(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴム組成物は、作業のしやすさ、成型性、また成型後の耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性等の性質に優れており、種々の分野で使用されている。特に、側鎖に3,3,3−トリフルオロプロピル基を有するフロロシリコーンゴム組成物は、耐溶剤性にも優れた性質を有しており、輸送機器部品、石油関連機器部品としてのダイヤフラム、O−リング、オイルシール材等として広く使用されている。
【0003】
しかしながら、フロロシリコーンはジメチルシリコーンに比べて熱や、酸、アルカリによる酸化劣化、シロキサンの分解を受けやすいことが知られている。これはトリフルオロプロピル基由来の分極のしやすさや、酸化する際に生ずるフッ化水素が原因ではないかと考えられる。その結果、シリコーン以外の樹脂と接触する部位に使用される場合、その樹脂からの移行物質により、大きく物性を損ねることがある。例えば、ナイロン6に接触し、原料成分であるεカプロラクタムに膨潤した場合、圧縮永久歪は、膨潤しない場合に比べて大きく悪化する。これは、極性物質であるεカプロラクタムがフロロシリコーンゴム中の微量のアルカリ成分(添加剤、重合触媒の中和塩などに由来)の活性を高めることで、フロロシリコーンゴムの主鎖切断が起こっているためと考えられる。
以上から、下記特許文献1〜3に示されるように、より圧縮永久歪の改善されたフロロシリコーンゴム組成物が提案されている。
しかし、これらの方法によっても、εカプロラクタム膨潤後の圧縮永久歪は良好とは言い得ない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる(A)成分のフロロシリコーン生ゴム(即ち、高重合度のトリフルオロプロピル(メチル)ポリシロキサンは、本発明組成物の主剤(ベースポリマー)として作用するものであり
、下記一般式(1)で示される直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。ここで、生ゴムとは、室温(25℃)で10,000mPa・s以上、特には100,000mPa・s以上、とりわけ1,000,000mPa・s以上の非常に高粘ちょうな液状であるか、あるいは自己流動性のない非液状(ペースト又は固体状)である高重合体であることを意味する。なお、本発明において粘度は、例えば回転粘度計(BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)によって測定することができる。
【0011】
【化5】
[式中、R
1〜R
5は炭素数1〜8の非置換又は置換の脂肪族飽和一価炭化水素基又は芳香族一価炭化水素基、R
6は炭素数2〜10の非置換又は置換の脂肪族不飽和一価炭化水素基、Xは水素原子又は下記一般式(2)もしくは(3)
【化6】
(式中、R
7〜R
11は炭素数1〜8の脂肪族不飽和基を除く一価炭化水素基である。)
で示されるシリル基であり、m=0〜30の整数、n=1〜100の整数、p≧500の整数であり、q=0又は2である。従って、単位(B)中におけるR
3R
4SiO単位とR
5R
6SiO単位との合計は3である。なお、
【化7】
で示される単位(B)と、
【化8】
で示される単位(C)の配列はランダムであり、前記単位(B)中において、−SiR
3R
4O−で示される単位と−SiR
5R
6O−で示される単位は、前者がq=0個又は2個、後者が3−q個(即ち、3個又は1個)の単位を含有する限りにおいて、これら3個のシロキサン単位の配列はランダムである。]
【0012】
ここで、R
1〜R
5は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した、クロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等の、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6の非置換又は置換の脂肪族飽和一価炭化水素基又は芳香族一価炭化水素基である。これらの基の中で、R
1、R
2としては、好ましくはメチル基であり、R
3、R
4、R
5としては、好ましくはメチル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基である。R
6は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノナニル基等のアルケニル基に代表される、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4の非置換又は置換の脂肪族不飽和一価炭化水素基であり、これらの基の中で好ましくはビニル基である。R
7〜R
11は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等の、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6の脂肪族飽和一価炭化水素基又は芳香族一価炭化水素基などの、脂肪族不飽和基を除く非置換又は置換の一価炭化水素基である。Xは、水素原子、一般式(2),(3)で示されるシリル基から選択される原子又は基であり(即ち、分子鎖末端がシラノール基又はトリオルガノシロキシ基で封鎖されたものであり)、また、mは0〜30の整数で、好ましくは0〜12、より好ましくは3〜8の整数であり、nは1〜100の整数で、好ましくは2〜50、より好ましくは3〜20の整数であり、pは500以上の整数で、好ましくは500〜10,000の整数、より好ましくは1,000〜9,000の整数、更に好ましくは2,000〜8,000の整数であり、(m+n+p)は好ましくは1,000〜10,000の整数、より好ましくは2,000〜9,000の整数である。更に、q=0又は2である。
【0013】
また、(A)成分中において、脂肪族不飽和一価炭化水素基(例えば、アルケニル基)は2個以上含有されるものであるが、ケイ素原子に結合する非置換又は置換一価炭化水素基全体(合計)に対する脂肪族不飽和一価炭化水素基の含有量が0.03〜1mol%であることが必要であり、特には0.05〜0.5mol%、更には0.1〜0.3mol%程度であることが耐圧縮永久歪性(特に、εカプロラクタム膨潤後の耐圧縮永久歪性)の点で好ましい。
【0014】
なお、本発明において、重合度(又は分子量)は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度(又は重量平均分子量)等として求めることができる。
【0015】
上記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンは、特許第5338380号公報に記載の方法で重合できるが、式中のqの値により、脂肪族不飽和基源を、また、末端の形状(末端封鎖基の種類)により、触媒を選択する必要がある。
【0016】
まず、一般式(1)でq=0の場合、下記式(4)で示される環状三量体のトリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサンと、脂肪族不飽和基源として、下記式(5)で示されるシクロトリシロキサンの混合物を、アルカリ金属触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。一般式(1)でq=2の場合、ビニル基源等の脂肪族不飽和基源として、例えば、下記式(6)で示されるシクロトリシロキサンを用いればよい。
【化9】
【0017】
本発明における一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンのうち、少なくとも1個のXが一般式(2)もしくは(3)で示されるシリル基である場合には、例えばブチルリチウム等のアルキルリチウム触媒、又は、例えば特開昭62−174260号公報に記載されているように、下記式(7)で示される有機リチウム化合物のシロキサンオリゴマー(即ち、分子鎖の片末端がリチウムイオンで封鎖されている、単官能性のリチウムシラ
ノレート触媒)を重合触媒として重合促進剤の存在下、上記の環状トリシロキサンをリビング(共)重合することによってポリフルオロアルキルメチルシロキサンを合成し、次いでこれを酢酸などの弱酸で中和処理し、末端を不活性化して得ることができる。
【化10】
【0018】
また、得られたポリフルオロアルキルメチルシロキサンのポリマー末端を上記式(2)及び/又は上記式(3)で示される基を含有するシリル化剤で封鎖することも可能である。
【0019】
ここで、式(2),(3)で示される基を含有するシリル化剤としては、通常、公知のものを使用することができ、特に制限されるものではないが、例えばトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、ジメチルビニルクロロシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ジビニルメチルクロロシラン、1,3−ジメチルテトラビニルジシラザン、1,3−ジメチルテトラメチルジシロキサン、トリビニルクロロシラン、ヘキサビニルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン等のオルガノクロロシラン、オルガノジシラザン、オルガノジシロキサン等が例示される。
【0020】
なお、シリル化方法、反応条件としては、公知のシリル化方法、反応条件が採用し得、具体的には、上記クロロシラン、ジシラザン、ジシロキサンから選ばれる1種又は2種以上のシリル化剤を前記ポリフルオロアルキルメチルシロキサンのポリマー末端に存在するシラノール基(即ち、ケイ素原子に結合した水酸基)1モルに対して約1〜50モル量、好ましくは約1〜20モル量程度添加し、室温又は加熱下(例えば60〜150℃、好ましくは80〜120℃)に反応して末端シラノール基をシリル化することができる。
【0021】
ここで、式(1)において、分子鎖のそれぞれの末端に存在する2個のXがいずれも水素原子であり、m=0のオルガノポリシロキサンを得る場合は、アルカリ金属重合触媒としては、例えば下記式(8)
【化11】
(式中、dは0<d≦100で示される整数である。)
で示されるジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる主鎖骨格(分子鎖)の両末端がリチウムイオンで封鎖された2官能性のリチウムシラノレート触媒、あるいは、下記式(9)
【化12】
(式中、dは0<d≦100で示される整数である。)
で示される分子鎖両末端がシラノール基(即ち、ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたオルガノポリシロキサンとアルキルリチウム触媒又は(単官能性の)リチウムシラノレート触媒との混合物の存在下に共重合させる方法を採用することができる。
【0022】
本発明のフロロシリコーン生ゴムは、例えば、(A)成分を製造する際の触媒として使用されるLi、Naなどのアルカリ金属(塩中のイオン含む)の含有量が、最終的に、(A)成分全体の質量に対して20ppm以下(0〜20ppm)、特に15ppm以下(例えば、0.1〜15ppm)であることが必要である。20ppmを超える場合、そのアルカリ金属によるシロキサン種主鎖切断が、εカプロラクタム膨潤時に促進され、圧縮永久歪の悪化が顕著となる。アルカリ金属やその塩のコントロールは、重合時に、その添加量を調整してもよいし、あるいは、重合後に、水洗などの精製工程により取り除いてもよい。なお、(A)成分の式(1)において、分子鎖両末端のXがいずれも水素原子である場合(即ち、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されている場合)には、(A)成分中のアルカリ金属含有量は、より好ましくは10ppm以下(0〜10ppm)程度であることが望ましい。(A)成分は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0023】
(B)成分の補強性シリカ充填剤は、機械的強度の優れたシリコーンゴムコンパウンドを得るために必須とされるものであるが、機械的強度の向上と同時に、耐圧縮永久歪性を劣化させうることが判明している。この目的のためには比表面積(BET法)が50〜100m
2/g、好ましくは50〜90m
2/gであることが求められる。100m
2/gを超えると、機械的強度は改善するが、耐圧縮永久歪性が劣化してしまう。逆に、50m
2/g未満では、機械的強度が大きく劣ってしまう。このシリカ系充填剤としては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、焼成シリカ、沈殿シリカ(湿式シリカ)が例示される。また、これらの表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理してもよい。これらのシリカは単独でも2種以上併用してもよい。なお、このシリカ系充填剤の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対し2質量部未満では少なすぎて十分な補強効果が得られず、100質量部より多くすると加工性が悪くなり、また、得られるシリコーンゴムの物理特性が低下するので、2〜100質量部、好ましくは5〜60質量部である。
【0024】
(C)成分の有機過酸化物触媒(硬化触媒)を、上記フロロシリコーンゴム組成物成分に添加して常法により加硫硬化させることで硬化物を与える。この場合、加硫硬化にあたっては、従来公知の有機過酸化物を用いることができる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)へキシン等が挙げられる。これらは1種を単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化触媒の配合量は、有効量とすることができるが、上記有機過酸化物の配合量は、上記フロロシリコーンゴム組成物100質量部に対して、各々0.1〜5質量部とすることが好ましい。
【0025】
また、(C)成分の有機過酸化物触媒に加えて、必要に応じて更に、硬化剤として、白金系触媒とケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの組み合わせからなる付加反応硬化剤を併用することもできる。この場合、白金系触媒は(A)成分に対して白金金属として1〜2,000ppm、特には5〜200ppm程度用いることが好ましい。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、該オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基を(A)成分のオルガノポリシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、0.5〜5個供給できる量を用いることが好ましい。
【0026】
(D)成分の白金化合物は、必要に応じて配合される任意成分であり、例えば、本発明のフロロシリコーンゴムがεカプロラクタム等を含むナイロン樹脂などの基材に適用される場合、白金化合物の添加により、フロロシリコーンゴムの耐圧縮永久歪性が劣化するのを防止できる作用がある。これはおそらく、白金原子が、εカプロラクタム等を捕捉するためではないかと思われる。なお、(C)成分の有機過酸化物触媒と共に、上記した付加反応硬化剤を併用する場合には、該付加反応硬化剤中に含まれる白金系触媒を含めて、添加する白金の総量に留意しなければならない。
即ち、付加反応硬化剤を併用しない場合(組成物中にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有しない場合)には、(D)成分の白金化合物は、組成物全体に対して白金質量換算で1〜100ppm、特に5〜50ppm程度となる量で配合することが好ましく、一方、付加反応硬化剤を併用する場合(組成物中にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有する場合)には、付加反応硬化剤中の白金系触媒と(D)成分の白金化合物との合計で、組成物全体に対して白金質量換算で1〜2,000ppm、特に5〜500ppm程度となる量で配合することが好ましい。
白金化合物としては、付加反応硬化剤中に含まれる白金系触媒と同様のものが用いられ、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの鎖体、塩化白金酸とジビニルテトラメチルシロキサンとの鎖体等が挙げられる。
【0027】
本発明のフロロシリコーンゴム組成物には、上記成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じ、セリウム化合物や、酸化鉄のようなや耐熱性向上剤、老化防止剤、着色剤、離型剤等のシリコーンゴム組成物における公知の添加剤を添加することができる。
【0028】
本発明のフロロシリコーンゴム成型物を得るためのフロロシリコーンゴム組成物は、2本ロール(ロールミル)等の混練機でせん断応力下に各成分を均一に混練することのできる、いわゆるミラブル型の組成物であって、上記した成分を2本ロール(ロールミル)、バンバリーミキサー、ドューミキサー(ニーダー)などのゴム混練機を用いて均一に混合することにより得ることができる。
【0029】
フロロシリコーンゴム組成物の成型方法は、特に制限はなく、圧縮成型、移送成型、射出成型、押出成型、カレンダー成型等の一般のゴム成型法に準じて所望の形状に成型でき、O−リング、ダイヤフラム、パッキン、ガスケット等のゴム成型品とすることができる。また、必要に応じ、180〜250℃で1〜10時間程度二次加硫してもよい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例、比較例及び応用例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、重合度はトルエンを展開溶媒としたGPC分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度を示す。
【0031】
[実施例1,2及び比較例1,2]
下記式(10)で示されるフロロシリコーン生ゴム(Li含有量15ppm、ビニル基含有量0.15モル%)100質量部に対して表1に示すような乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:エロジル50、エロジル90、エロジル130)をそれぞれ40質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール10質量部を加えて均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化してベースとなるフロロシリコーンベースコンパウンドを得た。これらそれぞれをA,B,Cとする。
比較例として、下記式(10)で示され、かつ、Na含有量25ppmのフロロシリコーン生ゴム(10a)(ビニル基含有量0.15モル%)を用いて、実施例1と同様なフロロシリコーンベースコンパウンドを得た。これをDとする。
得られたベースコンパウンド100質量部に、平均粒径3μm、比表面積130m
2/gの酸化セリウム粉末を1質量部、加硫剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)へキサン80質量%含有ペースト0.8質量部を添加し、2本ロールミルで均一に混合して4種類のフロロシリコーンゴムのフルコンパウンドを得た。それぞれを実施例1,2及び比較例1,2とする。
【0032】
物性測定
物性(硬さ、引張り強さ及び切断時伸び、圧縮永久歪[150℃×72h](%))の測定方法はJIS K 6249に準じた。得られた組成物を165℃で10分間、加圧成型し、硬化させた後、200℃で4時間ポストキュアーして、硬さの測定用には2mm厚のシート状試験片を作製し、引張り強さ及び切断時伸びの測定用には上記JISに規定のダンベル状試験片を作製した。圧縮永久歪の試験片は、JISに規定の、小型試験片(13mmφ、6.3mmt)を用いた。また、前処理として、20%εカプロラクタムのエタノール溶液に2日浸漬し、1日風乾した試験片も用意した。これらの試験片を用いて上記物性を測定した。結果を表2に示した。
【化13】
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
[実施例3,4及び比較例3]
下記式(11)で示されるフロロシリコーン生ゴム(Li含有量5ppm、ビニル基含有量0.25モル%)100質量部に対して表3に示すような乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:エロジル50)をそれぞれ40質量部、及び分散剤としてジフェニルシランジオール10質量部を加えて均一に混練りし、150℃で4時間熱処理した後、2本ロールで釈解、可塑化してベースコンパウンドEを得た。ベースコンパウンドEに、更に、塩化白金酸のアルコール溶液(白金原子2質量%)を0.1質量部ロールにて添加し、ベースコンパウンドFとした。
比較例として、下記式(12)で示されるフロロシリコーン生ゴム(Li含有量5ppm、ビニル基含有量0.01モル%)を用いて同様なシリコーンゴムベースコンパウンドGを得た。
得られたベースコンパウンド100質量部に、平均粒径3μm、比表面積130m
2/gの酸化セリウム粉末を1質量部、加硫剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)へキサン80質量%含有ペースト0.8質量部を添加し、2本ロールミルで均一に混合して3種類のフロロシリコーンゴムのフルコンパウンドを得た。
得られたフルコンパウンドを、実施例1と同様に加硫成型させ、物性を測定した。結果を表4に示す。
【化14】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】