特許第6076487号(P6076487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076487
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】リソグラフィ用センサシステム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20170130BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20170130BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   G03F7/20 521
   G01B11/00 G
   G01B11/00 A
   H01L21/68 F
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-537174(P2015-537174)
(86)(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公表番号】特表2015-535090(P2015-535090A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2013068669
(87)【国際公開番号】WO2014060149
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2015年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/715,167
(32)【優先日】2012年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】コック,ハイコ
(72)【発明者】
【氏名】フォグド,ロベルト ヤン
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−229942(JP,A)
【文献】 特開2009−288058(JP,A)
【文献】 特開平11−121325(JP,A)
【文献】 特開平07−153660(JP,A)
【文献】 特開平08−213300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を測定するセンサシステムであって、前記センサシステムが、異なる空間位置での並列の測定を可能にする複数の検出器を有する並列検出装置と、アクチュエータと、前記複数の検出器の前記出力に基づいて前記アクチュエータに駆動信号を提供するように構成された制御ユニットとを含み、前記複数の検出器が1つの雑音源を共用し、前記センサシステムが、前記複数の検出器が各々、前記物理量の関数としての信号を出力するように構成され、前記センサシステムが、少なくとも1つの検出器が、前記共用された雑音源から生成される雑音に対して残りの1つ以上の検出器とは異なった応答をするように構成され
前記複数の検出器及び前記アクチュエータが、前記雑音源から生成される雑音による前記複数の検出器の前記出力の信号変動を前記アクチュエータが追跡できないか又は完璧には追跡できないように構成された、センサシステム。
【請求項2】
前記複数の検出器が、前記物理量の関数としての周期的に変動する信号を出力し、少なくとも1つの検出器からの前記周期的に変動する信号の周期及び/又は位相が前記残りの1つ以上の検出器と異なる、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記残りの1つ以上の検出器と周期及び/又は位相が異なる前記少なくとも1つの検出器の前記周期的に変動する信号のために、前記少なくとも1つの検出器が、前記共用された雑音源から生成される雑音に対して異なった応答をする、請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの検出器の前記周期的に変動する信号の位相が前記残りの1つ以上の検出器と異なり、前記位相差が実質的に180度である、請求項2又は請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの検出器の前記周期的に変動する信号の位相が前記残りの1つ以上の検出器と異なり、前記位相差が実質的に90度である、請求項2又は請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項6】
各検出器が、
測定ビームを提供する放射出力と、
前記測定ビームを変調する入力格子と、
光学システムを通過した前記被変調測定ビームの波面の複数の重なり合い及び干渉する複写を生成する検出格子と、
前記波面の重なり合い及び干渉する複写の像を捕捉する前記検出格子から離間して配置されたカメラと
を備え、
前記周期的に変動する信号の周期及び/又は位相の差が、前記入力及び/又は検出格子の差によって引き起こされる、請求項2〜のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記複数の検出器が、前記雑音源として同じ前記放射出力を共用し、及び/又は同じ前記カメラを共用する、請求項1〜のいずれかに記載のセンサシステム。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載のセンサシステムを備える、リソグラフィ装置。
【請求項9】
前記センサシステムの各検出器が、
測定ビームを提供する放射出力と、
前記測定ビームを変調し、被変調測定ビームを形成する入力格子と、
前記被変調測定ビームの波面の複数の重なり合い及び干渉する複写を生成する検出格子と、
前記波面の前記重なり合い及び干渉する複写の像を捕捉する前記検出格子から離間して配置されたカメラと、を備え、
前記リソグラフィ装置が、
前記複数の検出器の前記入力格子を備えるパターニングデバイスを支持する支持体と、
前記基板を保持し、前記複数の検出器の前記検出格子と前記カメラとを備える基板テーブルと、
前記被変調測定ビームを前記基板テーブル上の前記それぞれの検出格子上に投影する投影システムと、をさらに備え、
前記センサシステムによって測定される前記物理量が、前記基板テーブルに対する前記入力格子の位置である、請求項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記支持体を位置決めする第1のポジショナ及び/又は前記基板テーブルを位置決めする第2のポジショナを備え、前記リソグラフィ装置が、前記複数の検出器の前記出力に基づいて、前記第1及び/又は第2のポジショナに駆動信号を提供する制御ユニットを備える、請求項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
請求項1〜のいずれかに記載のセンサシステムを用いて、基板を保持する基板テーブルに対するパターニングデバイスの位置を測定することであって、前記パターニングデバイスが放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付放射ビームを形成することと、
前記測定位置に基づいて前記基板テーブルによって保持された基板上のターゲット部分をパターニングデバイスに整列させることと、
前記パターン付放射ビームを前記基板の前記ターゲット部分上に投影して前記パターニングデバイスから前記基板へパターンを転写することと、を含む、パターン転写方法。
【請求項12】
前記パターニングデバイスが、前記検出器当たり1つの格子を備え、前記パターニングデバイスの前記位置が、前記パターニングデバイスの前記格子を測定ビームで照明して被変調測定ビームを形成することと、前記被変調測定ビームを前記基板テーブル上に提供された検出格子上に投影して前記被変調測定ビームの波面の複数の重なり合い及び干渉する複写を生成することと、前記波面の前記重なり合い及び干渉する複写の像を捕捉することと、前記捕捉した像から前記基板テーブルに対する前記パターニングデバイスの前記位置を計算することとによって測定される、請求項11に記載のパターン転写方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2012年10月17日出願の米国仮出願第61/715,167号の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、物理量を測定するセンサシステムと、センサシステムを備えるリソグラフィ装置と、センサシステムを用いてパターニングデバイスから基板のターゲット上にパターンを転写する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置内では、多数のセンサシステムを用いてすべての種類の物理量が測定される。対象となる量の例は、距離/位置、時間、速度、加速度、力、レンズ収差などである。これらのセンサシステムの一部は、周期的に変動する信号を出力する検出器を使用する。そのような周期的に変動する信号は、格子などの周期的構造を用いて得ることができる。周期的に変動する信号は、例えば、正弦波形状を有していてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] 異なる空間位置で複数の測定を実行する状況では、測定時間は、複数の検出器が並列に、すなわち、同時に、異なる空間位置での測定を可能にする並列検出構成を用いることで低減できる。そのような並列検出構成を使用するときには、例えば、生産の観点から、またコストの観点から、検出器にエネルギーを提供するために使用される電力コンポーネント又は信号を直接又は間接的に操作するために一般に使用される信号コンポーネントなどの同じコンポーネントを共用することが有利である。
【0006】
[0006] しかしながら、並列検出構成は測定速度を改善するとはいえ、そのようなセンサシステムが良好な測定再現性を維持し、又はより厳格な要求があったときに測定再現性をさらに改善することは依然として困難である。測定再現性を改善する明らかな方法は、測定時間の延長であるが、リソグラフィ装置では、スループットの要求があるために、これは実行可能なオプションとは言い難い。
【0007】
[0007] 例えば、改良された測定再現性を有する物理量を測定するセンサシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 本発明のある実施形態によれば、物理量を測定するセンサシステムであって、システムが、異なる空間位置での並列の測定を可能にする複数の検出器を有する並列検出装置を含み、複数の検出器が少なくとも1つの雑音源を共用し、センサシステムが、複数の検出器が各々、物理量の関数としての信号を出力するように構成され、センサシステムが、少なくとも1つの検出器が、共用された雑音源から生成される雑音に対して残りの検出器とは異なった応答をするように構成されたセンサシステムが提供される。
【0009】
[0009] 本発明のある実施形態によれば、少なくとも2方向の物理量を測定するセンサシステムであって、システムが、異なる空間位置での並列の測定を可能にする複数の検出器を有する並列検出装置を含み、複数の検出器が少なくとも1つの雑音源を共用し、各検出器が一度に少なくとも2方向のうち1つの方向に測定を行なうように構成され、センサシステムが、複数の検出器が各々、物理量の関数としての信号を出力するように構成され、センサシステムが、並列測定中に、少なくとも1つの検出器が、同時に、残りの検出器とは異なる方向に測定を行なうように構成されたセンサシステムが提供される。
【0010】
[0010] 本発明のある実施形態によれば、本明細書に記載するセンサシステムと、少なくとも1つのアクチュエータと、複数の検出器の出力に基づいて少なくとも1つのアクチュエータに駆動信号を提供するように構成された制御ユニットとを備える制御システムが提供される。
【0011】
[0011] 本発明のある実施形態によれば、本明細書に記載するセンサシステムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0012】
[0012] 本発明のある実施形態によれば、パターン転写方法であって、
本明細書に記載のセンサシステムを用いて、基板を保持する基板テーブルに対するパターニングデバイスの位置を測定することであって、パターニングデバイスが放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付放射ビームを形成することと、
測定位置に基づいて基板テーブルによって保持された基板上のターゲット部分をパターニングデバイスに整列させることと、
パターン付放射ビームを基板のターゲット部分上に投影してパターニングデバイスから基板へパターンを転写することと、を含むパターン転写方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0014】
図1】[0014]本発明の実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
図2A】[0015]図1のリソグラフィ装置の詳細な部分と本発明のある実施形態によるセンサシステムの検出器とを示す。
図2B】[0016]図2Aのセンサシステム内で使用可能な入力格子を示す。
図2C】[0017]図2Aのセンサシステム内で使用可能な検出格子を示す。
図2D】[0018]図2Aの複数の検出器を用いた並列検出構成を概略的に示す。
図3】[0019]簡単な並列検出構成の可能な出力を示す。
図4】[0020]本発明のある実施形態による並列検出構成の可能な出力を示す。
図5】[0021]本発明のある実施形態による並列検出構成の可能な出力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0022] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
− 放射ビームB(例えばUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTa又はWTbと、
− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0016】
[0023] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組合せなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0017】
[0024] 支持構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造は、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用してパターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0018】
[0025] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0019】
[0026] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0020】
[0027] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折型光学システム、反射型光学システム、反射屈折型光学システム、磁気型光学システム、電磁型光学システム及び静電型光学システム、又はそれらの任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0021】
[0028] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0022】
[0029] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。例えば、図1の例の2つの基板テーブルWTa及びWTbはこの一例である。本明細書に開示された本発明のある実施形態は、単独で使用できるが、特に、シングル又はマルチステージ装置の露光前測定ステージで追加の機能を提供できる。ある実施形態では、リソグラフィ装置は、基板テーブルと、基板を保持するように設計されていない(その代わりに、測定機能と、オプションとして、洗浄などのその他の機能を提供するように設計された)測定テーブルとを有していてもよい。
【0023】
[0030] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0024】
[0031] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[0032] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0026】
[0033] 放射ビームBは、支持体構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPWと位置センサIFの形態の第1の位置測定システム(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTa/WTbは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持体構造MTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持体構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0027】
[0034] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0028】
[0035] 1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTa/WTbは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTa/WTbがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0029】
[0036] 2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTa/WTbは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTa/WTbの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
【0030】
[0037] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTa/WTbを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTa/WTbを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0031】
[0038] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0032】
[0039] リソグラフィ装置LAは、2つのテーブルWTa及びTWbと、2つのステーション、例えば、その間でテーブルを交換可能な露光ステーション及び測定ステーションとを有するいわゆるデュアルステージタイプである。例えば、基板テーブル上の基板が露光ステーションで露光されている間、測定ステーションで別の基板を別の基板テーブル上にロードすることができ、又は測定テーブルを測定ステーションに配置して、様々な準備工程を実行できる。準備工程は、レベルセンサLSを用いた基板表面をマッピングすることとアライメントセンサASを用いたアライメントマーカの位置を測定こととを含んでいてもよい。これによって、装置のスループットが大幅に強化される。位置センサIFが測定ステーションと露光ステーションでのテーブルの位置を測定できない場合、両方のステーションでのテーブルの位置を追跡するための第2の位置センサを提供することができる。変形形態では、例えば、装置は、測定テーブルWTbと基板テーブルWTaとを備えていてもよい。この変形形態では、基板テーブルWTaは測定ステーションに位置する(ここで、例えば、基板はアンロードされ、このステーションで測定は実行されない)一方、測定テーブルWTbは露光ステーションに位置し、測定(例えば、投影システムを用いた測定)が可能である。
【0033】
[0040] 装置はさらに、上述した様々なアクチュエータ及びセンサの移動及び測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACUを含んでいる。制御ユニットLACUはまた、装置の動作に関する所望の計算を行うための信号処理及びデータ処理能力も含んでいる。実際には、制御ユニットLACUは、各々がリアルタイムのデータ収集、装置内のサブシステム又はコンポーネントの処理及び制御を担う多くのサブユニットのシステムとして実現されてもよい。例えば、1つの処理サブシステムをポジショナPWのサーボ制御専用にしてもよい。さらには、別個のユニットが粗動及び微動アクチュエータ、又は異なる軸にも対処してもよい。他のユニットは位置センサIFの読み取り専用であってもよい。装置の全体的な制御は、これらのサブシステム処理ユニット、オペレータ、及びリソグラフィ装置の製造プロセスに関わるその他の装置と通信する中央処理ユニットによって制御される。
【0034】
[0041] 図2Aは、図1のリソグラフィ装置の詳細部分図を示す。支持構造MTによって支持され、第1のポジショナPM(破線で概略を示す)によって1つ以上の方向に移動可能なパターニングデバイスMAが概略的に示されている。また、第2のポジショナPW(破線で示す)によって移動可能なテーブルWTa/WTbも概略的に示されている。ここで、投影システムPSも概略的に示され、上部及び下部のみが概略的に示されている。
【0035】
[0042] 図2Aは、投影システム内の収差及び/又はテーブルWTa/WTbに対するパターニングデバイスMAの位置を測定するためのセンサシステムの検出器をさらに示す。センサシステムは、レーザ出力LAS又は測定ビームMBを提供するように構成されたその他の任意の好適な放射出力を備える。ある実施形態では、センサシステムは、レーザ又は出力LASに関連付けられたその他の任意の好適な放射源を備える。出力LASからの測定ビームは、最初、ディフューザDIによって拡散し、次いで、光学素子L1によって入力格子GR1、この例では、パターニングデバイスMA上に提供された、又はそれに関連付けられたパターニングデバイス格子GR1上に合焦する。
【0036】
[0043] 格子GR1は、レーザLASからの放射をある方向に変調して被変調測定ビームを形成し、被変調放射はその後投影システムPSを通過する。投影システムPSは、例えば、テーブルWTa/WTb上に提供された検出格子GR2上に被変調測定ビームの像を形成する。投影システムPSによる像と検出格子GR2との間の相互作用は、互いに干渉する複数の重なり合う波面を提供する。干渉パターンは、検出格子GR2から離間して配置されたCCDカメラなどのカメラCAによって検出される。波面内に存在する収差と入力格子GR1及び検出格子GR2の相対位置が結果として得られる干渉パターンに影響する。
【0037】
[0044] 普通、パターニングデバイス及び検出格子は、被変調測定ビームの変調に対応する方向に互いに対して段を形成し、像は各段でカメラによって捕捉される。カメラによって得られ、波面の重なり合い及び干渉する複写を表す強度データがカメラ処理ユニットCP内で処理され、そこで、例えば、ゼルニケ多項式に適用され、各々が変調方向の位置又は特定の収差に関する情報を提供するゼルニケ係数が生成される。位置の場合、この結果は、周期が入力のピッチと検出格子とによって決定される周期的に変動する信号である。
【0038】
[0045] 同様に、上記の変調方向に対して垂直の方向の収差及び/又は位置に関する情報が得られる。これを可能にするために、入力格子GR1は2つの部分GR1x及びGR1y(図2Bを参照)を備え、第1の測定中に、GR1x部が測定ビームの変調に使用され、第2の測定中に、GR1y部が測定ビームの変調に使用される。2つの格子部GR1x及びGRx2の線は互いに直交しているため、各格子部に関連付けられた変調方向も互いに直交している。
【0039】
[0046] 検出格子GR2も2つの格子部GR1x及びGR1yに対応する2つの部分を有するが、格子部GR1x及びGR1yの両方に使用可能な図2Cに示す市松模様の単一の格子を使用してもよい。図2A図2B及び図2Cに関連して述べた上記と同様の方法で2つの方向の収差及び/又は位置情報を得るために用いる多数の格子の変形形態が存在することは、そのようなセンサシステムの当業者には明らかであろう。これらの変形形態は、本明細書には明示しないが、本発明のある実施形態の範囲内である。
【0040】
[0047] 異なる空間位置での測定を迅速に行なうために、図2Aに示す複数の検出器を提供でき、したがって、例えば、パターニングデバイスMA上に複数の入力格子GR1が提供され、例えば、テーブルWTa/WTb上に複数の対応する検出格子GR2が提供される。格子GR1を、同時に又は実質的に同時に照明し、検出格子GR2から得た像を、同時に又は実質的に同時に捕捉することで、異なる空間位置で並列の測定を、同時に又は実質的に同時に実行できる並列検出構成が提供される。
【0041】
[0048] 図2Dは、上記並列検出構成を概略的に示す。ここで、図2Aの複数の検出器(図2Dでは4つの検出器)が同じレーザ出力LASを共用する。放射は、放射を拡散させる機能も有する4つのディフューザDI1〜DI4によって4つの測定ビームに分割される。測定ビームは、例えば、パターニングデバイス上の入力格子GR1上に合焦し、その後投影システムを通過して検出格子GR2上に投影される。検出格子から得た像は、複数の検出器が共用するカメラCAによって同時に捕捉される。
【0042】
[0049] 図2A及び図2Dに示すセンサシステムを、リソグラフィ装置の1つ以上のコンポーネントを操作する1つ以上のアクチュエータをさらに備える制御システム内で使用できる。図2Aの実施形態では、図示の第1のポジショナPMは、パターニングデバイスMAを含む支持構造MTを移動させるアクチュエータを有し、図示の第2のポジショナPWは、テーブルWTを移動させるアクチュエータを有し、レンズ及び/又はミラーなどの1つ以上の光学コンポーネントの位置及び/又は形状を操作する1つ以上のアクチュエータPSAが示されている。
【0043】
[0050] 制御システムは、測定した収差及び/又は位置に基づいて1つ以上の異なるアクチュエータに駆動信号を提供するように構成された制御ユニットCUを含む。例えば、制御ユニットによってアクチュエータPSAに提供される駆動信号を、収差を低減し又は最小限にする(それによって投影システムの性能を向上させるか又は最適化する)ように意図され、及び/又は、第1及び/又は第2のポジショナに提供される駆動信号を、パターニングデバイスMAをテーブルWTa/WTbに整列させるように意図することができる。
【0044】
[0051] 格子GR1の同時の照明は、別々の出力LAS及び/又は別々の放射源を用いて実行できる。ある実施形態では、共通の放射源及び/又は放射出力を用いて、実質的に同時又は同時にすべての格子GR1が照明される。同様に、検出格子GR2からの像は個別のカメラCAによって捕捉されるが、一度にすべての像を捕捉する単一のカメラCAを使用する方がコスト効果が高い。単一のカメラCAを使用することは生産の観点からも有利である。
【0045】
[0052] 並列の検出構成の簡単な実施態様は、複数の、できるだけ同一の検出器を並べて提供し、それぞれの物理量の関数としての周期的に変動する信号も実質的に同一になるようにすることである。これを、図3に例示する。図3では、7つの検出器を含むセンサシステムが同数の周期的に変化する信号を提供する。図3で、一方向の位置の関数としての7つの周期的に変動する信号SI1〜SI7の各々の周期が示され、各々の周期的に変動する信号は離散的な空間位置に関連付けられている。
【0046】
[0053] 図3で、共通のカメラ及び/又は放射源(例えば、レーザ)内に相関する強度雑音があると7つの位置でのセンサシステムによって測定される位置が明らかに逸脱又は変位することが容易に分かる。例えば、7つのデータ地点DP1〜DP7が図3に示され、各データ地点はそれぞれの周期的に変動する信号に関連付けられ、雑音がない場合の測定位置を示す。例えば、共用された雑音源からの強度雑音によって信号SI1〜SI7の強度が同時に増加するときには、データ地点DP1〜DP7は図3で右方向に移動するが、これは位置の共通の移動と解釈される。雑音を含む測定位置を用いて、アクチュエータ、例えば、第1及び第2のポジショナPM、PWが制御されるため、可動オブジェクト、例えば、パターニングデバイスMAは別のオブジェクト、例えば、テーブルWTa/WTbに正確に整列せず、したがって、基板テーブル上に支持された基板へパターンを転写するときのオーバレイエラーなどのエラーが発生することがある。
【0047】
[0054] 相関強度雑音は、カメラ又は放射源などの共用された雑音源だけから発生するものではなく、すべての検出器が共用するあらゆる電力又は信号コンポーネント、例えば、電源によっても引き起こされる。
【0048】
[0055] 本発明のある実施形態による並列検出構成のある実施態様では、例えば、少なくとも1つの検出器の周期的に変動する信号の位相及び/又は周期が残りの1つ以上の検出器の周期的に変動する信号と異なっているため、少なくとも1つの検出器が、共用された雑音源から生成される雑音に対して残りの1つ以上の検出器とは異なった応答をする。その結果、相関強度信号は、位置の変位そのものに対応しない位相及び/又は周期に応じて周期的に変動する信号に異なる影響を与える。これによって、位置の実際の変位と雑音の影響とを区別することができる。
【0049】
[0056] 図4に、7つの検出器、例えば、図2Aに示す検出器のような7つの検出器を有する並列検出構成を使用する本発明のある実施形態によるセンサシステムから生成される7つの信号SI1〜SI7が示されている。7つの信号は図3の7つの信号に相当するが、図4の実施形態では、第2及び第6の検出器が、残りの検出器の周期的に変動する信号SI1、SI3〜SI5、SI7に対して実質的に180度の位相差を有する周期的に変動する信号SI2、SI6を有する。したがって、検出器の第1のサブセットSI1、SI3〜SI5、SI7と、検出器の第1のサブセットの周期的に変動する信号の位相と逆の位相を有する周期的に変動する信号を有する検出器の第2のサブセットSI2、SI6とが存在する。
【0050】
[0057] 例えば、右側への位置の変位、すなわち、図4でデータ地点DP1〜DP7が右側へ移動する場合に、第2及び第6の検出器は信号強度の低下を示す一方、残りの検出器は信号強度の増加を示す。相関強度雑音の場合、すべての検出器は信号強度の増加を示すので、第2及び第6の検出器の場合、図4で位置が右側へ変位するように見える。したがって、相関雑音の場合、表示が矛盾する。
【0051】
[0058] 制御ユニットと1つ以上のアクチュエータが矛盾する表示を容易に追跡できないときに、これを制御システム内で使用すると有利である。その場合、個々の検出器の再現性は改善されていないが、相関強度雑音の影響は低減される。したがって、1つ以上の検出器が残りの1つ以上の検出器に対して位相を変化させる必要があるかは、1つ以上のアクチュエータの(不)可能性に基づく。ある実施形態では、最良の結果を生む検出器の組み合わせが使用される。
【0052】
[0059] 言い換えれば、共通の雑音による複数の検出器の信号変動の結果としてのアクチュエータへの駆動信号の変動は、対応する物理量の変動、この例では対応する位置の変位による信号変動の結果としてのアクチュエータへの駆動信号の変動よりも小さい。
【0053】
[0060] 第2及び第6の検出器の位相を180度変位させることは格子GR1を適合させることで可能である。該当する1つ以上の格子を半周期ずらすか、線とスペースとを入れ替えることができる。あるいは、検出器の格子GR2を半周期ずらしてもよい。
【0054】
[0061] 図5は、図4の実施形態に類似する7つの検出器を有する並列検出構成を用いた別の実施形態によるセンサシステムの7つの信号SI1〜SI7を示す。この実施形態では、第2、第4及び第6の検出器が、残りの検出器の周期的に変動する信号SI1、SI3、SI5、SI7に対して実質的に90度の位相差を有する周期的に変動する信号SI2、SI4、SI6を有する。
【0055】
[0062] 図5の実施形態は、検出器が、物理量、この例では周期的に変動する信号の「フランク(flank)」における位置の変化に最も感受性が高く、周期的に変動する信号の最大又は最小値では感受性が低いという事実を採用する。90度の位相差のために、第2、第4及び第6の検出器は残りの検出器がそうでないときに位置の変化に対して最も感受性があり、またその逆も正しい。したがって、複数のデータ地点を得るときには、位置を決定するために用いるデータ地点、すなわち、周期的に変動する信号の「フランク」のデータ地点は同時に得られず、すべての検出器の雑音の間に元々存在した相関はもはや存在せず、雑音の影響はある程度まで平均化される。
【0056】
[0063] 異なる検出器での雑音の間の相関を解消するのと同じ効果が、検出器の幾つかのGP1xとGP1yとを入れ替えて、第1の測定中に、情報が第1の方向の検出器の第1のサブセットと第2の方向の検出器の第2のサブセットとによって得られ、第2の測定中に、情報が第2の方向の検出器の第1のサブセットと第1の方向の検出器の第2のサブセットとによって得られ、2回の測定後に各方向の情報を組み合わせることで達成できる。1つの方向に関連付けられた情報は同時に得ることができないという事実の結果によって、雑音の影響が一定程度まで平均化される。
【0057】
[0064] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0058】
[0065] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0059】
[0066] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0060】
[0067] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折型、反射型、磁気方、電磁及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組合せを指すことができる。
【0061】
[0068] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0062】
[0069] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5