【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/(高い臨時設営性を持つ有無線両用高速光伝送技術の研究開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記矩形のスリットは、前記接地電極の前記中心電極に近い側のエッジから当該中心電極から離れる方向に所定の距離以内の範囲にわたり、当該範囲以外の部分よりも幅が狭く形成されている、
請求項7に記載の導波路型光素子。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信や光計測の分野においては、電気光学効果を有する基板上に光導波路を形成した光変調器などの導波路型光素子が多く用いられている。導波路型光素子は、一般に、上記光導波路と、当該光導波路内を伝搬する光波を制御するための制御電極を備える。
【0003】
このような導波路型光素子として、例えば強誘電体結晶であるニオブ酸リチウム(LiNbO3)(「LN」とも称する)を基板に用いたマッハツェンダ型光変調器が広く用いられている。マッハツェンダ型光変調器は、外部から光を導入するための入射導波路と、当該入射導波路により導入された光を2つの経路に分けて伝搬させるための分岐部と、分岐部の後段に分岐されたそれぞれの光を伝搬させる2本の並行導波路と、当該2本の並行導波路を伝搬した光を合波して外部へ出力するための出射導波路とにより構成されるマッハツェンダ型光導波路を備える。
【0004】
また、マッハツェンダ型光変調器は、電圧を印加することで、電気光学効果を利用して、上記並行導波路内を伝搬する光波の位相を変化させて制御するための制御電極を備える。当該制御電極は、一般に、上記並行導波路の長さ方向に沿ってその上部又はその近傍に形成された中心電極と、当該中心電極に離間して配置された接地電極と、を有するCPW(Coplanar Waveguide)型電極として構成されている。
【0005】
特に、並行導波路を伝搬する光波をより高い周波数で制御する広帯域(マイクロ波帯域)のマッハツェンダ型光変調器の設計においては、並行導波路を伝搬する光の伝搬速度と中心電極を伝搬する伝搬速度との速度整合(以下、単に「速度整合」という)と、駆動回路の出力インピーダンスに対する中心電極の入力インピーダンスの整合(以下、インピーダンス整合という)と、光波とマイクロ波との重なり(変調効率)と、をバランスさせる必要がある。
【0006】
すなわち、マッハツェンダ型光変調器では、速度整合と、インピーダンス整合と、を行うことを必須要件として、でき得る限り駆動電圧を低減する必要がある。さらに、広帯域化のためには、電極を伝搬する高周波信号の損失(マイクロ波損失)を低減することも必要となる。しかしながら、駆動電圧の低減と広帯域化は相反的な関係にあり、駆動電圧の増加を伴うことなく広帯域化を図ることには困難を伴う。
【0007】
従来、速度整合とインピーダンス整合を両立させるため基板の表面をリッジ形状に加工し、駆動電圧の上昇を抑制しつつ広帯域化を図ることが知られている(非特許文献1)。また、更なる広帯域化のため、接地電極及び又は中心電極を2段構成(すなわち、それら電極の厚さを2段階に変化させる構成)としてインピーダンスを変えずに速度整合を満たす電極の厚さを厚くすることで、マイクロ波の導体損失を低減させている(特許文献1)
【0008】
上記従来の導波路型光素子では、基板厚さや電極厚さ等により速度整合を図りつつマイクロ波損失を低減して、ある程度まで広帯域な動作が可能となっている。しかしながら、実際上、形成できる電極の厚さは50μm程度が上限であり、電極厚さを厚くすることで広帯域化を図るには限界がある。すなわち、電極形成の際には、形成すべき電極の厚さに応じて電極のパターンニングに用いるレジストも厚く形成する必要があるが、レジスト厚さが厚くなるにつれてレジスト内部の応力が高まり、レジストと基板との間の付着力が低下して、電極形成途中でレジストが剥離してしまう確率が高まる。また、厚さに応じて電極形成の時間も長くなり、生産性が低下する。ここで、電極の形成方法は、非特許文献1、2に記載されているように、フォトレジスト及び電気メッキを用いたセミアディテイブを用いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記背景より、導波路型光素子において、更なる広帯域動作を可能とするため構成の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の態様は、電気光学効果を有する基板上に形成された光導波路と、当該光導波路を伝搬する光波を制御する制御電極と、を備える導波路型光素子であって、前記制御電極は、前記光導波路に沿って形成された中心電極と、当該中心電極導体から所定の距離だけ隔てて前記基板の面方向において挟むように形成された接地電極と、で構成され、前記中心電極又は前記接地電極は、当該中心電極及び当該接地電極を伝搬する高周波信号の伝搬方向に沿って、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成されている。
本発明の他の態様によると、前記複数の界面のペアは、前記高周波の伝搬方向に沿って所定の間隔で周期的に形成されている。
本発明の他の態様によると、前記接地電極は、前記中心電極に沿って当該中心電極と対向する部分が、他の部分よりも厚さが薄く形成されており、前記複数の界面のペアは、前記厚さが薄く形成された前記接地電極の部分以外の部分に形成されている。
本発明の他の態様によると、前記複数の界面のペアは、前記中心電極に向かう方向とは逆の方向に向かって開口を有する矩形のスリットとして形成されている。
本発明の他の態様によると、前記複数の界面のペアは、前記中心電極に向かう方向に開口を有する矩形のスリットとして形成されている。
本発明の他の態様によると、前記接地電極は、前記中心電極に沿って当該中心電極と対向する部分が、他の部分よりも厚さが薄く形成されており、前記複数の界面のペアは、前記厚さが薄く形成された前記接地電極の部分に形成されている。
本発明の他の態様によると、前記複数の界面のペアは、前記中心電極の方向に向かって開口を有する矩形のスリットとして形成されている。
本発明の他の態様によると、前記矩形のスリットは、前記接地電極の前記中心電極に近い側のエッジから当該中心電極から離れる方向に所定の距離以内の範囲にわたり、当該範囲以外の部分よりも幅が狭く形成されている。
本発明の他の態様によると、前記複数の界面のペアは、前記接地電極の深さ方向に設けられた矩形の穴として形成されている。
本発明の他の態様によると、前記複数の界面のペアは、前記中心電極の深さ方向に設けられたスリットとして形成されている。
本発明の他の態様によると、前記基板は、ニオブ酸リチウムで構成されており、前記厚さが薄く形成された前記接地電極の部分の厚さは、5μm以下である。
本発明の他の態様によると、前記基板は、ニオブ酸リチウムで構成されており、前記基板の厚さは4μm以下である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施形態は、マッハツェンダ型光導波路で構成される光変調器であるが、本発明に係る導波路型光素子は、これに限らず、CPW型電極を構成する制御電極により動作するマッハツェンダ型光導波路、方向性結合器型光導波路、Y分岐型光導波路、その他のタイプの光導波路で構成された光変調器、光スイッチ、その他の機能を有する導波路型光素子に、一般に適用することができる。
【0015】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導波路型光素子の構成を示す図である。
本導波路型光素子10は、マッハツェンダ型光変調器であり、基板100上に形成されたマッハツェンダ(MZ、Mach-Zehnder)型光導波路102と、CPW型電極を構成する中心電極104及び2つの接地電極106、108と、を有する。
【0016】
基板100は、電気光学材料であるニオブ酸リチウム(LN)から成る基板であり、例えばXカットのLN基板である。MZ型光導波路102は、並行導波路110、112を有し、並行導波路110、112に挟まれた基板100面上の領域に、当該並行導波路110、112と平行に中心電極104が形成されている。また、並行導波路110、112を挟んで中心電極104と対向する側に、それぞれ、中心電極104から所定の距離だけ離れた位置に、接地電極106、108が形成されている。これらの中心電極104、接地電極106、108は、並行導波路110、112を伝搬する光波を制御する制御電極を構成する。より詳細には、中心電極104と接地電極106とが、並行導波路110を伝搬する光波を制御する制御電極を構成し、中心電極104と接地電極108とが、並行導波路112を伝搬する光波を制御する制御電極を構成している。
【0017】
高周波信号は、中心電極104の図示左下側の端部から入力され、図示右下側端部に向かって伝搬して、例えば当該端部に接続された終端抵抗(不図示)により終端される。
【0018】
接地電極106は、中心電極104に沿って当該中心電極104と対向する部分(以下、対向部分)106aと、それ以外の部分(以下、後背部分)106bとで構成されており、対向部分106aは、後背部分106bよりも厚さが薄くなっている。同様に、接地電極108は、中心電極104に沿って当該中心電極104と対向する部分(以下、対向部分)108aと、それ以外の部分(以下、後背部分)108bとで構成されており、対向部分108aは、後背部分108bよりも厚さが薄くなっている。
【0019】
特に、本実施形態では、接地電極106の後背部分106bと、接地電極108の後背部分108bとに、それぞれ、高周波信号の伝搬方向(すなわち、中心電極104、接地電極106、108の長さ方向)に沿って、中心電極104に向かう方向とは逆の方向に向かって開口を有する平面視が矩形のスリット116a〜116k、118a〜118kが設けられている。これらの矩形のスリット116a〜116k、118a〜118kにより、接地電極106の後背部分106bと、接地電極108の後背部分108bとには、それぞれ、高周波信号の伝搬方向に沿って、それぞれが相対抗する2つの界面(すなわち、対応する接地電極106又は108の電極材料の表面)で構成される複数の界面のペアが形成される。
【0020】
図2は、
図1に示す導波路型光素子10のAA矢視断面の斜視図であり、AA断面と共に当該AA断面につながる基板100の上面の一部が示されている。接地電極106及び108は、それぞれ、中心電極104に沿って当該中心電極104と対向する対向部分106a、108aと、後背部分106b、108bとで構成されており、対向部分106a、108aは、当該後背部分106b、108bよりも厚さが薄く形成されている。これにより、中心電極104と接地電極106、108とのインピーダンスが、当該中心電極104、接地電極106、108に接続される駆動回路(不図示)の出力インピーダンスと整合される。対向部分106a、108aは、上記インピーダンスを30〜50Ωに整合する場合には、例えば5μm以下の厚さで形成される。また、後背部分106b、108bの図示部分には、スリット116h、116i、及び118h、118iが設けられている。
【0021】
上記の構成を有する導波路型光素子10では、高周波信号の伝搬方向に沿って、接地電極106の後背部分106bと、接地電極108の後背部分108bとにそれぞれ設けられた矩形のスリット116a〜116k、118a〜118kにより、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成され、これらの界面のペアが、それぞれコンデンサとして機能する。このため、中心電極104と接地電極106、108とにより構成される分布定数線路の特性インピーダンスに付加的な容量成分が追加されることとなり、当該線路のS21特性に共鳴点が生じて、広帯域動作が可能となる。
【0022】
図3は、
図1に示す導波路型光素子10における、中心電極104と接地電極106、108とにより構成される分布定数線路の等価回路である。L300、R302は、それぞれ、スリット116a〜116k、118a〜118kがない場合の、中心電極104、接地電極106、108のインダクタンス成分及び直流抵抗成分であり、C304、R306は、それぞれ、中心電極104と接地電極106、108との間のキャパシタンス成分及び絶縁抵抗成分である。本実施形態の導波路型光素子10では、スリット116a〜116k、118a〜118kがあることにより、これらのスリットが構成する相対抗する2つの界面がコンデンサとして機能し、接地電極106、108に付加的なキャパシタンスC308が、並列に追加されることとなる。これにより、上述のように、中心電極104と接地電極106、108とにより構成される分布定数線路のS21特性に共鳴点が生じ、広帯域動作が可能となる。
【0023】
なお、スリット116a〜116k、118a〜118kは、等間隔で周期的に配されていることが望ましいが、不等間隔で非周期的に配するものとしてもよい。また、このような電極構成は、基板100に付加的な応力を発生させないため、光波と高周波との間の速度整合のために基板100の厚さを例えば4μm以下とした場合にも有効に適用することが可能である。
【0024】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る導波路型光素子の構成を示す図である。なお、
図4及び後述する
図5においては、
図1及び
図2に示す第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同じ構成要素については、
図1及び
図2と同じ符号を用いるものとし、上述した第1の実施形態に係る導波路型光素子10における説明を援用するものとする。
【0025】
本導波路型光素子40は、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様の構成を有するが、接地電極106、108に代えて、接地電極406、408を備える。接地電極406、408は、接地電極106、108と同様の構成を有するが、対向部分106a、108a及び後背部分106b、108bに代えて、対向部分406a、408a及び後背部分406b、408bを有する点が異なる。対向部分406a、408a及び後背部分406b、408bは、対向部分106a、108a及び後背部分106b、108bと同様の構成を有するが、後背部分406b、408bにスリットが設けられておらず、対向部分406a、408aに、それぞれ、高周波信号の伝搬方向(すなわち、中心電極104、接地電極406、408の長さ方向)に沿って、中心電極104に向かう方向に向かって開口を有する平面視が矩形のスリット416a〜416k、418a〜418kが設けられている。
【0026】
これらの矩形のスリット416a〜416k、418a〜418kにより、接地電極406の対向部分406aと、接地電極408の対向部分408aとには、それぞれ、高周波信号の伝搬方向に沿って、それぞれが相対抗する2つの界面(すなわち、対応する接地電極406又は408の電極材料の表面)で構成される複数の界面のペアが形成される。
【0027】
図5は、
図4に示す導波路型光素子40のBB矢視断面の斜視図であり、BB断面と共に当該BB断面につながる基板100の上面の一部が示されている。接地電極406及び408は、それぞれ、中心電極104に沿って当該中心電極104と対向する対向部分406a、408aと、後背部分406b、408bとで構成されており、対向部分406a、408aは、当該後背部分406b、408bよりも厚さが薄く形成されている。これにより、中心電極104と接地電極406、408とのインピーダンスが、当該中心電極104、接地電極406、408に接続される駆動回路(不図示)の出力インピーダンスと整合される。対向部分406a、408aは、上記インピーダンスを30〜50Ωに整合する場合には、例えば5μm以下の厚さで形成される。また、対向部分408aの図示部分には、スリット418g、418h、418iが設けられている。
【0028】
上記の構成を有する導波路型光素子40では、高周波信号の伝搬方向に沿って、接地電極406の対向部分406aと、接地電極408の対向部分408aとにそれぞれ設けられた矩形のスリット416a〜416k、418a〜418kにより、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成され、これらの界面のペアが、それぞれコンデンサとして機能する。このため、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様に、中心電極104と接地電極406、408とにより構成される分布定数線路の特性インピーダンスに付加的な容量成分が追加されることとなり、当該線路のS21特性に共鳴点が生じて、広帯域動作が可能となる。
【0029】
なお、スリット416a〜416k、418a〜418kは、等間隔で周期的に配することが望ましいが、不等間隔で非周期的に配するものとしてもよい。また、このような電極構成は、基板100に付加的な応力を発生させないため、光波と高周波との間の速度整合のために基板100の厚さを例えば4μm以下とした場合にも有効に適用することが可能である。
【0030】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る導波路型光素子の構成を示す図である。なお、
図6及び後述する
図7においては、
図1及び
図2に示す第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同じ構成要素については、
図1及び
図2と同じ符号を用いるものとし、上述した第1の実施形態に係る導波路型光素子10における説明を援用するものとする。
【0031】
本導波路型光素子60は、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様の構成を有するが、接地電極106、108に代えて、接地電極606、608を備える。接地電極606、608は、接地電極106、108と同様の構成を有するが、対向部分106a、108a及び後背部分106b、108bに代えて、対向部分606a、608a及び後背部分606b、608bを有する点が異なる。対向部分606a、608a及び後背部分606b、608bは、対向部分106a、108a及び後背部分106b、108bと同様の構成を有するが、後背部分606b、608bに、それぞれ、高周波信号の伝搬方向(すなわち、中心電極104、接地電極606、608の長さ方向)に沿って、中心電極104に向かう方向に向かって開口を有する平面視が矩形のスリット616a〜616k、618a〜618kが設けられている。
【0032】
これらの矩形のスリット616a〜616k、618a〜618kにより、接地電極606の後背部分606bと、接地電極608の後背部分608bとには、それぞれ、高周波信号の伝搬方向に沿って、それぞれが相対抗する2つの界面(すなわち、対応する接地電極606又は608の電極材料の表面)で構成される複数の界面のペアが形成される。
【0033】
図7は、
図6に示す導波路型光素子60のCC矢視断面の斜視図であり、CC断面と共に当該CC断面につながる基板100の上面の一部が示されている。接地電極606及び608は、それぞれ、中心電極104に沿って当該中心電極104と対向する対向部分606a、608aと、後背部分606b、608bとで構成されており、対向部分606a、608aは、当該後背部分606b、608bよりも厚さが薄く形成されている。これにより、中心電極104と接地電極606、608とのインピーダンスが、当該中心電極104、接地電極606、608に接続される駆動回路(不図示)の出力インピーダンスと整合される。対向部分606a、608aは、上記インピーダンスを30〜50Ωに整合する場合には、例えば5μm以下の厚さで形成される。また、後背部分606b、608bの図示部分には、スリット616g、616h、616i、及び618g、618h、618iが設けられている。
【0034】
上記の構成を有する導波路型光素子60では、高周波信号の伝搬方向に沿って、接地電極606の後背部分606bと、接地電極608の後背部分608bとにそれぞれ設けられた矩形のスリット616a〜616k、618a〜618kにより、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成され、これらの界面のペアが、それぞれコンデンサとして機能する。このため、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様に、中心電極104と接地電極606、608とにより構成される分布定数線路の特性インピーダンスに付加的な容量成分が追加されることとなり、当該線路のS21特性に共鳴点が生じて、広帯域動作が可能となる。
【0035】
なお、スリット616a〜616k、618a〜618kは、等間隔で周期的に配することが望ましいが、不等間隔で非周期的に配するものとしてもよい。また、このような電極構成は、基板100に付加的な応力を発生させないため、光波と高周波との間の速度整合のために基板100の厚さを例えば4μm以下とした場合にも有効に適用することが可能である。
【0036】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る導波路型光素子の構成を示す図である。なお、
図8及び後述する
図9においては、
図1及び
図2に示す第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同じ構成要素については、
図1及び
図2と同じ符号を用いるものとし、上述した第1の実施形態に係る導波路型光素子10における説明を援用するものとする。
【0037】
本導波路型光素子80は、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様の構成を有するが、接地電極106、108に代えて、一定の一様な厚さを有する接地電極806、808を備える。接地電極806、808には、それぞれ、高周波信号の伝搬方向(すなわち、中心電極104、接地電極806、808の長さ方向)に沿って、接地電極806、808の深さ方向(厚さ方向)に矩形のトレンチ816a〜816k、818a〜818kが設けられている。
【0038】
これらの矩形のトレンチ816a〜816k、818a〜818kにより、接地電極806、808には、それぞれ、高周波信号の伝搬方向に沿って、それぞれが相対抗する2つの界面(すなわち、対応する接地電極806又は808の電極材料の表面)で構成される複数の界面のペアが形成される。
【0039】
図9は、
図8に示す導波路型光素子80のDD矢視断面の斜視図であり、DD断面と共に当該DD断面につながる基板100の上面の一部が示されている。接地電極806及び808の図示部分には、トレンチ816g、816h、816i、及び818g、818h、818iが設けられている。
【0040】
上記の構成を有する導波路型光素子80では、高周波信号の伝搬方向に沿って接地電極806、808にそれぞれ設けられた矩形のトレンチ816a〜816k、818a〜818kにより、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成され、これらの界面のペアが、それぞれコンデンサとして機能する。このため、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様に、中心電極104と接地電極806、808とにより構成される分布定数線路の特性インピーダンスに付加的な容量成分が追加されることとなり、当該線路のS21特性に共鳴点が生じて、広帯域動作が可能となる。
【0041】
なお、トレンチ816a〜816k、818a〜818kは、等間隔で周期的に配することが望ましいが、不等間隔で非周期的に配するものとしてもよい。また、このような電極構成は、基板100に付加的な応力を発生させないため、光波と高周波との間の速度整合のために基板100の厚さを例えば4μm以下とした場合にも有効に適用することが可能である。
【0042】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第5の実施形態に係る導波路型光素子の構成を示す図である。なお、
図10及び後述する
図11においては、
図1及び
図2に示す第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同じ構成要素については、
図1及び
図2と同じ符号を用いるものとし、上述した第1の実施形態に係る導波路型光素子10における説明を援用するものとする。
【0043】
本導波路型光素子1000は、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様の構成を有するが、接地電極106、108に代えて、一定の一様な厚さを有する接地電極1006、1008を備え、中心電極104に代えて、中心電極1004を備える。中心電極1004には、高周波信号の伝搬方向(すなわち、中心電極1004、接地電極1006、1008の長さ方向)に沿って、中心電極1004の上方(基板100から離れる方向。すなわち、
図10の紙面手前方向。)に開いた矩形のスリット1014a〜1014kが設けられている。
【0044】
これらの矩形のスリット1014a〜1014kにより、中心電極1004には、高周波信号の伝搬方向に沿って、それぞれが相対抗する2つの界面(すなわち、中心電極1004の電極材料の表面)で構成される複数の界面のペアが形成される。
【0045】
図11は、
図10に示す導波路型光素子1000のEE矢視断面の斜視図であり、EE断面と共に当該EE断面につながる基板100の上面の一部が示されている。一定の一様な厚さを有する接地電極1006、1008と、中心電極1004とが設けられており、中心電極1004の図示部分には、スリット1014g、1014h、1014iが設けられている。
【0046】
上記の構成を有する導波路型光素子1000では、高周波信号の伝搬方向に沿って中心電極1004に設けられた矩形のスリット1014a〜1014kにより、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成され、これらの界面のペアが、それぞれコンデンサとして機能する。このため、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様に、中心電極1004と接地電極1006、1008とにより構成される分布定数線路の特性インピーダンスに付加的な容量成分が追加されることとなり、当該線路のS21特性に共鳴点が生じて、広帯域動作が可能となる。
【0047】
なお、スリット1014a〜1014kは、等間隔で周期的に配することが望ましいが、不等間隔で非周期的に配するものとしてもよい。また、このような電極構成は、基板100に付加的な応力を発生させないため、光波と高周波との間の速度整合のために基板100の厚さを例えば4μm以下とした場合にも有効に適用することが可能である。
【0048】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第6の実施形態に係る導波路型光素子の構成を示す図である。なお、
図12及び後述する
図13においては、
図1及び
図2に示す第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同じ構成要素については、
図1及び
図2と同じ符号を用いるものとし、上述した第1の実施形態に係る導波路型光素子10における説明を援用するものとする。
【0049】
本導波路型光素子1200は、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様の構成を有するが、接地電極106、108に代えて、接地電極1206、1208を備える。接地電極1206、1208は、接地電極106、108と同様の構成を有するが、対向部分106a、108a及び後背部分106b、108bに代えて、対向部分1206a、1208a及び後背部分1206b、1208bを有する点が異なる。対向部分1206a、1208a及び後背部分1206b、1208bは、対向部分106a、108a及び後背部分106b、108bと同様の構成を有するが、後背部分1206b、1208bにはスリットが設けられておらず、対向部分1206a、1208aに、それぞれ、高周波信号の伝搬方向(すなわち、中心電極104、接地電極1206、1208の長さ方向)に沿って、中心電極104に向かって開口を有するスリット1216a〜1216k、1218a〜1218kが設けられている。
【0050】
また、スリット1216a〜1216k、1218a〜1218kは、それぞれ、接地電極1206、1208の対向部分1206a、1208aの中心電極104に近い側のエッジから当該中心電極104から離れる方向に所定の距離以内の範囲の開口部において、それ以外の部分のよりも幅が狭く形成されている。
【0051】
これらの矩形のスリット1216a〜1216k、1218a〜1218kにより、接地電極406の対向部分1206aと、接地電極1208の対向部分1208aとには、それぞれ、高周波信号の伝搬方向に沿って、それぞれが相対抗する2つの界面(すなわち、対応する接地電極1206又は1208の電極材料の表面)で構成される複数の界面のペアが形成される。
【0052】
図13は、
図12に示す導波路型光素子1200のFF矢視断面の斜視図であり、FF断面と共に当該FF断面につながる基板100の上面の一部が示されている。接地電極1206及び1208は、それぞれ、中心電極104に沿って当該中心電極104と対向する対向部分1206a、1208aと、後背部分1206b、1208bとで構成されており、対向部分1206a、1208aは、当該後背部分1206b、1208bよりも厚さが薄く形成されている。これにより、中心電極104と接地電極1206、1208とのインピーダンスが、当該中心電極104、接地電極1206、1208に接続される駆動回路(不図示)の出力インピーダンスと整合される。対向部分1206a、1208aは、上記インピーダンスを30〜50Ωに整合する場合には、例えば5μm以下の厚さで形成される。また、対向部分1208aの図示部分には、スリット1218h、1218iが設けられている。
【0053】
上記の構成を有する導波路型光素子1200では、高周波信号の伝搬方向に沿って、接地電極1206の対向部分1206aと、接地電極1208の対向部分1208aとにそれぞれ設けられた矩形のスリット1216a〜1216k、1218a〜1218kにより、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成され、これらの界面のペアが、それぞれコンデンサとして機能する。このため、第1の実施形態に係る導波路型光素子10と同様に、中心電極104と接地電極1206、1208とにより構成される分布定数線路の特性インピーダンスに付加的な容量成分が追加されることとなり、当該線路のS21特性に共鳴点が生じて、広帯域動作が可能となる。
【0054】
さらに、導波路型光素子1200では、スリット1216a〜1216k、1218a〜1218kが、それぞれ、接地電極1206、1208の対向部分1206a、1208aの中心電極104に近い側のエッジから当該中心電極104から離れる方向に所定の距離以内の範囲の開口部において、それ以外の部分のよりも幅が狭く形成されていることから、各スリット1216a〜1216k、1218a〜1218kは、それぞれ対応する後背部分1206b、1208bを背にしたC字状のループを構成する。このC字状のループは、それぞれコイル(インダクタンス)として機能し、中心電極104と接地電極1206、1208とにより構成される分布定数線路の特性インピーダンスに付加的なインダクタンス成分を付加して、当該線路を伝搬する高周波の伝搬速度を遅くする。
【0055】
図14は、
図12に示す導波路型光素子1200における、中心電極104と接地電極1206、1208とにより構成される分布定数線路の等価回路である。L1400、R1402は、それぞれ、スリット1216a〜1216k、1218a〜1218kがない場合の、中心電極104、接地電極1206、1208のインダクタンス成分及び抵抗成分であり、C1404、R1406は、それぞれ、中心電極104と接地電極1206、1208との間のキャパシタンス成分及び抵抗成分である。本実施形態の導波路型素子10では、スリット1216a〜1216k、1218a〜1218kがあることにより、これらのスリットが構成する相対抗する2つの界面がコンデンサとして機能し、接地電極1206、1208に付加的なキャパシタンスC1408が、並列に追加されることとなる。
【0056】
また、各スリット1216a〜1216k、1218a〜1218kは、それぞれC字形の形状によりコイルとして機能し、接地電極1206、1208に付加的なインダクタンスL1410が、直列に追加されることとなる。このため、上述のように、中心電極104と接地電極1206、1208とにより構成される分布定数線路を伝搬する高周波の伝搬速度が遅くなる。これにより、従来のように基板100を薄くして高周波の伝搬速度を速める調整を行いつつ、これと拮抗するように、接地電極(1206、1208)の形状寸法を調整することで高周波の伝搬速度を遅くする方向の調整を行うことができるので、導波路型光素子全体としての設計自由度が向上する。これにより、上述のように、中心電極104と接地電極106、108とにより構成される分布定数線路が変わることによりS21特性の広帯域化が可能となる。
【0057】
なお、スリット1216a〜1216k、1218a〜1218kは、等間隔で周期的に配することが望ましいが、不等間隔で非周期的に配するものとしてもよい。また、このような電極構成は、基板100に付加的な応力を発生させないため、光波と高周波との間の速度整合のために基板100の厚さを例えば4μm以下とした場合にも有効に適用することが可能である。
【0058】
以上、説明したように、上述した実施形態1ないし6に記載した導波路型光素子(10等)では、中心電極(104等)又は接地電極(106等)に、高周波信号の伝搬方向に沿って、スリット(116a等)やトレンチ(816a等)が形成されることにより、それぞれが相対抗する2つの界面で構成される複数の界面のペアが形成されている。これらの界面のペアのそれぞれはコンデンサとして機能するので、上記中心電極と上記接地電極とで構成される分布定数線路のS21特性に共鳴点が生じ、その結果、上記導波路型光素子の更なる広帯域動作が可能となる。