(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<通信システムの構成例>
図1は、本実施形態における通信システムの構成例を示している。同図に示すように本実施形態における通信システムは、1つの通信制御エリア1に存在する複数のアクセスポイント(AP)100と、複数の端末装置(STA)200と、制御装置(CC:Control Center)300を備える。
アクセスポイント100は、例えば無線LAN(Local Area Network)における基地局として機能する通信装置であって、自己のセル内の端末装置200と無線による通信を行う。セルは、アクセスポイント100が送出する電波の到達範囲に対応し、アクセスポイント100が端末装置200と通信可能な範囲である。
また、アクセスポイント100は、無線により他のアクセスポイント100と通信が可能である。
また、アクセスポイント100は、例えば有線により他のネットワークと接続される。
【0019】
本実施形態のアクセスポイント100は、例えばOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)による無線アクセス方式により端末装置200と通信を実行する。OFDMAでは、直交する関係にある複数のチャネル(サブキャリア)が設けられ、アクセスポイント100は、それぞれ異なるチャネルを端末装置200の各々に割り当てて通信を行う。
【0020】
端末装置200は、アクセスポイント100と無線による通信を行う。端末装置200は、アクセスポイント100を経由した通信により他のネットワークと接続されるサーバ、端末などと通信することができる。
端末装置200は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。本実施形態の端末装置200としては、移動体であってもよいし固定的に設置されたものであってもよい。
【0021】
制御装置300は、通信制御エリア1において配置されるアクセスポイント100を制御する。本実施形態において、制御装置300と通信制御エリア1におけるアクセスポイント100は有線によって接続されればよいが、例えばアクセスポイント100のうちの少なくとも一部が無線によって制御装置300と接続されてもよい。
通信制御エリア1は、制御装置300が管理するアクセスポイント100の各セルによってカバーされる通信範囲である。
【0022】
本実施形態の通信システムにおいては、周辺の複数のアクセスポイント100が連携して同時に送受信する連携ダイバーシチによる通信が行われる。連携ダイバーシチが行われることにより通信範囲が拡大され、アクセスポイント100から遠い距離に位置する端末装置200であっても通信を行うことが可能になる。
【0023】
そのうえで、本実施形態の通信システムにおいては、以下に説明する構成により、連携ダイバーシチを維持したうえで、アクセスポイント100と端末装置200との通信に使用するチャネルの割り当てが行われる。
【0024】
[アクセスポイントの構成例]
図2は、本実施形態におけるアクセスポイント100の構成例を示している。同図に示すアクセスポイント100は、アンテナ101、通信部102、同一チャネル干渉状況測定部103、チャネル優先順位処理部104、チャネル優先順位テーブル記憶部105及び端末対応通信制御部106を備える。
【0025】
アンテナ101は、無線LANに対応する電波の送信と受信を行う。なお、アンテナ101は、例えばMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)などに対応して複数が備えられてもよい。
通信部102は、無線LANに対応する通信を実行する。通信部102は、送信信号をアンテナ101から電波として送出させる。通信部102は、アンテナ101にて受信された電波に応じて得られた受信信号を入力する。
【0026】
同一チャネル干渉状況測定部103は、チャネルごとの同一チャネル干渉の状況を測定する。
本実施形態のように複数のチャネル(サブキャリア)を端末装置200に割り当てるようにされている場合において、チャネル数は有限である。このため、例えば複数のアクセスポイント100が近接し、隣接するアクセスポイント100同士のセルが重複するような場合において、端末装置200が多数であるような状況では、同一チャネル干渉が発生する場合がある。同一チャネル干渉とは同じチャネルを複数のアクセスポイント100が共用することによって、共用されたチャネルにおいて生じる電波干渉である。
なお、以降において、同一チャネル干渉についてはCCI(Co-Channel Interface)とも呼ぶ場合がある。
また、本実施形態において、「チャネル」と「サブキャリア」とは同義である。より具体的には、1つのチャネルは、通信帯域においてそれぞれ周波数帯域の異なる複数のサブキャリアのうちの1つに対応する。
【0027】
同一チャネル干渉状況測定部103は、チャネルごとの同一チャネル干渉の状況として、平均CCI電力を測定する。同一チャネル干渉状況測定部103は、例えば以下のようにして平均CCI電力を測定する。
同一チャネル干渉状況測定部103は、チャネルごとの瞬時CCI電力を測定する。瞬時CCI電力の測定にあたり、同一チャネル干渉状況測定部103は、通信部102にて送受信されるチャネルごとの信号を利用すればよい。同一チャネル干渉状況測定部103は、予め定めた一定時間ごとのタイミングで瞬時CCI電力の測定を実行する。
なお、本実施形態における同一チャネル干渉状況測定部103による瞬時CCI電力の測定手法については特に限定されるものではなく、例えば、周知の各種の手法のいずれかが採用されればよい。
そして、同一チャネル干渉状況測定部103は、一定時間ごとに測定される瞬時CCI電力の移動平均を求めることにより平均CCI電力を算出する。あるいは、同一チャネル干渉状況測定部103は、忘却計数を用いて平均CCI電力を算出してもよい。
同一チャネル干渉状況測定部103は、上記のように求めた平均CCI電力を同一チャネル干渉状況についての測定結果とする。
【0028】
チャネル優先順位処理部104は、チャネルごとの同一チャネル干渉の状況に基づいてチャネルの優先順位を示すチャネル優先順位を更新する。
つまり、チャネル優先順位処理部104は、上記のように求められた平均CCI電力に基づいてチャネル優先順位を更新する。ここでのチャネル優先順位は、平均CCI電力をできるだけ小さくしようとする場合においてアクセスポイント100が使用すべきチャネルについての優先順位である。
チャネル優先順位としては、順位が高くなるのに応じて平均CCI電力が小さくなる。つまり、アクセスポイント100は、平均CCI電力が最小のチャネルについて最も高い優先順位を付与し、以降、平均CCI電力が大きくなっていくのに応じて低くなる優先順位を付与すればよい。
チャネル優先順位処理部104は、チャネル優先順位の更新にあたり、チャネル優先順位テーブル記憶部105が記憶するチャネル優先順位テーブルを更新する。チャネル優先順位テーブルは、優先順位ごとに1つのチャネルが対応付けられた構造のテーブルである。
【0029】
チャネル優先順位処理部104は、チャネル優先順位を制御装置300に通知する。チャネル優先順位を制御装置300に通知するにあたり、チャネル優先順位処理部104は、更新後のチャネル優先順位テーブルが示すチャネル優先順位を示すチャネル優先順位情報を、通信可能なアクセスポイント100経由で制御装置300に送信すればよい。
【0030】
端末対応通信制御部106は、端末装置200との無線による通信に関する制御を実行する部位である。
本実施形態におけるチャネル割り当てにあたり、接続先端末装置と割当チャネルとが制御装置300からアクセスポイント100に通知される。端末対応通信制御部106は、通知された接続先端末装置と割当チャネルに基づいて、通知された割当チャネルにより接続先端末装置としての端末装置200と通信を行うためのビーコンを送信する。
【0031】
[端末装置の構成例]
図3は、本実施形態における端末装置200の構成例を示している。同図に示す端末装置200は、アンテナ201、通信部202、通信状態指標測定部203、候補アクセスポイント決定部204、通信要求処理部205及びアクセスポイント対応通信制御部206を備える。
【0032】
アンテナ201は、無線LANに対応する電波の送信と受信を行う。なお、アンテナ201は、例えばMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)などに対応して複数が備えられてもよい。
通信部202は、無線LANに対応する通信を実行する。
【0033】
通信状態指標測定部203は、アクセスポイント100の各々との通信状態を示す所定の通信状態指標を測定する。
本実施形態における通信状態指標測定部203は、通信状態指標としてアクセスポイント100から送信されるビーコンを受信した際の受信電力(ビーコン受信電力)を測定する。あるいは、通信状態指標測定部203は、例えばアクセスポイント100から送信されるビーコンを受信した際の受信電界強度等に基づいて、アクセスポイント100との距離を通信状態指標として測定してもよい。以降の説明にあっては、通信状態指標測定部203は通信状態指標としてビーコン受信電力を測定する場合を例に挙げる。
【0034】
候補アクセスポイント決定部204は、通信状態指標測定部203により測定された通信状態指標であるビーコン受信電力に基づいて、候補アクセスポイントを決定する。
候補アクセスポイントとは、端末装置200の接続先アクセスポイントの候補となるアクセスポイントである。
候補アクセスポイント決定部204は、ビーコン受信電力を測定したアクセスポイント100のうちから、予め定められたN
t個のアクセスポイント100を候補アクセスポイントとして決定する。例えば、連携ダイバーシチにおいて連携が可能なアクセスポイント100の最大数は予め定められている。上記の候補アクセスポイントの数N
tは、例えば連携が可能なアクセスポイント100の最大数とすればよい。
【0035】
通信要求処理部205は、アクセスポイント100との通信を要求するための通信要求を制御装置300に送信する。通信要求処理部205は、通信要求に、端末識別子と、候補アクセスポイント情報と、通信状態情報とを含める。
端末識別子は、自機としての端末装置200を一意に示す識別子である。本実施形態においては、端末識別子は端末装置200ごとに付与される番号(端末装置番号)である。
候補アクセスポイント情報は、候補アクセスポイント決定部204により決定された候補アクセスポイントのアクセスポイント番号(識別子)を示す。
候補アクセスポイントについての通信状態情報は、通信要求の送信元の端末装置200とアクセスポイント100間の通信状態を示す情報である。通信状態情報は、通信状態指標測定部203によって測定された各候補アクセスポイントのビーコン受信電力(通信状態指標)に基づいて導出される情報である。具体的に、本実施形態の通信状態情報は、通信状態指標測定部203によって測定された各候補アクセスポイントのビーコン受信電力のうちの最大値(ビーコン受信電力最大値)である。
また、通信要求処理部205は、制御装置300から送信される通信要求に対する応答(ACKまたはNACK)を受信する。
【0036】
アクセスポイント対応通信制御部206は、通信要求に応答して制御装置300から通知された割当チャネルと接続先アクセスポイントに従って、割当チャネルを使用して接続先アクセスポイントとしてのアクセスポイント100と通信を実行する。
本実施形態において、制御装置300は、通信要求に応答したACK(ACKnowledgement:肯定応答)に、割当チャネルと接続先アクセスポイントとを含めて端末装置200に送信する。
端末装置200と通信が可能なアクセスポイント100が無い場合、制御装置300は、通信要求に対する応答として、NACK(Negative ACKnowledgement:否定応答)を送信する。このようにNACKが送信された場合、端末装置200のアクセスポイント対応通信制御部206は、アクセスポイント100との通信を停止する。
【0037】
[制御装置の構成例]
図4は、本実施形態における制御装置300の構成例を示している。同図に示す制御装置300は、通信部301、チャネル優先順位取得部302、マスターアクセスポイント決定部303、割当チャネル決定部304、接続先アクセスポイント決定部305、応答処理部306及び接続指示部307を備える。
【0038】
通信部301は、通信制御エリア1におけるアクセスポイント100の各々と通信を実行する。通信部301とアクセスポイント100との通信は、前述のように、有線を介して行われればよいが、例えばアクセスポイント100のうちの少なくとも一部との間で無線によって通信が行われるようにしてもよい。
【0039】
チャネル優先順位取得部302は、アクセスポイント100から送信されたチャネル優先順位情報からチャネル優先順位を取得する。
【0040】
マスターアクセスポイント決定部303は、通信要求に含まれる候補アクセスポイント情報が示す候補アクセスポイントのうちから、一定条件を満たす候補アクセスポイントを通信要求の送信元の端末装置に対応するマスターアクセスポイントとして決定する。
マスターアクセスポイントは、通信要求の送信元の端末装置200と連携ダイバーシチにより通信すべき複数のアクセスポイント100のうちで、割当チャネルの決定基準となるアクセスポイント100である。
【0041】
具体的に、マスターアクセスポイント決定部303は、空きチャネルを有する候補アクセスポイントのうちから、通信要求の送信元の端末装置200との通信状態が最も良好な候補アクセスポイントをマスターアクセスポイントとして決定する。本実施形態では、マスターアクセスポイント決定部303は、空きチャネルを有する候補アクセスポイントのうちで、ビーコン受信電力が最大の候補アクセスポイントをマスターアクセスポイントとして決定する。
このように、本実施形態では、空きチャネルを有する候補アクセスポイントのうちで通信要求の送信元の端末装置200との通信状態が最も良好な候補アクセスポイントがマスターアクセスポイントとして決定される。このようにマスターアクセスポイントが決定されることで、割当チャネルの決定にあたっての信頼性を高めることができる。
【0042】
割当チャネル決定部304は、通信要求の送信元の端末装置200と連携ダイバーシチによる通信を実行するアクセスポイント100に割り当てるべき割当チャネルを決定する。
アクセスポイント100におけるは、チャネル優先順位処理部104は、前述のようにチャネル優先順位を制御装置300に通知する。
割当チャネル決定部304は、アクセスポイントから通知されたチャネル優先順位に基づいて、マスターアクセスポイントが有する空きチャネルのうちから割当チャネルを決定する。具体的に、割当チャネル決定部304は、マスターアクセスポイントが有する空きチャネルのうちから、マスターアクセスポイントにより通知されたチャネル優先順位が最も高い空きチャネルを割当チャネルとして決定する。
【0043】
接続先アクセスポイント決定部305は、通信要求の送信元の端末装置200に対応する接続先アクセスポイントを決定する。接続先アクセスポイントとは、端末装置200が送信した通信要求により要求した通信を行うのにあたり、端末装置200が通信相手(接続先)とすべきアクセスポイント100である。また、接続先アクセスポイントとしては複数のアクセスポイント100が決定される。
接続先アクセスポイントとして決定される複数のアクセスポイントは、通信要求の送信元の端末装置200との通信にあたり、連携ダイバーシチのために連携して同時通信を実行するアクセスポイント100である。
【0044】
接続先アクセスポイント決定部305は、通信要求に含まれる候補アクセスポイント情報が示す候補アクセスポイントのうち、割当チャネル決定部304により決定された割当チャネルが空きの候補アクセスポイントを接続先アクセスポイントとして決定する。
【0045】
応答処理部306は、通信要求に対する応答として、割当チャネル決定部304により決定された割当チャネルと、接続先アクセスポイント決定部305により決定された接続先アクセスポイントとを通信要求の送信元の端末装置200に通知する。
前述のように、応答処理部306は、割当チャネルと接続先アクセスポイントとを通知するにあたり、通信要求に対する応答であるACKに割当チャネルと接続先アクセスポイントとを示す情報を含め、端末装置200に送信する。このようにして、端末装置200に対しては、通信要求に対する応答とともに割当チャネルと接続先アクセスポイントとが通知される。
【0046】
接続指示部307は、接続先アクセスポイント決定部305により接続先アクセスポイントとして決定されたアクセスポイント100のそれぞれに対して、接続先端末装置と割当チャネルとを示す接続指示情報を送信する。
接続先端末装置は、接続先アクセスポイントとして決定されたアクセスポイント100が連携ダイバーシチによる通信において通信相手(接続先)とすべき端末装置200である。即ち、接続先端末装置は、通信要求の送信元の端末装置200である。
また、接続指示情報に含まれる割当チャネルは、接続先アクセスポイントとして決定されたアクセスポイント100が接続先端末装置としての端末装置200と連携ダイバーシチによる通信を実行する際に使用すべきチャネルである。従って、接続指示情報に含まれる割当チャネルは、割当チャネル決定部304により決定された割当チャネルと同じでよい。
【0047】
[アクセスポイントの処理手順例]
図5のフローチャートを参照して、本実施形態のアクセスポイント100が、チャネル優先順位の更新と通知のために実行する処理手順例について説明する。
なお、
図5において、APはアクセスポイント100を示し、STAは端末装置200を示し、CC(Control Center)は制御装置300を示す。この点については、以降説明する
図6〜
図9についても同様である。
【0048】
アクセスポイント100において、同一チャネル干渉状況測定部103は、周辺における他のアクセスポイント100が送信するビーコンを受信する(ステップS101)。
同一チャネル干渉状況測定部103は、ステップS101により受信したビーコンについて測定したビーコン受信電力を利用して、各チャネルの瞬時CCI電力を測定する(ステップS102)。
【0049】
次に、同一チャネル干渉状況測定部103は、ステップS102により測定した各チャネルの瞬時CCI電力を利用して、各チャネルの平均CCI電力を算出する(ステップS103)。
平均CCI電力は、以下の式1により求めることができる。
【0051】
式1における左辺の項は、m番目のアクセスポイントについての、時刻tにおけるch番目のチャネルの平均CCI電力を表す。また、右辺において、Iの文字にオーバーラインの付されていない項は瞬時CCI電力を表す。βは忘却計数であり、0<β<1の範囲の値を取り得る。即ち、式1は、忘却計数を用いて平均CCI電力を求める例である。
【0052】
次に、チャネル優先順位処理部104は、ステップS103により算出された平均CCI電力に基づいてチャネル優先順位テーブルにおいて示されるチャネル優先順位を更新する(ステップS104)。m番目のアクセスポイントについてのチャネル優先順位テーブルの値P
mは、以下の式2により表すことができる。
【0054】
式2において、P
kはチャネル番号を表し、N
chは総チャネル数を表す。チャネル優先順位処理部104は、式2として表されるチャネル優先順位テーブルについて、式1により求められた平均CCI電力を用いて、以下の式3の条件を満たすように更新すればよい。
【0056】
チャネル優先順位処理部104は、ステップS104により更新されたチャネル優先順位を示すチャネル優先順位情報を制御装置300に対して送信する(ステップS105)。
アクセスポイント100は、同図に示す処理を一定時間ごとに実行する。
【0057】
次に、
図6のフローチャートを参照して、アクセスポイント100が制御装置300から送信された接続指示情報に応じて実行する処理手順例について説明する。
アクセスポイント100において、通信部102は、制御装置300から送信された通信指示情報を受信する(ステップS111)。
ステップS111にて受信された通信指示情報には接続先端末装置を示す接続先端末装置番号と割当チャネルとしてのチャネル番号を示す割当チャネル番号が含まれている。端末対応通信制御部106は、受信された通信指示情報から接続先端末装置番号と割当チャネル番号を取得する(ステップS112)。
【0058】
ここで、割当チャネルに使用できる空きチャネルが無かった場合、通信指示情報における割当チャネルの領域には、割当チャネルが無いことを示す値が格納される。そこで、端末対応通信制御部106は、ステップS112により割当チャネル番号を取得した結果として、1以上の割当チャネルが有るか否かについて判定する(ステップS113)。
【0059】
割当チャネルが有ると判定された場合(ステップS113−YES)、端末対応通信制御部106は、通信指示情報から取得した割当チャネルのそれぞれにより、ビーコンを送信する(ステップS114)。
【0060】
一方、割当チャネルが無いと判定された場合(ステップS113−NO)、端末対応通信制御部106は、チャネル優先順位テーブル記憶部105が現在記憶しているチャネル優先順位テーブルを参照する。そして、端末対応通信制御部106は、チャネル優先順位テーブルにおいて優先順位が最も高いチャネルによりビーコンを送信する(ステップS115)。
【0061】
ステップS114またはステップS115によるビーコンの送信に対して通信指示情報に含まれていた接続先端末装置番号の端末装置200が応答すれば、端末対応通信制御部106は、接続を確立させるための処理を実行する。そして、接続が確立されたのであれば、端末対応通信制御部106は、以降において他のアクセスポイント100と連携した連携ダイバーシチによる通信が行われるように制御する。
アクセスポイント100は、同図に示す処理を、制御装置300からの通信指示情報が受信されるごとに実行する。
【0062】
[端末装置の処理手順例]
次に、
図7のフローチャートを参照して、端末装置200がチャネル割り当てに関連して実行する処理手順例について説明する。
端末装置200において、通信状態指標測定部203は、通信状態指標として、アクセスポイント100の各々が送信するビーコンについてのビーコン受信電力を測定する(ステップS201)。ここで、u番目の端末装置200により測定された時刻tにおけるm番目のアクセスポイントのビーコン受信電力については、P
u,m(t)により表す。
【0063】
次に、候補アクセスポイント決定部204は、ステップS201にて受信されたビーコン受信電力の大きい順に従って、N
t個のアクセスポイント100を候補アクセスポイントとして決定する(ステップS202)。
【0064】
ここで、ステップS202において、u番目の端末装置200により決定された候補アクセスポイントは、以下の式4により表すことができる。
【0066】
式4においてn
u,kは、u番目の端末装置200に対応するk(0≦k≦N
t−1)番目の候補アクセスポイントを示す。候補アクセスポイント決定部204は、候補アクセスポイントごとのビーコン受信電力について以下の式5が成立するように、候補アクセスポイントとするN
t個のアクセスポイント100を選択することができる。
【0068】
次に、通信要求処理部205は、通信要求を送信すべきか否かについて判定する(ステップS203)。
通信要求処理部205は、通信要求を送信すべきか否かについての判定にあたり、例えば、端末装置200における現在の動作状態などに基づいて行うようにすればよい。通信要求処理部205は、現在の動作状態として通信を実行する必要があれば通信要求を送信すべきと判定し、現在の動作状態として通信を実行する必要がなければ通信要求を送信すべきでないと判定する。
【0069】
通信要求を送信すべきではないと判定された場合(ステップS203−NO)、通信要求処理部205は、通信要求を送信することなく、同図に示す処理を終了する。
【0070】
これに対して、通信要求を送信すべきと判定された場合(ステップS203−YES)、通信要求処理部205は、通信要求を制御装置300に対して送信する(ステップS204)。通信要求処理部205は、ステップS203にて通信要求を送信するにあたり、通信要求に、自端末装置番号、候補アクセスポイント番号(候補アクセスポイント情報)、ビーコン受信電力最大値(通信状態情報)の各情報を含める。
【0071】
通信要求に含まれる自端末装置番号は、自機としての端末装置200を示す端末装置番号である。
通信要求に含まれる候補アクセスポイント番号は、ステップS202により候補アクセスポイントとして決定されたアクセスポイントごとのアクセスポイント番号である。なお、通信要求に含まれる候補アクセスポイント番号は、例えば式4により表された形式であって、ビーコン受信電力の大きさに従って付されている。従って、候補アクセスポイント情報としての候補アクセスポイント番号によっては、候補アクセスポイント間のビーコン受信電力の大小関係も表されている。
通信要求に含まれるビーコン受信電力最大値は、候補アクセスポイントのうち、ビーコン受信電力が最大であった1番目のアクセスポイントのビーコン受信電力である。ビーコン受信電力最大値は、先の式5における最も右の項により表される。
【0072】
ステップS204により送信された通信要求を受信した制御装置300は、ACKまたはNACKを応答として送信する。
そこで、端末装置200の通信要求処理部205は、通信要求の送信に応じて受信された応答がACKとNACKのいずれであるのかについて判定する(ステップS205)。
【0073】
受信された応答がNACKである場合(ステップS205−NACK)、アクセスポイント対応通信制御部206は、以降におけるアクセスポイント100を接続先とする通信を停止する(ステップS206)。
【0074】
一方、受信された応答がACKである場合(ステップS205−ACK)、アクセスポイント対応通信制御部206は、受信されたACKから以下の情報を取得する。
つまり、ACKには、制御装置300が通信要求に応答して決定した接続先アクセスポイントの番号を示す接続先アクセスポイント番号と、端末装置200に割り当てた割当チャネルのチャネル番号を示す割当チャネル番号とが含まれている。
通信要求に応答して決定された接続先アクセスポイントは、例えば通信要求の送信元の端末装置200と連携ダイバーシチにより通信を行うべき複数のアクセスポイントである。
そこで、アクセスポイント対応通信制御部206は、受信されたACKから、接続先アクセスポイント番号と割当チャネル番号とを取得する(ステップS207)。
【0075】
アクセスポイント対応通信制御部206は、ステップS207により取得した割当チャネル番号により示される示すチャネルを使用チャネルとして選択する(ステップS208)。
アクセスポイント対応通信制御部206は、ステップS208により使用チャネルとして選択されたチャネルを使用して、ACKから取得した接続先アクセスポイント番号が示すアクセスポイント100との通信を開始する(ステップS209)。
【0076】
[制御装置の処理手順例]
次に、
図8のフローチャートを参照して、制御装置300がアクセスポイント100ごとにおけるチャネル優先順位を取得するための処理手順例について説明する。
制御装置300における通信部301は、
図5のステップS105によりアクセスポイント100から送信されるチャネル優先順位情報を受信する(ステップS301)。
【0077】
チャネル優先順位取得部302は、ステップS301により受信されたチャネル優先順位情報が示すチャネル優先順位を、チャネル優先順位情報の送信元のアクセスポイント100に対応付けて取得する(ステップS302)。一具体例として、チャネル優先順位取得部302は、ステップS302において、先の式2により表される形式によるチャネル優先順位を取得する。
制御装置300は、同図に示す処理を一定時間ごとに実行する。
【0078】
次に、
図9のフローチャートを参照して、制御装置300が端末装置200からの通信要求に応答して実行するチャネル割り当てのための処理手順例について説明する。
【0079】
制御装置300において、例えばマスターアクセスポイント決定部303は、
図7のステップS204により送信された通信要求が受信されるのを待機している(ステップS311−NO)。
そして、マスターアクセスポイント決定部303は、通信要求が受信されるのに応じて(ステップS311−YES)、以下の処理を実行する。つまり、マスターアクセスポイント決定部303は、受信された通信要求に含まれている要求元端末装置番号、候補アクセスポイント番号(候補アクセスポイント情報)、ビーコン受信電力最大値(通信状態情報)の各情報を取得する(ステップS312)。要求元端末装置番号は、
図7のステップS204により送信された通信要求に含まれる自端末装置番号である。
【0080】
マスターアクセスポイント決定部303がステップS312により取得した要求元端末装置番号については、u
reqと表す。u
req番目の要求元の端末装置200の通信要求から取得した候補アクセスポイント番号については以下の式6のように表すことができる。
【0082】
式6において、k(0≦k≦N
t−1)は、個々の候補アクセスポイント番号に対応する。そして、通信要求から取得した候補アクセスポイント番号の順番と、要求元の端末装置200が候補アクセスポイントごとに対応して受信したビーコンについて測定されたビーコン受信電力との関係は、以下の式7のように表される。
【0084】
また、通信要求から取得したビーコン受信電力最大値は、式7における最も右の項により表される。
【0085】
マスターアクセスポイント決定部303は、ステップS312の処理の後、全ての要求元の端末装置200からの通信要求についてのステップS312による処理を完了したか否かについて判定する(ステップS313)。
未だ処理を完了していなければ(ステップS313−NO)、マスターアクセスポイント決定部303は、ステップS311に処理を戻す。一方、全ての要求元の端末装置200からの通信要求についての処理を完了したのであれば(ステップS313−YES)、以下の処理を実行する。
【0086】
マスターアクセスポイント決定部303は、要求元の端末装置200ごとに対応する要求元端末装置番号について、ステップS312にて通信要求から取得したビーコン受信電力最大値が小さい順に並び替えを行う(ステップS314)。
ここで、要求元の端末装置200の数をU
reqとし、要求元端末装置番号の集合を以下の式8により表す。
【0088】
また、マスターアクセスポイント決定部303が、式8により表される要求元端末装置番号の集合について、ビーコン受信電力最大値が小さい順に並び替えたことによって求められる要求元端末装置番号の集合を以下の式9により表す。
【0090】
式9に対応する要求元端末装置番号ごとに対応する端末装置200のビーコン受信電力の大小関係は、以下の式10により表される。
【0092】
次に、制御装置300は、ループ処理LP1を実行する。ループ処理LP1は、u’
k番目の要求元の端末装置200を対象として、k=0,1,・・・,U
req−1の順で繰り返し実行される。つまり、ループ処理LP1においては、ビーコン受信電力最大値が小さい要求元の端末装置200から順に処理対象が選択されていく。
【0093】
ループ処理LP1においては、先ず、ループ処理LP2が実行される。
ループ処理LP2は、u’
k番目の要求元の端末装置200に対応するl番目の候補アクセスポイントについて、l=0,1,・・・,N
t−1の順で実行される。ここで、候補アクセスポイントは、式6、式7に示したように、l=0,1,・・・,N
t−1の番号の順でビーコン受信電力が小さくなっていく。従って、ループ処理LP2は、ビーコン受信電力が大きい順に従って候補アクセスポイントを処理対象として実行される。
【0094】
ループ処理LP2において、マスターアクセスポイント決定部303は、u’
k番目の要求元の端末装置200に対応するl番目(n
u’k,l番目)の候補アクセスポイントに空きチャネルが有るか否かについて判定する(ステップS315)。
【0095】
ステップS315の判定にあたり、例えば、マスターアクセスポイント決定部303は、通信部301を介した通信によって、n
u’k,l番目の候補アクセスポイントに対して空きチャネルの状態を問い合わせ、問い合わせに対する応答を受信すればよい。受信された応答において、n
u’k,l番目の候補アクセスポイントにおける空きチャネルの有無が示され、空きチャネルが有る場合には空きチャネルのチャネル番号が示される。
あるいは、先の
図8の処理により受信されるチャネル優先順位情報において、例えば優先順位ごとに空き状態にあるか否かを示す情報が含まれていてもよい。この場合、マスターアクセスポイント決定部303は、n
u’k,l番目の候補アクセスポイントから受信したチャネル優先順位情報において示される優先順位ごとの空き状態の情報を利用して、空きチャネルが有るか否かについて判定することができる。
【0096】
空きチャネルが無い場合(ステップS315−NO)、マスターアクセスポイント決定部303は、候補アクセスポイント番号に対応する変数lがN
t−1と等しいか否かについて判定する(ステップS316)。
変数lがN
t−1未満であれば(ステップS316−NO)、マスターアクセスポイント決定部303は、変数lについてインクリメントしたうえで、ステップS315に戻る。これにより、次の番号の候補アクセスポイントに空きチャネルが有るか否かについての判定が行われる。
【0097】
ステップS316にて変数lがN
t−1と等しくなったことが判定された場合(ステップS316−YES)、候補アクセスポイントのいずれにおいても空きチャネルが無かったことになる。この場合には、要求元の端末装置200に通信要求に応答した通信を行わせることができない。そこで、この場合には、u’
k番目の要求元の端末装置200に対してNACKを送信する(ステップS317)。
このように送信されたNACKは、先に示した
図7のステップS205に対応して受信される。
ステップS317によりNACKを送信した後において、さらに次の番号の要求元の端末装置200についての処理が残っていれば、次の番号の要求元の端末装置200を対象として、ループ処理LP2が実行される。
【0098】
一方、空きチャネルが有ると判定された場合(ステップS315−YES)、マスターアクセスポイント決定部303は、n
u’k,l番目の候補アクセスポイントを、u’
k番目の要求元の端末装置200に対応するマスターアクセスポイントとして決定する(ステップS318)。
なお、ループ処理LP2については、以降においてさらに番号の古い候補アクセスポイントが残っているとしても、ステップS315にてn
u’k,l番目の候補アクセスポイントが空きチャネルを有することが判定された段階で終了されればよい。即ち、ループ処理LP2は、マスターアクセスポイントとしてのアクセスポイントが特定された段階で終了されてよい。
【0099】
このように、マスターアクセスポイント決定部303は、空きチャネルを有する候補アクセスポイントのうちで、ビーコン受信電力が最大の候補アクセスポイントをマスターアクセスポイントとして決定する。つまり、マスターアクセスポイント決定部303は、空きチャネルを有する候補アクセスポイントのうちから、u’
k番目の要求元の端末装置200との通信状態が最良のアクセスポイント100をマスターアクセスポイントとして決定する。
【0100】
次に、割当チャネル決定部304は、ステップS318により決定されたマスターアクセスポイントにおいて、空きチャネルのうちでチャネル優先順位が最も高い空きチャネルを選択する(ステップS319)。
ステップS319にてチャネル優先順位が最も高い空きチャネルを選択するにあたり、割当チャネル決定部304は、先の
図8のステップS302の処理によって取得されたチャネル優先順位のうち、マスターアクセスポイントについてのチャネル優先順位を参照する。
つまり、割当チャネル決定部304は、先のステップS315に対応して認識された空きチャネルごとにチャネル優先順位と照合し、照合の結果、最もチャネル優先順位が高い空きチャネルを選択すればよい。
【0101】
ステップS319に続けては、ループ処理LP3が実行される。ループ処理LP3は、要求元の端末装置200及び接続先アクセスポイントに割り当てるべきチャネル(割当チャネル)と、要求元の端末装置200と接続すべきアクセスポイント(接続先アクセスポイント)とを決定する処理である。
【0102】
ループ処理LP3も、ループ処理LP2と同様にループ処理LP1内で実行され、u’
k番目の要求元の端末装置200に対応して、l=0,1,・・・,N
t−1の番号の候補アクセスポイントの順で実行される。そのうえで、ループ処理LP3については、l=0,1,・・・,N
t−1の番号の候補アクセスポイントのそれぞれを処理対象として実行される(即ち、マスターアクセスポイントも処理対象に含まれる)。
【0103】
ループ処理LP3において、割当チャネル決定部304は、ステップS319により選択された空きチャネルと同じ番号のチャネルがn
u’k,l番目の候補アクセスポイントにおいて空いているか否かについて判定する(ステップS320)。
選択された空きチャネルと同じチャネルがn
u’k,l番目の候補アクセスポイントにおいて空いていない場合(ステップS320−NO)、割当チャネル決定部304は、次の番号の候補アクセスポイントを対象としてステップS320の判定処理を実行する。
【0104】
一方、選択された空きチャネルと同じチャネルがn
u’k,l番目の候補アクセスポイントにおいて空いている場合(ステップS320−YES)、割当チャネル決定部304は、以下の処理を実行する。
つまり、割当チャネル決定部304は、選択された空きチャネルと同じ番号のチャネルをn
u’k,l番目の候補アクセスポイントの割当チャネルとして決定する(ステップS321)。
【0105】
また、接続先アクセスポイント決定部305は、n
u’k,l番目の候補アクセスポイントをu’
k番目の要求元の端末装置200の接続先アクセスポイントとして決定する(ステップS322)。
ステップS322の処理が終了した後、未だ処理対象となる候補アクセスポイントが残っていれば、次の番号の候補アクセスポイントを対象としてステップS320以降の処理が実行される。
【0106】
そして、ループ処理LP3によって、l=0,1,・・・,N
t−1の番号の候補アクセスポイントのそれぞれを対象とする処理が終了した段階では、以下のような状態となっている。
つまり、ステップS319により選択された空きチャネルと同じ番号のチャネルについて空きの候補アクセスポイントが、要求元の端末装置200の接続先アクセスポイントとして決定されている。また、要求元の端末装置200と接続先アクセスポイントとが相互に使用すべき割当チャネルが決定されている。
【0107】
そこで、ループ処理LP3の終了に応じて、応答処理部306は、u’
k番目の要求元の端末装置200に対して、決定された割当チャネルを示す割当チャネル番号と、接続先アクセスポイントを示す接続先アクセスポイント番号とをACKに含める。
そして、応答処理部306は、上記のように割当チャネル番号と接続先アクセスポイント番号が含められたACKを、u’
k番目の要求元の端末装置200に送信する(ステップS323)。
ACKを受信したu’
k番目の要求元の端末装置200は、
図7のステップS207〜S209として示したように、ACKに含まれていた割当チャネル番号が示すチャネルを使用して、接続先アクセスポイント番号が示すアクセスポイント100と通信を実行する。これにより、接続先アクセスポイント番号が示す複数のアクセスポイント100が連携ダイバーシチによりu’
k番目の要求元の端末装置200と通信を行う状態が得られる。
【0108】
ステップS323の処理を終了した後、未だ、次の番号の要求元の端末装置200が残っていれば、ステップS315に処理が戻され、次の番号の要求元の端末装置200を対象として、割当チャネルと接続先アクセスポイントとが決定される。
【0109】
そして、全ての要求元の端末装置200を処理対象としてループ処理LP1が実行された段階では、通信要求を送信してきた要求元の端末装置200ごとに対応して、割当チャネルと接続先アクセスポイントとが決定されている。
そこで、接続指示部307は、接続先アクセスポイントとして決定されたアクセスポイントのそれぞれに対して接続指示情報を送信する(ステップS324)。接続指示部307は、送信すべき接続指示情報に、送信先のアクセスポイントに対応して決定された割当チャネル番号と、送信先のアクセスポイントが通信すべき要求元の端末装置200を示す接続先端末装置番号とを含める。
【0110】
接続指示情報を受信したアクセスポイント100は、前述のように、
図6に示す処理によって、接続先端末装置番号が示す端末装置200と通信を行うためのビーコンの送信を行う。
【0111】
これまでの説明から理解されるように、本実施形態においては、CS−DCAのもとでアクセスポイント100が独立に使用していたチャネル優先順位の情報を、制御装置300に送信するようにしている。
また、本実施形態の端末装置200は、ビーコン受信電力に基づいて決定された候補アクセスポイント情報とビーコン受信電力最大値(通信状態情報)を通信要求に含めて送信する。
そして、制御装置300は、空きチャネルを有する候補アクセスポイントのうちから、要求元の端末装置200との通信状態が最良の(ビーコン受信電力が最も高い)アクセスポイント100をマスターアクセスポイントとして決定する。
そのうえで、制御装置300は、決定されたマスターアクセスポイントにおいてチャネル優先順位が最も高い空きチャネル、即ち、マスターアクセスポイントにおける空きチャネルのうちで、通信状態が最良のチャネルを割当チャネルとして決定する。また、制御装置300は、マスターアクセスポイントを含み、割当チャネルが空きチャネルとなっている候補アクセスポイントを、通信要求送信元の端末装置200の接続先アクセスポイントとして決定する。
そして、制御装置300は、上記のように決定された割当チャネルをアクセスポイント100と端末装置200とに通知する。
【0112】
このように、本実施形態の通信システムにおいては、マスターアクセスポイントのみを考慮してチャネル割り当て及び連携ダイバーシチにより通信するアクセスポイント100のグループと端末装置200との組み合わせの決定を行っている。これにより、本実施形態においては、チャネル割り当てのための演算処理量を軽減することが可能になる。
また、本実施形態の通信システムにおいては、
図9のステップS319として示したように、割当チャネルを決定する際には、マスターアクセスポイントにおけるチャネル優先順位が反映される。つまり、本実施形態では、連携ダイバーシチによりアクセスポイント100が端末装置200と通信を行う通信システムでありながら、CS−DCAChannel Segregation-Dynamic Channel Assignment)によるチャネル割り当て手法を適用できている。これにより、本実施形態の通信システムでは、同一チャネル干渉を抑制するようにチャネルを割り当てることが可能になる。
【0113】
また、本実施形態の通信システムにおいては、
図9のステップS314及びループ処理LP1として示したように、ビーコン受信電力最大値が小さい端末装置200の順でマスターアクセスポイントが決定される。つまり、マスターアクセスポイント決定部303は、通信要求に含まれる通信状態情報により示される通信状態が良好でない通信要求の送信元の端末装置から順にマスターアクセスポイントを決定する。
これに応じて、割当チャネル決定部304は、マスターアクセスポイント決定部303により決定されたマスターアクセスポイントの順に割当チャネルを決定する。
このような順序で割当チャネルが決定されることで、本実施形態では、通信要求に含まれる通信状態情報により示される通信状態が良好でない端末装置200から優先的にチャネル割り当てが行われていく。
これにより、チャネルの割り当て条件としては通信状態が良好でない端末装置200が有利となって、通信要求の要求元である複数の端末装置200の通信状態が平準化される。この結果、通信システム全体における通信品質を向上させることが可能になる。
【0114】
なお、上述した実施形態におけるアクセスポイント100、端末装置200、制御装置300の各機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0115】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。