特許第6076687号(P6076687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6076687導電性組成物、電極、プラズマディスプレイパネル及びタッチパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076687
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】導電性組成物、電極、プラズマディスプレイパネル及びタッチパネル
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20170130BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20170130BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20170130BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170130BHJP
   H01J 11/22 20120101ALI20170130BHJP
【FI】
   H01B1/22 Z
   H01B1/00 F
   H01B5/14 B
   G06F3/041 495
   H01J11/22
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-232904(P2012-232904)
(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-86217(P2014-86217A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100161458
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 淳郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】牛山 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】米田 直樹
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−247418(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/111479(WO,A1)
【文献】 特開2009−135101(JP,A)
【文献】 特開2005−133205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00、1/22、5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有樹脂、光重合開始剤、および、アルミニウムの窒素ガスアトマイズ粒子を含有することを特徴とする感光性導電性組成物。
【請求項2】
前記光重合開始剤が、オキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、および、チタノセン系光重合開始剤から選ばれるいずれか少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の感光性導電性組成物。
【請求項3】
前記カルボキシル基含有樹脂として熱分解終了点が500〜650℃の範囲内である樹脂を含有することを特徴とする請求項1または2記載の感光性導電性組成物。
【請求項4】
前記アルミニウムの窒素ガスアトマイズ粒子の平均粒径が、1〜6μmである請求項1〜3のいずれか一項記載の感光性導電性組成物。
【請求項5】
前記アルミニウムの窒素ガスアトマイズ粒子の含有割合が、30〜80質量%である請求項1〜のいずれか一項記載の感光性導電性組成物。
【請求項6】
ガラスフリットの含有量が、組成物全量基準で0〜4質量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の感光性導電性組成物。
【請求項7】
焼成温度が400℃以上650℃以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の感光性導電性組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項記載の感光性導電性組成物を焼成してなることを特徴とする電極。
【請求項9】
請求項に記載の電極を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
請求項に記載の電極を有することを特徴とするタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物、電極、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」とも言う。)及びタッチパネルに関し、詳しくは、アルミニウム粒子を含有し、焼成後の導電性に優れた導電性組成物、この組成物を用いた電極、この電極を有するPDP及びタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PDPにおける電極材料として、金や銀などの貴金属を含む導電性組成物が使用されてきた。しかし、近年、コスト面などから、それらの貴金属を含む導電性組成物の代替として、アルミニウムを含有する導電性組成物、いわゆる導電性ペーストが検討されている。
【0003】
このようなアルミニムを含有する導電性組成物は、例えば、前面ガラス基板上の表示電極中のバス電極、および、後面ガラス基板上のアドレス電極を形成するために用いられている。いずれの電極も、それぞれのガラス基板上にストライプ状に、かつ、互いに直交するように形成される。また、いずれの電極も数百μm程度のファインピッチで形成されるが、特にアドレス電極には高精細性が要求される。
【0004】
PDP用の電極において、導電性は、電極パターンの微細化や薄膜化、消費電力の低減等において重要な特性である。しかしながら、アルミニウムは銀や金と比べて導電性が低い。さらにアルミニウムは酸化し易く、焼成等における酸化によって導電性が低下してしまう問題があるため、その解決方法がこれまでに種々提案されてきた。例えば、特許文献1では、ガラス粉末の量が比較的多い、アルミニウム含有感光性導電ペーストが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4862962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、アルミニウム粒子の種類によっては、十分な導電性が得られない場合があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、アルミニウム粒子を含有し、焼成後の導電性に優れた導電性組成物、この組成物を用いた電極、及びこの電極を有するPDP及びタッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルミニウム粒子として窒素ガスアトマイズ法により製造されたアルミニウム粒子を用いることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の導電性組成物は、(A)窒素ガスアトマイズ法により製造されたアルミニウム粒子、および、(B)樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の導電性組成物は、前記(B)樹脂として熱分解終了点が500〜650℃の範囲内である樹脂を含有することが好ましい。
【0011】
本発明の導電性組成物は、前記(A)アルミニウム粒子の平均粒径が、1〜6μmであることが好ましい。
また、本発明の導電性組成物は、前記(A)アルミニウム粒子の含有割合が、30〜80質量%であることが好ましい。
【0012】
本発明の導電性組成物は、前記ガラスフリットの含有量が、組成物全量基準で0〜4質量%であることが好ましい。
【0013】
本発明の導電性組成物は、焼成温度が400以上650℃以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の電極は、前記導電性組成物を焼成してなることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のプラズマディスプレイパネルは、前記電極を有することを特徴するものである。
【0016】
本発明のタッチパネルは、前記電極を有することを特徴するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、特定のアルミニウム粒子を含有し、焼成後の導電性に優れた導電性組成物、この組成物を用いた電極、及びこの電極を有するPDP、タッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】窒素ガスアトマイズ法により製造した平均粒径4μmのアルミニウム粒子の3000倍拡大写真。スケールバーは5μmを表す。
図2】大気中アトマイズ法により製造した平均粒径4μmのアルミニウム粒子の3000倍拡大写真。スケールバーは5μmを表す。
図3】実施例において用いた樹脂CのTG−DTA測定結果を表すチャート図である。
図4】実施例17〜21の導電性組成物について、ライン幅と抵抗値の関係を表すグラフ図である。
図5】実施例22〜26の導電性組成物について、ライン幅と抵抗値の関係を表すグラフ図である。
図6】実施例の耐酸性試験の結果を表す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の導電性組成物は、窒素ガスアトマイズ法により製造されたアルミニウム粒子と樹脂を含有することを特徴とするものであり、焼成後の導電性に優れた導電性組成物を得ることができる。詳細な機構は必ずしも明らかではないが、アルミニウムのような卑金属の粒子はその表面活性を抑制するように自然酸化された被膜によって覆われているため、焼成後も銀等の貴金属粒子のような粒子界面同士の融合、結着が起こりにくいため、優れた導電性が発現しないと考えられる。本発明においては、不活性な窒素ガス中でのアトマイズ法によりアルミニウム粒子を製造すると粒子形状が真球に近くなり、また、酸素被膜の成長も抑制されるため、焼成後の導電性に優れた導電性組成物を得ることができると考えらえる。また、本発明の導電性組成物に感光性を付与した場合には、解像性に優れた導電性組成物を得ることができる。なお、本発明の導電性組成物は、プラズマディスプレイパネル及びタッチパネルの電極用として好適であるが、これに限られない。
以下、各成分について具体的に説明する。
【0020】
<(A)窒素ガスアトマイズ法により製造されたアルミニウム粒子>
本発明の導電性組成物は、(A)窒素ガスアトマイズ法により製造されたアルミニウム粒子を含有する。窒素ガスアトマイズ法は、窒素雰囲気中で、金属(アルミニウム)の溶湯に流体として窒素ガスを吹き付けることによって、溶湯を細かく粉砕して液滴とし、これを凝固させて金属粉末を得る方法であれば、特に限定されない。
【0021】
アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、1〜6μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。アルミニウム粒子の平均粒径があまりに大きいと、アルミニウム粒子と樹脂との体積バランスが崩れることにより、当該樹脂による被覆が及ばなくなり、十分な導電性が得られないおそれがある。一方、アルミニウム粒子の平均粒径があまりに小さいと、比表面積が過大となり、アルミニウムの酸化の影響が大きくなるおそれがある。アルミニウムの平均粒径は、例えば、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定した重量分布曲線におけるD50として、測定することができる。窒素ガスアトマイズ法によって製造されたアルミニウム粒子は、これを元粉に使用したアルミニウムフレークとして、本発明の導電性組成物に含有されていてもよい。
【0022】
本発明の導電性組成物中、(A)窒素ガスアトマイズ法により製造されたアルミニウム粒子の含有割合は特に制限されないが、(B)樹脂を100質量部としたとき、70〜520質量部であることが好ましく、100〜400質量部であることがさらに好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、窒素ガスアトマイズ法により製造されたアルミニウム粒子以外のアルミニウムを含有してもよい。
【0023】
<(B)樹脂>
本発明の導電性組成物において、(B)樹脂として、これまで導電性組成物において、有機バインダーとして用いられてきた樹脂を使用することができる。
また、導電性組成物を光硬化性組成物とすることができることから、エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂が好ましい。
なお、(B)樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0024】
(B)樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノ−ルFの共重合型フェノキシ樹脂等のフェノキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂などのポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。
(B)樹脂としては、主鎖にビスフェノール構造を有する樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フェノールノボラック型樹脂、及びクレゾールノボラック型樹脂のいずれか1種が好ましい。また、本発明の樹脂は、アルカリ現像可能とするために、側鎖をカルボン酸変性したカルボキシル基含有樹脂としてもよい。
【0025】
上記フェノキシ樹脂とは、2価のフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応から得られる、または、2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる、ポリヒドロキシポリエーテルである。2価のフェノール化合物としてはビスフェノール類が挙げられる。フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA構造(骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ構造を有するフェノキシ樹脂等ビスフェノール構造を有するフェノキシ樹脂等を挙げることができる。その他、ノボラック構造、アントラセン構造、フルオレン構造、ジシクロペンタジエン構造、ノルボルネン構造、ナフタレン構造、ビフェニル構造、アダマンタン構造等の骨格構造を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記の骨格構造として、複数種を有するものであってもよい。上記のうち、好ましくはビスフェノール構造を有するものが好ましい。
【0026】
上記エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する多官能エポキシ化合物、または該多官能エポキシ化合物を重合して得られる樹脂である。前記多官能エポキシ化合物としては、エポキシ化植物油;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、チオエーテル型エポキシ樹脂;ブロム化エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;ジグリシジルフタレート樹脂;テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;ナフタレン基含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0027】
上記エポキシアクリレート系樹脂は、上記エポキシ樹脂と、分子中にエチレン性不飽和基とカルボキシル基とを有する(メタ)アクリル酸もしくはその誘導体とを反応させて得られる樹脂である。また、多塩基酸無水物を反応させて、カルボキシル基を付加させたカルボキシル基含有樹脂であってもよい。例えば、ビスフェノールAやビスフェノールFといったビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸変性して得られる、ビスフェノール構造を有するエポキシアクリレート系樹脂である。
【0028】
上記ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドでアセタール化することで得られる。上記アルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒドなどが挙げられ、ブチルアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒドは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルブチラール系樹脂が好ましい。
【0029】
上記ポリエステル系樹脂は、高分子型の共重合芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。具体例としては東洋紡社製のバイロンシリーズなどが挙げられる。ポリエステル系樹脂の中でも、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂が好ましい。
【0030】
上記ブロック共重合体としてはA−B−A、あるいはA−B−A’型ブロック共重合体が好ましい。A又はA’として、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)などを含むことが好ましく、Bとしてポリn−ブチルアクリレート(PBA)、ポリブタジエン(PB)などを含むことが好ましい。
【0031】
[カルボキシル基含有樹脂]
(B)樹脂は、フォトリソグラフィー法によるパターン形成後に、アルカリ現像が可能となるため、カルボキシル基含有樹脂であることが好ましい。
カルボキシル基含有樹脂として、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できるが、特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や解像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。尚、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有非感光性樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0032】
(1)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0033】
(2)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0034】
(3)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0035】
(4)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有非感光性樹脂。
【0036】
(5)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有非感光性ポリエステル樹脂。
【0037】
(6)上記(1)〜(5)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0038】
また、前記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常な電極パターンの描画が困難となるので好ましくない。
【0039】
本発明の導電性組成物においては、(B)樹脂として、熱分解終了点が500〜650℃の範囲内である樹脂を使用することができ、焼成後の導電性、耐酸性、基材との密着性の点から好ましい。また、導電性組成物を用いてラインを形成した場合、そのラインの幅の大小によって抵抗値がぶれることを抑えることができる。このようなラインの幅の大小によって抵抗値がぶれにくい導電性組成物は、大型のPDPの電極に好適である。
熱分解終了点が500〜650℃、好ましくは550℃〜600℃の範囲内にある樹脂はバインダー樹脂として機能し、焼成後の導電性、耐酸性、基材との密着性に優れることが見出された。詳細な機構は必ずしも明らかではないが、アルミニウム粒子に対しては、焼成後の残炭により粒子表面を被覆することで、アルミニウムを酸から保護することにより耐酸性を向上させるということが、その効果を説明する理由のひとつとして考えられる。また、残炭が、基材との密着性にも寄与するものと考えられる。さらに、残炭により、アルミニウム粒子を覆う酸化膜の成長を抑えるため、導電性が向上するとも考えられる。
【0040】
熱分解終了点は、TG測定装置(熱重量測定装置)、または、TG−DTA測定装置(熱重量−示唆熱同時測定装置)を用いて、温度の上昇による樹脂試料の重量変化を測定し、重量変化を時間(温度)に対してプロットしたTG曲線を作成し、加熱による重量減少が見られなくなる温度として定義される。
【0041】
また、樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
【0042】
熱分解終了点が500〜650℃の範囲内である樹脂としては、芳香環を有する樹脂が好ましく、特に、ビスフェノール構造を有する樹脂、フェノールノボラック構造を有する樹脂、及びクレゾールノボラック構造を有する樹脂がさらに好ましい。
また、熱分解終了点が500〜650℃の範囲内である樹脂としては、フェノキシ系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ブロック共重合体が好ましい。これらのうち、フェノキシ系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
【0043】
[その他の樹脂]
(B)樹脂として、上記樹脂に限らず、その他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂としては、例えば、これまで導電性組成物において、有機バインダーとして用いられてきた樹脂である。
このような有機バインダーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル 樹脂などの各種変性ポリエステル樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)などの変性セルロース類などが挙げられる。
【0044】
(感光性モノマー)
本発明の導電性組成物は、組成物に感光性を付与し、現像によるパターン形成を可能とするために、感光性モノマーを含むことが好ましい。感光性モノマーは、分子中にエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、粘度調整、光硬化性の促進や現像性の向上の為に用いられる。感光性モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。このような化合物としては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートが使用でき、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;上記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および上記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか1種などが挙げられる。
【0045】
感光性モノマーを配合する場合の配合量は、(B)樹脂100質量部あたり5〜200質量部であることが好ましい。
【0046】
(光重合開始剤)
本発明の導電性組成物は、組成物に感光性を付与し、現像によるパターン形成を可能とするために、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、公知のいずれのものも用いることができるが、中でも、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0047】
オキシムエステル系光重合開始剤は下記一般式(I)で表される部分構造(オキシムエステル基)を有する光重合開始剤である。
(式中、Rは、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、Rは、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す。)
【0048】
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュア(登録商標)OXE01、イルガキュアOXE02、ADEKA社製のN−1919、アデカアークルズ(登録商標)NCI−831などが挙げられる。
【0049】
オキシムエステル系光重合開始剤を使用する場合の配合量は、(B)樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。0.01質量部未満であると、光硬化性が不足し、硬化物が剥離するとともに、耐薬品性などの硬化物特性が低下することがある。一方、5質量部を超えると、硬化物表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは、(B)樹脂100質量部に対して0.5〜3質量部である。
【0050】
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379などが挙げられる。
【0051】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のルシリン(登録商標)TPO、イルガキュア819などが挙げられる。
【0052】
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤またはアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いる場合のそれぞれの配合量は、(B)樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、同様に光硬化性が不足し、硬化物が剥離するとともに、耐薬品性などの硬化物特性が低下することがある。一方、15質量部を超えると、十分なアウトガスの低減効果が得られず、さらに硬化物表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは(B)樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部である。
【0053】
また、光重合開始剤としてはBASFジャパン社製のイルガキュアー389、チタノセン系光重合開始剤であるイルガキュアー784も好適に用いることができる。
【0054】
光重合開始剤の他、光開始助剤または増感剤を好適に用いることができる。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物などを挙げることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
(ガラスフリット)
本発明の導電性組成物は、ガラスフリットを含有してもよいが、含有量が少ない方が、又は、含有しない方が、高い導電性を得ることができる。
ガラスフリットとしては、特に限定されないが、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはアルカリホウケイ酸塩を主成分とするものが用いられる。
【0056】
ガラスフリットの平均粒径(D50)は、レーザー回折・散乱法で測定することができ、好ましくは0.3〜5.0μm、より好ましくは0.5〜3.0μmである。平均粒径が0.3μm未満であると、収率が著しく低下しコスト高となり、5.0μmを超えると、薄膜の形成や、焼成時の均一な収縮が困難となり、ライン形状や緻密性が劣化する。
【0057】
ガラスフリットの軟化点は、例えば、550℃以下である場合には、導電性が優れるため好ましい。
【0058】
ガラスフリットを含有する場合の配合量は、導電性の点から、組成物全量基準で、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜4質量%である。より高い導電性が得られることから、ガラスフリットを含有しない(0質量%)ことが最も好ましい。
軟化点が高いガラスフリットを多量に含む場合、密着性が低下するおそれがあるため、好ましくない。
【0059】
更に、ガラスフリットを導電性組成物に均一に分散するために、分散剤を添加してもよい。分散剤は、ガラスフリットを均一に導電性組成物に分散できるものであれば特に限定されるものではない。分散剤としては、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、変性アクリル系ブロック共重合体、顔料親和性基を有するアクリル共重合物、塩基性あるいは酸性の顔料吸着基を有するブロック共重合物、顔料親和性基を有する変性ポリアルコキシレート、ポリアミノアマイド塩とポリエステルの組合せ、又は極性酸エステルと高分子アルコールの組合せ、酸性ポリマーのアルキルアンモニウム塩、顔料親和性基を有する高分子量ブロック共重合体、特殊変性ウレア等が挙げられる。上記分散剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0060】
(脂肪酸)
本発明の導電性組成物は、脂肪酸を含有していてもよい。脂肪酸を含有することにより、保存安定性の向上が期待できる。脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸いずれでもよいが、好ましくは不飽和基を2つ以上有する不飽和脂肪酸である。脂肪酸の具体例としては、ベヘン酸、オレイン酸、リノレン酸、ステアリン酸、チオ二酢酸などが挙げられる。脂肪酸を配合する場合の配合量は、(B)樹脂100質量部に対して、好ましくは、0.1〜5質量部である。
【0061】
(安定剤)
本発明の導電性組成物は、組成物の保存安定性を向上させ、ゲル化や流動性の低下による塗布作業性の悪化を抑制するために、上記脂肪酸以外の安定剤を添加することもできる。安定剤としては、導電性組成物中のアルミニウムとの錯体化あるいは塩形成などの効果のある化合物を用いることができる。具体的には、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、ホウ酸等の各種無機酸;ギ酸、酢酸、アセト酢酸、クエン酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、スルファミン酸等の各種有機酸;リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジフェニル、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等の各種リン酸化合物(無機リン酸、有機リン酸)などの酸が挙げられ、リン酸、リン酸エステル、有機酸が好ましい。市販品としては、共栄社化学社製のライトエステルP−1M等が挙げられる。上記安定剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0062】
安定剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0063】
(溶剤)
本発明の導電性組成物は、組成物の粘度を調整するために有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、(B)樹脂にかかる樹脂を溶解できるものであれば公知慣用のものが使用可能である。例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、1−ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テルピネオール、メチルエチルケトン、カルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。必要に応じてそれらの2種以上が含まれていてもよい。導電性組成物の基材に対する印刷がグラビア印刷のようなオフセット印刷以外で行われる場合には、導電性組成物中の溶剤は比較的揮発性が高いものであるのが好ましく、導電性組成物の印刷がグラビアオフセット印刷のようなオフセット印刷で行われる場合には、導電性組成物中の溶剤は比較的揮発性が低いものであるのが好ましい。
【0064】
(その他の添加剤)
本発明の導電性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、電極や電気配線の形成に用いられるアルミニウム含有導電性組成物に一般に配合される成分を配合することができる。そのような成分としては、バインダー、着色剤、表面処理剤、消泡剤、レベリング剤、表面張力低下剤、希釈剤、可塑化剤、フィラー、カップリング剤、安定剤、酸化防止剤、分散剤等が挙げられる。また、銀粒子、銅粒子などアルミニウム以外の導電粉を含んでいてもよい。
【0065】
本発明の感光性導電性組成物を3本ロールミルなどにより練肉してペースト化することができる。
【0066】
<電極>
本発明の電極は、本発明の導電性組成物を用いて形成されたものである。電極の形成方法の例を下記する。但し、これに限られない。
【0067】
本発明の導電性組成物を、スクリーン印刷によって、例えばPDPの前面基板となるガラス基板に、所定のパターンで塗布した後、焼成を行なってPDP用電極を形成することができる。
【0068】
また、本発明の導電性組成物に感光性が付与されている場合には、フォトリソグラフィー法でパターン形成することもできる。例えば、本発明の導電性組成物を、スクリーン印刷法、バーコーダー、ブレードコーターなど適宜の塗布方法で、ガラス基板に塗布し、塗膜を形成する。次いで、得られた塗膜を、指触乾燥性を得るために、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等で例えば約70〜120℃で5〜40分程度乾燥させ、有機溶剤を蒸発させ、タックフリーの塗膜(乾燥塗膜)を形成する。このとき、予め導電性組成物をフィルム上に塗布、乾燥して、ドライフィルムを形成した場合には、ドライフィルムを基板上にラミネートしてもよい。
【0069】
そして、得られた乾燥塗膜をパターン露光する。露光方法としては、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いた接触露光および非接触露光が可能である。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用される。露光量としては100〜800mJ/cm程度が好ましい。また、最大波長が350〜420nmのレーザー発振光源を用いた直接描画装置も用いて露光することもできる。
【0070】
さらに、所定パターンに露光された塗膜を現像する。現像方法としてはスプレー法、浸漬法等が用いられる。現像液としては、導電性組成物中のカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未露光部)を除去することができればよい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムなどの金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン水溶液、特に約1.5wt%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられる。また、現像後に不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
【0071】
焼成工程においては、本発明の導電性組成物がパターン形成されたガラス基板を、空気雰囲気下または窒素雰囲気下で好ましくは650℃以下、より好ましくは約400〜650℃、更に好ましくは約500〜600℃で加熱処理し、所望の電極を形成する。なお、このとき、昇温速度は、20℃/分以下に設定することが好ましい。焼成温度が650℃以下であることにより、残炭素の消失を防ぐことができる。
本発明の電極は、PDP用又はタッチパネル用として好適に用いることができるが、これらに限られない。タッチパネル用電極としては、引き出し配線電極が挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例、比較例によっては限定されない。
【0073】
(TG−DTA)
下記表1に記載のそれぞれの樹脂について、TG−DTA測定装置(セイコーインスツル社製)を用いて、温度上昇に伴う樹脂試料の重量変化を測定した。昇温条件は、20℃/minとした。重量減少が見られなくなった温度を熱分解終了点とした。得られた結果を下記表1に示す。また、樹脂Cについては、得られたチャート図を図3に示す。
【0074】
【表1】
※1:トリスフェニルメタン系エポキシアクリレートのTHPA(1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物)変性カルボキシル基含有樹脂
※2:ビスフェノールF型エポキシアクリレートのカルボン酸変性カルボキシル基含有樹脂
※3:ビスフェノールF型エポキシアクリレートのカルボン酸変性カルボキシル基含有樹脂
※4:ポリビニルブチラール樹脂
※5:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂
※6:ビスフェノールA型ポリエステル樹脂
※7:ブチルアクリレートとメチルメタクリレートの共重合樹脂
※8:メタクリレートと(1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物)メタクリレートの共重合にHHPA付加(ヘキサヒドロフタル酸無水物)したカルボキシル基含有樹脂
【0075】
(実施例1〜3、8〜10、参考例4〜7、比較例1)
(導電性組成物の調製)
下記表2に示す割合で、各成分を混合し、三本ロールミルで練肉して、導電性組成物を作製した。表中の配合量の単位は質量部である。
【0076】
【表2】
※1:平均粒径2μm、Nアトマイズ法により製造
※2:平均粒径4μm、Nアトマイズ法により製造
※3:平均粒径6μm、Nアトマイズ法により製造
※4:平均粒径2μm、大気中アトマイズ法により製造
※5:トリスフェニルメタン系エポキシアクリレートのTHPA変性カルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=591℃
※6:ビスフェノールF型エポキシアクリレートのカルボン酸変性カルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=592℃
※7:ビスフェノールF型エポキシアクリレートのカルボン酸変性カルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=592℃
※8:ポリビニルブチラール樹脂、熱分解終了温度=595℃
※9:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、熱分解終了温度=597℃
※10:ビスフェノールA型ポリエステル樹脂、熱分解終了温度=603℃
※11:ブチルアクリレートとメチルメタクリレートの共重合樹脂、熱分解終了温度=594℃
※12:メタクリレートとBG(ブチルグリシジル)メタクリレートの共重合にHHPA付加(ヘキサヒドロフタル酸無水物)したカルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=474℃
※13:アミノアセトフェノン系光重合開始剤
※14:3官能EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
※15:ポリエステルアクリレート
※16:炭化水素芳香族系溶剤
【0077】
(実施例1〜3、8〜10、比較例1の試験片の作製)
ガラス基材上に、評価用の各導電性組成物を200メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉にて80℃で20分間乾燥して指触乾燥性の良好な塗膜を形成した。その後、光源としてメタルハライドランプを用いて、組成物上の積算光量が300mJ/cmとなるように露光した。最後に、580〜600℃で30分間焼成し、電極を形成した試験片を作製した。
【0078】
参考例4〜7の試験片の作製)
ガラス基材上に、評価用の各導電性組成物を200メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉に80℃で20分間乾燥して指触乾燥性の良好な塗膜を形成した。その後、580〜600℃で30分間焼成し、電極を形成した試験片を作製した。
【0079】
比抵抗値:
上記試験片(0.1cm×40cm)について、三菱化学アナリティック製のロレスタGPに微小サンプル用四探針プローブ(PSP)を装着し四探針法により測定を行なった。試料の膜厚はミツトヨ製デジマチックマイクロメータ(MDC‐25MJ)を用いて測定した。
【0080】
密着性:
試験片(2cm×5cm)について、クロスカット法(JIS K−5600)に準拠して、1mm間隔の格子状に塗膜を25個に切り込んだ。その上にテープを貼り、剥がした時の状態により密着性の評価を行った。
全く剥がれない:◎、
表層の一部が剥がれる:〇、
表層全体がはがれる:△、
全体が基材界面から剥がれる:×
【0081】
耐酸性:
試験片を、0.3質量%の硝酸水溶液に10分浸漬した。その後、上記密着性の評価と同様にして、耐酸性を評価した。
全く剥がれない:◎、
表層の一部が剥がれる:〇、
表層全体がはがれる:△、
全体が基材界面から剥がれる:×
【0082】
解像性:
(実施例1〜3、実施例8〜10、比較例1の試験片の作製)
ガラス基材上に、評価用の各導電性組成物を200メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉にて80℃で20分間乾燥して指触乾燥性の良好な塗膜を形成した。その後、光源としてメタルハライドランプを用いて、ライン幅40μmおよび20μmのネガマスクを用いて、組成物上の積算光量が300mJ/cmとなるように露光した後、液温30℃の0.4wt%NaCO水溶液を用いて現像時間を10秒または20秒として現像を行い、水洗を経て、エアーナイフで乾燥した。その後、580〜600℃で30分間焼成した。
試験片について、40μmラインおよび20μmラインの形成の可否を観察し、最小ライン幅を選んだ。
【0083】
【表3】
【0084】
(実施例11〜13)
上記実施例と同様にして下記表4に記載のように各成分を配合して感光性導電性組成物を作製し、評価した。得られた結果を下記表5に示す。なお、実施例12については、密着性および耐酸性は評価しなかった。
【0085】
【表4】
※1:平均粒径2μm、Nアトマイズ法により製造
※2:ビスフェノールF型エポキシアクリレートのカルボン酸変性カルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=592℃
※3:アミノアセトフェノン系光重合開始剤
※4:3官能EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
※5:ポリエステルアクリレート
※6:軟化点515℃、有機溶剤と揺変剤混合
※7:軟化点595℃、有機溶剤と揺変剤混合
【0086】
【表5】
【0087】
(実施例14〜16)
上記実施例と同様にして下記表6に記載のように各成分を配合して感光性導電性樹脂組成物を作製し、評価した。得られた結果を下記表7に示す。なお、実施例16については、密着性および耐酸性は評価しなかった。
【0088】
【表6】
※1:平均粒径2μm、Nアトマイズ法により製造
※2:ビスフェノールF型エポキシアクリレートのカルボン酸変性カルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=592℃
※3:軟化点515℃、有機溶剤と揺変剤混合
※4:アミノアセトフェノン系光重合開始剤
※5:3官能EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
※6:ポリエステルアクリレート
※7:炭化水素芳香族系溶剤
【0089】
【表7】
【0090】
(各ライン幅における抵抗値の測定方法)
(実施例17)
ガラス基材上に、実施例3の導電性組成物を200メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉にて80℃で20分間乾燥して指触乾燥性の良好な塗膜を形成した。その後、光源としてメタルハライドランプを用いて、ライン幅70,80,90,100,110,120μmのネガマスクを用いて、組成物上の積算光量が300mJ/cmとなるように露光した後、液温30℃の0.4wt%NaCO水溶液を用いて現像時間を10秒または20秒として現像を行い、水洗を経て、エアーナイフで乾燥した。その後、600℃で30分間焼成した。
各ライン幅のパターンにおいて、長さ100cmの抵抗値を測定した。その時の抵抗値を下記実施例18〜21の抵抗値と併せて図4に示す。
(実施例18)
実施例3の組成に、組成物全体量の3%となるようにガラスフリットA(軟化点515℃、有機溶剤と揺変剤混合)を配合して導電性組成物を調製した以外は、実施例17と同様とした。
(実施例19)
ガラスフリットAの含有量を組成物全体量の7%とした以外は、実施例18と同様とした。
(実施例20)
実施例3の組成に、組成物全体量の3%となるようにガラスフリットB(軟化点595℃、有機溶剤と揺変剤混合)を配合して導電性組成物を調製した以外は、実施例17と同様とした。
(実施例21)
ガラスフリットBの含有量を組成物全体量の7%とした以外は、実施例20と同様とした。
【0091】
(実施例22)
実施例3に代えて、実施例10の導電性組成物を用い、実施例17と同様に抵抗値を測定した。抵抗値を下記実施例23〜26の抵抗値と併せて図5に示す。
(実施例23)
実施例10の組成に、組成物全体量の3%となるようにガラスフリットA(軟化点515℃、有機溶剤と揺変剤混合)を配合して導電性組成物を調製した以外は、実施例22と同様とした。
(実施例24)
ガラスフリットAの含有量を組成物全体量の6%とした以外は、実施例23と同様とした。
(実施例25)
実施例10の組成に、組成物全体量の3%となるようにガラスフリットB(軟化点595℃、有機溶剤と揺変剤混合)を配合して導電性組成物を調製した以外は、実施例22と同様とした。
(実施例26)
ガラスフリットBの含有量を組成物全体量の6%とした以外は、実施例25と同様とした。
【0092】
(比較例2、実施例27〜32)
上記実施例と同様にして下記表8に記載のように各成分を配合して感光性導電性樹脂組成物を作製し、上記実施例15と同様にライン幅のパターンを形成した試験片を用いて耐酸性を評価した。得られた結果を図5及び下記表8に示す。なお、ガラスフリットの配合量の括弧内の数値は、組成物全体に対する質量%である。
【0093】
【表8】
※1:平均粒径2μm、Nアトマイズ法により製造
※2:平均粒径2.5μm
※3:ビスフェノールF型エポキシアクリレートのカルボン酸変性カルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=592℃
※4:メタクリレートとBG(ブチルグリシジル)メタクリレートの共重合にHHPA付加(ヘキサヒドロフタル酸無水物)したカルボキシル基含有樹脂、熱分解終了温度=474℃
※5:アミノアセトフェノン系光重合開始剤
※6:3官能EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
※7:ポリエステルアクリレート
※8:軟化点515℃、有機溶剤と揺変剤混合
※9:軟化点595℃、有機溶剤と揺変剤混合
【0094】
【表9】
図3
図4
図5
図1
図2
図6