特許第6081353号(P6081353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081353
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】整形外科用インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/72 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
   A61B17/72
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-513385(P2013-513385)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公表番号】特表2013-527015(P2013-527015A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011039121
(87)【国際公開番号】WO2011153468
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年5月23日
(31)【優先権主張番号】61/351,142
(32)【優先日】2010年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シード・ダブリュー・ジャンナ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・エス・リッチー
(72)【発明者】
【氏名】グラハム・ラルフ・ケルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・ビー・フェイバー
(72)【発明者】
【氏名】コースケ・ワタナベ
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/106593(WO,A2)
【文献】 特開2004−130094(JP,A)
【文献】 特表2006−503621(JP,A)
【文献】 特表2009−505751(JP,A)
【文献】 特表2008−514296(JP,A)
【文献】 特開2005−095617(JP,A)
【文献】 特表2002−513305(JP,A)
【文献】 特開2005−103275(JP,A)
【文献】 国際公開第01/034016(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56−17/92
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用インプラントであって、
少なくとも1つの標識点を画定する本体と、
前記少なくとも1つの標識点から規定の距離だけ隔置されたセンサを備えるプローブとを備え、
前記本体の外面に沿って画定される長手方向溝をさらに含み、前記長手方向溝が前記長手方向溝の長さに沿って位置する少なくとも一つの第1の部分を備え、
解放可能な締まり嵌め、プレス嵌め、摩擦嵌め、またはスナップ嵌めの一つで前記長手方向溝の中に前記プローブを受け取ると共に、前記少なくとも1つの標識点に対する前記センサの動きを制限するように、前記プローブと前記センサを前記インプラントの前記本体に解放可能に固定するために、前記少なくとも一つの第1の部分は、前記プローブの直径より小さい幅を有する開口を備える、インプラント。
【請求項2】
前記センサが、前記インプラントの非駆動端部部分内に位置する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記少なくとも一つの第1の部分が、少なくとも2つの側壁と、前記2つの側壁を接続する床面とを含み、
前記少なくとも一つの第1の部分の前記2つの側壁がそれぞれ前記床面とともに鋭角を形成する、請求項1又は2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記長手方向溝が、前記長手方向溝の前記長さに沿って、前記2つの側壁がそれぞれ前記床面とともに約90度以上の角を形成する少なくとも一つの第2の部分を含む、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記2つの側壁がそれぞれ前記床面とともに鋭角を形成する前記少なくとも一つの第1の部分の長さが、約0.025インチ(0.0635センチメートル)〜約0.5インチ(1.27センチメートル)である、請求項3に記載のインプラント。
【請求項6】
前記プローブが、前記長手方向溝の中で回転および平行移動することを防止されている、請求項1〜5の何れか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記長手方向溝に対するカバーをさらに含む、請求項1〜6の何れか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
前記カバーが、前記長手方向溝および前記インプラントの1つの少なくとも一部分に取り付け可能に構成されている、請求項7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記長手方向溝の前記少なくとも一つの第1の部分が、蟻継ぎ、多角形、楕円形、鍵穴、または円形の断面形状の1つを含む、請求項1〜8の何れか一項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記長手方向溝が、前記プローブの外面が前記インプラントの前記本体の外面またはそれより下に位置決めされるように前記プローブを受け取るように構成される、請求項1〜9の何れか一項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記長手方向溝が、前記インプラントの前記外面への開口を含み、前記開口の幅が前記プローブの直径より小さい、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記標識点が、構造物、穴埋め剤、PEEKなどの高分子ねじ穴窓、空隙、ボス、チャネル、止め金、フランジ、溝、部材、区画、段、開口、穿孔、空胴、窪み、ダクト、間隙、ノッチ、オリフィス、通路、スリット、穴、またはスロットからなる群から選択される、請求項1〜11の何れか一項に記載のインプラント。
【請求項13】
前記インプラントが髄内ネイルである、請求項1〜12の何れか一項に記載のインプラント。
【請求項14】
センサを備えるプローブを整形外科用インプラントに解放可能に固定するステップであって、前記センサが、前記整形外科用インプラント内に画定される少なくとも1つの標識点から規定の距離だけ隔置される、固定するステップと、
前記センサと前記少なくとも1つの標識点との間の空間関係がわかるように前記センサを較正するステップと
を含み、
前記プローブを開放可能に固定するステップが、前記インプラントの本体の外面に沿って画定される長手方向溝の中に前記プローブを配置するステップであって、前記長手方向溝が前記長手方向溝の長さに沿って位置する少なくとも一つの第1の部分を備えるステップを含み、
解放可能な締まり嵌め、プレス嵌め、摩擦嵌め、またはスナップ嵌めの一つで前記長手方向溝の中に前記プローブを受け取ると共に、前記少なくとも1つの標識点に対する前記センサの動きを制限するように、前記プローブと前記センサを前記インプラントの前記本体に解放可能に固定するため、前記少なくとも一つの第1の部分は、前記プローブの直径より小さい幅を有する開口を備える、方法。
【請求項15】
前記プローブを開放可能に固定するステップが、前記長手方向溝の中に隙間嵌めで前記プローブを配置するステップと、前記プローブが前記長手方向溝の中で回転および平行移動するのを制限するように、前記プローブを前記インプラントの駆動端部に結合するステップとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記長手方向溝の少なくとも一部分を覆うようにカバーを配置するステップをさらに含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記カバーを配置するステップが、前記インプラントおよび前記長手方向溝の1つに前記カバーをレーザ溶接するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、2010年6月3日出願の「Orthopaedic Implants」という名称の米国特許仮出願第61/351,142号の優先権およびそのすべての利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、整形外科用インプラント上の標識点の識別に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロッキングネイルなどの整形外科用インプラントは、骨折の髄内(IM)固定に対する範囲を著しく広げてきた。IMネイルを骨に固定することで、構造物を長手方向により安定させ、骨の中でネイルが回転するのを停止させる。典型的なIMネイル固定手術は、遠位ねじ穴の位置を特定して穴を開け、これらのねじ穴内にねじを設置するために、治具、X線撮像、および人の手による「目測」の組合せを伴う。
【0004】
IMネイル固定手術では、折れた端部をともに固定するために、折れた長骨の管の中へIMネイルが挿入される。通常、第1に近位ロックが実行され、普通は治具によって実施される。しかし、髄内挿入および製造能力中のネイルの変形は、遠位ねじに対して治具を不正確にすることがある。実際には、遠位ロックねじの位置決めおよび遠位ねじ穴を開けるためのドリルの位置合わせは、注入手順の中でも最も時間がかかりかつ困難なステップである。遠位ロックに失敗する2つの主な理由は、(1)骨の上の入口点が不正確であること、および(2)ドリルの向き/軌道が誤っていることである。これらの問題のいずれかが生じた場合、ドリルはネイル穴を通ることができない。
【0005】
また、入口点が不正確であることは、ドリルビットの丸い端部が頻繁に滑って健康な骨を損傷し、不正確な穴の隣に別のドリル穴を配置するのを困難にするので、問題を複雑にする。不正確な遠位ロックは、ネイル穴を通るネイルの破損、ねじの破損、または骨の中のドリルビットの破損によって、早い段階で失敗を招くことがある。
【0006】
遠位ロックに関連するこれらの問題を克服するために、器具を備えたIMネイルが遠位ロック向けに設計されてきた。器具を備えたIMネイルは、1つまたは複数のプロセッサに接続された1つまたは複数のセンサを有するプローブを含む。1つまたは複数の磁気センサとIMネイル上のねじ穴などの1つまたは複数の標識点との間の空間関係が確実にわかって正確になるように、IMネイルの較正が実施される。較正後、IMネイルは使用できるように包装され、センサは、IMネイルを患者の体内で正しく固定するように、標識点に対する位置および向きを維持しなければならない。較正および包装後、使用前に、IMネイルおよび/または標識点に対するプローブおよび関連するセンサの動きを制限または防止することは難題である。
【0007】
接着剤を使用してプローブおよび関連するセンサをIMネイル、具体的にはIMネイル内に形成された溝に接着することは、IMネイルおよび標識点に対するプローブおよびセンサの動きを防止するための受け入れられている技法である。しかし、接着剤を使用すると、手術後にプローブ、関連するセンサ、および接着剤を除去するのが非常に困難になり、ほとんどの場合、不可能になる。このため、在庫および部品費用が増大し、高価な材料の再利用が妨げられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
IMネイルの較正後にプローブおよび関連するセンサを十分に捕獲する特徴または構造物を、IMネイル、具体的にはIMネイル内に形成される溝に提供する解決策が、引き続き必要とされている。さらに、体内のIMネイルをターゲティングおよびロックするため、またプローブおよびセンサを清浄にして再び再利用できるように、IMネイルのターゲティングおよび/またはロック後にプローブおよび関連するセンサを容易に除去するために、IMネイル上の標識点に対するセンサの位置および向きを固定したまま確実に維持することが必要とされている。さらに、非駆動端部の固定前にインプラントの駆動端部のターゲティングおよびロックを可能にするように捕獲されるプローブおよび関連するセンサを含むインプラントが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
概略的な態様では、整形外科用インプラントは、少なくとも1つの標識点を画定する本体と、少なくとも1つの標識点から規定の距離だけ隔置されたセンサを含むプローブとを含む。プローブおよびセンサは、少なくとも1つの標識点に対するセンサの動きを制限するように、インプラントの本体に解放可能に固定される。
【0010】
実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。たとえば、インプラントは、本体の外面に沿って画定される長手方向溝を含み、長手方向溝は、駆動端部部分および非駆動端部部分を含む。センサは、長手方向溝の非駆動端部部分内に位置する。長手方向溝は、少なくとも2つの側壁と、2つの側壁を接続する床面とを含む。長手方向溝は、長手方向溝の長さに沿って、2つの側壁がそれぞれ床面とともに鋭角を形成する少なくとも一部分を含む。長手方向溝は、長手方向溝の長さに沿って、2つの側壁がそれぞれ床面とともに90度以上の角を形成する少なくとも第2の部分を含む。2つの側壁がそれぞれ床面とともに鋭角を形成する部分の長さは、約0.025インチ(0.0635センチメートル)〜約0.5インチ(1.27センチメートル)である。長手方向溝は、解放可能な締まり嵌め、プレス嵌め、摩擦嵌め、またはスナップ嵌めの1つでプローブおよびセンサを受け取る。長手方向溝は、隙間嵌めでプローブおよびセンサを受け取り、プローブは、溝の駆動端部に結合される。プローブは、溝の中で回転および平行移動することを防止されている。インプラントは、溝の少なくとも一部分を覆うカバーをさらに含む。カバーは、溝およびインプラントの1つの少なくとも一部分にレーザ溶接される。
【0011】
長手方向溝の少なくとも一部分は、蟻継ぎ、多角形、楕円形、鍵穴、または円形の断面形状の1つを含む。長手方向溝は、プローブの外面がインプラントの本体の外面またはそれより下に位置決めされるようにプローブを受け取るように構成される。溝は、インプラントの外面への開口を含み、開口の幅はプローブの直径より小さい。標識点は、構造物、穴埋め剤、PEEKなどの高分子ねじ穴窓、空隙、ボス、チャネル、止め金、フランジ、溝、部材、区画、段、開口、穿孔、空胴、窪み、ダクト、間隙、ノッチ、オリフィス、通路、スリット、穴、またはスロットからなる群から選択される。
【0012】
インプラントは、外側に延びる形成物を有する本体を有する要素をさらに含み、長手方向溝は、外側に延びる形成物を受け取るように構成される溝の中に画定された凹部または貫通孔をさらに含む。外側に延びる形成物は、スナップ嵌め接続またはねじ込み接続を介して凹部または貫通孔内に受け取られる。プローブは、インプラントの注入後に要素の少なくとも一部分からプローブを分離できるように要素の本体に接触する細長いポリマーテープまたはプリント回路基板の1つを含む。要素の本体のうち、プローブに取り付けられる部分は、要素からのプローブの分離を可能にするように穿孔される。
【0013】
インプラントは、プローブおよびセンサをインプラントに解放可能に固定するようにプローブおよびインプラントの本体の周りに収縮包装された膜をさらに含む。膜は、体内へのインプラントの注入後にインプラントからのプローブおよびセンサの分離を可能にする1組の穿孔を含む。プローブは、膜に接触するときに収縮包装された膜を貫通するように構成される外側に延びる形成物を含む。膜は、生分解性または生体適合性の材料から作られる。膜の引き裂き強度は、プローブの長軸と平行な線に沿って最も低い。
【0014】
別の概略的な態様では、方法は、センサを含むプローブを整形外科用インプラントに解放可能に固定するステップであって、このセンサが、整形外科用インプラント内に画定される少なくとも1つの標識点から規定の距離だけ隔置される、固定するステップと、センサと少なくとも1つの標識点との間の空間関係がわかるようにセンサを較正するステップとを含む。
【0015】
実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。たとえば、プローブを固定するステップは、インプラントの表面上の長手方向溝の中に隙間嵌めでプローブを配置するステップと、プローブが溝の中で回転および平行移動するのを妨げるように、プローブの駆動端部をインプラントに結合するステップとを含む。方法は、溝の少なくとも一部分、好ましくは溝の長さ全体を覆うようにカバーを配置するステップをさらに含む。カバーを配置するステップは、インプラントおよび溝の1つにカバーをレーザ溶接するステップを含む。方法は、体内へのインプラントの注入後に整形外科用インプラントからプローブおよびセンサを除去するステップをさらに含む。プローブおよびセンサをインプラントに解放可能に固定するステップは、インプラント内に形成される長手方向溝の少なくとも1つの長手方向区間内へプローブの少なくとも一部分を配置するステップを含み、長手方向溝の少なくとも1つの長手方向区間は、締まり嵌め、プレス嵌め、摩擦嵌め、またはスナップ嵌めの1つでプローブを受け取るように構成される。プローブは、細長いポリマーテープまたはプリント回路基板の1つを含み、プローブおよびセンサをインプラントに解放可能に固定するステップは、インプラント内に形成される長手方向溝の中に画定される凹部内へ、外側に延びる形成物を有する本体を有する要素を、スナップ嵌め接続を介して固定するステップと、プローブおよびセンサを要素の少なくとも一部分から分離できるようにプローブおよびセンサを要素の本体へ結合するステップとを含む。プローブおよびセンサをインプラントに解放可能に固定するステップは、プローブおよびセンサをインプラントに解放可能に固定するようにプローブおよびインプラントの本体の周りに膜を収縮包装するステップを含む。
【0016】
別の概略的な態様では、髄内ネイルは、少なくとも1つのねじ穴を画定する本体と、本体の外面に沿って形成される駆動端部部分および非駆動端部部分を有する長手方向溝と、センサを含むプローブとを含む。プローブは、センサが少なくとも1つのねじ穴から規定の距離だけ隔置されるように、長手方向溝の中に解放可能に固定される。
【0017】
実装形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。たとえば、長手方向溝は、少なくとも2つの側壁と、2つの側壁を接続する床面とを含む。長手方向溝は、長手方向溝の長さに沿って、2つの側壁がそれぞれ床面とともに鋭角を形成する第1の部分と、長手方向溝の長さに沿って、2つの側壁がそれぞれ床面とともに約90度以上の角を形成する第2の部分とを含む。長手方向溝は、インプラントの外面またはそれより下にプローブを保持する。溝は、インプラントの外面への開口を含み、開口の幅はプローブの直径より小さい。溝は、カバーをさらに含む。カバーは、インプラントおよび溝の少なくとも1つにレーザ溶接される。プローブは、溝の中で回転および平行移動することを防止されている。
【0018】
ネイルは、外側に延びる形成物を有する本体を有する要素をさらに含み、長手方向溝は、スナップ嵌め接続を介して外側に延びる形成物を受け取るように構成される長手方向溝の中に画定された凹部をさらに含む。プローブは、髄内ネイルの注入後に要素の少なくとも一部分からプローブを分離できるように要素の本体に接触する細長いポリマーテープまたはプリント回路基板の1つを含む。要素の本体のうち、プローブに取り付けられる部分は、要素からのプローブの分離を可能にするように穿孔される。
【0019】
ネイルは、プローブおよびセンサをネイルに解放可能に固定するようにプローブおよびネイルの本体の周りに収縮包装された膜をさらに含む。膜は、体内へのネイルの注入後にネイルからのプローブおよびセンサの分離を可能にする1組の穿孔を含む。プローブは、膜に接触するときに収縮包装された膜を貫通するように構成される外側に延びる形成物を含む。膜は、生分解性または生体適合性の材料から作られる。膜の引き裂き強度は、プローブの長軸と平行な線に沿って最も低い。
【0020】
開示する装置および方法は、いくつかの利点を含む。たとえば、開示する装置および方法は、器具を備えたIMネイルがその設計されたターゲティング機能を実行できるように、較正された位置および向きでプローブおよび関連するセンサを十分に捕獲し、それでもなおターゲティング後にプローブおよびセンサの容易な除去を可能にする特徴および構造物を提供する。これにより、プローブおよびセンサを他のIMネイルとともに再利用することができ、在庫コストを下げ、患者の体内に残すために必要な部品および材料の数を低減させる。さらに、開示する装置および方法は、インプラントの非駆動端部をロックまたは固定する前にインプラントの駆動端部でネイルのロックを可能にする特徴を提供する。さらに、開示する装置および方法は、たとえば患者の体内へのIMネイルの挿入中に組織が溝の中でプローブおよび関連するセンサを移動または平行移動もしくは回転させるのを制限または防止するのを助ける。さらに、開示する装置および方法は、溝の中での骨の内方成長を制限または排除し、こうして修正手術中、または新しいインプラントが必要とされるとき、インプラントを後に容易に除去することができる特徴および構造物を提供する。
【0021】
他の利点および特徴は、添付の図面と一緒に読めば、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】標識点を識別するシステムを示す図である。
図1A図1のシステム内で使用するための標識点識別器の代替実装形態を示す図である。
図2図1の整形外科用インプラントの詳細斜視図である。
図3図2の整形外科用インプラントの部分62の1つに沿って切り取った整形外科用インプラントの横断面図である。
図3A図2の整形外科用インプラントの部分62の1つに沿って切り取った整形外科用インプラントの横断面図である。
図4図2の部分4-4に沿って切り取った整形外科用インプラントの横断面図である。
図4A図2の整形外科用インプラントの部分64の1つに沿って切り取った整形外科用インプラントの横断面図である。
図5図2の整形外科用インプラントの部分62の1つの拡大図である。
図6】整形外科用インプラントアセンブリ28の代替実装形態の横断面図である。
図7】整形外科用インプラントアセンブリ28の代替実装形態の横断面図である。
図7A】整形外科用インプラントアセンブリ28の代替実装形態の横断面図である。
図8】溝60内のプローブ50の平行移動および回転を制限または防止する代替実装形態の図である。
図9】整形外科用インプラントの代替実装形態で使用するブッシングの上面図である。
図10図6のブッシングの側面図である。
図11】整形外科用インプラントの代替実装形態の上面図である。
図12】インプラントの長手方向軸に沿って切り取った図8の整形外科用インプラントの横断面図である。
図13】整形外科用インプラントアセンブリの別の実装形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの図面は必ずしも原寸に比例しないこと、および開示する実装形態を部分図に図示することがあることを理解されたい。場合によっては、本開示を理解する上で必要でない詳細、または他の詳細を理解しにくくする詳細は省略することがある。当然ながら、本開示は、本明細書に示す特定の実装形態に限定されるものではないことを理解されたい。
【0024】
同じ参照番号が同じ要素を示す添付の図面を参照すると、図1は、標識点を識別する1つの開示するシステム10を示す。システム10は、プロセッサ12、磁界発生器16、標識点識別器18、および整形外科用インプラントアセンブリ28を含む。システム10はまた、プロセッサ12に電気的に接続されたモニタ14と、整形外科用インプラントアセンブリ28の整形外科用インプラント30、具体的な例では整形外科用インプラント30の非駆動端部30bとは反対側の駆動端部30aに取り外し可能に取り付けられた挿入ハンドル40とを含む。図1では、プロセッサ12をデスクトップコンピュータとして示すが、他のタイプの演算デバイスを使用することもできる。例として、プロセッサ12は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデータアシスタント(PDA)、手持ち式移動デバイス、または専用のデバイスとすることができる。磁界発生器16は、107 Catamount Drive, Milton Vermont, U.S.A.のAscension Technology Corporation、103 Randall Drive, Waterloo, Ontario, CanadaのNorthern Digital Inc.、または40 Hercules Drive, Colchester Vermont, U.S.A.のPolhemusから入手可能なデバイスである。当然ながら、他の発生器を使用することもできる。例として、磁界発生器16は、パルス直流電磁界または交流電磁界を提供することができる。システム10はまた、磁界発生器16に接続された制御ユニット(図示せず)を含むことができる。制御ユニットは、磁界発生器16を制御し、小型の移動誘導センサから信号を受け取り、有線または無線でプロセッサ12と通信する。制御ユニットは、ハードウェアまたはソフトウェアによってプロセッサ12内へ組み込むことができる。
【0025】
システム10は、磁気位置追跡システムと呼ぶことができる。例示の目的で、システム10は、空間磁気基準枠(すなわち、X、Y、Z)として働く適切に構成された電磁誘導コイルから構成される磁界発生器16を含むことができる。システム10はまた、小型の移動誘導センサを含むことができ、これらのセンサは、追跡されている物体に取り付けられる。他の変形形態も容易に収容できることを理解されたい。小型の移動誘導センサの位置および角度の向きは、磁界発生器16によって作られる磁界源に対する磁気結合から判定される。
【0026】
磁界発生器16は、6つの異なる空間磁界形状または分布のシーケンスまたは集合を生成し、各形状または分布が、小型の移動誘導センサによって感知されることに留意されたい。各シーケンスは、小型の移動誘導センサによって作られる信号のシーケンスであり得る。信号シーケンスの処理により、小型の移動誘導センサの位置および/または向き、したがって磁界発生器16に対して固定の関係にある磁気座標基準枠に対する小型の移動誘導センサが取り付けられた物体の位置を判定することができる。プロセッサ12または制御ユニットは、基準座標系および感知データを使用して、位置および向き情報を含む変換行列を作ることができる。
【0027】
標識点識別器18は、整形外科用インプラントアセンブリ28上の標識点などの標識点をターゲティングするために使用される。標識点識別器18は、1つもしくは複数の小型の移動誘導センサを含むことができ、または磁界発生器を含むことができる。標識点識別器18は、第2のセンサ20を有する。標識点識別器18は、任意の数のデバイスとすることができる。例として、標識点識別器は、隠れた標識点の位置および向きを使用者に理解させる構造物を含むデバイスとすることができる。たとえば、標識点識別器は、ドリルガイド、ドリルスリーブ、ドリル、ドリルの先端、ドリルの胴、ドリルチャック、または固定要素を含むことができる。いくつかの実装形態では、構造物は、開口を有する筐体、または標識点の位置および向きを示す他の構造物とすることができる。図1では、標識点識別器18はドリルスリーブであり、センサ20を含む。標識点識別器18は、のこぎり状の先端部22、管24、およびハンドル26の1つまたは複数を含むことができる。管24はまた、ブッシング、シリンダ、ガイド、またはドリル/ねじ配置ガイドと呼ぶこともできる。第2のセンサ20は、管24の軸に対して向きが定められる。管24は、ドリルを受け取ることができる。管24からのセンサ20のこのオフセットにより、6次元(3つの平行移動および3つの角度)の空間内で、磁界発生器16および/またはシステム内の別のセンサに対する管の位置および向きを特定することができる。プロセッサ12は、第2のセンサ20のオフセット距離を調整するように較正する必要があることがある。標識点識別器18と磁界発生器16は、組み合わせて単一の構成要素にすることができる。たとえば、磁界発生器16は、ハンドル26内に組み込むことができる。
【0028】
図1Aは、ドリルスリーブ2022などの取り外し可能な構成要素で標識点識別器18と磁界発生器16の機能性を組み合わせて、システム10内で使用できる手持ち式の標識点識別器2016にする代替実装形態を示す。手持ち式の標識点識別器2016は、適した電磁界を生じさせるために1つまたは複数の誘導コイルまたは他の要素を含むことができる電磁界発生器(図示せず)を収容する。電磁界発生器は、加圧滅菌に耐える材料内またはその上に取り付けられ、容易に殺菌できる加圧滅菌に耐える筐体2018内にカプセル化される。筐体2018は、体内および筐体2018を通過する結合部材2018cを含み、外科医によって選択される、のこぎり状の先端部2024を有するドリルスリーブ2022などの1つもしくは複数の取り付け可能な構成要素、またはねじドライバスリーブもしくは他のドリルスリーブなどの他の適した器具に、取り外し可能に係合する。筐体2018は、シリコーン材料のオーバーモールディング(overmolding)など、加圧滅菌に耐える材料から形成される第1のカバリング2018aを含み、また筐体2018の外縁部に追加の保護もしくは絶縁層または審美性を提供する第2のカバリング2018bを含むことができる。第2のカバリング2018bは、第1のカバリング2018aに類似の、またはそれとは異なる、加圧滅菌に耐える材料から形成することができる。
【0029】
図1に示す標識点識別器18とは異なり、手持ち式の標識点識別器2016は、球状空間(電磁界が生成される領域)の原点を標識点識別器2016内に画定できるため、センサ20を必要としない。たとえば、球状空間座標系の1つの軸は、ドリルスリーブまたは他の構成要素2022の長手方向軸とすることができる。その状況では、球状空間座標系の他の2つの軸は、その長手方向軸および互いに対して直交する平面によって画定することができる。標識点識別器2016内へ磁界発生器を組み込む利点には、磁界発生器を局所的な作業空間(ねじ配置のためにターゲティングされるインプラント穴などの標識点を含むことができる領域)内へ入れることができるため、磁界発生器の寸法がより小さくなり、したがって必要な電磁界がより小さくなることが含まれる。さらに、標識点識別器2016を使用することで、脛骨および大腿骨ネイルの場合に正しい遠位ねじ配置を実現するために使用される、放射線を放出する透視式「cアーム」など、貫通要素をターゲティングするためのX線デバイスを不要にする。
【0030】
整形外科用インプラントアセンブリ28は、インプラント30および1つまたは複数の小型の移動誘導センサを含むことができる。図1および図2に示す実装形態では、整形外科用インプラントアセンブリ28は、インプラント30内に形成された長手方向溝60内に配置されるプローブ50を含む。プローブ50は、テープ本体51と、テープ本体51内またはその上に配置される第1のセンサ32とを含む。プローブ50は、溝60内に配置される。プローブ50のテープ本体51は、インプラント30内に配置されたときにテープ本体51の向きを定めるのを助けるために、方形、円形、楕円形、または正方形の幾何形状を有することができ、この幾何形状は、プローブ50の長さに沿って一定とすることができ、または変動することができる。いくつかの実装形態では、テープ本体51は、中空の金属管とすることができる。プローブ50は、たとえば第1のセンサ32からプロセッサ12へ信号を伝送するように第1のセンサ32に結合されたリードまたはワイア(図示せず)を含むことができる。リードは、生体適合性のワイアから作ることができる。一例として、リードは、Fort Wayne Metals Research Products Corp., 9609 Indianapolis Road, Fort Wayne, Indiana 46809から入手可能なDFTワイアから作ることができる。DFTは、Fort Wayne Metals Research Products Corp.の登録商標である。別法として、第1のセンサ32は、無線接続を介してプロセッサ12に結合することもできる。
【0031】
図1および図2では、インプラント30はIMネイルの形態であるが、他のタイプのインプラントを使用することもできる。例として、インプラントは、IMネイル、骨板、肩プロテーゼ、臀部プロテーゼ、または膝プロテーゼとすることができる。インプラント30は、チタン、コバルトクロム、ステンレス鋼、生分解性高分子、または他の生体適合性の材料など、任意の適した生体適合性の材料から作ることができる。インプラント30は、カニューレ挿入33を含むことができる。
【0032】
第1のセンサ32は、所定の位置で、インプラント30上の1つまたは複数の標識点に対して向きが定められる。例として、標識点は、構造物、空隙、ボス、チャネル、止め金、フランジ、溝、部材、区画、段、開口、穿孔、空胴、窪み、ダクト、間隙、ノッチ、オリフィス、通路、スリット、穴、またはスロットとすることができる。さらに、標識点は、穴埋め剤、PEEKなどの高分子ねじ穴窓、または注入中に外科医がねじなどの固定部材を受け取る貫通孔もしくは他の開口を形成できるインプラント30上の位置を識別もしくは指示するインプラント30内もしくはその上に形成される他の識別器とすることができる。図1および図2では、標識点は貫通孔31である。標識点からの第1のセンサ32のオフセットにより、6次元(3つの平行移動および3つの角度)の空間内で、磁界発生器16または第2のセンサ20などのシステム内の別のセンサに対する標識点の位置を特定することができる。プロセッサは、第1のセンサ32のオフセット距離を調整するように較正する必要があることがある。
【0033】
第1のセンサ32および第2のセンサ20は、プロセッサ12に結合される。この場合も、これは有線または無線で実現することができる。第1のセンサ32および第2のセンサ20は、通常はX、Y、およびZと呼ばれる3つの平行移動軸、ならびに通常はピッチ、ヨー、およびロールと呼ばれる3つの角度の向きにおける各センサの位置を記述するように構成される6自由度のセンサとすることができる。これらの基準枠内にセンサを配置し、各センサの位置および向きを知ることによって、インプラント30上の標識点に対して標識点識別器18を配置することができる。1つの特定の実装形態では、センサからの情報により、外科医は固定のための手術経路を計画し、見えない固定穴31とドリルを正しく位置合わせすることができる。例示的なセンサ32、20は、107 Catamount Drive, Milton Vermont, U.S.A.のAscension Technology Corporation、103 Randall Drive, Waterloo, Ontario, CanadaのNorthern Digital Inc.、または40 Hercules Drive, Colchester Vermont, U.S.A.のPolhemusからの6自由度のセンサである。当然ながら、他のセンサを使用することもできる。
【0034】
図1および図2に示すように、テープ本体51と、テープ本体51内またはその上に配置される第1のセンサ32とを含むプローブ50が、インプラント30の外面内に形成された長手方向溝60内に配置される。溝60は、ターゲティングされる標識点31に対して所望の近傍に第1のセンサ32を配置できるように、インプラント30の駆動端部30aからインプラント30の非駆動端部30bまで延びる。当然ながら、溝60は、標識点31に対して所望の近傍範囲内に第1のセンサ32を位置決めするために、インプラント30の長さに沿って任意の場所に配置することができる。さらに、インプラント30の非駆動端部30b内に形成された標識点31付近に位置決めされた第1のセンサ32を示すが、第1のセンサ32は、インプラント30の駆動端部30a内に形成された標識点31付近に位置決めすることもできる。このようにして、中心カニューレ33内ではなく溝60内にプローブ50を有することで、インプラント30を非駆動端部30bで取り付ける前に、インプラント30の駆動端部30aで標識点31を使用してインプラント30をロックすることができる。
【0035】
溝60は、インプラント30に対して固定の位置でプローブ50および第1のセンサ32を厳密かつ機械的に捕獲するために、プローブ50、より具体的にはテープ本体51を受け取るように溝60の長さに沿って不連続な位置に形成される1つまたは複数の部分62を含むことができる。たとえば、図3および図5に示すように、部分62は、2つの側壁62aと、2つの側壁62aに交差する床面62bとを含む。壁62aは、床面62bとともに鋭角θを形成し、したがって部分62の断面は、溝60の端部から見ると蟻継ぎを形成する(図3)。これらの蟻継ぎ形状の側壁62aおよび床面62bは、プローブ50のうち部分62内に受け取られる区間を床面62bに押し付けることによって、プローブ50と溝60との間の締まり、プレス、摩擦、またはスナップ嵌めを提供する。
【0036】
インプラント30に対してある位置および向きでプローブ50を捕獲する力、ならびに、たとえば標識点31のターゲティングの完了時にプローブ50を溝60から除去するのに必要な力は、複数の要因に依存する。これらの要因は、各蟻継ぎ部分62の長さ(l)、各蟻継ぎ側壁部分62の開口幅(t)、高さ(h)、および床面幅(b)(図5)、ならびに溝60の長さに沿った蟻継ぎ部分62の位置および数を含む。一例として、各蟻継ぎ部分62の長さ(l)の最適化により、それぞれの部分62内へプローブ50を嵌めたり押し込んだりするのに必要な力と、ターゲティング後にプローブ50を除去する力との間の均衡を提供する。例示的な実装形態では、長さ(l)は約0.025インチ(0.0635センチメートル)〜約0.5インチ(1.27センチメートル)、または別法として約0.075インチ(0.1905センチメートル)〜約0.15インチ(0.381センチメートル)であり、各部分62の高さ(h)は約0.055インチ(0.1397センチメートル)であり、開口幅(t)は約0.078インチ(0.19812センチメートル)であり、床面幅(b)は約0.083インチ(0.21082センチメートル)である。いくつかの実装形態では、高さ(h)、開口幅(t)、および床面幅(b)と、たとえばプローブ50の直径との比は、それぞれ約65%〜約73%、約92%〜約96%、および少なくとも100%の範囲内である。
【0037】
溝60は、その長さに沿って最大5〜6個の蟻継ぎ部分62を有することができ、いくつかの実装形態では、部分62は、プローブ50がインプラント30の遷移部分内で溝60内に確実に固定されたままになるように、プローブ軸に沿って径方向の角度が変化するプローブ50上の位置に対応するように位置決めされる。たとえば、図2に示すように、インプラント30は、インプラント30の駆動端部30aと非駆動端部30bとの間に角を形成する少なくとも1つの遷移区間30cを含む。少なくとも1つの蟻継ぎ部分62は、プローブ50が遷移区間30c内で確実に固定されるように、遷移区間30c内に位置決めされる。他の実装形態では、最小1〜2個の蟻継ぎ部分62で、プローブ50および第1のセンサ32をインプラント30に対して定位置に十分に固定することができる。1つの蟻継ぎ部分62だけが溝60内に設けられる実装形態では、この蟻継ぎ部分62は、プローブ50を溝60内に固定するために、インプラント30の駆動端部30a付近に位置決めすることができる。
【0038】
図2および図4を参照すると、1つまたは複数の蟻継ぎ部分62に加えて、溝60は、蟻継ぎ部分62に隣接して溝60の長さに沿って不連続な位置に形成される1つまたは複数の部分64を含むことができる。部分62と同様に、部分64は、2つの側壁64aと、2つの側壁64aに交差する床面64bとを含むことができる。側壁64aは、床面64bとともに直角を形成することができ、したがって部分62の断面は、溝60の端部から見ると実質上正方形または方形である(図4)。側壁が床面とともに90度より大きい角を形成する他の実装形態もまた、本発明の範囲内である。図4に示すように、部分62とは異なり、プローブ50は、部分64の側壁64aと相互作用しない。しかし、他の実装形態では、側壁64aおよび床面64bの寸法は、側壁64aおよび床面64bがプローブ50と相互作用して、たとえば側壁64aおよび/または床面64b間に追加の締まり嵌めを提供するように寸法設定こともできる。
【0039】
溝60、具体的には部分62の代替実装形態を、図3Aに示す。図3Aの実装形態では、プローブ50を受け取る実質上円形の断面形状(溝60の端部から見た場合)を有する部分162が形成される。部分162は、部分162の円形の断面領域内にプローブ50を受け取るように2つの壁163a、163b間に形成される開口163を含む。開口163の幅は、プローブ50の直径より小さい。壁163a、163bの端部部分は、部分162内で定位置にプローブ50を維持するために、またたとえば、たとえば骨の中のインプラント30の挿入中に組織がプローブを取り込んだり移動させたりすることによって生じるプローブ50の動きを制限するために、プローブ50と溝60との間に締まり、プレス、摩擦、またはスナップ嵌めを提供する。
【0040】
図3Aおよび図4Aを参照すると、1つまたは複数の円形部分162に加えて、溝60は、部分162に隣接して溝60の長さに沿って不連続な位置に形成される1つまたは複数の円形部分164を含むことができる。部分162と同様に、部分164は、プローブ50を受け取る実質上円形の断面形状(溝60の端部から見た場合)内に形成される。図4Aに示すように、部分162とは異なり、プローブ50は、部分164内を自由に動くことができる。しかし、他の実装形態では、円形部分164の寸法は、プローブ50が、インプラント30の端部部分164b、164cによって形成される開口164aの部分と相互作用して、たとえばプローブ50と部分164との間に追加の締まり嵌めを提供するように寸法設定することもできる。図3Aおよび図4Aに示すように、部分162、164内に受け取られると、プローブ50の外面は、インプラント30の本体の外面またはそれより下に位置決めされ、それによってたとえば骨の中のインプラント30の挿入中に組織がプローブ50を移動または平行移動もしくは回転させるのを防止または制限するのを助ける。しかし、特定の実装形態では、必要に応じて、プローブ50の外面をインプラント30の外面より上に位置決めすることもできる。
【0041】
使用の際には、第1のセンサ32を含むプローブ50は、長手方向溝60内に形成される1つまたは複数の蟻継ぎ部分62内へプローブ50を押し込んだり嵌めたりすることによって、インプラント30の溝60内に固定される。次いで、インプラント30を較正することができる。較正は、コンピュータ援用手術における位置合わせに類似している。較正は、異なる理由で必要とされることがある。たとえば、センサ較正は、製造公差を補正するために必要とされることがある。システムは、コンピュータ支援設計モデルに基づいて設計することができ、較正を使用して、センサを互いに対して、または1つもしくは複数の標識点31に対して、正確に配置する。たとえば、較正は、第1のセンサ32と標識点31の1つまたは複数との間の空間関係を判定するために必要になることがある。プロセッサまたは制御ユニットは、球形座標系内でセンサを配置し、または単に互いに対して配置するために、X、Y、Z、ピッチ、ヨー、およびロールのオフセット値を生成するソフトウェアを含むことができる。システムは、製造中に製造および較正することができ、またシリアルナンバー、カラーコード、バーコード、またはRFIDタグなどの固有の識別子を割り当てることができる。システムを再較正する必要がある場合、この固有の識別子を使用して、局所的に、またはネットワークを介して、オフセット値を検索することができる。さらに、固有の識別子を使用して、IMネイルの寸法またはIMネイルおよび/もしくはプローブの長さなどの他のデータを検索することもできる。
【0042】
較正後、インプラント30は、包装して医師などの末端使用者へ出荷することができ、次いで末端使用者は注入手順を実行する。インプラント30の出荷および注入中、プローブ50および第1のセンサ32は、上記のように、蟻継ぎ部分62とプローブ50との間の締まりまたはスナップ嵌めを介して溝60内に固定される。標識点31の1つまたは複数のターゲティングが完了した後、プローブ50および第1のセンサ32をインプラント30から除去し、別のインプラント30で再利用するために殺菌することができる。
【0043】
図6は、整形外科用インプラント30を含む整形外科用インプラントアセンブリ28の代替実装形態を示す。図6に示すように、プローブ50およびセンサ32などの関連するセンサは、インプラント30内に形成された長手方向溝60内に受け取られる。上記で論じた他の実装形態と同様に、溝60は、インプラント30の駆動端部30aからインプラントの非駆動端部30bまで延びることができる。溝60は、図6に示すように、インプラント30の外側部分付近に位置する追加の切欠部分60aを含むことができる。溝60内、具体的には溝60の切欠部分60a内で、インプラント30に蓋またはカバー100を取り付けることができる。蓋またはカバー100は、レーザ溶接、接着、または他の許容できる取付け手段によって、溝60の切欠部分60a内に取り付けることができる。別の実装形態では、蓋またはカバー100は、インプラント30に、たとえばインプラント30の外面に取り付けることができる。蓋またはカバー100は、溝60内での骨の内方成長を防止し、こうしてたとえば修正手術中、または新しいインプラントが必要とされるとき、インプラントを後に容易に除去することができる。蓋またはカバー100はまた、体内へのインプラント30の設置中に組織がプローブ50に接触するのを防止し、したがって、プローブ50の回転または平行移動を防止するのを助けることもできる。
【0044】
図7は、溝の中で骨の内方成長を防止する図6のカバーまたは蓋100に対する代替形態を示す。図7に示すように、整形外科用インプラント30の周辺部または周辺部の一部分の周りに外側スリーブ150を配置することができる。外側スリーブ150は、プレス嵌めまたは当業者には周知の他の手段を介してインプラント30に結合することができる。外側スリーブ150は溝60を覆い、たとえば骨組織内へのインプラント30の注入後に溝60からプローブ50を除去した後、溝60内で骨の内方成長を防止するように、図6の蓋100として働く。外側スリーブ150は、インプラント30をつかんで溝60を覆うことができる限り、1つまたは複数の長手方向のスリットを含むことができる。インプラント30の周辺部を取り囲む外側スリーブ150を示すが、外側スリーブ150がインプラント30または溝60に付着して溝の開口を覆うことができる限り、外側スリーブ150はインプラント30の周辺部の一部分のみを取り囲むこともできる。別法として、外側スリーブ150の代わりに、類似のスリーブ155(図7A)を使用することもでき、プローブ50の周辺部または周辺部の一部分の周りに配置されるように適合することができる。スリーブ155は、1つまたは複数の長手方向のスリットを含むことができ、スリーブ155が溝の開口を覆うことができる限り、プローブ50の周辺部の一部分のみを覆うことができる。図7Aの実装形態では、プローブ50およびスリーブ155は、たとえば、溝60内にプレス嵌めされる。スリーブ155は、たとえば溝60からプローブ50を除去した後に溝60内の骨の内方成長を防止するように、図6の蓋100と同様に働く。
【0045】
図8は、インプラント30に対する溝60内でのプローブ50および関連するセンサ32の平行移動および回転を制限または防止するようにインプラント30にプローブ50を結合する結合機構を示す。図8に示すように、保持機構200は、図示の方形の断面などの回転防止断面を有する本体部分202と、本体部分202から延びる2つの脚部分204、206とを含む。一実装形態では、脚部分204、206は、溝60内に形成される嵌合部分(対応する溝、空隙、またはレセプタクル(図示せず)など)と嵌合するように構成および成形される概ねV字状の偏向可能な部分204a、206aを含む。図8に示すように、保持機構200は貫通孔210を画定し、貫通孔210にプローブおよび含まれるセンサを通し、接着、圧着、摩擦嵌め、または当業者には周知の任意の取り付け手段を介して保持することができる。
【0046】
使用の際には、保持機構200はたとえば、脚部分204、206を互いの方へ圧縮することによって、インプラント30の駆動端部30aで長手方向溝60内へ挿入することができる。保持機構200が長手方向溝60内へ挿入された後、溝60内に形成される対応する嵌合部分(図示せず)近傍にV字状部分204a、206aが位置決めされるまで、脚部分204、206は、長手方向溝60の内面に沿って進む。脚部分204、206が嵌合部分近傍に達した後、脚部分204、206は、圧縮されていない状態の方へ跳ね返り、保持機構200、ならびに取り付けられたプローブおよびセンサがインプラント30に対して平行移動または回転するのを防止または制限するように、それぞれの対応する嵌合部分と相互作用する。標識点31の1つまたは複数のターゲティングが完了した後、保持機構200、ならびに取り付けられたプローブ50およびセンサは、脚部分204、206を圧縮することによって、インプラント30から除去することができ、したがって溝60内に形成された対応する嵌合部分と相互作用しなくなり、保持機構200、プローブ50、およびセンサをインプラント30から除去し、別のインプラント30で再利用するために殺菌することができる。
【0047】
図9図12は、整形外科用インプラント30を含む整形外科用インプラントアセンブリ28の代替実装形態を示す。図11および図12に示すように、インプラント30は、貫通孔31の形態で少なくとも1つの標識点を含む。インプラント30は、インプラント30の一部分に形成される長手方向溝60を含む。溝60は、インプラント30の外面に沿って形成することができる。図9および図10は、生体適合性および生分解性のポリエチレンなどの生体適合性および/もしくは生分解性の材料または他の適した材料から作ることができるブッシング70の形態の要素を示す。ブッシング70は、溝60内に画定された対応する凹部66内にスナップ嵌めの構成で受け取られる、外側に延びる球形のニプル72を含む。
【0048】
アセンブリ28は、細長いポリマーテープまたはプリント回路基板52の形態のプローブ50と、テープまたはプリント回路基板52内またはその上に配置される第1のセンサ32とを含む。テープまたは基板52はまた、たとえば第1のセンサ32からプロセッサ12へ信号を伝送するように第1のセンサ32に結合されたワイア(図示せず)を含むことができる。テープまたは基板52は、接着剤80を介してブッシング70に結合および接触させる。接着剤80は、第1のセンサ32を含むテープまたは基板52をブッシング70に溶接し、接着し、または他の方法で結合および接触させることによって形成することができる。ブッシング70は、たとえば標識点31のターゲティング後にブッシング70からのテープまたは基板52および第1のセンサ32の分離を可能にする穿孔74をさらに含む。穿孔は、プローブ/テープより小さい破損力を必要とするように適合することができる。
【0049】
使用の際には、較正後、またインプラント30の出荷および注入中、テープまたは基板52および第1のセンサ32は、ブッシング70を介して溝60内に固定される。標識点31の1つまたは複数のターゲティングが完了した後、テープまたは基板52および第1のセンサ32は、穿孔74を介してブッシング70の一部分からテープまたは基板52を分離することによって、インプラント30から分離および除去することができる。テープまたは基板52および第1のセンサ32は次いで、別のインプラント30およびブッシング70で再利用するために殺菌することができ、または単に破棄することができる。
【0050】
図13は、整形外科用インプラント30を含む整形外科用インプラントアセンブリ28の別の実装形態を示す。インプラント30は、貫通孔31の形態で標識点を含む。インプラント30は、インプラント30の外面上に形成される長手方向溝60を含むが、長手方向溝は任意選択である。アセンブリ28はプローブ50を含み、プローブ50は、テープ本体51と、テープ本体51内またはその上に配置される第1のセンサ32とを含む。テープ本体51の一部分およびセンサ32は、溝60内に位置決めすることができる。溝60は、ターゲティングされる標識点31のいずれかに対して所望の近傍に第1のセンサ32を配置できるように、インプラント30の駆動端部30aからインプラント30の非駆動端部30bまで延びる。
【0051】
インプラントアセンブリ28は、生分解性および/または生体適合性の高分子膜90をさらに含む。膜90は、それだけに限定されるものではないがポリ乳酸(PLA)またはポリグリコリドすなわちポリグリコール酸(PGA)など、任意の適した生体適合性および/または生分解性の高分子材料から作ることができる。プローブ50(テープ本体51および第1のセンサ32)が、溝60内など、インプラント30の表面上に配置された後、インプラント30およびプローブ50は、インプラント30に対するプローブ50およびセンサ32の動きを制限および/または防止するように、膜90で収縮包装される。
【0052】
たとえば1つまたは複数の標識点31のターゲティング後に、インプラント30からプローブ50を除去するために、膜90は、収縮包装された膜90を通じてインプラント30からのプローブ50の分離を可能にするために、1方向の裂け目(図示せず)または1組の穿孔92を含むように製造することができる。別法として、プローブ50は、プローブ50をインプラント30から引っ張って分離するときに収縮包装された膜90を貫通および/または切断する鋭い縁部または突起など、外側に延びる形成物(図示せず)を備えることもできる。さらなる代替形態として、膜90は、膜の中の1つの方向または軸に沿って最小の引き裂き強度を有する分子配向高分子から作ることができる。そのような実装形態では、膜90は、膜がインプラント30の周りに巻かれたときに最小引き裂き軸がプローブ50の長手方向軸と一列または平行に並ぶように、インプラント30上で向きを定めることができ、したがってインプラント30からプローブ50を除去するとき、膜90はプローブ50の長手方向軸に沿って裂け、インプラント30から容易に除去することができる。
【0053】
特定の実装形態のみについて述べたが、代替形態および修正形態は、上記の説明から当業者には明らかであろう。たとえば、蟻継ぎ状の断面形状を有する溝60の部分62について記載したが、他の形状も本開示の範囲内である。たとえば、代替の断面形状には、多角形、楕円形、鍵穴、または円形が含まれる。さらに、部分62の断面形状は、部分64の断面形状に類似しているが、プローブ50が締まり嵌めで部分62内に受け取られるようにさらに小さい寸法のものとすることができる。さらに、部分62は、溝60に追加された突起、または溝60の一体部分として形成された突起を含むことができ、この突起は、プローブ50を厳密かつ機械的に捕獲する力と、使用の完了時にプローブ50の解放を可能にする力との間の均衡を提供する。上記その他の代替形態は、均等物と見なすことができ、本開示および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内である。
【符号の説明】
【0054】
10 システム
12 プロセッサ
14 モニタ
16 磁界発生器
18 標識点識別器
20 第2のセンサ
22 のこぎり状の先端部
24 管
26 ハンドル
28 整形外科用インプラントアセンブリ
30 整形外科用インプラント
30a 駆動端部
30b 非駆動端部
30c 遷移区間
31 貫通孔、固定穴、標識点
32 第1のセンサ
33 カニューレ挿入、中心カニューレ
40 挿入ハンドル
50 プローブ
51 テープ本体
52 ポリマーテープまたはプリント回路基板
60 溝
60a 切欠部分
62 部分、蟻継ぎ部分
62a 側壁
62b 床面
64 部分
64a 側壁
64b 床面
66 凹部
70 ブッシング
72 ニプル
74 穿孔
80 接着剤
90 高分子膜
92 穿孔
100 カバー、蓋
150 外側スリーブ
155 スリーブ
162 部分、円形部分
163 開口
163a 壁
163b 壁
164 部分、円形部分
164a 開口
164b 端部部分
164c 端部部分
200 保持機構
202 本体部分
204 脚部分
204a V字状の偏向可能な部分
206 脚部分
206a V字状の偏向可能な部分
210 貫通孔
2016 標識点識別器
2018 筐体
2018a 第1のカバリング
2018b 第2のカバリング
2018c 結合部材
2022 ドリルスリーブ
2024 のこぎり状の先端部
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5
図6
図7
図7A
図8
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図12
図13