(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
(A)成分
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、本質的に疎水性のものである。ここで、本質的に疎水性とは、一部の官能基に親水性基を含有してもオルガノポリシロキサン全体として疎水性を示すことである。
【0012】
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン(A)は、直鎖状のものでも分岐状のものでもよいが、特に下記平均組成式(I)で示されるものが好適である。
R
1mSiO
(4-m)/2 (I)
【0013】
上記式(I)において、R
1は置換もしくは非置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。R
1の一価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、スチリル基、α−メチルスチリル基等のアラルキル基など、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、水酸基等で置換したクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、3−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基等が挙げられるが、消泡性及び経済性の面から全R
1の80モル%以上、特に90モル%以上がメチル基であることが好ましい。また、mは1.9≦m≦2.2、好ましくは1.95≦m≦2.15の正数である。なお、オルガノポリシロキサンの末端は、R
13Si−で示されるトリオルガノシリル基で封鎖されていても、(HO)R
12Si−で示されるジオルガノヒドロキシシリル基で封鎖されていてもよい。
【0014】
この本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン(A)のオストワルド粘度計により測定した25℃における粘度は、消泡性、作業性の面から10〜100,000mm
2/sであり、好ましくは50〜30,000mm
2/sである。10mm
2/s未満では消泡性能が劣り、100,000mm
2/sを超えるとシリコーンオイルコンパウンドの粘度が増大して作業性が悪くなる。
【0015】
(B)成分
(B)成分の微粉末シリカは公知のものでよく、例えば、煙霧質シリカ、沈降シリカ、焼成シリカ等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。微粉末シリカの比表面積(BET法)は50m
2/g以上であることが好ましく、より好ましくは100〜700m
2/g、更に好ましくは150〜500m
2/gである。比表面積が50m
2/g未満では好ましい消泡性能が得られない場合がある。
【0016】
本発明においては、微粉末シリカとして、消泡性の点からその表面を疎水化処理したものが用いられる。
【0017】
微粉末シリカの添加量は、オルガノポリシロキサン(A)100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。添加量が1質量部未満では消泡性能が劣り、20質量部より多いと、シリコーンオイルコンパウンドの粘度が増加して作業性が悪くなる。
【0018】
ここで、微粉末シリカの表面処理状態、及びその測定方法について説明する。
ケイ素の固体NMR測定法には、
29Si−DD/MAS(Dipolar Decoupled/Magic Angle Spinning)−NMR法と、
29Si−CP/MAS(Cross Polarization/Magic Angle Spinning)−NMR法があるが、このうち
29Si−DD/MAS−NMR法は全てのケイ素原子が測定されるという特徴がある。これに対し、
29Si−CP/MAS−NMR法は水素原子核を励起し、近隣のケイ素原子核へと磁化移動を行い、磁化移動されたケイ素原子核のみを検出する。磁化移動に要する時間(contact time)を5ms程度に設定すると、検出されるケイ素が大幅に限定され、水素が近傍にないケイ素及びオイル状など運動性の高いケイ素は検出され難くなるという特徴がある。
【0019】
そのため、微粉末シリカを
29Si−CP/MAS−NMR法で測定すると、シリカ内部のケイ素は水素が近傍にないため検出されないのに対し、シリカ表面のケイ素はシラノール基又はシラノール基に固定された表面処理基の形で水素が近傍に存在するため検出できる。このことを利用してシリカ表面のケイ素のみを選択的に測定することができ、微粉末シリカの表面状態を定量的に評価することができる。
【0020】
また、
29Si−CP/MAS−NMRでは、微粉末シリカに固定された表面処理基も選択的に検出することができる。
【0021】
なお、シラノール基と反応せず、シリカ表面に固定化されていない表面処理剤や、オイル成分等は水素原子核からの磁化移動が十分にできないため、
29Si−CP/MAS−NMR法では感度が低く、ほとんど検出されることはない。
ここで、
29Si−CP/MAS−NMR分析するに際しては、シリコーンオイルコンパウンド10gにヘキサン100mLを添加し、3時間振とう分散後、10,000rpm×15分の遠心分離を行い、得られた不溶成分(微粉末シリカ)を100℃にて30分乾燥した後、NMR測定することが有効である。
【0022】
29Si−CP/MAS−NMR法で測定したスペクトルは、TMS(テトラメチルシラン)基準で概ね以下のように帰属することができる。
25〜−10ppm;R
2R
3R
4SiO
1/2[トリオルガノシロキシ単位:Mと略記](R
2、R
3、R
4;−H、−CH
3、−C
2H
5、−CH=CH
2、−C
6H
5等)
−10〜−50ppm;R
2R
3SiO
2/2[ジオルガノシロキシ単位:Dと略記](R
2、R
3;−H、−CH
3、−C
2H
5、−CH=CH
2、−C
6H
5等)
−50〜−85ppm;R
2SiO
3/2[モノオルガノシロキシ単位:Tと略記](R
2;−H、−CH
3、−C
2H
5、−CH=CH
2、−C
6H
5等)
−85〜−120ppm;SiO
4/2[Qと略記]
【0023】
微粉末シリカは様々な表面処理剤により処理することができ、表面処理単位がR
2SiO
3/2の場合は、シロキサン結合を1つ持つT1と、シロキサン結合を2つ持つT2と、シロキサン結合を3つ持つT3とがそれぞれ観測され、例えばR
2が飽和炭化水素基の場合、TMS基準の帰属は概ね以下のとおりである。
−42〜−52ppm;T1(但し、−52ppmは不含)
−52〜−62ppm;T2(但し、−62ppmは不含)
−62〜−75ppm;T3
【0024】
ここで、T3はシリカ表面上の処理剤の全ての反応性基が反応したものであり、T3の含有量が多ければ多いほどシリカ全体の疎水化度は高くなるといえる。
【0025】
即ち、
29Si−CP/MAS−NMRによって測定された、微粉末シリカ表面のモノオルガノシロキシ基(T)単位に起因するピークのうち、シロキサン結合を1つ有するケイ素原子のピーク面積(T1)及びシロキサン結合を2つ有するケイ素原子のピーク面積(T2)の合計面積量(T1+T2)と、シロキサン結合を3つ有するケイ素原子のピーク面積(T3)との面積比(T1+T2)/T3で、微粉末シリカの疎水化度を表すことができる。またその値が大きいほど疎水化度は低くなり、小さいほど疎水化度は高くなる。
【0026】
この(T1+T2)/T3が、80/20〜20/80、好ましくは65/35〜30/70、より好ましくは60/40〜35/65である微粉末シリカを用いると良好な消泡性能が得られる。80/20より大きいと微粉末シリカの疎水化度が低いため、十分な消泡性能が得られない。また、20/80より小さいものを得ることは製造上困難である。例えば、アルキルシラン処理シリカとして、アルキルシラン処理量の少ないシリカを用いた場合でも、(T1+T2)/T3が20/80よりも小さくなることはない。
【0027】
微粉末シリカ表面の疎水化処理は従来公知の方法によって、即ち、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で親水性シリカを処理することによって行うことができる。
【0028】
本発明の微粉末シリカとしては、上述したように、表面が疎水化処理されたものを用いるが、微粉末シリカ表面の疎水化処理は従来公知の方法によって、即ち、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物(表面疎水化処理剤)で親水性シリカを処理することによって行うことができる。この場合、このようにあらかじめ表面処理した微粉末シリカを使用し得るが、本発明においては、好ましくはこのようにあらかじめ表面疎水化処理された微粉末シリカを上記(A)成分とアルカリ触媒とで混合することで、微粉末シリカの(T1+T2)/T3を上述した値とすることが好ましい。
【0029】
ここで、表面疎水化処理剤としては、特に下記一般式(i)で表される3官能加水分解性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物が好ましく、これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
R
01Si(OR
02)
3 (i)
(式中、R
01は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の一価の有機基であり、R
02は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10の一価炭化水素基である。)
【0030】
一般式(i)のR
01は一価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基又はフェニル基である。また、R
02もアルキル基であることが好ましい。
【0031】
上記式(i)で表される3官能加水分解性シランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン等を例示することができる。
【0032】
上記式(i)で表される3官能加水分解性シランの部分加水分解縮合物は、分岐状でも直鎖状でもよい。
また、該部分加水分解縮合物の平均重合度は2〜30であることが好ましく、より好ましくは2〜20となる数である。大きすぎると十分な消泡性能が得られない可能性がある場合がある。なお、本発明において、平均重合度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度として求めることができる値である。
【0033】
上記処理剤の使用量は、シリカ100質量部に対して0.001〜60質量部であり、好ましくは0.01〜30質量部である。0.001質量部未満であると十分な消泡性能が得られず、60質量部を超えると得られるシリコーンオイルコンパウンドの消泡性能が悪くなるおそれがある。
【0034】
この場合、(T1+T2)/T3を上述した値とするには、(A),(B)成分を混合してオイルコンパウンドを製造する際に、加熱時間、加熱温度、触媒などを適宜選定することにより調製することができ、特に必要に応じて上記表面疎水化処理剤を添加し、室温(25℃)〜200℃、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは120〜180℃の温度で混合処理することが有効である。また、必要に応じて上記のシリカ表面処理に用いられる有機ケイ素化合物や、(B)成分の表面に(A)成分を反応吸着させて良好な疎水化処理を行うためのアルカリ性触媒を添加し、微粉末シリカの処理を並行して行うこともできる。アルカリ性触媒を添加した条件では、必要に応じて混合処理を行った後に中和剤を添加して中和反応を行うことができ、また濾過工程による中和塩等の除去を行うこともできる。また、必要に応じて、減圧留去により未反応の有機ケイ素化合物、及び低沸点留分の除去を行うことができる。
【0035】
なお、混合処理時間は10分〜8時間、特に1〜5時間とすることが好ましい。また、混合処理は窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0036】
前記アルカリ性触媒としては、ポリシロキサンの平衡反応に用いられる公知のアルカリ性触媒である、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド又はシリコネートを用いることができ、好ましくはカリウムシリコネート及び水酸化カリウムである。
【0037】
アルカリ性触媒の使用量は、オルガノポリシロキサン(A)100質量部に対して0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜2質量部である。0.001質量部未満では触媒としての効果が弱い場合があり、5質量部を超える量でも触媒の効果は大きく向上しないため、コスト的に不利になる場合がある。
【0038】
ここで、上記
29Si−CP/MAS−NMRによって測定されたスペクトルにおいて、微粉末シリカ表面にジオルガノシロキシ単位(D)が生じる場合があるが、これは上記加熱条件下乃至加熱かつアルカリ条件下において、シリカ表面のシラノールと(A)成分のオルガノポリシロキサンとの反応によって生じたものである。
【0039】
前記の中和剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸や室温で固体状のカルボン酸を用いることができ、好ましくは、室温で固体状のカルボン酸である。室温で固体状のカルボン酸としては、安息香酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸、オキサロコハク酸、アコニット酸等のトリカルボン酸が使用される。中でも酸解離定数が小さく酸として強い上、入手が容易なコハク酸が好ましい。
【0040】
本発明の製造方法において、混練を行うために使用される混練機としては、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダー、加圧ニーダー、二軸混練機、インテンシブミキサー、アジホモミキサー、ディスパー、プラネタリーディスパー等が挙げられるが、特に限定されない。これら混練機は、(A),(B)成分の混合処理やシリカの表面処理、その後の中和工程等、いずれの工程においても使用することができる。
【0041】
消泡剤組成物
上記の工程で得られたシリコーンオイルコンパウンドは、そのまま使用されるか、或いはこのシリコーンオイルコンパウンドを含む消泡剤組成物、具体的には、適当な溶媒に分散した溶液型消泡剤組成物、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンとの併用による自己乳化型消泡剤組成物、又は周知の乳化技術によって得られるエマルション型消泡剤組成物等として使用することができる。
【0042】
ここで、適当な溶媒に分散した溶液型消泡剤組成物とする場合、溶媒としては、(A)成分である本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンが溶解する溶媒、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、クロロホルム、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン等が挙げられる。
【0043】
溶液型消泡剤組成物とする場合、シリコーンオイルコンパウンドの含有量は、消泡剤組成物全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。シリコーンオイルコンパウンドの含有量が少なすぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合があり、多すぎるとオイルコンパウンド成分の分散性を高めるという溶液型消泡剤組成物の主目的を満足できない場合がある。
【0044】
また、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンとの併用による自己乳化型消泡剤組成物とする場合、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(II)で示されるものが挙げられる。
R
52R
7SiO−(R
52SiO)
x−(R
5R
6SiO)
y−SiR
52R
7
(II)
【0045】
上記式(II)中、R
5は互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、スチリル基、α−メチルスチリル基等のアラルキル基など、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基等で置換したクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、3−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基等の一価炭化水素基が挙げられる。
【0046】
また、R
6は下記一般式(III)で示されるポリオキシアルキレン基である。
−R
8−O(CH
2CH
2O)
a−(CH
2(CH
3)CHO)
b−R
9
(III)
上記式(III)中、R
8は炭素数2〜6の二価炭化水素基であり、アルキレン基、アルケニレン基等が挙げられ、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。また、R
9は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アセチル基又はイソシアン基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。a及びbはブロック状又はランダム状に重合してよく、その重合度は3≦a+b≦80、好ましくは5≦a+b≦60、かつa/b=2/8〜8/2、好ましくはa/b=2.5/7.5〜7.5/2.5を満たす正数である。
【0047】
一方、R
7はR
5もしくはR
6と同様の基、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、具体的には前記のR
5及びR
6として例示した基、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
なお、上記式(II)中のxは5〜200、好ましくは20〜150の整数であり、yは1〜30、好ましくは1〜20の整数である。
【0048】
このポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、オストワルド粘度計により測定した25℃における粘度が、10〜10,000mm
2/s、好ましくは50〜8,000mm
2/s、更に好ましくは500〜5,000mm
2/sであるものを用いることができる。
【0049】
ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの具体例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
30−[(CH
3)R'SiO]
5−Si(CH
3)
3
R':−C
3H
6O−(C
2H
4O)
30−(C
3H
6O)
10−C
4H
9、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
30−[(CH
3)R'SiO]
3−Si(CH
3)
3
R':−C
3H
6O−(C
2H
4O)
20−(C
3H
6O)
20−C
4H
9、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
40−[(CH
3)R'SiO]
4−Si(CH
3)
3
R':−C
3H
6O−(C
2H
4O)
21−(C
3H
6O)
7−COCH
3、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
50−[(CH
3)R''SiO]
6−[(CH
3)R'''SiO]
1−Si(CH
3)
3
R'':−C
3H
6O−(C
2H
4O)
32−(C
3H
6O)
8−C
4H
9
R''':−C
12H
25、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
135−[(CH
3)R'SiO]
15−Si(CH
3)
3
R':−C
3H
6O−(C
2H
4O)
21−(C
3H
6O)
21−CH
3、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
30−[(CH
3)R'SiO]
5−Si(CH
3)
3
R':−C
3H
6O−(C
2H
4O)
25.5−(C
3H
6O)
8.5−C
4H
9、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
27−[(CH
3)R'SiO]
3−Si(CH
3)
3
R':−C
3H
6O−(C
2H
4O)
23−(C
3H
6O)
23−C
4H
9
【0050】
また、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンとの併用による自己乳化型消泡剤組成物には、
HO−[CH
2(CH
3)CHO]
35−H、
HO−[CH
2(CH
3)CHO]
70−H、
HO−(CH
2CH
2O)
4−[CH
2(CH
3)CHO]
30−H、
HO−(C
2H
4O)
25−(C
3H
6O)
35−H、
HO−(C
3H
6O)
30−H、
CH
2=CHCH
2O−(CH
2CH
2O)
32−[CH
2(CH
3)CHO]
8−H、
CH
2=CHCH
2O−(CH
2CH
2O)
22−[CH
2(CH
3)CHO]
22−C
4H
9、
CH
2=CHCH
2O−(CH
2CH
2O)
10−CH
3
で例示されるようなポリオキシアルキレン重合体や、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の非イオン性界面活性剤を用いてもよい。なお、上記に例示した組成式は一例であり、本発明を制限するものではない。
【0051】
また、自己乳化型消泡剤組成物とする場合、シリコーンオイルコンパウンドの含有量は、消泡剤組成物全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%であり、更に好ましくは20〜60質量%である。シリコーンオイルコンパウンドの含有量が少なすぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合があり、多すぎるとオイルコンパウンド成分の分散性を高めるという自己乳化型消泡剤組成物の主目的を満足できない場合がある。
【0052】
更に、エマルション型消泡剤組成物とする場合、公知の方法を用いることができるが、シリコーンオイルコンパウンドを乳化する乳化剤としては、上述したポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンや、ポリオキシアルキレン重合体、非イオン性界面活性剤等を使用することができる。
【0053】
エマルション型消泡剤組成物において、上記ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、その含有量は消泡剤組成物全体の0〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。含有量が30質量%を超えると組成物の消泡性能が悪くなる場合がある。
【0054】
また、エマルション型消泡剤組成物において、上記ポリオキシアルキレン重合体は、乳化助剤となるもので、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、その含有量は消泡剤組成物全体の0〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜20質量%である。含有量が40質量%を超えると組成物の乳化特性が悪くなる場合がある。なお、配合する場合は有効量とすることができるが、5質量%以上配合することが好ましい。
【0055】
更に、エマルション型消泡剤組成物において、上記非イオン性界面活性剤は、シリコーンオイルコンパウンドを水に分散させるためのものであり、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、この含有量は消泡剤組成物全体の0〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。20質量%を超えると消泡剤組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる場合がある。
【0056】
また、エマルション型消泡剤組成物とする場合、シリコーンオイルコンパウンドの含有量は、消泡剤組成物全体の5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。シリコーンオイルコンパウンドの含有量が少なすぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合があり、多すぎると消泡剤組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる場合がある。
【0057】
エマルション型消泡剤組成物においては、シリコーンオイルコンパウンド、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン重合体、非イオン性界面活性剤等の各成分を乳化するのに必要な水を添加する必要があり、その量は各成分の含有割合の合計に対する残部であり、好ましくは各成分の合計100質量部に対して50〜2,000質量部、より好ましくは80〜400質量部となるように添加する。
【0058】
なお、エマルション型消泡剤組成物は、水以外の各成分の所定量を混合し、必要に応じて加熱しながら、公知の方法、例えばホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル等の混合・分散機により撹拌・乳化することにより調製することができるが、特に水以外の各成分の所定量を均一に混合・分散させた後、水の一部を添加し、撹拌・乳化を行った後に更に残りの水を加え、均一に撹拌・混合して調製する方法が好ましい。
【0059】
また、エマルション型消泡剤組成物には、防腐の目的で少量の保存料・殺菌料を任意で添加してもよい。この保存料・殺菌料の具体例としては、次亜塩素酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラベン類、イソチアゾリン化合物等が挙げられる。この添加量は、エマルション型消泡剤組成物全体の0〜0.5質量%、特に0.005〜0.5質量%が好ましい。
【0060】
また、エマルション型消泡剤組成物には、増粘の目的で少量の増粘剤を任意で添加してもよい。この増粘剤の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、キサンタンガム、グアーガム等が挙げられる。この添加量は、エマルション型消泡剤組成物全体の0〜1.0質量%、特に0.01〜0.5質量%が好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、粘度はオストワルド粘度計により測定した25℃における値である。
また、
29Si−CP/MAS−NMR分析は以下のようにして行った。
試料(オイルコンパウンド)10gに溶剤(ヘキサン)100mLを添加し、3時間振とう分散後、10,000rpm×15分の遠心分離を行った。不溶成分を100℃にて30分乾燥した後、NMR測定した。
[NMR測定条件]
装置 Bruker社AVANCE700
プローブ Bruker社 4mmφCP/MASプローブ
29Si核測定周波数 139.1MHz
観測幅 52kHz
測定法 CP/MAS法
コンタクトタイム 5ms
繰り返し時間 5s
積算回数 5,000〜10,000回
試料量 約0.1g
試料回転数 8,000Hz
温度 室温
【0062】
[実施例1]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、比表面積(BET法)が300m
2/gの親水性シリカ(乾式法)をオクチルトリメトキシシランで表面処理したシリカを5質量部、アルカリ性触媒として水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート1質量部を用い、窒素ガス雰囲気下、プラネタリーミキサーを使用して150℃、4時間混練した。100℃以下に冷却後、コハク酸で中和し、シリコーンオイルコンパウンド(a−1)を得た。
ヘキサンを用いてオイルコンパウンド(a−1)から不溶成分を分取し、
29Si−CP/MAS−NMR(BRUKER社製、型番AVANCE700、700MHz)によって不溶成分の測定を行ったところ、Dのピークが存在し、また(T1+T2)/T3=35/65であった。
図1にチャートを示す。
このシリコーンオイルコンパウンド(a−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
52R
7SiO−(R
52SiO)
x−(R
5R
6SiO)
y−SiR
52R
7
(但し、R
5及びR
7は−CH
3、R
6は−C
3H
6O(C
2H
4O)
21(C
3H
6O)
21CH
3、xは135、yは15である。)
で表され、且つ粘度が2,500mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(a−2)70質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(A)を調製した。
【0063】
[実施例2]
実施例1のシリコーンオイルコンパウンド(a−1)20質量部とソルビタンモノステアレート4質量部とポリオキシエチレン(55)モノステアレート6質量部の混合物を加熱溶解後、水70質量部を加え、ホモミキサーで撹拌、乳化してエマルション型消泡剤組成物(B)を調製した。
【0064】
[
参考例
1]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が8,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、比表面積(BET法)が200m
2/gの親水性シリカ(乾式法)をヘキサデシルトリメトキシシランで表面処理したシリカを12質量部、窒素ガス雰囲気下、プラネタリーミキサーを使用して150℃、4時間混練することで、シリコーンオイルコンパウンド(c−1)を得た。
ヘキサンを用いてオイルコンパウンド(c−1)から不溶成分を分取し、
29Si−CP/MAS−NMR(BRUKER社製、型番AVANCE700、700MHz)によって不溶成分の測定を行ったところ、Dのピークが存在し、また(T1+T2)/T3=75/25であった。
図2にチャートを示す。
このシリコーンオイルコンパウンド(c−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
52R
7SiO−(R
52SiO)
x−(R
5R
6SiO)
y−SiR
52R
7
(但し、R
5及びR
7は−CH
3、R
6は−C
3H
6O(C
2H
4O)
25.5(C
3H
6O)
8.5C
4H
9、xは30、yは5である。)
で表され、且つ粘度が1,000mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(c−2)50質量部と、平均組成が下記式
HO−(C
2H
4O)
25−(C
3H
6O)
35−H
で表されるポリオキシアルキレン重合体(c−3)20質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(C)を調製した。
【0065】
[実施例
3]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、比表面積(BET法)が100m
2/gの親水性シリカ(乾式法)をヘキサデシルトリメトキシシランで表面処理したシリカを8質量部、アルカリ性触媒として水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート3質量部を用い、窒素ガス雰囲気下、プラネタリーミキサーを使用して170℃、6時間混練した。100℃以下に冷却後、コハク酸で中和し、シリコーンオイルコンパウンド(d−1)を得た。
ヘキサンを用いてオイルコンパウンド(d−1)から不溶成分を分取し、
29Si−CP/MAS−NMR(BRUKER社製、型番AVANCE700、700MHz)によって不溶成分の測定を行ったところ、Dのピークが存在し、また(T1+T2)/T3=25/75であった。
図3にチャートを示す。
このシリコーンオイルコンパウンド(d−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
52R
7SiO−(R
52SiO)
x−(R
5R
6SiO)
y−SiR
52R
7
(但し、R
5及びR
7は−CH
3、R
6は−C
3H
6O(C
2H
4O)
23(C
3H
6O)
23C
4H
9、xは27、yは3である。)
で表され、且つ粘度が1,700mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(d−2)50質量部と、平均組成が下記式
HO−(C
3H
6O)
30−H
で表されるポリオキシプロピレン重合体(d−3)20質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(D)を調製した。
【0066】
[実施例
4]
実施例
3のシリコーンオイルコンパウンド(d−1)20質量部とソルビタンモノステアレート6質量部とポリオキシエチレン(55)モノステアレート6質量部の混合物を加熱溶解後、水68質量部を加え、ホモミキサーで撹拌、乳化してエマルション型消泡剤組成物(E)を調製した。
【0067】
[比較例1]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、アエロジル(Aerosil)R812[日本アエロジル社製、比表面積260m
2/g]を5質量部、アルカリ性触媒として水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート2質量部を用い、窒素ガス雰囲気下、プラネタリーミキサーを使用して150℃、3時間混練した。100℃以下に冷却後、コハク酸で中和し、次いで低沸点留分の除去を行い、シリコーンオイルコンパウンド(f−1)を得た。
ヘキサンを用いてオイルコンパウンド(f−1)から不溶成分を分取し、
29Si−CP/MAS−NMR(BRUKER社製、型番AVANCE700、700MHz)によって不溶成分の測定を行ったところ、シリカ表面処理が成されなかったため、(T1+T2)及びT3は検出されなかった。
図4にチャートを示す。
このシリコーンオイルコンパウンド(f−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
52R
7SiO−(R
52SiO)
x−(R
5R
6SiO)
y−SiR
52R
7
(但し、R
5及びR
7は−CH
3、R
6は−C
3H
6O(C
2H
4O)
21(C
3H
6O)
21CH
3、xは135、yは15である。)
で表され、且つ粘度が2,500mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(f−2)70質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(F)を調製した。
【0068】
[比較例2]
比較例1のシリコーンオイルコンパウンド(f−1)20質量部とソルビタンモノステアレート4質量部とポリオキシエチレン(55)モノステアレート6質量部の混合物を加熱溶解後、水68質量部を加え、ホモミキサーで撹拌、乳化してエマルション型消泡剤組成物(G)を調製した。
【0069】
[比較例3]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、比表面積(BET法)が300m
2/gの親水性シリカ(乾式法)をオクチルトリメトキシシランで表面処理したシリカを5質量部、窒素ガス雰囲気下、プラネタリーミキサーを使用して室温で2時間混練することで、シリコーンオイルコンパウンド(h−1)を得た。
ヘキサンを用いてオイルコンパウンド(h−1)から不溶成分を分取し、
29Si−CP/MAS−NMR(BRUKER社製、型番AVANCE700、700MHz)によって不溶成分の測定を行ったところ、(T1+T2)/T3=90/10だった。
図5にチャートを示す。
このシリコーンオイルコンパウンド(h−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
52R
7SiO−(R
52SiO)
x−(R
5R
6SiO)
y−SiR
52R
7
(但し、R
5及びR
7は−CH
3、R
6は−C
3H
6O(C
2H
4O)
21(C
3H
6O)
21CH
3、xは135、yは15である。)
で表され、且つ粘度が2,500mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(h−2)70質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(H)を調製した。
【0070】
実施例1〜
4、参考例1及び比較例1〜3で得られた消泡剤組成物(A)〜(H)について、下記方法により評価した。結果を表1に示す。
[評価方法]
100mLのガラス瓶に不揮発分を8%に調整した針葉樹由来の亜硫酸パルプ廃液を50g充填し、このものを80℃で予備加熱した。
消泡性(初期):
80℃で予備加熱した試験液に、消泡剤を有効成分で0.1質量%添加後、振とう機により30秒間振とうして泡立たせ、その泡高さ(液面+泡)と消泡までの時間を測定することで消泡性を評価した。
消泡性(持続性):
上記の亜硫酸パルプ廃液に各消泡剤サンプルを有効成分で0.1質量%添加したものを80℃で保存した後、所定の時間(30分後、120分後)ごとに振とう機により30秒間振とうして泡立たせ、その泡高さ(液面+泡)と消泡までの時間を測定することで消泡性を評価した。
【0071】
【表1】