(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの二次放射源は、第1の二次放射源と第2の二次放射源とを有し、前記第1の二次放射源が前記第1の量の放射を生成し、前記第2の二次放射源が前記第2の量の放射を生成する、請求項2に記載の放射源。
前記放射源は、前記第1の方向と、前記改質燃料分布の前記表面の前記一部への前記法線と、の間の角度が約10°〜約30°の間にあるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の放射源。
前記放射源は、前記改質燃料分布がほぼ円板の形状であり、前記改質燃料分布の前記表面の前記一部がほぼ平坦であるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の放射源。
前記放射源は、前記改質燃料分布がほぼ円錐形又はほぼ球形キャップの形状であり、前記改質燃料分布の前記表面の前記一部がそれぞれほぼ円錐形の表面又はほぼ球形キャップ状の表面であるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の放射源。
パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するリソグラフィ装置であって、該リソグラフィ装置は、少なくとも1つの二次放射源と、放射ビームを光軸に沿って前記パターニングデバイスに提供する放射源と、を備え、
前記放射源は、燃料小滴の流れを軌道に沿ってプラズマ形成位置へと誘導するノズルを有し、
前記放射源は、第1の量の放射が前記プラズマ形成位置で燃料小滴に入射するように、及び、前記第1の量の放射がエネルギーを前記燃料小滴に伝達して改質燃料分布を生成するように、前記第1の量の放射を前記少なくとも1つの二次放射源から受け、前記改質燃料分布は表面を有し、
前記放射源は、前記表面の一部に対してp偏光された成分を有する第2の量の放射が前記改質燃料分布の前記表面の一部に入射するように、及び、前記第2の量の放射が前記改質燃料分布にエネルギーを伝達して第3の量の放射を放出する放射生成プラズマを生成するように、前記第2の量の放射を前記少なくとも1つの二次放射源から受け、
前記放射源は、前記第3の量の放射の少なくとも一部を集光し前記光軸に沿って前記パターニングデバイスへと誘導するコレクタをさらに有し、
前記放射源は、前記改質燃料分布の前記表面の前記一部への法線に対して平行ではない第1の方向に前記第2の量の放射が伝搬するように構成される、リソグラフィ装置。
プラズマ共鳴により最大限のエネルギー量が前記第2の量の放射から前記改質燃料分布に伝達される、前記第1の方向と前記改質燃料分布の前記表面の前記一部への前記法線との間の角度を決定するステップと、
第2の量の放射が前記第1の方向に伝搬するように前記第2の量の放射を生成するステップと、をさらに含み、
前記第1の方向と前記改質燃料分布の前記表面の前記一部への法線との間の角度は、プラズマ共鳴により最大限の量のエネルギーが前記第2の量の放射から前記改質燃料分布へと伝達される前記角度である、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[0037] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことでさらに明白になろう。図面では、一般に、同様の参照番号は、同一の、機能的に同様な及び/又は構造的に同様な要素を示す。ある要素が最初に出現する図面は、対応する参照番号の左端の1つ以上の数字によって示される。
【0030】
[0038] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される実施形態に限定されない。
【0031】
[0039] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識にあることが理解される。
【0032】
[0040] 本発明の実施形態はハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はその任意の組合せで実施することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサで読み取り、実行することができる機械読み取り式媒体に記憶した命令として実施することもできる。機械読み取り式媒体は、機械(例えば、計算デバイス)で読み取り可能な形態で情報を記憶するか、又は伝送する任意の機構を含むことができる。例えば、機械読み取り式媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、及びその他を含んでもよい。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を、本明細書では特定の行為を実行するものとして記述してもよい。しかしながら、このような記述は便宜的なものにすぎず、このような行為は実際には計算デバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスの結果であることを認識されたい。
【0033】
[0041] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0034】
[0042]
図1は、放射源、この場合は、本発明の一実施形態による放射源コレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上にパターニングデバイスMAによって放射ビームBへ付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影システム)PSと、を備える。
【0035】
[0043] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0036】
[0044] 支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにしてもよい。
【0037】
[0045] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用することができる任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0038】
[0046] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0039】
[0047] 照明システムのような投影システムは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、磁気光学システム、電磁光学システム、静電光学システム等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。ガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を設けてもよい。
【0040】
[0048] 本明細書で示すように、装置は反射型である(例えば反射型マスクを使用する)。
【0041】
[0049] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでもよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、又は1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行してもよい。
【0042】
[0050]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線(EUV)放射ビームを受光する。EUV放射を生成する方法は、物質を少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム又はスズを有し、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有するプラズマ状態に変換する工程を含むが、これに限定されない。多くの場合、レーザ生成プラズマ(LPP)と呼ばれるそのような1つの方法では、燃料をレーザビームで照射することで要求されるプラズマを生成できる。燃料は、例えば、要求される輝線放出元素を有する物質の小滴、ストリーム又はクラスタなどであってもよい。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(
図1には示さず)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として得られるプラズマは、放射源コレクタモジュール内に配置された放射源者コレクタを用いて収集される出力放射、例えば、EUV放射を放出する。レーザ及び放射源コレクタは、例えば、CO
2レーザを用いて燃料励起のためのレーザビームを提供する場合のように、独立した構成要素であってもよい。そのような例では、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成するとは考えられず、例えば、好適な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いて放射ビームはレーザから放射源コレクタモジュールへ渡される。別の例では、例えば、放射源が、多くの場合、DPP放射源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合のように、放射源はコレクタモジュールの一体化部分であってもよい。
【0043】
[0051] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面に所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0044】
[0052] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAに反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0045】
[0053] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0054] 1.ステップモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与したパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
[0055] 2.スキャンモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
[0056] 3.別のモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに付与されたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0046】
[0057] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0047】
[0058]
図2は、放射源(放射源コレクタモジュールSO)、照明システムIL、及び投影システムPSを含む装置100をより詳細に示している。放射源コレクタモジュールSOは、真空環境が放射源コレクタモジュールSOの密封構造220内に維持されるように構成され、配置される。
【0048】
[0059] レーザLAは、レーザビーム205を介して燃料供給源200から供給されるキセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料にレーザエネルギーを堆積することによって、数10eVの電子温度を有する高電離プラズマ210を生成するように配置される。これらのイオンの脱励起及び再結合中に生成されるエネルギー出力放射はプラズマから放出され、垂直に近い入射コレクタ光学系COによって集光され、合焦される。以下に記載の実施形態では、燃料はスズ(Sn)である。
【0049】
[0060] 燃料により吸収される燃料に入射する放射エネルギー(例えばレーザビーム)の比率が大きいほど、プラズマのエネルギーは大きくなり、それ故、プラズマが生成する出力放射の量が大きくなる。
【0050】
[0061] レーザLAは放射源の一部を形成しなくてもよく、すなわち放射源の外部にあり、及び/又は放射源と別個のものでもよい。
【0051】
[0062] レーザLAは燃料に入射する2つの放射量を放出する(それ故、対応する2つの量のレーザエネルギーが燃料内に伝達される)。レーザLAによって放出される、燃料に入射する第1の量の放射は、プリパルスと呼んでもよい。レーザLAによって放出され、燃料に入射する第2の量の放射は、主パルスと呼んでもよい。プリパルスは燃料を加熱する。場合によっては、プリパルスは燃料を低密度プラズマに転換する。プリパルスは燃料を整形することもある。プリパルスのレーザエネルギーが燃料に伝達された後(すなわち燃料がプリパルスによって加熱され、及び/又は整形されると)、燃料は改質燃料分布と呼んでもよい。次に、主パルスは改質燃料分布に入射する。主パルスは高電離プラズマ210を生成し、これが第3の量の放射を放出する。(出力放射、例えばEUV放射とも呼ばれる)この第3の量の放射はコレクタ光学系COによって集光され、合焦され、次に上述のようにリソグラフィ装置を通って下流側に伝搬する。
【0052】
[0063] 本発明のこの実施形態は、第1及び第2の量の放射(プリパルス及び主パルス)を提供するレーザLAを有するが、本発明の別の実施形態では、任意の別の適切な放射源が第1及び第2の量の放射を提供してもよい。本発明の幾つかの実施形態では、別個の放射源(例えば別個のレーザ)が第1及び第2の量の放射のそれぞれを提供してもよい。
【0053】
[0064] コレクタ光学系COによって反射される放射は、仮想放射源ポイントIFへと合焦される。仮想放射源ポイントIFは一般に中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールSOは、中間焦点IFが密封構造220内の開口221に、又はその近傍に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0054】
[0065] その後、放射は照明システムILを横切る。照明システムILは、パターニングデバイスMAでの放射ビーム21の所望の角分散及びパターニングデバイスMAでの放射強度の所望の均一性を提供するように構成されたファセット型フィールドミラーデバイス22及びファセット型瞳ミラーデバイス24を含んでもよい。パターニングデバイスMAにて放射ビーム21が反射すると、パターン付ビーム26が形成され、パターン付ビーム26は、投影システムPSによって反射要素28、30を介して、基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0055】
[0066] 照明システムIL及び投影システムPS内には、一般に、図示するよりも多くの要素が存在していてもよい。さらに、図に示すよりも多くのミラーが存在してもよく、例えば、投影システムPS内には、
図2に示す他に1〜6個の追加の反射要素があってもよい。
【0056】
[0067] 次に装置のレーザ生成プラズマ部分に戻ると、幾つかの既知のリソグラフィ装置(例えば本発明の一部を形成しないリソグラフィ装置)では、以下のプロセスが実行される。幾つかの既知のリソグラフィ装置では、プリパルス(すなわち第1の量の放射)は存在しない。すなわち、燃料が主放射パルスに曝される前に、燃料は改質燃料分布になるように改質されない。別の既知のリソグラフィ装置では、プリパルス(すなわち第1の量の放射)が使用され、改質燃料分布が生成される。これらの方法の両方に共通して、主ビームが入射する未改質燃料又は改質燃料分布の表面に垂直な方向に伝搬するように、未改質燃料又は改質燃料分布のいずれかに提供される主パルスは、それぞれ未改質燃料又は改質燃料に誘導される。
【0057】
[0068] 主ビームが入射する未改質燃料又は改質燃料分布の表面に垂直な方向に伝搬するように、主ビームを未改質燃料又は改質燃料分布に誘導することにはかなりの技術的先入観がある。その理由は、エネルギーを主パルスから未改質燃料又は改質燃料分布に伝達する際に使用されるメカニズムの1つが、制動放射吸収などの少なくとも1つの従来の吸収プロセスであるからである。未改質燃料又は改質燃料分布への従来の放射吸収は、主パルスが入射する未改質燃料又は改質燃料分布の表面に垂直に主パルスが入射する場合に最大になることは知られている。
【0058】
[0069] 従来の吸収メカニズムにより主パルスから未改質燃料又は改質燃料によって吸収されるエネルギー量は、主パルスが未改質燃料又は改質燃料分布の表面に垂直に入射することによって最大になるが、出力放射(例えばEUV放射)を生成するためにこれらの従来の吸収メカニズムを使用することは極めて非効率であることが判明している。例えば、主パルスによって提供されるエネルギーの5%未満しか有用な出力放射に変換されない。この理由の1つは、主パルスから未改質燃料又は改質燃料分布へと吸収されるエネルギーの量は、主パルスが未改質燃料又は改質燃料分布の表面に垂直に入射することによって最大になるが、主パルスから未改質燃料又は改質燃料分布へのエネルギー結合が乏しいからである。すなわち、未改質燃料又は改質燃料分布による主パルスの(従来の吸収メカニズムによる)吸収が低い。場合によっては、未改質燃料又は改質燃料分布によって主パルスの50%未満しか吸収されない。この理由の少なくとも一部は、燃料の光学特性にある。例えば、燃料(それ故、燃料から生成される任意の改質燃料分布)は、主パルスの放射に対する反射率が高い。このため、相当量の主パルスは未改質燃料又は改質燃料分布によって吸収され、それ故、高電離プラズマ、それ故、出力放射(例えばEUV放射)を生成するために使用されずに未改質燃料又は改質燃料分布から反射される。未改質燃料又は改質燃料分布による主パルス放射の吸収率が低いことによってプラズマにより生成される出力放射の量が低減するだけではなく、上述のように、主パルス放射のかなりの部分が未改質燃料又は改質燃料分布によって反射又は透過される。
【0059】
[0070] 未改質燃料又は改質燃料分布によって反射又は透過されるレーザ放射は、放射源(放射源コレクタモジュールSO)から、放射源コレクタモジュールの下流側のリソグラフィ装置の一部、例えばイルミネータ、投影システム、パターニングデバイス又は基板へと通過することがある。放射源から放射源の下流側のリソグラフィ装置の一部へと通過するレーザ放射は、帯域外(OoB)放射と呼んでもよい。OoB放射はリソグラフィ装置の結像性能を低下させ、及び/又はリソグラフィ装置の一部の加熱を引き起こし、その結果、リソグラフィ装置に損傷を生じることがある。
【0060】
[0071] 出願人は、驚くべきことに、及び当技術分野の先入観とは異なり、主パルスからの放射を燃料に伝達するために従来の吸収メカニズム以外のメカニズムを使用してもよいことを発見した。
【0061】
[0072]
図3は、プラズマ44の表面42に入射する放射ビーム40の概略図を示す。放射ビーム40は、電界E
pが入射面に対して平行になるようにp偏光される。入射面は、放射ビーム40の進行方向と、プラズマ44の表面42への法線46とによって画定される平面である。磁界H
pは、図の平面に対して垂直であり、図面から観察者へと効果的に向かうような磁界である。放射ビーム40は、プラズマ44の表面42への法線46に対して角度φをなす波動ベクトルkを有する。プラズマ44は、矢印48で示すz方向の電子密度勾配Neを有する。
【0062】
[0073] 出願人は、
図3に示すシステムでプラズマ共鳴が生じることを認識した。プラズマ共鳴吸収の量A
pは下記の関係式によって与えられる。
【数2】
ここで、kは入射レーザ放射の波動ベクトルの大きさ(入射レーザ放射の波動ベクトルkの大きさは、2π/λによって与えられ、ここで、λは入射レーザ放射の波長である)、δはプラズマ密度スケール長さ、及びφは入射レーザ放射ビームの波動ベクトルkとプラズマ表面への法線との間の(入射角とも呼ばれる)角度である。プラズマ密度スケール長さδは、プラズマ密度(すなわちイオン及び/又は電子の密度)の変化率の尺度である。プラズマ密度スケール長さδが短いほど、プラズマ密度の変化率は高くなる。逆に、プラズマ密度スケール長さδが長いほど、プラズマ密度の変化率は低くなる。
【0063】
[0074]
図4は、度で示す入射角φの関数としての全吸収A(すなわち、プラズマ共鳴吸収、及び制動放射吸収などのその他のメカニズムによる吸収を含む)のグラフを示す。プラズマによる全吸収Aは入射する放射の比率として示され、ここで、1はプラズマにより入射放射が完全に吸収されることを示し(すなわち、プラズマによる入射放射の100%の吸収)、0はプラズマにより入射放射が吸収されないことを示す。
【0064】
[0075] グラフ内で、線50及び52は、プラズマ密度スケール長さδが20であるプラズマに関する線であり、線54及び56は、プラズマ密度スケール長さδが10であるプラズマに関する線である。グラフで、線50及び54は、(プラズマ表面に対して)p偏光されたプラズマへの放射入射に関する線であり、線52及び56は、(プラズマ表面に対して)s偏光されたプラズマへの放射入射に関する線である。
【0065】
[0076] グラフからプラズマによるs偏光放射の全吸収Aは、入射角φが増大すると減少することが分かる。しかしながら、グラフは、p偏光入射放射の場合は、入射角φがゼロから増大すると全吸収Aは最大値まで増大し、次いで減少することを示している。グラフに示した例では、(線50で示される)プラズマ密度スケール長さδが20であるプラズマによるp偏光入射放射の最大全吸収Aは、約17°の入射角φで生じる。同様に、(線54で示される)プラズマ密度スケール長δさが10であるプラズマによりp偏光入射放射の最大全吸収Aは、約22°の入射角で生じる。
【0066】
[0077] p偏光放射に関するグラフの各々の線(50,54)について、最大全吸収と入射角φが0°である場合の全吸収との差は、プラズマ共鳴吸収による余剰吸収によるものである。プラズマ共鳴吸収は、入射角が0°ではないプラズマにp偏光放射が入射する場合に生じる。グラフから、(線50で示される)プラズマ密度スケール長さδが20である入射p偏光放射を有するプラズマの場合、プラズマ共鳴吸収は入射角φが0°での約0.4から入射角φが約17°での約0.7に増大することが分かる。同様に、プラズマ密度スケール長さδが10で、(線54で示される)入射p偏光放射のプラズマの場合、プラズマ共鳴吸収は全吸収Aを入射角φが0°である場合の約0.23から入射角φが約22°である場合の約0.63まで増大させる。
【0067】
[0078] プラズマに入射する放射の全吸収Aは、入射する放射の波長、入射する放射の入射角、及びプラズマ密度スケール長さに依存することが理解されよう。さらに、プラズマへの放射入射角の所与の任意の波長で最大全吸収Aが生じる入射角は、入射する放射の波長、及びプラズマ密度スケール長さに依存することが理解されよう。通常はプラズマ密度スケール長さが長くなると、最大全吸収が生じる入射角はより小さくなる(すなわち0°に近くなる)。より長いプラズマ密度スケール長さは、長いレーザパルス持続時間及び/又は長いレーザ波長を用いるレーザによって(例えばプリパルスを用いて)生成されるプラズマで生じる可能性が高い。
【0068】
[0079] 本発明は、放射が入射する燃料の表面に対して垂直ではない入射角でプラズマに入射する放射が、プラズマ共鳴吸収により燃料による全吸収を増大させるという出願人の驚くべき発見を利用している。
【0069】
[0080]
図5は、本発明の実施形態による放射源60の一部の概略図を示す。放射源60は、燃料小滴62の流れを軌道64に沿ってプラズマ形成位置66へと誘導するように構成されたノズル(図示せず)を備える。放射源60は、(プリパルスとも呼んでもよい)第1の量の放射68を第1の二次放射源(図示せず)から受けるように構成される。第1の二次放射源は放射源60の一部を形成してもよく、又は放射源60と別個のものでもよい。第1の量の放射は、プラズマ形成位置66で燃料小滴62aに入射する。第1の量の放射68は、エネルギーを燃料小滴62に伝達して改質燃料分布70を生成する。
【0070】
[0081] 改質燃料分布70は、燃料小滴62aに第1の量の放射68が入射するポイントから軌道64に沿って変位することが分かる。
図5は、第1の量の放射によって燃料小滴(改質燃料分布を形成するために第1の量の放射によって改質されているため図示しない)から形成される改質燃料分布70を示している。改質燃料分布70は、改質燃料分布70がそれから生成された燃料小滴に入射する第1の量の放射68によって改質燃料分布70が生成されたポイントから重力の作用で移動する。本発明の幾つかの実施形態では、改質燃料分布は、第1の量の放射68がそれぞれの燃料小滴に入射することによって改質燃料分布が生成された位置と同じ位置に留まってもよい。改質燃料分布70と共に、
図5は、第1の量の放射68が入射する後続の燃料小滴(すなわち、燃料小滴が改質燃料分布70を生成した後にノズル(図示せず)によって放出された燃料小滴)を示している。
【0071】
[0082] 第1の量の放射68は、第1の量の放射68から燃料小滴62aへのエネルギー伝達によって生成される改質燃料分布70が、その中心から第1の量の放射68の伝搬方向とほぼ垂直な平面へと外側に膨張するように、燃料小滴62aのほぼ中心へと誘導される。その結果、この場合の改質燃料分布70は、(
図5が円板の断面を示しているため目視できないが)ほぼ円板状の形状である。改質燃料分布70は、ほぼ平坦な(又はほぼ平板な)表面70aを有する。
【0072】
[0083] 「表面」という用語は、単一の連続面だけではなく、複数の離散面からなる表面(例えば燃料のミストなどの多数の燃料小滴の表面)も含むものとして広義に解釈されるべきであることを理解されたい。「表面」という用語はまた、2つの異なる材料間の界面である明確な表面を含むだけではなく、本発明の場合のようにプラズマ粒子の密度勾配などの不明確な表面も含むように広義に解釈されるべきである。この場合のプラズマ粒子の密度勾配は、改質燃料分布の表面のプラズマ粒子の密度が、改質燃料分布の中心からの距離が増すほど低くなるような密度勾配である。
【0073】
[0084] 改質燃料分布70はミストと呼ばれてもよく、通常は直径が約500ミクロン〜約600ミクロンである。しかしながら、本発明の別の実施形態では、改質燃料分布、すなわちミストの寸法は上記と異なっていてもよいことを理解されたい。
【0074】
[0085] 放射源60はまた、第2の二次放射源(図示せず)から(主パルスとも呼ばれる)第2の量の放射72を受けるようにも構成される。第2の二次放射源は放射源60の一部を形成してもよく、又は放射源60と別個のものでもよい。第1及び第2の二次放射源は別個のものでもよく、又はこの実施形態の場合のように単一の二次放射源でもよい。本発明の実施形態では、第1及び第2の二次放射源は、赤外線(IR)波長で放射を出力するレーザである。例えば、第1及び第2の二次放射源は、二酸化炭素(CO
2)又はイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザであってよい。本発明の別の実施形態では、第1及び第2の量の放射源によって任意の適切な波長の放射を生成してもよいことを理解されたい。
【0075】
[0086] 第2の量の放射72は、改質燃料分布70の(表面とも呼ばれる)第1の表面70aの一部に入射する。第2の量の放射72は、改質燃料分布70の表面70aの一部に対してp偏光された成分を有する。
【0076】
[0087] 本発明のこの実施形態では、第2の量の放射72は、第2の量の放射72の全体がp偏光されるように直線p偏光される。しかしながら、本発明の別の実施形態では、第2の量の放射72は、第2の量の放射が改質燃料分布70の表面70aの一部に対してp偏光された成分を有していれば、円偏光又はランダム偏光してもよい。p偏光された放射の比率が大きいほどプラズマ共鳴吸収が生じる量が多くなることを理解されたい。
【0077】
[0088] 第2の量の放射72はエネルギーを改質燃料分布70に伝達してプラズマを生成する放射を生成する。プラズマを生成する放射は、(全体的に矢印74で示される)第3の量の放射を放出する。本発明のこの実施形態の場合は、第3の量の放射74はEUV放射である。しかしながら、本発明の別の実施形態では、第3の量の放射は任意の適切な波長を有する任意の適切なタイプの放射でもよいことを理解されたい。
【0078】
[0089] 放射源60はさらに、第3の量の放射74の少なくとも一部を集光し、誘導(及び/又は合焦)するように構成されたコレクタ光学系COの形態のコレクタを備える。コレクタは第3の量の放射74の少なくとも一部を光軸OAに沿って中間焦点IFへと誘導する。
【0079】
[0090] 本発明の実施形態の範囲内で、第1の量の放射68と燃料小滴62aとの間でのエネルギー伝達によって生成される改質燃料分布70の表面70aは、それが光軸OAに対して実質的に垂直であるように位置合わせされる。すなわち、第2の量の放射72が入射する表面70aの一部への法線は、光軸OAに対して実質的に平行(又は同軸)である。本発明の実施形態の範囲内で、第2の量の放射72は第1の方向に伝搬する。第1の方向は、改質燃料分布70の表面70aの一部への法線に対して角度θ
1をなす。
【0080】
[0091] この実施形態では、第2の量の放射が入射する改質燃料分布の表面の一部への法線が光軸OAに対して実質的に平行(又は同軸)であるため、第1の方向も光軸OAに対して角度θ
1をなす。
【0081】
[0092] 本発明のこの実施形態では、本発明の別の実施形態の場合と同様に、第2の量の放射72は第1の方向に伝搬し、第1の方向は、第2の量の放射72が入射する改質燃料分布70の表面72aの一部への法線に対して平行ではない。
【0082】
[0093]
図5に示す本発明の実施形態には、第2の量の放射72から改質燃料分布70へのエネルギー伝達により生成される第3の量の放射74の分配が、コレクタ光学系COの光軸OAに対してほぼ対称であるという利点がある。その理由は、改質燃料分布70の表面70aの一部への法線がコレクタ光学系COの光軸OAに対して実質的に平行であるからである。第3の量の放射74の分配がコレクタ光学系COの光軸OAに対してほぼ対称であるという利点は、それによって所望の強度分布を有するパターニングされたビームを得るために、放射源の光学系に必要な下流側の複雑さを低減することができることである。
【0083】
[0094]
図6は、本発明の代替実施形態を示す。
図5に示す本発明の実施形態のフィーチャと実質的に同一である、
図6に示す実施形態のフィーチャには同じ番号が付される。
図6に示す放射源60aの基本的な動作原理は、
図5に示す放射源60の動作原理と実質的に同一である。
図6に示す放射源60aは、第1の量の放射68aがプラズマ形成位置66で燃料小滴62aに入射し、第1の量の放射68aが光軸OAに対して角度θ
2(ここで、θ
2は0°ではない)をなす方向に伝搬することが
図5に示す放射源と異なっている。本発明の範囲内で、表面70cを有する改質燃料分布70bが存在する。上述のように、第1の量の放射68aは、第1の量の放射68aから燃料小滴62aに伝達されるエネルギーによって、改質燃料分布70bが改質燃料分布70bの中心から、第1の量の放射68aの伝搬方向に対して実質的に垂直な平面内に外側に延びるように、燃料小滴62aの実質的に中心に入射する。このため、この実施形態では、第2の量の放射72aが入射する改質燃料分布70bの表面70cの一部への法線は、放射源60aの光軸OAに対して角度θ
2をなす。
【0084】
[0095]
図6に示す本発明の実施形態では、
図5に示す本発明の実施形態とは異なり、第2の量の放射72aは、放射源60aの光軸OAに対して実質的に平行(又は同軸)の方向に伝搬する。
【0085】
[0096] この実施形態では、放射源60aの光軸OAに対する第1及び第2の量の放射68a及び72aの伝搬方向は、
図5に示す実施形態と比較して異なっているが、本発明の全ての実施形態に共通して、第2の量の放射72aは、第2の量の放射72aが入射する改質燃料分布70bの表面70cの一部への法線に対して平行ではない方向に伝搬することを理解されたい。
【0086】
[0097] 本発明の全ての実施形態に共通して、
図6に示す実施形態の第2の量の放射72aは、第2の量の放射72aが入射する改質燃料分布70bの表面70cの一部に対してp偏光された成分を有する。
【0087】
[0098]
図6に示す本発明の実施形態には幾つかの利点がある。これらの利点は以下に記載する。上述のように、この実施形態では第1の量の放射68aは光軸OAに対して平行な方向には伝搬しない。したがって、第1の量の放射68aから燃料小滴62aへのエネルギーの伝達によって、それへの法線が放射源60aの光軸OAに対して平行ではない平面内に改質燃料分布70bが実質的に生成される。その結果、改質燃料分布70bの表面70cへの法線も、放射源60aの光軸OAに対して平行ではない。そのため、改質燃料分布70bによって反射される第2の量の放射72aの一部は、θ
3で示される光軸OAからの角度をなす(矢印76aで示す)方向に進行する。角度θ
3は角度θ
2の2倍である。比較すると、
図5に示す実施形態の改質燃料分布70によって反射される第2の量の放射の一部は、放射源60の光軸OAに対してθ
1に等しい角度をなす(矢印76で示す)方向に進行する。すなわち、
図5の実施形態では、改質燃料分布70によって反射される第2の量の放射72の一部の伝搬方向と光軸OAとの間になされる角度は、第2の量の放射の伝搬方向と光軸OAとの間になされる角度に等しい。比較すると、
図6に示す本発明の実施形態では、改質燃料分布70bによって反射される第2の量の放射72aの一部の伝搬方向と光軸OAとの間になされる角度は、第1の量の放射の伝搬方向と光軸OAとの間になされる角度の2倍に等しい。
【0088】
[0099]
図6に示す実施形態の反射する放射76aの方向が光軸OAに対して、第1の量の放射の伝搬方向と光軸OAとでなされる角度の2倍である角度θ
3をなすことによって、
図6に示す実施形態での第2の量の放射の反射部分の(矢印76aで示す)伝搬方向が、
図5に示す実施形態と比較して、光軸OAに対してより大きい角度をなす可能性が高くなる。
図6に示す実施形態での(76aで示す)第2の量の放射の反射部分が光軸OAに対してより大きい角度をなすことによって、第2の量の放射の反射部分(帯域外の有用ではない放射)と、第3の量の放射(有用な出力放射)と、の間により大きい角度分離が生じる。帯域外放射と出力放射との角度分離が大きいと、スペクトル純度フィルタなどの光学系を使用して帯域外放射を出力放射から分離することが(それ故、帯域外放射を除去することが)容易になるため、帯域外放射が放射源の下流側のリソグラフィ装置の一部に達することがなくなる。
【0089】
[00100]
図6に示す実施形態の改質燃料分布70bがその生成時に、燃料小滴の軌道64と平行ではない平面で膨張すると、改質燃料分布70bが後続の(隣接する)燃料小滴62aと相互作用する可能性が低下する。改質燃料分布70bが後続の燃料小滴62aと相互作用すると、改質燃料分布70bは後続の燃料小滴62aの位置決め及び/又は軌道を変化させる。このような場合は、第1の量の放射68aに対する後続の燃料小滴62aの位置の正確さに悪影響を及ぼすことがある。例えば、後続の燃料小滴62aの軌道は、第1の量の放射68aが後続の燃料小滴62aに入射しなくなる程度まで改質燃料分布70bによる影響を受けることがある。第1の量の放射68aが後続の燃料小滴62aに入射しないと、後続の燃料小滴62aは独自の改質燃料分布を生成することができず、したがってプラズマを、それ故、出力放射を生成するために改質燃料分布を使用できなくなる。
【0090】
[00101] さらに、
図6に示す実施形態では、改質燃料分布70bが後続の(隣接する)燃料小滴62aと相互作用する可能性が低いため、ノズルが高い小滴生成率で(すなわち、隣接する燃料小滴間の少ない分離で)動作することが可能になり、その結果、所与の時間内に放射源によって生成可能な出力放射の量が増大する。
【0091】
[00102]
図6に示す本発明の実施形態では、改質燃料分布70bは、光軸OAに対して角度θ
2をなす方向に伝搬する第1の量の放射68aによって生成される。改質燃料分布70bを生成するため、第1の量の放射68aは改質燃料分布を形成する実質的に中心の燃料小滴に入射する。その結果、それへの法線が光軸OAに対して平行ではない表面70cを有する改質燃料分布70bが生じる。言い換えると、表面70cへの法線と光軸OAとの間の角度は、第1の量の放射の伝搬方向と光軸OAとの間の角度から生じる。それへの法線が光軸OAに対して平行ではない表面を有する改質燃料分布を生成する別の方法は、光軸OAに対して実質的に平行(又は同軸)の方向で伝搬する第1の量の放射を生成するが、燃料小滴の中心から外れた部分に入射するように第1の量の放射を誘導することである。
【0092】
[0100]
図7は、本発明の実施形態による放射源60bの代替実施形態を示す。上述のように、
図5及び
図6に示した実施形態のフィーチャと実質的に同一のフィーチャを有する
図7に示す実施形態のフィーチャには同じ番号が付してある。
図7に示す放射源60bの基本的動作原理は、
図5及び
図6に示した放射源60、60aの基本的動作原理と実質的に同一である。
図7に示す放射源60bは、改質燃料分布70dが異なる基本形状を有することで
図6に示した放射源と異なっている。改質燃料分布70dはほぼ円錐形の形状である(ほぼ円錐の形状を有するとも言う)。改質燃料分布70dは
図7には概略断面図で示されている。ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70dは、放射源60bの光軸OA上に位置する頂点を有する。ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70dの軸は、放射源60bの光軸OAと実質的に同軸である。本発明の別の実施形態では、放射源の光軸OAに対するほぼ円錐形の形状の改質燃料分布の任意の適切な位置及び/又は配向を用いてもよいことを理解されたい。ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70dは、ほぼ円錐形の表面70eを有する。ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70dは、ほぼv字形の断面を有する。
【0093】
[0101] 改質燃料分布70dは、適切な方法で生成してよい。本発明の実施形態の場合は、改質燃料分布70dは、(同様の2つの別個のプリパルスとも呼ばれる)同様の2つの第1の量の放射68b、68cを燃料小滴62aに誘導することによって生成される。同様の2つの別個の第1の量の放射68b、68cの各々は、放射源60bの光軸OAに対して角度θ
4をなしている。別個の第1の量の放射68b及び68cは、光軸OAを中心に互いに180°の角度で角度分離される。別個の第1の量の放射は同時に、又は順に燃料小滴62aに入射してもよい。別個の第1の量の放射は、単一の第1の二次放射源(図示せず)、又は別個の2つの第1の放射源(図示せず)によって供給してもよい。
【0094】
[0102] 本発明の別の実施形態では、特定の特徴を有する別個の2つの共線上の第1の量の放射を使用して改質燃料分布70dを生成することができる。
【0095】
[0103]
図7に示す本発明の実施形態の第2の量の放射72bは、光軸OAと実質的に同軸の方向に伝搬する。改質燃料分布70dのほぼ円錐形の表面70eの一部への法線は、光軸OAに対して角度θ
4をなしている。その結果、第2の量の放射72bは、第2の量の放射が改質燃料分布70dの表面70eの一部への法線は、光軸OAに対して角度θ
4をなしている。その結果、第2の量の放射72bは、第2の量の放射の伝搬方向が改質燃料分布70dの表面70eの一部への法線に対して角度θ
4をなすようにほぼ円錐形の表面70eに入射する。
【0096】
[0104]
図7に示す本発明の実施形態は、第2の量の放射72bから改質燃料分布70dへのエネルギーの伝達によって生成される第3の量の放射74の分布がコレクタ光学系COの光軸OAに対して(それ故、放射源60bの光軸OAに対して)ほぼ対称であるため有利である。その理由は、改質燃料分布70dの頂点が光軸OA上に位置し、及び改質燃料分布70dの軸がコレクタ光学系COの光軸OAと(それ故、放射源60bの光軸OAと)同軸であるためである。第3の量の放射74の分布がコレクタ光学系COの光軸OAに対して(それ故、放射源60bの光軸OAに対して)ほぼ対称であることの利点は、それによって所望の強度分布を有するパターニングされたビームを得るために、放射源の下流側に必要な光学系の複雑さを低減することができることである。
【0097】
[0105] さらには、
図7に示す本発明の実施形態が有利であるのは、
図6に示す実施形態と共通して、改質燃料分布70dによって反射される第2の量の放射72bの一部が、第1の量の放射68b、68cのいずれかの伝搬方向と光軸OAとの間でなされる角度θ
4の2倍である、光軸OAに対してなされる角度θ
5をなす(矢印76bで示される)方向で進行するためである。
図7に示す実施形態の反射する放射76bの方向が、第1の量の放射68b、68cのいずれかの伝搬方向と光軸OAとの間でなされる角度の2倍である角度θ
5を光軸OAに対してなすことによって、
図7に示す実施形態での(76bで示される)第2の量の放射の反射部分の伝搬方向が、例えば
図5に示す実施形態と比較して光軸OAに対してより大きい角度をなす可能性が高くなる。
図7に示す実施形態の(76bで示される)第2の量の放射の反射部分が、光軸OAに対してより大きい角度をなすことによって、第2の量の放射76bの反射部分(帯域外の、有用ではない放射)と第3の量の放射74(有用な出力放射)との間の角度分離がより大きくなる。帯域外放射76bと出力放射74との角度分離が大きいと、スペクトル純度フィルタなどの光学系を使用して帯域外放射76bと出力放射74とを分離することが(それ故、帯域外放射を除去することが)容易になるため、帯域外放射が放射源の下流側のリソグラフィ装置の一部に達することがなくなる。
【0098】
[0106]
図8は、
図7に示した本発明の実施形態による放射源60cの代替実施形態を示す。上述のように、
図5から
図7に示した実施形態のフィーチャと実質的に同一のフィーチャを有する
図8に示す実施形態のフィーチャには同じ番号が付してある。
図8に示す放射源60cの基本的動作原理は、
図7に示した放射源60bの基本的動作原理と実質的に同一である。
図8に示す放射源60bは、改質燃料分布70fが異なる配向を有することで
図7に示した放射源と異なっている。
【0099】
[0107]
図7に示した実施形態の改質燃料分布70dと同様に、改質燃料分布70fはほぼ円錐形の形状である(ほぼ円錐の形状を有するとも言う)。改質燃料分布70fは
図8には概略断面図で示されている。ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70fは、放射源60cの光軸OA上に位置する頂点を有する。ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70fの軸は、放射源60cの光軸OAと実質的に同軸である。ほぼ円錐形の改質燃料分布70dの頂点が、ほぼ円錐形の改質燃料分布70dのベース(図示せず)よりも第2の量の放射72bの放射源(図示せず)に近い
図7の実施形態とは対照的に、ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70fのベース(図示せず)は、ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70fの頂点よりも第2の量の放射72cの放射源(図示せず)に近い。
図7では、ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70dの頂点は、改質燃料分布70dがコレクタ光学系COの方向を向くような頂点でよい。
図8では、ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70fの頂点は、中間焦点IFの方向を向くような頂点でよい。ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70fはほぼv字形の断面を有するが、その配向のため、逆v字形の断面を有すると言ってもよい。
【0100】
[0108]
図8に示す実施形態は、
図7に示す実施形態に関して記載した利点を有する。
【0101】
[0109] 改質燃料分布70fは適切な方法で生成してよい。この実施形態の場合は、改質燃料分布70fは、(同様の2つの別個のプリパルスとも呼ばれる)同様の2つの第1の量の放射68d、68eを燃料小滴62aに誘導することによって生成される。同様の2つの別個の第1の量の放射68d、68eの各々は、放射源60cの光軸OAに対して角度θ
6をなしている。別個の第1の量の放射68d及び68eは、光軸OAを中心に互いに180°の角度で角度分離される。別個の第1の量の放射は同時に、又は順に燃料小滴62aに入射してもよい。別個の第1の量の放射は、単一の第1の二次放射源(図示せず)、又は別個の2つの第1の放射源(図示せず)によって供給してよい。
【0102】
[0110]
図8の実施形態に示す第1の量の放射68d、68eは中間焦点IFとは反対側のコレクタ光学系COの位置から伝搬するが、別の実施形態では、第1の量の放射は、中間焦点IFと同じ側のコレクタ光学系COの位置から伝搬してもよい。
【0103】
[0111]
図7及び
図8に示す実施形態では、改質燃料分布70d及び70fは、ほぼ円錐形の形状を有する。したがって、ほぼ円錐形の形状の改質燃料分布70d及び70hは、ほぼv字形の断面を有する。本発明の別の実施形態では、改質燃料分布は、ほぼ球形キャップの形状を有する。このようなほぼ球形キャップの形状の改質燃料分布は、ほぼ湾曲した、又は円弧状の断面を有する。ほぼ球形キャップの形状の改質燃料分布は、
図7及び
図8に示す実施形態の改質燃料分布と同様の配向を有してもよい。
【0104】
[0112] 上述した全ての実施形態では、(プラズマ共鳴吸収により)改質燃料分布によって吸収される第2の量の放射のエネルギーの比率を最大限にするため、ある条件が効果的であることが判明している。例えば、第2の量の放射の伝搬方向と、第2の量の放射が入射する改質燃料分布の表面の一部への法線と、の角度を特定の範囲にすることで、ある条件下で改質燃料分布によって吸収されるエネルギーを最大限にするために特に効果的である。例えば、燃料(それ故、改質燃料分布)がスズ(Sn)であり、第2の量の放射の波長が約10.6μmである場合、第2の量の放射の伝搬方向と、第2の量の放射が入射する改質燃料分布の表面の一部への法線と、の間の角度が約10°〜約30°の間にある場合に特に効果的であることが判明している。本発明の幾つかの実施形態では、第2の量の放射の伝搬方向と、第2の量の放射が入射する改質燃料分布の表面の一部への法線と、の間の角度は約5°〜約35°の間、約10°〜約25°の間、約10°〜約20°の間、約10°〜約15°の間、約15°〜約30°の間、約15°〜約25°の間、約15°〜約20°の間、約20°〜約30°の間、及び約20°〜約25°の間の少なくとも1つでよい。
【0105】
[0113] 本発明の幾つかの実施形態では、リソグラフィプロセスで放射源を動作させる前に、第2の量の放射の伝搬方向と、第2の量の放射が入射する改質燃料分布の表面の一部への法線と、の間の角度、すなわちプラズマ共鳴吸収により最大量のエネルギーが第2の量の放射から改質燃料分布へと伝達される角度を決定してよい。この決定に基づいて、次に、第2の量の放射の伝搬方向と、第2の量の放射が入射する改質燃料分布の表面の一部への法線と、の間の角度が、プラズマ共鳴吸収により最大量のエネルギーが第2の量の放射から改質燃料分布へと伝達される角度になるように放射源が動作される。
【0106】
[0114] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0107】
[0115] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明はその他の用途、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、文脈によっては、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0108】
[0116] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁、及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか1つ、又はその組合せを指すことができる。
【0109】
[0117] 「EUV放射」という用語は、5nm〜20nmの範囲内、例えば13nm〜14nmの範囲内、又は例えば6.7nm若しくは6.8nmなどの5nm〜10nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含するものと見なしてもよい。
【0110】
[0118] 「放射」という用語は、電磁放射又は粒子放射(通常は高速で移動する荷電粒子)を含む任意の適切なタイプの放射を包含するものと解釈してもよい。例えば、燃料小滴に提供される第1の量の放射は、本発明の幾つかの実施形態では、電子ビームでよい。
【0111】
[0119] 以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきたが、本発明は上記以外の方法でも実施できることを理解されたい。例えば、本発明は、上記開示した方法を記述する機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はそのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとってもよい。上記説明は例示するものであって限定するものではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく上記の本発明を様々に修正できることは当業者には明らかであろう。
【0112】
[0120] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0113】
[0121] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的な境界を画定することができる。
【0114】
[0122] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
【0115】
[0123] 本発明の幅及び範囲は、上記例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。