特許第6084114号(P6084114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許6084114-パッケージ基板の加工方法 図000002
  • 特許6084114-パッケージ基板の加工方法 図000003
  • 特許6084114-パッケージ基板の加工方法 図000004
  • 特許6084114-パッケージ基板の加工方法 図000005
  • 特許6084114-パッケージ基板の加工方法 図000006
  • 特許6084114-パッケージ基板の加工方法 図000007
  • 特許6084114-パッケージ基板の加工方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6084114
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】パッケージ基板の加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170213BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20170213BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 F
   H01L23/12 501S
   H01L25/08 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-99950(P2013-99950)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-220443(P2014-220443A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(72)【発明者】
【氏名】久保田 一弘
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−339011(JP,A)
【文献】 特開2008−235401(JP,A)
【文献】 特開2001−257310(JP,A)
【文献】 特開2012−079734(JP,A)
【文献】 特開2006−216691(JP,A)
【文献】 特開2012−243884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 23/12
H01L 25/065
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差する複数の分割予定ラインで区画された基板上のチップ領域に配設された複数のデバイスチップと、該デバイスチップの外周に形成された複数の柱状導体電極と、複数の該デバイスチップと該柱状導体電極とを被覆する樹脂封止層と、を有するパッケージ基板の加工方法であって、
少なくとも該複数の柱状導体電極が埋設された領域の該樹脂封止層を切削ブレードで切削してパッケージ基板の仕上げ厚みより深い切削溝を形成し、該切削溝の溝底に該柱状導体電極の端面を露出させる切削ステップと、
該切削ステップを実施した後、パッケージ基板の該樹脂封止層とともに該基板上に配設された該複数のデバイスチップを研削砥石で研削してパッケージ基板を該仕上げ厚みへと薄化する研削ステップと、
を備えたことを特徴とするパッケージ基板の加工方法。
【請求項2】
前記研削ステップを実施した後、前記切削溝の溝底に露出した前記柱状導体電極の端面にバンプを形成するバンプ形成ステップと、
該バンプ形成ステップを実施した後、パッケージ基板を前記分割予定ラインに沿って分割して個々のチップパッケージを形成する分割ステップと、
を更に備えた請求項1記載のパッケージ基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状導体電極が埋設されたパッケージ基板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化に伴い、半導体デバイスを実装する際、高密度実装を可能にする様々な方法が検討されている。高密度実装を可能とする一つの方法として複数のデバイスを積層する三次元実装がある。三次元実装用の電極として内部に例えば銅等の導体からなる複数の柱状の導体電極が形成されたパッケージ基板が知られている(例えば、特開2004−048048号公報参照)。
【0003】
このようなパッケージ基板は、通常、交差する複数の分割予定ラインで区画された基板上のチップ領域に複数のデバイスチップを搭載するとともにデバイスチップの外周に複数の柱状導体電極を形成した後、デバイスチップ面を封止樹脂で封止することで形成される。その後、従来は封止樹脂の表面を例えばバイト切削やエッチング等で除去して、柱状導体電極の端面を封止樹脂面に露出させるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−048048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パッケージ基板を分割して形成されるチップパッケージの厚みを薄化するためにも、基板上に搭載されたデバイスチップも薄化したいという要望がある。そこで、例えば、パッケージ基板の封止樹脂面をデバイスチップと共に研削して所定厚みへと薄化することが考えられる。
【0006】
しかし、研削されたデバイスチップの被研削面は非常に活性化した状態である上、デバイスチップとともに柱状導体電極まで研削されてしまうため、柱状導体電極の研削屑に含まれる重金属イオンによってデバイスチップが金属汚染されてしまうという恐れがある。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属汚染が発生する恐れを低減可能な柱状導体電極が埋設されたパッケージ基板の加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、交差する複数の分割予定ラインで区画された基板上のチップ領域に配設された複数のデバイスチップと、該デバイスチップの外周に形成された複数の柱状導体電極と、複数の該デバイスチップと該柱状導体電極とを被覆する樹脂封止層と、を有するパッケージ基板の加工方法であって、少なくとも該複数の柱状導体電極が埋設された領域の該樹脂封止層を切削ブレードで切削してパッケージ基板の仕上げ厚みより深い切削溝を形成し、該切削溝の溝底に該柱状導体電極の端面を露出させる切削ステップと、該切削ステップを実施した後、パッケージ基板の該樹脂封止層とともに該基板上に配設された該複数のデバイスチップを研削砥石で研削してパッケージ基板を該仕上げ厚みへと薄化する研削ステップと、を備えたことを特徴とするパッケージ基板の加工方法が提供される。
【0009】
好ましくは、パッケージ基板の加工方法は、前記研削ステップを実施した後、前記切削溝の溝底に露出した前記柱状導体電極の端面にバンプを形成するバンプ形成ステップと、該バンプ形成ステップを実施した後、パッケージ基板を前記分割予定ラインに沿って分割して個々のチップパッケージを形成する分割ステップと、を更に備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパッケージ基板の加工方法によると、まず切削によって柱状導体電極が埋設された領域がパッケージ基板の仕上げ厚みより深く切削され、柱状導体電極の端面を露出させる。次いで、パッケージ基板の樹脂封止層とデバイスチップとはパッケージ基板の仕上げ厚みまで研削される。
【0011】
柱状導体電極の端面の高さ位置はパッケージ基板の仕上げ厚みの高さ位置よりも低いため、研削によって柱状導体電極が研削されることがなく、柱状導体電極の研削屑に含まれる重金属イオンによってデバイスチップが金属汚染されてしまう恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(A)はパッケージ基板の一例の部分平面図、図1(B)はその断面図である。
図2】切削ステップの第1実施形態を示す断面図である。
図3】第2実施形態の切削ステップ実施後の断面図である。
図4】研削ステップを示す側面図である。
図5】研削ステップ実施後のパッケージ基板の断面図である。
図6】バンプ形成ステップ実施後のパッケージ基板の断面図である。
図7】分割ステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1(A)を参照すると、パッケージ基板10の一例を示す部分平面図が示されている。図1(B)はその縦断面図である。
【0014】
パッケージ基板10は、樹脂基板又はシリコン基板等の基板12と、直交する複数の分割予定ライン25で区画された基板12上のチップ領域に配設された複数の積層デバイスチップ20と、積層デバイスチップ20の外周に形成された複数の柱状導体電極22と、複数の積層デバイスチップ20と複数の柱状導体電極22とを被覆する樹脂封止層24とを含んでいる。
【0015】
各積層デバイスチップ20は、基板12上に実装された第1デバイスチップ14と、第1デバイスチップ14上に搭載され複数の電極18で電気的に第1デバイスチップ14に接続された第2デバイスチップ16とから構成される。
【0016】
図1(A)に示されるように、柱状導体電極22は、各積層デバイスチップ20の四辺を囲むように基板12上に搭載されている。柱状導体電極22は例えば銅から形成されている。封止樹脂24としては、例えばエポキシ樹脂が採用可能である。
【0017】
図1(B)に示されるように、積層デバイスチップ20の高さと柱状導体電極22の高さは概略同等に形成されている。図1(B)でt1はパッケージ基板10の仕上げ厚みを示している。
【0018】
本実施形態のパッケージ基板10では、基板12上に積層デバイスチップ20が実装されているものとして示したが、基板12のチップ領域にそれぞれ一つのデバイスチップを搭載するようにしてもよい。
【0019】
本発明のパッケージ基板の加工方法では、まず柱状導体電極22が埋設された領域の封止樹脂層24を切削ブレードで切削して、パッケージ基板10の仕上げ厚みt1より深い切削溝を形成する切削ステップを実施する。
【0020】
この切削ステップでは、図2に示すように、切削装置のチャックテーブル26でパッケージ基板10の基板12側を吸引保持し、封止樹脂層24を露出させる。図2で28は切削ユニットであり、図示しないモータにより回転駆動されるスピンドル30と、スピンドル30の先端部に装着された切削ブレード32とを含んでいる。
【0021】
切削ステップでは、切削ブレード32を矢印A方向に高速で回転させながら、柱状導体電極22が埋設された位置の封止樹脂層24にパッケージ基板10の仕上げ厚みt1より深い深さまで切り込みながら、チャックテーブル26を加工送り方向(紙面に垂直方向)に加工送りして、パッケージ基板10の仕上げ厚みt1より深い切削溝33を形成し、切削溝33の溝底に柱状導体電極22の端面22aを露出させる。
【0022】
この切削ステップでは、図2に示すように、各柱状導体電極22に対応する封止樹脂層24を順々に切削してもよいし、幅の広い切削ブレードを使用して、図3に示すように、分割予定ライン25を挟んで隣接する2本の柱状導体電極22に対応する領域の封止樹脂層24を一度の切削で切削除去して切削溝33Aを形成し、隣接する2本の柱状導体電極22の端面22aを同時に露出させるようにしてもよい。或いは、図2に示すような切削ブレード32で複数回切削して、図3に示すような切削溝33Aを形成するようにしてもよい。
【0023】
切削ステップを実施した後、パッケージ基板10を仕上げ厚みt1へと薄化する研削ステップを実施する。この研削ステップでは、図4に示すように、研削装置のチャックテーブル34でパッケージ基板10の基板12側を吸引保持し、封止樹脂層24を露出させる。
【0024】
図4で、36は研削装置の研削ユニットであり、モータにより回転駆動されるスピンドル38と、スピンドル38の先端に固定されたホイールマウント40と、ホイールマウント40に着脱可能に固定された研削ホイール42とを含んでいる。研削ホイール42は、環状ホイール基台44と、環状ホイール基台44の下端部外周に固着された複数の研削砥石46とから構成される。
【0025】
研削ステップでは、チャックテーブル34を矢印A方向に例えば300rpmで回転させるとともに研削ホイール42を矢印B方向に例えば6000rpmで回転させつつ、図示しない研削送り機構を駆動して研削ホイール42を下方に所定量研削送りしながら、パッケージ基板10の封止樹脂層24に研削を実施する。研削途中からは、封止樹脂層24のみならず、積層デバイスチップ20の第2デバイスチップ16の裏面も研削してパッケージ基板10を仕上げ厚みt1へと薄化する。
【0026】
各柱状導体電極22の端面22aの高さ位置は切削ステップによりパッケージ基板10の仕上げ厚みt1の高さ位置よりも低くなるように切削されているため、研削によって柱状導体電極22が研削されることがなく、柱状導体電極22の研削屑に含まれる重金属イオンによって第1及び第2デバイスチップ14,16が金属汚染されてしまうことが防止される。研削ステップ終了後のパッケージ基板の断面図が図5に示されている。
【0027】
本発明のパッケージ基板の加工方法では、研削ステップを実施した後、図6に示すように、切削溝33Aの溝底に露出した柱状導体電極22の端面22aにバンプ48を形成するバンプ形成ステップを実施する。
【0028】
バンプ形成ステップ実施後、パッケージ基板10を分割予定ライン25に沿って分割して個々のチップパッケージを形成する分割ステップを実施する。この分割ステップは、例えば図7に示すような切削ブレード32Aを使用した切削ステップにより実施する。
【0029】
この切削ステップでは、パッケージ基板10の基板12側に外周が環状フレームに装着されたダイシングテープ50を貼着し、切削装置のチャックテーブル26でダイシングテープ50側を吸引保持する。
【0030】
切削ブレード32Aを高速で回転させながらダイシングテープ50に至るまで切り込ませ、チャックテーブル26を加工送り方向(紙面に垂直方向)に加工送りすることにより、パッケージ基板10を分割予定ライン25に沿って完全切断する。
【0031】
分割予定ライン25のピッチずつ切削ユニット28を割出し送りしながら、第1の方向に伸長する分割予定ライン25を全て切削する。次いで、チャックテーブル26を90度回転して、第1の方向に直交する第2の方向に伸長する分割予定ライン25を完全切断することにより、パッケージ基板10は個々のチップパッケージに分割される。
【0032】
この分割ステップは、切削ブレードによる切削加工に限定されるものではなく、レーザー加工装置を使用したレーザー加工により実施するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 パッケージ基板
12 基板
14 第1デバイスチップ
16 第2デバイスチップ
18 接続電極
20 積層デバイスチップ
22 柱状導体電極
22a 端面
24 封止樹脂層
25 分割予定ライン
28 切削ユニット
32,32A 切削ブレード
33,33A 切削溝
36 研削ユニット
42 研削ホイール
48 バンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7