(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、前記チャックテーブルの前記保持面に保持された前記被加工物を加工する加工手段と、請求項1又は2記載の洗浄装置と、前記加工手段で加工済の前記被加工物を前記チャックテーブルから前記洗浄装置に搬送する搬送手段とを少なくとも備える加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る洗浄装置の概略構成例を示す図である。
図2は、
図1に示す洗浄装置の平面図である。
図3は、
図2に示す洗浄装置のA−A断面図である。
図4は、
図2に示す洗浄装置のB−B断面図である。実施形態1に係る洗浄装置1は、
図1から
図4に示すように、洗浄テーブル10と、洗浄手段20と、移動手段30と、反転手段40と、を含んで構成されている。洗浄装置1は、洗浄テーブル10および各手段20,30,40を筐体2内に配設している。洗浄装置1は、
図2に示すように、洗浄液供給源50、エアー供給源60、駆動用エアー供給源70、真空吸引源80のそれぞれと接続される。洗浄装置1は、洗浄テーブル10で被加工物Wを保持しつつ、洗浄手段20から被加工物Wに向けて洗浄液を噴射することで、被加工物Wの表面を洗浄する。なお、筐体2は、この筐体2の上部を覆う蓋3を有しており、蓋3には、被加工物Wの着脱時に当該被加工物Wと干渉しない大きさの開口部3aが形成されている。
【0013】
ここで、被加工物Wは、特に限定されないが、例えば、シリコン、ヒ化ガリウム(GaAs)等を母材とする板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ、セラミック、ガラス、サファイア(Al
2O
3)系の板状の無機材料基板、金属や樹脂等の板状の延性材料等、各種加工材料である。また、本実施形態において、被加工物Wは、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスの形成されていない裏面に粘着テープT(ダイシングテープとも呼ばれる)が貼着されており、粘着テープTが環状のフレームFにも貼着されることで、フレームFに固定されている。
【0014】
洗浄テーブル10は、
図2に示すように、保持部11の表面である保持面11aを構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、保持面11aに載置された被加工物Wを真空吸引源80により吸引保持する。洗浄テーブル10は、例えば、直径が450mmの被加工物Wを吸引保持することができる。洗浄テーブル10は、保持面11aと面一である外周部分を含む本体部12がステンレス鋼等で構成されている。洗浄テーブル10は、フレームFと磁着する複数の磁石13を有しており、複数の磁石13は、保持面11aと面一である外周部分に配設されている。また、洗浄テーブル10は、保持面11aと平行且つ当該保持面11aの直径方向に延びる第1回転軸14および第2回転軸15を有しており、各回転軸14,15によって上下反転可能である。第1回転軸14および第2回転軸15は、保持面11aを挟んで対向配置されている。第1回転軸14および第2回転軸15は、
図3に示すように、洗浄室4の壁部4aに回転自在に支持されている。第2回転軸15は、軸方向に貫通する真空吸引路15aを有しており、一端が保持部11側と連通され、他端が真空吸引源80側と連通されている。
【0015】
ここで、洗浄室4は、
図2から
図4に示すように、洗浄テーブル10を囲む矩形状の壁部4aと、壁部4aの下端側から中央部側に向かって下方に傾斜する漏斗状の底部4bと、を有している。壁部4aには、第1庇部4cおよび第2庇部4dと、第1スリット部4eおよび第2スリット部4fと、が形成されている。各庇部4c,4dは、互いに対向してX軸方向と平行となる壁部4aから洗浄室4内に向かって突出形成されており、洗浄テーブル10を挟んで対向配置されている。各庇部4c,4dは、X軸方向と平行であり、互いに対向する壁部4aのX軸方向の全幅に亘って形成されている。また、各庇部4c,4dは、各スリット部4e,4fから洗浄液が漏れ出すことを抑える。第1スリット部4eは、第1庇部4cの下側に開口形成され、第2スリット部4fは、第2庇部4dの下側に開口形成されている。各スリット部4e,4fは、X軸方向と平行であり、互いに対向する壁部4aのX軸方向のほぼ全幅に亘って形成されている。また、各スリット部4e,4fには、後述するウォーターカーテンノズル21がX軸方向に往復動可能に挿通される。
【0016】
洗浄手段20は、
図2および
図3に示すように、洗浄テーブル10の下方に配設されている。洗浄手段20は、筒状のウォーターカーテンノズル21を備えており、下方に向けられた保持面11aに保持された被加工物Wに対面し、洗浄液を噴出して被加工物Wを洗浄する。ウォーターカーテンノズル21は、被加工物Wの直径を超える範囲に洗浄液を噴出する噴出口22を有している。ウォーターカーテンノズル21は、一端側が第1スリット部4eに挿通され、他端側が第2スリット部4fに挿通されている。ウォーターカーテンノズル21は、一端に配設される第1支持部材21aおよび他端に配設される第2支持部材21bのそれぞれにより、洗浄室4内において、平行(X軸方向)に移動可能に支持されている。また、ウォーターカーテンノズル21は、洗浄液が供給される洗浄液供給路23と、気体が供給されるエアー供給路24と、接続されており、いわゆる二流体ノズルのように洗浄液と気体とを混在させた状態で噴出することもでき、洗浄液のみを噴出したり、気体のみを噴出したりすることもできる。噴出口22は、例えば、ウォーターカーテンノズル21の軸方向に開けられたスリット状の穴であり、被加工物Wの直径を超える範囲に亘って開けられた穴である。噴出口22から噴出される洗浄液は、噴出口22から噴出され、被加工物Wの表面を洗浄した後、洗浄室4の底部4bに設けられたドレイン5から排出される。
【0017】
移動手段30は、
図2および
図3に示すように、第1支持部材21aを支持する第1移動ブロック31と、第2支持部材21bを支持する第2移動ブロック32と、第1移動ブロック31をX軸方向に案内する第1案内パイプ33と、第2移動ブロック32をX軸方向に案内する第2案内パイプ34と、を備えている。移動手段30は、ウォーターカーテンノズル21を、下方に向けられた洗浄テーブル10の保持面11aに保持された被加工物Wの表面に対し、噴出口22を対面させつつ平行(X軸方向)に移動させる。第1移動ブロック31は、第1案内パイプ33が挿通する挿通穴が貫通形成され、第2移動ブロック32は、第2案内パイプ34が挿通する挿通穴が貫通形成されており、各移動ブロック31,32は、磁性体である。第1移動ブロック31は、第1案内パイプ33を挿通し、第2移動ブロック32は、第2案内パイプ34を挿通する。各案内パイプ33,34は、中空円筒状である。第1案内パイプ33は、一端に第1ブラケット35、他端に第2ブラケット36がそれぞれ配設されている。第2案内パイプ34は、一端に第3ブラケット37、他端に第4ブラケット38がそれぞれ配設されている。第1案内パイプ33の各ブラケット35,36は、第1移動ブロック31と突き当たる突き当て部材である。第2案内パイプ34の各ブラケット37,38は、第2移動ブロック32と突き当たる突き当て部材である。第1案内パイプ33は、駆動用エアーにより往復動可能である図示しない磁石を内挿しており、この磁石と第1移動ブロック31とを磁着させる。第1ブラケット35には、第1連通路39aが接続されており、第1ブラケット35を介して第1案内パイプ33と第1連通路39aとが連通する。第2ブラケット36には、第2連通路39bが接続されており、第2ブラケット36を介して第1案内パイプ33と第2連通路39bとが連通する。すなわち、第1案内パイプ33は、いわゆるロッドレスエアーシリンダーである。なお、第2案内パイプ34も同様に、いわゆるロッドレスエアーシリンダーであってもよく、この場合、ウォーターカーテンノズル21の移動をより円滑にすることができる。
【0018】
反転手段40は、
図4に示すように、モータ41と、モータ41の駆動軸41aと第2回転軸15とに掛け回されるベルト42と、を備えている。反転手段40は、モータ41の駆動力により第2回転軸15を回転駆動することで、洗浄テーブル10を上下反転させる。また、反転手段40は、洗浄テーブル10の回転角を検出する図示しない回転角検出手段を有しており、例えば、任意の所望の角度で洗浄テーブル10を反転させることができる。モータ41としては、洗浄テーブル10を上下反転、すなわち各回転軸14,15回りに略180度(180度も含む)回転させることができるものであればよいので、例えば、直径が450mmの被加工物Wを吸引保持することができる大型の洗浄テーブル10をZ軸回りに高速回転(1000〜3000rpm)させるための高出力大型モータよりも、相対的に、低出力かつ小型で低コストのものを用いることができる。
【0019】
洗浄液供給源50は、
図2に示すように、洗浄液供給経路51を介してウォーターカーテンノズル21へ純水等の洗浄液を供給する。洗浄液供給経路51は、一端が洗浄液供給源50と接続され、他端が洗浄液供給路23と接続されている。洗浄液供給経路51は、開閉弁52を有している。開閉弁52は、例えば、単動ソレノイドを有するスプリングリターンのノーマルクローズタイプ(通電時開型)の開閉弁である。
【0020】
エアー供給源60は、エアー供給経路61を介してウォーターカーテンノズル21へ空気等の気体を供給する。エアー供給経路61は、一端がエアー供給源60と接続され、他端がエアー供給路24と接続されている。エアー供給経路61は、開閉弁62を有している。開閉弁62は、例えば、単動ソレノイドを有するスプリングリターンのノーマルクローズタイプ(通電時開型)の開閉弁である。
【0021】
駆動用エアー供給源70は、駆動用エアー供給経路71、切替弁72、第1連通経路73aあるいは第2連通経路73bを介して第1案内パイプ33へ駆動用エアーを供給する。駆動用エアー供給経路71は、一端が駆動用エアー供給源70と接続され、他端が切替弁72と接続されている。第1連通経路73aは、一端が切替弁72と接続され、他端が第1ブラケット35と接続されている。第2連通経路73bは、一端が切替弁72と接続され、他端が第2ブラケット36と接続されている。切替弁72は、例えば、単動ソレノイドを両側に有するスプリング・センタのノーマルオールポートブロックタイプ(通電時開型)の方向制御弁(4ポート、3ポジション)である。切替弁72は、一方のソレノイドに通電すると、駆動用エアー供給経路71と第1連通経路73aとを連通させ、第2連通経路73bを外部と連通させ、第1連通経路73aから駆動用エアーを第1案内パイプ33内に供給する。また、切替弁72は、他方のソレノイドに通電すると、駆動用エアー供給経路71と第2連通経路73bとを連通させ、第1連通経路73aを外部と連通させ、第2連通経路73bから駆動用エアーを第1案内パイプ33内に供給する。
【0022】
真空吸引源80は、真空吸引経路81を介して第2回転軸15の真空吸引路15aと接続されている。真空吸引経路81は、開閉弁82を有している。開閉弁82は、例えば、単動ソレノイドを有するスプリングリターンのノーマルクローズタイプ(通電時開型)の開閉弁である。
【0023】
実施形態1に係る洗浄装置1は、以上のごとき構成であり、以下、
図3から
図7を参照して実施形態1に係る洗浄装置1の洗浄処理について説明する。
図5は、
図3に示す洗浄装置の洗浄テーブルが反転した状態を示す説明図である。
図6は、
図4に示す洗浄装置の洗浄テーブルが反転した状態を示す説明図である。
図7は、実施形態1に係る洗浄装置の洗浄処理の概略フローである。
【0024】
まず、洗浄装置1は、オペレータ等の作業員による洗浄指示に基づいて、
図3および
図4、
図7に示すように、洗浄テーブル10を上下反転させる(ステップST1)。具体的には、洗浄装置1は、反転手段40の図示しない回転角検出手段により検出される洗浄テーブル10の回転角に基づいてモータ41を駆動し、このモータ41により第2回転軸15を回転駆動することで、各回転軸14,15回りに洗浄テーブル10を回転させて上下反転させる。なお、洗浄装置1は、上記ステップST1を実行する前、すなわち洗浄テーブル10に被加工物Wが載置された時点で、真空吸引経路81の開閉弁82のソレノイドに通電し、開閉弁82を開弁して真空吸引源80により被加工物Wを保持面11aに吸引保持させ、磁石13によりフレームFを保持面11aと面一の外周部分に磁着させることで、被加工物Wを洗浄テーブル10に固定している。
【0025】
次に、洗浄装置1は、
図5および
図6、
図7に示すように、ウォーターカーテンノズル21から洗浄液Lを噴出させる(ステップST2)。具体的には、洗浄装置1は、洗浄液供給経路51の開閉弁52のソレノイドに通電して当該開閉弁52を開弁し、洗浄液供給源50から純水等の洗浄液Lを図示しないポンプで洗浄液供給路23へ供給し、ウォーターカーテンノズル21に洗浄液Lを供給することで、被加工物Wの直径を超える範囲に噴出口22から洗浄液Lを噴出させる。また、洗浄装置1は、下方に向けられた保持面11aに保持された被加工物Wに対面するウォーターカーテンノズル21の噴出口22から洗浄液Lを噴出させ、被加工物Wを洗浄する。
【0026】
次に、洗浄装置1は、ウォーターカーテンノズル21を移動させる(ステップST3)。具体的には、洗浄装置1は、噴出口22から洗浄液Lを噴出させつつ、下方に向けられた洗浄テーブル10の保持面11aに保持された被加工物Wの表面に対し、噴出口22を対面させつつ平行(X軸方向)にウォーターカーテンノズル21を移動させる。より詳しくは、洗浄装置1は、駆動用エアー供給経路71の切替弁72の一方のソレノイドに通電して当該切替弁72を開弁することで、駆動用エアー供給源70から圧縮空気等の駆動用エアーを第1連通経路73aへ供給する。第1連通経路73aに供給された駆動用エアーは、第1ブラケット35を介して第1案内パイプ33の一端側から供給される。一方、第2ブラケット36を介して第1案内パイプ33の他端側から駆動用エアーが排出され、第2連通経路73bから駆動用エアーが外部へ排出される。このため、第1案内パイプ33に内挿された磁石が第1ブラケット35側から第2ブラケット36側へ移動され、磁石の移動に伴ってウォーターカーテンノズル21が移動する。すなわち、第1案内パイプ33に内挿される磁石と、この磁石と磁着される第1移動ブロック31と、この第1移動ブロック31に支持される第1支持部材21aとが、第1ブラケット35側から第2ブラケット36側へ移動し、ウォーターカーテンノズル21が第1ブラケット35側から第2ブラケット36側へ移動する。なお、洗浄装置1は、第1移動ブロック31が第2ブラケット36に突き当たるまでウォーターカーテンノズル21を移動させる。
【0027】
次に、洗浄装置1は、噴出口22から洗浄液Lを噴出させつつ、ウォーターカーテンノズル21を第2ブラケット36側から第1ブラケット側35へ移動させる。具体的には、洗浄装置1は、第1移動ブロック31が第2ブラケット36に突き当たったことを検知する図示しない検知手段の検知信号に基づいて、駆動用エアー供給経路71の切替弁72の一方のソレノイドへの通電を遮断するとともに他方のソレノイドに通電して駆動用エアーの流れを切り替える。これにより、駆動用エアー供給源70から駆動用エアーが第2連通経路73bへ供給され、第2ブラケット36を介して第1案内パイプ33の他端側から駆動用エアーが供給される。一方、第1ブラケット35を介して第1案内パイプ33の一端側から駆動用エアーが排出され、第1連通経路73aから駆動用エアーが外部へ排出される。このため、第1案内パイプ33に内挿された磁石が第2ブラケット36側から第1ブラケット35側へ移動され、磁石の移動に伴ってウォーターカーテンノズル21が移動する。すなわち、第1案内パイプ33に内挿される磁石と、第1移動ブロック31と、第1支持部材21aとが、第2ブラケット36側から第1ブラケット35側へ移動し、ウォーターカーテンノズル21が第2ブラケット36側から第1ブラケット35側へ移動する。なお、洗浄装置1は、第1洗浄ブロック31が第1ブラケット35に突き当たるまでウォーターカーテンノズル21を移動させる。
【0028】
次に、洗浄装置1は、洗浄時間が所定時間を経過したか否かを判断する(ステップST4)。ここで、洗浄装置1は、図示しない記憶手段に記憶させた洗浄に必要な時間(必要洗浄時間)と、洗浄液Lの噴出開始から経過した時間(経過時間)とを比較し、経過時間が必要洗浄時間を経過することで、洗浄時間が所定時間を経過したと判断する。なお、上記必要洗浄時間は、例えば、実機による洗浄試験に基づいて設定される。
【0029】
洗浄装置1は、洗浄時間が所定時間を経過するまで、ウォーターカーテンノズル21から洗浄液Lを噴出させる(ステップST4否定)。なお、洗浄装置1は、上記ステップST4から後述するステップST5まで、ウォーターカーテンノズル21から洗浄液Lを噴出させつつ、ウォーターカーテンノズル21を第1ブラケット35側へ移動させることと、ウォーターカーテンノズル21を第2ブラケット36側へ移動させることとを交互に繰り返す。
【0030】
また、洗浄装置1は、洗浄時間が所定時間を経過したと判断する(ステップST4肯定)と、洗浄液Lの噴射を停止させ(ステップST5)、ウォーターカーテンノズル21から気体を噴出させる(ステップST6)。具体的には、洗浄装置1は、洗浄時間が所定時間を経過したと判断し、洗浄液供給経路51の開閉弁52のソレノイドへの通電を遮断し、開閉弁52を閉弁して洗浄液Lの供給を停止させる。また、洗浄装置1は、エアー供給経路61の開閉弁62のソレノイドへ通電して当該開閉弁62を開弁し、エアー供給源60から空気等の気体をエアー供給路24へ供給し、ウォーターカーテンノズル21に気体を供給することで、被加工物Wの直径を超える範囲に噴出口22から気体を噴出させる。なお、洗浄装置1は、上記ステップST6から後述するステップST8まで、ウォーターカーテンノズル21から気体を噴出させつつ、ウォーターカーテンノズル21を第1ブラケット35側へ移動させることと、ウォーターカーテンノズル21を第2ブラケット36側へ移動させることとを交互に繰り返す。
【0031】
次に、洗浄装置1は、乾燥時間が所定時間を経過したか否かを判断する(ステップST7)。ここで、洗浄装置1は、図示しない記憶手段に記憶させた乾燥に必要な時間(必要乾燥時間)と、気体の噴出開始から経過した時間(経過時間)とを比較し、経過時間が必要乾燥時間を経過することで、乾燥時間が所定時間を経過したと判断する。なお、上記必要乾燥時間は、例えば、実機による乾燥試験に基づいて設定される。
【0032】
洗浄装置1は、乾燥時間が所定時間を経過するまで、ウォーターカーテンノズル21から気体を噴出させる(ステップST7否定)。
【0033】
次に、洗浄装置1は、乾燥時間が所定時間を経過したと判断する(ステップST7肯定)と、気体の噴出を停止させ(ステップST8)、ウォーターカーテンノズル21を所定位置へ移動させ(ステップST9)、洗浄テーブル10を上下反転させる(ステップST10)。具体的には、洗浄装置1は、乾燥時間が所定時間を経過したと判断し、エアー供給経路61の開閉弁62のソレノイドへの通電を遮断し、開閉弁62を閉弁して気体の供給を停止させる。また、洗浄装置1は、洗浄テーブル10を再度上下反転させる際に当該洗浄テーブル10とウォーターカーテンノズル21とが干渉しないように、駆動用エアー供給経路71の切替弁72の他方のソレノイドへの通電を遮断するとともに一方のソレノイドに通電して駆動用エアーの流れを切り替える。また、洗浄装置1は、第1移動ブロック31が第1ブラケット35に突き当たるまで、ウォーターカーテンノズル21を第1ブラケット35側へ移動させた後、切替弁72の一方のソレノイドへの通電を遮断し、切替弁72をオールポートブロックにして駆動用エアーの供給を停止させる。また、洗浄装置1は、第1移動ブロック31が第1ブラケット35に突き当たったことを検知する図示しない検知手段からの検知信号に基づいて、ウォーターカーテンノズル21が所定位置へ移動したと判断する。そして、洗浄装置1は、反転手段40のモータ41を駆動し、このモータ41により第2回転軸15を回転駆動させ、各回転軸14,15回りに洗浄テーブル10を回転させて上下反転させる。また、洗浄装置1は、図示しない回転角検出手段の検出する洗浄テーブル10の回転角に基づいて、保持面11aをXY平面に対して平行とし、洗浄処理を終了する。
【0034】
以上のように、実施形態1に係る洗浄装置1によれば、被加工物Wを保持した洗浄テーブル10をX軸回りに上下反転させることにより、洗浄テーブル10の下方に配設した洗浄手段20と被加工物Wとを対面させることができるので、洗浄手段20と対面する被加工物Wを当該洗浄手段20により洗浄することができる。したがって、被加工物WをZ軸回りに回転させずに洗浄可能であることから、被加工物W保持する洗浄テーブル10をZ軸回りに回転させる必要がない。
【0035】
また、洗浄装置1は、被加工物WをZ軸回りに回転させる必要がないので、450mmの被加工物Wを吸引保持することができる大口径で非常に重い洗浄テーブル10をZ軸回りに高速回転させるための高出力で高価なモータが不要である。すなわち、洗浄装置1は、各回転軸14,15回り(X軸回り)に洗浄テーブル10を上下反転することができる相対的に小型で安価なモータ41を用いることができるので、コストを抑えることができる。
【0036】
また、洗浄装置1は、相対的に小型で安価なモータ41を用いることで、モータ41の重量を抑えることもでき、モータ41の専有面積を削減することもできる。
【0037】
また、洗浄装置1は、下方に向けられた洗浄テーブル10の保持面11aに被加工物Wを保持した状態で当該被加工物Wを洗浄することから、被加工物Wの表面の洗浄液Lを洗浄室4の底部4bに向かって落下させることができ、水切れがよい。
【0038】
また、洗浄装置1は、被加工物Wの直径を超える範囲に洗浄液Lを噴出することから、被加工物Wを相対的に大量の洗浄液で洗浄することができるので、洗浄効果を高めることができる。
【0039】
また、洗浄装置1は、被加工物Wの洗浄中、洗浄テーブル10が洗浄室4の蓋の役割を果たすことができる。したがって、被加工物Wの洗浄中、洗浄液Lの飛散を抑えることができる。
【0040】
また、洗浄装置1は、ウォーターカーテンノズル21から気体を噴出させることにより、被加工物Wの表面の洗浄液Lを吹き飛ばして乾燥させることができる。したがって、洗浄後の被加工物Wの乾燥時間を短縮することができる。
【0041】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係る加工装置100について説明する。
図8は、実施形態2に係る加工装置の概略構成例を示す図である。実施形態2に係る加工装置100は、実施形態1に係る洗浄装置1を備えた加工装置であり、洗浄装置1の基本的構成は、実施形態1に係る洗浄装置1と同様であるので、同一部分の構成の説明は省略する。
【0042】
図8に示す実施形態2に係る加工装置100は、カセットエレベータ110と、カセット120と、仮置き手段130と、チャックテーブル140と、二つの加工手段150,160と、撮像手段170と、搬送手段180と、洗浄装置1と、を含んで構成されている。すなわち、加工装置100は、被加工物Wを保持面141で保持するチャックテーブル140と、チャックテーブル140の保持面141に保持された被加工物Wを加工する加工手段150,160と、実施形態1に係る洗浄装置1と、加工手段150,160で加工済の被加工物Wをチャックテーブル140から洗浄装置1に搬送する搬送手段180とを少なくとも備える。加工装置100は、本実施形態において、二つの加工手段150,160をY軸方向に対向配置させたフェイシングデュアルタイプの加工装置である。加工装置100は、被加工物Wを保持するチャックテーブル140と、二つの加工手段150,160とを相対移動させることで、被加工物Wに加工を施す。なお、加工装置100は、二つの加工手段150,160を同期させて駆動すること、二つの加工手段150,160を非同期でそれぞれ駆動することができるものである。
【0043】
カセットエレベータ110は、装置本体101に対してZ軸方向において昇降自在である。カセット120は、カセットエレベータ110により昇降され、被加工物Wを一枚ずつ収納する。仮置き手段130は、加工前後の被加工物Wを一対のレール131,132に一時的に仮置きする。チャックテーブル140は、保持面141に載置された被加工物Wを図示しない吸引源により吸引保持し、図示しないX軸移動手段(加工送り手段に相当)により装置本体101に対してX軸方向に相対移動する。また、チャックテーブル140は、450mmの被加工物Wを吸引保持することができる。
【0044】
二つの加工手段150,160は、切削ブレード151と、スピンドル152と、ノズル153と、を備えている。二つの加工手段150,160は、Y軸移動手段154,164(割り出し送り手段に相当)およびZ軸移動手段155,165(切り込み送り手段に相当)により、装置本体101に対してY軸方向およびZ軸方向のそれぞれに相対移動可能である。また、二つの加工手段150,160は、撮像手段170により撮像された被加工物Wの画像データに基づいて、チャックテーブル140に保持される被加工物Wにノズル153から切削水を供給しながら加工すべき領域に切削加工を施す。切削ブレード151は、高速回転することでチャックテーブル140に保持される被加工物Wを切削する極薄のリング形状の切削砥石であり、図示しない固定ナットによりスピンドル152に交換可能に固定されている。
【0045】
撮像手段170は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いたカメラ等であり、被加工物Wに対する二つの加工手段150,160のアライメント調整を行うための画像データを生成する。搬送手段180は、フレームFをチャックするチャック手段を有する、いわゆるフレーム搬送手段であり、二つの加工手段150,160で加工済の被加工物Wをチャックテーブル140から洗浄装置1に搬送する。
【0046】
洗浄装置1は、上記実施形態1に係る洗浄装置であって、被加工物Wを保持面11aで保持し、保持面11aと平行且つ当該保持面11aの直径方向に延びる各回転軸14,15によって上下反転可能に構成される洗浄テーブル10と、洗浄テーブル10の下方に配設され、下方に向けられた保持面11aに保持された被加工物Wに対面し、洗浄液Lを噴出して被加工物Wを洗浄する洗浄手段20と、を備えている。
【0047】
以上のように、実施形態2に係る加工装置100によれば、被加工物Wを保持面141で保持するチャックテーブル140と、チャックテーブル140の保持面141に保持された被加工物Wを加工する加工手段150,160と、実施形態1に係る洗浄装置1と、加工手段150,160で加工済の被加工物Wをチャックテーブル140から洗浄装置1に搬送する搬送手段180とを少なくとも備えるので、下方に向けられた洗浄テーブル10の保持面11aに被加工物Wを保持した状態で当該被加工物Wを洗浄することができる。すなわち、加工装置100は、被加工物WをZ軸回りに回転させることなく、被加工物Wを洗浄することができるので、被加工物WをZ軸回りに回転させる必要がない。したがって、加工装置100は、450mmの被加工物Wを吸引保持することができる大口径で非常に重い洗浄テーブル10をZ軸回りに高速回転させるための高出力で高価なモータが不要である。
【0048】
なお、上記実施形態1,2においては、被加工物Wを洗浄中、洗浄テーブル10で洗浄室4に蓋をしているが、洗浄装置1の開口部3aをカバー手段で覆ってもよい。これにより、洗浄液Lの飛散をより抑えることができる。
【0049】
また、被加工物Wを洗浄中、洗浄テーブル10の保持面11aをXY平面に対して平行としているが、保持面11aがXY平面に対して斜めであってもよい。すなわち、被加工物Wの直径を超える範囲に洗浄液Lを噴出口22から噴出するので、保持面11aがXY平面に対して斜めであっても十分に洗浄することができる。これにより、洗浄テーブル10を上下反転する際の回転角を厳密に制御しなくてもよくなり、反転手段40の構成を簡略化することができる。
【0050】
また、洗浄テーブル10の上下反転時(洗浄前)のモータ41の回転方向と、再度の上下反転時(洗浄後)のモータ41の回転方向とは、逆方向であっても同方向であってもよい。これにより、モータ41の回転制御を簡略化することができる。
【0051】
また、洗浄室4内の洗浄液Lをドレイン5から吸引排出してもよい。これにより、洗浄室4内に洗浄液Lが溜まらなくなり、洗浄液Lの跳ね上がりを抑えることができる。
【0052】
また、被加工物Wの直径を超える範囲に洗浄液Lを噴出することができるものであればよいので、ウォーターカーテンノズル21として、多数のスポット状に洗浄液Lを噴出するノズルや、細いスリットから流速の早い液体を噴出可能な所謂ウォーターナイフノズルを用いることもできる。これにより、種々の形態のノズルを用いることができる。
【0053】
また、いわゆる二流体ノズルのように洗浄液と気体とを混在させることで、ウォーターカーテンノズル21から被加工物Wに洗浄液Lを高速であてることができる。これにより、洗浄効果をより高めることができる。
【0054】
また、上記実施形態2においては、二つの加工手段150,160を対向配置させたフェイシングデュアルタイプの加工装置100について説明したが、二つの加工手段150,160を平行に並べたパラレルデュアルタイプの加工装置、一つの加工手段を有する加工装置であってもよい。もちろん、チャックテーブルに保持された被加工物を研削加工する研削装置であってもよい。