(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、ICや他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型ICあるいは他のデバイスおよび/または構造の製造を可能にするためのより一層重要な要因となりつつある。
【0005】
[0005] パターン印刷の限界の理論推定値は、式(1)に示す解像度に関するレイリー基準によって得ることができる。
【数1】
上の式で、λは使用される放射の波長であり、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数であり、k1はレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンジョン)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズの縮小は、以下の3つの方法、露光波長λを短縮することによって、開口数NAを増加させることによって、あるいはk1の値を低下させることによって達成することができる、ということになる。
【0006】
[0006] 露光波長を短縮するため、したがって最小印刷可能サイズを縮小するためには、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内、の波長を有する電磁放射である。10nm未満、例えば6.7nmまたは6.8nmなどの5〜10nmの範囲内、の波長を有するEUV放射が使用できることが更に提案されている。そのような放射は、極端紫外線放射または軟X線と呼ばれ、可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リングによって与えられるシンクロトロン放射に基づく放射源が挙げられる。
【0007】
[0007] EUV放射は、プラズマを使用して生成することができる。EUV放射を生成する放射システムは、燃料を励起してプラズマを供給するレーザと、プラズマを収容するソースコレクタモジュールとを含むことができる。プラズマは、例えば、レーザビームを適切な燃料の材料(例えば、現在のところEUV放射源の燃料として最も有望であり、かつ適当な選択肢であるスズ)の粒子(すなわち、小滴)、または、Xeガス、Li蒸気など適切なガス流または蒸気流などの燃料に誘導することによって生成することができる。結果として得られるプラズマは、放射コレクタを使用して集光される出力放射、例えば、EUV放射を放出する。放射コレクタは、ミラー垂直入射放射コレクタとすることができ、ミラー垂直入射放射コレクタは、放射を受け、その放射をビームに集束させる。ソースコレクタモジュールは、真空環境を提供してプラズマを支持するように配置された囲い構造またはチャンバを含むことができる。このような放射システムは、通常、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれる。同様にレーザを採用し得る代替のシステムにおいては、放射は、放電の使用によって形成されるプラズマ(例えば、放電生成プラズマ(DPP)源)によって生成され得る。
【0008】
[0008] 提案されたLPP放射源は、燃料小滴の連続流を生成する。放射源は、プラズマ形成位置に向かって燃料小滴を誘導するためのノズルを備える。レーザビームが小滴に向かってかつ小滴に接触するよう誘導することができることを確実とするために、小滴は、高い精度でプラズマ形成位置に誘導される必要がある。これを達成するためには、燃料は、予想外または意図されない障害または制限に遭うことなくノズルを通過しなくてはならない。そのような障害または制限は、ノズルの内面に堆積されている燃料における汚染から生じ得る。汚染は、1つ以上の必要な性質、例えば、所望の軌跡または所望の小滴サイズ、形状または頻度を有さないノズルによって誘導される小滴の流れという結果となり得る。結果としてこれは、放射源が全体として意図されたように機能しないこと、例えば放射を生成することができないあるいは所望の強度の放射または所望の持続時間の間の放射を生成できないこと、に繋がる。
【0009】
[0009] LPP放射源において使用されるノズルに関連して問題点の記述がなされたが、同じまたは類似した問題点は、その他の液体小滴ジェネレータにおいて使用されるノズル、例えばインクジェット印刷等において使用されるノズル、に伴って遭遇され得る。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 本明細書内またはそれ以外で特定されるか否かにかかわらず、従来技術の少なくとも1つの問題点を回避または軽減すること、または既存の装置または方法の代替物を提供することが望ましい。
【0011】
[0011] 本発明の第一の態様によれば、プラズマ形成位置に向かう軌跡に沿って燃料小滴の流れを誘導するよう構成されたノズルと、使用中、放射生成プラズマを生成するようプラズマ形成位置における燃料小滴にレーザ放射を誘導するよう構成されたレーザと、を備え、ノズルは、燃料小滴を形成するために使用される燃料において存在する汚染がその内面に堆積することを防止するよう構成された内面を有する、放射源が提供される。
【0012】
[0012] 内面は、コーティングを備えてよい。
【0013】
[0013] コーティングは、コーティングが塗布される材料よりも汚染に対してより平滑またはより粘着性の少ない表面を提供してよい。
【0014】
[0014] コーティングは、ポリテトラフルオロエチレンまたはゾルゲルコーティング法に由来する材料を含んでよい。
【0015】
[0015] コーティングは、232℃よりも高い温度、または250℃よりも高い温度を耐えることができてよい。
【0016】
[0016] 内面は、ノズルを形成するために使用される材料体の表面(例えば、内面)であってよい。
【0017】
[0017] 材料体は、ダイヤモンド、またはガラス、または鉄(例えば、モリブデンまたはタングステン)、またはセラミックを含んでよい。
【0018】
[0018] 燃料はスズを含んでよい。
【0019】
[0019] 汚染は、酸化スズ粒子を含んでまたは酸化スズ粒子であってよい。
【0020】
[0020] 本発明の第二の態様によれば、放射ビームを提供するための照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与するためのパターニングデバイスと、基板を保持するための基板ホルダと、基板のターゲット部分上にパターン付与された放射ビームを投影するための投影システムと、を備え、さらに本発明の第一の態様の放射源を備えるか、または、該放射源に接続される、リソグラフィ装置が提供される。
【0021】
[0021] 本発明の第三の態様によれば、液体(例えば、燃料またはインク)小滴ジェネレータ用のノズルであって、液体小滴を形成するために使用される液体において存在する汚染がその内面に堆積することを防止するよう構成された内面を有するノズルが提供される。
【0022】
[0022] 本発明の第四の態様によれば、液体小滴ジェネレータ用のノズルを形成する方法であって、ノズルに、液体小滴を形成するために使用される液体において存在する汚染がその内面に堆積することを防止するよう構成された内面を提供することを含む方法が提供される。
【0023】
[0023] 内面を提供するためにウェットコーティング法が使用されてよい(例えば、コーティングの形態で)。
【0024】
[0024] コーティングは、ゾルゲルコーティング法を使用して、または流体懸濁液におけるコーティングを使用して提供されてよい。
【0025】
[0025] ウェットコーティング法において使用された液体は、塗布された後に硬化されてよい(例えば、固形のコーティングを提供するため)。
【0026】
[0026] 内面は、ノズルを形成するために使用される材料体を通る導管を形成することによって提供されてよい。内面は、その後ノズルと同じ材料から形成される。
【0027】
[0027] 第一の態様に関連して記載された特徴は、適宜、第二、第三および/または第
四の態様に適用可能であるということが認識される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[0036] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される(1つ以上の)実施形態は、本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は開示される(1つ以上の)実施形態に限定されない。本発明は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0030】
[0037] 記載される(1つ以上の)実施形態、および「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などへの本明細書における言及は、記載される(1つ以上の)実施形態が特定の特徴、構造または特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造または特性を含まないことを示す。さらに、そのようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、一実施形態に関連して特定の特徴、構造または特性について記載している場合、明示的に記載されているか記載されていないかにかかわらず、そのような特徴、構造、または特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識にあることが理解される。
【0031】
[0038]
図1は、本発明の実施形態に従って、ソースコレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置LAPを概略的に示す。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)IL、パターニングデバイス(例えば、マスクまたはレチクル)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MT、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT、およびパターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PS、を備える。
【0032】
[0039] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0033】
[0040] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0034】
[0041] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0035】
[0042] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0036】
[0043] 投影システムは、照明システムと同様に、使われている露光放射にとって、あるいは真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、および静電型、またはその他の型の光コンポーネントあるいはそれらのあらゆる組合せなどの種々の型の光コンポーネントを包含し得る。気体は放射を過剰に吸収する可能性があるため、EUV放射には真空を使用するのが望ましい。そのため、真空壁および真空ポンプを用いてビームパス全体に真空環境が提供される。
【0037】
[0044] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。
【0038】
[0045] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0039】
[0046]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法としては、材料を、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有する、例えばキセノン、リチウムまたはスズなどの少なくとも1つの元素を有するプラズマ状態に変換することが挙げられるが必ずしもこれに限定されない。そのような一方法では、レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多い所要のプラズマを、所要の線発光元素を有する材料の小滴、流れまたはクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することによって生成することができる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためであり、
図1に図示されていないレーザを含むEUV放射システムの一部分であってもよい。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、これは、放射源コレクタモジュールに配置された放射コレクタを用いて集光される。例えば、燃料励起のためのレーザビームを提供するためにCO2レーザが使用される場合、レーザと放射源コレクタモジュールは、別個の構成要素であってもよい。
【0040】
[0047] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部分を形成するとはみなされず、また放射ビームは、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って、レーザから放射源コレクタモジュールまで送られる。その他の場合においては、例えば放射源がDPP源と呼ばれることが多い放電生成プラズマEUVジェネレータである場合は、放射源は、放射源コレクタモジュールの一体部分とすることもできる。
【0041】
[0048] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセット視野および瞳ミラーデバイスといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0042】
[0049] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサPS1を使い、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。
【0043】
[0050] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用で
きる。
【0044】
[0051] 1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
【0045】
[0052] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
【0046】
[0053] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0047】
[0054] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0048】
[0055]
図2は、放射源コレクタモジュールSO、照明システムILおよび投影システムPSを含むリソグラフィ装置LAPをより詳細に示す。放射源コレクタモジュールSOは、放射源コレクタモジュールの閉鎖構造2において真空環境が維持されるように構築および配置されている。
【0049】
[0056] レーザ4は、燃料源8から提供されるキセノン(Xe)、スズ(Sn)、またはリチウム(Li)などの燃料内に、レーザビーム6を介して、レーザエネルギーを堆積させるように配置される。スズ(小滴状である可能性が高い)は、現在、EUV放射源の燃料として最も有望であり、そのためEUV放射源の燃料として適当な選択肢であると考えられている。燃料内にレーザエネルギーを堆積させることにより、電子温度が数10電子ボルト(eV)の高電離プラズマ10がプラズマ形成位置12に生成される。これらのイオンの脱励起および再結合中に生成されたエネルギー放射は、プラズマ10から放出され、近垂直入射コレクタ14によって集光され集束される。レーザ4および燃料供給源8(および/またはコレクタ14)は、共に放射源、特にEUV放射源、を含むと考えられ得る。EUV放射源は、レーザ生成プラズマ(LPP)放射と呼ぶことができる。
【0050】
[0057] 第2レーザ(図示せず)を設けることができ、第2レーザは、レーザビーム6が燃料に入射する前に燃料を予熱するように構成される。このアプローチを用いるLPP源を、デュアルレーザパルス(DLP)源と呼ぶことができる。
【0051】
[0058] 図示されてはいないが、燃料供給源は、プラズマ形成位置12に向かう軌跡に沿って燃料小滴の流れを誘導するように構成されたノズルを含むか、あるいはそれに接続されることができる。
【0052】
[0059] 放射コレクタ14によって反射された放射Bは、仮想光源点16で集束される。仮想光源点16は、通常は中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールSOは、中間焦点16が閉鎖構造2内の開口部18にまたはその近くに設置されるように配置される。仮想光源点16は、放射放出プラズマ10のイメージである。
【0053】
[0060] その後、放射Bは、照明システムILを通り抜け、この照明システムILは、パターニングデバイスMAにて放射ビームBの所望の角度分布ならびにパターニングデバイスMAにて放射強度の所望の均一性を提供するように配置されたファセット視野ミラーデバイス20およびファセット瞳ミラーデバイス22を含んでよい。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにおいて放射ビームが反射される場合においては、パターン付与されたビーム24が形成され、パターン付与されたビーム24は、ウェハステージまたは基板テーブルWTによって保持される基板W上に反射要素26、28を通じて投影システムPSによって結像される。
【0054】
[0061] 一般的には照明システムILおよび投影システムPS内には、示されるよりも多い要素が存在してよい。さらに、図に示されるよりも多くのミラーがあってもよく、例えば、
図2に示される投影システムPS内に存在する反射要素よりも1〜6個多くの反射要素が存在してもよい。
【0055】
[0062]
図3は、
図2に示されかつ
図2を参照して記載した燃料供給源の一部を概略的に示す。燃料供給源の一部は、プラズマ形成位置(図示されず)に向かう軌跡に沿って燃料小滴34の流れを誘導するように構成されたノズル32を含みノズル32に繋がる導管30を含むとして示される。
【0056】
[0063] ノズル32の安定性および/または詰まり(すなわち、少なくとも一部分の閉塞)は、あらゆるインクジェット印刷用途においてそうであるように、ノズル32の使用中に生じ得る問題である。詰まりは、燃料内の汚染によって形成される。ノズル32の詰まりは、ノズル、したがって、小滴ジェネレータに対して寿命限界(または少なくとも限界のメンテナンスまたは洗浄が必要である制限時間)を与えることがある。したがって、これは、放射源またはリソグラフィ装置の全体としての有効性を制限する。
【0057】
[0064] 小滴ジェネレータのノズル32は、小滴ジェネレータの一部を形成する燃料流システムのほかの導管等と比較して(ことによると、当該システムに存在するフィルタを除く)最も小さい直径または最も小さい直径のうちの1つを有する可能性が高い。ノズル32は最も小さい直径のうちの1つを有するため、燃料流システム内の詰まりがノズル32で、またはその近くで生じ、さらにノズル32内に生じる可能性が高く、これは燃料流システムにおける制限事項である。ノズルの直径よりも大きい詰まり等は、燃料流システム内のさらに上流で何らかの方法で除去される。しかしながら、ノズルの直径よりも小さい詰まりおよびノズル内の詰まりは、ノズルの効果的なジオメトリの変化をもたらす可能性がある。
【0058】
[0065] 効果的なジオメトリの変化は、生成された小滴の流れのパラメータ、例えば、小滴形状やサイズ、または最も高い可能性としては小滴の流れの軌跡方向の変化を招く場合がある。多くの用途においては、そのようなパラメータは、厳しい要件を満たす必要がある。特にEUV放射源において、小滴ジェネレータの要件は、小滴の流れの軌跡の観点から非常に厳しいものである。例えば、プラズマ形成位置において、小滴の位置は数ミクロン以内で正確であることを必要な場合があるが、同時に、ノズル32自身はプラズマ形成位置から比較的離れて、例えば、数十センチメートル程度の距離で、配置されることが必要な場合がある。これは、おそらく10マイクロラジアン未満の小滴の流れの軌跡の方向安定性要件を招く。全体的な結果としては、ノズルの内面上に堆積した極小粒子の汚染でさえも、方向安定性要件が確実に満たされない程度にノズルの効果的なジオメトリを変化させる可能性がある。これは、結果として、例えば放射生成の観点から、放射源、ひいては全体としてのリソグラフィ装置の動作に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0059】
[0066]
図4は、
図3で示されかつ
図3を参照して記載した導管30、ノズル32および小滴の流れ34と同じものを概略的に示している。しかしながら、
図4では、粒子40の形態を有する汚染は、ノズル32の内面上に堆積されている。そのような堆積は、(上記したように)ノズル32の効果的なジオメトリにおける変化という結果を招いた。これは、その後、小滴34の流れの軌跡の変化という結果を招いた。
【0060】
[0067] 粒子40は、汚染の一例である。汚染の形態は微粒子であってよく、または小滴の流れ34(例えば、フレーク、凝集、溶液など)を形成するために使用される燃料内に存在する可能性のある他のものであってもよい。汚染は、燃料の酸化から生じ得る。例えば、燃料がスズである場合は、汚染は酸化スズ粒子等であってよい。代替的に、および/または追加的に、汚染は、燃料流システム内の上流において使用される装置からの材料の粒子などであってよい。
【0061】
[0068] 本発明の課題は、ノズルが汚染によって詰まり、その結果ノズルの効果的なジオメトリが変化することを防ぐことである。提案される解決策の1つは、ノズルの直径(すなわち、ノズルの開口部)よりも平均直径が小さい汚染がノズルに到達するのを防ぐため、燃料流システムにおいて微細なまたはより微細なフィルタを使用することである。しかしながら、これはその後、燃料流システム全体(すなわち、フィルタにおいて)の閉塞という結果を招く可能性があり、それにより小滴ジェネレータを定期的に維持または修復する必要性という結果が再び招かれ、放射源および/またはリソグラフィ装置全体に大幅な中断時間がもたらされる。本発明は、上記において特定される問題点に対して燃料流システム(ノズルを含むもの)において閉塞が形成される確率の増加という結果をもたらさない代替的なアプローチを提供する。
【0062】
[0069] 本発明の一態様によると、プラズマ形成位置に向かう軌跡に沿って燃料小滴の流れを誘導するノズルを備える放射源が提供される。放射源は、すべて上記されるように、使用中、放射生成プラズマを生成するためにプラズマ形成位置における燃料小滴に向かってレーザ放射を誘導するように構成されたレーザをも備える、または少なくとも(使用中は)該レーザに接続される。本発明は、ノズルは、燃料小滴を形成するために使用される燃料において存在する汚染がその内面に堆積することを防止するように故意に構成された内面を有する、という点で既存の放射源から区別される。一例では、これは、汚染に対して内面が非付着性であることを確実にすることおよび/または内面がそのような堆積を防止するに十分なほど平滑であることを確実にすることによって達成することができる。このアプローチの一利点は、さらなる閉塞が促進等されないという点である。その代わり、汚染は、燃料流システム、特にノズルから除去され、それによって閉塞が防止されまたそれによってノズルの効果的なジオメトリにおける変化を防止する。汚染は、ノズルから誘導される一つ以上の燃料小滴に最終的に至り得るということが認められる。しかしながら、これは、燃料小滴の流れの軌跡における潜在的な変化および/または燃料小滴のその他の特性(例えば、それらの大きさまたは形状、あるいはそれらの発生頻度)における変化というその他の結果がもたらされる、汚染によるノズルの詰まりよりも好ましい。
【0063】
[0070] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、
図5および6を参照して以下に説明する。これらの図は特定の縮尺に合わせて描かれたものではない。明確性および整合性のため同じフィーチャに同じ参照符号が付されている。
【0064】
[0071]
図5は、本発明の実施形態に従って、ノズル52を含みノズル52に続く導管50を概略的に示す。この実施形態では、ノズル52(および、実際のところ、導管50)の内面には、コーティング54が提供される。コーティング54は、燃料小滴34を形成するために使用される燃料において存在する汚染がコーティング54上に堆積することを防止するために構成される。例えば、コーティング54は、コーティング54がその上に塗布される材料(例えば、ノズル52の本体材料)に比べて、汚染に対してより平滑な表面を提供し得る。代替的には、コーティング54は、コーティング54がその上に塗布される材料に比べて、汚染に対してより粘着性の少ない表面を提供し得る。例えば、燃料はスズであってよく、ノズル52は、実質的に石英から形成されてよい。石英の表面は、そのようなコーティング54を塗布することによってより平滑またはより粘着性が少なく(例えば、少なくとも酸化スズ粒子にとって)することができる。
【0065】
[0072] 均一で平坦な表面を提供するために、コーティング54は、均一で平坦に提供される必要がある。コーティングは、コーティングが使用時に劣化あるいは急速に劣化しないように、燃料および/またはノズル(あるいは流体流システム全体)の動作温度に耐え得るものでなくてはならない。例えば、燃料にスズが使用される場合は、コーティングは232度(すなわち、スズの融解温度)以上の温度に耐えられなければならない。
【0066】
[0073] コーティング54は、いくつかの異なる材料、例えば、フッ素(CaF
2, BaF
2)、窒化物、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、テフロン(登録商標)(すなわち、PTFE−ポリテトラフルオロエチレン)、あるいはゾルゲルコーティング法(例えば、SiO
2:CH
3などのシリコンまたはシリカベースのコーティング)に由来する材料の一つであるか、またはそれらの一つを含み得る。
【0067】
[0074] 場合によっては、コーティング54として上記材料のうちのいずれか一つ以上を使用することができる。しかし、ダイヤモンドライクカーボンコーティングの堆積の容易な塗布(例えば、気相成長を用いること)が妨げられる可能性のあるノズルのアスペクト比によっては、ダイヤモンドライクカーボンは、常に適しているとは限らない。窒化物は、粗すぎる可能性があるため、ノズルにおける汚染の蓄積を十分に防がない可能性がある。フッ素は、フッ素をコーティングとして塗布するのは難しすぎる可能性があるため、適さない可能性がある。対照的に、PTFEおよびゾルゲルコーティング法に由来する材料(例えばシリコンまたはシリカベースのコーティング、例えばSiC>2:CH
3など)は、上記定められた要件の全てを満たしており、特に適しているということが判明した。
【0068】
[0075] コーティング54は、ノズル52の内面のコーティング54の供給、特により均一なコーティングの供給、をより容易に行い易くする可能性のあるウェットコーティング法によって提供されてよい。コーティング54は、ゾルゲルコーティング法、あるいは液体懸濁液において提供されるコーティングを用いて提供されてもよい。ひとたびノズルの内面がコーティングされると、最終的な固形のコーティングを提供するために硬化工程が実施されてよい(例えば、一切の水分を蒸発させるためおよび/または内面上に粒子を焼結させるため)。
【0069】
[0076] 使用中、コーティング54が存在するために、ノズル52の内面上に酸化スズ粒子などの汚染は堆積せず、また堆積することはできない。そのため、本発明の実施形態に従って、汚染は、ノズル52を通過して導管50から除去され、ノズル52の効果的なジオメトリを変化させることはない。
【0070】
[0077] ウェットコーティング法は、通常、ノズルをコーティングするために、ウェットコートィングがそのノズルを通ることを含み、これは、そのウェットコートがそのノズルに繋がりそのノズルで終わる導管および/またはそのノズルで終わる燃料流システムのその他の部分を通ることを含んでよい。導管、ノズルまたは燃料流システムは、一般的に、ウェットコーティングが通過する必要がある可能性のある一つ以上のフィルタを含んでよい。ウェットコーティング法は、例えば、ガスコーティング法と比較して、好まれ得るものである。例えば、ガスの方が、特にそのガスがフィルタを通って流れる場合は、ノズルに辿りつく前にその有効成分(すなわち、コーティング)が枯渇する可能性が高い。また、ウェットコーティングのためのノズル(あるいは導管、あるいは流体流システム全体)における速度分布は、燃料自体(燃料は液体である)の速度分布とほぼ同じであり、ウェットコーティングの作用(および同類のもの)などの予測をより容易にし、それにより予測可能な一貫性のある方法でウェットコーティングの塗布をより容易にする。しかし、ガスは圧縮性の媒体であるため同じようには作用せず、そのためガスの使用は、コーティングの問題(例えば、厚さの不均一性等)に繋がる可能性のある予測することおよび考慮することが困難である特定の圧力起因の効果を引き起こす可能性がある。
【0071】
[0078] 本発明の他の実施形態によると、上記利点は、燃料小滴を形成するために使用される燃料において存在する汚染がノズルの内面に堆積するのを防止するために構成される材料体(コーティングとは反対に)からノズルを形成することによって実現される。
図6は、そのような材料から形成された導管60およびノズル62を示す。材料としては、過去に提案されたあるいは既存のノズルにおいて使用される材料よりも燃料において含まれる汚染に対してより平滑あるいはより粘着性の低い材料が、再度選択される。材料は、これを達成するために故意に選択される。例えば、提案されたノズルは、石英を含むか、あるいは石英から形成されると記載されている。汚染(例えば、少なくとも酸化スズ)は、石英から形成されたノズルの内面上に容易に堆積することが知られている。ノズルをより平滑でより粘着性の低い材料から形成することによってこの問題点は解決する。例えば、ノズルは、ダイヤモンド、またはガラス、または鉄(例えば、モリブデンまたはタングステン)、またはセラミックなどの複数の材料のうち一つから形成されてもよい。このような材料は、コーティングに関連して既に記述された上記要件をも満たし、特に、232℃よりも高い温度を耐えることができる。
【0072】
[0079] この実施形態においては、ノズル自体がそのような材料体から形成されるため、表面にコーティングを塗布する際の問題点はもはや存在しない。唯一の要件は、ノズルを形成するために使用される材料は、燃料が流れ得る材料を通って延在する導管を支持することが可能であるという点である。これを達成するためには、構造的一体性を促進し維持するためにノズルのまわりにケーシングまたは足場を提供してもよい。
【0073】
[0080] 上記実施形態は、放射源に関連して記載されているが、上記されるノズルの使用は、例えばインクジェット印刷等の分野など、小滴ジェネレータにおいて使用されるノズルが必要とされるその他の用途において特に有用である。
【0074】
[0081] 当然のことながら、全ての実施形態において、コーティングの形成あるいはノズルの形成に必要な平滑または非粘着性の材料は、使用中、ノズルを流れる液体において存在する特に多いタイプの汚染に応じて異なってよい。正確な要件は、いくつかの異なる特性、例えば接触角、表面相互作用および表面力などに依存してよい。しかしながら、必要に応じておよび必要な際には、適切な用途には適切な材料を選択してよいということが当業者には理解される。
【0075】
[0082] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0076】
[0083] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0077】
[0084] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。