、m
1は1〜4の整数であり、式[DA18]中、A
4は単結合、−CH
2−、−C
2H
4−、−C(CH
3)
2−、−CF
2−、−C(CF
3)−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−又は−N(CH
3)CO−であり、m
2及びm
3はそれぞれ0〜4の整数であり、かつ、m
2+m
3は1〜4の整数である。
式[DA19]中、m
4及びm
5はそれぞれ1〜5の整数である。
式[DA20]中、A
5は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、m
6は1〜5の整数である。
式[DA21]中、A
6は単結合、−CH
2−、−C
2H
4−、−C(CH
3)
2−、−CF
2−、−C(CF
3)−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−又は−N(CH
3)CO−であり、m
7は1〜4の整数である。)
【0104】
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、下記式[DA22]及び式[DA23]で示されるジアミンを用いることもできる。
【0106】
上記のその他のジアミンは、ポリマーの溶媒への溶解性、液晶配向膜とした場合における、液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0107】
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明で使用するポリイミド前駆体及び/又はポリミドを得るために、テトラカルボン酸二無水物成分として、脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸二無水物ともいう。)が使用される。かかる特定テトラカルボン酸二無水物としては、下記式[3]で示される脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0109】
式[3]中、Z
1は炭素数4〜13の4価の有機基であり、かつ、炭素数4〜10の非芳香族環状炭化水素基を含有する。
具体的に、Z
1は、下記式[3a]〜[3j]で示される構造である。
【0111】
式[3a]中、Z
2〜Z
5は水素原子、メチル基、塩素原子及びベンゼン環からなる群から選ばれる基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
式[3g]中、Z
6及びZ
7は、水素原子又はメチル基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
式[3]中、Z
1の特に好ましい構造は、重合反応性や合成の容易性から、式[3a]、式[3c]、式[3d]、式[3e]、式[3f]又は式[3g]で示される構造である。なかでも、式[3e]、式[3f]又は式[3g]で示される構造が好ましい。
式[3e]、式[3f]又は式[3g]の構造のテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、その使用量は、テトラカルボン酸二無水物成分全体のうちの20質量%以上とすることで、所望の効果が得られ、25質量%以上とすることがより好ましい。
【0112】
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定テトラカルボン酸二無水物以外のその他のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
その具体例としては、例えば、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
【0113】
本発明の組成物においては、上記のその他のテトラカルボン酸二無水物の中から、例えば、液晶配向膜の場合、液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性を考慮して、1種類又は2種類以上を選択して用いることができる。
【0114】
<ポリイミド前駆体及びポリイミド>
本発明の組成物で使用されるポリイミド前駆体及びポリイミドは、好ましくは以下のようにして得られる。ここで、ポリイミド前駆体とは、ポリイミド酸(ポリアミック酸ともいう。)を表す。すなわち、本発明で使用されるポリイミド前駆体は、上記したメタフェニレンジアミンを含むジアミン成分と、上記した脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させることにより得られる。そして、ポリイミド前駆体を脱水閉環して得られるポリイミドが、メタフェニレンジアミンを含むジアミン成分から製造されることにより、後述するように、溶媒への溶解性が向上し、低温焼成化が可能となる。
【0115】
ポリイミド前駆体を得る場合、原料となるジアミン成分中の上記のメタフェニレンジアミンの使用量が、40モル%以上とすることが好ましく、45モル%以上とすることがより好ましい。特に、式[2]で示される基を有する置換メタフェニレンジアミンを用いる場合には、その使用量は、ジアミン成分中の15モル%以上とすることが好ましく、30モル%以上とすることがより好ましい。また、ジアミン成分中の100モル%が、上記のメタフェニレンジアミンであってもよい。
【0116】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によりポリイミド前駆体を得る方法としては、公知の合成手法を用いることができる。例えば、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる方法の使用が可能である。この方法は、有機溶媒中で比較的効率よく反応が進行するとともに、副生成物の発生が少ない点で好ましい。
【0117】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミド酸が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどである。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。これらは、単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
【0118】
また、ポリイミド前駆体を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミド酸が析出しない範囲であれば、上記溶媒に混合して使用することもできる。尚、有機溶媒中の水分は、重合反応を阻害し、生成したポリイミド前駆体を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は、脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0119】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物をそのまま、又は、有機溶媒に分散若しくは溶解させて、添加する方法を用いることが可能である。また、逆に、テトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法や、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法なども挙げることができる。本発明では、これらの何れの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分又はテトラカルボン酸二無水物が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させて高分子量体としてもよい。
【0120】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる温度は、−20〜150℃の範囲内で任意に選択することができるが、反応効率を考慮して、−5〜100℃の範囲とすることが好ましい。また、反応は、任意の濃度で行うことができる。但し、濃度が低すぎると、高分子量のポリイミド前駆体を得ることが難しくなる。一方、濃度が高すぎると、反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。したがって、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。尚、反応初期は高濃度で行い、その後に有機溶媒を追加することも可能である。
【0121】
ポリイミド前駆体を得るための重合反応においては、ジアミン成分の合計モル数と、テトラカルボン酸二無水物の合計モル数との比が、0.8〜1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体の分子量は大きくなる。したがって、場合に応じて適宜選択して合計モル比を決めることが可能である。
【0122】
本発明で使用されるポリイミドは、上記したポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られる。該ポリイミドは、液晶配向膜を得るための重合体として用いることができる。
本発明で使用されるポリイミドにおいては、ポリイミド前駆体の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて、例えば、35〜95%の範囲で、より好ましくは50〜80%の範囲で調整することができる。
【0123】
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化などが挙げられる。
ポリイミド前駆体を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100〜400℃、好ましくは120〜250℃である。ポリイミド前駆体のイミド化においては、イミド化反応により生成する水を反応系外に除きながら行うことが好ましい。
【0124】
ポリイミド前駆体の触媒イミド化は、ポリイミド前駆体の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。
【0125】
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つ点で好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸は反応終了後の精製が容易となる点で好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することで制御可能である。
【0126】
ポリイミドの反応溶液から、生成したポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、一層精製の効率が上がるので好ましい。
【0127】
本発明の組成物に含有される重合体(ポリイミド前駆体又はポリイミド)の分子量は、これを用いて得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性及び塗膜の均一性を考慮し、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
【0128】
<膜形成用の組成物>
本発明の膜形成用の組成物、例えば、液晶配向処理剤は、上記のように得られる本発明のイミド重合体と、該ポリイミド重合体を溶解させた溶媒とを含有する組成物であり、液晶配向膜を形成するための塗布液である。組成物に含有される本発明のポリイミド重合体の含有量は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。
【0129】
本発明では、組成物に含まれる重合体成分の全てが本発明のポリイミドであってもよい。また、本発明のポリイミド以外に、メタフェニレンジアミンを用いないで製造された他の構造のポリイミドが混合されていてもよい。その際、重合体成分中における他の構造のポリイミドの含有量は、0.5〜15質量%とすることができ、好ましくは1〜10質量%である。
【0130】
本発明の組成物においては、本発明のポリイミドを含む重合体成分が溶解した状態で含有される。溶媒としては、本発明のポリイミドを溶解し、NMPに比べて低沸点で低い表面張力特性を備えた溶媒である、環状ケトンが用いられる。
環状ケトンとしては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン及びシクロデカノンが挙げられる。特に、シクロヘキサノン及びシクロペンタノンのうちのいずれか、又はそれらの混合物が好ましい。
溶媒として環状ケトンを用いることにより、塗布性に優れ、より低温で液晶配向膜を形成できる液晶配向処理剤を、上記組成物から調製することができる。
【0131】
本発明の組成物、例えば、液晶配向処理剤は、塗布により均一な膜を形成するという観点から、有機溶媒の含有量が70〜99質量%であることが好ましい。この含有量は、目的とする液晶配向膜の膜厚によって適宜変更することができる。
なお、その際の溶媒としては、環状ケトン溶媒のみを用いることが可能であるが、低温焼成化や塗布性の向上の妨げとならない範囲内で、適宜、他の有機溶媒を混合して含有させることも可能である。
【0132】
他の有機溶媒としては、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどを挙げることができる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
これら他の有機溶媒を含有させる場合でも、環状ケトン溶媒の含有量は、全溶媒中、50質量%以上が好ましく、より好ましくは、60質量%以上であり、最も好ましくは、70質量%以上である。
【0133】
本発明の組成物、例えば、液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて形成される膜の膜厚均一性や表面平滑性をさらに向上させる目的で、塗布性向上のための他の有機溶媒(以下、貧溶媒ともいう。)を含有させることができる。
【0134】
具体例としては、次のものが挙げられる。例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などである。これらの貧溶媒は、1種類で用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。
【0135】
上記の貧溶媒を含有させる場合において、上記した環状ケトン溶媒の含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。
【0136】
さらに、本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、組成物又は液晶配向処理剤を塗布した際の膜の厚み均一性や表面平滑性を向上させる化合物、形成される膜と基板との密着性を向上させる化合物を含むことができる。
【0137】
形成される膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製))、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、組成物に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0138】
形成される膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0139】
形成される膜と基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、この化合物の添加量は、組成物に含有される重合体成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
【0140】
本発明の組成物、例えば、液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限り、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基若しくはシクロカーボネート基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を含有することもできる。
【0141】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノール等が挙げられる。
【0142】
オキセタン基を有する架橋性化合物としては、下記式[4]で示されるオキセタン基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【化34】
【0143】
具体的には、下記式[4−1]〜[4−11]で示される架橋性化合物である。
【化35】
【0146】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、下記式[5]で示されるシクロカーボネート基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【化38】
【0147】
具体的には、下記式[5−1]〜[5−37]で示される架橋性化合物である。
【化39】
【0155】
(式[5−24]中、nは1〜5の整数であり、式[5−25]中、nは1〜5の整数であり、式[5−36]中、nは1〜100の整数であり、式[5−37]中、nは1〜10の整数である。)
さらに、下記式[5−38]〜[5−40]に示される少なくとも1種の構造を有するポリシロキサンを挙げることもできる。
【0157】
(式[5−38]〜[5−40]中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、式[5]で示される構造、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、脂肪族環又は芳香族環であり、少なくとも1つは式[5]で示される構造である)。
【0158】
より具体的には、下記式[5−41]及び式[5−42]の化合物が挙げられる。
【化48】
【0159】
(式[5−41]中、R
6は、それぞれ独立して、式[5]で示される構造、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、脂肪族環又は芳香族環であり、少なくとも1つは式[5]で示される構造であり、式[5−42]中、nは1〜10の整数である。)
【0160】
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、又はグリコールウリルを用いることができる。このメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
【0161】
メラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製)やサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)などが挙げられる。
【0162】
また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル等、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリル等が挙げられる。
ヒドロキシル基若しくはアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
具体的には、下記式[6−1]〜[6−48]で示される架橋性化合物である。
【0168】
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物;等が挙げられる。
【0169】
さらには、下記式[7]で示される化合物を用いることもできる。
【化54】
式[7]中、E
1はシクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環及びフェナントレン環からからなる群から選ばれる基であり、E
2は下記の式[7a]及び式[7b]から選ばれる基であり、nは1〜4の整数である。
【0171】
上記化合物は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の組成物に含有される架橋性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
本発明の組成物における架橋性化合物の含有量は、重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し目的の効果を発現し、かつ液晶の配向性を低下させないためには、重合体成分100質量部に対して0.1〜100質量部がより好ましく、特に、1〜50質量部が最も好ましい。
【0172】
本発明の組成物、特に液晶配向処理剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
【0173】
更に、本発明の組成物が液晶配向処理剤の場合、形成される液晶配向膜中の電荷移動を促進し、この液晶配向膜を用いた液晶セルの電荷抜けを促進させる化合物として、下記の式[M1]〜[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することもできる。このアミン化合物は、重合体の溶液に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒としては、上述した環状ケトン溶媒の他、ポリイミドを溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。
【0180】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の組成物の一つである液晶配向処理剤を例にして、液晶配向処理剤から液晶配向膜を形成する場合について説明する。液晶配向処理剤は、基板上に塗布し、熱処理により焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、液晶配向膜を形成する。なお、垂直配向用途などの場合では、配向処理なしでも液晶配向膜が形成できる。
基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板なども用いることができる。プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウェハなどの不透明な基板も使用でき、この場合の電極としてはアルミなどの光を反射する材料も使用できる。
【0181】
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。本発明の液晶配向処理剤は、以上の塗布法を用いた場合であっても塗布性は良好である。
【0182】
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により50〜180℃、好ましくは80〜150℃で溶媒を蒸発させて塗膜とすることができる。焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で好ましくなく、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合がある。したがって、焼成後の塗膜の厚みは、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング、偏光紫外線照射などで処理する。
【0183】
液晶表示素子は、上記した手法により、本実施の形態の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製して液晶表示素子としたものである。
液晶セル作製方法としては、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。
【0184】
液晶配向膜は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、電極間に電圧を印加しつつ、活性エネルギー線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。
【0185】
上記の液晶表示素子は、PSA(Polymer Sustained Alignment)方式により、液晶分子のプレチルトを制御するものである。PSA方式では、液晶材料中に少量の光重合性化合物、例えば光重合性モノマーを混入しておき、液晶セルを組み立てた後、液晶層に所定の電圧を印加した状態で光重合性化合物に紫外線などを照射し、生成した重合体によって液晶分子のプレチルトを制御する。重合体が生成するときの液晶分子の配向状態が電圧を取り去った後においても記憶されるので、液晶層に形成される電界などを制御することにより、液晶分子のプレチルトを調整することができる。また、PSA方式では、ラビング処理を必要としないので、ラビング処理によってプレチルトを制御することが難しい垂直配向型の液晶層の形成に適している。
【0186】
すなわち、液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、液晶セルを作製し、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合することで液晶分子の配向を制御するものとすることができる。
PSA方式の液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが挙げられる。
【0187】
液晶には、熱や紫外線照射により重合する重合性化合物が混合される。重合性化合物としては、アクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。その際、重合性化合物は、液晶成分の100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。重合性化合物が0.01質量部未満であると、重合性化合物が重合せずに液晶の配向制御ができなくなり、10質量部よりも多くなると、未反応の重合性化合物が多くなって液晶表示素子の焼き付き特性が低下する。
【0188】
液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射して重合性化合物を重合する。これにより、液晶分子の配向を制御することができる。
【0189】
加えて、本発明の液晶配向処理剤は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、電極間に電圧を印加する工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。紫外線としては、波長が300〜400nm、好ましくは310〜360nmである。加熱による重合の場合、加熱温度は40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。
【0190】
活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方より重合する重合性基を含む液晶配向膜を得るためには、この重合性基を含む化合物を液晶配向処理剤中に添加する方法や、重合性基を含む重合体成分を用いる方法が挙げられる。本発明の液晶配向処理剤は、熱や紫外線の照射により、反応する二重結合部位を持つ特定化合物を含んでいるため、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により液晶分子の配向を制御することができる。
【0191】
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが挙げられる。
上記した工程を経ることにより液晶表示素子が得られる。これらの液晶表示素子は、液晶配向膜として本発明の液晶配向膜を使用していることから、製造プロセスがより低温なものとなり、信頼性に優れ、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用可能である。
【実施例】
【0192】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。実施例及び比較例で用いる略語は、以下の通りである。
【0193】
<メタフェニレンジアミン>
D1:m−フェニレンジアミン
D2:3,5−ジアミノ安息香酸
D3:N,N−ジアリル−2,4−ジアミノアニリン
D4:1,3−ジアミノ−4−(オクタデシロキシ)ベンゼン
D5:1,3−ジアミノ−4−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ〕ベンゼン
D6:1,3−ジアミノ−4−{4−〔トランス−4−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕フェノキシ}ベンゼン
【0194】
【化62】
【0195】
<その他のジアミン>
D7:p−フェニレンジアミン
【化63】
<テトラカルボン酸二無水物>
M1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
M2:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
M3:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
M4:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
M5:ピロメリット酸二無水物
【0196】
【化64】
<環状ケトン有機溶媒>
CHN:シクロヘキサノン
CPN:シクロペンタノン
<他の有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0197】
実施例において、ポリイミドに関する分子量やイミド化率等の物性は、次のようにして評価した。
【0198】
(ポリイミドの分子量測定)
合成例におけるポリイミドの分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803、KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000、及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000、及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
【0199】
(イミド化率の測定)
合成例におけるポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。
ポリイミド粉末(20mg)をNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR(核磁気共鳴)測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。 イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0200】
<ポリイミドの合成>
<合成例1>
M2(2.75g,11.0mmol)、D3(2.68g,13.2mmol)、及びD5(3.35g,8.8mmol)をNMP(26.4g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.14g,10.9mmol)とNMP(17.3g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.11g)、及びピリジン(1.59g)を加え、100℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(253ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(A)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は21,500、重量平均分子量は68,700であった。
【0201】
<合成例2>
M2(2.50g,10.0mmol)、D3(2.44g,12.0mmol)、及びD5(3.04g,8.0mmol)をNMP(24.0g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M5(2.15g,9.9mmol)とNMP(16.6g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.02g)、及びピリジン(1.56g)を加え、100℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(253ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(B)を得た。このポリイミドのイミド化率は79%であり、数平均分子量は18,700、重量平均分子量は57,800であった。
【0202】
<合成例3>
M2(8.07g,32.3mmol)、D2(4.58g,30.1mmol)、及びD6(5.61g,12.9mmol)をNMP(54.8g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.05g,10.5mmol)とNMP(26.5g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(80.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(17.3g)、及びピリジン(5.35g)を加え、100℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(1010ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(C)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は20,500、重量平均分子量は53,100であった。
【0203】
<合成例4>
M2(3.94g,15.7mmol)、D7(1.14g,10.5mmol)、及びD5(4.00g,10.5mmol)をNMP(27.2g)中で混合し、40℃で5時間反応させた後、M1(0.99g,5.0mmol)とNMP(13.0g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.12g)、及びピリジン(1.65g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(247ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(D)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、数平均分子量は15,100、重量平均分子量は51,200であった。
【0204】
<合成例5>
M2(3.94g,15.7mmol)、D2(1.60g,10.5mmol)、及びD6(4.56g,10.5mmol)をNMP(30.3g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.01g,5.2mmol)とNMP(14.1g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.85g)、及びピリジン(1.49g)を加え、100℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(252ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(E)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は21,500、重量平均分子量は63,200であった。
【0205】
<合成例6>
M2(4.32g,17.3mmol)、D2(2.80g,18.4mmol)、及びD6(2.00g,4.6mmol)をNMP(27.3g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.07g,5.5mmol)とNMP(13.4g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.59g)、及びピリジン(1.78g)を加え、100℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(256ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(F)を得た。このポリイミドのイミド化率は78%であり、数平均分子量は18,300、重量平均分子量は56,400であった。
【0206】
<合成例7>
M2(9.01g,36.0mmol)、D2(6.57g,43.2mmol)、及びD6(2.09g,4.8mmol)をNMP(53.0g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.21g,11.3mmol)とNMP(26.5g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.90g)、及びピリジン(1.90g)を加え、100℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(257ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(G)を得た。このポリイミドのイミド化率は77%であり、数平均分子量は17,500、重量平均分子量は48,900であった。
【0207】
<合成例8>
M2(11.9g,47.7mmol)、D2(6.57g,43.2mmol)、及びD6(2.09g,4.8mmol)をNMP(81.7g)中で混合し、80℃で16時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.74g)、及びピリジン(1.84g)を加え、100℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(256ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(H)を得た。このポリイミドのイミド化率は76%であり、数平均分子量は17,200、重量平均分子量は51,100であった。
【0208】
<合成例9>
M2(9.01g,36.0mmol)、D2(6.57g,43.2mmol)、及びD6(2.09g,4.8mmol)をNMP(53.0g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.21g,11.3mmol)とNMP(26.5g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.44g)、及びピリジン(1.90g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(249ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(I)を得た。このポリイミドのイミド化率は52%であり、数平均分子量は15,700、重量平均分子量は50,100であった。
【0209】
<合成例10>
M2(11.3g,45.0mmol)、及びD1(6.49g,60.0mmol)をNMP(53.2g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.73g,13.9mmol)とNMP(28.7g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(30.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.44g)、及びピリジン(3.44g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(378ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(J)を得た。このポリイミドのイミド化率は50%であり、数平均分子量は17,600、重量平均分子量は52,000であった。
【0210】
<合成例11>
M2(5.07g,20.3mmol)、及びD2(4.11g、27.0mmol)をNMP(27.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.22g,6.2mmol)とNMP(14.1g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.63g)、及びピリジン(2.04g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(250ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(K)を得た。このポリイミドのイミド化率は49%であり、数平均分子量は15,700、重量平均分子量は47,000であった。
【0211】
<合成例12>
M2(6.13g,24.5mmol)、及びD2(3.80g,25.0mmol)をNMP(39.7g)中で混合し、80℃で16時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(5.08g)、及びピリジン(1.97g)を加え、100℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(258ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(L)を得た。このポリイミドのイミド化率は75%であり、数平均分子量は14,500、重量平均分子量は41,200であった。
【0212】
<合成例13>
M1(4.29g,21.9mmol)、D3(3.13g,15.4mmol)、及びD5(2.51g,6.6mmol)をNMP(39.7g)中で混合し、25℃で24時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(10.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(1.35g)、及びピリジン(0.56g)を加え、40℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(123ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(M)を得た。このポリイミドのイミド化率は53%であり、数平均分子量は19,800、重量平均分子量は55,900であった。
【0213】
<合成例14>
M3(6.01g,20.0mmol)、D1(1.51g,14.0mmol)、及びD5(2.28g,6.0mmol)をNMP(39.2g)中で混合し、40℃で40時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(10.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.17g)、及びピリジン(1.94g)を加え、40℃で1時間反応させた。この反応溶液をメタノール(138ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(N)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は11,900、重量平均分子量は28,100であった。
【0214】
<合成例15>
M4(5.13g,22.9mmol)、D1(1.74g,16.1mmol)、及びD5(2.63g,6.9mmol)をNMP(38.0g)中で混合し、40℃で24時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(10.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(1.23g)、及びピリジン(0.96g)を加え、90℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(124ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(O)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は14,800、重量平均分子量は30,500であった。
【0215】
<合成例16>
M4(5.13g,22.9mmol)、D1(1.74g,16.1mmol)、及びD5(2.63g,6.9mmol)をNMP(38.0g)中で混合し、40℃で24時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(10.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.47g)、及びピリジン(0.96g)を加え、100℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(124ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(P)を得た。このポリイミドのイミド化率は77%であり、数平均分子量は14,200、重量平均分子量は30,000であった。
【0216】
<合成例17>
M2(17.7g,70.5mmol)、D2(8.21g,54.0mmol)、及びD6(12.6g,29.1mmol)をNMP(115g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.28g,11.6mmol)とNMP(47.6g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(80.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(9.94g)、及びピリジン(5.14g)を加え、100℃で2時間30分反応させた。この反応溶液をメタノール(986ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(Q)を得た。このポリイミドのイミド化率は70%であり、数平均分子量は18,900、重量平均分子量は51,400であった。
【0217】
<合成例18>
M2(4.50g,18.0mmol)、D1(1.82g,16.8mmol)、及びD4(2.71g,7.2mmol)をNMP(27.1g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.12g,5.7mmol)とNMP(13.5g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.40g)、及びピリジン(1.86g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(248ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(R)を得た。このポリイミドのイミド化率は53%であり、数平均分子量は17,700、重量平均分子量は50,300であった。
【0218】
<合成例19>
M2(2.87g,11.5mmol)、D7(1.24g,11.5mmol)、及びD2(0.70g,4.6mmol)、D6(3.00g,6.9mmol)をNMP(23.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.21g,11.3mmol)とNMP(16.7g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.66g)、及びピリジン(1.81g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(256ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(S)を得た。このポリイミドのイミド化率は49%であり、数平均分子量は20,700、重量平均分子量は61,100であった。
【0219】
<合成例20>
M3(6.61g,22.0mmol)、D7(2.02g,18.7mmol)、及びD5(1.26g、3.3mmol)をNMP(39.5g)中で混合し、40℃で40時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(10.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.54g)、及びピリジン(2.11g)を加え、40℃で30分反応させた。この反応溶液をメタノール(140ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(T)を得た。このポリイミドのイミド化率は82%であり、数平均分子量は11,000、重量平均分子量は22,100であった。
【0220】
<合成例21>
M2(4.13g,16.5mmol)、D7(1.67g,15.4mmol)、及びD6(2.87g,6.6mmol)をNMP(26.0g)中で混合し、40℃で5時間反応させた後、M1(1.03g,5.3mmol)とNMP(13.2g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.31g)、及びピリジン(1.79g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(248ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(U)を得た。このポリイミドのイミド化率は51%であり、数平均分子量は15,100、重量平均分子量は45,200であった。
【0221】
<合成例22>
M2(1.65g,6.6mmol)、D2(2.18g,14.3mmol)、及びD6(3.35g,7.7mmol)をNMP(21.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.93g,14.9mmol)とNMP(18.9g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(25.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.75g)、及びピリジン(2.13g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(310ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(V)を得た。このポリイミド(V)のイミド化率は67%であり、数平均分子量は15,700、重量平均分子量は41,400であった。
【0222】
<合成例23>
M2(5.63g,22.5mmol)、及びD7(3.24g,30.0mmol)をNMP(26.6g)中で混合し、40℃で5時間反応させた後、M1(1.24g,6.3mmol)とNMP(13.8g)を加え、25℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.96g)、及びピリジン(2.29g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(298ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(W)を得た。このポリイミドのイミド化率は51%であり、数平均分子量は15,300、重量平均分子量は68,800であった。また、このポリイミドは、ジアミン成分としてメタフェニレンジアミンを用いていない。
合成例1〜5で得られたポリイミドの組成及びイミド化率を表43にまとめて示す。
【0223】
【表43】
【0224】
<ポリイミドの溶解性試験>
<実施例1〜22及び比較例1>
合成例1〜23で得られたポリイミド粉末を用い、環状ケトン溶媒であるシクロヘキサノン(CHN)及びシクロペンタノン(CPN)への溶解性の試験を行った。
ポリイミド粉末(A)〜(W)のそれぞれのポリイミド粉末(1.0g)に、CHN(15.7g)を加え、25℃にて24時間攪拌し、濁りや析出などの有無を目視で確認した。
【0225】
次に、ポリイミド粉末(A)〜(W)のそれぞれのポリイミド粉末(1.0g)に、CPN(15.7g)を加え、25℃にて24時間攪拌し、濁りや析出などの有無を目視で確認した。
溶解性試験の結果を表44に示す。
【0226】
【表44】
【0227】
以上の結果により、実施例1〜22のポリイミド粉末は、環状ケトン溶媒に均一に溶解することを確認した。一方、比較例1のポリイミド粉末(W)は、環状ケトン溶媒に不溶であった。
【0228】
<ポリイミドと溶媒を含有する組成物及び液晶配向処理剤の調製>
<実施例23〜44>
合成例1〜22のポリイミド粉末(A)〜(V)(各1.0g)のそれぞれに、CHN(27.6g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(1)〜(22)を得た。
【0229】
<実施例45〜66>
合成例1〜22のポリイミド粉末(A)〜(V)(各1.0g)のそれぞれに、CPN(27.6g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(23)〜(44)を得た。
【0230】
<実施例67〜70>
合成例5のポリイミド粉末(E)及び合成例15〜17のポリイミド粉末(O)〜(Q)(各1.0g)のそれぞれに、CHN(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。その後、得られた各溶液に、さらにNMP(14.3g)を加えて、攪拌し、CHNとNMPとを含有する各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、CHNとNMPとを含有する各溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(45)〜(48)を得た。
【0231】
<実施例71〜74>
合成例5のポリイミド粉末(E)及び合成例15〜17のポリイミド粉末(O)〜(Q)(各1.0g)のそれぞれに、CHN(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。その後、得られた各溶液に、NMP(5.71g)、及びBCS(8.57g)をさらに加えて、攪拌し、CHN、NMP及びBCSを含有する各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、CHN、NMP及びBCSを含有する各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(49)〜(52)を得た。
【0232】
<実施例75〜78>
合成例5のポリイミド粉末(E)及び合成例15〜17のポリイミド粉末(O)〜(Q)(各1.0g)のそれぞれに、CPN(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。その後、得られた各溶液に、さらにNMP(14.3g)を加えて、攪拌し、CPNとNMPとを含有する各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、CPNとNMPとを含有する各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(53)〜(56)を得た。
【0233】
<実施例79〜82>
合成例5のポリイミド粉末(E)及び合成例15〜17のポリイミド粉末(O)〜(Q)(各1.0g)のそれぞれに、CPN(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。その後、得られた各溶液に、NMP(5.71g)、及びBCS(8.57g)をさらに加えて、攪拌し、CPN、NMP及びBCSを含有する各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、CPN、NMP及びBCSを含有する各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(57)〜(60)を得た。
【0234】
<実施例83〜86>
合成例5のポリイミド粉末(E)及び合成例15〜17のポリイミド粉末(O)〜(Q)(各1.0g)のそれぞれに、CHN(19.0g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。その後、得られた各溶液に、さらにPGME(8.57g)を加えて、攪拌し、CHNとPGMEとを含有する各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、CHNとPGMEとを含有する各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(61)〜(64)を得た。
【0235】
<実施例87〜90>
合成例5のポリイミド粉末(E)及び合成例15〜17のポリイミド粉末(O)〜(Q)(各1.0g)のそれぞれに、CPN(19.0g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。その後、得られた各溶液に、さらにPGME(8.57g)を加えて、攪拌し、CPNとPGMEとを含有する各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、CPNとPGMEとを含有する各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(65)〜(68)を得た。
【0236】
<比較例2〜比較例6>
合成例4のポリイミド粉末(D),合成例5のポリイミド粉末(E)及び合成例15〜17のポリイミド粉末(O)〜(Q)(各2.0g)のそれぞれに、NMP(31.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液について、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が6質量%である液晶配向処理剤(69)〜(73)を得た。
実施例23〜90及び比較例2〜6で得られた液晶配向処理剤の、ポリイミドと溶媒の種類及び溶解性を表45〜48に示す。
【0237】
【表45】
【0238】
【表46】
【0239】
【表47】
【0240】
【表48】
【0241】
<液晶配向膜及び液晶表示素子の作製>
実施例23〜66で得られた液晶配向処理剤を用いて液晶配向膜を作製し、その液晶配向膜を用いた液晶表素子を作製した。液晶表示素子としては、液晶配向膜の特性に対応して、平行配向の液晶セル又は垂直配向の液晶セルを作製した。
【0242】
液晶セルの作製方法としては、液晶配向処理剤をITO電極付きガラス基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間、熱循環型クリーンオーブン中にて220℃で30分間加熱処理をした後、膜厚100nmの塗膜として液晶配向膜を形成し、液晶配向膜付き基板を得た。基板上に形成された液晶配向膜はいずれも膜厚の均一性に優れ、液晶配向処理剤は優れた塗布性を示すことがわかった。
【0243】
平行配向用の液晶配向膜においては、得られた液晶配向膜付き基板に対し、公知のラビング処理を施した。
また、垂直配向用の液晶配向膜付き基板においては、ラビング処理は行わなかった。
【0244】
この液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の液晶配向膜面上に6μmのスペーサを散布した後、この上からシール剤(XN−1500T、三井化学社製)を印刷した。次いで、他方の基板と液晶配向膜面が向き合うようにして貼り合わせた後、シール剤を熱循環型クリーンオーブン中にて150℃で90分間加熱処理をすることにより硬化して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ネマティック液晶を注入し、注入口を封止して、平行配向の液晶セル又は垂直配向の液晶セルを得た。その際、平行配向の液晶セルには、平行配向用の液晶(MLC−2003、メルク社製)を用い、垂直配向用の液晶セルには、垂直配向用の液晶(MLC−6608、メルク社製)を用いた。
【0245】
得られた液晶セルについて、液晶の配向状態を偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL、ニコン社製)で観察したところ、欠陥の無い均一な液晶の平行配向又は垂直配向が形成されていることが確認された。
【0246】
液晶表示素子の液晶の配向状態の結果を表49及び表50に示す。
【0247】
【表49】
【0248】
【表50】
【0249】
次に、実施例26、実施例27、実施例37〜39、実施例48、実施例49、実施例59〜61、実施例83、実施例86、実施例87、実施例90、及び比較例2〜6の液晶配向処理剤を用いて作製された液晶セルを用いて液晶表示素子を作製した。液晶表示素子は、上述した方法で作製した。これら液晶表示素子に、80℃の温度下で1Vの電圧を60μm印加し、50ms後の電圧を測定し、電圧が印加直後に比べて、どのくらい保持されているかを電圧保持率として示した。なお、測定は、VHR−1電圧保持率測定装置(東陽テクニカ社製)を使用し、Voltage:±1V、Pulse Width:60μs、Flame Period:50msの設定で行った。
液晶表示素子の電圧保持率の結果を表に示す。
【0250】
【表51】
【0251】
以上の結果から、メタフェニレンジアミンを含むジアミン成分を用いて得られるポリイミドから、本発明の液晶配向処理剤を得ることができ、該液晶配向処理剤は塗布性に優れていることが分かる。また、本発明の液晶配向処理剤を用いた液晶配向膜の作製は、低温焼成によって可能であることが分かる。