(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0032]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0033] −放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0034] −パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0035] −基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0036] −パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wの目標部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0017】
[0037] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0018】
[0038] 支持構造MTはパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法でパターニングデバイスを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0019】
[0039] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板の目標部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板の目標部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などの目標部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0020】
[0040] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0021】
[0041] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、屈折型光学システム、反射型光学システム、反射屈折型光学システム、磁気型光学システム、電磁型光学システム及び静電型光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプのシステムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0022】
[0042] 本明細書で示すように、本装置は(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)反射タイプでもよい。
【0023】
[0043] リソグラフィ装置は、基板ステージ又は基板テーブルなどの2つ以上の基板支持構造、及び/又はパターニングデバイス用の2つ以上の支持構造を有するタイプのものであってもよい。複数の基板ステージを有する装置では、すべての基板ステージは同等のものでもよく、互換性がある。ある実施形態では、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に露光ステップに適合しており、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に測定又は予備工程に適合している。本発明のある実施形態では、複数の基板ステージの1つ以上が測定ステージに置き換えられる。測定ステージは、センサ検出器及び/又はセンサシステムのターゲットなどの1つ以上のセンサシステムの少なくとも一部を含むが、基板を支持しない。測定ステージは、基板ステージ又はパターニングデバイス用の支持構造の代わりに投影ビーム内で位置決め可能である。このような装置では、追加のステージを併用してもよく、又は1つ以上の別のステージを露光用に使用している間に1つ以上のステージで予備工程を実行してもよい。
【0024】
[0044]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[0045] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタAMを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)別に提供されてもよい。
【0026】
[0046] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wの目標部分C上に合焦させる。基板Wは、本発明の実施形態による基板ホルダによって基板テーブルWT上に保持され、以下にさらに説明する。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々な目標部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の(
図1には明示されていない)位置センサを用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後、又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用の目標部分を占有するが、目標部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0027】
[0047] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0028】
[0048] 1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回で目標部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別の目標部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成される目標部分Cのサイズが制限される。
【0029】
[0049] 2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンが目標部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光における目標部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによって目標部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
【0030】
[0050] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンを目標部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0031】
[0051] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも使用できる。
【0032】
[0052] 多くのリソグラフィ装置では、結像するフィーチャの小型化及び/又は装置の有効NAの増加を可能にするために、液体供給システムIHを使用して投影システムの最終要素間に流体、特に液体を提供する。このような液浸装置に関して本発明の実施形態を以下でさらに説明するが、非液浸装置でも本発明の実施形態は等しく実施することができる。投影システムの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は、少なくとも2つの一般的カテゴリに分類される。これらは、浴槽タイプ構成と、いわゆる局所液浸システムである。浴槽タイプ構成では、実質的に基板の全体及び任意選択として基板テーブルの一部が液体の浴槽内に浸漬される。局所液浸システムは、液体が基板の局所領域にのみ提供される液体供給システムを使用する。後者のカテゴリでは、液体によって充填される空間は、平面視で基板の上面より小さく、液体で充填される領域は、基板がその領域の下を移動する間、投影システムに対して実質的に静止している。本発明のある実施形態が指向する別の構成は、液体が閉じ込められないオールウェット解決策である。この構成では、実質的に基板の上面全体と基板テーブルの全部又は一部が液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜であってもよい。
【0033】
[0053]
図2〜
図5には、4つの異なるタイプの局所液体供給システムが示されている。
図2〜
図5の液体供給デバイスのいずれも非閉じ込めシステムで使用することができる。しかし、封止特徴部は存在しないか、活性化されていないか、通常のものより効率が落ちるか、又はその他の点で液体を局所領域にのみ封止する効果がない。
【0034】
[0054] 局所液浸システムに対して提案されている構成の1つは、液体供給システムが液体閉じ込めシステムを使用して、基板の局所領域に、及び投影システムの最終要素と基板の間にのみ液体を提供する(基板は通常、投影システムの最終要素より大きい表面積を有する)。これを構成するために提案されている1つの方法が、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。
図2及び
図3に図示されているように、液体が少なくとも1つの入口によって基板上に、望ましくは最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給され、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。すなわち、基板が−X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて取り上げられる。
【0035】
[0055]
図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続された出口によって要素の他方側で取り上げられる構成を概略的に示したものである。基板Wの上の矢印は液体のフローの方向を示し、基板Wの下の矢印は基板テーブルの移動方向を示す。
図2の図では、液体が最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が
図3に図示され、ここでは両側に出口を持つ4組の入口が、最終要素の周囲に規則的パターンで設けられる。液体供給デバイス及び液体回収デバイス内の矢印は、液体のフローの方向を示す。
【0036】
[0056] 局所液体供給システムを備える液浸リソグラフィの別の解決法が
図4に示されている。液体が投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。入口及び出口は、投影される投影ビームが通る孔が中心にあるプレートに配置することができる。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の別個の出口によって除去されて、投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜の流れを引き起こす。どの組み合わせの入口と出口を使用するかの選択は、基板Wの動作方向によって決定することができる(他の組み合わせの入口及び出口は動作しない)。
図4の断面図では、矢印は入口への、また出口からの液体のフローの方向を示す。
【0037】
[0057] 提案されている別の構成は、液体供給システムに液体閉じ込め部材を提供する構成である。液体閉じ込め部材は、投影システムの最終要素と基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在している。そのような構成を
図5に示す。液体閉じ込め部材は、投影システムに対してXY平面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)には相対的に多少動くことができる。液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成されている。ある実施形態では、液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成され、封止はガスシールなどの非接触シールであってもよい。そのようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
【0038】
[0058] 流体ハンドリング構造12は、液体閉じ込め部材を含み、投影システムPSの最終要素と基板Wの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。基板Wの表面と投影システムPSの最終要素の間の空間内に液体が閉じ込められるように、基板Wに対する非接触シール16を投影システムのイメージフィールドの周囲に形成することができる。空間は、投影システムPSの最終要素の下方に位置決めされ、それを囲む流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体を、液体入口13によって投影システムの下方で、流体ハンドリング構造12内の空間に入れる。液体は、液体出口13によって除去することができる。流体ハンドリング構造12は投影システムの最終要素の少し上まで延在することができる。液体のバッファが提供されるように、液体レベルが最終要素の上まで上昇する。ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、その上端が投影システム又はその最終要素の形状に正確に一致することができる内周を有し、例えば円形とすることができる。底部では、内周がイメージフィールドの形状に正確に一致し、例えば矩形とすることができるが、そうである必要はない。
【0039】
[0059] ある実施形態では、液体が、使用中に流体ハンドリング構造12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められる。ガスシールは、気体、例えば、空気、合成空気、N
2又は別の不活性ガスによって形成される。ガスシール内の気体は、圧力下で入口15を介して流体ハンドリング構造12と基板Wの間のギャップに提供される。気体は出口14を介して抽出される。気体入口15への過剰圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体流16があるように構成される。流体ハンドリング構造12と基板Wの間で液体にかかる気体の力が、液体を空間11に封じ込める。入口/出口は、空間11を囲む環状溝であってもよい。環状溝は連続的であっても又は不連続的であってもよい。気体16の流れは、液体を空間11内に封じ込めるのに効果がある。このようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
【0040】
[0060]
図5の例は、液体が任意の一時点で基板Wの上面の局所領域にのみ提供される局所区域構成である。他の構成も可能であり、それは例えば米国特許出願公開US2006−0038968号に開示されるような単相抽出器又は2相抽出器を使用する流体ハンドリングシステムを含む。
【0041】
[0061] 可能である別の構成は、気体抗力原理で作動するものである。いわゆる気体抗力原理は、例えば米国特許出願公開US2008−0212046号、US2009−0279060号及びUS2009−0279062号に記載されている。そのシステムには、抽出孔が、望ましくは角を有する形状で構成される。角はステップ又はスキャン方向に位置合わせすることができる。これは、スキャン方向に対して垂直に位置合わせされた2つの出口を有する流体ハンドリング構造と比較して、ステップ又はスキャン方向での所与の速度について、流体ハンドリング構造の表面にある2つの開口間のメニスカスにかかる力を低減する。
【0042】
[0062] US2008−0212046号には、主液体回収フィーチャの半径方向外側に位置決めされたガスナイフも開示されている。ガスナイフは、主液体回収フィーチャを通り過ぎた液体があればすべて捕捉する。このようなガスナイフは、(US2008−0212046号に開示されているような)いわゆる気体抗力原理の配置構成、(米国特許出願公開US2009−0262318号に開示されているような)単相又は2相抽出器の配置構成、又は任意の他の配置構成内にあることがある。
【0043】
[0063] 多くの他のタイプの液体供給システムが可能である。本発明は、いかなる特定のタイプの液体供給システムにも、液浸リソグラフィにも限定されない。本発明は任意のリソグラフィに等しく適用することができる。EUVリソグラフィ装置では、ビーム経路が実質的に排気され、上記液浸配置構成は使用しない。
【0044】
[0064]
図1に示す制御システム500は、リソグラフィ装置の全体的作動を制御し、特に以下でさらに説明する最適化プロセスを実行する。制御システム500は、適切にプログラムし、中央処理装置、揮発性及び不揮発性記憶手段を備えた汎用コンピュータとして実現することができる。任意選択として、制御システムはさらにキーボード及び画面のような1つ以上の入出力デバイス、1つ以上のネットワーク接続、及び/又はリソグラフィ装置の様々な部品との1つ以上のインターフェイスを備えてもよい。制御するコンピュータとリソグラフィ装置との間に1対1の関係は必要ないことが理解される。本発明のある実施形態では、1つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。本発明のある実施形態では、ネットワークで接続した複数のコンピュータを使用して、1つのリソグラフィ装置を制御することができる。制御システム500は、リソグラフィ装置が一部となるリソセル又はクラスタ内で1つ以上の関連するプロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するように構成することもできる。制御システム500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は工場の全体的な制御システムに従属するように構成することもできる。
【0045】
[0065]
図6は、ソースコレクタ装置SOを含むEUVリソグラフィ装置4100を概略的に示している。装置は、
−放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)EILと、
−パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
−基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
−パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSと、を備える。
【0046】
[0066] EUVリソグラフィ装置のこれらの基本的なコンポーネントの機能は、
図1のリソグラフィ装置の対応するコンポーネントの機能と同様である。以下の記載は主として異なる領域を含み、同じコンポーネントの態様の重複する記載は省略する。
【0047】
[0067] EUVリソグラフィ装置では、気体が過剰な放射を吸収することがあるため、真空又は低圧環境で使用することが望ましい。したがって、真空壁及び1つ以上の真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を提供することができる。
【0048】
[0068]
図6を参照すると、EUVイルミネータEILは、ソースコレクタ装置SOから極紫外線放射ビームを受光する。EUV放射を生成する方法には、例えばキセノン、リチウム、又はスズなどの少なくとも1つの元素を有する材料をEUV範囲内の1つ以上の放出線を有するプラズマ状態に変換するステップが含まれるが、必ずしもそれに限定されない。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多いこのような方法の1つでは、プラズマは所望の輝線放出元素を有する材料の液滴、流れ、又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することによって生成可能である。ソースコレクタ装置SOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(
図6には図示せず)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として生じるプラズマは、例えばソースコレクタ装置内に配置される放射コレクタを使用して集光されるEUV放射などの出力放射を放出する。レーザ及びソースコレクタ装置は、例えば燃料を励起するためのレーザビームを提供するためにCO
2レーザが使用される場合には別個の要素であってもよい。
【0049】
[0069] このような場合には、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するものとは見なされず、放射ビームは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いてレーザからソースコレクタ装置へと送られる。別の場合は、例えば放射源がDPP放射源と呼ばれることが多い放電生成プラズマEUV生成器である場合には、放射源はソースコレクタ装置の一体部品であってもよい。
【0050】
[0070] EUVイルミネータEILは、放射ビームEBの角度強度分布を調整するアジャスタを備えてもよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、EUVイルミネータEILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の様々なコンポーネントを備えてもよい。EUVイルミネータEILを使用して放射ビームEBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とを有するようにしてもよい。
【0051】
[0071] 放射ビームEBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAに反射した後、放射ビームEBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームEBの経路内に位置決めできるように正確に移動することができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームEBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせしてもよい。
【0052】
[0072] 図示した装置は、
図1の装置と同じモードで使用可能である。
【0053】
[0073]
図7は、ソースコレクタ装置SOと、EUV照明システムEILと、投影システムPSとを含むEUV装置4100をより詳細に示している。ソースコレクタ装置SOは、ソースコレクタ装置SOの閉鎖構造4220内に真空環境を維持することができるように構築され、配置される。EUV放射放出プラズマ4210は、放電生成プラズマ放射源によって形成されてもよい。EUV放射は、例えば、キセノンガス、リチウム蒸気、又はスズ蒸気などの気体又は蒸気によって生成されてもよく、その際、プラズマ4210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲内で放射を放出する。プラズマ4210は、例えば少なくとも部分的に電離したプラズマを生じる放電によって生成される。放射を効率的に生成するには、キセノン、リチウム、スズ蒸気又はその他の任意の適切な気体又は蒸気の、例えば10Paの分圧が必要である場合がある。ある実施形態では、EUV放射を生成するために励起したスズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0054】
[0074] プラズマ4210によって放出された放射は、放射源チャンバ4211から、放射源チャンバ4211内の開口内、又はその裏側に位置する任意選択のガスバリア及び/又は汚染物トラップ4230(場合によっては汚染物バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介してコレクタチャンバ4212内に送られる。汚染物トラップ4230はチャネル構造を含んでもよい。汚染物トラップ4230はまた、ガスバリア、又はガスバリアとチャネル構造との組み合わせを含んでもよい。少なくとも本明細書でさらに示される汚染物トラップ又は汚染物バリア4230は、少なくとも当技術分野で公知のようにチャネル構造を含んでいる。
【0055】
[0075] コレクタチャンバ4212は、いわゆるかすめ入射コレクタであってよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側4251と、下流放射コレクタ側4252と、を有する。コレクタCOを横切る放射は、格子スペクトルフィルタ4240から反射して仮想放射源ポイントIFに集束することができる。仮想放射源ポイントIFは一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、中間焦点IFが閉鎖構造4220内の開口4221に、又はその付近に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ4210の像である。
【0056】
[0076] その後、放射は照明システムILを横切り、照明システムILはパターニングデバイスMAで放射ビーム421の所望の角度分布、並びにパターニングデバイスMAで放射強度の所望の均一性を与えるように配置されたファセット型フィールドミラーデバイス422と、ファセット型瞳ミラーデバイス424と、を含んでもよい。放射ビーム421が、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAで反射すると、パターン付ビーム426が形成され、パターン付ビーム426は投影システムPSによって、反射要素428、430を介して基板ステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0057】
[0077] 一般に、照明光学ユニットIL及び投影システムPS内には図示した要素よりも多くの要素が存在してもよい。リソグラフィ装置のタイプによっては、任意選択として格子スペクトルフィルタ4240が存在してもよい。図示したミラーより多くのミラーが存在してもよく、例えば、
図7に示した投影システムPS内にある反射要素よりも1個から6個だけ多い追加の反射要素があってもよい。
【0058】
[0078]
図7に示すコレクタ光学系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の単なる一例として、かすめ入射リフレクタ4253、4254、及び4255を有する入れ子状コレクタとして示されている。かすめ入射リフレクタ4253、4254、及び4255は光軸Oの周囲に軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学系COは好適には、DPP放射源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ放射源と組み合わせて使用される。
【0059】
[0079] あるいは、ソースコレクタ装置SOは、
図8に示すようにLPP放射システムの一部であってもよい。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料にレーザエネルギーを付与して、電子温度が電子ボルト(eV)の数10倍の高電離プラズマ4210を生成するように配置されている。これらのイオンの脱励起、及び再結合中に生成されるエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ光学系COによって集光され、閉鎖構造4220内の開口4221へと集束される。
【0060】
[0080]
図9は、本発明のある実施形態による基板ホルダを示している。基板ホルダは、基板テーブルWT内の凹部内に保持され、基板Wを支持する。基板ホルダ100の本体は、平坦なプレートの形状、例えば形状とサイズが基板Wに実質的に対応するディスクの形状を有する。基板ホルダは、少なくとも上面に、ある実施形態では両面に、一般にバールと呼ばれる突出部106を有する。ある実施形態では、基板ホルダは基板テーブルの一体部品であり、下面にはバールを有さない。バールは、
図9では縮尺通りではない。
【0061】
[0081] 実際の実施形態では、幅(例えば直径)が例えば200mm、300mm、又は450mmの基板ホルダ全体にわたって配分された数百にも数千にも及ぶバール、例えば10000超、又は40、000超のバールを有することができる。バールの先端の面積は、例えば1mm
2未満のように小さい。したがって、基板ホルダ100の片面の全バールの総面積は基板ホルダの総表面積の約10%未満、例えば1〜3%である。このようなバール配置のため、基板、基板ホルダ、又は基板テーブルの表面上に存在し得る粒子はバール間に降下し、したがって基板又は基板ホルダの変形につながらない可能性が高い。
【0062】
[0082] バール配置はパターンを形成することがあり、及び/又は周期的な配置を有することがある。バール配置は規則的であってもよく、又は基板W及び基板テーブルWT上に適切に力の配分を与えるために所望のとおりに変化してもよい。バールは、平面図で見て任意の形状でよいが、一般に平面図で見て円形である。バールはそれらの高さ全体にわたって同じ形状と寸法を有してもよいが、一般にテーパ状になっている。バールが基板ホルダ100の本体100aの他の表面部分から突出する距離は、約1μm〜約5mm、望ましくは基板ホルダ100の本体100aの他の表面部分から約5μm〜約250μmである。基板ホルダ100の本体100aの厚さは、約1mm〜約50mmの範囲、望ましくは約5mm〜20mmの範囲であり、通常は10mmである。
【0063】
[0083] 本発明のある実施形態では、基板ホルダ100の上面は、薄膜スタックの形成及びバール配置のために平滑で平坦な初期表面である。ある実施形態では、基板ホルダ100の上面は研磨されて平滑な表面が形成される。ある実施形態では、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2011年12月16日出願の米国特許出願US61/576,627号に記載されているように、本明細書に記載の薄膜層を塗布する前に、基板ホルダ100の表面を平滑化して、薄膜層を確実に塗布できる表面を提供するための1つ以上の技術が適用されてもよい。また、表面上への平坦化層の塗布について言及している、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2011年12月12日出願の米国特許出願US13/323,520号を参照されたい。ある実施形態では、本明細書に記載のようなバール形成前に、平坦化ステップ(例えば平坦化層を有するステップ、研磨ステップなど)は必要ない。本発明のある実施形態では、例えば材料除去プロセス中に粗面化した粗い表面を平滑化して基板支持体と一体化したバールを形成するために平坦化ステップが用いられるような場合には平坦化は不要になる。本発明のある実施形態は、コ―ティングされていない平滑な表面を使用して、その上にバールが直接付与されるようにしてもよい。表面は平坦であるため、平滑であり、ある実施形態ではバール製造前に研磨されてもよい。
【0064】
[0084] 基板ホルダの表面は、例えばSiC、SiSiC、Zerodur、コージェライト、又はその他の適切なセラミック又はガラスセラミック材料から形成されてもよい。次に、絶縁層が薄膜として基板ホルダの表面上に堆積される。絶縁層は任意の適切な絶縁体でよい。次に、導電性の、例えば金属のパターンが絶縁層上に堆積される。金属パターンは、例えば1つ以上の薄膜温度センサ、及び/又はヒータを備えてもよく、及び/又は薄膜静電クランプを備えてもよい。導電性パターンは、例えばリソグラフィ及びエッチング、インクジェット印刷、又はその他の任意の適切な方法で形成されてもよい。次に、絶縁層が薄膜として導電性パターン上に堆積され、これによって平滑な絶縁材料層が提供される。この後で、バールを形成するのに使用される材料が絶縁層上に提供される。バール材料がパターニングされ、(例えばリソグラフィ及びエッチング技術を用いて)エッチングされることによって、所望の配置又はパターンのバールの集合が形成される。バールを形成する別の方法について以下に記載する。バールを形成するのに様々な方法を用いることができる。一般に、バールの形成の態様は、完成した基板ホルダの適切な検査によって判定可能である。
【0065】
[0085] 上記の方法は、1つ以上の薄膜温度センサ、及び/又はヒータ、及び/又は静電クランプ用の膜を備え、それに加えて、基板ホルダ上にバールを多層構造として一元的に提供するために用いてもよい。この方法は、以下の理由の少なくとも1つから有利である。
【0066】
[0086] それによって、ブランクから材料を除去してバールを形成する必要がなくなり、したがって薄膜スタックを形成するために平坦化層を設けて平坦な表面を形成する必要がない。層は基板ホルダ100の平滑な初期表面上に塗布される。
【0067】
[0087] 堆積された層の厚さは、堆積中に良好に制御される。したがって、1つ以上のセンサ及び/又はヒータを有する実施形態では、薄膜温度センサ及び/又はヒータと基板Wとの間の離間は良好に制御され、一貫している。これは、薄膜温度センサによって温度を正確に測定可能であることを意味する。
【0068】
[0088] この方法によって、薄膜温度センサを基板ホルダ/テーブルの表面全体にわたって提供することができる。したがって、基板Wの複数の位置で基板Wの温度を測定できる。薄膜ヒータについても同じ利点があり、すなわち、これらのヒータを使用して基板Wの全体にわたる複数の位置で加熱することができる。したがって、これらは従来のヒータよりもより正確に加熱することができる。薄膜センサと薄膜ヒータとの組み合わせにより、基板温度のリアルタイムの測定及び制御が可能になる。
【0069】
[0089] 静電クランプを有する実施形態では、薄膜静電クランプと基板との間の離間は良好に制御され、一貫しているため、静電クランプによって加えられるクランプ力は、(静電クランプと基板との間の離間がそれほど良好に制御されていない場合に加えられる力と比較して)より一貫したものになる。これが利点であるのは、クランプ力が不均一だと基板の歪みが生じることがあり、基板に加えられるクランプ力の不均一は避けられるべきだからである。
【0070】
[0090] 転位として知られる薄膜の結晶構造内の破断などの、いわゆるピンホール又は亀裂が薄膜層、例えば静電クランプの絶縁層に生じるかもしれない。このような欠陥が生じて、例えば絶縁不良などの薄膜スタック内のコンポーネントの性能低下、又は故障を引き起こす危険性がある。ある実施形態では、これは互いに積層された幾つかの薄層として絶縁層を提供することによって、次の絶縁層が堆積される際に特定の絶縁層内のピンホール又は亀裂が少なくとも部分的に充填されることで有利に避けられ得る。1つの層内の欠陥が別の層内の欠陥と重なる可能性は低い。
【0071】
[0091] 有利なことには、バールは特に、異なるバールの高さの間の変化が極めて少なくなるように、極めて一貫した寸法で形成することができる。短いバール(例えば20μm未満、15μm未満、5μm未満、又は3μm未満)を形成することができる。より短いバールが有利であるのは、基板と基板ホルダとの間の熱伝達を高めるからである。バールから離れた基板ホルダの上面と基板ホルダ上の基板の支持面との間のギャップは、より高い支持体よりも小さい。このような小さいギャップによって温度調節要素(例えばヒータ)から支持される基板への熱伝達が促進される。バールの最小の高さは、薄膜スタックの全高と、基板及び基板ホルダの非平坦性とによって決定される。ある実施形態では、バールの高さは1μm又は2μm以上である。
【0072】
[0092] バールの幅(例えば直径)は0.5mm以下である。ある実施形態では、バールの幅(例えば直径)は約250μm〜約500μmの範囲内である。バール間の間隔は、約1.5mm〜約3mmの間である。
【0073】
[0093] 有利なことには、本発明のある実施形態によって、薄膜スタック内のコンポーネントの配置がバールの位置によって制約されないようにすることができる。したがって、例えば電気デバイスの薄膜層が形成される前に基板ホルダ上にバールが存在する場合に、コンポーネントをバールの周囲に配置しなければならない場合よりも大きい設計上の自由度が得られる。バールを接地したい場合は、本発明のある実施形態では、コンダクタ、例えばバイアを薄膜スタック内の上面絶縁層に提供して、バールを接地線に接続することができる。追加的に又は代替的に、1つ以上の接地線を薄膜スタックの上面に提供することもできる。
【0074】
[0094] さらに、本発明のある実施形態は、基板ホルダ用に、より広範囲の材料を使用できるようにする。バール又は基板ホルダの従来の形成方法に適さない材料を本発明の実施形態で使用することができる。ある実施形態では、バールを形成するために容易には加工できないコージェライト、低熱膨張ガラスセラミックなどの材料を使用することが可能である。コージェライトは、約125Gpaの高いヤング率、及び約3W/mKの低い熱伝導率など、基板ホルダに使用するのに優れた特性を有する。
【0075】
[0095] 本発明の実施形態により製造された基板ホルダは、製造方法が安定しているため、長い耐用年数を有することができる。本発明の実施形態は、例えば良好な耐摩耗性などの所望の摩耗特性を呈することができるため、特定の汚染物が生じ難い。有利なことには、本発明の実施形態は基板ホルダをコーティングする必要性をなくすることができる。
【0076】
[0096] 薄膜コンポーネントの層の厚さは約2nm〜約100μmの範囲でよい。このような薄膜コンポーネントは、1つ又は複数の層を有してもよい。各層は、化学気相成長法、物理気相成長法(例えばスパッタリング)、浸漬コ―ティング、スピンコ―ティング、及び/又はスプレーコ―ティングを含むプロセスによって形成されてもよい。ある実施形態では、基板ホルダ上に形成されるコンポーネントは薄膜スタックを備えており、すなわち複数の薄膜層を含んでいる。このようなコンポーネントについては以下にさらに記載する。本明細書では基板ホルダの上面上に形成される薄膜スタックについて述べているが、薄膜スタックは基板ホルダの下面に形成されてもよく、又は基板ホルダの下の基板テーブル上に、又は一体の基板ホルダと基板テーブルの表面を含む、基板テーブル又は基板ホルダの任意の別の表面に形成されてもよい。
【0077】
[0097] 基板テーブル上に形成される電子又は電気コンポーネントには、例えば電極、抵抗ヒータ、及び/又は(非限定的に列挙すると)歪みセンサ、磁気センサ、圧力センサ、容量センサ、又は温度センサなどのセンサを含めることができる。ヒータ及びセンサを使用して基板ホルダ及び/又は基板の温度を局所的に制御及び/又は監視して、基板ホルダ又は基板内の望ましくない温度変化及び応力を低減するか、又は望ましい温度変化及び応力を誘発することができる。望ましくは、ヒータ及びセンサは相互に同一の領域上、周囲、及び上方に形成される。基板の局所的な膨張又は収縮によるオーバーレイエラーなどの結像エラーを低減し、又はなくすため、基板の温度及び/又は応力を制御することが望ましい。例えば、液浸リソグラフィ装置では、基板上に残る液体(例えば水)が蒸発すると、局所的冷却が生じ、液体がある表面に熱負荷がかかり、それ故、基板が収縮することがある。逆に、露光中に投影ビームによって基板に送られるエネルギーによりかなりの加熱がなされ、したがって基板が膨張する可能性がある。
【0078】
[0098] ある実施形態では、形成されるコンポーネントは静電クランプ用の電極である。静電クランプでは、基板テーブル及び/又は基板ホルダ上に提供される電極は、例えば10〜5,000Vの高電位に上昇する。基板は接地又はフロート状態になる。電極によって生成される電界内の静電力は、基板を基板テーブル及び/又は基板ホルダに引き付けてクランプ力を与える。これについてはさらに以下に記載する。
【0079】
[0099] 基板ホルダ上の電気又は電子コンポーネントを電圧源(便宜上図示せず)に接続するために1つ以上の電気的接続が提供される。コンポーネントが静電クランプである場合は、基板上の電極は電圧源への電気的接続を有する。コンポーネントは基板支持体の上面上にあってもよい。電気的接続の少なくとも一部は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2011年11月3日出願の米国特許出願US61/555,359号に記載されているように基板支持体の本体を通ってもよい。
【0080】
[00100] ある実施形態では、1つ以上の局所ヒータ101は所望量の熱が基板ホルダ100及び基板Wに付与されて基板Wの温度を制御するように、コントローラ103によって制御される。基板ホルダ100及び/又は基板Wの温度を監視する1つ以上の温度センサ102がコントローラ104に接続される。基板の温度を局所的に制御するために1つ以上のヒータ及び温度センサを使用する構成は、参照により全体が本明細書に組み込まれる同時係属米国特許出願公開US2012−0013865号に記載されている。そこに記載されている構成は、本明細書に記載のように抵抗ヒータ及び温度センサを使用するように変更することができる。
【0081】
[00101]
図10は、本発明のある実施形態による基板ホルダの形成方法のステップA〜Fを示している。Aで示されるように、基板ホルダ100を形成するための適切な形状と厚さの平坦な素材から始まって、Bに示されるように(
図9も参照)、薄膜スタック110が形成される。薄膜スタックは幾つかのサブステップで形成することができる。第1のサブステップは、基板ホルダ100の表面上に底部絶縁層を形成するステップである。上述のように、これには(例えばピンホール及び亀裂を低減し、又はなくすために)絶縁材料の幾つかの薄膜層を形成するステップが含まれてもよい。このような方法は、1つ以上の別の層がその上に形成される表面の平滑さを維持し、確保することができる。
【0082】
[00102] 第2のサブステップは、以下に記載するように1つ以上の様々な異なるコンポーネントを形成するステップである。形成された層は、例えば導電性材料のパターニングされた層であってよい。導電性材料は望ましくは金属を含んでいる。この第2のサブステップ自体が一連のサブステップ、例えばリソグラフィパターニング及びエッチングステップを含んでもよい。パターニング及びエッチングは、1つ以上のコンポーネントを層内に形成するために層をパターニングしてもよい。
【0083】
[00103] 第3のサブステップは、金属パターンの上面に上面絶縁層を形成するステップである。上面絶縁層は、パターニングされた導電性層を、上方から付与されたオブジェクトへの電気的導通から、又はパターニングされた層の別の部分への短絡から電気的に絶縁する。この場合も、絶縁材料の幾つかの薄膜層を形成するステップを含んでもよい。コンポーネントの複雑さに応じて、1つ以上の別の導電性層及び絶縁層が塗布されてもよい。
【0084】
[00104] 次に、Cで示されるように、バール形成材料層111が薄膜スタック110上に形成される。方法の1つ以上の後続のステップでバールを形成するためにバール形成材料層がパターニングされる。バール形成材料は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などのダイヤモンド、SiC、SiO
2、TiN、及びCrNを含む群から選択できる。層111からバールを形成するため、Dで示されるように、パターニングされた金属マスク112が上面絶縁層上に形成される。これは、金属層とフォトレジスト堆積の組み合わせ、及びリソグラフィ及び選択的エッチングを介したリフトオフによって達成できる。次に層111は、金属マスク112を通るように、例えばプラズマ(例えば酸素及び/又はフッ素)を誘導することによってEで示される状態に達するようにドライエッチングされる。Eで示される状態では、パターニングされた金属マスクで覆われていないバール形成材料層111の一部が、例えばエッチングで除去される。したがって、薄膜スタック110の上面、すなわち絶縁層の上面がバール形成材料層の下から露出される。従来の方法による金属マスクの除去では、完成した基板ホルダがFに示されるように残される。所望に応じて、バール106の上面にコ―ティングを施すことができる。例えばイオンビーム加工法を用いてバールの形状及び/又は輪郭を調整又は補正することができる。
【0085】
[00105] 基板ホルダを形成する別の方法は、
図11に示されるスパッタリング法である。第2の方法は
図10の方法と同様であり、同じステップA及びBを有する。ステップCで、ネガティブトーンフォトレジスト120が形成される。次に、Dでネガティブトーンフォトレジストがパターニングされ、レジスト層に開口が形成される。開口は、バールが形成される位置に設けられる(すなわち、パターニングされたレジスト120’がマスクを形成する)。ネガティブトーンフォトレジスト120内の開口は、薄膜スタックの表面、例えば最も外側の絶縁層110が露出される。次にステップEで、例えばスパッタ堆積によってバール材料121が提供され、これがレジスト層内の開口を充填する。バール材料はレジスト層120の上の層を形成する。余剰のバール材料は、例えば研磨によって除去され、レジスト層120’が露出される。次に、残されたレジスト120’が除去される。バール材料が残され、Fで示されるようにバール106の配置が形成される。この方法では、バールを形成するために上記の方法と同じ材料を使用することができる。
【0086】
[00106] 別の基板ホルダ形成方法では、
図12に示されるように直接堆積法が用いられる。この方法では、ステップA及びBは
図10及び/又は
図11の方法の場合と同じである。ステップCで、基板ホルダ/テーブルの表面の上にハードマスク130が形成される。マスクは、薄膜スタック110上に形成される所望のバールパターンに対するネガの開口がパターニングされる。次にハードマスク130を通してバール材料が供給される。バール材料は薄膜スタックの表面、例えば最も外側の絶縁層上に堆積し、所望のバールパターン、例えばアレイ状のバール106を有する堆積層を形成する。この方法では、バールを形成するために上記の方法の場合と同じ材料を使用することができる。
【0087】
[00107] 別の方法では、バール106は基板ホルダの初期表面上に直接堆積される。これは
図18に示されている。薄膜スタック層110は、バールが堆積される前に基板ホルダ100の初期表面上に形成される。ステップA及びBは
図10、
図11及び/又は
図12の方法の場合と同じである。薄膜スタックはパターンに従って選択的にエッチングされ、初期表面の部分が露出される。ステップCで、フォトレジスト層140を堆積することによって薄膜スタックの選択的エッチングを行うことができ、次にフォトレジストを選択的に露光し、これを現像する。これが、ステップDに示されるように、バールが形成される位置に対応する位置に開口を有するパターニングされたレジスト層140’を形成する。次のステップであるステップEは、パターニングされたレジスト層140’内の開口を通して薄膜スタックをエッチングするステップである。次にステップFで、(レジスト層140’を除去する前、又は除去した後で)薄膜スタック110の開口内にバール106が形成される。
【0088】
[00108] この方法でバール106を形成するために様々なプロセスを用いることができる。例えば、
図11の方法のステップDからF、又は
図10の方法のステップC,又は
図12の方法のステップCを用いることができる。別のプロセスでは、バールを形成する材料は層内に堆積され、薄膜スタックを覆い、薄膜スタック内の開口を充填する。薄膜スタックを覆うバール材料は、例えばマスクを通してエッチングすることによって除去される。次にバールを整形することができる。バール材料は同様の材料(すなわちセラミック)であり、又は、さらには基板ホルダと同じ材料であってもよいため、別の方法よりも多くのステップを有するかもしれないが、この方法が望ましいことがある。同様の材料は、類似していない材料よりもより確実な結合部を形成しやすい。
【0089】
[00109]
図19A〜
図19Eを参照して以下に説明する別の方法では、バールを形成するためにレーザ焼結法が用いられる。この方法は、基板ホルダの本体400を形成する所望の形状の平坦なプレートから始まる。ある実施形態では、プレートはSiSiCで形成されているが、Invar(商標)、Zerodur(商標)、ULE(商標)、溶融石英、コージェライト、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(AIN)及び/又はSiCなどのその他の材料も使用することができる。望ましくは、プレートの初期表面400aは所望の平坦度まで研削及び/又は研磨される。ある実施形態では、初期表面は例えばオゾンで洗浄されるが、多くの場合このステップは省いてもよい。ある実施形態では、初期表面は1つ以上の後続層を接着しやすくするため、例えばプライマー層を塗布することによって処理されるが、このステップも省いてもよいことが多い。プレート上に、その上に形成される一層以上の金属層を基板ホルダの本体から絶縁して所望に応じて平坦度をさらに高めるために絶縁層410が塗布される。絶縁層410は、上記のようにスピンコ―ティング又はスプレーコ―ティングによって塗布されるBCB製か、又はPECVDプロセスによって塗布されるSiO
2製であってもよく、又は例えば上述のようなその他の適切な材料であってもよい。
図19Aに示す状態に達するため、絶縁層の上面には例えばPVDによって金属層440が塗布される。
【0090】
[00110] 次に、リソグラフィ及び例えばウェットエッチングなどの選択的エッチングによって金属層がパターニングされ、例えば1つ以上の電極、センサ、及び/又はヒータなどの所望のコンポーネントを形成するために所望のパターンが画定される。このステップはまた、後続のステップでバールが形成される領域で金属層も除去する。この段階で、基板ホルダは
図19Bに示される状態になる。
【0091】
[00111] パターニングされた金属層の上方から第2の絶縁層又は誘電体層450が塗布され、バールが所望される位置に1つ以上の開口がベース層を貫いて、すなわち両方の絶縁層を貫いて形成される。この時点で基板ホルダは
図19Cに示される状態にある。任意選択として、本体400の初期表面の露出領域400bが、例えばオゾンによって洗浄され、及び/又は例えばプライマー層を塗布することによって処理され、後に形成されるバールが付着しやすくされる。この時点で、バール406がレーザ焼結プロセスによって薄膜スタックを通って開口内に形成される。2つのタイプのレーザ焼結方法があり、両方とも本明細書に記載の実施形態で使用可能である。
【0092】
[00112] 第1の方法では、バールが形成される領域に粉末薄層が塗布され、次に1つ以上のレーザビームを用いて、バールが形成される領域で粉末を選択的に焼結する。これが完了すると、別の粉末薄層が塗布され、選択的に加熱され、焼結される。バールが何層にも積層されるようにこのステップが反復される。焼結パターンを各層で変更できるので、バールを任意の所望の形状と輪郭で積層することができる。この方法では、粉末は大きい領域に塗布され、複数のバールが同時に、又は並行して形成される。あるいは、粉末が小さい領域に塗布され、各バールが別個に形成されてもよい。このプロセスの更なる詳細については、A Streek他の「Laser micro sintering - a quality leap through improvement of powder packing」http://laz.htwm.de/43_rapidmicro/55_Ver%C3%B6ffentlichungen/Laser%20micro%20sintering%20%20a%20quality%20leap%20through%20improvement%20of%20powder%20packingのサイトで閲覧できる。
【0093】
[00113] 第2の方法では、粉末は、バールが形成される領域に不活性ガスで噴射され、一方、バールが形成される正確な領域を1つ以上のレーザビームが照射する。粉末はレーザビームが照射された位置に選択的に付着し、放射ポイントを適切にずらずことによって、所望の輪郭のバールが積層される。このプロセスの更なる詳細については、S.Kloetar他の「MICRO-CLADDING USING A PULSED FIBRE LASER AND SCANNER」http://laz.htwm.de/43_rapidmicro/55_Ver%C3%B6ffentlichungen/Microcladding_LPM2010.pdfのサイトで閲覧できる。
【0094】
[00114] その他の焼結技術の場合のように、レーザ焼結は、粉末が冷却すると互いに付着するように粉末粒子を部分的に溶融させることによって動作する。レーザ焼結の利点は、レーザビームが制御しつつ照射することによって焼結がなされる空間の制御が可能なことにある。上記の方法の両方とも、粉末を関連する融点に近い温度に予加熱することができ、焼結を完了するためにレーザによって与えられるエネルギーが少なくてすむ。焼結技術には多様な材料を使用することができる。粉末は単一材料、例えばチタンなどの金属、ケイ素などの半導体、又は溶融石英、コージェライト、及び/又は窒化アルミニウムなどのセラミックから製造できる。別の実施形態では、粉末は2つ以上の成分から製造される。1つの成分は、溶融して別の粒子成分(1つ又は複数)が埋込まれるマトリクスを形成する比較的低い融点を有する。粉末のマトリクス形成化合物は別個の粒子として、又は別の材料粒子上のコーティングとして提供することができる。マトリクス形成成分は、上記のどの単一材料でもよい。粒子成分は、立方晶窒化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタン、及び/又は例えばDLCなどのダイヤモンドを含む群から選択される1つ以上の成分でよい。焼結プロセスは、焼結される材料の化学変化を防止することに役立つ不活性大気又は真空中で、又は化学変化を促進する制御された大気中で実施可能である。
【0095】
[00115] したがって、バールを形成する材料は、基板ホルダの基体材料への付着強度などの1つ以上の所望の特性を得るために広範囲の材料から選択することができる。望ましくは、バールは、基板ホルダの本体の材料と同じ材料、又はそれに対する適応性がある材料から製造される。例えば、使用時に長い耐用年数と信頼性が得られるように、バールが基板本体の基本材料に良好に結合することが一般に望ましい。ある用途では、基板の温度調節に役立つように、バールが高い熱伝導率を有することが望ましい。別の用途では、基板を絶縁するために低い熱伝導率が望ましいことがある。材料の選択により影響されることがあるバールのその他の関連する特性には、導電性、絶縁耐力、及び耐摩耗特性が含まれる。
【0096】
[00116] バールを形成するためのレーザ焼結技術では一般に、
図19Dに示すような粗い上面のバールが生じる。その場合、
図19Eに示されるような平滑な上面をバールに与えるように、最終研磨ステップを実施することが望ましい。場合によっては、例えば最終研磨が粗粒スラリーで行われる場合、追加のコ―ティングで薄膜スタックを先に保護することが望ましいかもしれない。しかしながら、例えば薄膜スタックがクランプ目的にための電極だけを含む場合には必要ないことが多い。
【0097】
[00117] レーザ焼結プロセスの更なる利点は、バールの組成を高さによって変更できることにある。したがって、
図20に示されるように、組成及び/又は特性が異なる部分又は層を有するバールの製造が可能である。例えば、バールの下部406aは基板ホルダの基体材料によく結合する材料から形成することができ、一方、バールの上部406bは耐摩耗特性が高い材料から形成される。例えば、例えばDLCなどのダイヤモンド粒子をバールの上部406bに含めて耐摩耗特性を高めることができる。ある実施形態では、バールは2層以上の別個の層を有するように形成される。ある実施形態では、バールは少なくともその高さの一部で組成、内容物又は材料特性の段階的変化を伴って形成される。
【0098】
[00118] また、焼結される粉末の組成を、バールが形成される表面に実質的に平行な方向で変更することも可能である。粉末焼結積層法では、これは、粉末が塗布される際に各粉末層内の粉末の組成を変更することによって達成されてもよい。粉末噴射方法では、これは、レーザ照射ポイントの移動と時間的に同期して、噴射される粉末の組成を変更することによって達成されてもよい。任意選択として、高さ方向での変更に加えて、バールが形成される表面に実質的に平行な方向でバールの材料の組成を変更することによって、例えば剛性など、バールの1つ以上の機械的及び/又はその他の特性を微調整することが可能である。
【0099】
[00119] レーザ焼結実施形態の利点は、バールをほぼ全ての三次元形状で形成できることにある。ある実施形態では、バールはその高さ全体にわたって一体の断面を有する。ある実施形態では、バールは基板ホルダの本体からテーパ状に形成される。ある実施形態では、バールの断面は、高さと共に変化する。ある実施形態では、バールは、円、正方形、矩形、楕円形、ひし形、及び/又は「競技場形」又は「スタジアム形」の形状からなる群から選択される基板ホルダの本体の表面に実質的に平行な断面を有する。「競技場形」又は「スタジアム形」の形状は、曲線、例えば半円で結ばれた直線の2つの平行な辺を有する。
【0100】
[00120] バール、センサ、ヒータ、及び静電クランプを多層構造として一元的に形成するために使用し得る特定の方法をこれまで記載したが、その他の任意の適切な方法を用いてもよい。本発明のある実施形態では、薄膜スタックは基板ホルダの片側だけに備えられる。ある実施形態では、薄膜スタックは基板ホルダの両側に備えられる。ある実施形態では、バールは基板ホルダの両側に備えられる。バールが薄膜スタックを有さない基板ホルダの側に備えられる場合は、その側にバールを形成する任意の利便な方法を用いることができる。この様な方法には、上記の方法、及び本体からの材料除去を含む機械加工などの別の方法が含まれる。層の堆積はプラズマ強化化学気相成長法(PECVD)、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、及び/又はスパッタリングによって達成できる。堆積に用いられる方法は、堆積される1つ又は複数の材料によって左右される。堆積によって得られる厚さの変化は5%未満であってよい。
【0101】
[00121] 従来の深紫外線(DUV)リソグラフィ装置(例えば液浸リソグラフィ装置)で使用する基板ホルダには、望ましくは1つ以上の薄膜温度センサ及び/又は薄膜ヒータが備えられる。
【0102】
[00122] EUVリソグラフィ装置で使用する基板ホルダには、望ましくは薄膜静電クランプ、及び任意選択として1つ以上の薄膜温度センサ及び/又は薄膜ヒータが備えられる。
【0103】
[00123] 本発明の実施形態で使用できる電気又は電子コンポーネントを組み込んだ薄膜スタックの例は、
図13〜
図15に示され、以下に記載される。
【0104】
[00124]
図13は、絶縁層201、1つ以上の金属線202、及び絶縁層203を備える薄膜スタックを示している。絶縁層はPECVD(プラズマ強化化学気相成長法)SiO
xから形成することができる。絶縁層201の厚さは、望ましくは0.1μm超である。厚さは、望ましくは10μm未満である。ある実施形態では、絶縁層の厚さは5μmである。
【0105】
[00125] 絶縁層の上面に、フォトリソグラフィ又は金属堆積及びエッチングによって、ハードマスクを介して1つ以上の金属線202が堆積される。金属線202の幅は望ましくは20μm超である。金属線の最大幅は、その機能、及び利用可能スペースによって決まる。金属線を形成する別の方法も用いることができる。ヒータ及び/又はセンサの場合は、1つ以上の幅広い金属線(例えば約1500μm)を加熱要素として使用でき、狭い金属線(例えば約100μm)をセンサ要素として使用できる。静電クランプの場合は、互いに約500μmだけ離間した連続する(しかしバールの上部からは絶縁された)金属膜の2つの半体を堆積して、静電クランプのポジとネガの要素を形成することができる。金属線202の層厚は、望ましくは約20nm超、望ましくは約40nm超である。金属線202の層厚は、望ましくは約1μm以下、望ましくは約500nm未満、望ましくは約200nm未満である。
【0106】
[00126] ヒータ及び/又はセンサの場合は、パターニングされた金属線202は複数の金属層、例えばチタン(Ti)及びプラチナ(Pt)の層を有することができる。ある実施形態では、10nmの厚いチタン層によって、厚さ約250のプラチナ線の向上した付着が得られる。複数の層のパターニングは、フォトレジスト堆積、金属膜堆積用のPVD、及びリフトオフプロセスの組み合わせによって達成可能である。ヒータの場合は、クロム膜堆積(PVD)、及びマスクを使用した選択的なクロムエッチングによって幅広いクロム線(〜1500μm)を堆積できる。静電クランプの場合は、電極はアルミニウム、クロム、又はその他の任意の導電性材料から構成することができる。電極はPVD又はスパッタリングによって形成することができる。これらの金属の任意の適切な組み合わせの合金も使用できる。
【0107】
[00127] 堆積された金属線を上方から電気的に絶縁し、これを粒子の堆積、擦傷、及び酸化から保護することが望ましい。したがって、上面、又は最も外側の絶縁層が金属線202上に堆積される。ヒータ又はセンサの場合は、絶縁層は、BCBのスプレーコ―ティング(1、3、5−トリメチルベンゼンに溶解された40%のビス−ベンゾシクロブテン)又は、NN120(ジブチルエーテル中の20%のペルヒドロポリシラザン);上述のSiO
x;又はスプレー層とSiO
xとの組み合わせによって堆積することができる。静電クランプの場合は、上面絶縁層は絶縁耐力をも与えるため、層スタックと基板との間のクランプ圧、及びギャップを所望の値に調整できる。ある実施形態では、静電クランプの場合の上面絶縁層は、スプレーコ―ティングされたBCBのポリマー層、NN120(又はスプレーされたこれらの2つの材料の組み合わせ)、SiO
x単独、スプレーコ―ティングされたポリマー層とSiO
xとの組み合わせ、又はパリレン(CVD)単独を有し、又はそれらから構成される。上面絶縁層203の層厚は、望ましくは約0.1μm超、望ましくは約1μm超である。ヒータ、又はセンサの場合は、上面絶縁層203の層厚は、望ましくは約10μm未満、望ましくは約3μm未満である。静電クランプの場合は、上面絶縁層の層厚は、望ましくは約100μm未満、望ましくは約20μm未満である。ある実施形態では、厚さは約10μm〜約60μmの範囲内である。
【0108】
[00128] 表1は、薄膜スタックを形成するための層ごとの適切な材料の例を示している。各層は、列挙された材料の1つ、又は2つ以上の材料の組み合わせで形成されてもよい。塗布方法は、括弧内に示されている。
【0110】
[00129] 表2は、塗布される層ごとの特定の機能及び要件の例を示す。
【0112】
[00130] 薄膜技術は、ヒータ及び/又はセンサの開発のためのオーバーレイの向上、及び費用効果が高い解決策をもたらす。金属パターンの設計は(マスクの設計を変更することによって)容易に変更できる。プラチナ(Pt)金属層が使用される場合は、Pt層の付着性を高めるために先ずチタン付着層を塗布することができる。静電クランプの場合は、抵抗率が低い任意の適切な金属を使用することができる。
【0113】
[00131] 誘電体層は、スプレーコ―ティング、スピンコ―ティング、及びPECVD技術によって堆積することができる。スプレーコ―ティングは、BCB及び/又はNN120層などの(有機溶剤中で溶解された)ポリマーベース層を堆積するために特に適している。しかし、最初にスプレーされた層は、厚すぎる層が堆積された場合、(局所的な不純物による)ピンホール、及び(層内に生じる応力による可能性が最も高い)亀裂などの表面の欠陥にさらされることがある。異なる堆積プロセスを組み合わせることによって、これらの表面の不完全さによる影響を軽減することが可能である。本発明のある実施形態では、インクジェット又はバブルジェット(登録商標)印刷技術を用いて層を塗布することができる。これによって、層厚を局所的に制御することができ、これは基板ホルダの表面の輪郭、又は表面の粗度の局所的な変化を補正するのに役立つ。これらの技術によって、導電性インクを使用して導電性層のパターニングを行うことも可能である。1つの層の欠陥を別の層で修復できるため、異なる材料、及び/又は層の形成技術の組み合わせが望ましい。
【0114】
[00132] 一例として
図14に示されている薄膜スタック110bは、ベース層100から順に第1の絶縁層201と、第1の金属層(例えば金属線)202と、第2の絶縁層203と、第2の金属層(例えば金属線)204と、第3の絶縁層205とを含む。これらの各層は、本明細書に記載の適切な方法によって形成することができる。一層以上の追加の金属層と、一層以上の追加の絶縁層とを備えることもできる。この実施形態では、2層以上の積層された金属層を使用することによって、例えばセンサなどの2層以上の積層されたコンポーネントを形成することが可能になる。積層されたセンサによってノイズからの遮断を向上させることができる。ある実施形態では、1つ以上の金属層が、別の層内の一本以上の信号線用のシールドとして機能することができる。
【0115】
[00133]
図15に示されている薄膜スタック110cは、電子又は電気コンポーネント206、207の両側に第1の絶縁層201と、第2の絶縁層203とを含む。すなわち、コンポーネントは第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に挟装されている。複数のコンポーネントは基板上の単一の層で形成されてもよい。ある実施形態では、コンポーネント206、207の各々は複数の層で形成される。例えば、コンポーネントの連続する層は、金属−非晶質ケイ素−金属から構成されてもよい。このような実施形態では、1つ以上のコンポーネント206、207がトランジスタ、又はその他の論理デバイスを形成する。このような論理デバイスは、各ヒータへの個々の接続の必要なく、基板ホルダの表面に配置されたヒータ配列を制御するのに使用できる。トランジスタは、ワード線とビット線との交差点に配置することができ、各々が関連するヒータに接続されたアクティブマトリクスを形成することができる。
【0116】
[00134]
図16及び
図17は、本発明の実施形態による基板ホルダの静電クランプの配置を断面図で示している。
【0117】
[00135]
図16の基板ホルダでは、第1の絶縁層201と、電極層301と、第2の絶縁層203とを含む薄膜スタックが基板ホルダの本体100上に形成されている。この図では、電極層301は3つの別個の部品として示されているが、これらは電気的に連続している。任意選択のバイア302(すなわち電気通路)が薄膜スタックを通過し、上述のように薄膜スタック上に形成されたバール106に本体100を電気的に接続している。電圧源300は、例えば10〜5,000Vの範囲の電位を電極層301に印加する。バイア302が備えられている場合は、本体100はバール106及び基板のように接地される。電極層301に印加される電位によって生成される電界により静電力が生じて基板Wを基板ホルダにクランプする。
【0118】
[00136]
図17の基板ホルダは、バイア302が省かれており、電極層301が2つ(又はそれ以上の)電気的に分離された部分に分割されていること以外は同様である。電圧源は、電極層301の2つの部分の間に、例えば10〜5,000Vの電位差を印加する。電極層301の1つの部分は接地される。その結果生じる電界は、同様に静電クランプ力を生成する。
【0119】
[00137] 1つ以上のセンサ及び関連するいずれかのバールは望ましくは、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2011年12月16日出願の対応する米国特許出願US61/576,627号に記載されているように、電磁的干渉のピックアップを最小限にするように配置される。
【0120】
[00138] 本明細書の記載はヒータに集中しているが、本発明の実施形態は、一般に熱伝達機能を備える電気又は電子コンポーネントに適用される。したがって、電気又は電子コンポーネントは、例えばクーラ又はヒータ/クーラの組み合わせでもよい。
【0121】
[00139] 理解されるように、上述したフィーチャのいずれも任意の他のフィーチャと一緒に使用することができ、本出願の対象となるのは、明示的に記載された組み合わせだけではない。
【0122】
[00140] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「目標部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0123】
[00141] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0124】
[00142] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
【0125】
[00143] これまで本発明の特定の実施形態を記載したが、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、記載した以外の別の態様で本発明を実施してもよいことを理解されたい。例えば、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、本発明の実施形態は、上記のような装置の動作方法を記載する機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含む1つ以上のコンピュータプログラム、又は、このようなコンピュータプログラムを内蔵するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気、又は光ディスク)の形態をとってもよい。さらに、機械読み取り式命令を2つ以上のコンピュータプログラムで実施してもよい。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に格納してもよい。
【0126】
[00144] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
【0127】
[00145] 本発明は、幅(例えば直径)が300mm、450mm又はその他の任意のサイズの基板に適用し得る。
【0128】
[00146] 本発明の1つ以上の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
【0129】
[00147] 本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組み合わせでよい。これは、1つ以上の構造、1つ以上の液体入口、1つ以上の気体入口、1つ以上の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ以上の液体出口の組み合わせを備えてよい。ある実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体供給システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ以上の要素をさらに含むことができる。
【0130】
[00148] 本発明の第1の態様では、リソグラフィ装置で使用する基板ホルダが提供され、基板ホルダは、表面を有する本体と、表面上に備えられ、電気コンポーネントを形成する薄膜スタックと、薄膜スタック上に備えられ、基板を支持する端面を有する複数のバールとを備える。
【0131】
[00149] 本体は、バールとは異なる材料から形成されてもよい。薄膜スタック内のある、又は特定のコンポーネントは、少なくとも部分的にバールと本体との間に位置してもよい。バールは、1〜20μmの範囲、望ましくは5〜15μmの範囲から選択された距離だけ薄膜スタックから突出している。距離は5μm未満、望ましくは3μm未満でよい。
【0132】
[00150] バールは、堆積及び選択的エッチング、パターニングされたレジスト層を介したスパッタリング、ハードマスクを介した堆積、及びレーザ焼結からなる群から選択されるプロセスによって形成される。バールは、ダイヤモンドライクカーボン、SiC、SiO
2、TiN、及びCrNからなる群から選択される材料から形成される。少なくとも1つのバールは、第1の材料の第1の層と、第1の材料とは異なる第2の材料の第2の層とを含んでもよい。バールは、円筒型であってもよい。バールは、薄膜スタックからテーパ状に形成されてもよい。本体は、Zerodur、コージェライト、SiC、AIN、SiSiC、セラミック、及びガラスセラミックからなる群から選択される材料から形成されてもよい。
【0133】
[00151] 薄膜スタックは、バールと電気的に接触する少なくとも1つのバイアを含んでもよい。薄膜スタックは、複数の電気コンポーネントを形成してもよい。複数の電気コンポーネントの第1の電気コンポーネント及び第2の電気コンポーネントは、薄膜スタックの単一の層内に配置されてもよい。複数の電気コンポーネントの第1の電気コンポーネント及び第2の電気コンポーネントは、薄膜スタックの2つの別個の層内に配置されてもよい。コンポーネントは、電極、ヒータ、センサ、トランジスタ、及び論理デバイスからなる群から選択されるコンポーネントでよい。電極は、使用時には静電クランプの電極であってもよい。
【0134】
[00152] 本発明の第2の態様では、リソグラフィ装置で使用する基板ホルダが提供され、基板ホルダは、表面を有する本体と、表面上に設けられ電子又は電気コンポーネントを形成する薄膜スタックであって、複数のアパーチャが内部に形成された薄膜スタックと、各々の突起部が薄膜スタックのアパーチャ内に設けられ基板を支持するように構成された複数の突起部と、を備える。
【0135】
[00153] 本体の表面は、本体の平坦化層の表面でよい。
【0136】
[00154] 本発明の第3の態様では、パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造と、パターニングデバイスによってパターニングされたビームを基板に投影するように配置された投影システムと、基板を保持するように配置された本発明の第1又は第2の態様による基板ホルダと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0137】
[00155] リソグラフィ装置は基板テーブルを備えてもよく、基板ホルダが基板テーブルに統合されてもよい。
【0138】
[00156] 本発明の第4の態様では、リソグラフィ装置に使用するテーブルが提供され、テーブルは、表面を有する本体、表面上に設けられ電子又は電気コンポーネントを形成する薄膜スタック、及び、薄膜スタック上に設けられ例えば基板などのオブジェクトを支持する端面を有する複数のバール、を備える。
【0139】
[00157] 本発明の第5の態様では、リソグラフィ装置で使用するテーブルが提供され、テーブルは、本発明の第1又は第2の態様による基板ホルダを受容する凹部と、基板支持体と、を備える。
【0140】
[00158] 本発明の第6の態様では、パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造と、パターニングデバイスによってパターニングされたビームを基板に投影するように配置された投影システムと、本発明の第4又は第5の態様によるテーブルと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0141】
[00159] 本発明の第7の態様では、リソグラフィ装置を使用したデバイス製造方法が提供され、方法は、基板を基板ホルダに保持しながら、パターニングデバイスによってパターニングされたビームを基板に投影するステップを含み、基板ホルダは、表面を有する本体と、表面上に設けられ電子又は電気コンポーネントを形成する薄膜スタックと、薄膜スタック上に設けられ基板を支持する端面を有する複数のバールと、を備える。
【0142】
[00160] 本発明の第8の態様では、リソグラフィ装置で使用する基板ホルダの製造方法が提供され、方法は、表面を有する本体を提供するステップと、本体の表面上に薄膜スタックを形成するステップと、スタックから突出し基板を支持する端面を有する複数のバールを、薄膜スタック上に形成するステップと、を含む。
【0143】
[00161] 複数のバールを形成するステップは、薄膜スタック上にバール形成材料層を形成するステップと、バール形成材料層上にマスクを形成するステップと、マスクを介してバール形成材料をエッチングするステップと、マスクを除去するステップと、を含んでもよい。
【0144】
[00162] 複数のバールを形成するステップは、複数のアパーチャを有するマスクを形成するステップと、アパーチャを介して薄膜スタックに付着するバール形成材料を提供するステップと、マスク及びマスクを覆う任意のバール形成材料を除去するステップと、を含んでもよい。バール形成材料層を提供するステップは、スパッタリング又は気相堆積ステップを含んでもよい。マスクを形成するステップは、放射感応性レジストの層を提供するステップと、レジストを露光するステップと、レジストを現像するステップと、を含む。バールは、ダイヤモンドライクカーボン、SiC、SiO
2、TiN、及びCrNからなる群から選択される材料から形成されてもよい。
【0145】
[00163] 本発明の第9の態様では、リソグラフィ装置で使用する基板ホルダの製造方法が提供され、方法は、表面を有する本体を提供するステップと、本体の表面上に薄膜スタックを形成するステップと、薄膜スタック内に複数のアパーチャを形成するステップと、薄膜スタックのアパーチャ内に複数のバールを形成するステップと、を含み、バールはスタックから突出し、基板を支持する端面を有する。複数のバールを形成するステップは、レーザ焼結によってバールを形成するステップを含んでもよい。
【0146】
[00164] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を修正できることが当業者には明らかであろう。