【文献】
RN 352548−08−4,DATABASE REGISTRY [online] Retrieved from STN,2001年 8月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
PS(polymer stabilised:ポリマー安定化)またはPSA(polymer sustained alignment:ポリマー維持配向)型のLC(liquid−crystal:液晶)ディスプレイにおけるLC媒体に添加するための請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
よって、本発明は、液晶(LC:liquid−crystal)媒体およびLCディスプレイにおける、特に、PS(polymer stabilised:ポリマー安定化)またはPSA(polymer sustained alignment:ポリマー維持配向)型のLCディスプレイにおける式Iの化合物の使用に関する。
【0020】
【化1】
式中、個々の基は以下の意味を有する:
Gは、−CM=CR
c−CO−または−CO−CM=CR
c−を表し、
Mは、−(Z
2−A
2)
n2−R
bを表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立に、好ましくは、4〜25個のC原子を有する芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはヘテロ環式基を表し、また、該基は縮合環を含有していてもよく、該基はLにより一置換または多置換されていてもよく、
Z
1は、それぞれ同一または異なって、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−(CH
2)
n3−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−(CF
2)
n3−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH
2−CH
2−COO−、−OCO−CH
2−CH
2−、−CR
0R
00−または単結合を表し、
R
a〜cは、P、P−Sp−、H、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、SF
5または直鎖状または分岐状で1〜25個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R
00)=C(R
000)−、−C≡C−、−N(R
00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、ただし、基R
aおよびR
bの少なくとも一方は、基PまたはP−Sp−を表すか含有しており、
Pは、それぞれ同一または異なって、重合性基を表し、
Spは、それぞれ同一または異なって、スペーサー基または単結合を表し、
R
00およびR
000は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
Lは、それぞれ同一または異なって、P−Sp−、H、OH、CH
2OH、ハロゲン、SF
5、NO
2、炭素基または炭化水素基を表し、
n1およびn2は、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3を表し、
n3は、1、2、3または4を表す。
【0021】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の重合性化合物と、1種類以上の追加の化合物(また、該化合物は、メソゲン、液晶および/または重合性でも構わない)とを含むLC媒体に関する。
【0022】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物を重合して得ることができるポリマーと、1種類以上の追加の化合物(また、該化合物は、メソゲン、液晶および/または重合性でも構わない)と含むLC媒体に関する。
【0023】
本発明は、更に、
−式Iの1種類以上の重合性化合物を含む重合性成分A)と、
−上および下に記載される通りで、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(モノマーおよび非重合性)化合物を含み、以下では「LCホスト混合物」とも呼ばれる液晶成分B)と
を含むLC媒体に関する。
【0024】
本発明は、更に、好ましくは、電界または磁界を印加して、PSAディスプレイにおいて式Iの化合物(1種類または多種類)をその場で重合することによりLC媒体内にチルト角を生成するために、PSおよびPSAディスプレイにおいて本発明による式Iの化合物およびLC媒体を使用すること、特に、LC媒体を含有するPSおよびPSAディスプレイにおいて使用することに関する。
【0025】
本発明は、更に、本発明による式Iの1種類以上の化合物またはLC媒体を含有するLCディスプレイ、特には、PSまたはPSAディスプレイ、特に好ましくは、PSA−VA、PSA−OCB、PS−IPS、PS−FFSまたはPS−TNディスプレイに関する。
【0026】
本発明は、更に、2枚の基板および2個の電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は1個または2個の電極を有する。)と、基板間に配置され、重合された成分および低分子量成分を含むLC媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間においてLC媒体中で、好ましくは、電極に電圧を印加して重合することで得ることができ、ただし、少なくとも1種類の重合性化合物は式Iより選択される。)とを有するLCセルを含むPSまたはPSA型のLCディスプレイに関する。
【0027】
本発明は、更に、上および下に記載される通りの1種類以上の低分子量液晶化合物またはLCホスト混合物を、1種類以上の式Iまたはそのサブ式の重合性化合物と、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合して、上および下に記載される通りのLC媒体を調製する方法に関する。
【0028】
本発明は、更に、上および下に記載される通りの1種類以上の低分子量液晶化合物またはLCホスト混合物を、1種類以上の式Iまたはそのサブ式の重合性化合物と、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合し、上および下に記載される通りの2枚の基板および2個の電極を有するLCセル中に該混合物を導入し、好ましくは電極に電圧を印加して、重合性化合物を重合することで、上および下に記載される通りのLCディスプレイを製造する方法に関する。
【0029】
本発明によるPSおよびPSAディスプレイは、LCセルを形成する一方または両方の基板上に適用されており、好ましくは、透明層の形態の2個の電極を有する。例えば、本発明によるPSA−VA、PSA−OCBまたはPSA−TNディスプレイにおける通り、1つの電極が2枚の基板のそれぞれに設けられているか、または、例えば、本発明によるPSA−IPSまたはPSA−FFSディスプレイにおける通り、2個の電極が2枚の基板の一方のみに設けられている一方で、他方の基板は電極を有していないかのいずれかである。
【0030】
本発明は、更に、式Iの化合物を調製する新規な方法と、これらの方法において使用されるかそれらより得られる新規な中間体とに関する。
【0031】
本発明は、更に、式Iの新規な化合物に関する。
【0032】
上および下において、以下の意味を適用する。
【0033】
用語「PSA」は、他に示さない限り、PSディスプレイおよびPSAディスプレイを表すために使用される。
【0034】
用語「チルト」および「チルト角」は、LCディスプレイ(本明細書において、好ましくは、PSまたはPSAディスプレイ)においてLC媒体のLC分子のセル表面に対するチルトした配向に関する。本明細書において、チルト角は、LC分子の分子長軸(LCダイレクタ)と、LCセルを形成する平坦で平行な外板の表面との間の平均角(90°未満)を表す。低い値のチルト角(即ち、角度90°から大きく外れている)は、大きいチルトに対応する。チルト角を測定する適切な方法は、例に与えられている。他に示さない限り、上および下で開示される角度の値は、この測定方法に関するものである。
【0035】
用語「メソゲン基」は当業者には既知であり文献に記載されており、それの引力および斥力的相互作用の異方性により、低分子量またはポリマー物質中で液晶(LC;liquid−crystal)相の発生に本質的に寄与する基を表す。メソゲン基を含有する化合物(メソゲン化合物)は、それ自身では必ずしもLC相を有する必要はない。また、他の化合物と混合後および/または重合後のみに、メソゲン化合物がLC相挙動を示すことも可能である。典型的なメソゲン基は、例えば、剛直な棒状または円盤状の形状の単位である。メソゲンまたはLC化合物に関して使用される用語および定義の概説が、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁において与えられている。
【0036】
用語「スペーサー基」は、上および下で「Sp」とも呼ばれ、当業者には既知であり文献に記載されており、例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に示さない限り、用語「スペーサー基」または「スペーサー」は、上および下において、重合性メソゲン化合物中でメソゲン基および重合性基(1個または複数)を互いに連結している柔軟な基を表す。
【0037】
用語「反応性メソゲン」または「RM(reactive mesogen)」は、メソゲン基および重合に適切な1個以上の官能基(重合性基または基Pとしても既知である)を含有する化合物を表す。
【0038】
用語「低分子量化合物」および「非重合性化合物」は、通常、モノマー性で、当業者に既知の通常の条件下、特にRMの重合のために使用される条件下において重合に適切な官能基を含有しない化合物を表す。
【0039】
用語「有機基」は、炭素または炭化水素基を表す。
【0040】
用語「炭素基」は、更なる種類の原子を含有しない(例えば、−C≡C−など)か、または、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの1種類以上の更なる原子を含有していてもよい(例えば、カルボニルなど)かのいずれかで、少なくとも1個の炭素原子を含有する一価または多価の有機基を表す。用語「炭化水素基」は、1個以上のH原子を追加的に含有しており、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの1種類以上のヘテロ原子を含有していてもよい炭素基を表す。
【0041】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを表す。
【0042】
炭素または炭化水素基は、飽和または不飽和基のいずれかであってよい。不飽和基は、例えば、アリール、アルケニルまたはアルキニル基である。3個より多いC原子を有する炭素または炭化水素基は、直鎖状、分岐状および/または環状のいずれでもよく、また、スピロ結合または縮合環を有していても構わない。
【0043】
また、用語「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは、多価の基、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンなども包含する。
【0044】
用語「アリール」は、芳香族炭素基またはそれらより誘導される基を表す。用語「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子を含有する上の定義される通りの「アリール」を表す。
【0045】
好ましい炭素および炭化水素基は、置換されていてもよく、1〜40個、好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜18個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアリールまたはアリールオキシ、または、置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。
【0046】
更に好ましい炭素および炭化水素基は、C
1〜C
40アルキル、C
2〜C
40アルケニル、C
2〜C
40アルキニル、C
3〜C
40アリル、C
4〜C
40アルキルジエニル、C
4〜C
40ポリエニル、C
6〜C
40アリール、C
6〜C
40アルキルアリール、C
6〜C
40アリールアルキル、C
6〜C
40アルキルアリールオキシ、C
6〜C
40アリールアルキルオキシ、C
2〜C
40ヘテロアリール、C
4〜C
40シクロアルキル、C
4〜C
40シクロアルケニルなどである。C
1〜C
22アルキル、C
2〜C
22アルケニル、C
2〜C
22アルキニル、C
3〜C
22アリル、C
4〜C
22アルキルジエニル、C
6〜C
12アリール、C
6〜C
20アリールアルキルおよびC
2〜C
20ヘテロアリールが特に好ましい。
【0047】
更に好ましい炭素および炭化水素基は、1〜40個、好ましくは1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状アルキル基であり、該基は無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−C(R
x)=C(R
x)−、−C≡C−、−N(R
x)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。
【0048】
R
xは、好ましくは、H、ハロゲン、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖(ただし加えて、1個以上の隣接していないC原子は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−によって置き換えられていてもよく、ただし、1個以上のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい。)、6〜40個のC原子を有する置換されていてもよいアリールまたはアリールオキシ基、または2〜40個のC原子を有する置換されていてもよいヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基を表す。
【0049】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシ、n−ウンデコキシ、n−ドデコキシなどである。
【0050】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘキシルなどである。
【0051】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどである。
【0052】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどである。
【0053】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、n−ウンデシルオキシ、n−ドデシルオキシなどである。
【0054】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどである。
【0055】
アリールおよびヘテロアリール基は単環であってもまたは多環であってよく、即ち、それらは1個の環(例えば、フェニルなど)または2個以上の環を含有してもよく、また、該基は縮合されていてもよく(例えば、ナフチルなど)または共有結合によって連結されていてもよく(例えば、ビフェニルなど)、または縮合および連結された環の組み合わせを含有していてもよい。ヘテロアリール基は、好ましくは、O、N、SおよびSeより選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。
【0056】
6〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリール基および2〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリール基が特に好ましく、該基は縮合された環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員または7員のアリールおよびヘテロアリール基が好ましく、ただし加えて、1個以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接連結されないようにして、N、SまたはOで置き換えられていてもよい。
【0057】
好ましいアリール基は、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどである。
【0058】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環;またはインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントライミダゾール、ピリダイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合基;またはこれらの基の組み合わせである。また、ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フルオリン、フルオロアルキルまたは更なるアリールまたはヘテロアリール基で置換されてよい。
【0059】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、飽和環、即ち、排他的に単結合を含有するものと、また、部分的に不飽和な環、即ち、多重結合も含有してよいものとの両者を包含する。ヘテロ環式環は、好ましくは、Si、O、N、SおよびSeより選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。
【0060】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、単環式、即ち、1個のみの環を含有(例えば、シクロヘキサンなど)してもよく、または、多環式、即ち、複数の環を含有(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)していてもよい。飽和基が、特に好ましい。更に、3〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式基が好ましく、該基は縮合環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員、7員または8員の炭素環式基が好ましく、ただし加えて、1個以上のC原子はSiで置き換えられていてもよく、および/または1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1個以上の隣接していないCH
2基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよい。
【0061】
好ましい脂環式およびヘテロ環式基は、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジンなどの5員基、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジンなどの6員基、シクロヘプタンなどの7員基、および、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルなどの縮合基である。
【0062】
好ましい置換基は、例えば、アルキルまたはアルコキシなどの溶解促進基、フッ素、ニトロまたはニトリルなどの電子吸引基、または、ポリマーにおいてガラス転移温度(Tg)を上昇させるための置換基、特に、例えば、t−ブチルまたは置換されていてもよいアリール基などの嵩高い基である。
【0063】
上および下で「L」とも言われる好ましい置換基は、例えば、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R
x)
2、−C(=O)Y
1、−C(=O)R
x、−N(R
x)
2(ただし、R
xは上で示される意味を有し、Y
1はハロゲンを表す。)、6〜40個、好ましくは6〜20個のC原子を有する置換されていてもよいシリルまたはアリール、および、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ(ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよい。)である。
【0064】
「置換されたシリルまたはアリール」は、好ましくは、ハロゲン、−CN、R
0、−OR
0、−CO−R
0、−CO−O−R
0、−O−CO−R
0または−O−CO−O−R
0による置換を意味し、ただし、R
0は上で示される意味を有する。
【0065】
特に好ましい置換基Lは、例えば、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、更に、フェニルである。
【0066】
【化2】
式中、Lは上で示される意味の1つを有する。
【0067】
重合性基Pは、例えば、フリーラジカルまたはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に適するか、または、例えば、ポリマー主鎖上への付加または縮合といったポリマー類似反応に適する基である。連鎖重合のための基、特に、C=C二重結合またはC≡C三重結合を含有するもの、および、例えば、オキセタンまたはエポキシド基などの開環重合に適する基が特に好ましい。
【0068】
好ましい基Pは、CH
2=CW
1−COO−、CH
2=CW
1−CO−、
【0069】
【化3】
CH
2=CW
2−(O)
k3−、CW
1=CH−CO−(O)
k3−、CW
1=CH−CO−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
3−CH=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH−CH
2)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−CO−、HO−CW
2W
3−、HS−CW
2W
3−、HW
2N−、HO−CW
2W
3−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
2=CH−(COO)
k1−Phe−(O)
k2−、CH
2=CH−(CO)
k1−Phe−(O)
k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW
4W
5W
6Si−より選択され、式中、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、F、ClまたはCH
3を表し、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルを表し、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、W
7およびW
8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは、上で定義される通りでP−Spとは異なる1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンを表し、k
1、k
2およびk
3は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、k
3は、好ましくは、1を表す。
【0070】
特に好ましい基Pは、CH
2=CW
1−COO−、特には、CH
2=CH−COO−、CH
2=C(CH
3)−COO−およびCH
2=CF−COO−、更には、CH
2=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、
【0072】
非常に特に好ましい基Pは、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシド、特には、アクリレートおよびメタクリレートである。
【0073】
好ましいスペーサー基Spは、基P−Sp−が式P−Sp’−X’−に一致するように式Sp’−X’より選択され、ただし、
Sp’は、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキレンを表し、該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
0−、−SiR
00R
000−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR
00−CO−O−、−O−CO−NR
00−、−NR
00−CO−NR
00−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
00−、−NR
00−CO−、−NR
00−CO−NR
00−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
2=CY
3−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
R
00およびR
000は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、および
Y
2およびY
3は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表す。
【0074】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
0−または単結合である。
【0075】
典型的なスペーサー基Sp’は、例えば、−(CH
2)
p1−、−(CH
2CH
2O)
q1−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−または−(SiR
00R
000−O)
p1−であり、式中、p1は1〜12の整数であり、q1は1〜3の整数であり、およびR
00およびR
000は上で示される意味を有する。
【0076】
特に好ましい基−Sp’−X’−は、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−OCO−、−(CH
2)
p1−OCOO−であり、式中、p1およびq1は上で示される意味を有する。
【0077】
特に好ましい基Sp’は、例えば、それぞれの場合で直鎖状のエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0078】
本発明の更に好ましい実施形態において、式IにおけるP
aおよび/またはP
bは、2個以上の重合性基を含有する基(多官能重合性基)を表す。このタイプの適切な基、それらを含有する重合性化合物およびそれらの調製は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号公報に記載されている。以下の式より選択される多官能重合性基が特に好ましい。
【0079】
【化5】
式中、
alkylは、単結合または1〜12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンを表し、ただし、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R
00)=C(R
000)−、−C≡C−、−N(R
00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、ClまたはCNで置き換えられていてもよく、ただし、R
00およびR
000は上で示される意味を有し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6を表し、
Xは、X’に示される意味の1つを有し、および
P
1〜5は、それぞれ互いに独立に、Pに示される意味の1つを有する。
【0080】
上および下で示される式Iおよびそのサブ式の特に好ましい化合物は、
A
1およびA
2は、それぞれ互いに独立に、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイル(ただし、また、これらの基における1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい。)、シクロヘキサン−1,4−ジイル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基はOおよび/またはSで置き換えられていてもよい。)、1,4−シクロヘキセニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイルまたはオクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルを表し、ただし、これらの全ての基は無置換でもLで一置換または多置換されていてもよく、
Lは、P、P−Sp−、OH、CH
2OH、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R
x)
2、−C(=O)Y
1、−C(=O)R
x、−N(R
x)
2、置換されていてもよいシリル、6〜20個のC原子を有し置換されていてもよいアリール、1〜25個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキルまたはアルコキシ、または、2〜25個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし加えて、これらの全ての基における1個以上のH原子は、F、Cl、PまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、
Y
1はハロゲンを表し、および
R
xは、P、P−Sp−、H、ハロゲン、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状のアルキルを表し、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、ClまたはP−Sp−で置き換えられていてもよいものである。
【0081】
上および下で示される式Iおよびそのサブ式の更に好ましい化合物は、
− R
aおよびR
bは、同一または異なって、基P−Sp−を表し、
− R
aおよびR
bは、同一または異なって、基P−Sp−を表し、ただし、一方または両方の基Spが単結合を表し、
− 基R
aおよびR
bの一方は基P−Sp−を表すか含有し、他方は、好ましくは、1〜25個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキルより選択される非重合性基を表し、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R
00)=C(R
000)−、−C≡C−、−N(R
00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、IまたはCNで置き換えられていてもよく、
− R
aはP−Sp−を表し、
− R
bはP−Sp−を表し、
− R
cは、H、C
1〜8−アルキルまたはC
1〜8−アルコキシを表し、
− Spは単結合を表し、
− Spは、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−OCO−または−(CH
2)
p1−OCOO−を表し、ただし、p1は1〜12の整数を表し、r1は1〜8の整数を表し、
− Lは、重合性基を表さないか含有せず、
− A
1およびA
2は、1,4−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルから成る群より選択され、ただし加えて、これらの環における1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし、これらの環は、上および下で記載される通りのLによって一置換または多置換されていてもよく、
− Z
1およびZ
2は、−O−、−CO−O−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−C≡C−、単結合から成る群より選択され、
− n1は、0または1、好ましくは、0を表し、
− n2は、0を表し、
− n2は0以外、好ましくは、1または2、特に好ましくは、1を表し、
− −(Z
2−A
2)
n2−は−CO−C
6H
4−(ただし、C
6H
4は1,4−フェニレンを表す。)を表さず、
− −(Z
2−A
2)
n2−R
bは−CO−C
6H
5を表さず、
− Lは非重合性基であり、好ましくは、F、Cl、−CN、および、1〜25個、特に好ましくは、1〜10個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキルより選択され、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R
00)=C(R
000)−、−C≡C−、−N(R
00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、IまたはCNで置き換えられていてもよい。
【0082】
式Iの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0083】
【化6】
式中、R
a,b、A
1,2、Z
1,2、n1およびn2は、それぞれ互いに独立に、式Iまたは上および下で示される意味の1つを有する。
【0084】
式I、I1、I2、I3およびI4の化合物における基−(A
1−Z
1)
n1−および−(Z
2−A
2)
n2−は、好ましくは、1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルを表し、ただし加えて、これらの環における1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし、これらの環は、上および下で記載される通りのLによって一置換または多置換されていてもよい。
【0085】
n1およびn2は0を表す式I1〜I4の化合物、および、添え字n1およびn2の一方、好ましくは、n1は0を表し、他方は1を表すものが特に好ましい。
【0086】
更に、基R
aおよびR
bがP−Sp−を表す式I1〜I4の化合物、および、基R
aおよびR
bの一方、好ましくは、R
aがP−Sp−を表し、他方は非重合性基を表し、非重合性基は、好ましくは、1〜25個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキルより選択され、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R
00)=C(R
000)−、−C≡C−、−N(R
00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、IまたはCNで置き換えられていてもよいものが特に好ましい。
【0087】
更に、基R
aおよびR
bの両方がP−Sp−を表し、ただし、基Spの一方は単結合を表し、基Spの他方は単結合を表さない式I1〜I4の化合物が特に好ましい。
【0088】
式I1〜I4の非常に特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0090】
【化8】
式中、PおよびSpは式Iまたは上および下で示される意味の1つを有し、P”は式Iまたは上および下でPに示される意味の1つを有し、Sp”は式Iまたは上および下でSpに示される意味の1つを有し、Rは式Iまたは上および下でR
aに示される意味の1つを有し、ただし、R’はH以外であり、基P−Sp−を表さないか含有しない。
【0091】
式I、I1〜I4およびそれらのサブ式の化合物におけるPおよびP”は、好ましくは、アクリレート、フルオロアクリレートまたはメタクリレート基を表す。
【0092】
式I、I1〜I4およびそれらのサブ式の化合物におけるSpおよびSp”は、好ましくは、−(CH
2)
p1−、−O−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−OCO−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−OCO−、−OCOO−(CH
2)
p1−または−(CH
2)
p1−OCOO−を表し、式中、p1は1〜12、好ましくは1〜6の整数を表し、r1は1〜8の整数、好ましくは1、2または3を表し、ただし、これらの基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、PまたはP”に連結されている。
【0093】
更に、基SpおよびSp”の一方が単結合を表し、他方が単結合でないサブ式I1a〜I4cの化合物が好ましい。
【0094】
本発明は、更に、式Iおよびそれのサブ式I1〜I4の新規な化合物に関し、ただし、個々の基は、式Iまたは上および下で示される意味を有し、ただし、
a)2個の基R
aおよびR
bは、それぞれ互いに独立に、P−Sp−を表すか、
および/または
b)n1およびn2は0以外であるか、
および/または
c)n2は0以外であることを条件とする。
【0095】
式Iおよびそれのサブ式I1〜I4の新規な化合物が特に好ましく、ただし、n2は0以外で、好ましくは、1または2を表す。−(Z
2−A
2)
n2−は、好ましくは、−CO−C
6H
4−(ただし、C
6H
4は1,4−フェニレンを表す。)を表さず、−(Z
2−A
2)
n2−R
bは、好ましくは、−CO−C
6H
5を表さない。
【0096】
更に、上で定義される通りのサブ式I1a〜I4cより選択され、前提条件a)〜d)の1つ以上を有する化合物が特に好ましい。
【0097】
本発明は、更に、式Iの化合物を調製するためで、以下の式より選択される新規な中間体に関する。
【0098】
【化9】
式中、G、A
1、Z
1およびn1は、式Iまたは上および下で示される意味を有し、基R
aおよびR
bは、それぞれ互いに独立に、−Sp−O−Sgを表し、ただし、Spは式Iまたは上および下で示される意味を有し、SgはH原子または保護基を表す。
【0099】
式I
*の化合物に関しては、好ましくは、上で示される通りの前提条件a)および/またはb)および/またはc)および/またはd)が適用され、ただし、n2が0以外の場合、−(Z
2−A
2)
n2−は、好ましくは、−CO−C
6H
4−(ただし、C
6H
4は1,4−フェニレンを表す。)を表さず、−(Z
2−A
2)
n2−R
bは、好ましくは、−CO−C
6H
5を表さない。
【0100】
適切な保護基Sgは、当業者に既知である。好ましい保護基は、アルキル、アシル、および、アルキル−またはアリールシリル基、2−テトラヒドロピラニルまたはメトキシメチルである。
【0101】
特に好ましい中間体は、上で示される通りのサブ式I1〜I4より選択され、ただし、R
aおよびR
bは、式I
*において定義される通りである。
【0102】
非常に特に好ましい中間体は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0103】
【化10】
式中、Sp、Sp”およびSgは上で示される意味を有し、Sgは、特に好ましくは、Hを表す。SpおよびSp”の一方が−(CH
2)
p1−(ただし、p1は上で定義される通りである。)または単結合を表し、他方は単結合を表す上に示される式の化合物が特に好ましい。
【0104】
式IおよびI
*およびそれらのサブ式の化合物および中間体は、当業者に既知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されている方法に類似して調製できる。例えば、式Iの化合物は、塩基の存在下において、例えば、塩化(メタ)アクリロイルまたはメタクリル酸無水物などの基Pを含有する対応する酸、酸誘導体またはハロゲン化化合物を使用するか、または、例えば、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの脱水剤存在下において、(メタ)アクリル酸を使用して、式Iの中間体をエステル化またはエーテル化することで合成する。
【0105】
式IおよびI
*の化合物および中間体を調製するための特に適切で好ましい方法を、以下のスキームにおいて例示的に示し、該方法は、好ましくは、下記のステップの1つ以上を含む。
【0106】
例えば、ヒドロキシフェニルクマリン類につて、S.Kirkiacharianら、Annales Pharmaceutiques Francaises(2003年)、61巻(1号)、51〜56頁において記載される通り、スキーム1に従いパーキン反応の考え方により、例えば、サリチルアルデヒド類をフェニル酢酸誘導体と縮合することにより、一般的にクマリン類を入手する。
【0107】
【化11】
R.J.Bass、Chem.Comm.1976年、78頁の方法により、ジメチルホルムアミド中で塩化メシルの存在下において、ベンジルアリールケトン類をボロントリフルオリドエーテル錯体で処理することにより、イソフラボン類を入手できる。ケトン類自体は、スキーム2に例示的に示す通り、A.Suzukiら、J.Org.Chem.1998年、63巻、4762頁の方法によって、カルボニル化鈴木反応により、簡便な方法で調製できる。
【0108】
【化12】
あるいは、また、スキーム3に例示的に示す通り、K.M.Dawood、Tetrahedron 2007年、63巻、9642頁の方法によって、鈴木反応により、対応するブロモイソフラボン類を経由し、クロマノン類よりイソフラボン類を得ることもできる。
【0109】
【化13】
本発明によるフラボン類は、例えば、ベーカー−ベンカタラマン転位(W.Baker、Nature 1952年、169巻、706頁)によって調製するか、または、それらは、スキーム4に例示的に示す通り、E.U.Mughalら、Bioorg.Med.Chem.2006年、14巻、4704頁の方法によって、o−アシルフェノール類より、芳香族アルデヒドでのアルドール縮合および引き続く酸化的環化で調製できる。
【0110】
【化14】
PSAディスプレイを製造するために、電圧を印加してLCディスプレイの基板間のLC媒体中において、その場での重合により、重合性化合物を重合または架橋(1つの化合物が2個以上の重合性基を含有する場合)する。重合は1つの工程で行うことができる。また、最初に、プレチルト角を生成するために、第1工程において電圧を印加して重合を行い、続いて、第2の重合工程において電圧を印加せずに、第1工程において反応しなかった化合物を重合または架橋する(「最終硬化」)ことも可能である。
【0111】
適切で好ましい重合方法は、例えば、熱または光重合で、好ましくは光重合であり、特にはUV光重合である。また、必要ならば、1種類以上の開始剤を加えることもできる。重合の適切な条件および開始剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、商業的に入手可能な光重合開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、Irgacure907(登録商標)、Irgacure369(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba社)がフリーラジカル重合に適する。開始剤を用いる場合、開始剤の比率は、好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.001〜1重量%である。しかしながら、また、開始剤を添加することなく重合を行うこともできる。更に好ましい実施形態において、LC媒体は重合開始剤を含まない。
【0112】
また、例えば、保存または輸送中におけるRMの好ましくない自発的な重合を防止するために、重合性成分A)またはLC媒体は1種類以上の安定剤を含んでもよい。安定剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Irganox(登録商標)シリーズ(Ciba社)より商業的に入手可能な安定剤、例えば、Irganox(登録商標)1076などが特に適切である。安定剤を用いる場合、RMまたは重合性成分A)の総量を基礎とする安定剤の割合は、好ましくは10〜10,000ppm、非常に好ましくは50〜500ppmである。
【0113】
また、本発明による重合性化合物は開始剤を使用しない重合にも適し、このことは、例えば、材料費がより低く、特に、開始剤またはそれの分解生成物の残存し得る量によるLC媒体の不純物が少ないなどの特筆すべき利点を伴う。
【0114】
PSAディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、好ましくは5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満、非常に特に好ましくは0.5重量%未満の重合性化合物、特には、上で示される式の重合性化合物を含む。
【0115】
1種類、2種類または3種類の式Iの重合性化合物を含むLC媒体が特に好ましい。
【0116】
更に、重合性成分(成分A)は式Iの重合性化合物から排他的に成るLC媒体が好ましい。
【0117】
更に、成分B)はネマチック液晶相を有するLC化合物またはLC混合物であるLC媒体が好ましい。
【0118】
更に、式Iのアキラルな重合性化合物、および、成分A)および/またはB)の化合物はアキラルな化合物から成る群より排他的に選択されるLC媒体が好ましい。
【0119】
更に、重合性成分または成分A)が、1個の重合性基(一反応性)を含有する1種類以上の式Iの重合性化合物および2個以上、好ましくは2個の重合性基(二反応性または多反応性)を含有する1種類以上の式Iの重合性化合物を含むLC媒体が好ましい。
【0120】
更に、重合性成分または成分A)が、2個の重合性基(二反応性)を含有する式Iの重合性化合物から排他的に成るPSAディスプレイおよびLC媒体が好ましい。
【0121】
本発明によるLC媒体における重合性成分または成分A)の割合は、好ましくは5%未満、特に好ましくは1%未満、非常に特に好ましくは0.5%未満である。
【0122】
本発明によるLC媒体における液晶成分または成分B)の割合は、好ましくは95%より多く、特に好ましくは99%より多い。
【0123】
式Iの重合性化合物は個別に重合できるが、また、2種類以上の式Iの化合物を含む混合物、または、1種類以上の式Iの化合物と、1種類以上の更なる重合性化合物(コモノマー)とを含む混合物を重合することも可能であり、コモノマーは、好ましくは、重合されるべきメソゲンまたは液晶である。そのような混合物を重合すると、コポリマーが与えられる。本発明は、更に、上述および下述の重合性混合物に関する。重合性化合物およびコモノマーはメソゲンまたは非メソゲン、好ましくは、メソゲンまたは液晶である。
【0124】
特にPSAディスプレイにおける使用に適切で好ましいメソゲンコモノマーは、例えば、以下の式より選択される。
【0126】
【化16】
式中、
RはR
xに上で示される意味の1つを有し、好ましくは、P、P−Sp−、または、1〜12個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキルまたはアルコキシを表し、
Pは上で示される意味の1つを有し、好ましくは、アクリレートまたはメタクリレートを表し、
Spは上で示される意味の1つを有し、好ましくは、単結合を表し、
Z
2およびZ
3は、それぞれ互いに独立に、−COO−または−OCO−を表し、
Lは式Iにおいて上で示される意味を有し、
L’およびL”は、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClを表し、
rは、0、1、2、3または4を表し、
sは、0、1、2または3を表し、
tは、0、1または2を表し、
xは、0または1を表し、
R
yおよびR
zは、それぞれ互いに独立に、HまたはCH
3を表す。
【0127】
上記の重合性化合物に加え、本発明によるLCディスプレイにおいて使用するためのLC媒体は、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、モノマー性または未重合の)化合物を含むLC混合物(「ホスト混合物」)を含む。低分子量化合物は、重合性化合物の重合のために使用される条件下において重合反応に対して安定または非反応性である。原理的には、適切なホスト混合物は、従来のVAおよびOCBディスプレイにおける使用に適する任意のLC混合物である。適切なLC混合物は当業者に既知で文献に記載されており、例えば、欧州特許出願公開第1 378 557号公報におけるVAディスプレイにおける混合物、および、欧州特許出願公開第1 306 418号公報およびドイツ国特許出願公開第102 24 046号公報におけるOCBディスプレイ用の混合物である。
【0128】
特に好ましいLCディスプレイ、LCホスト混合物およびLC媒体を下に述べる。
【0129】
a)式CYおよび/またはPYの1種類以上の化合物を含むLC媒体。
【0130】
【化17】
式中、個々の基は以下の意味を有する:
aは、1または2を表し、
bは、0または1を表し、
【0131】
【化18】
R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
Z
xおよびZ
yは、それぞれ互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
L
1〜4は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2を表す。
【0132】
好ましくは、基L
1およびL
2の両方がFを表すか、または、基L
1およびL
2の一方がFを表し、他方がClを表すか、または、基L
3およびL
4の両方がFを表すか、または、基L
3およびL
4の一方がFを表し、他方がClを表す。
【0133】
式CYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0138】
【化23】
式中、aは1または2を表し、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0139】
式PYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0143】
【化27】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表す。Alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0144】
b)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0145】
【化28】
式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【0147】
【化30】
R
3およびR
4は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Z
yは、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合、好ましくは、単結合を表す。
【0148】
式ZKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0150】
【化32】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0151】
c)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0152】
【化33】
式中、個々の基は、それぞれ同一または異なって、以下の意味を有する:
R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立に、上でR
1に示される意味の1つを有し、
【0154】
【化35】
eは、1または2を表す。
【0155】
式DKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0156】
【化36】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0157】
d)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0158】
【化37】
式中、個々の基は以下の意味を有する:
【0159】
【化38】
fは、0または1を表し、
R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Z
xおよびZ
yは、それぞれ互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
L
1およびL
2は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2を表す。
【0160】
好ましくは、両方の基L
1およびL
2がFを表すか、基L
1およびL
2の一方がFを表し、他方がClを表す。
【0161】
式LYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0164】
【化41】
式中、R
1は上で示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、vは1〜6の整数を表す。R
1は、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル、または、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル、特に、CH
3、C
2H
5、n−C
3H
7、n−C
4H
9、n−C
5H
11、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0165】
e)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0166】
【化42】
式中、alkylはC
1〜6−アルキルを表し、L
xはHまたはFを表し、Xは、F、Cl、OCF
3、OCHF
2またはOCH=CF
2を表す。XがFを表す式G1の化合物が特に好ましい。
【0167】
f)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0169】
【化44】
式中、R
5は上でR
1に示される意味の1つを有し、alkylはC
1〜6−アルキルを表し、dは0または1を表し、zおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6の整数を表す。これらの化合物におけるR
5は、特に好ましくは、C
1〜6−アルキルまたは−アルコキシまたはC
2〜6−アルケニルであり、dは、好ましくは、1である。本発明によるLC媒体は、好ましくは、上述の式の1種類以上の化合物を5重量%以上の量で含む。
【0170】
g)以下の式から成る群より選択される1種類以上のビフェニル化合物を追加的に含むLC媒体。
【0171】
【化45】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0172】
LC混合物における式B1〜B3のビフェニル類の割合は、好ましくは、少なくとも3重量%、特に5重量%以上である。
【0174】
式B1〜B3の化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0175】
【化46】
式中、alkyl
*は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表す。本発明による媒体は、特に好ましくは、式B1aおよび/またはB2cの1種類以上の化合物を含む。
【0176】
h)以下の式の1種類以上のターフェニル化合物を追加的に含むLC媒体。
【0177】
【化47】
式中、R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立に、上でR
1に示される意味の1つを有し、および
【0178】
【化48】
式中、L
5は、FまたはCl、好ましくは、Fを表し、L
6は、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2、好ましくは、Fを表す。
【0179】
式Tの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0182】
【化51】
式中、Rは1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表し、R
*は2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、mは1〜6の整数を表す。R
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0183】
Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを表す。
【0184】
本発明によるLC媒体は、好ましくは、式Tおよびそれの好ましいサブ式のターフェニル類を、2〜30重量%、好ましくは、5〜20重量%の量で含む。
【0185】
式T1、T2、T3およびT21の化合物が特に好ましい。これらの化合物において、Rは、好ましくは、それぞれ1〜5個のC原子を有するアルキル、更には、アルコキシを表す。
【0186】
混合物のΔn値が0.1以上となるよう意図されている場合、好ましくは、本発明による混合物においてターフェニル類を用いる。好ましい混合物は、2〜20重量%の1種類以上の式T、好ましくは、化合物T1〜T22の群より選択されるターフェニル化合物を含む。
【0187】
i)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0189】
【化53】
式中、R
1およびR
2は上で示される意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表す。
【0190】
好ましい媒体は、式O1、O3およびO4より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0191】
k)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に、好ましくは3重量%より多く、特には5重量%以上、非常に特に好ましくは5〜30重量%の量で含むLC媒体。
【0193】
【化55】
R
9は、H、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を表し、(F)は任意成分としてのフッ素置換基を表し、qは、1、2または3を表し、R
7はR
1に示される意味の1つを有する。
【0194】
式FIの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0196】
【化57】
式中、R
7は、好ましくは、直鎖状のアルキルを表し、R
9は、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を表す。式FI1、FI2およびFI3の化合物が特に好ましい。
【0197】
m)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0198】
【化58】
式中、R
8はR
1に示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0199】
n)例えば、以下の式から成る群より選択される化合物などのテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を含有する1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0201】
【化60】
式中、R
10およびR
11は、それぞれ互いに独立に、R
1に示される意味の1つを有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表し、Z
1およびZ
2は、それぞれ互いに独立に、−C
2H
4−、−CH=CH−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH
2−または単結合を表す。
【0202】
o)以下の式の1種類以上のジフルオロジベンゾクロマン類および/またはクロマン類を追加的に、好ましくは3〜20重量%の量、特には3〜15重量%の量で含むLC媒体。
【0203】
【化61】
式中、R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、cは0または1を表す。
【0204】
式BCおよびCRの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0206】
【化63】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0207】
1種類、2種類または3種類の式BC2の化合物を含む混合物が、非常に特に好ましい。
【0208】
p)以下の式の1種類以上のフッ素化されたフェナントレン類および/またはジベンゾフラン類を追加的に含むLC媒体。
【0209】
【化64】
式中、R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、bは0または1を表し、LはFを表し、rは1、2または3を表す。
【0210】
式PHおよびBFの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0211】
【化65】
式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表す。
【0212】
q)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を含み、好ましくは、PSA−OCBディスプレイにおいて使用するためのLC媒体。
【0213】
【化66】
式中、
R
0は、それぞれ同一または異なって、それぞれ9個までのC原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、
X
0は、F、Cl、または、それぞれ6個までのC原子を有し、それぞれの場合でハロゲン化されているアルキル、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシを表し、
Z
0は、−CF
2O−または単結合を表し、
Y
1〜6は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
X
0は、好ましくは、F、Cl、CF
3、CHF
2、OCF
3、OCHF
2、OCFHCF
3、OCFHCHF
2、OCFHCHF
2、OCF
2CH
3、OCF
2CHF
2、OCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCFHCF
2CF
3、OCFHCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CF
3、OCF
2CF
2CClF
2、OCClFCF
2CF
3またはCH=CF
2、特に好ましくは、FまたはOCF
3である。
【0214】
式AAの化合物は、好ましくは、以下の式から成る群より選択される。
【0217】
【化69】
式中、R
0およびX
0は上で示される意味を有し、X
0は、好ましくは、Fを表す。式AA2およびAA6の化合物が特に好ましい。
【0218】
式BBの化合物は、好ましくは、以下の式から成る群より選択される。
【0220】
【化71】
式中、R
0およびX
0は上で示される意味を有し、X
0は、好ましくは、Fを表す。式BB1、BB2およびBB5の化合物が特に好ましい。
【0221】
式CCの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0222】
【化72】
式中、R
0は、それぞれ同一または異なって、上で示される意味を有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0223】
r)式Iまたはそれのサブ式の重合性化合物およびコモノマーは別として、末端ビニルオキシ基(−O−CH=CH
2)を含有する化合物を含まないLC媒体。
【0224】
s)1〜5種類、好ましくは、1種類、2種類または3種類の重合性化合物を含むLC媒体。
【0225】
t)混合物全体における重合性化合物の割合が0.05〜5%、好ましくは、0.1〜1%であるLC媒体。
【0226】
u)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY1、CY2、PY1および/またはPY2の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で2〜20%である。
【0227】
v)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY9、CY10、PY9および/またはPY10の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で2〜20%である。
【0228】
w)1〜10種類、好ましくは1〜8種類の式ZKの化合物、特に、式ZK1、ZK2および/またはZK6の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは3〜25%、特に好ましくは5〜45%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で2〜20%である。
【0229】
x)式CY、PYおよびZKの化合物の混合物全体における割合は70%より多く、好ましくは、80%より多いLC媒体。
【0230】
y)プレチルト角は、好ましくは、85°以下、特に好ましくは、80°以下のPSA−VAディスプレイ。
【0231】
上述の好ましい実施形態a)〜y)の化合物を上記の重合された化合物と組み合わせることは、本発明によるLC媒体において常に高い透明点および高いHR値と同時に低い閾電圧、低い回転粘度および非常に良好な低温安定性に効果があり、PSAディスプレイにおいて特に低いプレチルト角を迅速に確立できる。特に、先行技術からの媒体と比較し、PSAディスプレイにおいて、LC媒体は著しく短縮された応答時間、また、特に、短縮された中間階調応答時間を示す。
【0232】
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも80K、特に好ましくは、少なくとも100Kのネマチック相範囲、および、20℃において、250mPa・s以下、好ましくは、200mPa・s以下の回転粘度を有する。
【0233】
VAタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、約−0.5〜−10、特には、約−2.5〜−7.5の負の誘電異方性Δεを有する。
【0234】
本発明によるVAタイプのディスプレイにおいては、スイッチが切れている状態で、LC媒体層における分子は電極表面に垂直に配向している(ホメオトロピック的)か、または、チルトホメオトロピック配向を有している。電極に電圧を印加すると、電極表面に平行な分子長軸を有するLC分子の再配向が起きる。
【0235】
本発明によるOCBタイプのディスプレイにおいては、LC媒体層における分子は「ベンド」配向を有する。電圧を印加すると、電極表面に垂直な分子長軸を有するLC分子の再配向が起きる。
【0236】
OCBタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、約+7〜+17の正の誘電異方性Δεを有する。
【0237】
VAタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.16未満、特に好ましくは、0.06および0.14の間、特には、0.07および0.12の間である。
【0238】
OCBタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.14および0.22の間、特には、0.16および0.22の間である。
【0239】
また、本発明によるLC媒体は、例えば、重合開始剤、禁止剤、安定剤、表面活性化物質またはキラルドーパントなどの当業者に既知で文献に記載されている更なる添加剤を含んでもよい。これらは重合性でも非重合性でも構わない。従って、重合性添加剤は重合性成分または成分A)に分類される。従って、非重合性添加剤は非重合性成分または成分B)に分類される。
【0240】
LC媒体は、例えば、1種類以上のキラルドーパント、好ましくは、下の表Bからの化合物から成る群より選択されるものを含有してもよい。
【0241】
更に、例えば、0〜15質量%の多色性色素を、更に、導電性を向上するために、ナノ粒子、導電性塩、好ましくは、エチルジメチルドデシルアンモニウム4−ヘキソキシベンゾエート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートまたはクラウンエーテル類の錯塩(例えば、Hallerら、Mol.Cryst.Liq.Cryst.24巻、249〜258頁(1973年)参照)を、または、ネマチック相の誘電異方性、粘度および/または配向を改変するための物質を、LC媒体に加えることができる。このタイプの物質は、例えば、独国特許出願公開第22 09 127号公報、独国特許出願公開第22 40 864号公報、独国特許出願公開第23 21 632号公報、独国特許出願公開第23 38 281号公報、独国特許出願公開第24 50 088号公報、独国特許出願公開第26 37 430号公報および独国特許出願公開第28 53 728号公報に記載されている。
【0242】
本発明によるLC媒体の好ましい実施形態a)〜y)の個々の成分は既知であるか、または、それらの調製方法は文献に記載されている標準的な方法に基づいているため、それらの調製方法は当業者によって先行技術より容易に導くことができるかのいずれかである。式CYの対応する化合物は、例えば、欧州特許出願公開第0 364 538号公報に記載されている。式ZKの対応する化合物は、例えば、独国特許出願公開第26 36 684号公報および独国特許出願公開第33 21 373号公報に記載されている。
【0243】
本発明に従って使用できるLC媒体は、例えば、1種類以上の上述の化合物を、上で定義される通りの1種類以上の重合性化合物と、および、任意成分として更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することにより、それ自身は従来の方法で調製される。一般に、より少量で使用される成分の所望量を、主要構成成分を構成する成分に、有利には昇温して、溶解する。また、成分の溶液を、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノールといった有機溶媒に混合し、完全に混合後、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することも可能である。本発明は、更に、本発明によるLC媒体を調製するための方法にも関する。
【0244】
また、本発明によるLC媒体が、例えば、H、N、O、Cl、Fが対応する同位体に置き換えられた化合物も含んでもよいことは、当業者に言うまでもない。
【0245】
本発明によるLCディスプレイの構造は、冒頭で引用した先行技術に記載される通りのPSAディスプレイに対する通常の構成に対応している。突起のない構成、特に加えて、カラーフィルター側の電極が構造化されておらず、TFT側の電極のみがスリットを有するものが好ましい。PSA−VAディスプレイ用に特に適切で好ましい電極構造は、例えば、米国特許出願公開第2006/0066793号公報に記載されている。
【0246】
以下の例は、本発明を限定することなく説明する。しかしながら、それらは、当業者に対して、好ましく使用される化合物、それらのそれぞれの濃度およびそれらの互いの組み合わせの好ましい混合の概念を示す。加えて、例は、どのような特性および特性の組み合わせが入手可能であるかを例示する。
【0247】
以下の略称を使用する:
(n、m、z:それぞれの場合において互いに独立に、1、2、3、4、5または6)
【0252】
【表5】
本発明の好ましい実施形態において、本発明によるLC媒体は、表Aからの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0253】
表Bに、本発明によるLC媒体に添加できる可能なキラルドーパントを示す。
【0255】
【表7】
LC媒体は、好ましくは0〜10重量%、特には0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%のドーパントを含む。LC媒体は、好ましくは、表Bからの化合物から成る群より選択される1種類以上のドーパントを含む。
【0256】
表Cに、本発明によるLC媒体に添加できる可能な安定剤を示す(nは、ここで、1〜12の整数を表す)。
【0261】
【表12】
LC媒体は、好ましくは0〜10重量%、特には1ppm〜5重量%、特に好ましくは1ppm〜1重量%の安定剤を含む。LC媒体は、好ましくは、表Cからの化合物から成る群より選択される1種類以上の安定剤を含む。
【0262】
加えて、以下の略称および記号を使用する:
V
0 20℃における容量閾電圧[V]
n
e 20℃および589nmにおける異常光屈折率
n
0 20℃および589nmにおける常光屈折率
Δn 20℃および589nmにおける光学的異方性
ε
⊥ 20℃および1kHzにおけるダイレクターに垂直な誘電率
ε
‖ 20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電率
Δε 20℃および1kHzにおける誘電異方性
cl.p.、T(N,I) 透明点[℃]
γ
1 20℃における回転粘度[mPa・s]
K
1 20℃における「スプレイ(splay)」変形に対する弾性定数[pN]
K
2 20℃における「ツイスト(twist)」変形に対する弾性定数[pN]
K
3 20℃における「ベンド(bend)」変形に対する弾性定数[pN]
LTS 試験用セル中で決定される低温安定性(相)
HR
20 20℃における電圧保持率[%]
HR
100 100℃における電圧保持率[%]
他に明記しない限り、本出願において全ての濃度は重量パーセントで示されており、対応する混合物全体(全ての固体または液晶成分を含み、溶媒を含まない。)に関する。
【0263】
他に明記しない限り、例えば、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの本出願において示される全ての温度の値は摂氏度(℃)で示される。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点である。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、および、Iは等方相である。これらの記号の間のデータは転移温度を表す。
【0264】
全ての物理的特性は「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社に従って決定されるか決定されたものであり、それぞれの場合で他に明示しない限り、20℃の温度が適用され、Δnは589nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0265】
本発明において、用語「閾電圧」は、他に明示しない限り、フレデリックス閾値とも呼ばれる容量閾値(V
0)に関する。例において、一般的に通常であるが、10%相対コントラストに対する光学的閾値(V
10)も示される場合がある。
【0266】
容量閾電圧を測定するために使用されるディスプレイは20μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板から成り、それぞれの外板は内側に電極層および最表面にラビングされていないポリイミド配向層を有し、該配向層は液晶分子のホメオトロピックエッジ配向に効果を有する。
【0267】
チルト角を測定するために使用されるディスプレイまたはテストセルは4μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板から成り、それぞれの外板は内側に電極層および最表面にポリイミド配向層を有し、ただし、2つのポリイミド層は互いに逆平行にラビングされており、液晶分子のホメオトロピックエッジ配向に効果を有する。
【0268】
重合性化合物は、所定の時間、規定の強度を有するUVA光(通常、365nm)で照射することにより、同時に電圧をディスプレイに印加(通常、10V〜30Vの交流、1kHz)して、ディスプレイまたはテストセル内で重合する。例においては、他に示さない限り、28mW/cm
2の水銀蒸気ランプを使用し、365nm帯域通過フィルターが装着された標準的なUVメーター(Ushio UNIメーター)を使用して強度を測定する。
【0269】
チルト角は、回転結晶実験(Autronic−Melchers TBA−105)によって決定される。ここで、低い値(即ち、角度90°から大きく外れている)が大きなチルトに対応する。
【0270】
VHR値は次の通り測定する:0.3%の重合性モノマー化合物をLCホスト混合物に添加し、生じる混合物をTN−VHRテストセル(90°でラビング、TNポリイミド配向層、層厚dは約4μm)に導入する。2時間のUV曝露(日照試験)の前後において、100℃で5分後に、1V、60Hz、64μ秒パルスにてHR値を決定する(測定装置:Autronic−Melchers VHRM−105)。
【実施例】
【0271】
<例1>
化合物1(2−メタクリル酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル)を以下の通り調製する。
【0272】
【化73】
出発化合物である7−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンは、商業的に入手可能である。
【0273】
1.50g(5.60mmol)の7−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンを、20mlのジクロロメタンおよび微量のピリジン中に懸濁し、2mlのトリエチルアミンを加え、5mlのジクロロメタン中の0.8g(7.7mmol)のメタクリロイルクロリドの溶液を冷却しながら滴下により加える。バッチを室温において一晩撹拌し、濾過し、溶媒を真空中で除去し、残渣をトルエン/酢酸エチル(6:4)でシリカゲルに通して濾過する。ヘプタン/トルエンより粗生成物を結晶化し、2−メタクリル酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イルを、融点163℃の無色の固体として与える。
【0274】
<例2>
化合物2(2−メタクリル酸3−[3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]プロピル)を以下の通り調製する。
【0275】
<2.1 トリフルオロメタンスルホン酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル>
【0276】
【化74】
7.0g(26.1mmol)の7−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンを200mlのジクロロメタン中に懸濁し、5ml(36mmol)のトリエチルアミンおよび100mg(0.819mmol)のDMAPを添加後、5.3ml(32.3mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸無水物を冷却しながら滴下により加える。2時間後、溶液を氷水で洗浄し、真空中で溶媒を除去する。トルエン/酢酸エチルでシリカゲル上において粗生成物をクロマトグラフィーすることにより、トリフルオロメタンスルホン酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イルを黄色の固体として与える。
【0277】
【表13】
【0278】
<2.2 7−(3−ヒドロキシプロパ−1−イニル)−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オン>
【0279】
【化75】
6.90g(17.2mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル、1.5ml(25.4mmol)のプロピン−1−オール、12.0g(36.8mmol)の炭酸セシウム、150mg(0.578mmol)の塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)および800mg(1.68mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−4’−6’−トリイソプロピルビフェニルを3時間60℃において100mlのジオキサン中で撹拌し、400mlの水に加え、2Nの塩酸を使用して酸性とする。水相を酢酸エチルで3回抽出し、合わされた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣をトルエン/酢酸エチル(4:1)でシリカゲルに通して濾過する。トルエン/酢酸エチル(10:1)より粗生成物を結晶化し、7−(3−ヒドロキシプロパ−1−イニル)−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンを、黄色の結晶として与える。
【0280】
【表14】
【0281】
<2.3 7−(3−ヒドロキシプロピル)−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オン>
【0282】
【化76】
7−(3−ヒドロキシプロパ−1−イニル)−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンを、パラジウム/活性炭触媒上においてTHF中で完全に水素化する。触媒を濾過で取除き、真空中で溶媒を除去し、粗生成物をトルエン/ヘプタン(1:1)より再結晶して、7−(3−ヒドロキシプロピル)−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンを、無色の固体として与える。
【0283】
<2.4 2−メタクリル酸3−[3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]プロピル>
【0284】
【化77】
例1に記載される合成に類似して、7−(3−ヒドロキシプロピル)−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンより、2−メタクリル酸3−[3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]プロピルを、融点111℃の無色の固体として与える。
【0285】
<例3>
化合物3(2−メタクリル酸3−{3−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル}プロピル)を以下の通り調製する。
【0286】
<3.1 3−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(3−ヒドロキシプロピル)クロメン−2−オン>
【0287】
【化78】
最初に、1.00g(3.22mmol)の7−(3−ヒドロキシプロピル)−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オン(例3.1参照)を30mlのジクロロメタン中に導入し、10mlのジクロロメタン中の0.4ml(4.2mmol)の三臭化ホウ素の溶液を氷冷しながら加える。冷却を取り外し、バッチを室温において一晩撹拌する。溶液を氷水に加え、2Nの塩酸を使用して酸性とし、酢酸エチルで3回抽出する。合わされた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣をトルエン/酢酸エチル(1:1)でシリカゲル上においてクロマトグラフィーする。1回目の操作後、3−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(3−ヒドロキシプロピル)クロメン−2−オンを、第2の画分(Rf=0.3)において無色の個体として得る。
【0288】
【表15】
【0289】
<3.2 2−メタクリル酸3−{3−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル}プロピル>
【0290】
【化79】
2.4において記載される合成に類似し、3−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(3−ヒドロキシプロピル)クロメン−2−オンより、2−メタクリル酸3−{3−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル}プロピルを、融点112℃の無色の固体として与える。
【0291】
<例4>
化合物4(メタクリル酸3−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル)を以下の通り調製する。
【0292】
<4.1 7−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)クロメン−2−オン>
【0293】
【化80】
最初に、4.00g(14.9mmol)の7−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)クロメン−2−オンを190mlのジクロロメタン中に導入し、10mlのジクロロメタン中の2.5ml(26.3mmol)の三臭化ホウ素の溶液を氷冷しながら加える。冷却を取り外し、バッチを室温において一晩撹拌する。溶液を氷水に加え、2Nの塩酸を使用して酸性とし、酢酸エチルで3回抽出する。合わされた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣をトルエン/酢酸エチル(2:1)より再結晶して、7−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)クロメン−2−オンを、黄色の結晶として与える。
【0294】
<4.2 2−メタクリル酸3−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル>
【0295】
【化81】
例1に類似して、7−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)クロメン−2−オンより、2−メタクリル酸3−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−2−オキソ−2H−クロメン−7−イルを、融点174℃の無色の固体として与える。
【0296】
<例5>
化合物5(2−メタクリル酸2−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−4−オキソ−4H−クロメン−6−イル)を以下の通り調製する。
【0297】
6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)クロメン−4−オンおよび6−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)クロメン−4−オンは、商業的に入手可能である。
【0298】
【化82】
例1〜5に記載される合成に類似して、6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)クロメン−4−オンより、2−メタクリル酸2−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−4−オキソ−4H−クロメン−6−イルを、融点152℃の無色の固体として与える。
【0299】
<例6>
化合物6(2−メタクリル酸2−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−4−オキソ−4H−クロメン−6−イル)を以下の通り調製する。
【0300】
【化83】
例1に記載される合成に類似して、6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)クロメン−4−オンより、2−メタクリル酸2−[4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル]−4−オキソ−4H−クロメン−6−イルを、融点134℃の無色の固体として与える。
【0301】
<例7>
化合物7(2−メタクリル酸4−(2−オキソ−2H−クロメン−3−イル)フェニル)を、例1からの化合物1に類似して調製する。
【0302】
【化84】
融点158℃の無色の結晶を得る。
【0303】
<例8>
化合物8(2−メタクリル酸2−オキソ−3−フェニル−2H−クロメン−6−イル)を、例1からの化合物1に類似して調製する。
【0304】
【化85】
融点169℃の無色の結晶を得る。
【0305】
<例9>
化合物9(2−メタクリル酸(2−オキソ−3−フェニル)−2H−クロメン−7−イル)を、例1からの化合物1に類似して調製する。
【0306】
【化86】
融点169℃の無色の結晶を得る。
【0307】
<例10>
化合物10(2−メタクリル酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル)を以下の通り調製する。
【0308】
<10.1 3−(4−ブトキシフェニル)−7−ヒドロキシクロメン−2−オン>
【0309】
【化87】
89.5g(0.43mol)の4−ブトキシフェニル酢酸(McElvain、Carney;J.Am.Chem.Soc.1946年(68巻)、2592〜2599頁の方法によって調製)および30.0g(0.22mol)の2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドを、100mlの無水酢酸および120mlのトリエチルアミン中において120℃で5時間加熱する。引き続き、依然として熱い溶液を3lの氷水に加え、沈殿する生成物を吸引で濾別し、1lの水および1.4lのエタノール中に懸濁する。190mlの濃硫酸を滴下で加えた後、バッチを還流下で4時間加熱し、3lの水に加え、沈殿する生成物を吸引で濾別する。粗生成物を熱トルエン/酢酸エチル(1:1)でシリカゲルに通して濾過し、溶媒を真空中で蒸発させ、残渣をトルエンより再結晶して、3−(4−ブトキシフェニル)−7−ヒドロキシクロメン−2−オンを、無色の結晶として与える。
【0310】
<10.2 2−メタクリル酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル>
【0311】
【化88】
例1に類似して、3−(4−ブトキシフェニル)−7−ヒドロキシクロメン−2−オンより、2−メタクリル酸3−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イルを、融点129℃の無色の結晶として与える。
【0312】
<例11〜17>
以下の化合物を、例1〜10に記載される合成方法に類似して調製する。
【0313】
【表16】
【0314】
<混合物例>
<例A1>
ネマチックLCホスト混合物N1を、以下の通り配合する。
【0315】
【表17】
例1からの本発明による0.3%のRM(1)をLC混合物N1に加える。結果として得られる混合物P1を、上記の通りのVA e/oテストセル中に導入する。比較の目的のために、比較混合物V1およびV2を含有し、上記の通りであるが、本発明によるRMの代わりに先行技術より既知の式AまたはBのRMを使用して、VA e/oテストセルを製造する。
【0316】
【化89】
RM/ホスト混合物の組み合わせについて、それぞれ2個のテストセルを製造する。24Vの電圧(交流)を印加し、種々の時間で、50mW/cm
2の強度を有するUV光(365nm)によってセルを照射し、RMの重合を起す。それぞれのテストセルについて、上で示される通りプレチルト角を決定する。異なる曝露のそれぞれに対して達成されたプレチルト角を表1および2に示す(表中、それぞれ一連の試験における2個のテストセルに対するプレチルト角と、それらより計算された平均プレチルト角とを示す)。
【0317】
【表18】
【0318】
【表19】
表1および2より見て取れる通り、先行技術からのRM Aを含むLC媒体V1を使用するよりも、RM(1)を含む本発明によるLC媒体P1を使用する方が、プレチルト角の著しく速い確立を達成できる。LC媒体V1については、例えば、曝露時間4分後のプレチルト角は76.5°である。本発明によるLC媒体P1を使用し、同等の条件下においては、僅か30秒後に同様のプレチルト角(74.8°または76.6°)を達成できる。
【0319】
<例A2>
それぞれの場合について、例1または4からの本発明による0.3%のRM(1)または(4)を、それぞれLCホスト混合物N1に加え、本発明による混合物P1およびP4を与える。第2の一連の実験においては、重合前に、それぞれのLC媒体に0.006%(混合物全体を基礎とする)の光開始剤Irgacure651(登録商標)(PI)を追加して加える。混合物を、それぞれ、上記の通りのVA e/oテストセル中に導入する。比較の目的のために、それぞれの場合について光開始剤を有するか有さないで、例A1からの比較混合物V1およびV2を含有し対応するVA e/oテストセルを製造する。RMを重合するために、10Vの電圧(交流)を印加し、28mW/cm
2の強度を有するUV光(365nm)でセルを照射し、ただし、光開始剤のないサンプルについては曝露時間は20分であり、光開始剤のあるサンプルについては曝露時間は2分である。達成されたプレチルト角を、表3に示す。
【0320】
【表20】
表3より見て取れる通り、本発明によるLC媒体は、開始剤の有無のいずれについても、先行技術からのLC媒体に匹敵する良好〜非常に良好なプレチルト角を示す。
【0321】
<例A3>
ネマチックホスト混合物N1、本発明によるLC媒体P1および例A1からの比較混合物V1を、それぞれ、上記の通りのTN−VHRテストセル中に導入する。UV曝露前後のVHR値を上記の通り決定する。結果を表4に示す。
【0322】
【表21】
表4より見て取れる通り、本発明によるLC媒体P1は、先行技術からのLC媒体V1と比較して匹敵し得るVHR値、および、ホスト混合物N1と比較してより高いVHR値を示す。
【0323】
<例A4>
ネマチックLCホスト混合物N2を、以下の通り配合する。
【0324】
【表22】
例1からの本発明による0.2%または0.3%のRM(1)を、例A1からのLC混合物N1およびN2に、それぞれ加える。結果として得られる混合物を、上記の通りのVA e/oテストセル中に導入する。種々の電圧(交流)を印加し、25mW/cm
2の強度を有するUV光(365nm)によって4分間セルを照射し、RMの重合を起す。それぞれのテストセルについて、上で示される通りプレチルト角を決定する。異なる電圧のそれぞれに対して達成されたプレチルト角を表5に示す。
【0325】
【表23】
表5より見て取れる通り、電圧を変化させることで、達成されるプレチルト角を制御できる。
【0326】
<例A5>
例1からの本発明によるRM(1)を、種々の濃度において、LCホスト混合物N1に加える。結果として得られる混合物を、上記の通りのVA e/oテストセル中に導入する。24Vの電圧(交流)を印加し、種々の時間、50mW/cm
2の強度を有するUV光(365nm)によってセルを照射し、RMの重合を起す。それぞれのテストセルについて、上で示される通りプレチルト角を決定する。異なる曝露時間のそれぞれに対して達成されたプレチルト角を表6に示す。
【0327】
【表24】
表6より見て取れる通り、RMの濃度を変化させることで、達成されるプレチルト角を制御できる。
【0328】
<例A6>
それぞれの場合について、例1からの本発明による0.3%のRM(1)および先行技術(例12参照)より既知のRM AをLC混合物N1に加える。結果として得られる混合物を、上記の通りのVA e/oテストセル中に導入する。24Vの電圧(交流)を印加し、種々の時間、50mW/cm
2の強度を有するUV光(365nm)によってセルを照射し、RMの重合を起す。
【0329】
重合速度を決定するために、HPLC法を使用して、テストセル中の未重合のRMの残存含有量を測定する。このために、示される条件下においてテストセル中で混合物を重合する。次いで、MEK(メチルエチルケトン)を使用して、テストセルより混合物を濯ぎ出し、測定する。結果を表7に示す。
【0330】
【表25】
表7より見て取れる通り、先行技術より既知のRM Aの場合よりもRM 1の場合の方が、既に短時間後のセル内に存在する未重合の残存RMが著しく少なく、このため、セル内においてRM 1の重合速度の方が著しく高いとの結論となる。
【0331】
<例A7>
それぞれの場合について、例1〜17からの本発明による0.3%のRM(1)〜(17)をLC混合物N1に加える。結果として得られる混合物を、上記の通りのVA e/oテストセル中に導入する。24Vの電圧(交流)を印加し、種々の時間、50mW/cm
2の強度を有するUV光(365nm)によってセルを照射し、RMの重合を起す。それぞれのテストセルについて、上で示される通りプレチルト角を決定する。異なる曝露時間のそれぞれに対して達成されたプレチルト角を表8に示す。
【0332】
【表26】
重合速度を決定するために、HPLC法を使用して、テストセル中の未重合のRMの残存含有量を測定する。このために、示される条件下においてテストセル中で混合物を重合する。次いで、MEK(メチルエチルケトン)を使用して、テストセルより混合物を濯ぎ出し、測定する。結果を表9に示す。
【0333】
【表27】
表9より見て取れる通り、僅かな短時間後のセル内に依然として存在する未重合の残存RMは僅かに少量で、このため、セル内においてRMの重合速度が高いとの結論となる。