(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重合触媒が、エーテル類、エステル類、ケトン類から選ばれる化合物(C)をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシクロペンテン開環重合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法は、有機アンモニウムモリブデート(A)と有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒の存在下で、シクロペンテンを開環重合することを特徴とする。
本発明の製造方法においては、有機アンモニウムモリブデート(A)と有機アルミニウム化合物(B)を含む重合触媒を用いる。
【0014】
(有機アンモニウムモリブデート(A))
本発明で用いる有機アンモニウムモリブデート(A)は、モリブデン酸の有機アンモニウム塩である。本発明で用いる有機アンモニウムモリブデート(A)としては、本発明の目的を達成する観点から、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0016】
式(1)中、R
1は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。4つのR
1は、同一であっても相異なっていてもよいが、少なくとも1つは炭素数1〜20の炭化水素基である。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の、置換基を有してもよい6〜20のアリール基;等が挙げられる。
これらの中でも、シクロペンテンへの溶解性に優れる観点から、少なくとも1つのR
1が炭素数6〜20の炭化水素基であるのが好ましく、少なくとも1つのR
1が炭素数8〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であるのがより好ましい。
a、bはそれぞれ独立して、(2b−6a)>0を満たす、1〜50の整数である。
【0017】
有機アンモニウムモリブデート(A)は、モリブデン酸イオンと有機アンモニウムイオンとからなる。モリブデン酸イオンは、Mo(VI)のオキソアニオンである。具体的には、MoO
42−、Mo
2O
72−、Mo
3O
102−、Mo
4O
132−、Mo
5O
162−、Mo
6O
192−、Mo
7O
246−、Mo
8O
264−等が挙げられる。
【0018】
また、有機アンモニウムモリブデート(A)は、複数種のモリブデン酸イオンを含むものであってもよい。なお、複数種のモリブデン酸イオンを含む場合には、前記式(1)のa及びbが異なる化合物の集合体となる。従って、このものを化学式で示そうとすれば、a及びbは整数ではなく、小数となる場合がある。
これらの中でも、モリブデン酸イオンとしては、高活性の触媒が得られることから、Mo
8O
264−であるのが好ましい。
【0019】
本発明に用いる有機アンモニウムモリブデート(A)の特に好ましい具体例としては、トリドデシルアンモニウムモリブデート、メチルトリオクチルアンモニウムモリブデート、トリデシルアンモニウムモリブデート、トリオクチルアンモニウムモリブデート、テトラフェニルアンモニウムモリブデート等が挙げられる。
【0020】
有機アンモニウムモリブデート(A)は、基本的には前記式(1)で表される化合物であるが、アンモニウムイオンとモリブデン酸イオンに加えて、窒素原子;酸素原子;リン原子;硫黄原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;等がさらに含まれているものであっても構わない。
このような具体例としては、リン原子を含む、トリデシルアンモニウム(フェニルホスホ)モリブデート等が挙げられる。
【0021】
有機アンモニウムモリブデート(A)の使用量は、用いるシクロペンテンの量に対するモリブデン原子のモル比「モリブデン原子:シクロペンテン」で、通常1:100〜1:200,000、好ましくは1:200〜1:150,000、より好ましくは1:500〜1:100,000の範囲である。有機アンモニウムモリブデート(A)の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、得られるシクロペンテン開環重合体からの触媒残渣の除去が困難となり、得られるシクロペンテン開環重合体の耐熱性及び耐寒性が低下するおそれがある。
【0022】
(有機アルミニウム化合物(B))
本発明で用いる有機アルミニウム化合物(B)は、炭化水素基を有するアルミニウム化合物であれば特に制約はないが、本発明の目的を達成する観点から、下記式(2)で表される化合物であるのが好ましい。
【0024】
式(2)中、R
2は、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前記R
1で例示したのと同様のものが挙げられる。これらの中でも、本発明の目的を達成する観点から、炭素数1〜10の炭化水素基であるのが好ましく、炭素数1〜6の炭化水素基であるのがより好ましい。
R
2が複数である場合、複数のR
2は同一であっても、相異なっていてもよい。
【0025】
R
3は、ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、炭素数1〜20の炭化水素基としては、前記R
1で例示したのと同様のものが挙げられる。
なかでも、R
3としては、重合活性に優れる触媒が得られることから、ハロゲン原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。
【0026】
ハロゲン原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基としては、1,3−ジクロロ−2−プロピル基、1,3−ジブロモ−2−プロピル基、1−クロロ−2−ブチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−トリクロロメチル−2−プロピル基、トリブロモメチル−1−エチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等が挙げられる。
ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、2,6−ジイソプロピルフェニル基等が挙げられる。
【0027】
Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
c、dはそれぞれ独立して、c+d<3を満たす、0、1、又は2である。なお、c、dの値が異なる化合物の混合物である場合に、その混合物を化学式で示そうとすれば、c及びdは整数ではなく、小数となる場合がある。
【0028】
有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、次のものが挙げられる。
(1)前記式(2)中、c=d=0である化合物の例
トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム等が挙げられる。
(2)前記式(2)中、c=0、d=1又は2である化合物の例
ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリドなどが挙げられる。
(3)前記式(2)中、c=1又は2、d=0である化合物の例
ジエチルアルミニウム(2−トリクロロエトキシド)、ジエチルアルミニウム(2−トリブロモエトキシド)、ジエチルアルミニウム(1,3−ジクロロ−2−プロポキシド)、ジエチルアルミニウム(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシド)、ジエチルアルミニウム(1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロポキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジイソプロピルフェノキシド)、エチルアルミニウムジ(2−トリクロロエトキシド)、エチルアルミニウムジ(2−トリブロモエトキシド)、エチルアルミニウムジ(1,3−ジクロロ−2−プロポキシド)、エチルアルミニウムジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシド)、エチルアルミニウムジ(1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロポキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシド)等。
(4)前記式(2)中、c=1、d=1である化合物の例
エチル(クロロ)アルミニウム(2−トリクロロエトキシド)、エチル(クロロ)アルミニウム(2−トリブロモエトキシド)、エチル(ブロモ)アルミニウム(1,3−ジクロロ−2−プロポキシド)、エチル(クロロ)アルミニウム(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシド)、エチル(クロロ)アルミニウム(1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロポキシド、エチル(クロロ)アルミニウム(2,6−ジイソプロピルフェノキシド)等。
【0029】
これらの中でも、本発明の目的をより達成しやすい触媒が得られる観点から、前記式(2)中、c=1又は2、d=0であるもの、及び、c=1、d=1である有機アルミニウム化合物が好ましい。
【0030】
前記式(2)で表される有機アルミニウム化合物(B)のうち、cが1又は2である化合物(B”)は、例えば、下記反応式に示すように、式(2)で表される有機アルミニウム化合物(B)のうち、cが0である化合物(B’)と、式:R
3OHで表されるアルコールとの反応によって合成することができる。
【0032】
(式中、R
2、R
3、X及びdは前記と同じ意味を表し、c’は1又は2を表す。)
上記反応で得られる生成物は、精製することなく、そのまま本発明の有機アルミニウム化合物(B)として使用することができる。
また、有機アルミニウム化合物(B)の代わりに、有機アルミニウム化合物(B’)と前記式:R
3OHで表されるアルコールを後述する重合反応系内に添加して、反応系内で、有機アルミニウム化合物(B)のうち、cが1又は2である化合物を生成させ、重合反応を行うこともできる。
【0033】
有機アルミニウム化合物(B)の使用量は、用いる有機アルミニウム化合物(B)の種類によっても異なるが、有機アンモニウムモリブデート(A)を構成するモリブデン原子に対して、好ましくは0.1〜100倍モル、より好ましくは0.2〜50倍モル、さらに好ましくは0.5〜20倍モルとなる量である。有機アルミニウム化合物(B)の使用量が少なすぎると、重合活性が不十分となる場合があり、多すぎると、開環重合時において、副反応が起こりやすくなる傾向にある。
【0034】
(化合物(C))
本発明で用いる重合触媒は、前記有機アンモニウムモリブデート(A)及び有機アルミニウム化合物(B)に加えて、エーテル類、エステル類、ケトン類から選ばれる化合物(C)(以下、単に「化合物(C)」ということがある。)をさらに含有していてもよい。化合物(C)をさらに含有することにより、重合活性を向上させることができるとともに、高分子量のシクロペンテン開環重合体をより容易に得ることができる。
【0035】
化合物(C)のエーテル類としては、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ビス(2−クロロエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸オクチル、酢酸2−クロロエチル、アセチルアクリル酸メチル、グルタル酸ジメチル、ε−カプロラクトン、σ−ヘイサノラクトン、ジアセトキシエタン等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、クロロアセトン、1,3−ジクロロ−2−プロパノン等が挙げられる。
これらの中でも、エーテル類、ケトン類が好ましい。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
化合物(C)の使用量は、用いる化合物(C)の種類によっても異なるが、有機アンモニウムモリブデート(A)を構成するモリブデン原子に対して、好ましくは0.1〜100倍モル、より好ましくは0.2〜50倍モル、さらに好ましくは0.5〜20倍モルとなる量である。化合物(C)の使用量が少なすぎると、化合物(C)の添加効果が得難くなり、多すぎると重合活性が不十分となるおそれがある。
【0037】
(単量体)
本発明の製造方法においては、単量体として、シクロペンテンの他、シクロペンテンと共重合可能なその他の環状オレフィンを用いてもよい。
【0038】
共重合可能なその他の環状オレフィンとしては、シクロペンテン以外のモノ環状オレフィンや多環の環状オレフィン等が挙げられる。モノ環状オレフィンとしては、置換基を有していてもよい、シクロオクテンやシクロオクタジエン等が挙げられ、多環の環状オレフィンとしては、置換基を有してもよいノルボルネン化合物等が挙げられる。
【0039】
シクロペンテンと共重合可能なその他の環状オレフィンの使用量は、得られるシクロペンテン開環(共)重合体の特性を良好なものとする観点から、シクロペンテンに対して、20モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。
【0040】
(シリル基を含有するオレフィン化合物)
本発明においては、シリル基を含有するオレフィン化合物(以下、「シリル基含有オレフィン化合物」ということがある。)の存在下で開環重合反応を行うことにより、重合体の片末端又は両末端にシリル基が導入されたシクロペンテン開環重合体を得ることができる。
重合体の片末端又は両末端にシリル基が導入されたシクロペンテン開環重合体は、無機材料に対する密着性に優れる。
【0041】
シリル基の導入率は、70%から200%であるのが好ましい。ここで、シリル基の導入率とは、シクロペンテン開環重合体鎖1本に対するシリル基の個数を表す。したがって、すべての重合体鎖1本に1個のシリル基が導入された場合、シリル基の導入率は100%である。
【0042】
シリル基含有オレフィン化合物としては、ビニル(トリメトキシ)シラン、ビニル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリメトキシ)シラン、アリル(メトキシ)(ジメチル)シラン、アリル(トリエトキシ)シラン、アリル(エトキシ)(ジメチル)シラン、スチリル(トリメトキシ)シラン、スチリル(トリエトキシ)シラン、スチリルエチル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリエトキシシリルメチル)エーテル、アリル(トリエトキシシリルメチル)(エチル)アミン、2−ブテン−1,4−ジ(トリメトキシシラン)、2−ブテン−1,4−ジ(トリエトキシシラン)、1,4−ジ(トリメトキシシリルメトキシ)−2−ブテン等のアルコキシシラン化合物;
ビニル(トリフェノキシ)シラン、アリル(トリフェノキシ)シラン、アリル(フェノキシ)(ジメチル)シラン、2−ブテン−1,4−ジ(トリフェノキシシラン)等のアリーロキシシラン化合物;
ビニル(トリアセトキシ)シラン、アリル(トリアセトキシ)シラン、アリル(ジアセトキシ)メチルシラン、アリル(アセトキシ)(ジメチル)シラン、2−ブテン−1,4−ジ(トリアセトキシシラン)等のアシロキシシラン化合物;
アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2−ブテン−1,4−ジ[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]等のアルキルシロキシシラン化合物;
アリルトリス(トリフェニルシロキシ)シラン、2−ブテン−1,4−ジ[トリス(トリフェニルシロキシ)シラン]等のアリールシロキシシラン化合物;
1−アリルヘプタメチルトリシロキサン、1−アリルノナメチルテトラシロキサン、1−アリルノナメチルシクロペンタシロキサン、1−アリルウンデカメチルシクロヘキサシロキサン、2−ブテン−1,4−ジ(ヘプタメチルトリシロキサン)、2−ブテン−1,4−ジ(ウンデカメチルシクロヘキサシロキサン)等のポリシロキサン化合物;
等が挙げられる。
これらのシリル基含有オレフィン化合物は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
シリル基含有オレフィン化合物の添加量は、目的とする重合体の用途に合わせて適宜選択すればよいが、用いる単量体(複数種の場合には合計)に対して、0.01〜10モル%の範囲であるのが好ましい。
【0044】
また、本発明の製造方法においては、得られるシクロペンテン開環重合体の分子量を調整するために、重合反応系に分子量調整剤を添加してもよい。用いる分子量調節剤としては、シクロオレフィン以外の、オレフィン化合物やジオレフィン化合物等が挙げられる。
【0045】
オレフィン化合物、ジオレフィン化合物の具体例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;エチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;2−ブテン、3−ヘキセン等の二置換オレフィン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン等が挙げられる。
【0046】
(シクロペンテン開環重合体の製造方法)
本発明の製造方法においては、前記有機アンモニウムモリブデート(A)、有機アルミニウム化合物(B)、及び、必要に応じて化合物(C)を含む重合触媒を、シクロペンテン、又は、シクロペンテンと、シクロペンテンと共重合可能なその他の環状オレフィンとの単量体混合物(以下、単に「単量体」ということがある。)と接触させて開環重合反応を行う。
【0047】
重合触媒を単量体に接触させて開環重合を行う方法としては特に限定されず、たとえば、(i)単量体、有機アルミニウム化合物(B)及び必要に応じて用いられる化合物(C)を予め混合しておき、ここに、有機アンモニウムモリブデート(A)を添加する方法、(ii)有機アンモニウムモリブデート(A)及び必要に応じて用いられる化合物(C)を予め混合しておき、ここに、単量体を添加し、次いで、有機アルミニウム化合物(B)を添加する方法、(iii)有機アンモニウムモリブデート(A)及び有機アルミニウム化合物(B)、並びに、必要に応じて化合物(C)を予め混合しておき、ここに単量体を添加する方法、等が挙げられる。
【0048】
前記シリル基含有オレフィン化合物の存在下で開環重合反応を行う場合や、分子量調整剤を用いる場合も、その添加順序は特に限定されない。
例えば、前記(i)の方法を用いる場合であれば、単量体、有機アルミニウム化合物(B)及び必要に応じて用いられる化合物(C)を予め混合する際に、シリル基含有オレフィン化合物も一緒に添加しておいてもよいし、単量体、有機アルミニウム化合物(B)及び必要に応じて用いられる化合物(C)を混合し、得られた混合物に有機アンモニウムモリブデート(A)を添加する際に、シリル基含有オレフィン化合物を添加してもよい。
【0049】
本発明の製造方法における開環重合反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶液中で行ってもよい。
用いる溶媒としては、重合反応において不活性であり、前記重合触媒やシクロペンテン等を溶解可能な溶媒であれば特に限定されず、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒等が挙げられる。
【0050】
炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;等が挙げられる。
ハロゲン系溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルム等のアルキルハロゲン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン;等が挙げられる。
【0051】
本発明のシクロペンテン開環重合体の製造方法において、重合温度は、好ましくは−100℃以上であり、より好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−20℃以上、特に好ましくは0℃以上である。また、重合温度の上限は特に限定されないが、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは90℃未満、さらに好ましくは80℃未満、特に好ましくは70℃未満である。重合温度が高すぎると、得られるシクロペンテン開環重合体の分子量が小さくなりすぎるおそれがあり、重合温度が低すぎると、重合速度が遅くなって、重合に長時間を要し、結果として、生産性に劣る場合がある。
本発明の製造方法においては、比較的高温条件(例えば、0℃〜40℃)下でも、シス比率が高く、しかも分子量の大きいシクロペンテン開環重合体を高収率で得ることができる。
【0052】
重合反応時間は、反応規模等にもよるが、通常1分から72時間、好ましくは10分から20時間である。
【0053】
本発明においては、重合触媒と単量体とを接触させて開環重合を開始し、重合転化率が所定の値に達した後、公知の重合停止剤を重合系に加えて停止させることにより、シクロペンテン開環重合体を製造することができる。
【0054】
重合反応を溶媒溶液中で行った場合、反応溶液から重合体を単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、固体をろ別し、乾燥することによって目的物を取得する方法等を採用することができる。
【0055】
本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜2,000,000であり、より好ましくは20,000〜1,500,000であり、さらに好ましくは50,000〜1,000,000である。分子量がこのような範囲にある場合に、機械物性を良好なものとすることができる。
重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定することができる。
【0056】
また、本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体は、シス/トランス組成比が、「シス/トランス」の比率で、好ましくは40/60〜100/0、より好ましくは45/55〜100/0、さらに好ましくは50/50〜100/0のものである。シス比率が40%以上であれば、得られるシクロペンテン開環重合体は非晶性となり、低温でのゴム特性に優れるため好ましい。
なお、シクロペンテン開環重合体のシス/トランス比は、
13C−NMRスペクトル測定から求めることができる。
【0057】
本発明の製造方法においては、重合触媒として、上述した有機アンモニウムモリブデート(A)及び有機アルミニウム化合物(B)を含有するものを用いるため、比較的高温条件下(例えば、0℃〜40℃)で重合反応を行った場合でも、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を40%以上とすることができ、これにより、シクロペンテン開環重合体を非晶性であり、低温でのゴム特性に優れるものとすることができる。
加えて、本発明の製造方法は、比較的高温条件下(例えば、0℃〜40℃)で重合反応を行った場合でも、重合バッチ及び重合スケールによらず、得られるシクロペンテン開環重合体のシス比率を安定したものとすることができる、重合安定性に優れる方法である。
【0058】
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体を含有することを特徴とする。
本発明のゴム組成物は、本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体の二種以上を含有していてもよい。また、本発明のゴム組成物は、本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体以外のゴムや、各種配合剤を含有していてもよい。
【0059】
シクロペンテン開環重合体以外のゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合SBR(スチレン−ブタジエン共重合ゴム)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン部分の1,2−結合含有量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、低シスBR(ポリブタジエンゴム)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリイソプレン−SBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。なかでも、NR、BR、IR、SBRが好ましく用いられる。これらのゴムは、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
配合剤としては、特に限定されず、ゴム加工分野において通常使用される配合剤、例えば、シリカ、カーボンブラック等の無機粒子;フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤等の老化防止剤;架橋剤;架橋促進剤;架橋活性化剤;活性剤;プロセス油;可塑剤;滑剤;充填剤;伸展油;等が挙げられる。
これらの配合剤の配合量は、配合目的に応じて決定することができる。
【0061】
前記シリカとしては、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、特開昭62−62838号公報に開示されている沈降シリカ等が挙げられる。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。
これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、シリカとの密着性を向上させる目的で、ゴム組成物に、さらにシランカップリング剤を配合することが好ましい。
【0062】
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられる。これらの中でも、ファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEF等が挙げられる。
【0063】
本発明の製造方法により得られるシクロペンテン開環重合体、及び該シクロペンテン開環重合体を用いて得られるゴム組成物は、低温下において非晶質であり、ガラス転移温度が低く、低温でのゴム特性に優れたものである。そのため、例えば、トレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ各部位として、あるいはホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品等のゴム製品として、さらには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化ゴムとして、好ましく利用することができる。なかでも、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤトレッド用として、及び、サイドウォール、アンダートレッド、カーカス、ビート部等の材料として、特に好ましく利用することができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を、実施例及び比較例に基づきさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これら実施例等に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験、評価は下記によった。
【0065】
<分子量>
テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、シクロペンテン開環重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を、ポリスチレン換算値として測定した。
【0066】
<シス/トランス比>
シクロペンテン開環重合体のシス/トランス比を、
13C−NMRスペクトル測定から求めた。
【0067】
<シリル基導入率>
シクロペンテン開環重合体について、
1H−NMRスペクトル測定により、シリル基特有のピーク積分値及びオレフィン由来のピーク積分値の比率の測定を行った。そして、測定したピーク積分値の比率、及び上記したGPCによる数平均分子量(Mn)の測定結果に基づいて、シリル基導入率を算出した。シリル基導入率は、シクロペンテン開環重合体鎖数に対するシリル基の個数の割合とした。すなわち、シリル基導入率=100%は、1つの重合体鎖に対し、1個の割合でシリル基が導入されている状態を示す。
【0068】
<融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)>
シクロペンテン開環重合体の融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温で測定した。
【0069】
(実施例1)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス製反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いて1mol/Lのトリエチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液4.4mlと、1mol/Lの2,2,2−トリクロロエタノール/シクロヘキサン溶液8.8mlを添加して全容を攪拌した。ついで、37重量%トリドデシルアンモニウムモリブデート/シクロヘキサン溶液1.4gを添加して、25℃で1時間重合を行った。その後、反応液に過剰のイソプロパノールを加えて重合を停止させた後、反応混合物を2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含む大過剰のイソプロパノール中に注いだ。次いで、沈殿したポリマーを回収し、イソプロパノールで洗浄後、40℃で3日間、真空乾燥することにより、シクロペンテン開環重合体1を得た。
得られたシクロペンテン開環重合体1について、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0070】
(実施例2)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス製反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いて1mol/Lのトリエチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液4.4mlと、1mol/Lの2,2,2−トリブロモエタノール/シクロヘキサン溶液8.8mlを添加して全容を攪拌した。ついで、37重量%トリドデシルアンモニウムモリブデート/シクロヘキサン溶液0.7gを添加して、25℃で4時間重合を行い、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体2を得た。
得られたシクロペンテン開環重合体2について、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0071】
(実施例3)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いて1mol/Lのトリエチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液1.6mlと、1mol/Lの2,2,2−トリクロロエタノール/シクロヘキサン溶液3.2mlを添加して攪拌した。ついで、2−ブテン−1,4−ジ(トリエトキシシラン)0.15mlと37重量%トリドデシルアンモニウムモリブデート/シクロヘキサン溶液0.5gを添加して、25℃で2時間重合を行い、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体3を得た。
得られたシクロペンテン開環重合体3について、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、シリル基導入率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0072】
(実施例4)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いて1mol/Lのジエチルアルミニウムクロリド/n−ヘキサン溶液4.4mlと、1mol/Lのクロレトン/シクロヘキサン溶液4.4mlを添加して攪拌した。ついで、30重量%テトラフェニルアンモニウムモリブデート/シクロヘキサン溶液1.7gを添加して、0℃で20時間重合を行い、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体4を得た。
得られたシクロペンテン開環重合体4について、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0073】
(実施例5)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いて1mol/Lのトリエチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液4.4mlと、1mol/Lの2,6−ジイソプロピルフェノール/シクロヘキサン溶液4.4mlを添加して攪拌した。ついで、1mol/Lの1,3−ジクロロ−2−プロパノン/シクロヘキサン溶液4.4mlと37重量%トリオクチルアンモニウムモリブデート/シクロヘキサン溶液1.7gを添加して、25℃で20時間重合を行い、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体4を得た。
得られたシクロペンテン開環重合体5について、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0074】
(比較例1)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いてジイソブチルアルミノキサン/トルエン溶液(1.0重量%)(東ソー・ファインケム社製)10.1mlを添加して攪拌した。ついで、2−ブテン−1,4−ジ(トリエトキシシラン)0.15mlと0.5重量%のWCl
6/トルエン溶液19mlを添加して、25℃で20時間重合を行い、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体1rを得た。
得られたシクロペンテン開環重合体1rについて、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0075】
(比較例2)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いてトリイソブチルアルミニウム/トルエン(2.5重量%)3.5mlを添加して攪拌した。ついで、0.5重量%のWCl
6/トルエン溶液19mlを添加して、25℃で20時間重合を行い、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体2rを得た。
得られたシクロペンテン開環重合体2rについて、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0076】
(比較例3)
窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン195mlを加え、続いてトリイソブチルアルミニウム/トルエン(2.5重量%)3.5mlを添加して攪拌した。ついで、1,4−ジオキサン0.05mlと0.5重量%のWCl
6/トルエン溶液19mlを添加して、25℃で20時間重合を行い、実施例1と同様にして、シクロペンテン開環重合体3rを得た。
得られたシクロペンテン開環重合体3rについて、上記方法に従い、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の各測定を行った。
【0077】
実施例1〜5、比較例1〜3の重合条件を下記表1に示す。また、得られたシクロペンテン開環重合体1〜5及び1r〜3rの、収率(%)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、シス/トランス比率、融点(Tm)、及びガラス転移温度(Tg)の測定結果を下記表2にまとめて示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1より、重合触媒として、有機アンモニウムモリブデート(A)と有機アルミニウム化合物(B)とを含有するものを用いて得られた、実施例1〜5のシクロペンテン開環重合体1〜5は、いずれも重合収率が高く、高分子量であり、シス比率が高いものであった。また、これらシクロペンテン開環重合体は、いずれも融点(Tm)が観測されず、低温下において非晶質であった。
【0081】
一方、重合触媒としてWCl
6とジイソブチルアルミノキサンを用いて得られた、比較例1のシクロペンテン開環重合体1rは、シス比率が低く、融点(Tm)が−13℃であり、低温下において結晶性を示すものであった。
また、重合触媒としてWCl
6とトリイソブチルアルミニウムを用いて得られた、比較例2、3のシクロペンテン開環重合体2r、3rは、重合収率が低く、低分子量で、シス比率が低く、融点(Tm)がそれぞれ1℃、4℃であり、低温下において、結晶性を示すものであった。
【0082】
(実施例6,7)
実施例3と同じ条件で、シクロペンテンの開環重合を行い、得られたシクロペンテン開環重合体6、7について、実施例3と同様に各測定を行った。測定結果を下記表3に示す。なお、表3においては、実施例3の結果を「1回目」とし、実施例6、7の結果をそれぞれ「2回目」、「3回目」として示した。
【0083】
(比較例4,5)
比較例1と同じ条件で、シクロペンテンの開環重合を行い、得られたシクロペンテン開環重合体4r、5rについて、実施例3と同様に各測定を行った。測定結果を下記表3に示す。なお、表3においては、比較例1の結果を「1回目」とし、比較例4、5の結果をそれぞれ「2回目」、「3回目」として示した。
【0084】
【表3】
【0085】
表3より、重合触媒として、有機アンモニウムモリブデート(A)と有機アルミニウム化合物(B)とを含有するものを用いた場合(実施例3、6、7)には、重合収率、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、シス/トランス比、シリル基導入率、融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)のいずれも、安定したものであり、重合バッチによるバラツキが小さく、重合安定性に優れるものであった。
【0086】
これに対して、比較例1、4、5の、重合触媒としてWCl
6とジイソブチルアルミノキサンを用いた場合には、重合収率、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、シス/トランス比、シリル基導入率及び融点(Tm)が大きく変動しており、重合バッチによるバラツキが大きく、重合安定性に劣るものであった。