(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光信号と電気信号との間の変換を行う光電部品と、前記光電部品に対して前記電気信号を通信する電子部品と、が実装され、前記光電部品と前記電子部品とを電気的に接続するための信号配線を含む光電気混載基板であって、
前記信号配線に応じた第1のグランド配線を含む配線基板と、
前記配線基板に積層される導波路部と
を有し、
前記配線基板は、
前記第1のグランド配線を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の上に並列して形成された複数の前記信号配線と、
を含み、
前記導波路部は、
複数の前記信号配線を覆うように形成された第1のクラッド層と、
前記第1のクラッド層上に形成され、前記光電部品が光結合されるコア部と、
前記第1のクラッド層上に形成され、複数の前記信号配線に応じた第2のグランド配線と、
前記第1のクラッド層上に形成され、前記コア部と前記第2のグランド配線とを被覆する第2のクラッド層と、
を含み、
前記第1のグランド配線と前記第2のグランド配線は、複数の前記信号配線を積層方向において挟むように形成されてなる、
光電気混載基板。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、部分的に拡大して示している場合があり、寸法,比率などは実際と異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部のハッチングを省略している。
【0009】
図1に示すように、光モジュール1は、モジュール基板10と、モジュール基板10に実装された光電部品60,電子部品70を有している。光電部品60は、電気信号を光信号に変換する素子(発光素子)を含む。発光素子は、例えば面発光型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)や発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等である。なお、この電子部品として、光信号を電気信号に変換する素子(受光素子)を含むものとしてもよい。受光素子は、例えばフォトダイオード(PD)やアバランシェ・フォトダイオード(APD)等である。また、光電部品として、発光素子と受光素子を含むものとしてもよい。
【0010】
電子部品70は、発光素子等を含む光電部品60を駆動するドライバ等の回路を含む。なお、電子部品は、ドライバ等の回路と、電気信号を増幅する増幅回路、電気信号を処理する処理回路(Digital Signal Processor:DSP)、等を含むものを用いることができる。なお、電子部品70は、1つのICチップ、または複数のICチップを含むモジュールである。モジュール基板10は、光電気混載基板の一例である。
【0011】
モジュール基板10は、配線基板11と、その配線基板11の面(
図1において上面)に形成された導波路部12を有している。
配線基板11は、基板本体21を有している。基板本体21は、例えば、コア基板、コア基板を有するコア付ビルドアップ基板、コア基板を有していないコアレス基板である。
【0012】
配線基板11は、基板本体21上面の配線部22と、基板本体21下面の配線部23を有している。
配線部22は、配線層31、第1のグランド配線32、信号配線33、絶縁層34,35を有している。配線層31は、基板本体21の上面に形成されている。配線層31は、信号配線、電源配線等の配線を含む。配線層31は、絶縁層34により覆われている。その絶縁層34の上には第1のグランド配線32が形成されている。第1のグランド配線32は、図示しないビアを介して配線層31に含まれるグランド配線に接続されている。グランド配線は、所定電圧(例えば0[V])レベルに設定される配線である。第1のグランド配線32は、絶縁層35により覆われている。その絶縁層35の上には信号配線33が形成されている。信号配線33は、光電部品60と電子部品70を互いに電気的に接続する。配線層31、第1のグランド配線32、信号配線33の材料は、例えば銅である。絶縁層34,35の材料は、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂の絶縁樹脂である。
【0013】
配線部23は、配線層41〜43、絶縁層44,45を有している。
配線層41は、基板本体21の下面に形成されている。配線層41は、信号配線、電源配線等の配線を含む。配線層41は、絶縁層44により覆われている。絶縁層44の下面には配線層42が形成されている。配線層42は、信号配線、電源配線等の配線を含む。配線層42は、絶縁層45により覆われている。その絶縁層45の下面には配線層43が形成されている。配線層43は、複数の配線を含む。配線層41〜43の材料は、例えば銅である。絶縁層44,45の材料は、例えばエポキシ系またはポリイミド系の絶縁樹脂である。
【0014】
配線層43はレジスト層46により覆われている。レジスト層46の所定位置には開口部46aが形成されている。レジスト層46の材料は、例えばエポキシ系またはアクリル系の絶縁性樹脂である。配線層43には、レジスト層46の開口部46aから露出することにより外部接続用のパッド43aが形成されている。このパッド43aは、マザーボード等の実装基板と接続される外部接続端子(例えばバンプ)を配設するためのパッドである。また、上記開口部46aから露出する配線層43上に金属層を形成し、その金属層に上記外部接続端子等を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、Au層、Ni/Au層や、Ni/Pd/Au層などを挙げることができる。また、上記開口部46aから露出する配線層43(あるいは、配線層43上にOSP(Organic Solderbility Preservative )膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0015】
絶縁層35の上面には導波路部12が積層されている。導波路部12は、第1のクラッド層51、コア部52、第2のグランド配線53、第2のクラッド層54、反射部55を有している。
【0016】
第1のクラッド層51は、絶縁層35の上面に形成された信号配線33を覆うように形成されている。第1のクラッド層51の上面にはコア部52が形成されている。コア部52は、光信号を伝搬するためのものである。コア部52の端部には反射部55が形成されている。反射部55は、所定角度(例えば45度)に傾斜した斜面を有するミラー基部56と、そのミラー基部56の斜面に形成された反射膜57を有している。ミラー基部56は、後述する電子部品70の光軸L1を、コア部52に応じて変換するように形成されている。反射膜57の材料は、例えば良好な光反射性を有する金(Au)、銀(Ag)やアルミニウム(Al)である。
【0017】
また、第1のクラッド層51の上面には第2のグランド配線53が形成されている。この第2のグランド配線53は、図示しないビアを介して上記の第1のグランド配線32に電気的に接続されている。第2のグランド配線53の材料は、例えば銅である。コア部52と第2のグランド配線53は第2のクラッド層54により覆われている。このように、導波路部12は、配線基板11の上面から順に積層された第1のクラッド層51とコア部52と第2のクラッド層54を有している。そして、コア部52は、第1のクラッド層51と第2のクラッド層54により囲まれている。そして、導波路部12は、第1のクラッド層51と第2のクラッド層54に挟まれた第2のグランド配線53を有している。第1のクラッド層51は信号配線33を覆うように形成されている。上記の信号配線33は、配線部22に含まれる第1のグランド配線32と、導波路部12に含まれる第2のグランド配線53により挟まれている。
【0018】
これら第1及び第2のクラッド層51,54及びコア部52の材料としては、基本的には同じ材料を用いることができる。例えば、第1及び第2のクラッド層51,54及びコア部52の材料としては、コア部52により伝搬する光の波長域において透過性を有する樹脂材を用いることができる。具体的には、第1及び第2のクラッド層51,54及びコア部52の材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂などを用いることができる。但し、光信号の伝搬がコア部52内でのみ行われるようにするために、コア部52の材料としては、そのコア部52を覆う第1及び第2のクラッド層51,54の材料よりも屈折率の高い材料が選定されている。なお、コア部52と第1のクラッド層51及び第2のクラッド層54との屈折率の差は、特に限定されないが、例えば0.3〜5.5%程度が好ましく、0.8〜2.2%程度がより好ましい。
【0019】
導波路部12の上には光電部品60と電子部品70が実装されている。
光電部品60は、その一方の面(
図1では下面)に電極端子61が形成されている。第1及び第2のクラッド層51,54には、信号配線33の端部を接続パッド33aとして露出するための開口部58aが形成されている。この開口部58aは、光電部品60における光軸L1と、ミラー基部56及び反射膜57の所定位置(例えば、ミラー基部56の斜面の中心)と一致させるように、電極端子61の位置に応じた位置に形成されている。電極端子61は開口部58a内に挿入され、接続パッド33aと電気的に接続されている。したがって、光電部品60は、電極端子61を介して、信号配線33の接続パッド33aに電気的に接続されている。すなわち、光電部品60は、配線基板11にフリップチップ実装されている。電極端子61には、例えば金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)と銅の合金、錫と銀(Ag)の合金、錫と銀と銅の合金などを用いることができる。
【0020】
第2のクラッド層54と光電部品60との間には、アンダーフィル樹脂81が形成されている。アンダーフィル樹脂81は、配線基板11(第2のクラッド層54)の上面と光電部品60の下面との隙間、及び開口部58a内に充填されている。アンダーフィル樹脂81の材料としては、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂を用いることができる。アンダーフィル樹脂81は、光電部品60の電極端子61と信号配線33の接続パッド33aとの接続部分の接続強度を向上させる。
【0021】
電子部品70は、その一方の面(
図1では下面)に電極端子71が形成されている。第1及び第2のクラッド層51,54には、信号配線33の端部を接続パッド33bとして露出するための開口部58bが形成されている。電極端子71は開口部58b内に挿入され、接続パッド33bと電気的に接続されている。したがって、電子部品70は、電極端子71を介して、信号配線33の接続パッド33bに電気的に接続されている。すなわち、電子部品70は、配線基板11にフリップチップ実装されている。電極端子71には、例えば金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)と銅の合金、錫と銀(Ag)の合金、錫と銀と銅の合金などを用いることができる。
【0022】
第2のクラッド層54と電子部品70との間には、アンダーフィル樹脂82が形成されている。アンダーフィル樹脂82は、配線基板11(第2のクラッド層54)の上面と電子部品70の下面との隙間、及び開口部58b内に充填されている。アンダーフィル樹脂82の材料としては、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂を用いることができる。アンダーフィル樹脂82は、電子部品70の電極端子71と信号配線33の接続パッド33bとの接続部分の接続強度を向上させる。
【0023】
図2に示すように、配線基板11は、複数(
図2において8本)の信号配線33を有している。複数の信号配線33は、所定の方向(
図2において左右方向)に沿って延びるように形成されるとともに、直交する方向(
図2において上下方向)に並列されている。第1及び第2のグランド配線32,53は、複数の信号配線33を覆うように、例えば矩形状に形成されている。第1及び第2のグランド配線32,53は、例えば、
図2に示す上下端部に形成されたビア91により互いに電気的に接続されている。
【0024】
図1に示すように、コア部52の厚みは、例えば30〜40μm(マイクロメートル:ミクロン)である。第1のクラッド層51の厚みは、例えば10〜60μmである。なお、第1のクラッド層51の厚みは、第1のグランド配線32と信号配線33の間の距離h1と、信号配線33と第2のグランド配線53の間の距離h2とが互いに同じ値となるように設定されることが好ましい。
【0025】
次に、上記の光モジュール1の作用を説明する。
図1に示すように、電子部品70の電極端子71は、絶縁層35の上面に形成された信号配線33の一端に接続され、信号配線33の他端は光電部品60の電極端子61に接続されている。信号配線33が上面に形成された絶縁層35は第1のグランド配線32を覆うように形成されている。信号配線33を覆う第1のクラッド層51の上面には第2のグランド配線53が形成されている。第1及び第2のグランド配線32,53はビア91(
図2参照)により互いに電気的に接続されている。そして、第1及び第2のグランド配線32,53は、例えば配線部22に含まれるグランド配線と電気的に接続されている。
【0026】
したがって、第1及び第2のグランド配線32,53と信号配線33は、ストリップラインの構成となる。このため、第1及び第2のグランド配線32,53は、複数の信号配線33(
図2参照)を伝搬する電気信号の相互の干渉、つまりクロストークを低減する。
【0027】
また、第1及び第2のグランド配線32,53は、所定の電圧(例えば0[V])レベルに設定される。したがって、各信号配線33に対するシールド板として働き、各信号配線33を伝搬する電気信号に対する外来ノイズの量を低減する。
【0028】
電気信号に混入するノイズは、その電気信号の高速な伝搬を妨げる要因となる。したがって、電気信号に混入するノイズの量を低減することで、電気信号を高速に伝搬することが可能となる。
【0029】
次に、比較例の光モジュール200を説明する。なお、上記実施形態の光モジュール1と同じ部材については同じ符号を用い、説明の全てまたは一部を省略する。
図7に示すように、この光モジュール200は、モジュール基板210と、モジュール基板210に実装された光電部品60,電子部品70を有している。モジュール基板210は、配線基板211、導波路部212を有している。
【0030】
配線基板211は、基板本体21を有している。基板本体21の上面には配線層31が形成されている。基板本体21の上面には、配線層31を覆う絶縁層34が形成されている。絶縁層34の上面には第1のグランド配線32と、第1のグランド配線32を覆う絶縁層35が形成されている。絶縁層35の上面には、信号配線33と、信号配線33を覆う絶縁層36が形成されている。絶縁層36の上面には第2のグランド配線37が形成されている。第2のグランド配線37は、上記の第1のグランド配線32と同様に形成されている。
【0031】
導波路部212は、絶縁層36と第2のグランド配線37を覆うように形成された第1のクラッド層51と、第1のクラッド層51の上に形成されたコア部52と、コア部52を覆う第2のクラッド層54を有している。第2のクラッド層54の上には光電部品260と電子部品270が実装されている。光電部品260は、電極端子261を有している。同様に、電子部品270は電極端子271を有している。
【0032】
光電部品260の電極端子271は、第2及び第1のクラッド層54,51と絶縁層36に形成された開口部258aにより露出される信号配線33の接続パッド33aに接続されている。同様に、電子部品270の電極端子271は、第2及び第1のクラッド層54,51と絶縁層36に形成された開口部258bにより露出される信号配線33の接続パッド33bに接続されている。
【0033】
この比較例の光モジュール200において、第1のクラッド層51は、絶縁層36上面の第2のグランド配線37を覆うように形成されている。したがって、比較例の光モジュール200に含まれる光電部品260と電子部品270は、第2及び第1のクラッド層54,51と絶縁層36に形成された開口部258a,258bに挿入された電極端子261,271により信号配線33と電気的に接続される。つまり、開口部258a,258bは、第2のクラッド層54の上面から、第2及び第1のクラッド層54,51と絶縁層36を貫通して信号配線33の接続パッド33a,33bに到達するように形成されている。そして、電極端子261,271は、開口部258a,258bに対応する長さに形成されている。
【0034】
一方、
図1に示すように、本実施形態の光モジュール1において、第1のクラッド層51は信号配線33を覆うように形成され、その第1のクラッド層51の上に第2のグランド配線53が形成されている。そして、光電部品60と電子部品70は、第2及び第1のクラッド層54,51に形成された開口部58a,58bに挿入された電極端子61,71により信号配線33と電気的に接続されている。このため、光電部品60と信号配線33の間の距離は、
図7に示す比較例よりも短い。同様に、電子部品70と信号配線33の間の距離は、比較例よりも短い。
【0035】
光電部品60,電子部品70と信号配線33の間の距離が長いと、光電部品60,電子部品70と信号配線33の間で伝搬される電気信号に対してノイズが混入し易くなる。したがって、本実施形態のように、短い距離にて光電部品60,電子部品70と信号配線33を接続することで、電気信号に対するノイズの影響を低減することができる。
【0036】
次に、上記の光モジュール1の製造方法を説明する。
先ず、
図3(a)に示す状態までの工程を説明する。
基板本体21の上面に、配線層31、絶縁層34、第1のグランド配線32、絶縁層35、信号配線33を順に形成する。配線層31、第1のグランド配線32、信号配線33は、例えばセミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法等により形成される。絶縁層34,35は、例えば樹脂フィルムを圧着して形成される。
【0037】
そして、絶縁層35の上面に、信号配線33を覆う第1のクラッド層51を形成する。例えば、絶縁層35の上面全体に感光性樹脂層を形成し、その感光性樹脂層を硬化させることにより、第1のクラッド層51を形成する。感光性樹脂層の形成方法として、例えば液状の感光性樹脂を絶縁層35の上面全体に塗布する方法、半硬化状態の感光性樹脂シートにより絶縁層35の上面全体を覆う方法、がある。感光性樹脂は、例えば紫外線(UV)硬化型の樹脂である。UV硬化樹脂は、例えば変性アクリレート(エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等)をベース樹脂とし、光重合に必要な反応性アクリルモノマーと光重合開始剤及び添加剤を含んだ樹脂材を用いることができる。このようなUV硬化樹脂の主反応はラジカル重合である。このようなUV硬化樹脂を用いることにより、常温で処理することができ、さらに、熱硬化型の樹脂を用いる場合よりも短時間で硬化するため、作業時間を短縮することができる。なお、上記感光性樹脂層の材料は、後述するコア部52及び第2のクラッド層54を形成する工程においても同様である。
【0038】
次に、
図3(b)に示すように、ミラー基部56を形成する。ミラー基部56は、例えば、感光性樹脂を形成し、フォトリソグラフィ法に基づいて露光・現像を行った後に、感光性樹脂を硬化させる。その硬化後の樹脂を、例えば、所定形状のブレードにより加工して形成される。
【0039】
次に、
図3(c)に示すように、
図1に示す第2のグランド配線53に対応するシード層101と、反射膜57を形成する。例えば、
図3(b)に示す状態の基板の上面全体にレジスト膜を形成し、このレジスト膜に例えばフォトリソグラフィ法により、シード層101に対応する領域と、ミラー基部56の斜面を露出する開口部を形成する。そして、それらの開口部から例えば金(Au)を蒸着してシード層101と反射膜57を形成する。そして、残存するレジスト膜を除去する。なお、反射膜57とシード層101を金属スパッタ等の方法により形成してもよい。
【0040】
次に、
図4(a)に示すように、めっき層102を形成する。例えば、
図3(c)に示す状態の基板の上面全体にレジスト膜を形成し、このレジスト膜に、例えばフォトリソグラフィ法により、シード層101を露出する開口部を形成する。このレジスト膜をマスクとして、例えば無電解めっきにより開口部からシード層101に対して銅(Cu)をめっきしてめっき層102を形成する。このシード層101とめっき層102により、
図1に示すように、所定の厚さの第2のグランド配線53が形成される。なお、シード層101を電極とする電解めっきによりめっき層102を形成してもよい。なお、以下の説明に用いる図において、シード層101とめっき層102を合わせて第2のグランド配線53として示す。
【0041】
次に、
図4(b)に示すように、コア部52と第2のクラッド層54を形成する。
コア部52は、例えば、
図4(a)に示す状態の基板の上面全体を覆う感光性樹脂層を形成し、フォトリソグラフィ法に基づいて露光・現像を行った後に、感光性樹脂層を硬化させる。これにより、コア部52を形成する。次に、コア部52を被覆する第2のクラッド層54を形成する。第2のクラッド層54は、第1のクラッド層51と同様に、第1のクラッド層51の上面全体に感光性樹脂層を形成し、その感光性樹脂層を硬化させることにより、第2のクラッド層54を形成する。
【0042】
次に、
図4(c)に示すように、第2及び第1のクラッド層54,51に、信号配線33の端部上面を露出する開口部58a,58bを形成する。開口部58a,58bは、例えばガスレーザ(例えば、CO
2レーザ)や固体レーザ(例えば、UV−YAGレーザ)を用いたレーザ加工法により形成される。なお、フォトリソグラフィ法等により開口部58a,58bを形成してもよい。
【0043】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)光モジュール1のモジュール基板10には、光電部品60と電子部品70が実装されている。モジュール基板10は、配線基板11と、その配線基板11の面(
図1において上面)に形成された導波路部12を有している。配線基板11の配線部22は、配線層31、第1のグランド配線32、信号配線33、絶縁層34,35を有している。導波路部12は、配線基板11上に形成され、信号配線33を覆う第1のクラッド層51と、第1のクラッド層51上に形成されたコア部52及び第2のグランド配線53と、コア部52を被覆する第2のクラッド層54を有している。光電部品60は第2のクラッド層54の上に実装され、電極端子61により信号配線33に接続される。電子部品70は第2のクラッド層54の上に実装され、電極端子71により信号配線33に接続される。
【0044】
配線基板11には、複数の信号配線33が形成されている。複数の信号配線33は、配線基板11に含まれる第1のグランド配線32と、導波路部12に含まれる第2のグランド配線53により挟まれる。信号配線33、第1及び第2のグランド配線32,53は、ストリップラインを構成する。したがって、複数の信号配線33の間のクロストークを低減することができる。これにより、各信号配線33において、電気信号の高速な伝達を可能とすることができる。
【0045】
(2)信号配線33の接続パッド33aは、第1のクラッド層51と第2のクラッド層54に形成された開口部58aに挿入される電極端子61により光電部品60と接続される。また、信号配線33の接続パッド33bは、第1のクラッド層51と第2のクラッド層54に形成された開口部58bに挿入される電極端子71により電子部品70と接続される。
【0046】
したがって、信号配線33と光電部品60の間の距離、信号配線33と電子部品70の間の距離は、配線基板211に第2のグランド配線37を形成した場合と比べ、短くなる。したがって、短距離で光電部品60を信号配線33に接続することができる。同様に、短距離で電子部品70を信号配線33に接続することができる。これにより、信号配線33を介して光電部品60と電子部品70の間において伝達される電気信号に対するノイズの影響を低減することができ、信号配線33を介して光電部品60と電子部品70の間の電気信号の高速な伝達を可能とすることができる。
【0047】
(3)第1のクラッド層51は、信号配線33を覆うように形成され、その第1のクラッド層51上に第2のグランド配線53が形成される。したがって、信号配線33を絶縁層36で覆い、その絶縁層36上に第2のグランド配線37を形成した配線基板211と比べ、絶縁層の層数が少なくなる。このため、配線基板11を形成するために必要な材料(絶縁樹脂等)を少なくすることができる。また、絶縁層の層数に応じて、配線基板11を形成する工程数を少なくすることができる。これにより、配線基板11の製造に係るコストを低減することが可能となり、配線基板11のコストを低減することができる。
【0048】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し、導波路部の形状を適宜変更してもよい。
例えば、
図5(a)に示すように、第1及び第2のクラッド層51,54及びコア部52に溝111を形成し、その溝111の斜面に反射膜57を形成するようにしてもよい。この溝111に形成した反射膜57により、光電部品60の光軸L1を、コア部52に応じて変換する。光電部品60と第2のクラッド層54の隙間に形成されるアンダーフィル樹脂81を、溝111内に充填する。アンダーフィル樹脂81の材料としては、コア部52により伝播される光の波長において透過性を有する樹脂材を用いることが好ましい。例えば、アンダーフィル樹脂81の材料としては、第1及び第2のクラッド層51,54、コア部52と同じの樹脂材を用いることができる。
【0049】
また、
図5(b)に示すように、第2のクラッド層54に開口部54aを形成し、第2のグランド配線53を露出してもよい。なお、第2のグランド配線53の一部を露出するように開口部54aを形成してもよい。
【0050】
なお、第2のクラッド層54は、コア部52を被覆するように形成されていることが好ましい。したがって、
図5(b)において、電子部品70の下の第2のクラッド層54bを省略し、電子部品70を第1のクラッド層51の上に実装する。このようにすると、電子部品70を信号配線33に接続する電極端子71の長さをより短くすることが可能である。
【0051】
・上記実施形態では、
図1に示すように、第2のグランド配線53を第1のクラッド層51の上に形成したが、信号配線33を第1のクラッド層51の上に形成するようにしてもよい。
【0052】
例えば、
図6(a)に示すように、第1のグランド配線32と絶縁層34を覆うように第1のクラッド層51を形成し、その第1のクラッド層51の上面に信号配線33を形成する。そして、信号配線33を覆うように第2のクラッド層54を形成し、その第2のクラッド層54の上面に第2のグランド配線53を形成する。この第2のグランド配線53を、第1のグランド配線32と
図2に示すビア91により電気的に接続する。このように信号配線33を形成すると、上記実施形態と比べ、電子部品70と光電部品60から信号配線33までの長さを短くすることができる。これにより、短距離で信号配線33と電子部品70,光電部品60を接続することができる。これにより電子部品70と光電部品60の間で授受される信号に混入するノイズの量を低減することができる。
【0053】
また、
図6(b)に示すように、信号配線33を覆うようにコア部52を形成する。この信号配線33を覆うコア部52の部分は、平板状のコア部52aとする。そして、この平板状のコア部52aの上に第2のグランド配線53を形成する。そして、コア部52,52aを覆うように第2のクラッド層54を形成する。
【0054】
・配線基板11の構成を適宜変更してもよい。例えば、
図1において、配線部23を省略し、基板本体21の下面に実装用のパッドを形成してもよい。