(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076246
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】ゾーン依存熱効率性を備えた温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20170130BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20170130BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20170130BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H05H1/46 M
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
H01L21/205
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-514240(P2013-514240)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公表番号】特表2013-535099(P2013-535099A)
(43)【公表日】2013年9月9日
(86)【国際出願番号】US2011039183
(87)【国際公開番号】WO2011156240
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】13/111,384
(32)【優先日】2011年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/354,158
(32)【優先日】2010年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】マハデスワラスワミー チェタン
(72)【発明者】
【氏名】ベラ カロル
(72)【発明者】
【氏名】エリザガ ラリー ディー
【審査官】
小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−329926(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/049054(WO,A1)
【文献】
特開2009−272535(JP,A)
【文献】
特開2006−140455(JP,A)
【文献】
特表2002−503765(JP,A)
【文献】
特開2002−129331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバ部品であって、
プラズマ処理チャンバ内に配置された作業面と、
作業面の下にあるに部品内に配置された第1チャネルであって、第1チャネルは、第1熱伝導流体を伝導するためのものであり、作業面の第1温度ゾーンの下にある第1チャネルの第1長さは、作業面の第2温度ゾーンの下にある第1チャネルの第2長さよりも低い熱伝達率を含み、第1チャネルの第2長さは、第1チャネルの第1長さの下流に流体連通しており、第1チャネルの第2長さは、作業面の第2温度ゾーンの温度を制御するためのものである第1チャネルと、
作業面の第1温度ゾーンの下にある部品内に配置された第2チャネルであって、第2チャネルは、第2熱伝導流体を伝導するためのものであり、第1チャネルは、第2チャネルから分離されており、第1チャネルの第1長さに沿った熱伝達率は、第1温度ゾーン内の第2チャネルの長さに沿ったものよりも低く、第2チャネルの長さは、作業面の第1温度ゾーンの温度を制御するためのものである第2チャネルとを含むプラズマ処理チャンバ部品。
【請求項2】
第1温度ゾーンは、第2温度ゾーンに隣接して配置される請求項1記載の部品。
【請求項3】
第1チャネルは、第1チャネルの第2長さの下流にあり第1温度ゾーンの下にある第3長さを更に含み、第1チャネルの第3長さに沿った熱伝達率は、第1チャネルの第2長さに沿ったものよりも低い請求項2記載の部品。
【請求項4】
第1チャネルの第1長さは、第2長さに対して熱抵抗を高める熱抵抗材料のチャネルスリーブを含む請求項1記載の部品。
【請求項5】
第1チャネルは、第2長さに沿ってよりも第1長さに沿って作業面の下により大きな距離で配置されている請求項4記載の部品。
【請求項6】
断熱層が、第1チャネルと、第1チャネルの第1長さの少なくとも一部に沿った作業面との間に配置され、これによって第1チャネルの第2長さに対して熱抵抗を高める請求項4記載の部品。
【請求項7】
断熱層は、排気された空間又は非金属材料を含む請求項6記載の部品。
【請求項8】
第1チャネルの第1長さに沿った伝熱面積は、第1チャネルの第2長さに沿ったものよりも小さい請求項1記載の部品。
【請求項9】
第1チャネルは、第2長さに沿って第1長さには無い多数のフィンを含む請求項1記載の部品。
【請求項10】
第1チャネルの第1長さは、第1チャネルの第2長さの第2断面積よりも大きな第1断面積を有し、これによって第1チャネルの第1長さと第2長さの間の流速を変化させる請求項1記載の部品。
【請求項11】
処理チャンバ内に配置されたワークピースの処理中にプラズマを励起するために処理チャンバに結合されたプラズマ電源と、
第1熱伝導流体ループによってヒートソース又はシンクに結合された温度制御された部品を含む処理チャンバであって、第1流体ループは温度制御された部品に埋め込まれた第1チャネルの第1及び第2長さを通過し、第1チャネルの第1長さは部品の第1温度ゾーンの下にあり、第1チャネルの第2長さは部品の第2温度ゾーンの下にあり、第1チャネルの第1長さは第1チャネルの第2長さよりも低い熱伝達率を含み、第1チャネルの第2長さは第1チャネルの第1長さの下流に流体連通しており、第1チャネルの第2長さは部品の第2温度ゾーンの温度を制御するためのものである処理チャンバと、
作業面の第1温度ゾーンの下にある部品内に配置された第2チャネルを有する第2熱伝導流体ループであって、第1チャネルは第2チャネルから分離しており、第1チャネルの第1長さに沿った熱伝達率は第1温度ゾーン内の第2チャネルの長さに沿ったものよりも低く、第2チャネルの長さは部品の第1温度ゾーンの温度を制御するためのものである第2熱伝導流体ループとを含むプラズマ処理装置。
【請求項12】
温度制御された部品は、ガス分配シャワーヘッド又は基板支持チャックであり、第1温度ゾーンは、第2温度ゾーンを囲むシャワーヘッド又はチャックの環状部分を含む請求項11記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、「ゾーン依存熱効率性を備えた温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品」の名称で2010年6月11日に出願された米国仮特許出願第61/354,158号、及び、「ゾーン依存熱効率性を備えた温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品」の名称で2011年5月19日に出願された米国特許出願第13/111,384号の利益を主張し、これら全体の内容を参照として本明細書内に援用する。
【0002】
1)分野
本発明の実施形態は、概してプラズマ処理装置に関し、特に、プラズマ処理チャンバ内でワークピースの処理中に温度を制御する方法に関する。
【0003】
2)関連技術の説明
プラズマ処理チャンバ(例えば、プラズマエッチング又はプラズマ蒸着チャンバ)内では、チャンバ部品の温度は、しばしば処理の間に制御すべき重要なパラメータである。例えば、基板ホルダー(一般にチャック又は台座と呼ばれる)の温度は、(例えば、エッチング速度を制御するために)処理レシピの間においてワークピースを様々な制御された温度に加熱/冷却するために制御することができる。同様に、シャワーヘッド/上部電極又は他の部品の温度も、処理(例えば、エッチングレートの均一性)に影響を与えるように処理レシピの間に制御することができる。
【0004】
多くの場合、プラズマ処理チャンバの設計上の様々な制約は、望まれていない部品の部分内に熱伝達をもたらすように、温度制御される部品へ熱伝達媒体を導入することが必要となる。例えば、処理ガス分配シャワーヘッド又はワークピースチャックは、別々の設定温度に独立して制御することができる、又はゾーン間で全く異なる熱負荷をうまく扱うことができる複数のゾーンを有し、第1温度ゾーン(すなわち、ターゲットゾーン)の制御用に利用される熱伝達媒体は、ターゲット温度ゾーンへ又はターゲット温度ゾーンからつながる第2温度ゾーン(すなわち、二次的なゾーン)の近傍も通過する可能性がある。このように、複数の温度ゾーンを独立して駆動することは、二次的なゾーン内にゾーン間の著しいクロストークと共に著しい温度不均一性を導入する可能性がある。
【0005】
プラズマ処理がプラズマ処理装置によって実行されるとき、処理又はチャンバ部品の温度を制御するための部品及びシステムが、本明細書内に記載されている。特定の実施形態では、作業面を有するプラズマ処理チャンバ部品が、プラズマ処理チャンバ内に配置される。第1熱伝導流体チャネルは、作業面の下にある部品内に配置され、作業面の第1ゾーンの下にある第1チャネルの第1長さは、作業面の第2ゾーンの下にある第1チャネルの第2長さとは異なる熱伝達率h又は伝熱面積Aを含む。例えば、第2長さが第1長さの下流にある場合、第1長さは第2長さよりも低い熱伝達率hを有し、これによって第1熱伝導流体は第1ゾーン温度において、第1熱伝導流体が第2ゾーンにおいて有するよりも低い効果(例えば、減少した熱伝達率
)を有する。実施形態では、異なる熱伝達率又は伝熱面積が温度ゾーンの関数として提供されており、これによって第1及び第2温度ゾーンの温度制御をより独立にする。
【0006】
部品が作業面の第1ゾーンの下に配置された第2熱伝導流体チャネルを含む別の一実施形態では、第2チャネルの長さに沿った熱伝達率又は伝熱面積は、第1チャネルの第1長さのものよりも大きくされ、これによって第2チャネルを通過する第2熱伝導流体は、第1チャネルの第1長さを通過する第1熱伝導流体よりも第1ゾーン温度に大きな影響を与えることができる。部品が基板チャック又は処理ガスシャワーヘッドである例示的な一実施形態では、作業面は円形であり、第1ゾーンは第2ゾーンを囲む円形の作業面の環状部分を含む。
【0007】
特定の実施形態では、熱伝導流体チャネルの長さは、熱伝達率や伝熱面積のいずれかを調節するように設計される。特定の一実施形態では、第1長さに沿った熱伝達率は、チャネルの第1長さの周りにおける熱抵抗材料のスリーブの組み込みを介して第2長さよりも低くされ、これによって第2長さに対して熱抵抗を増加させる。別の一実施形態では、第1チャネルの第1長さは、第2長さに沿った作業面よりも第1長さに沿った作業面の下により大きな距離で配置され、及び/又は第2熱伝導流体チャネルの長さよりも大きな距離で配置される。断熱層(例えば、排出(排気)空間又は非金属材料)が、更に、又は代替で、第1チャネルと、第1長さの少なくとも一部に沿った作業面との間に配置され、第2長さに対して熱抵抗を増加させてもよい。
【0008】
実施形態では、第1長さに沿った伝熱面積は、第2長さよりも小さくされ、例えば、第2長さに沿って、第1長さには存在しないフィンの組み込みを介して行われる。
【0009】
実施形態は、温度制御された部品がヒートシンク/ヒートソースに結合されたプラズマ処理チャンバ(例えば、プラズマエッチング又はプラズマ成膜装置)を含む。温度制御された部品は、第1熱伝導流体ループによって第1ヒートシンク/ソースに結合することができ、第1流体ループは、温度制御された部品の第1及び第2に埋め込まれたチャネルの第1及び第2長さをそれぞれ通過することができる。温度制御された部品は、第2熱伝導流体ループによって第2ヒートシンク/ソースに更に結合することができ、第2流体ループは、第1ゾーンのみに埋め込まれたチャネルの長さを通過することができる。第1チャネルの第1長さは、第2長さ及び/又は第2チャネルとは異なる熱伝達率又は伝熱面積を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態は、詳細に指摘され、明細書の結論部分において、特許請求の範囲を明確に定めている。しかしながら、機構及び操作方法の両方に関する本発明の実施形態、更にそれらの目的、構成、及び利点は、添付図面と共に読むとき、以下の詳細な説明を参照することによって、最も理解することができる。
【
図1A】本発明の一実施形態に係る、複数の温度ゾーンを有する作業面を含む温度制御プラズマ処理チャンバ部品のレイアウト図である。
【
図1C】本発明の一実施形態に係る、第1ゾーン内の作業面の温度変化を示す、
図1Aに示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品の平面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のA−A’線に沿った断面図を示す。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のB−B’線に沿った断面図を示す。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のA−A’線に沿った断面図を示す。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のB−B’線に沿った断面図を示す。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のA−A’線に沿った断面図を示す。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のB−B’線に沿った断面図を示す。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のA−A’線に沿った断面図を示す。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のB−B’線に沿った断面図を示す。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のA−A’線に沿った断面図を示す。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る、
図1に示された温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品のB−B’線に沿った断面図を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係る、温度制御された処理ガスシャワーヘッドを含むプラズマエッチングシステムの概略図を示す。
【
図8】本発明の一実施形態に係る、温度制御された基板支持チャックを含むプラズマエッチングシステムの概略図を示す。
【0011】
以下の詳細な説明において、多数の具体的な詳細が、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために記載されている。しかしながら、他の実施形態がこれらの特定な詳細なしに実施できることを当業者は理解しているだろう。他の例では、周知の方法、手順、部品及び回路は、本発明を不明瞭にしないように詳細に説明されていない。
【0012】
「結合された」及び「接続された」といった用語及びこれらの派生語は、本明細書内では、部品間の構造的関係を記述するために用いることができる。これらの用語は互いに同義語として意図されていないことを理解すべきである。むしろ、特定の実施形態において、「接続された」は、2以上の要素が互いに直接物理的に又は電気的に接触していることを示すために用いることができる。「結合された」は、2以上の要素が互いに直接的又は(間に他の介在要素を有して)間接的に、物理的に又は電気的に接触していること、及び/又は2以上の要素が(例えば、因果関係のように)互いに協働又は相互作用することを示すために用いることができる。
【0013】
部品のターゲット温度ゾーンの外側に配置されたチャネルの一部が、部品のターゲットゾーン内に配置された第1チャネルの一部よりも低い熱伝達率h又は伝熱面積Aを有するように設計された第1熱伝導流体チャネルを含むプラズマチャンバ部品が本明細書内で説明される。熱伝達率h及び/又は伝熱面積Aを低減させることによって、熱力学的駆動力ΔTがターゲット温度ゾーンの外側で最大である場合でさえ、ターゲットゾーンの外側の部品の作業面の温度への、ターゲットゾーンの外側の第1チャネル部を通って流れる熱伝導流体の効果を低減させることができる。これは、第1熱伝導流体チャネルがターゲットゾーンにアクセスするために内部を通る第2温度制御ゾーンを含むプラズマチャンバ部品にとって特に有利である。このように、第2ゾーン内の作業面の温度は、第1熱伝導流体チャネルが機能しにくくなるようにして、第2ゾーン内の表面温度の均一性を改善することができる。
【0014】
一実施形態では、温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品は、プラズマ処理チャンバ(例えば、更に
図7及び
図8に図示されるプラズマエッチングシステム)内に配置された作業面を含む。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る、例示的な温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100の配置図である。第1の例示的実施形態では、更に
図7に示されるように、部品100は、処理ガスをプラズマ処理チャンバに内部を通して供給することができる処理ガス分配シャワーヘッドである。第2の例示的実施形態では、更に
図8に示されるように、部品100は、プラズマ処理動作中にワークピースを載置するワークピース支持チャック又は台座である。更に別の実施形態では、例示的実施形態に対して本明細書内で説明される構成/機能を提供するように使用される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品は、チャンバ壁ライナーを含む。
【0015】
第1及び第2の例示的実施形態に対して、部品100は、プラズマに曝されることが可能な(例えば、シャワーヘッド用の実施形態)又はワークピースを支持することが可能な(例えば、チャック用の実施形態)円形の作業面126を含む。
図1Aにおいて、作業面126は、作業面126の下にある(下方の)熱伝導流体チャネルを可視化する目的のために透明と見なすことができる。しかしながら、作業面126は、典型的には半導体(例えば、シリコン)、陽極酸化された表面(例えば、Al
2O
3)、セラミックス(例えば、酸化イットリウム)、又は従来のプラズマ処理装置用のその他の材料が可能である。図示されるように、温度ゾーン105は環状形状を有し、一方温度ゾーン110は円形形状であり、部品100の「内側」及び「外側」温度ゾーンを形成するように、温度ゾーン105によって囲まれている。ゾーン105及び110の環状配置は、半導体/マイクロエレクトロニクス/電気光学製造技術において標準の円盤状ウェーハ基板を処理するように構成されたプラズマ処理装置の円筒対称の一機能である。他の実施形態では、2つの温度ゾーンが、単に隣接していてもよい(例えば、太陽電池製造で標準のインラインプラズマ処理装置用等)ことを理解すべきである。
【0016】
一実施形態では、温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品は、作業面126の下にあり、プラズマ処理装置に結合された熱伝導流体ループの一部を形成する少なくとも1つの熱伝導流体チャネルを含む。複数の温度ゾーンのうちの1以上を制御する目的のために、熱伝導流体は、部品100(具体的には、熱負荷が配置される作業面126)から/へ熱を伝達する目的に適した当該技術分野で公知の任意の熱伝導流体が可能である。適切な熱伝導流体の例としては、水ベースの混合物(例えば、Galden(商標名)(Solvay S.A.から入手可能)又はFluorinert(商標名)(3M Companyから入手可能))が含まれる。図示の例示的な実施形態では、第1熱伝導流体チャネルは、複数の流体チャネル長さ112A、113A及び114Aを含む。図示されるように、熱伝導流体1は、部品100から出て、第1チャネル長さ112Aを通って、第1チャネル長さ112Aの下流の第2チャネル長さ113Aへ、第2チャネル長さ113Aの下流の第3チャネル長さ114Aへ、そして部品100へ流れ込む。チャネル長さ112A、113A、114Aは、作業面126の下になるように、部品100内に埋め込まれている。
【0017】
一実施形態では、温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品は、複数の温度ゾーンを含む。一般に、温度ゾーンは、プラズマ処理チャンバ内に配置された作業面の隣接する/周りの領域であり、温度ゾーンは、互いに独立した設定温度に制御可能である。温度ゾーンの独立性は、(ターゲットゾーンの温度を制御するために提供されたような)異なるゾーン内の異なる熱伝導流体の流れが、別のゾーン(例えば、二次的なゾーン)の温度に影響を与えることを防ぐ。例えば、フィードバック/フィードフォワード制御のいくつかの形態が利用され、制御アルゴリズムにしたがって、第1ゾーンは大量の熱伝導流体の流れを必要とし、第2ゾーンは熱伝導流体の流れを必要としない場合、第2ゾーンを経由して第1ゾーンにアクセスする熱伝導流体チャネルを通った大量の流れは、第2ゾーンの温度を変えるべきではない。
【0019】
一実施形態では、温度制御された部品内で複数の熱伝達要素を介して複数の温度ゾーンが提供される。熱伝達要素は、当該技術分野で公知の任意のもの(例えば、熱伝導流体チャネル、熱電(TE)素子、抵抗発熱体等)が可能である。第1熱伝導流体チャネルを含む例示的な実施形態では、第1熱伝導流体チャネルとの組み合わせで第2、第3等の発熱体を追加することによって、複数の温度ゾーンを提供することができる。例えば、第1熱伝導流体チャネルは、TE素子又は抵抗発熱体と組み合わせることができる。しかしながら、
図1Aに示される例示的な実施形態では、第1熱伝導流体チャネルは、複数の温度ゾーンを提供するために、第2熱伝導流体チャネル107Aに結合される。具体的には、第2熱伝導流体チャネル107Aは、温度ゾーン105の下にある。図示されるように、第2熱伝導流体チャネル107Aのすべての長さ132A、133A及び134Aは温度ゾーン105内にあり、これによって流体2は、別の温度ゾーンを通過することなく、部品100内へ及び部品100から供給される。
【0020】
一実施形態では、温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100は、複数の温度ゾーン内のチャネル長さを有する少なくとも1つの熱伝導流体チャネルを含む。
図1Aで示される例示的な実施形態では、第1熱伝導流体チャネルは、温度ゾーン105(例えば、長さは112A及び114A)と温度ゾーン110(例えば、長さは113A)の両方のチャネル長さを有する。したがって、流体1の少なくとも供給及び/又は回収は、温度ゾーン105を通過する。熱伝導流体チャネルのパス構成に応じて、第1ゾーン(例えば、温度ゾーン105)のチャネル長さは、隣接する第2ゾーン(例えば、温度ゾーン110)のチャネル長さにほぼ等しい長さとすることができる。第2温度ゾーン(例えば、温度ゾーン110)が、第2熱伝導流体チャネルを介して制御されようとも、他のもの(例えば、TE要素)を介して制御されようとも、複数の温度ゾーン内にチャネル長さをもつ少なくとも1つの熱伝導流体チャネルを有することは、隣接する温度ゾーン間で望ましくないクロストーク(例えば、大きな
及び
の項)を誘導し、
図1Bに示されるように、部品の作業面温度に大きな変化を誘導する可能性がある。それにもかかわらず、他のハードウェアの制約(例えば、処理ガス分配アセンブリ、リフトピンアセンブリ等)は、そのような流体チャネルのレイアウトを促す場合がある。
【0021】
更に、
図1Aに示されるようには、追加の熱伝導流体チャネルを部品100に組み込み、これによって表面温度の制御(例えば、熱伝導率の均一性)を向上させることができる。例えば、温度ゾーン110は、部品の中心軸101の周りで長さ112A、113A、及び114Bに(すなわち、方位θに対して)対称となるように部品100内に配置された長さ112B、113B、及び114Bを含む第3熱伝導流体チャネルを更に含み、これによって温度ゾーン110内に流体1の第2平行供給源(パラレルソース)を提供する。同様に、温度ゾーン105は、部品の中心周りで第2対称熱伝導流体チャネル107Aに対称になるように、部品100内に配置された第4熱伝導流体チャネル107Bを更に含む。チャネル107A及びチャネル107Bのように、「A」サフィックスの付いた参照番号の特性は、「B」サフィックスの付いた同じ参照番号にも適用できることを理解した上で、議論を明瞭にするために、長さ112A、113A、114A、112B、113B、及び114Bは、選択的に参照される。
【0022】
実施形態では、ターゲット温度ゾーン内の熱伝導流体チャネル長さは、ターゲット温度ゾーンの外側(すなわち、二次的な温度ゾーン内)の熱伝導流体チャネル長さとは異なる熱伝達係数h又は異なる伝熱面積Aを有する。一実施形態では、作業面の第1ゾーンの下にある第1チャネルの第1長さは、作業面の第2ゾーンの下にある第1チャネルの第2長さとは異なる熱伝達係数hを含む。
図1Aで示される例示的な実施形態では、チャネル長112Aに沿った熱伝達係数hは、チャネル長さ113Aに沿った熱伝達係数hとは異なる。特定の実施形態では、チャネル長さ112Aに沿った熱伝達係数hは、チャネル長さ113Aに沿った熱伝達係数hよりも低い。
【0023】
別の一実施形態では、作業面の第1ゾーンの下にある第1チャネルの第1長さは、作業面の第2ゾーンの下にある第1チャネルの第2長さとは異なる伝熱面積Aを含む。
図1Aで示される例示的な実施形態では、チャネル長さ112Aに沿った伝熱面積Aは、チャネル長さ113Aに沿った伝熱面積Aとは異なる。特定の一実施形態では、チャネル長さ112Aに沿った伝熱面積は、チャネル長さ113Aに沿った伝熱面積よりも小さい。
【0024】
更なる実施形態では、熱伝達係数h及び/又は伝熱面積Aを第2チャネル長さよりも第1チャネル長さに沿って低くする量は、2つのチャネル長さ間のΔTのいかなる減少よりも大きく、これによってΔTが下流長さに対してよりも大きくなることが予想される可能性のあるチャネルの上流長さに対してさえも、第1チャネル長さ内において相対的により低い熱伝達率が達成される。
図1Aに示される例示的実施形態において、チャネル長さ112Aに沿った製品のhAは、チャネル長さ113Aに沿った製品のhAよりも低い。
【0025】
更なる一実施形態において、第2長さの下流側で、また第1ゾーンの下にある第1熱伝導流体チャネルの第3長さは、第2長さに沿ったものよりも低い熱伝達係数h又は伝熱面積Aを有する。例えば、
図1Bに戻って参照すると、長さ114Aは、長さ113A(ターゲットゾーン110内の長さ)に沿ったものよりも低い熱伝達係数h及び/又は伝熱面積Aを有する。このように、非ターゲットゾーン(例えば、105)内に配置された第1チャネル(例えば、112A)に対して、熱伝達係数h及び/又は伝熱面積Aのどちらか又は両方が十分低減されている場合、第1ゾーンの下に配置された第2チャネル(例えば、107A)とのクロストークは十分に低減でき、第2チャネルが第2温度で第2熱伝導流体を伝導する場合は、第1ゾーン内の作業面(例えば、126)の温度は、(例えば、
図1Cに示されるように)第1ゾーンでターゲットとされた第2熱伝導流体によって設定温度に均一に制御することができる。
【0026】
図2Aは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のA−A’線に沿った断面図を示している。部品100は、少なくとも第1層220と第2層225を含むマルチレベル(多平面)アセンブリである。例えば、各層220及び225は、単一レベル部品に標準の材料であってもよい。特定の実施形態では、第2層225は、作業面126全域に亘って熱拡散抵抗を低減する高い熱伝導性を有する材料でできている。しかしながら、他の実施形態では、第2層225は、熱伝導流体チャネルに最も近い作業面126の領域に熱伝達を局所化させるために低い熱伝導性を有する材料でできている。
【0027】
部品100は、層220内に形成されたチャネル長さ114Aと、層225内に形成されたチャネル長さ113Aとによる、複数の熱伝導流体チャネルレベルを更に含む。第1及び第2熱伝導流体レベルは、キャッピング層227内に形成されたコネクタ228を介して相互接続されている。特定の一実施形態では、部品100の第1層220は、第1熱伝導流体チャネル長さ(例えば、長さ114A)の第1パターンを形成するように加工される。その後、キャッピング層227が、第1熱伝導流体チャネルの位置に対応するコネクタ228をもつように加工され、第1レベル200に固定(例えば、ろう付け、はんだ付け、熱結合等)され、これによって第1熱伝導流体チャネルを閉じ込める。第2層255も同様に、第2熱伝導流体チャネル長さ(例えば、長さ113A)の第2パターンを形成するように加工され、第2層225が同様にキャッピング層227に固定される。例えば、より大きな距離に起因するより低い熱伝達係数及び/又はチャネル長さ113Aに対して作業面126とチャネル長さ114Aの間の(相対的により低い熱伝導性を有するように選択可能な)追加のキャッピング層227のために、二次的ゾーン(例えば、ゾーン105)の熱抵抗R
1をターゲットゾーン(例えば、ゾーン110)内の熱抵抗R
2よりも実質的に大きくすることができる。
【0028】
更に、
図2Aに示されるように、第1チャネルの長さ114Aに沿った熱伝達係数h及び/又は伝熱面積Aは、第2チャネル107Aの等しい長さに沿ったものよりも低い。第2チャネル107Aがゾーン105内の作業面126の温度制御を提供することをターゲットとする場合、第2チャネル107Aは、長さ114よりも作業面126により近接するように層225内に配置される。
図1Aに示されるような実施形態では、第2チャネル107A全体がゾーン105と共に配置される場合、すべての長さ132A、133A及び134Aを層225内に配置することができる。しかしながら、セクション132A及び134Aは、方位角θに沿った中心軸101の周りの対称性に影響を与える可能性があるので、層220内にあってもよい。
【0029】
図2Bは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のB−B’線に沿った断面図を示している。更に図示されるように、例えば、より大きな距離に起因するより低い熱伝達係数及び/又は作業面126と第1及び第3熱伝導流体チャネル長さ112B及び114Bの間の(相対的により低い熱伝導性を有するように選択可能な)追加のキャッピング層227のために、非ターゲット温度ゾーン105内の熱伝導流体チャネルの第1及び第3長さ112B及び114Bの両方は、より大きな熱抵抗R1と結びついている。
【0030】
一実施形態では、温度制御された部品は、作業面と、非ターゲット温度ゾーン内の熱伝導流体チャネルの長さとの間に配置された断熱層を含み、これによってターゲット温度ゾーン内に位置する熱伝導流体チャネルの第2長さに対して熱抵抗を増す。断熱層は、部品100のバルクよりも相対的に低い熱伝導性の領域を含む。
図3Aは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のA−A’線に沿った断面図を示している。図示されるように、断熱層330は、少なくともチャネル長さ114Aの一部と作業面126との間に配置され、これによって作業面126とチャネル長さ113A内の点との間の熱抵抗R2に対して、作業面126とチャネル長さ114A内の点との間の熱抵抗をR1に増加させる。一実施形態において、断熱層330は、排気された又は希薄な空間を含む。断熱層330は、熱伝導流体チャネル113と同様に、層225内にチャネルとして形成することができる。しかしながら、断熱層330はキャッピング層227によって密閉され、これによって断熱層330の下にはコネクタ228は提供されず、熱伝導流体を伝導しないボイドが層225内に形成される。他の実施形態では、層225内に形成されたチャネルは、層225のバルクよりも低い熱伝導率を有する材料(例えば、セラミックス、プラスチック、ポリイミド、テフロン(商標名)、カプトン(商標名)等の非金属材料)で満たされている。代替の一実施形態では、キャッピング層227は、キャッピング層227の対向面(それぞれが層220及び225と結合する)の間の希薄空間を組み込むか、又は相対的により低い熱伝導率の材料を含むかのいずれかによって、更に断熱層の機能を果たすことができる。
【0031】
図3Bは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のB−B’線に沿った断面図を示している。図示されるように、例えば、作業面126と第1及び第3熱伝導流体チャネル長さ112B及び114Bの間の層225のバルクよりも相対的に低い熱伝導性を有する断熱層に起因するより低い熱伝達係数hのために、非ターゲット温度ゾーン105内の熱伝導流体チャネルの第1及び第3長さ112B及び114Bの両方は、より大きな熱抵抗R1と結びついている。
【0032】
一実施形態では、熱伝導流体チャネルは、ターゲット温度ゾーン内の長さに沿って、ターゲットゾーンの外側チャネル長さには存在しない多数のフィンを含み、これによってターゲットゾーン内のチャネル長さに対して伝熱面積Aはより大きく作られる。
図4Aは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のA−A’線に沿った断面図を示している。図示されるように、ゾーン110内において、チャネル長さ113Aは、チャネル長さ114Bに対してチャネル長さ113Aの伝熱面積/長さ(A/L)を増加させる複数のトポロジカルな形状440(例えば、フィン)を含む。このように、チャネル長113Aに沿った累積的な熱抵抗R2/長さは、チャネル長さ114Bに沿った熱抵抗R1/長さよりも小さくすることができる。特定の更なる実施形態では、トポロジカルな形状440は、第2熱伝導流体チャネル107Aにも提供することができる。
【0033】
図4Bは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のB−B’線に沿った断面図を示している。図示されるように、例えば、熱伝導流体チャネル長さ112B及び114B内にトポロジカルな形状440が存在しないことに起因するより低い伝熱面積/長さ(A/L)のために、非ターゲット温度ゾーン105内の熱伝導流体チャネルの第1及び第3長さ112B及び114Bの両方は、より大きな熱抵抗R1と結びついている。
図4A及び
図4Bに更に示されるように、熱伝導流体チャネルの長さの間の伝熱面積の調整は、層225及びチャネルの単一レベルのみを含む簡素化されたアセンブリを可能にする場合がある。もちろん、本明細書内に記載されるほとんどすべての実施形態は、他の実施形態と組み合わせることができるので、マルチレベルのチャネル構成(例えば、
図2A〜
図3B)も、様々なチャネル長さ間の熱伝導率の差異を高めるために、伝熱面積の調整と組み合わせて実施することができる。
【0034】
一実施形態では、熱抵抗材料は、熱伝導流体チャネル長さの周囲にスリーブを形成し、これによってこのようなチャネルスリーブを欠いたチャネルの第2長さに対して熱抵抗を増加させる。
図5Aは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のA−A’線に沿った断面図を示している。図示されるように、熱抵抗チャネルスリーブ550が、チャネル長さ114Bの少なくとも一部に沿って存在している。熱抵抗材料は、例えば、断熱層の実施形態に対して説明したものの何れかでもよいが、断熱材の実施形態と熱抵抗スリーブの実施形態の主な相違は、熱抵抗材料は、熱伝導流体チャネルと作業面との間に存在するのに加えて、熱伝導流体チャネルの側壁に隣接して配置される。
図5Aに更に示されるように、熱抵抗スリーブ550は、作業面の反対側のチャネルの面に更に配置され、熱抵抗材料によってチャネルを完全に取り囲む場合がある。しかしながら、他の実施形態では、熱抵抗スリーブ550は、(例えば、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のB−B’線に沿った断面図を示す
図5Bに示されるように)チャネルの3面のみに存在する。
【0035】
熱抵抗チャネルスリーブの実施形態は更に、部品の単一チャネルレベル構造(例えば、層225内に埋め込まれた構造)を可能にする場合がある。選択された熱抵抗材料に応じて、熱抵抗スリーブ550を形成するために、当該技術分野で公知の多くの技術を利用することができる。例えば、コーティング処理は、層225に加工されたチャネルの長さに/から選択的に塗布及び/又は選択的に除去することができる。他の実施形態では、熱抵抗材料に置き換えた層225の大きな領域は、その後、熱抵抗材料内にチャネルを形成するために加工される。
図5Bに更に示されるように、例えば、第1及び第3熱伝導流体チャネル長さ112B及び114Bに沿った抵抗スリーブ550に起因するより低い熱伝達係数のために、非ターゲット温度ゾーン105内の熱伝導流体チャネルの第1及び第3長さ112B及び114Bの両方は、より大きな熱抵抗R1と結びついている。
【0036】
別の一実施形態では、熱伝導流体チャネル長さは、第2長さの第2断面積よりも大きい第1断面積を有し、これによって稼働中に流体チャネルを通過するとき、熱伝導流体内で発生する対流の程度を調節する。
図6Aは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のA−A’線に沿った断面図を示している。図示の例示的実施形態では、チャネル長さ114Bに沿った断面積は、チャネル長114Bの少なくとも一部に沿った熱伝導流体の層流を確保するために十分大きく、一方、チャネル長さ113Bに沿った断面積は、チャネル長さ113Bの少なくとも一部に沿った熱伝導流体の乱流を誘導するのに十分小さい。チャネル長さ114B及び113B内の熱伝導流体の速度の両方が乱流又は層流状態にある他の実施形態では、長さ114B及び113Bの長さ内の異なる流体の速度はそれにもかかわらず、より高い熱伝達を提供するより高い速度をもつ2つの長さの間の異なる熱伝達係数hをもたらす。熱伝導流体チャネルの断面積は、本明細書内に記載される他の実施形態(例えば、
図2A〜
図5B)と組み合わせて調整することができることも理解すべきである。
【0037】
図示の実施形態において、チャネル断面積は、より大きな断面積の場所(例えば、チャネル長さ114Bを覆う非ターゲット温度ゾーン内)にレリーフを有し、より小さな断面積の場所(例えば、チャンバ長さ113Bを覆うターゲット温度ゾーン内)に全キャッピング層厚さを有するようにキャッピング層227を機械加工することによって調整される。
図6Bは、本発明の一実施形態に係る、
図1に示される温度制御されたプラズマ処理チャンバ部品100のB−B’線に沿った断面図を示している。図示されるように、例えば、熱伝導流体チャネル長さ112B及び114B内における層流の/低速の流形が低減した対流に起因するより低い熱伝達係数hのために、非ターゲット温度ゾーン105内の熱伝導流体チャネルの第1及び第3長さ112B及び114Bの両方は、より大きな熱抵抗R1と結びついている。
図6A及び
図6Bに更に示されるように、熱伝導流体チャネルの長さの間の伝熱面積の調整は、層225及びチャネルの単一レベルのみを含む簡素化されたアセンブリを可能にする場合がある。より大きな断面積は、チャネルの横幅を増加させることによって提供され得ることにも留意すべきである。
【0038】
図7及び
図8は、本発明の一実施形態に係る温度制御された部品を含むプラズマエッチングシステムを示している。プラズマエッチングシステム700は、当該技術分野で既知の高性能エッチングチャンバの任意のタイプが可能であり、例えば、米国カリフォルニア州のアプライドマテリアルズ(Applied Materials)によって製造されるEnabler(商標名)、MxP(商標名)、MxP+(商標名)、Super−E(商標名)、DPS II AdvantEdge(商標名)G3、又はE−MAX(商標名)チャンバが挙げられるが、これらに限定されない。他の市販のプラズマエッチングチャンバは、同様の温度制御された部品を含むことができる。例示的な実施形態は、プラズマエッチングシステム700の文脈で説明されているが、本明細書内に記載される温度制御システムのアーキテクチャは、温度制御された部品に熱負荷を与える他のプラズマ処理システム(例えば、プラズマ蒸着システム等)にも適応可能であることに更に留意すべきである。
【0039】
プラズマエッチングシステム700は、接地されたチャンバ705を含む。基板710は、開口部715を通してロードされ、チャック721にクランプされる。基板710は、プラズマ処理技術分野で標準的に採用される任意のワークピースが可能であり、本発明はこの点において限定されない。プラズマエッチングシステム700は、温度制御された処理ガスシャワーヘッド735を含む。図示の例示的実施形態では、処理ガスシャワーヘッド735は、複数のゾーン110(中央部)及び105(端部)を含み、各ゾーンは設定温度に独立して制御できる。他の実施形態は、2つを超えるゾーンのいずれかを有する。複数のゾーンをもつ特定の実施形態では、n個のヒーターゾーンと、m個のクーラントゾーンがあり、nはmに等しい必要はない。例えば、図示の実施形態では、単一のクーラントループ(m=1)は、2つの温度ゾーン(n=2)を通過する。処理ガスは、ガス供給源745から、マスフローコントローラ749を通って、シャワーヘッド735を通って、チャンバ705の内部に供給される。チャンバ705は、大容量真空ポンプスタック755に接続された排気弁751を通して排気される。
【0040】
プラズマ電力がチャンバ705に印加されると、プラズマが基板710の上方の処理領域内に形成される。プラズマバイアス電源725は、チャック721(例えば、カソード)に結合され、プラズマを励起する。プラズマバイアス電源725は、通常、約2MHz〜60MHzの低周波数を有し、特定の実施形態では、13.56MHz帯である。例示的な実施形態では、プラズマエッチングシステム700は、プラズマバイアス電源725と同じRF整合器727に接続される約2MHz帯で動作する第2プラズマバイアス電源726を含む。プラズマ電源730は、整合器731を介して電源を供給するプラズマ生成要素に結合され、プラズマを誘導的に又は容量的に励起する。プラズマ電源730は、典型的には、プラズマバイアス電源725より高い周波数(例えば、100〜180MHz)を有し、特定の実施形態では、162MHz帯である。
【0041】
温度コントローラ775は、ソフトウェア又はハードウェア又はソフトウェアとハードウェア両方の組み合わせのいずれであってもよい。温度コントローラ775は、シャワーヘッド735と、ヒートソース及び/又はプラズマチャンバ705の外部のヒートシンクとの間の熱伝達率に影響を与える制御信号を、少なくとも温度センサ766及び767に基づいて出力することができる。例示的な実施形態では、温度コントローラ775は、熱交換器/冷却装置777及び782(又は熱交換器/冷却装置777及びTE要素、抵抗ヒーター等)に、直接的又は間接的に結合されている。
【0042】
熱交換器/冷却装置777は、シャワーヘッド735を熱交換器/冷却装置777と熱的に結合する熱伝導流体ループ778を介してシャワーヘッド735に冷却力を供給することができる。典型的な実施形態では、熱伝導流体ループ778は、シャワーヘッド735の内側ゾーン110及び外側ゾーン105の両方に埋設されたクーラントチャネルを介して(例えば、第1ゾーンに近接して入力し、他方のゾーンに近接して出力して)、液体(例えば、−15℃の設定温度でDI水に50%のエチレングリコール)を通過させ、したがって、別々のゾーン間のチャネルの熱伝達を区別するために本明細書に記載の実施形態のいずれかを組み込むことができる。温度コントローラ775は、クーラント液パルス幅変調(PWM)ドライバ780に結合されている。クーラント液PWMドライバ780は、一般的に入手可能であり、弁がデジタルである(つまり、完全に開いているか、完全に閉じているかのバイナリ状態を有する)実施形態において、温度コントローラ775によって送信される制御信号に応じたデューティーサイクルで弁720を動作させるように設定可能な任意のタイプのものが可能である。例えば、PWM信号は、コンピュータ(例えば、コントローラ770)のデジタル出力ポートによって生成することができ、その信号はオン/オフの位置に弁を制御するリレーを駆動するために使用することができる。
【0043】
図7に示される実施形態では、システム700は、熱伝導流体ループ779を介してシャワーヘッド735に冷却力を供給する第2熱交換器/冷却装置782を含む。例示的な実施形態では、シャワーヘッド735の外側ゾーン105のみに埋設されたクーラントチャネルを介して、冷たい液体(例えば、−15℃の設定温度でDI水に50%のエチレングリコール)を通過させた熱伝導流体ループ779が採用されている。温度コントローラ775は、クーラント液パルス幅変調(PWM)ドライバ781に結合され、これによってオン/オフの位置に弁720を制御するリレー等を駆動する。
【0044】
図8は、本発明の一実施形態に係る、温度制御された基板支持チャックを含むプラズマエッチングシステム800の概略図を示しており、2つの温度制御された部品を含むプラズマエッチングシステム用に、
図7で示されるシャワーヘッドの実施形態と組み合わせることができる。
図8に更に示されるように、チャック721は、内側ゾーン110及び外側ゾーン105を含み、各々は別のヒートソース/シンク(熱交換器/冷却装置777、778)に結合される。図示されるように、熱交換器/冷却装置777は、内側ゾーン110のみを通過するチャック721内の熱伝導流体チャネルに結合され、一方、熱交換器/冷却装置778は、外側ゾーン105と内側ゾーン110の両方を通過するチャック721内の熱伝導流体チャネルに結合され、したがって、別々のゾーン間のチャネルの熱伝達を区別するために本明細書に記載の実施形態のいずれかを組み込むことができる。
【0045】
上記の説明は、限定的なものではなく、例示的であることを意図していることを理解すべきである。上記の説明を読んで理解すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかであろう。本発明は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されているが、本発明は上記実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内における修正及び変更とともに実施することができることが理解されるであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的の意味であると見なすべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照し、そのような特許請求の範囲に与えられた権利に相当するものの全範囲とともに決定されるべきである。