(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力された高周波信号を中間周波数信号へ変換する第1のダウンコンバータと該中間周波数信号から所望チャンネルの信号を抽出する第1のIF部と該第1のIF部の後段に設けられ第1の検波電圧を出力する第1の検波部とを有する現用系統部と、
入力された高周波信号を中間周波数信号へ変換する第2のダウンコンバータと該中間周波数信号から前記所望チャンネルの信号を抽出する第2のIF部と該第2のIF部の後段に設けられ、第2の検波電圧を出力する第2の検波部とを有する予備系統部と、
前記現用系統部または前記予備系統部のいずれか一方から出力された中間周波数信号を高周波信号へ変換して外部に出力するアップコンバータ部と、
前記アップコンバータ部が出力する高周波信号の一部を分岐する分岐部と、
を備え、
前記分岐部で分岐された前記高周波信号の一部が前記現用系統部または前記予備系統部のいずれか他方に入力されることを特徴とする信号処理装置。
入力された高周波信号を中間周波数信号へ変換する第1のダウンコンバータと該中間周波数信号から所望チャンネルの信号を抽出する第1のIF部と該第1のIF部の後段に設けられ第1の検波電圧を出力する第1の検波部とを有する現用系統部と、
入力された高周波信号を中間周波数信号へ変換する第2のダウンコンバータと該中間周波数信号から前記所望チャンネルの信号を抽出する第2のIF部と該第2のIF部の後段に設けられ、第2の検波電圧を出力する第2の検波部とを有する予備系統部と、
前記現用系統部または前記予備系統部のいずれか一方から出力された中間周波数信号を高周波信号へ変換して外部に出力するアップコンバータ部と、
前記アップコンバータ部が出力する高周波信号の一部を分岐する分岐部と、
前記分岐部で分岐された高周波信号を第1の高周波信号と第2の高周波信号とに分配する分配部と、
前記第1の高周波信号と外部から入力された高周波信号とからいずれか一方を選択して前記現用系統部へ出力する第1の入力切替部と、
前記第2の高周波信号と外部から入力された高周波信号とからいずれか一方を選択して前記予備系統部へ出力する第2の入力切替部と、
前記現用系統部から入力された中間周波数信号と前記予備系統部から入力された中間周波数信号とからいずれか一方を選択して前記アップコンバータへ出力する切替部と、
を備え、
前記第1の入力切替部と前記第2の入力切替部の少なくとも一方は、外部から入力された高周波信号を前記現用系統部または前記予備系統部に入力することを特徴とする信号処理装置。
前記第1の分配部に入力される信号と、前記第2の分配部に入力される信号とは、それぞれが異なる送信所から送信される信号を含むよう構成されていることを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る信号処理装置、受信装置、CATVヘッドエンドおよびCATVシステムを詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0023】
(比較例)
本発明の実施形態に係る信号処理装置、受信装置、CATVヘッドエンドおよびCATVシステムの効果を明確にするために、本発明の適用をしない信号処理装置、受信装置、CATVヘッドエンドおよびCATVシステムについて説明する。
図18は、比較例となる信号処理装置、受信装置の概略構成を示す図である。
【0024】
図18に示される受信装置500は、CATVシステムにおいてCATV局におけるCATVシステムのヘッドエンドに設けられる装置である。
図18に示されるように、受信装置500は、入力系統切替部510と分配器520と信号処理装置530−1,・・・,530−nと混合器540とを備えている。ここで、nは2以上の整数である。
【0025】
図18に示されるように、受信装置500は、現用アンテナ10と予備アンテナ20とが受信系統に設けられた冗長構成が採用されている。現用アンテナ10と予備アンテナ20とから入力される高周波信号(以下、RF信号と称する)は、それぞれの途中の伝送経路に設けられた増幅器11と増幅器21とによって増幅されて入力系統切替部510に入力されている。入力系統切替部510は、現用アンテナ10と予備アンテナ20とから入力されるRF信号の信号レベルに基づいて、現用系統と予備系統との信号経路を切り替えるための機器である。
【0026】
図18に示されるように、入力系統切替部510は、分岐器511,512と検波器513,514と判定部515と切替器516とを備える。分岐器511は、現用アンテナ10から入力されるRF信号を分岐し、検波器513が分岐器511にて分岐されたRF信号の信号レベルを検波する。同様に、分岐器512は、予備アンテナ20から入力されるRF信号を分岐し、検波器514が分岐器512にて分岐されたRF信号の信号レベルを検波する。判定部515は、検波器513,514にて検出された現用系統および予備系統の信号レベルに基づいて切替器516における切替制御を行う。分配器520は、現用系統のRF信号、または現用系統から切替器516により切り替えられた予備系統のRF信号を、信号処理装置530−1,・・・,530−nに分配する。
【0027】
信号処理装置530−1,・・・,530−nは、いわゆるシグナルプロセッサであり、入力された信号から所望チャンネルの信号を抽出した後に、再送信する機能を有している。
図18に示された構成例では、信号処理装置530−1は、ダウンコンバータ531とIF部532と分岐器533とアップコンバータ534と検波器535とを備えている。なお、信号処理装置530−2,・・・,530−nは信号処理装置530−1と同様の構成であるので、ここではその説明を省略する。
【0028】
ダウンコンバータ531は、信号処理装置530−1に入力されたRF信号を中間周波数に変換し、中間周波数信号(以下IF信号と称する)をIF部532へ出力する。IF部532は、内部に帯域外除去フィルタを備え、入力されたIF信号の中から所望チャンネルの信号を抽出する。IF部532により所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号は、分岐器533にて分岐され、一方はアップコンバータ534へ入力され、他方は検波器535へ入力される。アップコンバータ534は、入力されたIF信号をRF信号へ変換し、混合器540へ出力する。一方、検波器535は、IF信号の信号レベルを検波し、ダウンコンバータ531およびIF部532に設けられた増幅器の利得を調節する、いわゆる自動利得制御(AGC)のための帰還を行う。
【0029】
最終的に、各信号処理装置530−1,・・・,530−nから出力されたRF信号は、混合器540にて混合され、後段の伝送装置へ送信される。
【0030】
以上のように構成された信号処理装置、受信装置、およびそれを用いたCATVヘッドエンド、CATVシステムの比較例では、現用アンテナ10または予備アンテナ20から入力された信号全体の信号レベルを監視し、これに基づいて受信系統の切り替えを行う。
【0031】
しかし、この比較例の構成では、複数チャンネルの信号を含む受信信号中から一部チャンネルのみの受信異常を検知することができない。したがってこの比較例の構成では、チャネルごとに適切な受信系統の切り替えを実現することができない。
【0032】
そこで、以下に説明するように、本発明の実施形態に係る信号処理装置、受信装置、CATVヘッドエンドおよびCATVシステムは、複数チャンネルの信号を含む受信信号中から一部チャンネルのみの受信異常を検知し、受信系統の切り替えを行うことができるように構成する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るCATVシステムの概略構成を示す図である。
図1に示されるCATVシステム1は、CATV局2内に設けられたCATVヘッドエンド3と、信号伝送路4と、加入者宅5に備えられた加入者宅装置6を備える。このCATVヘッドエンド3には、現用アンテナ10、予備アンテナ20、受信装置100、伝送装置200をそれぞれ備える。
【0034】
本発明の第1実施形態のCATVシステム1においては、送信所7から送信される現用系統のRF信号を現用アンテナ10で受信し、送信所8から送信される予備系統のRF信号を予備アンテナ20で受信する。さらに該現用アンテナ10と予備アンテナ20から伝送されたそれぞれの信号を受信装置100で受信し、それら現用系統、予備系統いずれか一方のRF信号を該受信装置100から出力し、信号伝送路4を介して加入者宅5に設けられた加入者宅装置6に伝送する。
【0035】
図2は、本発明の第1実施形態に係る信号処理装置、受信装置の概略構成を示す図である。
図2に示されるように、受信装置100は、第1の分配器121と第2の分配器122と信号処理装置130−1,・・・,130−nと混合器140とを備えている。なお、nは2以上の整数である。また、
図18と
図2とを比較すると解るように、本発明の第1実施形態に係る受信装置100には、比較例における入力系統切替部510に相当する構成を有していない。
【0036】
第1の分配器121および第2の分配器122は、それぞれ現用系統および予備系統のRF信号を、各信号処理装置130−1,・・・,130−nに分配するための機器である。
図2に示される構成例では、第1の分配器121に現用アンテナ10からのRF信号が入力され、第2の分配器122には予備アンテナ20からのRF信号が入力されている。ただし、後の応用例でも示すように、第1の分配器121および第2の分配器122に入力される信号は、アンテナからの受信信号に限るものではない。本実施形態のCATVシステムは、受信信号の取得方法に限定されず、CATVヘッドエンド3に受信装置100を備え、各加入者の受像装置等の加入者宅装置6に対して受信信号を再送信するCATVシステムであればよい。なお、本構成例では、現用アンテナ10と予備アンテナ20とから入力されるRF信号は、それぞれの途中の伝送経路に設けられた増幅器11と増幅器21とによって増幅されて各々第1の分配器121および第2の分配器122に入力されている。
【0037】
信号処理装置130−1,・・・,130−nは、いわゆるシグナルプロセッサであり、現用系統部130−1Aの入力端子と予備系統部130−1Bの入力端子とに入力された2系統の信号からそれぞれ所望チャンネルの信号を抽出した後、1つの所望チャンネルの信号を選択して出力端子から再送信する機能を有している。このため、現用系統部130−1Aおよび予備系統部130−1Bの2つの入力端子は、それぞれ第1の分配器121および第2の分配器122に接続され、信号処理装置130−1の出力端子は、混合器140に接続されている。
【0038】
ここで説明する信号処理装置130−1,・・・,130−nは、例えばFMシグナルプロセッサやOFDMシグナルプロセッサやBS−IFシグナルプロセッサやCS−IFシグナルプロセッサとして利用することが可能である。なお、信号処理装置130−1の構成が代表例であるので、以下では、信号処理装置130−2,・・・,130−nの構成の説明を省略する。
【0039】
図2に示されるように、信号処理装置130−1は、第1のダウンコンバータ131aと第2のダウンコンバータ131bと第1のIF部132aと第2のIF部132bと第1の分岐器133aと第2の分岐器133bと第1の検波器135aと第2の検波器135bと判定部136と切替器137とアップコンバータ134とを備えている。信号処理装置130−1は、現用系統部130−1Aと予備系統部130−1Bと備えており、第1のダウンコンバータ131a、第1のIF部132a、第1の分岐器133aおよび第1の検波器135aは、現用系統部130−1Aに属し、第2のダウンコンバータ131b、第2のIF部132b、第2の分岐器133bおよび第2の検波器135bは、予備系統部130−1Bに属している。現用系統部130−1Aから出力された信号および予備系統部130−1Bから出力された信号は、切替器137にて経路切替され、アップコンバータ134を経由した後に信号処理装置130−1の出力端子へ至る。
【0040】
第1のダウンコンバータ131aは、現用系統部130−1Aに入力されたRF信号を中間周波数に変換し、変換されたIF信号を第1のIF部132aへ出力する。第1のIF部132aは、内部に帯域外除去フィルタ等を備え、入力されたIF信号の中から所望チャンネルの信号を抽出する。前記帯域外除去フィルタは、例えば表面弾性波フィルタあるいはバンドバスフィルタにより構成され、狭帯域に含まれる所定の周波数の信号のみを抽出するフィルタである。なお、典型的なフィルタの使用方法は、単一の周波数のみを抽出するように構成するが、複数周波数を束ねて一つのチャンネルとするような場合等、帯域外除去フィルタにて複数の周波数の信号を抽出する構成を排除するものではない。
【0041】
第1のIF部132aにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号は、第1の分岐器133aにて分岐され、一方は切替器137へ入力され、他方は第1の検波器135aへ入力される。第1の検波器135aは、IF信号の信号レベルを検波し、第1の検波電圧を出力する。第1の検波電圧は、第1のダウンコンバータ131aまたは第1のIF部132aに設けられた増幅器の利得を自動利得制御するAGCループへ帰還されると共に、判定部136へ入力される。
【0042】
このように現用系統部130−1Aにおいて、判定部136で使用する第1の検波電圧を利用して自動利得制御を行うことで、回路構成を簡素化することができるので好ましい。
【0043】
同様に、第2のダウンコンバータ131bは、予備系統部130−1Bに入力されたRF信号を中間周波数に変換し、変換されたIF信号を第2のIF部132bへ出力する。第2のIF部132bは、内部に前述と同様の帯域外除去フィルタ等を備え、入力されたIF信号の中から所望チャンネルの信号を抽出する。ここで、第1のIF部132aの所望チャンネルと第2のIF部132bの所望チャンネルとは、同一のチャンネルである。第2のIF部132bにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号は、第2の分岐器133bにて分岐され、一方は切替器137へ入力され、他方は第2の検波器135bへ入力される。第2の検波器135bは、IF信号の信号レベルを検波し、第2の検波電圧を出力する。この第2の検波電圧は、第2のダウンコンバータ131bまたは第2のIF部132bに設けられた増幅器の利得を自動利得制御するAGCループへ帰還されると共に、判定部136へ入力される。
【0044】
このように予備系統部130−1Bでも、判定部136で使用する第2の検波電圧を利用して自動利得制御を行うことで、回路構成を簡素化することができるので好ましい。
【0045】
上記説明した構成により、判定部136には、第1の検波器135aによって検出された現用系統部130−1AにおけるIF信号の信号レベルと、第2の検波器135bによって検出された予備系統部130−1BにおけるIF信号の信号レベルとが入力されている。ここで、第1の検波器135aによって検出された信号レベルは、第1のIF部132aにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号の信号レベルであり、第2の検波器135bによって検出された信号レベルは、第2のIF部132bにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号の信号レベルである。また、第1の検波器135aおよび第2の検波器135bは、それぞれ現用系統部130−1Aおよび予備系統部130−1Bに設けられた増幅器の利得を自動利得制御するAGCループに組み込まれているので、第1の検波器135aおよび第2の検波器135bで検出される信号レベルは、自動利得制御が施された後の信号レベルである。判定部136は、これら第1の検波器135aと第2の検波器135bとで検出される信号レベルに基づいて、切替器137の切替制御を行う。なお、判定部136における判定方法の具体例は後に詳述するものとする。
【0046】
切替器137は、判定部136からの制御信号に基づき、第1の分岐器133aからのIF信号をアップコンバータ134へ出力するか、第2の分岐器133bからのIF信号をアップコンバータ134へ出力するかの切替を行う。
【0047】
アップコンバータ134は、切替器137から出力されたIF信号をRF信号へ変換する。なお、アップコンバータ134が変換するRF信号は、信号処理装置130−1に入力されるRF信号と同一の周波数であっても、異なる周波数であっても構わない。各信号処理装置130−1,・・・,130−nから出力されたRF信号は、混合器140にて混合され、後段の伝送装置200へ送信される。
【0048】
ここで、判定部136の機能および構成についてより詳細な説明を行う。
【0049】
図3は、判定部136の機能を説明するブロック図である。
図3に示されるように、判定部136は、第1の比較部136aと第2の比較部136bと閾値設定部136cと切替器制御部136dとを備えている。
【0050】
第1の比較部136aは、第1の検波器135aによって検出された信号レベルと現用系統用の閾値とを比較し、現用系統の信号レベルが閾値に対してHighであるかLowであるかの判定を行うよう構成されている。同様に、第2の比較部136bは、第2の検波器135bによって検出された信号レベルと予備系統用の閾値とを比較し、予備系統の信号レベルが閾値に対してHighであるかLowであるかの判定を行うよう構成されている。閾値設定部136cは、現用系統用の閾値と予備系統用の閾値とを設定する手段である。現用系統用の閾値および予備系統用の閾値は、同一の値を設定してもよいが、独立に異なる値を設定してもよい。閾値設定部136cが設定する現用系統用の閾値および予備系統用の閾値は、第1のIF部132aおよび第2のIF部132bにより所望チャンネルの信号のみ抽出された後のIF信号の信号レベルに対する閾値であるので、チャンネルごとの閾値である。
【0051】
切替器制御部136dは、第1の比較部136aの出力および第2の比較部136bの出力に基づいて、切替器137の切替制御を行うよう構成されている。先述のように、切替器137は、現用系統のIF信号と予備系統のIF信号とが入力され、現用系統のIF信号と予備系統のIF信号との何れかが出力されるよう構成されている。切替器制御部136dが行う切替制御は、例えば
図4のような判定表に基づいて行われる。
【0052】
図4に示されるように、現用系統の信号レベルがHighであり、かつ、予備系統の信号レベルがHighの場合、切替器制御部136dは、切替器137が現用系統のIF信号を出力するように切替器137を制御する。同様に、現用系統の信号レベルがHighであり、かつ、予備系統の信号レベルがLowの場合、切替器制御部136dは、切替器137が現用系統のIF信号を出力するように切替器137を制御する。一方、現用系統の信号レベルがLowであり、かつ、予備系統の信号レベルがHighの場合、切替器制御部136dは、切替器137が予備系統のIF信号を出力するように切替器137を制御する。また、現用系統の信号レベルがLowであり、かつ、予備系統の信号レベルがLowの場合、切替器制御部136dは、切替器137が現用系統のIF信号を出力するように切替器137を制御する。
【0053】
なお、上記説明した切替制御のアルゴリズムは一例であり、本実施形態の信号処理装置、受信装置、およびCATVシステムを利用する受信局の運用方針によって、適宜変更することが可能である。例えば、現用系統の信号レベルがLowであり、かつ、予備系統の信号レベルがLowの場合、切替器制御部136dは、切替器137が予備系統のIF信号を出力するように切替器137を制御するような運用としてもよい。また、現用系統の信号レベルがLowであり、かつ、予備系統の信号レベルがLowの場合、そのチャンネルで放送が終了したものと判断し、放送終了時用の制御に自動的に切り替えるよう構成してもよい。さらに、現用系統の信号レベルがLowであり、かつ、予備系統の信号レベルがLowの場合、別途、オペレーターに対する警告信号を発するように制御などを実施可能に構成することも考えられる。
【0054】
図5は、判定部136のハードウェア構成例を示す概略回路図である。
図5に示される概略回路図は、上記説明した判定部136の機能を実現するための回路構成の例を示すものである。
【0055】
図5に示されるように、判定部136は、第1の比較器1361と第2の比較器1362と第1の可変電源1363と第2の可変電源1364と演算装置(CPU)1365とメモリ1366とを備えている。
【0056】
図5に示されるように、第1の比較器1361の−端子には、第1の検波器135aが検出した第1の検波電圧V
1が入力され、第1の比較器1361の+端子には、第1の可変電源1363により設定された第1の参照電圧V
ref1が入力されている。第1の参照電圧V
ref1は、現用系統用の閾値として用いられる電圧であり、CPU1365および外部の設定入力手段によって設定される。第1の比較器1361は、第1の検波電圧V
1と第1の参照電圧V
ref1とを比較し、第1の検波電圧V
1の方が第1の参照電圧V
ref1よりも高電圧である場合、High信号(つまり所定の正電圧)を出力し、第1の検波電圧V
1の方が参照電圧V
ref1よりも低電圧である場合、Low信号(つまり零電圧)を出力する。
【0057】
同様に、第2の比較器1362の−端子には、第2の検波器135bが検出した第2の検波電圧V
2が入力され、第2の比較器1362の+端子には、第2の可変電源1364により設定された第2の参照電圧V
ref2が入力されている。第2の参照電圧V
ref2は、予備系統用の閾値として用いられる電圧であり、CPU1365および外部の設定入力手段によって設定される。第2の比較器1362は、第2の検波電圧V
2と第2の参照電圧V
ref2とを比較し、第2の検波電圧V
2の方が第2の参照電圧V
ref2よりも高電圧である場合、High信号を出力し、第2の検波電圧V
2の第2の方が参照電圧V
ref2よりも低電圧である場合、Low信号を出力する。
【0058】
CPU1365は、第1の比較器1361の出力と第2の比較器1362の出力とに基づいて、切替器137への制御信号を出力する。CPU1365が出力する制御信号は、例えば
図4に示された判定表に基づいて出力される。メモリ1366は、CPU1365が参照する判定表を格納する記憶装置である。
【0059】
なお、
図5ではCPU1365およびメモリ1366が判定部136の内部に構成されているように記載されているが、回路構成上、
図5記載の構成に限定されるものではない。例えば、CPU1365およびメモリ1366は、信号処理装置130−1の外部に設けられ、他の信号処理装置130−2,・・・,130−nと共用の構成とすることも可能である。
【0060】
以上のような回路構成により、
図3に示した第1の比較部136aは、第1の比較器1361と第1の可変電源1363とにより実現され、第2の比較部136bは、第2の比較器1362と第2の可変電源1364とにより実現される。また、
図3に示した閾値設定部136cおよび切替器制御部136dは、CPU1365とメモリ1366とにより実現される。
【0061】
ここで上記説明した本実施形態の信号処理装置130−1,・・・,130−nおよび受信装置100の効果についてまとめる。
【0062】
本実施形態の信号処理装置130−1,・・・,130−nは、第1のIF部132aの後段に設けられた第1の検波器135aが検波した第1の検波電圧と第2のIF部132bの後段に設けられた第2の検波器135bが検波した第2の検波電圧とに基づいて、現用系統部130−1Aからの信号を出力するか予備系統部130−1Bからの信号を出力するかの判定を行う判定部136を備えている。したがって本実施形態の信号処理装置130−1,・・・,130−nは、複数チャンネルの信号を含む受信信号中から所望チャンネルのみの受信異常を監視することができるため、チャンネルごとに適切な受信系統の切り替えを行うことができる。
【0063】
さらに、本実施形態の信号処理装置130−1,・・・,130−nは、第1の検波器135aおよび第2の検波器135bが検波した検波電圧に基づいて、現用系統部130−1Aからの信号を出力するか予備系統部130−1Bからの信号を出力するかの判定を行うのみならず、それぞれ現用系統部130−1Aおよび予備系統部130−1Bに設けられた増幅器の自動利得制御が行われるので、構成部品点数の削減がなされるのみならず、自動利得制御が行われた後の信号レベルに基づいて系統切替の判定を行うことができる。すなわち、受信装置100の入力段における信号レベルを監視した場合、信号レベルの変動を自動利得制御の信号レベル制御で吸収可能である場合であっても経路切替を行ってしまっていたが、本実施形態の信号処理装置130−1,・・・,130−nでは、自動利得制御における制御限界までは自動利得制御の信号レベル制御で吸収可能である。
【0064】
本実施形態の受信装置100は、第1の分配器121に入力される信号と、第2の分配器122に入力される信号とを異なる送信所から送信される信号とした場合、一方の送信所から送信される信号の停止を検知し、受信系統の切り替えをすることが可能である。また、本実施形態の受信装置100は、第1の分配器121に入力される信号と、第2の分配器122に入力される信号とを同一の送信所から送信される信号とした場合、放送の終了を検知し得るので、不要な受信系統の切り替えをすることが防止される。
【0065】
また、
図18と
図2とを比較すると解るように、本発明の実施形態に係る受信装置100には、比較例における入力系統切替部510に相当する構成を有しない。よって
図2中の増幅器11と増幅器21は、分配器121までの損失補償を行えばよく、
図18の場合のように入力系統切替部510で生じる損失の補償まで行う必要がなくなる。したがって
図2の構成における増幅器11と増幅器21において要求される利得性能は、
図18の構成の場合に比べて、緩和される。
【0066】
本実施形態では、アップコンバータ134を切替器137の後段に備えるため、アップコンバータを現用系統と予備系統で共用でき、好ましい。
【0067】
(応用例1)
ここで、上記説明した本発明の第1実施形態の応用例について説明する。以下で説明する応用例では、信号処理装置および受信装置の構成自体は、上記説明した第1実施形態と同様であるので、同一の参照符号を付すことにより、その説明を省略するものとする。
【0068】
図6は、現用系統および予備系統がそれぞれ複数のアンテナを備える場合の応用例を示す図である。
図6に示されるように、本応用例では、現用系統には第1の現用アンテナ30と第2の現用アンテナ40とが接続され、予備系統には第1の予備アンテナ50と第2の予備アンテナ60とが接続されている。
【0069】
第1の現用アンテナ30および第2の現用アンテナ40から出力されるRF信号は、それぞれ第1のプリアンプ31および第2のプリアンプ41によって増幅された後に混合器32によって混合され、第1の分配器121に入力される。同様に、第1の予備アンテナ50および第2の予備アンテナ60から出力されるRF信号は、それぞれ第3のプリアンプ51および第4のプリアンプ61によって増幅された後に混合器52によって混合され、第2の分配器122に入力される。
【0070】
なお、第1の現用アンテナ30および第2の現用アンテナ40の設置個所および第1の予備アンテナ50および第2の予備アンテナ60の設置個所が受信装置100と離れている場合、混合器32と第1の分配器121との間および混合器52と第2の分配器122との間に伝送損失を補償するための増幅器を備えることが好ましい。
図6に示される例では、第1の現用アンテナ30および第2の現用アンテナ40の設置個所は受信装置100に近く、第1の予備アンテナ50および第2の予備アンテナ60の設置個所が受信装置100と離れている場合を想定し、混合器52と第2の分配器122との間のみに増幅器53を設けている。つまり、
図6に示される構成は、第1の現用アンテナ30および第2の現用アンテナ40の設置個所と第1の予備アンテナ50および第2の予備アンテナ60の設置個所とが離れている場合を想定している。
【0071】
第1の現用アンテナ30および第2の現用アンテナ40は、異なる送信所からの異なる電波を受信するように設定されている。同様に、第1の予備アンテナ50および第2の予備アンテナ60は、異なる送信所からの異なる電波を受信するように設定されている。一方、第1の現用アンテナ30と第1の予備アンテナ50とは同一内容の放送を受信し、第2の現用アンテナ40と第2の予備アンテナ60とは同一内容の放送を受信しているものとする。
【0072】
上記のような状況に、本発明の第1実施形態に係る信号処理装置130−1,・・・,130−nおよび受信装置100を応用した場合、一部のチャンネルのみの受信異常を検知し、当該チャンネルのみの受信系統の切り替えを行うことができるので、例えば第1の現用アンテナ30に異常が発生した場合であっても、第1の現用アンテナ30からの受信のみを第1の予備アンテナ50へ切り替えることが可能である。また、例えば第1のプリアンプ31に異常が発生した場合であっても、第1の現用アンテナ30からの受信のみを第1の予備アンテナ50へ切り替えることが可能である。なお、いずれの場合も、第2の現用アンテナ40の切り替えは行わないで済むので、不要なアンテナの切り替えを発生してしまうことはない。
【0073】
さらに、第1の現用アンテナ30と第1の予備アンテナ50とが受信している電波の送信所が異なる場合、本発明の第1実施形態に係る信号処理装置130−1,・・・,130−nおよび受信装置100を応用した場合、一部のチャンネルのみの受信異常を検知し、当該チャンネルのみの受信系統の切り替えを行うことができるので、送信所の故障を検知して、第1の現用アンテナ30からの受信のみを第1の予備アンテナ50へ切り替えることが可能である。一方、送信所の故障ではなくメンテナンス等の正当な理由により停波された場合、第1の現用アンテナ30からの受信を第1の予備アンテナ50へ切り替えることはないので、不要なアンテナの切り替えを発生してしまうことはない。なお、この場合においても、第2の現用アンテナ40の切り替えは行わないで済むので、不要なアンテナの切り替えを発生してしまうことはない。
【0074】
(応用例2)
図7は、現用系統および予備系統にBS/CS用のアンテナを備える場合の応用例を示す図である。
図7に示されるように、本応用例では、現用系統にはBS/CS用の現用アンテナ70が接続され、予備系統にはBS/CS用の予備アンテナ80が接続されている。
【0075】
現用アンテナ70および予備アンテナ80は、放送衛星および通信衛星から送信される衛星放送を受信するためのアンテナである。衛星放送は非常に高周波であるため、現用アンテナ70および予備アンテナ80が受信した信号を直接同軸ケーブルで伝送すると減衰が非常に大きい。そこで、現用アンテナ70および予備アンテナ80は、LNB(Low Noise Block)と呼ばれる変換器71,81を備え、同軸ケーブルが通すことの出来る周波数に変換し、受信信号を受信装置100へ伝送している。
【0076】
また、現用アンテナ70と予備アンテナ80とは、距離を置いて配置されている。現用アンテナ70および予備アンテナ80が受信する電波は、同一の局(放送衛星または通信衛星)から送信される電波であっても受信点の降雨等の気象条件に影響を受けることがある。この現象を降雨減衰という。したがって、現用アンテナ70と予備アンテナ80とは、可能な限り同一の気象条件とならないように、距離を置いて配置されることが好ましい。
【0077】
なお、
図7に示される例では、予備アンテナ80は受信装置100から距離を置いて配置されていることを想定している。したがって、予備アンテナ80から受信装置100までの伝送経路の途中に、電気/光(E/O)変換器82と光ファイバ83と光/電気(O/E)変換器84とを備え、伝送損失による信号減衰が少なくなるよう構成されている。
【0078】
上記のような状況に、本発明の第1実施形態に係る信号処理装置130−1,・・・,130−nおよび受信装置100を応用した場合、一部のチャンネルのみの受信異常を検知し、当該チャンネルのみの受信系統の切り替えを行うことができるので、例えば降雨減衰によりCS放送のみに受信異常が発生した場合であっても、現用アンテナ70からのCS放送の受信のみを予備アンテナ80へ切り替えることが可能である。なお、先述の比較例のような構成を採用した場合、BS放送とCS放送とを合わせた全体の信号レベルが低下するまでアンテナを切り替えることができなかった。また、上記の状況の場合、異常が検知されていないBS放送の受信は切り替えないので、不要なアンテナの切り替えを発生してしまうことはない。
【0079】
さらに、放送局のメンテナンスや放送衛星または通信衛星が月または地球の影に入る等の正当な理由によりBS放送またはCS放送の何れかが停波する状況であっても、本発明の第1実施形態に係る信号処理装置130−1,・・・,130−nおよび受信装置100を応用した場合、一部のチャンネルのみの受信異常を検知し、当該チャンネルのみの受信系統の切り替えを行うことができるので、不要なアンテナの切り替えを発生してしまうことはない。先述の比較例のような構成を採用した場合、BS放送またはCS放送の停波が全体の信号レベルの低下を引き起こし、不要なアンテナの切り替えを発生してしまうことがあった。
【0080】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る信号処理装置および受信装置の概略構成を示す図である。
図8に示されるように、受信装置200は、分配器221と信号処理装置230−1,・・・,230−nと混合器240とを備えている。なお、nは2以上の整数である。
【0081】
分配器221は、現用系統のRF信号を、各信号処理装置230−1,・・・,230−nに分配するための機器である。
図8に示される構成例では、分配器221に現用アンテナ10からのRF信号が入力されている。ただし、第1実施形態の応用例と同様に、分配器221に入力される信号は、アンテナからの受信信号に限るものではない。本実施形態のCATVシステムは、受信信号の取得方法に限定されず、CATVヘッドエンドに受信装置200を備え、各加入者の受像装置等の加入者宅装置に対して受信信号を再送信するCATVシステムであればよい。なお、本構成例では、現用アンテナ10から入力されるRF信号は、途中の伝送経路に設けられた増幅器11によって増幅されて分配器221に入力されている。
【0082】
信号処理装置230−1,・・・,230−nは、いわゆるシグナルプロセッサであり、現用系統部230−1Aの入力端子と予備系統部230−1Bの入力端子とに入力された2系統の信号からそれぞれ所望チャンネルの信号を抽出した後、1つの所望チャンネルの信号を選択して出力端子から再送信する機能を有している。
【0083】
ここで説明する信号処理装置230−1,・・・,230−nは、例えばFMシグナルプロセッサやOFDMシグナルプロセッサやBS−IFシグナルプロセッサやCS−IFシグナルプロセッサとして利用することが可能である。なお、信号処理装置230−1の構成が代表例であるので、以下では、信号処理装置230−2,・・・,230−nの構成の説明を省略する。
【0084】
図8に示されるように、信号処理装置230−1は、第1のダウンコンバータ231aと第2のダウンコンバータ231bと第1のIF部232aと第2のIF部232bと第1の分岐器233aと第2の分岐器233bと第1の検波器235aと第2の検波器235bと判定部236と切替器237とアップコンバータ234と分岐器238とを備えている。信号処理装置230−1は、現用系統部230−1Aと予備系統部230−1Bと備えており、第1のダウンコンバータ231a、第1のIF部232a、第1の分岐器233aおよび第1の検波器235aは、現用系統部230−1Aに属し、第2のダウンコンバータ231b、第2のIF部232b、第2の分岐器233bおよび第2の検波器235bは、予備系統部230−1Bに属している。
【0085】
現用系統部230−1Aから出力された信号および予備系統部230−1Bから出力された信号は、切替器237にて経路切替され、アップコンバータ234を経由した後に信号処理装置230−1の出力端子へ至る。なお、本実施形態における切替器237は、基本的に現用系統部230−1Aから出力された信号をアップコンバータ234へ出力するよう設定される。また、アップコンバータ234から出力されるRF信号の一部は、分岐器238によって分岐されて、予備系統部230−1Bの入力信号として帰還されている。
【0086】
第1のダウンコンバータ231aは、現用系統部230−1Aに入力されたRF信号を中間周波数に変換し、変換されたIF信号を第1のIF部232aへ出力する。第1のIF部232aは、内部に帯域外除去フィルタ等を備え、入力されたIF信号の中から所望チャンネルの信号を抽出する。帯域外除去フィルタは、例えば表面弾性波フィルタあるいはバンドバスフィルタ等により構成され、狭帯域に含まれる所定の周波数の信号のみを抽出するフィルタである。なお、典型的なフィルタの使用方法は、単一の周波数のみを抽出するように構成するが、複数周波数を束ねて一つのチャンネルとするような場合等、帯域外除去フィルタにて複数の周波数の信号を抽出する構成を排除するものではない。
【0087】
第1のIF部232aにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号は、第1の分岐器233aにて分岐され、一方は切替器237へ入力され、他方は第1の検波器235aへ入力される。第1の検波器235aは、IF信号の信号レベルを検波し、第1の検波電圧を出力する。第1の検波電圧は、第1のダウンコンバータ231aまたは第1のIF部232aに設けられた増幅器の利得を自動利得制御するAGCループへ帰還されると共に、判定部236へ入力される。
【0088】
このように現用系統部230−1Aにおいて、判定部236で使用する第1の検波電圧を利用して自動利得制御を行うことで、回路構成を簡素化することができるので好ましい。
【0089】
同様に、第2のダウンコンバータ231bは、予備系統部230−1Bに入力されたRF信号を中間周波数に変換し、変換されたIF信号を第2のIF部232bへ出力する。第2のIF部232bは、内部に前述と同様の帯域外除去フィルタ等を備え、入力されたIF信号の中から所望チャンネルの信号を抽出する。ここで、第1のIF部232aの所望チャンネルと第2のIF部232bの所望チャンネルとは、同一のチャンネルである。
【0090】
なお、本実施形態では、アップコンバータ234でRF信号に変換された信号の一部が分岐器238によって分岐されて予備系統部230−1Bに入力されている。したがって、第2のダウンコンバータ231bは、アップコンバータ234における周波数変換を相殺するよう周波数変換を行う。アップコンバータ234における周波数変換は、必ずしも第1のダウンコンバータ231aにおける周波数変換を相殺するとは限らないので、第1のダウンコンバータ231aと第2のダウンコンバータ231bとにおける周波数変換量は同一とは限らない。
【0091】
第2のIF部232bにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号は、第2の分岐器233bにて分岐され、一方は切替器237へ入力され、他方は第2の検波器235bへ入力される。なお、先述のように、本実施形態における切替器237は、基本的に現用系統部230−1Aから出力された信号をアップコンバータ234へ出力するよう設定されている。第2の検波器235bは、IF信号の信号レベルを検波し、第2の検波電圧を出力する。この第2の検波電圧は、第2のダウンコンバータ231bまたは第2のIF部232bに設けられた増幅器の利得を自動利得制御するAGCループへ帰還されると共に、判定部236へ入力される。
【0092】
上記説明した構成により、判定部236には、第1の検波器235aによって検出された現用系統部230−1AにおけるIF信号の信号レベルと、第2の検波器235bによって検出された予備系統部230−1BにおけるIF信号の信号レベルとが入力されている。ここで、第1の検波器235aによって検出された信号レベルは、第1のIF部232aにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号の信号レベルであり、外部から入力されたRF信号中における所望チャンネルの信号レベルとなっている。一方、第2の検波器235bによって検出された信号レベルは、第2のIF部232bにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号の信号レベルであり、外部に出力されるRF信号中における所望チャンネルの信号レベルとなっている。すなわち、判定部236は、信号処理装置230−1に対する入力信号と出力信号との両方を監視し得ることになる。
【0093】
ここで、判定部236の機能についてより詳細な説明を行う。なお、判定部236のハードウェア構成については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0094】
図9は、判定部236の機能を説明するブロック図である。
図9に示されるように、判定部236は、第1の比較部236aと第2の比較部236bと閾値設定部236cと異常判定部236dとを備えている。
【0095】
第1の比較部236aは、第1の検波器235aによって検出された信号レベルと現用系統用の閾値とを比較し、入力信号の信号レベルが閾値に対してHighであるかLowであるかの判定を行うよう構成されている。同様に、第2の比較部236bは、第2の検波器235bによって検出された信号レベルと予備系統用の閾値とを比較し、出力信号の信号レベルが閾値に対してHighであるかLowであるかの判定を行うよう構成されている。
【0096】
閾値設定部236cは、現用系統用の閾値と予備系統用の閾値とを設定する手段である。現用系統用の閾値および予備系統用の閾値は、異なる値としてもよい。現用系統用の閾値は、入力信号を監視するためのものであり、予備系統用の閾値は、出力信号を監視するための閾値だからである。閾値設定部236cは、第1の検波器235aと第2の比較部236bとに対して適切な閾値を設定する。
【0097】
異常判定部236dは、第1の比較部236aの出力および第2の比較部236bの出力に基づいて、入力信号および出力信号における異常を判定する。入力信号または出力信号に異常が発見された場合、異常判定部236dは、例えば、その情報を外部に通知し、オペレーター等の操作を促す。また、出力信号のみに異常が発見された場合、アップコンバータ234における出力レベルの調整を試みてから外部通知をするようにしてもよい
【0098】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態に係る信号処理装置および受信装置の概略構成を示す図である。
図10に示されるように、受信装置300は、第1の分配器321と第2の分配器322と信号処理装置330−1,・・・,330−nと混合器340とを備えている。なお、nは2以上の整数である。
【0099】
分配器321は、現用系統のRF信号を、各信号処理装置330−1,・・・,330−nに分配するための機器である。
図10に示される構成例では、第1の分配器321に現用アンテナ10からのRF信号が入力され、第2の分配器322には予備アンテナ20からのRF信号が入力されている。ただし、第1実施形態の応用例と同様に、第1の分配器321および第2の分配器322に入力される信号は、アンテナからの受信信号に限るものではない。本実施形態のCATVシステムは、受信信号の取得方法に限定されず、CATVヘッドエンドに受信装置300を備え、各加入者の受像装置等の加入者宅装置に対して受信信号を再送信するCATVシステムであればよい。なお、本構成例では、現用アンテナ10と予備アンテナ20とから入力されるRF信号は、途中の伝送経路に設けられた増幅器11によって増幅されて各々第1の分配器321および第2の分配器322に入力されている。
【0100】
信号処理装置330−1,・・・,330−nは、いわゆるシグナルプロセッサであり、現用系統部330−1Aの入力端子と予備系統部330−1Bの入力端子とに入力された2系統の信号からそれぞれ所望チャンネルの信号を抽出した後、1つの所望チャンネルの信号を選択して出力端子から再送信する機能を有している。
【0101】
ここで説明する信号処理装置330−1,・・・,330−nは、例えばFMシグナルプロセッサ、OFDMシグナルプロセッサ、BS−IFシグナルプロセッサ、および、CS−IFシグナルプロセッサ等として利用することが可能である。なお、信号処理装置330−1の構成を代表例とし、以下では、信号処理装置330−2,・・・,330−nの構成の説明を省略する。
【0102】
図10に示されるように、信号処理装置330−1は、第1の入力切替器339aと第2の入力切替器339bと第1のダウンコンバータ331aと第2のダウンコンバータ331bと第1のIF部332aと第2のIF部332bと第1の分岐器333aと第2の分岐器333bと第1の検波器335aと第2の検波器335bと判定部336と切替器337とアップコンバータ334と分岐器338aと分配器338bとを備えている。信号処理装置330−1は、現用系統部330−1Aと予備系統部330−1Bと備えており、第1のダウンコンバータ331a、第1のIF部332a、第1の分岐器333aおよび第1の検波器335aは、現用系統部330−1Aに属し、第2のダウンコンバータ331b、第2のIF部332b、第2の分岐器333bおよび第2の検波器335bは、予備系統部330−1Bに属している。
【0103】
現用系統部330−1Aから出力された信号および予備系統部330−1Bから出力された信号は、切替器337にて経路切替され、アップコンバータ334を経由した後に信号処理装置330−1の出力端子へ至る。また、アップコンバータ334から出力されるRF信号の一部は、分岐器338aおよび分配器338bによって分岐されて、第1の入力切替器339aと第2の入力切替器339bとに帰還されている。
【0104】
第1のダウンコンバータ331aは、第1の入力切替器339aから現用系統部330−1Aに入力されたRF信号を中間周波数に変換し、変換されたIF信号を第1のIF部332aへ出力する。第1のIF部332aは、内部に帯域外除去フィルタ等を備え、入力されたIF信号の中から所望チャンネルの信号を抽出する。前記帯域外除去フィルタは、例えば表面弾性波フィルタあるいはバンドバスフィルタ等により構成され、狭帯域に含まれる所定の周波数の信号のみを抽出するフィルタである。なお、典型的なフィルタの使用方法は、単一の周波数のみを抽出するように構成するが、複数周波数を束ねて一つのチャンネルとするような場合等、帯域外除去フィルタにて複数の周波数の信号を抽出する構成を排除するものではない。
【0105】
第1のIF部332aにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号は、第1の分岐器333aにて分岐され、一方は切替器337へ入力され、他方は第1の検波器335aへ入力される。第1の検波器335aは、IF信号の信号レベルを検波し、第1の検波電圧を出力する。第1の検波電圧は、第1のダウンコンバータ331aまたは第1のIF部332aに設けられた増幅器の利得を自動利得制御するAGCループへ帰還されると共に、判定部336へ入力される。
【0106】
このように現用系統部330−1Aにおいて、判定部336で使用する第1の検波電圧を利用して自動利得制御を行うことで、回路構成を簡素化することができるので好ましい。
【0107】
同様に、第2のダウンコンバータ331bは、第2の入力切替器339bから予備系統部330−1Bに入力されたRF信号を中間周波数に変換し、変換されたIF信号を第2のIF部332bへ出力する。第2のIF部332bは、内部に前述と同様の帯域外除去フィルタ等を備え、入力されたIF信号の中から所望チャンネルの信号を抽出する。ここで、第1のIF部332aの所望チャンネルと第2のIF部332bの所望チャンネルとは、同一のチャンネルである。
【0108】
第2のIF部332bにより所望チャンネルの信号のみ抽出されたIF信号は、第2の分岐器333bにて分岐され、一方は切替器337へ入力され、他方は第2の検波器335bへ入力される。第2の検波器335bは、IF信号の信号レベルを検波し、第2の検波電圧を出力する。この第2の検波電力は、第2のダウンコンバータ331bまたは第2のIF部332bに設けられた増幅器の利得を自動利得制御するAGCループへ帰還されると共に、判定部336へ入力される。
【0109】
このように予備系統部330−1Bでも、判定部336で使用する第2の検波電圧を利用して自動利得制御を行うことで、回路構成を簡素化することができるので好ましい。
【0110】
なお、本実施形態では、アップコンバータ334でRF信号に変化された信号の一部が分岐器338aおよび分配器338bによって分岐されて、第1の入力切替器339aと第2の入力切替器339bとに帰還されている。そして、第1の入力切替器339aおよび第2の入力切替器339bの切り替え状態によっては、アップコンバータ334で周波数変換されたRF信号が第1のダウンコンバータ331aおよび第2のダウンコンバータ331bに入力される。したがって、アップコンバータ334で周波数変換されたRF信号が第1のダウンコンバータ331aに入力される場合には、第1のダウンコンバータ331aがアップコンバータ334における変換を相殺するよう周波数変換を行い、アップコンバータ334で周波数変換されたRF信号が第2のダウンコンバータ331bに入力される場合には、第2のダウンコンバータ331bがアップコンバータ334における変換を相殺するよう周波数変換を行う。
【0111】
ここで、アップコンバータ334における周波数変換は、必ずしも第1のダウンコンバータ331aおよび第2のダウンコンバータ331bにおける周波数変換を相殺するとは限らない。したがって、第1の入力切替器339aおよび第2の入力切替器339bの切り替え状態によっては、第1のダウンコンバータ331aと第2のダウンコンバータ331bとにおける周波数変換量は同一とは限らない。一方、第1の入力切替器339aおよび第2の入力切替器339bの切り替え状態によっては、第1のダウンコンバータ331aと第2のダウンコンバータ331bとにおける周波数変換量は同一となる。したがって、第1のダウンコンバータ331aと第2のダウンコンバータ331bとにおける周波数変換量は、第1の入力切替器339aおよび第2の入力切替器339bの切り替え状態に連動して可変とし得るように構成されている。
【0112】
上記説明した構成により、判定部336には、第1の検波器335aによって検出された現用系統部330−1AにおけるIF信号の信号レベルと、第2の検波器335bによって検出された予備系統部330−1BにおけるIF信号の信号レベルとが入力されている。ここで、第1の検波器335aによって検出された信号レベルは、第1の入力切替器339aの切り替え状態によって、現用系統用のRF信号中における所望チャンネルの信号レベルと外部に出力されるRF信号中における所望チャンネルの信号レベルとの2通りに切り替わる。また、第2の検波器335bによって検出された信号レベルは、第2の入力切替器339bの切り替え状態によって、予備系統用のRF信号中における所望チャンネルの信号レベルと外部に出力されるRF信号中における所望チャンネルの信号レベルとの2通りに切り替わる。したがって、判定部336は、現用系統用の入力信号と予備系統用の入力信号と出力信号との3つの信号を監視し得ることになる。
【0113】
ここで、判定部336の機能についてより詳細な説明を行う。なお、判定部336のハードウェア構成については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0114】
図11は、判定部336の機能を説明するブロック図である。
図11に示されるように、判定部336は、第1の比較部336aと第2の比較部336bと閾値設定部336cと切替器制御部336dとを備えている。
【0115】
第1の比較部336aは、第1の検波器335aによって検出された信号レベルと現用系統用の閾値とを比較し、現用系統の信号レベルまたは出力信号の信号レベルが閾値に対してHighであるかLowであるかの判定を行うよう構成されている。同様に、第2の比較部336bは、第2の検波器335bによって検出された信号レベルと予備系統用の閾値とを比較し、予備系統の信号レベルまたは出力信号の信号レベルが閾値に対してHighであるかLowであるかの判定を行うよう構成されている。
【0116】
閾値設定部336cは、現用系統用の閾値と予備系統用の閾値とを設定する手段である。現用系統用の閾値および予備系統用の閾値は、第1の入力切替器339aおよび第2の入力切替器339bの切り替え状態によって異なっていてもよい。先述のように、第1の検波器335aによって検出された信号レベルは、第1の入力切替器339aの切り替え状態によって、現用系統用のRF信号中における所望チャンネルの信号レベルと外部に出力されるRF信号中における所望チャンネルの信号レベルとの2通りに切り替わり、第2の検波器335bによって検出された信号レベルは、第2の入力切替器339bの切り替え状態によって、予備系統用のRF信号中における所望チャンネルの信号レベルと外部に出力されるRF信号中における所望チャンネルの信号レベルとの2通りに切り替わるからである。したがって、閾値設定部336cは、第1の入力切替器339aおよび第2の入力切替器339bの切り替え状態に応じて、現用系統用の閾値および予備系統用の閾値を変更する構成とすることが出来る。
【0117】
切替器制御部336dは、第1の比較部336aの出力および第2の比較部336bの出力に基づいて、切替器337、第1の入力切替器339a、および第2の入力切替器339bとの切替制御を行う。すなわち、切替器制御部336dは、現用系統用の入力信号、予備系統用の入力信号、および出力信号の3つの信号を監視した結果に基づいて、最適な入力信号および出力信号を動的に選択する。なお、切替器制御部336dが行う切替制御のアルゴリズムの例は後に詳述する。
【0118】
さらに、切替器制御部336dは、第1の比較部336aの出力および第2の比較部336bの出力に基づいて、最適な入力信号および出力信号を選択し得ない場合、例えば、その情報を外部に通知し、オペレーター等の操作を促す。また、出力信号のみに異常が発見された場合、アップコンバータ334における出力レベルの調整を試みてから外部通知をするように設計することも可能である。
【0119】
次に、
図12〜
図16を参照しながら、切替器337、第1の入力切替器339a、および第2の入力切替器339bの切り替えによる信号経路のパターンの一例について説明する。
図12は、切替器337、第1の入力切替器339a、および第2の入力切替器339bの切り替えによる信号経路のパターンを示す図であり、
図13〜
図16は、各パターンにおける信号経路を模式的に示した図である。
【0120】
本例では、
図12に示されるように、本実施形態の信号処理装置330−1は、第1の入力切替器339a、および第2の入力切替器339bが選択する入力信号の切り替え状態にしたがって、パターン1〜4の信号経路を有する。ここで、第1の入力切替器339aにおける入力信号の切り替え状態には、RF IN1側とアップコンバータ334出力側とがあり、第2の入力切替器339bにおける入力信号の切り替え状態には、RF IN2側とアップコンバータ334出力側とがあり、切替器337における入力信号の切り替え状態には、現用系統部330−1A出力側と予備系統部330−1B出力側とがある。なお、RF IN1およびRF IN2は、
図13〜
図16に示されるように、それぞれ現用系統用および予備系統用の入力端子である。
【0121】
図12および
図13に示されるように、パターン1の信号経路では、第1の入力切替器339aがRF IN1側の入力信号を選択し、第2の入力切替器339bがアップコンバータ334出力側の入力信号を選択し、切替器337が現用系統部330−1A出力側の入力信号を選択する。
【0122】
その結果、
図13に示されるように、RF IN1から入力された現用系統用の入力信号は、第1の入力切替器339aを通過し、現用系統部330−1Aに入力される。現用系統部330−1Aでは、現用系統用の入力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。その後、現用系統部330−1Aから出力された現用系統用の入力信号は、切替器337を通過し、アップコンバータ334にて周波数変換された後にRF OUTから出力される。
【0123】
さらに、アップコンバータ334から出力される出力信号の一部は、分岐器338aおよび分配器338bによって分岐されて第2の入力切替器339bに入力される。第2の入力切替器339bに入力された出力信号は、第2の入力切替器339bを通過し、予備系統部330−1Bに入力される。予備系統部330−1Bでは、出力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。
【0124】
上記信号経路から解るように、パターン1の信号経路では、判定部336に現用系統用入力信号と出力信号との検波結果が入力される。したがって、パターン1の信号経路では、判定部336は、現用系統用の入力信号と出力信号とにおける異常を監視することが可能である。
【0125】
図12および
図14に示されるように、パターン2の信号経路では、第1の入力切替器339aがアップコンバータ334出力側の入力信号を選択し、第2の入力切替器339bがRF IN2側の入力信号を選択し、切替器337が予備系統部330−1B出力側の入力信号を選択する。
【0126】
その結果、
図14に示されるように、RF IN2から入力された予備系統用の入力信号は、第2の入力切替器339bを通過し、予備系統部330−1Bに入力される。予備系統部330−1Bでは、予備系統用の入力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。その後、予備系統部330−1Bから出力された予備系統用の入力信号は、切替器337を通過し、アップコンバータ334にて周波数変換された後にRF OUTから出力される。
【0127】
さらに、アップコンバータ334から出力される出力信号の一部は、分岐器338aおよび分配器338bによって分岐されて第1の入力切替器339aに入力される。第1の入力切替器339aに入力された出力信号は、第1の入力切替器339aを通過し、現用系統部330−1Aに入力される。現用系統部330−1Aでは、出力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。
【0128】
上記信号経路から解るように、パターン2の信号経路では、判定部336に予備系統用入力信号と出力信号との検波結果が入力される。したがって、パターン2の信号経路では、判定部336は、予備系統用の入力信号と出力信号とにおける異常を監視することが可能である。
【0129】
図12および
図15に示されるように、パターン3の信号経路では、第1の入力切替器339aがRF IN1側の入力信号を選択し、第2の入力切替器339bがRF IN2側の入力信号を選択し、切替器337が現用系統部330−1A出力側の入力信号を選択する。
【0130】
その結果、
図15に示されるように、RF IN1から入力された現用系統用の入力信号は、第1の入力切替器339aを通過し、現用系統部330−1Aに入力される。現用系統部330−1Aでは、現用系統用の入力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。その後、現用系統部330−1Aから出力された現用系統用の入力信号は、切替器337を通過し、アップコンバータ334にて周波数変換された後にRF OUTから出力される。
【0131】
一方、RF IN2から入力された予備系統用の入力信号は、第2の入力切替器339bを通過し、予備系統部330−1Bに入力される。予備系統部330−1Bでは、予備系統用の入力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。なお、予備系統部330−1Bから出力された予備系統用の入力信号は、切替器337を通過し得ないので、当該信号経路では、RF OUTから出力されない。
【0132】
上記信号経路から解るように、パターン3の信号経路では、判定部336に現用系統用入力信号と予備系統用の入力信号との検波結果が入力される。したがって、パターン3の信号経路では、判定部336は、現用系統用の入力信号と予備系統用の入力信号とにおける異常を監視することが可能である。
【0133】
図12および
図16に示されるように、パターン4の信号経路では、第1の入力切替器339aがRF IN1側の入力信号を選択し、第2の入力切替器339bがRF IN2側の入力信号を選択し、切替器337が予備系統部330−1B出力側の入力信号を選択する。
【0134】
その結果、
図16に示されるように、RF IN2から入力された予備系統用の入力信号は、第2の入力切替器339bを通過し、予備系統部330−1Bに入力される。予備系統部330−1Bでは、予備系統用の入力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。その後、予備系統部330−1Bから出力された予備系統用の入力信号は、切替器337を通過し、アップコンバータ334にて周波数変換された後にRF OUTから出力される。
【0135】
一方、RF IN1から入力された現用系統用の入力信号は、第1の入力切替器339aを通過し、現用系統部330−1Aに入力される。現用系統部330−1Aでは、現用系統用の入力信号が検波され、その検波結果が判定部336へ入力される。なお、現用系統部330−1Aから出力された現用系統用の入力信号は、切替器337を通過し得ないので、当該信号経路では、RF OUTから出力されない。
【0136】
上記信号経路から解るように、パターン4の信号経路では、判定部336に現用系統用入力信号と予備系統用の入力信号との検波結果が入力される。したがって、パターン4の信号経路では、判定部336は、現用系統用の入力信号と予備系統用の入力信号とにおける異常を監視することが可能である。
【0137】
次に、
図17を参照しながら、上記パターン1〜4の信号経路の切り替えアルゴリズムの例を説明する。
図17は、当該信号経路の切り替えアルゴリズムを示すフローチャートである。なお、
図17に示されるアルゴリズムは、信号経路の切り替えの一例であり、装置の運用方針によっては当該アルゴリズム以外を利用することも可能である。
【0138】
図17に示されるように、まず、切替器制御部336dが第1の入力切替器339aと第2の入力切替器339bと切替器337とを切り替え制御し、パターン1の信号経路を実現させる(ステップS1)。先述のように、パターン1の信号経路は、現用系統用の入力信号と出力信号とにおける異常を監視するためのものである。
【0139】
次に、パターン1の信号経路の状態で、判定部336が現用系統用の入力信号に異常が発生しているか否かを判定する(ステップS2)。現用系統用の入力信号に異常が発生していない場合(ステップS2;No)、現用系統用の入力信号に異常が発生するまで、パターン1の信号経路のまま、現用系統用の入力信号の監視を継続する。
【0140】
現用系統用の入力信号に異常が発生している場合(ステップS2;Yes)、切替器制御部336dが第2の入力切替器339bの入力信号をRF IN2側に切り替え、パターン3の信号経路を実現させる(ステップS3)。先述のように、パターン3の信号経路は、現用系統用の入力信号と予備系統の入力信号とにおける異常を監視するためのものである。
【0141】
次に、パターン3の信号経路の状態で、判定部336が予備系統用の入力信号に異常が発生しているか否かを判定する(ステップS4)。予備系統用の入力信号に異常が発生している場合(ステップS4;Yes)、現用系統用の入力信号および予備系統用の入力信号の何れにも異常が発生しているので、切替器制御部336dはオペレーターの作業を促すために外部通知をし(ステップS9)、当該アルゴリズムを終了する。
【0142】
一方、予備系統用の入力信号に異常が発生していない場合(ステップS4;No)、切替器制御部336dが、第1の入力切替器339aの入力信号をアップコンバータ334出力側に切り替え、切替器337の入力信号を予備系統部330−1B出力側に切り替え、パターン2の信号経路を実現させる(ステップS5)。先述のように、パターン2の信号経路は、予備系統用の入力信号と出力信号とにおける異常を監視するためのものである。
【0143】
その後、パターン2の信号経路の状態で、判定部336が予備系統用の入力信号に異常が発生しているか否かを判定する(ステップS6)。予備系統用の入力信号に異常が発生していない場合(ステップS6;No)、予備系統用の入力信号に異常が発生するまで、パターン2の信号経路のまま、予備系統用の入力信号の監視を継続する。
【0144】
予備系統用の入力信号に異常が発生している場合(ステップS6;Yes)、切替器制御部336dが第1の入力切替器339aの入力信号をRF IN1側に切り替え、パターン4の信号経路を実現させる(ステップS7)。先述のように、パターン4の信号経路は、現用系統用の入力信号と予備系統の入力信号とにおける異常を監視するためのものである。
【0145】
次に、パターン4の信号経路の状態で、判定部336が現用系統用の入力信号に異常が発生しているか否かを判定する(ステップS8)。現用系統用の入力信号に異常が発生している場合(ステップS8;Yes)、現用系統用の入力信号および予備系統用の入力信号の何れにも異常が発生しているので、切替器制御部336dはオペレーターの作業を促すために外部通知をし(ステップS9)、当該アルゴリズムを終了する。
【0146】
一方、予備系統用の入力信号に異常が発生していない場合(ステップS8;No)、切替器制御部336dが、第2の入力切替器339bの入力信号をアップコンバータ334出力側に切り替え、切替器337の入力信号を現用系統部330−1A出力側に切り替え、パターン1の信号経路へ戻る(ステップS1)。
【0147】
以上説明した信号経路の切り替えアルゴリズムによれば、現用系統用の入力信号または予備系統用の入力信号が発生した場合でも相互に入力信号を切り替えることができ、かつ、切替判断を必要としない期間(パターン1およびパターン2)では、出力信号の監視も可能である。したがって、例えば、切替器の不良やアップコンバータの故障等による出力信号の異常を検出することが出来る。これにより、入力信号のみを監視するよりも確実性の高い監視が実現される。
【0148】
以上説明したように、本実施形態に係る信号処理装置330−1,・・・,330−nは、現用系統用の入力信号と予備系統用の入力信号との両方を監視することができ、かつ、切替判断を必要としない場合、例えば、切替判断を必要としない期間においては、出力信号の監視も可能である。さらに、本実施形態に係る信号処理装置330−1,・・・,330−nは、第1実施形態の構成をすべて含んでいるので、複数チャンネルの信号を含む受信信号中から所望チャンネルのみの受信異常を監視することができるため、チャンネルごとに適切な受信系統の切り替えを行うことができる。
【0149】
同様に、本実施形態に係る信号処理装置330−1,・・・,330−nは、第1実施形態の構成をすべて含んでいるので、自動利得制御の信号レベル制御で吸収可能である信号レベルの変動を、自動利得制御における制御限界までは自動利得制御の信号レベル制御で吸収してから切替判断することが可能である。
【0150】
また、本実施形態に係る信号処理装置330−1,・・・,330−nを利用した受信装置300は、第1実施形態に係る受信装置100と同様の効果も奏する。
【0151】
なお、本実施形態において、第1または第2の入力切替器のうち一方のみを有する構成も考えられる。例えば、本実施形態の変形例として、予備系統部の前段に入力切替器339bが配され、アップコンバータ334から出力されるRF信号の一部が分岐器338aによって分岐されて、第2の入力切替器339bに帰還される構成等も考えられる。この様な構成とする事で、例えば、第2の入力切替器339bの入力信号をRF IN2側に切り替えた際には第1実施形態に係る受信装置100と同様の効果を奏する事ができ、第2の入力切替器339bの入力信号をアップコンバータ334出力側に切り替えた際には第2実施形態に係る受信装置200と同様の効果を奏する事が可能となる。
【0152】
以上、本発明について実施形態に基づいて説明したが、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。