(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
1.2導体RFアプリケータ
図1〜
図22は、本発明の第1の態様又は第1の実施形態に係る2導体伝送線RFアプリケータ10の様々な実施形態を示している。
【0021】
RFアプリケータ10は、内側導体14と外側導体20を含む。外側導体20は、第1及び第2の端部24、25間に延びる主要部21を有する。同様に、内側導体14は、第1及び第2の端部16、17間に延びる主要部15を有する。内側導体の主要部15は、外側導体20の主要部21内に配置され、外側導体20の主要部21から離間している。
【0022】
我々は、RFアプリケータ10を対向する第1及び第2の端部12、13を有するものと呼び、これによってRFアプリケータの第1の端部12は、内側及び外側導体のそれぞれの第1の端部16、24に隣接しており、RFアプリケータの第2の端部13は、内側及び外側導体のそれぞれの第2の端部17、25に隣接している。
【0023】
外側導体20の主要部21は、外側導体の主要部の内面及び外面22、23の間に延びる複数の開口部30を含む。内面22は、内側導体の主要部15に対向している。以下に説明されるような誘電体カバー40を含む実施形態では、外側導体の主要部の外面23は、誘電体カバーの主要部41の内面44に対向している。
【0024】
動作時において、RF電源70、74の出力が、内側導体14と外側導体20との間に接続されている場合、RF電磁波は、内側及び外側導体のそれぞれの主要部15、21間の空間18を通って伝播する。この電磁波内のRF電力の一部は、開口部30から放射し、それによってRFアプリケータの外側でRF電力を放射する。
【0025】
RFアプリケータが、
図1〜
図4に示されるように、プラズマチャンバの真空エンクロージャ60内にあるならば、RFアプリケータによって放射されるRF電力は、プラズマチャンバ内のガス及びプラズマによって吸収され、これによりガスをプラズマ状態に励起するか、又は既存のプラズマを維持するだろう。
【0026】
本発明は、同時に2つのワークピース62を処理するプラズマチャンバ内での使用に特に有利である。その場合、本発明に係るRFアプリケータ10は、
図1及び
図2に示されるように、プラズマチャンバの真空エンクロージャ60内の2つのワークピース62の間に配置することができ、これによって2つのワークピースに隣接して等しいプラズマ密度を提供する。オプションで、複数のRFアプリケータ10のアレイを、プラズマチャンバの真空エンクロージャ内に配置して、これによって単一のRFアプリケータよりも広い領域にわたってRF電力を分配することができる。例えば、複数のRFアプリケータ10は、2つのワークピース間の等距離にある幾何学的平面内で離間させることができる。
【0027】
RFアプリケータは、プラズマが開口部30に入るのを防ぐために、誘電体カバー40と、第1及び第2のシール装置52、53を含むのが好ましい。これは、「3.誘電体カバーと導体間の誘電体」と題される本特許明細書の次のセクションで説明される。
【0028】
図2に示されるように、1つのRF電源70だけが、RFアプリケータに接続されている場合、RFアプリケータ内を伝搬する電磁波は、電界がRFアプリケータの長さに沿って4分の1波長毎に最大値及び最小値を交互にしている定在波の空間的分布パターンを有するだろう。この定常波パターンでは、電界の軸方向成分は、電界の径方向成分が最小値を有する点で最大であり、逆もまた同様である。軸方向の電界の定在波パターンの最大近くに位置する任意の開口部30は、軸方向の電界の定在波パターンの最小の近くに位置する同じ大きさ及び向きのいかなる開口部よりもはるかに多くの電力を放射するだろう。
【0029】
外側導体の長手方向の寸法Lに沿って半波長間隔で発生する軸方向電界の定在波パターンの連続する最大値の箇所だけに開口部20を配置することも可能であろう。しかしながら、定常波パターンは、プラズマチャンバ内の動作条件の関数としてシフトするので、最大値の位置を予測することは困難である。したがって、1つのRF電源70だけがRFアプリケータに接続される場合、外側導体の長手方向の寸法に沿って開口部を4分の1波長未満に離間するのが好ましく、その場合、定在波の最大値の場所を予測する必要がない。
【0030】
本発明と、スロット付き中空導波管のRFアプリケータを採用した従来の設計との間の主な違いは、本発明は、RF電源70からのRF電圧を受けるように接続することができる別個の内側及び外側のRF給電の導体14、20を有することである。(換言すれば、内側導体14と外側導体20との間でRF電圧を生成するようにRF電源を接続することができる。)これとは対照的に、中空導波路RFアプリケータの導波路は、RF給電ではなく、単に中空導波路が囲む誘電体を通して伝播する波を閉じ込めるための導電性の境界として機能する。中空導波路は、その横方向の幅が一定のサイズを超えることを必要とする波がそれ以下では伝播しなくなるカットオフ周波数を有することがよく知られている。RFアプリケータの横方向の幅を小さくすることは、RFアプリケータの表面に隣接する表面反応によって消費されるプラズマチャンバ内の試薬の割合を減少させるのに有益である。スロット付き中空導波管RFアプリケータに対する本発明の有益な利点は、本発明は、カットオフ周波数又は要求される最小寸法を有していないことである。
【0031】
本発明では、内側及び外側導体14、20は特定の形状を必要としない。
図4〜6では、内側導体14の主要部15及び外側導体20の主要部21の主要部分15は各々、円形断面を有する。
図7は、外側導体20の主要部21が楕円形の断面を有するRFアプリケータ10の代替実施形態を示す。
図8は、内側及び外側導体14、20のそれぞれの主要部15、21が、各々矩形断面を有するRFアプリケータ10の代替実施形態を示す。
【0032】
内側導体は、外側導体と同じ形状である必要はない。例えば、RFアプリケータは、
図8のような矩形断面を有する外側導体20と組み合わせて、
図7のような円筒形の内側導体14を有することができる。
【0033】
図示された実施形態のすべてにおいて、内側及び外側導体は、同軸上に配置されており、形状はストレートで管状である。しかしながら、これは本発明の要件ではない。例えば、内側及び外側導体は、湾曲形状、蛇行形状、又はジグザグ形状を有することができる。
2.RF電源への接続
【0034】
1つ又は2つのRF電源70、74からRFアプリケータ10への電気的接続の詳細についてここで説明する。
【0035】
動作時には、第1のRF電源70は、内側導体14と外側導体20との間で第1のRF電圧を生成するように接続される。第2のRF電源74が、内側導体14と外側導体20との間で第2のRF電圧を生成するように接続されるのが好ましいがオプションである。
【0036】
両方のRF電源が使用される場合、第1及び第2のRF電源70、74のRF出力は、
図1に示されるように、RFアプリケータの第1及び第2の端部12、13にそれぞれ接続されるのが好ましい。
図2に示されるように、第1のRF電源のみを使用する場合は、そのRF出力は、内側及び外側導体14、20上の任意の場所に接続することができる。
【0037】
より具体的には、
図1のように両方のRF電源が使用される場合、第1のRF電源70は、内側導体14の第1の端部16と外側導体20の第1の端部24との間で第1のRF電圧を生成するように接続されるのが好ましい。同様に、第2のRF電源74は、内側導体14の第2の端部17と外側導体の第2の端部25との間で第2のRF電圧を生成するように接続されるのが好ましい。
【0038】
あるいはまた、
図2のように第1のRF電源のみが使用される場合、その出力は、内側導体14上の任意の場所と外側導体20上の任意の場所との間にRF電圧を生成するように接続することができる。第1のRF電源は、RFアプリケータの第1の端部12に接続され、終端インピーダンス79は、RFアプリケータの第2の端部13に接続されるのが好ましい。具体的には、第1のRF電源70は、内側導体14の第1の端部16と外側導体20の第1の端部24との間でRF電圧を生成するように接続されるのが好ましい。終端インピーダンス79は、内側導体14の第2の端部17と外側導体20の第2の端部25との間に接続されるのが好ましい。
【0039】
終端インピーダンス79は、任意の電気インピーダンスであることができる。例えば、終端インピーダンス79は、電気的短絡又は従来の同調プランジャとすることができ、オプションで、内側及び外側導体14、20の長手方向の寸法Lに沿って移動可能であることができる。
【0040】
動作中、第1の及びオプションで第2のRF電源70、74によって供給されるRF電力は、内側導体及び外側導体14、20のそれぞれの主要部15、21の間の空間18内に電磁界を生成し、これはRFアプリケータの第1及び第2の端部12、13の間のこのような空間18の長さに沿ってRF電磁波として伝搬する。
【0041】
図2のように、1つのRF電源70のみが、内側及び外側導体に接続されている場合は、RFアプリケータ内を伝播する波は、定在波になるだろう。
【0042】
あるいはまた、
図1のように、2つの独立した(すなわち、位相コヒーレントではない)RF電源70、74が、内側及び外側導体の反対の端部に接続されている場合、RFアプリケータ内を伝搬する波は、移動波となるだろう。後者の場合、各電源は、1つのRF電源から反対のRF電源まで伝搬する波がRFアプリケータ内へ反射して戻ることを防止し、これによってRFアプリケータ内で定在波が生成されるのを防止する目的のために、従来のRFアイソレータ78をその出力に含むのが好ましい。
【0043】
電源70、74のすべての出力は、浮いた状態として、すなわち電気的接地に接続されないように、
図1及び
図2に示されている。あるいはまた、各電源からの出力の1つは電気的に接地することができる。
【0044】
我々は、RF電源70、74の出力をRFアプリケータの導体14、20のいずれかと接続されるように記載する場合、接続は、中間部品(例えば、RFトランス、インピーダンスマッチングネットワーク、又はRF電源とRFアプリケータの1以上の導体との間に接続された中空導波路伝送線)を介することができる。本発明の唯一の要件は、RF電源70又は74のRFアプリケータへの接続は、中間部品があってもなくても、RF電源が内側導体14と外側導体との間にRF電圧を生成するように構成されることである。
【0045】
内側及び外側導体14、20の熱膨張に対応するために、内側及び外側導体へのRF電力の前述の電気的な接続は、オプションで、従来のスライド式のフィンガーコンタクトを含む。
【0046】
RF電源70、74によって生成されるRF電力信号が、マイクロ波周波数範囲内にある場合、中空導波路は、内側及び外側導体にRF電源の出力を接続するための効率的な手段となる可能性がある。一般的に、中空導波路は、RF電源の出力に結合され、これによってRF電源によって生成されたRF電力は、導波管の内部を通って電磁波として伝播する。中空導波路は内側及び外側導体のそれぞれの第1の端部15、21に結合され、これによって導波路内のRF波は、内側導体14とRFアプリケータの各外側導体20との間にRF電圧を生成する。中空導波路からRF電圧を抽出するための任意の従来のカプラーを使用することができる。
【0047】
RF電源の出力を内側及び外側導体のそれぞれの第1の端部15、21に接続するために中空導波路を使用することは、RFアプリケータ10が中空導波路と同様であることを意味するものではないことを強調することが重要である。「1.2導体RFアプリケータ」と題された本特許明細書の前のセクションの最後で述べたように、我々のRFアプリケータ10は、複数のRF給電導体14、20を有する。これとは対照的に、中空導波路RFアプリケータの導波路は、RF給電ではなく、単に中空導波路が囲む誘電体を通して伝播する波を閉じ込めるための導電性の境界として機能する。この違いは、カットオフ周波数がなく、要求される最小寸法がないという本発明の重要な利点に貢献している。
【0048】
上述したように、複数のRFアプリケータ10のアレイを、オプションでプラズマチャンバの真空エンクロージャ内に配置することができる。それぞれの各RFアプリケータは、異なるそれぞれの第1の電源70と、オプションで異なるそれぞれの第2の電源74に接続することができる。あるいはまた、複数のRFアプリケータは、同一の電源に並列に接続することができる。あるいはまた、複数のRFアプリケータは、単一の電源70に直列に、又は第1及び第2の電源70、74間に直列に接続することができる。複数のRFアプリケータが直列に接続される場合、RFアプリケータのいずれか2つの間の接続部で、2つのRFアプリケータの各々は、他方のRFアプリケータのための終端インピーダンスとして機能する。
3.誘電体カバーと導体間の誘電体
【0049】
開口部30が(チャンバ圧力及びプロセスガス組成の関数である)一定の値を超えた横方向の幅を有する場合、プラズマチャンバの内部のガスが開口部に入ることができるならば、ガス放電は、開口部内で形成することができる。このようなガス放電は、開口部を電気的に短絡し、これによってRFアプリケータが開口部を介してRF電力を放射するのを防止する。
【0050】
開口部内でのガス放電のリスクなしに、より大きな開口部の使用を可能にするために、RFアプリケータ10は、誘電体カバー40と、第1及び第2のシール装置52、53を含むのが好ましい。
【0051】
プラズマチャンバは、プラズマチャンバの内部61を囲む真空エンクロージャ60を含む。真空エンクロージャ60は、真空ポンプが内部に結合された場合に、内部61内を真空に維持することを可能にする気密エンクロージャを集合的に提供する1以上の壁を含む。誘電体カバーは、第1及び第2の端部42、43間に延びる主要部41を含む。誘電体カバーの主要部がプラズマチャンバの前記内部61内に配置される。外側導体20の主要部21は、誘電体カバー40の主要部41内に配置される。
【0052】
第1のシール装置52は、誘電体カバー40の第1の端部42に当接し、第2のシール装置53は、誘電体カバーの第2の端部43に当接している。第1及び第2のシール装置、誘電体カバー、及び真空エンクロージャ60は組み合わさって、外側導体の主要部とプラズマチャンバの内部61との間の流体連通を防止する。それゆえ、誘電体カバー40は、プラズマチャンバ内のガス(又はプラズマ)が開口部30に入るのを防止する。
【0053】
典型的には、第1及び第2のシール装置52、53は、通常、内側導体14又は外側導体20に電気的に結合されていないため、誘電性又は導電性であるかどうかは問題ではない。
【0054】
図1〜
図4に示された実施形態では、誘電体カバー40の第1及び第2の端部は、プラズマチャンバの真空エンクロージャ60の反対側に当接するか、又は貫通して延びる。これらの実施形態は、第1及び第2のシール装置52、53の各々が、オプションで、単に従来のOリングとすることができることを示す。第1のシール装置52は、誘電体カバーの第1の端部42と真空エンクロージャ60との間に延びるOリングであり、第2のシール装置53は、誘電体カバーの第2の端部43と真空エンクロージャ60との間に延びるOリングである。各シール装置52、53、すなわち、各Oリングは、誘電体カバー40と真空エンクロージャ60との間に気密シールを提供する。それゆえ、2つのOリング、誘電体カバー、及び真空エンクロージャは組み合わさって、外側導体の主要部とプラズマチャンバの内部61との間の流体連通を防止する。
【0055】
図1〜
図4に示されるOリング52、53の利点は、前段落に記載の気密シールを維持しながら、真空エンクロージャ60に対して(誘電体カバーの長手方向の寸法Lに沿って)誘電体カバーを移動可能にすることによって、それらが誘電体カバー40の熱膨張を対応できることである。
【0056】
内側及び外側導体14、20と誘電体カバー40が構成される材料の種類に応じて、内側及び外側導体は、誘電体カバーよりも高い熱膨張係数を有することができる。その場合には、外側導体は誘電体カバー内を長手方向に自由にスライドするように取り付けられるのが好ましく、これによって誘電体カバー内の熱応力を最小限に抑えつつ、外側導体の熱膨張を対応する。
【0057】
図9は、シール装置52、53の2つの代替実施形態を示す。第1のシール装置52は、カラー54及び2つのOリング55、56を含む。第1のOリング55は、カラー54と誘電体カバー40の第1の端部42との間に気密シールを提供する。第2のOリング56は、カラー54とプラズマチャンバの真空エンクロージャ60との間に気密シールを提供する。第1のシール装置52、すなわち、カラー54と2つのOリング55、56との組み合わせは、これによって、誘電体カバー40と真空エンクロージャ60との間に気密シールを提供する。
【0058】
図9はまた、RFアプリケータ10の第2の端部13のための別の設計を示している。具体的には、終端インピーダンス79が、誘電体カバー40内に配置されており、これによって内側導体14の第2の端部17と外側導体20の第2の端部25が真空チャンバの真空エンクロージャを貫通する必要性を排除している(そうでなければ、
図2のように外部に配置された終端インピーダンス79、又は
図1のように外部に配置された電源54に接続することが必要とされる)。これは、誘電体カバーの第2の端部43がプラズマチャンバの真空エンクロージャ60に当接する又はプラズマチャンバの真空エンクロージャ60を貫通する必要性を排除する。
【0059】
上記のように、終端インピーダンス79は、任意の電気インピーダンスとすることができる。例えば、終端インピーダンス79は、単に、
図9に示されるように、内側導体14の第2の端部と外側導体20の第2の端部との間に接続された導体(すなわち、電気的短絡)とすることができる。あるいはまた、内側及び外側導体の第2の端部は、開放したままにすることができ、これによって終端インピーダンスは、内側及び外側導体の第2の端部間における開回路又は寄生インピーダンスとなるだろう。
【0060】
図9の代替設計では、誘電体カバーの第2の端部43は、真空エンクロージャ60に当接しない、又は真空エンクロージャ60を貫通しないので、第2のシール装置53は、真空エンクロージャ60から離間させることができる。
図9の例では、第2のシール装置53は、誘電体エンドキャップ58とOリング59を含む。誘電体エンドキャップ58は、誘電体カバーの第2の端部43で開口部を覆い、Oリング59は、誘電体エンドキャップ58と誘電体カバーの第2の端部との間に気密シールを提供する。
【0061】
この設計の変形形態(図示せず)では、誘電体エンドキャップ58は、誘電体カバーの第2の端部43と一体型で連続体とすることができ、これによって、Oリング59を必要とせずに前段落で説明した気密シールを提供する。
【0062】
内側導体14の主要部15と外側導体20の主要部21との間の空間18は、気体、液体、又は固体の誘電体の任意の組み合わせとすることができる任意のタイプの誘電体によって占められることができる。RFアプリケータの効率を最大化するために、空間18を占める誘電体は、RF電源の動作周波数でのエネルギー吸収が低い材料が好ましい。例えば、脱イオン水は、特定のRF周波数での適切な誘電体になるが、RF電源が2.4GHzで動作する場合は、水はその周波数での放射を吸収するので、それは悪い選択となるだろう。
【0063】
空気は通常、内側導体14主要部15と外側導体20の主要部21との間の空間18に適した誘電体である。したがって、
図1〜
図3、
図9及び
図23に示されるように、空間18は、単に周囲の大気に開放することができる。その場合は、プラズマチャンバの内部の圧力(すなわち、真空)にかかわらず、空間18は周囲の大気圧のままである。
【0064】
空間18を占めている誘電体は、オプションで、内側及び外側導体14、20から熱を吸収するために、空間18を通してポンピングされる流体とすることができる。流体は、液体又は気体(例えば、空気又は窒素)とすることができる。空間18を通って流れた後、流体は、プラズマチャンバの外部に排出されるか、又は熱交換器を通して再循環され、これによってRFアプリケータを冷却することができる。誘電体カバー40は、プラズマチャンバ内のプラズマによって加熱され、熱が誘電体カバーから外側導体20へ流れるので、このような冷却は有益である。また、内側導体14は、内側導体を通るRF電流の流れによって生じる抵抗加熱によって加熱される。
【0065】
内側導体14は、中実又は中空とすることができる。それが中空である場合は、その中空内部を通って、水などの冷却流体をポンピングすることによって、内側導体の追加的な冷却を提供することができる。内側導体の内部には本質的にRF場は存在しないので、この冷却流体の電気的特性は重要ではない。
【0066】
空間18がちょうど説明したような流体によって占められている場合、内側導体14と外側導体20の間の1以上の支持部材(図示せず)を機械的に接続することによって、外側導体20に対する内側導体14の位置を安定させることが望ましい場合がある。支持部材は、誘電体材料(例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエテン))が好ましい。あるいはまた、支持部材の横方向の幅が小さい場合は、支持部材は導電性であることができ、これによって支持部材の導電率による空間18内の電磁場の乱れを最小限に抑える。
【0067】
内側及び外側導体間の空間18が、気体によって占められている場合、RFアプリケータからのRF電力の放射の効率及び均一性を最大にするために、空間18内のいかなるガス放電をも回避することが望ましい。そのようなガス放電を引き起こすことなくRF電源70、74によって供給され得るRF電力の最大レベルは、空間18内のガスの圧力に伴って増加する。したがって、プラズマチャンバ内の非常に低い圧力よりもはるかに高い圧力(例えば、大気圧)に空間18内のガスを維持することが望ましい。
【0068】
上述したように、第1及び第2のシール装置52、53は、誘電体カバー40に当接し、これによってシール装置、誘電体カバー、及び真空エンクロージャ60が組み合わさって、外側導体の主要部21とプラズマチャンバの内部61との間の流体連通を防止する。それゆえ、シール装置52、53、誘電体カバー40、及び真空エンクロージャ60は組み合わさって、前記空間とプラズマチャンバの内部との間にガス気密シールを提供し、これによって前記空間とプラズマチャンバの内部との間の圧力差を可能にする。この組み合わせ52、53、40、60は、それによって、空間18内のガスが、プラズマチャンバの内部の非常に低い圧力よりもはるかに高い圧力(例えば、大気圧)に維持されることを可能にする。このようなより高い圧力は、例えば、
図1及び
図2に示されるように、空間18を気体ポンプに結合することによって、又は空間18から周囲の大気まで開口を提供することによって確立され、これによって空間18は、プラズマチャンバの内部の圧力に関わらず、周囲大気圧を維持することができる。
4.RF放射の空間分布の最適化
【0069】
以下の説明では、我々は、外側導体が直線であるか湾曲しているかに関係なく、外側導体の横断面が、矩形、円形、楕円形、又は任意の他の形状であるかどうかに関係なく、外側導体の「長手方向の寸法」を、第1の端部24と第2の端部25との間に延びる外側導体の寸法として定義する。我々は、外側導体の長手方向の寸法に対して垂直(すなわち、横方向)である外側導体の外面23に沿った寸法を意味する用語「周方向の寸法」及び「横方向の寸法」を使用する。長手方向の寸法は、
図1、
図2、
図5及び
図10〜
図13において、軸線Lによって示されている。周方向の寸法(又は、等価的に、横方向の寸法)は、
図4、
図6及び
図10〜
図13において軸線Tによって示されている。
【0070】
本発明の1つの利点は、RFアプリケータ10から放射されるRF電力の空間的均一性、又はそれによって生成されるプラズマの空間的均一性が、外側導体20の主要部21の異なる部分における開口部30の相対的な大きさ、間隔、又は向きを変更することによって最適化できることである。
【0071】
これが有利である1つの理由は、内側及び外側導体のそれぞれの主要部15、21間の空間18を通して伝搬するRF電磁波は、電力密度が長手方向に不均一であることである。具体的には、空間18内のRF電力密度は、RF電源70、74に接続される内側及び外側導体上の1以上の点からの、RFアプリケータの長手方向の寸法Lに沿った距離に応じて漸進的に減少する。
【0072】
例えば、RFアプリケータ10の両端部12、13が、2つのRF電源70、74から電力を受け取るように接続される
図1の実施形態では、空間18内のRF電力密度は、RFアプリケータの2つの端部12、13近くで最大となり、長手方向の寸法Lに沿って漸進的に減少し、RFアプリケータの中央部で最小となる。別の一例として、RFアプリケータの第1の端部12のみがRF電源70に接続される(及びRFアプリケータの第2の端部13が好ましくは終端インピーダンス79に接続される)
図2の実施形態では、空間18内のRF電力密度は、RFアプリケータの第1の端部12近くで最大となり、RFアプリケータの中央部へ向かって長手方向の寸法に沿って漸進的に減少し、中央部から長手方向の寸法に沿って更に漸進的に減少し、RFアプリケータの第2の端部13(すなわち、反対の端部)近くで最小となる。
【0073】
RFアプリケータ10によって放射されるRF電力の空間的均一性を改善するために、内側及び外側導体のそれぞれの主要部15、21間の空間18内のRF電力密度のこの長手方向の漸進的な低下は、外側導体の開口部30を介して放射されるRF電力の割合の対応する長手方向の漸進的な増加によって相殺することができる。RF電源に接続された外側導体の一端からの長手方向の距離が漸進的に増加する連続した開口部が、(1)連続する開口部によって占められる外側導体の表面積の割合を単調増加させること(例えば、(i)各連続する開口部の面積を単調増加させる、又は(ii)連続する開口部間の間隔を単調減少させることによる)、又は(2)それぞれの開口部の長軸と外側導体の横方向又は周方向の寸法Tの間の角度を単調増加させる(又は、等価的に、それぞれの開口部の長軸と外側導体の長手方向の寸法Lの間の角度を単調減少させる)ことの一方又は両方を有する場合、これを達成することができる。
【0074】
前の段落で説明した開口部の角度の効果は、次のように理解することができる。外側導体20の主要部21内では、電流の流れの方向は基本的に、(第1の電源70に接続された)第1の端部24と、(第2の電源74、又は第2の電源が無い場合は、終端インピーダンス79に接続されるのが好ましい)第2の端部25の間の経路に沿っている。したがって、各開口部30内の電界は、基本的に外側導体の長手方向の寸法Lと平行に向いている。
【0075】
それゆえ、個々の開口部30を通って放射されるRF電力は、周方向又は横方向の寸法Tに沿ったその開口部の幅の増加と比較して、長手方向の寸法Lに沿ったその開口部の幅の増加に応じて、より多くの量が増加する。したがって、1以上の開口部30が、非円形断面を有する場合、開口部を通して放射されるRF電力量は、各開口部の長軸と外側導体の長手方向の寸法Lの間の角度を増加させるように、又は等価的に、各開口部の長軸と外側導体の周方向又は横方向の寸法Tの間の角度を減少させるように、開口部の向きが変化するのに応じて増加するだろう。
【0076】
RFアプリケータ10の両端部12、13が2つのRF電源70、74からの電力を受け取るように接続される
図1の実施形態では、空間18内のRF電力密度は、上述のように、RFアプリケータの2つの端部12、13近傍で最大となり、RFアプリケータの中央部で最小となる。したがって、連続する開口部の向き、面積、又は間隔における上述の単調な変化(すなわち、連続する開口部の長軸と外側導体の横方向又は周方向の寸法Tの間の角度の増加、連続する開口部の面積の増加、連続する開口部間の間隔の減少、又はさもなければ開口部によって占められている外側導体の表面積の割合の増加)は、好ましくは、外側導体の主要部21のいずれかの端部から外側導体の中央部へ向かって進行するべきである。
【0077】
RFアプリケータの第1の端部12だけがRF電源70に接続されている
図2の実施形態では、空間18内のRF電力密度は、RFアプリケータの第1の端部12の近くで最大であり、RFアプリケータの第2の端部13(すなわち、反対側の端部)で最小であり、RFアプリケータの中央部で中間値を有する。したがって、連続した開口部の向き、面積又は間隔の前述の漸進的な変化は、外側導体の主要部21の第1の端部から外側導体の中央部に向かって進行するのが好ましく、更に、外側導体の中央部から外側導体の主要部の第2の端部に向かって進行するのが好ましい。
【0078】
要約すると、RFアプリケータが、
図1の実施形態のように第1及び第2の端部12、13の両方でRF電源に接続されているか、
図2の実施形態のように1つの端部12のみで接続されているかに関係なく、RFアプリケータ10によって放射されるRF電力の空間的均一性を改善するための上述の設計は、外側導体の主要部21上の第1の位置P1から第2の位置P2まで進行する連続した位置における複数の開口部30に関して以下のように特徴付けることができる。第1及び第2の位置は、第1の位置P1が第2の位置P2と外側導体の第1の端部24との間にあり、第2の位置P2が、第1の位置P1と外側導体の中央部との間にあるように定義される。一実施形態では、第1の位置P1から第2の位置P2まで進行する前記それぞれの位置におけるそれぞれの各開口部は、単調に増加する面積を有する(
図10及び
図11)。あるいはまた、第1の位置P1から第2の位置P2まで進行する前記それぞれの位置におけるそれぞれの各開口部は、隣接する開口部間の間隔が単調に減少する(
図10)。あるいはまた、第1の位置P1から第2の位置P2まで進行する前記それぞれの位置におけるそれぞれの各開口部は、外側導体の周方向又は横方向の寸法Tに対して単調に減少する角度で長軸を有するか、又は等価的に、外側導体の長手方向の寸法Lに対して単調に増加する角度で長軸を有する(
図12)。
【0079】
開口部の面積、間隔及び角度の変化が漸進的ではなく「単調」として上記されている理由は、開口部の製造コストを削減するためである。すべての開口部が、異なる大きさ、間隔又は向きを有する導体を製造することは比較的高価である。開口部の変化が連続的に漸進的であるのではなく段階的であるならば、放射されるRF電力において所望の長手方向の均一性を達成することができる。具体的には、いくつかの連続する開口部が同じ面積、間隔及び角度を有し、その後次のいくつかの連続する開口部が面積、間隔又は角度において所望の変化を有するならば、開口部の面積、間隔又は角度の漸進的な変化を、首尾よく近似することができる。
【0080】
あるいはまた、RFアプリケータ10によって放射されるRF電力の空間的均一性を向上させる開口部内の空間的な変化は、外側導体20の主要部21の異なる部分における開口部の向き、面積、又は間隔間の違いの観点から定義することができる。
【0081】
(「部分の部分」というぎこちない表現を避けるために、以下の議論では、我々は外側導体20の主要部21の一部分を指すために「サブ部分」という用語を使用する。しかしながら、用語「サブ部分」は、「部分」と異なる意味を有することを意図するものではない。サブ部分は、物理的な境界を必要とせず、典型的には、物理的な境界を持たない。サブ部お分は、外側導体の単なる別の部分である。更に、RFアプリケータの特定の実施形態に対してさえ、以下で定義される第1及び第2のサブ部分間の境界は一意に決定されるものではなく、第1及び第2の複数の開口部間において以下で定義された関係が満たされている任意の位置を有すると考えることができる。)
【0082】
図1は、外側導体の第1の端部24から第2の端部25まで延びる4つの連続したサブ部分に概念的に分けられ、この順序で81、82、83、84とラベル付けされた外側導体20の主要部21を示す。前段落で述べたように、4つのサブ部分は、物理的な境界を必要とせず、典型的には物理的な境界を持たない。第1のサブ部分81は、第2のサブ部分と第1の端部24との間に延びている。第2のサブ部分82は、第2のサブ部分と外側導体の中心との間に延びている。第3及び第4のサブ部分83、84の位置は、それぞれ、第2及び第1のサブ部分の鏡像である。換言すれば、第4のサブ部分84は、第3のサブ部分と第2の端部25との間に延びている。第3のサブ部83は、第4のサブ部分と外側導体の中央部との間に延びている。
【0083】
図2は、
図1の対応する第1、第2、第3及び第4のサブ部分81、82、83、84と同一に定義されている第1、第2、第3及び第4のサブ部分81、82、87、88を示す。第3及び第4のサブ部分87、88は、後述する理由のために、
図2では異なる番号が付けられている。
【0084】
(
図1及び
図2において、サブ部分81〜84及び87〜88の長手方向の長さを表す中括弧は、図面内で誘電体カバー40に隣接して配置されている。これは、外側導体20のより近くに中括弧を配置する場所が図面内に無かったためである。しかしながら、中括弧は、誘電体カバー40のすぐ後ろにある外側導体20を指すことを意図している。)
【0085】
第1及び第2のサブ部分81、82内の開口部30は、それぞれ第1の複数の開口部31及び第2の複数の開口部32と呼ばれる。
【0086】
図10〜
図12は、第1及び第2のサブ部81、82の両端部、換言すれば、外側導体の第1の端部24に最も近い第1のサブ部分81の端部と、外側導体の中心に最も近い第2のサブ部分82の端部の詳細図である。
図10〜12の詳細図は、第1及び第2の複数の開口部31、32の面積、間隔又は向きの間の違いを示すために拡大されている。
【0087】
RFアプリケータの両方の端部12、13でRF電力に接続される
図1の実施形態と、1つの端部12でのみRF電力に接続される
図2の実施形態の両方において、内側及び外側導体のそれぞれの主要部15、21間の空間18内でのRF電力密度は、上述したように、RFアプリケータの第1の端部12から中央部へと漸進的に低下する。空間18内のRF電力密度のこの長手方向の漸進的な低下を相殺し、これによってRFアプリケータ10によって放射されるRF電力の空間的均一性を改善するために、開口部30は、以下の技術の一方又は両方にしたがって、向き、面積、又は間隔が不均一であるのが好ましい。
【0088】
第1の技術(
図10及び
図11)において、第2の複数の開口部32によって占められる外側導体の第2のサブ部分82の表面積の割合は、第1の複数の開口部31によって占められる外側導体20の第1のサブ部分81の表面積の割合よりも大きい。第1の技術の1つの可能な実装は、第2の複数の開口部32が第1の複数の開口部31よりも大きな面積を、個々に又は平均で有することである(
図10及び
図11)。
図10の実施形態では、(第2のサブ部分82内の)第2の複数の開口部は、外側導体の長手方向の寸法Lがより幅広いので、(第1のサブ部分81内の)第1の複数の開口部よりも面積が大きい。
図11の実施形態では、第2の複数の開口部は、外側導体の横方向又は周方向の寸法Tがより幅広いので、第1のサブ部分内の開口部よりも面積が大きい。第1の技術の代替的な実装では、第2の複数の開口部32は、第1の複数の開口部よりも、個々に又は平均して、隣接する開口部間の間隔が小さい(
図10、
図11)。
【0089】
第2の技術(
図12)において、それぞれの各開口部30は、そのそれぞれの長軸が第2の導体の横方向又は周方向の寸法Tに対して向けられたそれぞれの角度によって特徴づけられ、個々に又は平均して(第2のサブ部分82内の)第2の複数の開口部32に対するそのような角度は、個々に又は平均して(第1のサブ部分81内の)第1の複数の開口部31に対するそのような角度よりも小さい。
【0090】
等価的に、第2の技術は、周方向の寸法Tではなく第2の導体の長手方向の寸法Lに対して定義することができる。そのような長手方向の寸法Lに対して各開口部の長軸が向けられた角度を考慮に入れると、個々に又は平均して(第2のサブ部分82内の)第2の複数の開口部32に対するそのような角度は、個々に又は平均して(第1のサブ部分81内の)第1の複数の開口部31に対するそのような角度よりも大きい。
【0091】
外側導体20の主要部21の第3及び第4のサブ部分(
図1内では83、84、
図2内では87、88とラベル付けされている)についてここで説明する。
【0092】
図1の実施形態では、RFアプリケータの第1及び第2の端部12、13の各々は、それぞれのRF電源70、74に接続されている。それゆえ、RFアプリケータからのRF放射の空間分布を最適化する我々の技術の目的のために、RFアプリケータの第2の端部は、第1の端部の鏡像であると考えることができる。したがって、第1及び第2のサブ部分81、82内の開口部の面積、間隔又は角度の方向に関する全ての先行する記述は、それぞれ第4及び第3のサブ部分84、83に適用することができる。換言すれば、RFアプリケータ10によって放射されるRF電力の空間的均一性を改善するための上述の技術では、第1のサブ部分81へのすべての参照は、第4のサブ部分84への参照によって置き換えることができ、第2のサブ部分82へのすべての参照は、第3のサブ部分83への参照によって置き換えることができる。特に、
図10〜
図12のそれぞれの実施形態はまた、第1及び第2のサブ部分81及び82が、それぞれ第4及び第3のサブ部分84及び83で置き換えられた場合にあてはまる。
【0093】
図2の実施形態では、RFアプリケータの第1の端部12のみが、RF電源70に接続されている。(RFアプリケータの第2の端部13は、終端インピーダンス79に接続されるのが好ましい。)上述のように、内側及び外側導体のそれぞれの主要部15、21間の空間18内のRF電力密度は、RFアプリケータの第1の端部12近傍で最大であり、RFアプリケータの中央部に向かって長手方向の寸法に沿って漸進的に低下し、長手方向の寸法に沿って中央部から更に漸進的に低下し、RFアプリケータの第2の端部13(すなわち、反対側の端部)近傍で最小となる。それゆえ、RFアプリケータからRF放射の空間分布を最適化するための我々の技術の目的のために、第2の端部と中央部との間の関係は、中央部と第1の端部との間の関係と同様である。したがって、第2のサブ部分82に対する第1のサブ部分81内の開口部の面積、間隔又は角度の向きに関する全ての先行する記述は、第4のサブ部分88に対する第3のサブ部分87に適用することができる。
【0094】
特に、上記で定義した第1の技術を適用する際、第4の複数の開口部38によって占められる外側導体20の第4のサブ部分88の表面積の割合は、第3の複数の開口部37によって占められる外側導体の第3のサブ部分87の表面積の割合よりも大きい(
図2及び
図13)。第2の技術を適用する際、それぞれの各開口部は、そのそれぞれの長軸が第2の導体の横方向又は周方向の寸法Tに対して向けられたそれぞれの角度によって特徴づけられ、個々に又は平均して(第3のサブ部分87内の)第3の複数の開口部37に対するそのような角度は、個々に又は平均して(第2のサブ部分88内の)第2の複数の開口部38に対するそのような角度よりも小さい。
【0095】
今説明したような開口部の大きさ、間隔、又は向きの不均一性は、RFアプリケータの発明のオプション構成であり、必要条件ではないことを強調しなければならない。例えば、
図5〜
図6及び
図14〜
図22に示されるように、開口部の大きさ、間隔、及び向きを、均一にすることもできる。
【0096】
更に、今説明したような開口部の大きさ、間隔、又は向きの不均一性は、本特許明細書内に記載された新規のRFアプリケータ以外の2導体RFアプリケータの設計によって放射されるRF電力の空間均一性を改善するのに有益である可能性がある。したがって、「4.RF放射の空間分布の最適化」と題されたこのセクションで説明された技術は、RFアプリケータ設計の他の態様とは独立した便利な発明である。
5.開口部間の周方向又は横方向のオフセット
【0097】
各開口部30は、開口部を囲む導電性材料よりも電流に対して高いインピーダンスを課しているため、
図5及び
図6の実施形態のように、外側導体20を流れる電流は、いかなる開口部によっても遮られない外側導体の長手方向の寸法Lに沿った電流の流れための直線的な経路が存在する場合に、開口部を迂回する傾向があるだろう。これは望ましくないことに、開口部内の電界を減少させ、これによって開口部から放射されるRF電力量を減少させるだろう。
【0098】
(すべての開口部が非常に狭く、外側導体の長手方向の寸法Lに平行に向けられている限定された状況では、このような開口部は、外側導体の長手方向の寸法Lに沿った電流の流れに対して比較的小さなインピーダンスを課すと思われるので、この問題は重要ではないだろう。しかしながら、このような向きを有する開口部は、「4.RF放射の空間分布の最適化」と題された本特許明細書の前のセクションで説明された理由のために、望ましくないほど低いRF電力量を放射するだろう。)
【0099】
図14〜
図22の実施形態は、外側導体20の長手方向の寸法Lに沿った連続する位置にある開口部30が、外側導体の外面23の横方向又は周方向の寸法T(すなわち長手方向の寸法Lに直交している外側導体20の外面に沿った寸法)で互いにオフセット(相殺)できることを示している。このような横方向又は周方向のオフセットは、いかなる開口部によっても遮断されない外側導体の長手方向の寸法Lに沿った電流の流れのための直線経路を排除するという所望の結果を達成することができる。
【0100】
図14〜
図17は、外側導体の長手方向の寸法Lに沿った連続する各開口部が、前の開口部に対して90度の周方向のオフセットを有する一実施形態を示す。
図16及び
図17は、外側導体の長手方向の寸法Lに沿って2つの連続した開口部を通して見た断面図である。
【0101】
図18〜
図22は、外側導体の長手方向の寸法Lに沿った連続する各開口部が、前の開口部に対して60度の周方向のオフセットを有する代替的な一実施形態を示す。
図20〜
図22は、外側導体の長手方向の寸法Lに沿って3つの連続した開口部を通して見た断面図である。
【0102】
今説明したような開口部の横方向又は周方向のオフセットは、この特許明細書に記載された新規のRFアプリケータ以外の2導体RFアプリケータの設計の効率を改善するのに有益である可能性がある。したがって、「5.開口部間の周方向又は横方向のオフセット」と題されたこのセクションで説明された技術は、RFアプリケータ設計の他の態様とは独立した便利な発明である。
6.3導体RFアプリケータ
【0103】
図23及び
図24は、内側導体14と2つの外側導体を含む、本発明の第2の態様又は第2の実施形態に係る伝送線RFアプリケータ10を示す。我々は2つの外側導体を、個々に第1の外側導体20a及び第2の外側導体20bと呼び、それらを総称して2つの外側導体20と呼ぶ。
【0104】
内側導体14は、第1及び第2の端部16、17間に延びる主要部15を有する。それぞれの各外側導体20a、20bは、第1及び第2の端部24、25間に延びるそれぞれの主要部21a、21bを有する。(それぞれの主要部及び端部のこれらの定義は、
図1〜6に示され、「1.2導体RFアプリケータ」と題された本特許明細書の前のセクションで説明された本発明の第1の態様又は第1の実施形態に対してと同じであるので、それらは
図23ではラベル付けされていない。)
【0105】
我々は、RFアプリケータ10を対向する第1及び第2の端部12、13を有するものとして参照し、これによってRFアプリケータの第1の端部12は、内側及び外側導体のそれぞれの第1の端部16、24に隣接しており、RFアプリケータの第2の端部13は、内側及び外側導体のそれぞれの第2の端部17、25に隣接している。
【0106】
内側導体の主要部15は、第1及び第2の外側導体20a、20bのそれぞれの主要部21a、21b間に配置され、第1及び第2の外側導体20a、20bのそれぞれの主要部21a、21bから離間している。各々の2つの外側導体20のそれぞれの第1の端部24は、電気的に共に接続されている(第1の電気接続26によって
図23に概略的に示される)。同様に、各々の2つの外側導体のそれぞれの第2の端部25は、電気的に共に接続されている(第2の電気接続27によって
図23に概略的に示される)。
【0107】
オプションであるが望ましいことには、内側及び外側導体の主要部は対照的に配置され、これによって内側導体14の主要部15は、2つの外側導体20のそれぞれの主要部21間の中間にあり、2つの外側導体のそれぞれの主要部は、同一又は互いに鏡像であり、これによって我々は、それらが内側導体の主要部に対して対称であるとしている。
【0108】
それぞれの各外側導体20a、20bの主要部21a、21bは、それぞれの外側導体のそれぞれの主要部のそれぞれの内面及び外面22、23の間に延びる複数の開口部30を含む。内面22は、内側導体の主要部15に対向している。見出し「3.誘電体カバーと導体間の誘電体」の下で上述されたような誘電体カバー40を含む実施形態では、それぞれの各外側導体21a、21bの主要部の外面23は、誘電体カバーの主要部41の内面44に対向している。
【0109】
動作時において、RF電源70、74の出力が、内側導体14と2つの外側導体20との間に接続されている場合、RF電磁波は、内側及び外側導体の主要部15、21間の空間18を通って伝播する。この電磁波内のRF電力の一部は、開口部30から放射し、これによってRFアプリケータの外部でRF電力を放射する。
【0110】
図23に示されるように、RFアプリケータ10がプラズマチャンバの真空エンクロージャ60内にある場合、RFアプリケータによって放射されるRF電力は、プラズマチャンバ内のガス及びプラズマによって吸収され、これによってガスをプラズマ状態に励起するか、又は既存のプラズマを維持するだろう。
【0111】
本発明は、同時に2つのワークピースを処理するプラズマチャンバ60内での使用に対して特に有利である。2つの外側導体20のそれぞれの主要部21は、反対方向を向いているので、RFアプリケータ10は、双方向の放射パターンでRF電力を放射する。したがって、本発明に係るRFアプリケータ10は、
図23に示されるように、プラズマチャンバ60内の2つのワークピース62間に配置され、これによって2つのワークピースに隣接して等しいプラズマ密度を提供することができる。
【0112】
前述した
図1〜22の実施形態のように、2つの外側導体20a、20bを有する本実施形態に係る複数のRFアプリケータ10は、プラズマチャンバの真空エンクロージャ内に配置され、これによって単一のRFアプリケータよりも広い領域にわたってRF電力を分布させることができる。例えば、複数のRFアプリケータ10は、2つのワークピース間の等距離にある幾何学的平面内に離間させることができる。
【0113】
各外側導体の主要部の横方向の幅が同程度又は2つの外側導体のそれぞれの主要部間の間隔よりも小さい場合、上記のように開口部30を介してRF電力を放射することに加えて、RFアプリケータ10は、2つの外側導体間の開放側を介してRF電力を放射するだろう。逆に、各外側導体の主要部の横方向の幅が、2つの外側導体のそれぞれの主要部間の間隔の少なくとも2倍である場合は、この方向のRF放射は最小となるだろう。これは、「4.RF放射の空間分布の最適化」と題された本特許明細書の前のセクションで説明したように、RF放射の空間分布の制御を促進することが好ましい。
【0114】
RFアプリケータは、誘電体カバー40と、第1及び第2のシール装置52、53を含み、これによってプラズマが開口部30に入るのを防ぐのが好ましい。具体的には、誘電体カバーの主要部41は、プラズマチャンバの内部61に配置され、各々の外側導体のそれぞれの主要部21は、誘電体カバーの主要部41内に配置される。第1及び第2のシール装置52、53は、誘電体カバーの第1及び第2の端部42、43にそれぞれ当接する。第1及び第2のシール装置、誘電体カバー、及び真空エンクロージャ60は組み合わさって、プラズマチャンバの内部と第1及び第2の外側導体のそれぞれの主要部との間の流体連通を防止する。誘電体カバーとシール部材に関する更なる詳細は、「3.誘電体カバーと導体間の誘電体」と題された本特許明細書の前のセクションで説明されたのと同様である。
【0115】
本発明は、内側及び外側導体14、20が任意の特定の形状を有することを必要としない。
図23及び
図24では、内側導体の主要部15は、矩形断面を有するものとして示されているが、これに代えて、
図25に示されるように、円形断面を有することができる。
図23及び
図24では、2つの外側導体の各々の主要部21a、21bは、矩形断面を有するものとして図示されている。
図25は、各外側導体の主要部21a、21bが円弧状の断面を有し、誘電体カバー40の主要部41が楕円形の断面を有する、一代替設計を示している。
【0116】
見出し「2.RF電源への接続」、「3.誘電体カバーと導体間の誘電体」、及び「4.RF放射の空間分布の最適化」の下で上述された発明の構成、設計上の考慮事項、及び利点は、2つの外側導体を有する本発明のこの第2の態様又は実施形態にも適用可能である。