特許第6075796号(P6075796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075796
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170130BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20170130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170130BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20170130BHJP
【FI】
   F21S2/00 433
   F21S2/00 435
   F21S8/04 100
   F21Y115:10
   F21Y103:00
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-509201(P2014-509201)
(86)(22)【出願日】2013年4月4日
(86)【国際出願番号】JP2013060296
(87)【国際公開番号】WO2013151120
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-86845(P2012-86845)
(32)【優先日】2012年4月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】木下 誠二
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−512006(JP,A)
【文献】 特開2005−258011(JP,A)
【文献】 特開2007−180021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/04
F21Y 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板の少なくとも一方の側面側に一次光源が設置され、前記導光板は、出射面、該出射面に対向する底面、及び少なくとも一側面に設けられた前記一次光源から出射された光を入射させる入射端面を有するエッジライト方式の照明装置であって、
X軸と、X軸に直交するY軸で構成されるX−Y平面の法線をZ軸として、前記一次光源はX軸に平行に配置しており、前記導光板は前記X−Y平面に平行に配置しており、前記導光板の入射端面はX−Z平面に平行であり、
前記導光板は、前記底面に所定ピッチで形成されたX軸方向に平行な複数の凹条パターンと、前記出射面に所定ピッチで形成されたY軸方向に平行な複数の凸条パターンを有しており、
前記導光板の出射面から出射される光が、
前記導光板の出射面から出射される光の平均光度をEm、前記導光板の出射面からZ軸方向に出射される光の全ての光度をEtotalとしたときに下記の条件(1)を満足し、
かつ、前記導光板の出射面から出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°、前記出射面から出射される光のX軸方向に対する角度Φが0°のときの、前記導光板の出射面から出射される光の全ての光度Etotal(20°、0°)を
total(20°、0°)=Σ△Pi(20°、0°)/△ω
とし、前記導光板の出射面から出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°、前記出射面から出射される光のX軸方向に対する角度Φが90°のときの、前記導光板の出射面から出射される光の全ての光度Etotal(20°、90°)を
total(20°、90°)=Σ△Pi(20°、90°)/△ωとしたときに、
下記の条件(2)も併せて満足することを特徴とする照明装置。
total/Em>2.0 …条件(1)
total(20°、0°)/Etotal(20°、90°)>1.2 …条件(2)
但し、前記△Pi(θ,Φ)は、前記導光板の出射面を複数の微小区画に仕切ったときに各区画から(θ,Φ)方向に△ωの微小立体角内に出射する光束、Σは、前記導光板の出射面の複数の微小区画についての総和である。
【請求項2】
前記導光板の出射面に形成された前記凸条パターンは、断面が台形状又はレンチキュラーレンズ形状又は放物線状であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記導光板の出射面に形成された前記凸条パターンは、断面形状が下記の式に従う曲線状であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【数4】
【請求項4】
前記導光板の底面に形成された前記凹条パターンは、断面がV字形状で頂角が75°〜105°に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記凹条パターンは、前記入射端面から離れるに従い密に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記導光板の底面側には光を反射する反射シートを有し、前記導光板の出射面側には光学シートを有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記導光板の底面側に、光を反射する反射シートを有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記照明装置は、天井に取り付けて天井照明として用いられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板の少なくとも一方の側面側に配置したLED等の一次光源から光を導光板内に入射して、該導光板の一方の主面(出射面)から光を出射するエッジライト方式の照明装置に関し、特にオフィスや住宅等の天井などに取り付けて使用する照明器具として好適なエッジライト方式の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの発光効率の向上と低価格化によって、LEDを光源とする照明装置が普及してきている。LED光源を用いた照明装置において、特にオフィスや住宅等の天井などに取り付けて使用する照明装置は、当照明装置の出射面と対向する底面側の該平面上に、LEDを格子状に、あるいは放射状に点配列させた直下方式の照明装置が普及している。
【0003】
しかしながら、直下方式の照明装置では、LEDが直接、底面に点状に配置されているため、グレアが強くて直視することができないばかりか、面状の発光体としては明るさの均一性に欠ける。これを軽減するため、乳白色の拡散板等を照明装置のカバーとして用いているが、光の利用効率を低下させている。
【0004】
一方、液晶テレビやパソコン等における液晶表示装置のバックライトとして、エッジライト方式が知られている。エッジライト方式のバックライトには、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの透明高分子からなる透明板状の導光板が設置されている。
【0005】
この導光板の底面には、白色ドット(散乱ドット)が印刷され、このドットの大きさ、密度等を調整することにより、導光板内を伝播している光の一部が、白色ドットにあたった時、散乱されて、視認(出射面)方向へと出射される。
【0006】
エッジライト方式のバックライトは、導光板の少なくとも一方の側面側に配置した一次光源(LED等)から光を導光板内に入射し、該導光板の一方の主面(出射面)全体から光を出射させることで、面状の光で照明することができる。エッジライト方式では1次光源を直視することがないため、グレアが無く、外観品位に優れる。
【0007】
このため、このエッジライト方式のバックライトをオフィスや住宅等の天井などに取り付けて使用する照明器具に適用するようになってきた(例えば、特許文献1参照)。背景にはLEDの発光効率の向上と、価格の低下によって、LEDを光源とする照明器具においては、薄型が可能であり、それに伴い照明装置の軽量化が可能となり、更には、LEDの特長である調光制御できることにより、LEDを光源とするエッジライト方式の照明装置が普及してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−160938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のようなエッジライト方式の照明装置を、オフィスや住宅等の天井などに取り付けて使用する照明器具に適用した場合、この照明装置(エッジライト方式の照明器具)では、例えば正方形状の導光板の主面(出射面)から面状の光として出射し、照明装置の直下及びその周辺を照らすことができる。
【0010】
しかしながら、エッジライト方式の照明装置に用いられている導光板が、白色ドット(散乱ドット)印刷の場合、導光板の主面(出射面)から出射される光は等方的な分布であるため、正面方向を明るく照らすことができず、光の利用効率が高くない。
【0011】
また、オフィスや住宅等の天井などに取り付けて使用する照明装置は、一般的に光を有効に利用しているとはいえない。例えば、オフィスにおいては、机上や通路など、ある特定範囲のみを特に高照度で照らせばよく、天井を高照度にしても意味がない。照明装置の直下照度がより高くなるような照度パターンで照らす必要がある。
【0012】
また、従来のエッジライト方式の照明装置では、導光板の主面(出射面)から出射した面状の光が等方的に広がるため、照明装置の直下照度をより高くするように照らすことができない。更に、導光板の主面(出射面)から出射した面状の光が等方的に広がって照らすため、例えば、照明用途によっては照度分布に異方性を持たせたい場合があっても対応することができない。
【0013】
そこで、本発明は、直下照度をより高めることができ、かつ照度分布に異方性を持たせることができるエッジライト方式の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、導光板の少なくとも一方の側面側に一次光源が設置され、前記導光板は、出射面、該出射面に対向する底面、及び少なくとも一側面に設けられた前記一次光源から出射された光を入射させる入射端面を有するエッジライト方式の照明装置であって、X軸と、X軸に直交するY軸で構成されるX−Y平面の法線をZ軸として、前記一次光源はX軸に平行に配置しており、前記導光板は前記X−Y平面に平行に配置しており、前記導光板の入射端面はX−Z平面に平行であり、前記導光板は、前記底面に所定ピッチで形成されたX軸方向に平行な複数の凹条パターンと、前記出射面に所定ピッチで形成されたY軸方向に平行な複数の凸条パターンを有しており、
前記導光板の出射面から出射される光が、
前記導光板の出射面から出射される光の平均光度をEm、前記導光板の出射面からZ軸方向に出射される光の全ての光度をEtotalとしたときに下記の条件(1)を満足し、
かつ、前記導光板の出射面から出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°、前記出射面から出射される光のX軸方向に対する角度Φが0°のときの、前記導光板の出射面から出射される光の全ての光度Etotal(20°、0°)を
total(20°、0°)=Σ△Pi(20°、0°)/△ω
とし、前記導光板の出射面から出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°、前記出射面から出射される光のX軸方向に対する角度Φが90°のときの、前記導光板の出射面から出射される光の全ての光度Etotal(20°、90°)を
total(20°、90°)=Σ△Pi(20°、90°)/△ωとしたときに、
下記の条件(2)も併せて満足することを特徴としている。
total/Em>2.0 …条件(1)
total(20°、0°)/Etotal(20°、90°)>1.2 …条件(2)
但し、前記△Pi(θ,Φ)は、前記導光板の出射面を複数の微小区画に仕切ったときに各区画から(θ,Φ)方向に△ωの微小立体角内に出射する光束、Σは、前記導光板の出射面の複数の微小区画についての総和である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記導光板の出射面に形成された前記凸条パターンが、断面が台形状又はレンチキュラーレンズ形状又は放物線状であることを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記導光板の出射面に形成された前記凸条パターンが、断面形状が下記の式に従う曲線状であることを特徴としている。
【数1】
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記導光板の底面に形成された前記凹条パターンが、断面がV字形状で頂角が75°〜105°に設定されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記凹条パターンが、前記入射端面から離れるに従い密に形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記導光板の底面側には光を反射する反射シートを有し、前記導光板の出射面側には光学シートを有していることを特徴としている。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記導光板の底面側に、光を反射する反射シートを有していることを特徴としている。
【0021】
請求項8に記載の発明は、前記照明装置が、天井に取り付けて天井照明として用いられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、直下照度に優れ、かつ照度分布に異方性を有しているエッジライト方式の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るエッジライト方式の照明装置を示す分解斜視図。
図2図1のA−A線断面図。
図3】本発明の実施形態における照明装置の導光板の底面に形成した断面がV字状の凹条の斜面に光が入射して出射面側に反射する様子を示した図。
図4A】エッジライト方式の照明装置の鉛直下方に距離Lを隔てて照度測定器を配置した状態を示した図。
図4B】エッジライト方式の照明装置と照度測定器間の距離が無限大と仮定した状態を示した図。
図5】導光板の出射面を複数の微小区画に仕切ったときに、各区画から出射する光束を示した図。
図6】本発明の実施形態における照明装置の直下照度評価値(直下光度/平均光度)の結果を示した図。
図7A】導光板の出射面から出射される光束の照度分布の異方性を説明するための図。
図7B】導光板の出射面から出射される光束の照度分布の異方性を説明するための図。
図8】導光板の出射面から出射される光束のZ軸方向に対する角度θが20°のときにおいて、角度Φが90°の場合の全光度値に対する角度Φが0°の場合の全光度値の比(照度分布の異方性評価値)の結果を示した図。
図9】エッジライト方式の照明装置の照度ムラの測定を説明するための図。
図10A】X軸方向における照度ムラの測定結果を示した図。
図10B】Y軸方向における照度ムラの測定結果を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るエッジライト方式の照明装置を示す分解斜視図、図2は、図1のA−A線断面図である。なお、本実施形態に係るエッジライト方式の照明装置1では、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向を図のように定義し、Y軸方向がこの照明装置1の左右方向、X軸方向が上下方向、Z軸方向が光の出射方向としている。
【0025】
図1図2に示すように、本実施形態に係るエッジライト方式の照明装置1は、透明樹脂(例えば、アクリル樹脂)などから形成された透明構造体である導光板2、この導光板2の左右方向(Y軸方向)の両面(以下、「入射端面」という)2a,2b側にそれぞれ配置された各発光ユニット3a、3b、導光板2の背面(以下、「底面」という)2c側に設置された反射シート4、導光板2の前面(以下、「出射面」という)2d側に設置された光学シートとしての拡散シート5を主構成部材として備えている。なお、この照明装置1をオフィスや住宅等の天井に設置した場合には、反射シート4側が天井面に位置し、拡散シート5側から下方(床面側)に向けて光束が出射される。
【0026】
導光板2の底面2cには、上下方向(X軸方向)に延びる凹条7が所定間隔で複数形成されている。また、導光板2の出射面2dには、左右方向(Y軸方向)に延びる断面形状が台形状の凸条8が、左右方向(Y軸方向)に延びる断面形状が台形状の凹条9を挟むようにして所定のピッチで複数形成されている(導光板2の詳細については後述する)。
【0027】
一次光源としての発光ユニット3a、3bは、導光板2の左右方向(Y軸方向)の両側に上下方向(X軸方向)に沿ってそれぞれ配置されており、各発光ユニット3a、3b内には、導光板2の上下方向(X軸方向)に沿って直線状に所定間隔で光源としてのLED(発光ダイオード)10が複数配置されている。LED10の配置間隔は、例えば数mm〜20mm程度である。なお、光源としてはLED10以外にも、冷陰極管などの連続的な光源であってもよい。
【0028】
各発光ユニット3a、3bの各LED(光源)10から発せられた光は、導光板2の両側の入射端面2a,2bから導光板2内の左右方向(Y軸方向)へ出射される。
【0029】
反射シート4は、導光板2の両側の入射端面2a,2bから入射された光のうちの導光板2の底面2cから外へ出射した光を、再度導光板2へ入射させる機能を有している。この反射シート4は、反射率95%以上のものが光の利用効率が高く望ましい。反射シート4の材質は、アルミ、銀、ステンレスなどの金属箔や、白色塗装、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂などが挙げられる。
【0030】
導光板2の前面側(正面側)である出射面2d側に設置された拡散シート5は、導光板2の出射面2dから出射された光を適度に均一化させて、明暗ムラを抑制して外観を向上させる機能を有している。
【0031】
オフィスや住宅の天井に用いられる照明装置は、直接、照明装置の発光面が視認されるので外観品位が重視されるため、拡散シートを1枚ないしは複数枚使用することがある。
この拡散シート5は、拡散性を有する樹脂で作製された板状物(たとえばPMMA、PC等)でもよく、これらの板を熱成形して3次元形状に加工した保護カバー状であってもよい。一方、オフィスや住宅でも間接照明のように、直接照明装置が視認されないものは、拡散シートあるいは拡散板の使用は必須ではない。ほこり等から照明装置を保護するために、出射側に透明カバー等を設けてもよい。
【0032】
(導光板2の底面2cの構成)
図1に示したように、導光板2の底面2cには、所定のピッチで形成された凹条7が形成されている。これらの凹条7は断面形状がV字状に形成されており、X軸方向に延びている。また、この凹条7のパターンは、入射端面2a,2bからから離れるに従い密に形成されている。
【0033】
導光板2の底面2cに形成した断面がV字状の凹条7は、頂角が75°〜105°に設定されている。また、導光板2の底面2cに形成した凹条7の高さ(深さ)は、0.001mm〜0.1mm程度の範囲内で設定される。
【0034】
そして、本実施形態のように、導光板2の底面2cに形成した凹条7の断面がV字状である場合、V字状の凹条7は入射端面2a,2bに対して平行に形成されており、V字状の凹条7の頂角を前記範囲にすると、出射面2dから出射される光の正面方向の光度をより高くすることができる。また、導光板2の底面2cに形成した凹条7は、導光板2の端から端まで連ねた凹条である必要はなく、凹条7の高さの数倍から数千倍程度のものであってもよい。
【0035】
次に、前記導光板2の底面2cに断面がV字状の凹条(頂角が100°近傍)7が形成されている場合に、正面方向の輝度が向上する原理を、図3を参照して説明する。
【0036】
図1に示した面光源装置1において、導光板2の入射端面2a,2bから入射した光は、導光板2の底面2cに形成されたV字状の凹条7にて所定の方向に反射されて出射面2dから出射したり、V字状の凹条7を透過して一旦導光板2の底面2cから出て、下部に配設されている反射シート4で拡散され、再度導光板2に入射して出射面2dから出射したりするが、正面方向に出射する光は、底面2cのV字状の凹条7にて所定の方向に反射されたものが主たるものである。
【0037】
導光板2の出射面2dと底面2cにおいて、X−Y平面に平行な面で全反射しながら伝播している光のうちには、図3に示す光線Cのように、導光板2の底面2cに設けられたV字状の凹条7の斜面に入射する場合がある。なお、図3では、光線Cの凹条7の斜面に対する仰角は10°であり、Y軸となす角度が23°である。
【0038】
前記光線Cは、V字状の凹条7の斜面にて、入射端面(あるいはX−Z平面)と平行な面上においてZ軸となす角度が22度の方向に反射光C'として全反射される。この反射光の一部は、出射面2dに形成されている断面が台形状の凸条(図3では凸条8')の斜面から出射した場合には、正面方向(Z軸方向)に出射される。このため、正面方向に出射する光の光度を向上させることができる。
【0039】
更に、導光板2の内部を伝播している光のうち、光線Dは出射面2dに形成されている断面が台形状の凸条(図3では凸条8)の斜面において全反射されることにより、光線Cに偏向される。即ち、出射面2dに形成されている断面が台形状の凸条(図3では凸条8)の斜面によって、光線Cが倍増されることになり、正面方向に出射する光の光度をより向上させることができる。
【0040】
なお、図3では、光線DはX−Y平面となす角度が19°であり、Y軸となす角度が16°である。
【0041】
(導光板2の出射面2dの構成)
図2に示すように、導光板2の出射面2dには、所定のピッチで複数形成された断面が台形状の凸条8と、隣接する各凸条8の間に挟まれるようにして断面が台形状の凹条9が形成されている。これらの凸条8および凹条9は、Y軸方向(左右方向)に延びている。
【0042】
前記した凸条8の一般的な高さは、例えば0.001〜0.1mmの範囲内に設定されており、凸条8の一般的な傾斜角度は、例えば30〜60°の範囲内に設定されている。
【0043】
なお、上記説明において導光板2の出射面2dに形成した凸条8は、台形状であったが、これ以外にもレンチキュラーレンズ形状や放物線状、或いは下記式(1)で規定される曲線でもよい。
【0044】
【数2】
【0045】
なお、この式(1)は、式(8)のK、C、D〜Mの各パラメータを限定しない一般式であり、D〜Mのうち少なくともひとつは0でないものである。特に、式(1)中のKは−1であるのが好ましい。
【0046】
そして、本発明の照明装置1は、上記した導光板2の底面2cに形成されたV字状の凹条7と、出射面2dに形成した凸条8を有していることで、以下に述べるように直下照度をより高めることができ、かつ照度分布に異方性を持たせることが可能となった。
【0047】
図4Aに示すように、上記したエッジライト方式の照明装置1を天井11に設置し、その鉛直下方に距離Lを隔てて照度測定器12を置いて、直下照度を測定する場合、導光板2の形状やサイズ、測定器12との測定距離Lの差異によって、直下照度の測定値が変わるため、直下照度がどの程度優れているのかを客観的に判断することが難しかった。
また、同様に照度分布の異方性をどの程度有しているのかを客観的に判断することも難しかった。
【0048】
例えば、測定距離が同じ場合に、導光板のサイズが大きくなると直下照度の測定値も高くなり、導光板のサイズが小さくなると直下照度の測定値も小さくなる。このため、例えばサイズの異なる導光板を有する各照明装置の直下照度を単に測定しただけでは、直下照度が優れているのか否かを客観的に評価できない。
【0049】
そこで、本発明者は導光板のサイズや測定器の測定方法に依存することなく、直下照度がどの程度優れているか否かを判定するための条件、及び照度分布の異方性を有している否かを判定するための条件について考察した結果、後述する条件(1)によって直下照度がどの程度優れているか否かを判断することができ、また、後述する条件(2)によって照度分布の異方性を有している否かを判断することができることを見出した。
【0050】
(直下照度を評価するための条件(1)の説明)
図4Bに示すように、照明装置1と測定器12との間の距離が無限大(∞)と仮定すると、照明装置1を微小な点、測定器12も微小な点と見なすことができる。
【0051】
この場合には、図5に示すように、例えば正方形状の導光板2の出射面を複数の微小区画に仕切ったときに、各区画から出射する光束△Pi(θ=0)は全て直下方向に向いている。よって、図5における導光板2の出射面から直下方向に出射される光束の全ての光度Etotal(θ=0)は、以下の式(2)で表すことができる。
【0052】
なお、θは出射面からの光束のZ軸方向に対する角度を表しており、θ=0は光束の出射方向が直下方向(Z軸方向)であることを表している(図7(A)参照)。△Pi(θ,Φ)は、前記導光板の出射面を複数の微小区画に仕切ったときに各区画から(θ,Φ)方向に△ωの微小立体角内に出射する光束と定義する。
【0053】
total(θ=0)=Σ△Pi(θ=0)/△ω …式(2)
【0054】
また、導光板2の出射面から出射される光束の全ての光度Etotal(θ、Φ)の一般式は、以下の式(3)で表すことができる。なお、ΦはZ軸を中心として、出射面から出射される光のX軸方向に対する角度を表している(図7A参照)。
【0055】
total(θ、Φ)=Σ△Pi(θ、Φ)/△ω …式(3)
【0056】
そして、導光板2の出射面から出射される光の平均光度をEm、導光板2の出射面から出射される全光束をPallとすると、Emは、以下の式(4)で表すことができる。なお、光束の単位はルーメン(lm)である。
【0057】
m=Pall/2π …式(4)
【0058】
そして、導光板2の出射面から出射される光束の平均光度Emの値に対する導光板2の出射面から直下方向に出射される光の全ての光度(直下光度)Etotal(θ=0)の値の比(直下光度/平均光度(=Etotal(θ=0)/Em))を算出することで、この直下光度/平均光度の値(以下、「直下照度評価値」という)から直下照度が優れているのか否かを客観的に評価することができる。
【0059】
図6は、上記した照明装置1の導光板2の出射面2dに形成した凸条8の形状を、レンチキュラーレンズ形状(符号a)、台形状(符号b)、放物線状(符号c)とした場合の直下照度評価値の結果を示す実験データである。なお、導光板2の底面2cには、上記した頂角100°のV字状の凹条7が形成されている。
【0060】
また、図6の符号dは、比較用導光板における直下照度評価値である。この比較用導光板は、本発明のように底面にV字状の凹条と出射面に凸条がそれぞれ形成されていない平面状の両面であり、かつ底面にドット状の反射部が複数形成されている。
【0061】
図6において、レンチキュラーレンズ形状(符号a)の場合では、アスペクト比を20(%)、30(%)、35(%)、40(%)、50(%)に変化させ、台形状(符号b)の場合では、底角を30°、40°、45°、50°、55°、60°に変化させ、放物線状(符号c)の場合では、二次関数の定数aを0.9、1.0、1.1、1.2、1.3に変化させたときの値である。なお、図6の横軸は、これらの数値を変化させてそれぞれ形成した導光板を有する照明装置の種類(1〜6)を示している。
【0062】
なお、前記アスペクト比は、レンチキュラーレンズの垂直断面をトレースする円の半径をRとし、レンチキュラーレンズを形成する円弧のトップから弦までの距離rとすると、r/2R×100(%)となる。
【0063】
図6の直下照度評価値の実験結果から明らかなように、符号dの比較用導光板(底面にドット状の反射部を有する構成)では、直下照度評価値は1.8程度であった。これに対して、本発明の導光板2のように、出射面2dの凸条8の形状を、レンチキュラーレンズ形状(符号a)、台形状(符号b)、放物線状(符号c)に形成し、底面2cにV字状の凹条7を形成した場合では、直下照度評価値は2.3〜4.7程度であり、比較用導光板(符号d)よりも直下方向への出射率が高いことがわかる。
【0064】
よって、直下光度/平均光度(=Etotal(θ=0)/Em)の値(直下照度評価値)が、少なくとも2.0以上であれば、直下照度が優れている照明装置であると判断することができるので、上記した条件(1)は以下のとおりである。
total(θ=0)/Em>2.0 …条件(1)
【0065】
(照度分布の異方性を評価するための条件(2)の説明)
図7A図7Bは、導光板2の出射面から出射される光の照度分布の異方性を説明するための図である。
【0066】
図7Aは、出射面から出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°、出射面から出射される光のX軸方向に対する角度Φが0°であることを表している。図7Aの場合では、導光板2の出射面からの光がX軸方向(各発光ユニット3a、3b(LED10)の配列方向と平行方向)側に斜めに下方に出射している状況を表している。
【0067】
また、図7Bは、出射面から出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°、出射面から出射される光のX軸方向に対する角度Φが90°であることを表している。図7Bの場合では、導光板2の出射面2dからの光がY軸方向(各発光ユニット3a、3b(LED10)の配列方向と直交する方向)側に斜めに下方に出射している状況を表している。
【0068】
図7Aの場合において、導光板2の出射面から出射される光の全ての光度Etotal(θ、Φ)は、式(3)に基づいて、以下の式(5)で表すことができる。
total(20°、0°)=Σ△Pi(20°、0°)/△ω …式(5)
【0069】
また、図7Bの場合において、導光板2の出射面から出射される光の全ての光度Etotal(θ、Φ)は、式(3)に基づいて、以下の式(6)で表すことができる。
total(20°、90°)=Σ△Pi(20°、90°)/△ω …式(6)
【0070】
そして、本発明では、導光板2の出射面から光束が出射されるときに、図7A図7Bの場合における照度分布の異方度を、以下の式(7)のように定義する。
total(20°、0°)/Etotal(20°、90°) …式(7)
【0071】
即ち、例えば出射面2dから出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°のときにおいて、角度Φが90°の場合の全光度値に対する角度Φが0°の場合の全光度値の比を算出することで、この比の値(以下、「照度分布の異方性評価値」という)から照度分布の異方性の度合いを客観的に評価することができる。
【0072】
図8は、出射面2dから出射される光のZ軸方向に対する角度θが20°のときにおいて、角度Φが90°の場合の全光度値に対する角度Φが0°の場合の全光度値の比(照度分布の異方性評価値)の結果を示す実験データである。図8では、上記した照明装置1の導光板2の出射面2dに形成した凸条8の形状を、レンチキュラーレンズ形状(符号a)、台形状(符号b)、放物線状(符号c)とした場合の照度分布の異方性評価値の結果を示している。なお、導光板2の底面2cには、上記した頂角100°のV字状の凹条7が形成されている。
【0073】
また、図8の符号dは、比較用導光板の照度分布の異方性評価値である。この比較用導光板は、本発明のように底面にV字状の凹条と出射面に凸条がそれぞれ形成されていない平面状の両面であり、かつ底面には印刷ドット呼称される白色ドット(散乱ドット)が印刷され、反射部が複数形成されている。
【0074】
図8において、レンチキュラーレンズ形状(符号a)の場合では、アスペクト比を20(%)、30(%)、35(%)、40(%)、50(%)に変化させ、台形状(符号b)の場合では、底角を30°、40°、45°、50°、55°、60°に変化させ、放物線状(符号c)の場合では、二次関数の定数aを0.9、1.0、1.1、1.2、1.3に変化させたときの値である。なお、図8の横軸は、これらの数値を変化させてそれぞれ形成した導光板を有する照明装置の種類(1〜6)を示している。
【0075】
図8の照度分布の異方性評価値の実験結果から明らかなように、符号dの比較用導光板(底面にドット状の反射部を有する構成)では、照度分布の異方性評価値は0.8程度であり、これは、Φ=0°方向よりも、Φ=90°方向への出射が多いことを示している。
【0076】
換言すると導光板内部の光伝播方向に平行な方向に出射光が多く、光の伝播方向と直交する方向には少ないことを示している。これに対して、本発明の導光板2のように、出射面2dの凸条8の形状を、レンチキュラーレンズ形状(符号a)、台形状(符号b)、放物線状(符号c)に形成し、底面2cにV字状の凹条7を形成した場合では、照度分布の異方性評価値は1.2〜1.9程度であり、いずれも1以上である。
【0077】
即ち、本発明の導光板を用いた場合、Φ=90°方向よりも、Φ=0°方向への出射が多いことを示している。換言すると導光板内部の光伝播方向と直交する方向に出射光が多いことを示しており、性能が大きく異なっている。比較用導光板(符号d)よりも照度分布に異方性を有していると判断できる。
【0078】
よって、上記した照度分布の異方度(Etotal(20°、0°)/Etotal(20°、90°)式(5))が、少なくとも1.2以上であれば、照度分布に異方性を有している照明装置であると判断することができるので、上記した条件(2)は以下のとおりである。
total(20°、0°)/Etotal(20°、90°)>1.2 …条件(2)
【0079】
このように、導光板2の底面2cにV字状の凹条7を形成し、導光板2の出射面2dに台形状(又はレンチキュラレンズ形状や放物線状)の凸条8を形成して、上記の条件(1)、条件(2)を満足するように設定しているので、直下照度に優れ、かつ照度分布に異方性を有しているエッジライト方式の照明装置1を提供することができる。
【0080】
上記したように、本発明のエッジライト方式の照明装置1は照度分布に異方性を有している。そこで、例えば、図9に示すように前記照明装置1を天井に設置して、直下からX軸方向(各発光ユニット3a、3b(LED10)の配列方向と平行方向)、及びY軸方向(各発光ユニット3a、3b(LED10)の配列方向と直交する方向)に沿った周辺部での照度ムラの測定を行った。なお、図9に示した照明装置1は、一辺が600mmの正方形状であり、床(測定面)から2m上方の天井に設置されている。
【0081】
図10Aは、上記した照明装置1の導光板2の出射面2dに形成した凸条8の形状を、レンチキュラーレンズ形状(符号a)、台形状(符号b)、放物線状(符号c)とした場合のX軸方向における照度ムラの測定結果であり、図10Bは、Y軸方向における照度ムラの測定結果である。なお、導光板2の底面2cには、上記した頂角100°のV字状の凹条7が形成されている。図10A図10Bにおいて、レンチキュラーレンズ形状(符号a)のアスペクト比は20(%)、台形状(符号b)の底角は50°、放物線状(符号c)の二次関数の定数aは1.1である。
【0082】
なお、図10Aの横軸のA、B、Cは直下照明領域からのX軸方向の測定位置(300mm、600mm、900mm)であり、図10Bの横軸のD、E、Fは直下照明領域からのY軸方向の測定位置(300mm、600mm、900mm)である。
【0083】
図10A図10Bでは、照明装置1の真下の照度を基準にして(照度ムラが1.00とした場合)、この数値が1.00から小さくなるほど照度が低下していることを意味している。即ち、照度ムラの数値が1.00に近いほど直下の照度に近く、照度ムラの数値が小さいほど照度が低くなっている。
【0084】
従って、図10Aに示すX軸方向においては、測定位置C(900mm)でも照度ムラが0.65〜0.78程度であり、照度があまり低下していない。一方、図10Bに示すY軸方向においては、測定位置D(300mm)での照度ムラが0.70〜0.79程度で、測定位置C(900mm)での照度ムラが0.40程度であり、照度がX軸方向よりも大幅に低下している。
【0085】
このように、本発明のエッジライト方式の照明装置1は、X軸方向に対しては照度分布の均一性を増して、Y軸方向に対しては照度分布に大きな異方性を有するようにして照らすことができる。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
WO2006/013969号公報の実施例に記載の方法に準じて、高さH0.02mmで天端面に0.02mmの平坦部をもち、斜面の傾斜角が50°の断面が台形状の凹条パターンを形成し、前記台形状の凹条パターンは幅が0.054mmで、隣り合うパターン間には0.006mmの平坦部をもつ出射面側のスタンパ1を作製した。
【0087】
一方、底面側のスタンパ(以下、スタンパ2)は、高さ0.006mmで頂角が100°(傾斜角R=40°)のプリズムパターンを所定の間隔で配列させ、同様にニッケル電鋳層を形成し、この原盤を剥離して作製した。
【0088】
これらのスタンパ1及びスタンパ2を転写型として射出成形機の金型固定側キャビティと金型可動側キャビティに組み込み、射出成形法にて導光板を得た。得られた導光板の外寸は横×縦×高さが600×600×3(mm)であった。
【0089】
当該導光板は、出射面が台形状の凸条と凹条が交互に配置されており、底面にはV字状の凹条が高さ0.006mm、平均底角にあたる凹条の入射端面側のX軸に平行な斜面の底面に対する平均斜度Rは40°であり、V字状の凹条のピッチは入射端面側0.557mmから導光板の中央部0.121mmまで漸次緩やかに減少するように変化させた。
【0090】
また、発光ユニットとして、サンケン電気株式会社製の型番SEPWA2001のマルチチップLEDモジュール(外寸13.7mm、発光長11.4mm)を用いた。
【0091】
1次光源を形成するために43個の発光ユニットを等間隔(13.9mm)で配置させて、当該導光板の底面の凹条パターンと平行する端面を入射端面とし、この入射端面をX軸に平行に配置させ、この対向する2つの入射端面に沿って、1次光源を配置させた。この発光ユニットは対向する2つの入射端面に配置されるため、計2×43=86個用いた。
【0092】
そして、導光板の底面2cには反射シート4(東レ株式会社製:型番E6SL)を配設し、これらの部材を金属フレームに収納させた。そして、この上からポリスチレン製の支持枠にて背面の金属フレームを結合させた。
【0093】
このようにして形成した照明装置において、各発光ユニットに対してインバーターをつないで100Vコンセントに接続できるようにして、光学性能を測定した。全光束は、当該照明装置をラブスフェア社製の積分球に入れて測定した。この測定値を2πで除算して平均光度を求めた。
【0094】
光度測定は輝度計(コニカミノルタセンシング株式会社製:CA2000)を用いた。導光板の中心から、3m離間した位置に測定器を設置して、導光板の発光領域を該包含するように輝度測定領域を決めて、平均輝度を求めた。この平均輝度を見かけの測定面積を掛けて光度を求めた。当光度は導光板の発光面の中心を基準に、導光板の出射面の法線方向に対して、20°傾いた方向において、X軸方向に傾けたときの光度E(20°,0°)とY軸方向に傾けたときの光度E(20°,90°)、正面方向の光度E(θ=0)を測定した。
【0095】
この結果、直下照度評価値は3.86、照度分布の異方性評価値:E(20°,90°)/E(20°,0°)は、1.37であった。
【0096】
また、当該照明装置から2m離間した平面において、図9に示すA、B、C、D、E、F地点と直下に、照度計(コニカミノルタセンシング株式会社製:T-10M)を置いて、照度を測定し、A/D、B/E、C/Fの照度比を求めた。
【0097】
この結果、直下照度は、200 lx、A/D=1.28、B/E=1.64、C/F=1.76となり、照度分布に異方性があった。
【0098】
(実施例2)
実施例1において、出射側のスタンパに形成された凹条をレンチキュラーパターンとして、そのアスペクト比のみを種々変更して、導光板を作製する。なお、凹条のレンチキュラーパターンは幅が0.05mmで、隣り合うパターン間には0.001mmの平坦面を有する。
【0099】
表1に得られた導光板を実施例1と同じ照明装置に組み込んだとして、光学評価を行った結果を数値計算により求め、まとめた。数値計算は、実施例1の実測値に合うように条件を定めて行った。
【0100】
【表1】
【0101】
いずれも直下照度評価値は2以上、異方性評価値も1.2以上であり、2m下の照度評価面における照度比も異方性を示していた。
【0102】
(実施例3)
実施例1において、出射側のスタンパに形成された凹条のパターンを、凹条の断面形状が放物線状のものに変更して、導光板を作製する。前記放物線の断面形状はy=ax2で定義され、係数aを種々変更した。なお、前記放物線状のパターンは幅が0.05mmで、隣り合うパターン間には0.001mmの平坦面を有する。
【0103】
表2に得られた導光板を実施例1と同じ照明装置に組み込んだとして、光学評価を行った結果を数値計算により求め、まとめた。
【0104】
【表2】
【0105】
いずれも直下照度評価値は2以上、異方性評価値も1.2以上であり、2m下の照度評価面における照度比も異方性を示していた。
【0106】
(実施例4)
実施例1において、出射側のスタンパに形成された凹条のパターンを、凹条の断面形状が下記の式(8)に従う曲線状のものに変更して、導光板を作製した。なお、前記曲線状のパターンは幅が0.06mmで、隣り合うパターン間には0.001mmの平坦面を有する。
【0107】
【数3】
【0108】
得られた導光板を実施例1と同じ照明装置に組み込んで、光学評価を行った。この結果、直下照度評価値は、3.68、照度分布の異方性評価値は、1.32であった。
【0109】
また、直下照度は、206 lx、A/D=1.27、B/E=1.52、C/F=1.57となり、照度分布に異方性があった。
【0110】
(実施例5)
実施例2において、出射側のスタンパに形成された凹条をアスぺクト比20%のレンチキュラーパターンに固定して、導光板の底面のV字状凹条の頂角を変更した場合である。
【0111】
表3に得られた導光板を実施例1と同じ照明装置に組み込んだとして、光学評価を行った結果を数値計算により求め、まとめた。
【0112】
【表3】
【0113】
V字状凹条の頂角が75°、85°、100°では、直下照度評価値、照度分布の異方性評価値共に条件を満たしていたが、V字状凹条の頂角が105°では、直下照度評価値、照度分布の異方性評価値共に条件を満たしておらず、特に直下照度において低い値となった。また、V字状凹条の頂角が70°では照度分布の異方性評価値が条件を満たしておらず、照度分布も等方的であった。
【0114】
(実施例6)
実施例4において、出射側のスタンパに形成された凹条のパターンにおいて、式(8)で定義されるパターンに固定して、導光板の底面のV字状凹条の頂角を変更した場合である。
【0115】
表4に得られた導光板を実施例1と同じ照明装置に組み込んだとして、光学評価を行った結果を数値計算により求め、まとめた。
【0116】
【表4】
【0117】
V字状凹条の頂角が80°、95°、100°では、直下照度評価値、照度分布の異方性評価値共に条件を満たしていたが、V字状凹条の頂角が70°、105°では、照度分布の異方性評価値の条件を満たしておらず、照度分布が等方的になった。
【0118】
(実施例7)
実施例3において、出射側のスタンパに形成された凹条のパターンにおいて、放物線の2次係数が1.1で定義されるパターンに固定して、導光板の底面のV字状凹条の頂角を変更した場合である。
【0119】
表5に得られた導光板を実施例1と同じ照明装置に組み込んだとして、光学評価を行った結果を数値計算により求め、まとめた。
【0120】
【表5】
【0121】
V字状凹条の頂角が80°、100°、105°では、直下照度評価値、照度分布の異方性評価値共に条件を満たしていた。
【0122】
V字状凹条の頂角が75°では、図9の2倍角領域内の照度均一性が高く、ほぼ照度が均一であり、これより外側(3倍角領域から外側)から照度分布の異方性が発現していた。また、V字状凹条の頂角が70°では、照度分布の異方性評価値の条件を満たしておらず、照度分布は導光方向(Y軸方向)と平行な方への出射がやや多い、照度分布になった。
【0123】
(比較例1)
この比較例は、PMMA製の平板(板厚3mm)の底面に印刷ドットを付与して導光板を作製した場合である。
【0124】
導光板の底面には、入光端面から遠ざかるほど密になるように粗密を付けた白色印刷ドットを設け(導光板中央部でドット密度大)、輝度分布を所定の分布にした。得られた導光板を実施例1と同じ照明装置に組み込んで、光学評価を行った。
【0125】
この結果、直下照度評価値は、1.80であり、照度分布の異方性評価値は、0.98であり、Y軸と平行方向への出射成分が、X軸と平行方向の出射成分より多く、本発明品と分布と逆であった。
【0126】
また、直下照度は、118 lx、A/D=0.97、B/E=0.98、C/F=0.98となり、照度分布はほとんど等方的であった。
【関連出願の相互参照】
【0127】
本願は、2012年4月5日に日本国特許庁に出願された特願2012−86845号に基づく優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 照明装置
2 導光板
2c 底面
2d 出射面
3a、3b 発光ユニット
4 反射シート
5 拡散シート
7 凹条
8 凸条
10 LED
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B