特許第6085970号(P6085970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6085970接着テープ用リール、巻重体、梱包物、リールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用、及び接着テープ用リールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085970
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】接着テープ用リール、巻重体、梱包物、リールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用、及び接着テープ用リールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/14 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   B65H75/14
【請求項の数】28
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-533403(P2012-533403)
(86)(22)【出願日】2012年7月6日
(86)【国際出願番号】JP2012067321
(87)【国際公開番号】WO2013008744
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年6月19日
(31)【優先権主張番号】特願2011-151940(P2011-151940)
(32)【優先日】2011年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】淺川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】越智 敬人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 孝
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/148593(WO,A1)
【文献】 実開平06−042871(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/063827(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00 − 75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着テープが巻き付けられる巻芯を有する第1の側板と、
前記巻芯を挟んで第1の側板と対向するように配置された第2の側板と、を備え、
前記第2の側板は、前記巻芯の側面において前記巻芯の胴回りに互いに離間して設けられた複数の固着部によって、前記第1の側板に固定され
前記固着部の幅は、0.5mm〜2.0mmである、ことを特徴とする接着テープ用リール。
【請求項2】
前記巻芯の中央には、巻付装置又は繰出装置の回転軸が挿入される軸穴が形成され、
前記複数の固着部は、前記軸穴周りに円弧状にそれぞれ形成されている、請求項1に記載の接着テープ用リール。
【請求項3】
前記固着部は、前記第2の側板の内側面と前記巻芯の前記側面との当接部分を熱融着してなる熱融着部である、請求項1または2に記載の接着テープ用リール。
【請求項4】
前記固着部は、前記第2の側板の内側面と前記巻芯の前記側面との当接部分を接着してなる接着部である、請求項1または2に記載の接着テープ用リール。
【請求項5】
前記第1の側板の厚さは、0.5mm〜5.0mmであり、
前記第2の側板の厚さは、0.5mm〜5.0mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着テープ用リール。
【請求項6】
前記第1の側板の内側面には、中央付近から周縁部にかけて直線状に延在するリブが設けられており、前記第2の側板の内側面には、中央付近から周縁部にかけて直線状に延在するリブが設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着テープ用リール。
【請求項7】
前記第1の側板の内側面の周縁部には、円環状の突出部が設けられており、
前記第2の側板の内側面の周縁部には、前記第1の側板に設けられた前記突出部と対向するように、円環状の突出部が設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着テープ用リール。
【請求項8】
前記固着部の長さは、10mm〜30mmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の接着テープ用リール。
【請求項9】
前記複数の固着部の間の間隔は、10mm〜30mmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の接着テープ用リール。
【請求項10】
前記巻芯の外周面の円周の長さをLとし、
前記固着部の配置数をNとした場合に、
前記固着部の間の間隔は、L/2N±40%の範囲で設定されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の接着テープ用リール。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着テープ用リールと、
前記巻芯に巻き付けられた前記接着テープと、備える、巻重体。
【請求項12】
前記接着テープは、異方導電テープである、請求項11に記載の巻重体。
【請求項13】
前記接着テープの長さは、50m〜1200mである、請求項11または12に記載の巻重体。
【請求項14】
前記接着テープの厚さは、5μm〜100μmである、請求項11〜13のいずれか一項に記載の巻重体。
【請求項15】
前記接着テープの接着剤層には、エポキシ系接着剤が使用されている、請求項11〜14のいずれか一項に記載の巻重体。
【請求項16】
前記接着テープの接着剤層には、ラジカル硬化系の接着剤組成物が使用されている、請求項11〜14のいずれか一項に記載の巻重体。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか一項に記載の巻重体と、
袋状に形成されており、前記巻重体を収容するための梱包用シートと、を備える、梱包物。
【請求項18】
テープが巻き付けられる巻芯を有する第1の側板と、
前記巻芯を挟んで第1の側板と対向するように配置された第2の側板と、を備え、
前記第2の側板は、前記巻芯の側面において前記巻芯の胴回りに互いに離間して設けられた複数の固着部によって、前記第1の側板に固定され、
前記固着部の幅は、0.5mm〜2.0mmである、リールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項19】
前記巻芯の中央には、巻付装置又は繰出装置の回転軸が挿入される軸穴が形成され、
前記複数の固着部は、前記軸穴周りに円弧状にそれぞれ形成されている、請求項18に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項20】
前記固着部は、前記第2の側板の内側面と前記巻芯の前記側面との当接部分を熱融着してなる熱融着部である、請求項18または19に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項21】
前記固着部は、前記第2の側板の内側面と前記巻芯の前記側面との当接部分を接着してなる接着部である、請求項18または19に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項22】
前記第1の側板の厚さは、0.5mm〜5.0mmであり、
前記第2の側板の厚さは、0.5mm〜5.0mmである、請求項18〜21のいずれか一項に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項23】
前記第1の側板の内側面には、中央付近から周縁部にかけて直線状に延在するリブが設けられており、
前記第2の側板の内側面には、中央付近から周縁部にかけて直線状に延在するリブが設けられている、請求項18〜22のいずれか一項に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項24】
前記第1の側板の内側面の周縁部には、円環状の突出部が設けられており、
前記第2の側板の内側面の周縁部には、前記第1の側板に設けられた前記突出部と対向するように、円環状の突出部が設けられている、請求項18〜23のいずれか一項に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項25】
前記固着部の長さは、10mm〜30mmである、請求項18〜24のいずれか一項に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項26】
前記複数の固着部の間の間隔は、10mm〜30mmである、請求項18〜25のいずれか一項に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項27】
前記巻芯の外周面の円周の長さをLとし、
前記固着部の配置数をNとした場合に、
前記固着部の間の間隔は、L/2N±40%の範囲で設定されている、請求項18〜25のいずれか一項に記載のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用。
【請求項28】
接着テープが巻き付けられる巻芯を有する第1の側板と、前記巻芯を挟んで第1の側板と対向するように配置される第2の側板と、を準備し、
前記第2の側板を、前記第1の側板に対して、前記巻芯の側面において前記巻芯の胴回りに互いに離間する複数の固着部によって固定し、
前記固着部の幅を、0.5mm〜2.0mmとする、接着テープ用リールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープ用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の電極を有する被接続部材同士を接続するための接着テープが用いられている。このような接着テープとして、例えば異方導電テープある。異方導電テープを用いると、例えばプリント配線基板、LCD用ガラス基板、フレキシブルプリント基板等の基板にIC、LSIといった半導体素子等を接続する際、相対する電極同士を導通させる一方で、隣接する電極同士の絶縁状態を保つことができる。
【0003】
接着テープは、例えば熱硬化性樹脂を含有する接着剤成分と、必要に応じて配合される導電粒子とを含む接着剤層を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)などの基材上に形成されてなり、シート状の原反を用途に応じた幅(例えば数mm程度以下)で長尺に切り出すことによって作製される。そして、接着テープは、リールに巻き付けた状態で保存・運搬・使用がなされる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
一方、接着テープ用リールは、例えば巻芯と、巻芯の両側に配置された円板状の一対の側板とを備えている。このような接着テープ用リールは、例えば一方の側板に巻芯を設け、巻芯の側面に設けた突起部に他方の側板の開口部を嵌め込み、巻芯の側面と他方の側板の内側面との当接部分に固着部を形成することによって組み立てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−34468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した接着テープ用リールは、後工程においてリールからの粉塵や不純物が生じないように、使用前に洗浄を行う必要がある。しかしながら、幅細の接着テープを巻き付ける接着テープ用リールでは、側板間の間隙が非常に狭くて通気性が悪く、かつ固着部によって空気の通り道が塞がれているため、洗浄によって付着した水分を迅速に乾燥させることが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、洗浄後の乾燥の迅速化を図ることができる接着テープ用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決のため、本発明の一側面の接着テープ用リールは、接着テープが巻き付けられる巻芯を有する第1の側板と、巻芯を挟んで第1の側板と対向するように配置された第2の側板と、を備え、第2の側板は、巻芯の側面において巻芯の胴回りに互いに離間して設けられた複数の固着部によって、第1の側板に固定されていることを特徴とする。
【0009】
この接着テープ用リールでは、巻芯の側面において巻芯の胴回りに互いに離れて配置された固着部によって、第1の側板と第2の側板とが固定されている。このような構成によれば、側板間の間隙が非常に狭い場合であっても、側板間の間隙と固着部間の間隙とが連通することによって通気性を確保できる。従って、洗浄によって付着した水分を迅速に乾燥させることが可能となる。
【0010】
また、巻芯の中央には、巻付装置又は繰出装置の回転軸が挿入される軸穴が形成され、複数の固着部は、軸穴周りに円弧状にそれぞれ形成されていてもよい。この構成によれば、第1の側板と第2の側板とを強固に固定できる。
【0011】
また、固着部は、第2の側板の内側面と巻芯の側面との当接部分を熱融着してなる熱融着部であってもよい。この場合、接着部材などを用いることなく、第2の側板と巻芯とを固着できる。
【0012】
また、固着部は、第2の側板の内側面と巻芯の側面との当接部分を接着してなる接着部であってもよい。この構成により、第2の側板及び巻芯自体を加熱して固着する場合よりも、第2の側板及び巻芯への入熱は少ない。よって、第2の側板及び巻芯の入熱に起因する変形を抑制しつつ、第1及び第2の側板同士を強固に固定できる。
【0013】
また、巻芯に巻き付けられた接着テープを更に備えてもよい。この構成によれば、洗浄を行った後、接着テープ用リールに接着テープを巻き付けるまでの作業時間を短縮できる。
また、第1の側板の厚さは、0.5mm〜5.0mmであり、第2の側板の厚さは、0.5mm〜5.0mmであってもよい。
また、第1の側板の内側面には、中央付近から周縁部にかけて直線状に延在するリブが設けられており、第2の側板の内側面には、中央付近から周縁部にかけて直線状に延在するリブが設けられていてもよい。
また、第1の側板の内側面の周縁部には、円環状の突出部が設けられており、第2の側板の内側面の周縁部には、第1の側板に設けられた突出部と対向するように、円環状の突出部が設けられていてもよい。
また、固着部の幅は、0.5mm〜2.0mmであってもよい。
また、固着部の長さは、10mm〜30mmであってもよい。
また、複数の固着部の間の間隔は、10mm〜30mmであってもよい。
また、巻芯の外周面の円周の長さをLとし、固着部の配置数をNとした場合に、固着部の間の間隔は、L/2N±40%の範囲で設定されていてもよい。
また、本発明の一側面の巻重体は、上述の接着テープ用リールと、巻芯に巻き付けられた接着テープと、備える。
また、接着テープは、異方導電テープであってもよい。
また、接着テープの長さは、50m〜1200mであってもよい。
また、接着テープの幅は、0.5mm〜10mmであってもよい。
また、接着テープの厚さは、5μm〜100μmであってもよい。
また、接着テープの接着剤層には、エポキシ系接着剤が使用されていてもよい。
また、接着テープの接着剤層には、ラジカル硬化系の接着剤組成物が使用されていてもよい。
また、本発明の一側面の梱包物は、上述の巻重体と、袋状に形成されており、巻重体を収容するための梱包用シートと、を備える。
また、本発明の一側面のリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用は、テープが巻き付けられる巻芯を有する第1の側板と、巻芯を挟んで第1の側板と対向するように配置された第2の側板と、を備え、第2の側板は、巻芯の側面において巻芯の胴回りに互いに離間して設けられた複数の固着部によって、第1の側板に固定されているリールの接着テープを巻回するための接着テープ用リールとしての使用である。
また、本発明の一側面の接着テープ用リールの製造方法は、接着テープが巻き付けられる巻芯を有する第1の側板と、巻芯を挟んで第1の側板と対向するように配置される第2の側板と、を準備し、第2の側板を、第1の側板に対して、巻芯の側面において巻芯の胴回りに互いに離間する複数の固着部によって固定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る接着テープ用リールよれば、洗浄後の乾燥の迅速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、接着テープ用リールの一実施形態を示す模式的斜視図である。
図2図2は、図1のII−II線に沿った断面を示す模式的図である。
図3図3は、接着テープ用リールの第1の側板を内側面側から見た模式的図である。
図4図4は、接着テープ用リールの第2の側板を内側面側から見た模式的図である。
図5図5は、図4のVA−VA線に沿った断面、及び図3のVB−VB線に沿った断面を示す模式的図である。
図6図6は、図3の変形例を示す模式的図である。
図7図7は、梱包物を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る接着テープ用リールの好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、接着テープ用リールの一実施形態を示す模式的斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面を示す模式的図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、接着テープ用リール1は、接着テープ(例えば、異方導電テープ)Tが巻き付けられる巻芯2を有する第1の側板3と、巻芯2を挟んで第1の側板3と対向するように配置された第2の側板4と、を備えている。この接着テープ用リール1は、第1の側板3及び第2の側板4の協働によって、接着テープTの巻き崩れを防止するものであり、接着テープTを製造・供給・保存する際に用いられる。
【0018】
接着テープTは、例えば、相対する電極同士の導通状態を保ち、かつ隣接する電極同士の絶縁を保つように、電気的接続と機械的固着とを行う接続材料として使用される。接着テープTの長さは、通常は50m〜1000m程度であり、本実施形態では300m以上となっている。また、接着テープTの幅は、0.5mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜3.0mm、より好ましくは0.5mm〜2.0mm程度となっている。接着テープTの厚さは、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜40μm、より好ましくは10μm〜20μm程度となっている。
【0019】
基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる各種テープを使用することが可能である。もっとも、基材を構成する材質はこれらに限定されるものではない。また、基材として、接着剤層との当接面等に離型処理が施されたものを使用してもよい。
【0020】
接着テープTに用いられる接着剤層は、例えば接着剤成分と、必要により含有される導電粒子とを含んでなる接着剤組成物からなる。接着剤成分としては、例えば熱や光により硬化性を示す材料を広く適用できる。接続後の耐熱性や耐湿性に優れていることから、架橋性材料の使用が好ましい。熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分として含有するエポキシ系接着剤は、短時間硬化が可能で接続作業性がよく、分子構造上接着性に優れている等の特徴から好ましい。また、国際公開2009/063827号に記載されるようなラジカル硬化系の接着剤組成物も使用することができる。
【0021】
エポキシ系接着剤は、例えば高分子量エポキシ、固形エポキシ又は液状エポキシ、あるいは、これらをウレタン、ポリエステル、アクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、合成線状ポリアミド等で変性したエポキシを主成分とするものを使用することができる。エポキシ系接着剤は、主成分をなす上記エポキシに硬化剤、触媒、カップリング剤、充填剤等を添加してなるものが一般的である。
【0022】
導電粒子としては、例えばAu、Ag、Pt、Ni、Cu、W、Sb、Sn、はんだ等の金属やカーボンの粒子が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核を上記の金属やカーボンで被覆した被覆粒子を使用してもよい。導電粒子の平均粒径は分散性、導電性の観点から1μm〜18μmであることが好ましい。なお、導電粒子を絶縁層で被覆してなる絶縁被覆粒子を使用してもよく、隣接する電極同士の絶縁性を向上させる観点から導電粒子と絶縁性粒子とを併用してもよい。
【0023】
導電粒子の配合割合は、接着剤層に含まれる接着剤成分100体積部に対して、0.1〜30体積部であることが好ましく、0.1〜10体積部であることがより好ましい。この配合割合が0.1体積部未満であると対向する電極間の接続抵抗が高くなる傾向にあり、30体積部を超えると隣接する電極間の短絡が生じやすくなる傾向がある。なお、これら接着剤層に含有される成分、その配合量、配合方法などについては国際公開2009/063827号に記載される成分、その配合量、配合方法などを使用することが可能である。
【0024】
続いて、上述した第1の側板3及び第2の側板4の構成について更に詳細に説明する。図3は、第1の側板3を内側面3a側から見た模式的図である。図4は、第2の側板4を内側面4a側から見た模式的図である。図5の下方に示す図は、図3のVB−VB線に沿った断面図であり、図5の上方に示す図は、図4のVA−VA線に沿った断面図である。
【0025】
図3に示すように、第1の側板3は、例えばプラスチックからなる円板である。第1の側板3の厚さは例えば0.5mm〜5.0mm、好ましくは0.9mm〜3.0mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mm程度となっている。第1の側板3の径は、巻き付ける接着テープTの長さに応じて適宜設定される。また、第1の側板3の中央部分には、断面円形の開口部40が設けられている。
【0026】
第1の側板3の内側面3aには、中央付近から周縁部3bにかけて直線状に延在するリブ6が設けられている。図3に示す例では、リブ6は90°の間隔をもって4本設けられている。また、第1の側板3の内側面3aの周縁部3bには、円環状の突出部60が設けられている。リブ6及び突出部60の断面形状は、例えば円弧状となっており、第1の側板3の内側面3aからのリブ6及び突出部60の突出量は、例えば0.05mm〜1.00mm程度となっている。なお、第1の側板3の外側面3cは、リブ6及び突出部60のない平坦面となっている。
【0027】
巻芯2は、接着テープTを巻き付ける部分である。巻芯2は、例えばプラスチックからなり、接着テープTの幅と同様の厚みの円環状をなしている。巻芯2は、第1の側板3の開口部40を囲うように、第1の側板3の内側面3aに固定されている。
【0028】
また、第1の側板3の開口部40には、円筒部材30が嵌め込まれている。円筒部材30は、巻芯2と同様に、例えばプラスチックからなる。この円筒部材30は、第1の側板3の厚みに、第2の側板4の厚みと巻芯2の厚みとを合計した厚みと、略同等の厚みを有している。これにより、第1の側板3の開口部40に嵌め込まれた円筒部材30の一端側は、巻芯2の側面2aから第2の側板4の厚みと同程度の突出量で突出する突起部7となっている。また、円筒部材30には軸穴5が設けられている。軸穴5は、巻付装置又は繰出装置(不図示)の回転軸が挿入される部分である。この軸穴5に巻付装置又は繰出装置の回転軸を差し込んだ状態で回転軸を駆動した場合に、空回りすることなく接着テープ用リール1が回転するようになっている。軸穴5は、図3に示すように、中央に配置された円形の穴部5aと、穴部5aの一部から突出する長穴部5bとによって、全体として鍵穴のような形状をなしている。
【0029】
第2の側板4は、第1の側板3と同様に、例えばプラスチックからなる円板である。第2の側板4の厚さは、例えば0.5mm〜5.0mm、好ましくは0.6mm〜3.0mm、より好ましくは0.6mm〜2.0mm程度となっている。また、第2の側板4の径は、巻き付ける接着テープTの長さに応じて適宜設定される。本実施形態では、第2の側板4の径は、第1の側板3の径と同等となっている。また、第2の側板4の中央部分には、第1の側板3の開口部40と同径の断面円形の開口部50が設けられている。
【0030】
また、第2の側板4の内側面4aには、中央付近から周縁部4bにかけて直線状に延在するリブ6が設けられている。図4に示す例では、リブ6は90°の間隔をもって4本設けられている。さらに、第2の側板4の内側面4aの周縁部4bには、円環状の突出部60が設けられている。リブ6及び突出部60の断面形状は、例えば円弧状となっており、第2の側板4の内側面4aからのリブ6及び突出部60の突出量は、例えば0.05mm〜1.00mm程度となっている。なお、第2の側板4の外側面4cは、リブ6及び突出部60のない平坦面となっている。
【0031】
この第2の側板4は、開口部50に円筒部材30の突起部7が嵌め込まれることにより、第2の側板4の内側面4aが巻芯2の側面2aに当接した状態で円筒部材30に固定されている。また、第2の側板4の内側面4aと巻芯2の側面2aとの当接部分には、巻芯2の胴回りに互いに離間して設けられた複数の固着部Sが形成されている。固着部Sは、例えばレーザの照射によって、巻芯2の側面2a及び第2の側板4の内側面4aのうち少なくとも一方を溶融・凝固させることによって形成された熱融着部である。固着部Sは、開口部40の周りに例えば90°間隔で4箇所に設けられている。各固着部Sは、幅0.5mm〜2.0mm程度、長さ10mm〜30mm程度の円弧状となっており、固着部S,S間にはそれぞれ10mm〜30mm程度の間隔(端部と端部との間の最短直線距離)が設けられている。なお、固着部S,S間の間隔は、巻芯2の円周の長さ及び固着部Sの配置数と関連付けて設定してもよい。例えば、巻芯2の円周の長さをLとし、固着部Sの配置数をNとした場合、固着部S,S間の間隔をL/2N±40%の範囲で設定してもよい。
【0032】
このように、固着部S,S間に所定の間隔を設けることにより、第1の側板3と第2の側板4との間の間隙と、第2の側板4の内側面4aと巻芯2の側面2aとの当接部分に生じるわずかな間隙とが連通する。そして、接着テープ用リール1には、第1の側板3と第2の側板4との間の間隙から第2の側板4の内側面4aと巻芯2の側面2aとの当接部分の間隙を通って、突起部7と第2の側板4の開口部40との嵌め込み部分に至る空気の通り道が形成されることとなる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態における接着テープ用リール1では、巻芯2の側面2aにおいて巻芯2の胴回りに互いに離れて配置された固着部Sによって、第1の側板3と第2の側板4とが固定されている。このような構成によれば、側板3,4間の間隙が非常に狭い場合であっても、側板3,4間の間隙と固着部S間の間隙とが連通することによって通気性を確保できる。従って、洗浄によって付着した水分を迅速に乾燥させることが可能となる。
【0034】
また、固着部Sが、第2の側板4の内側面4aと巻芯2の側面2aとの当接部分を熱融着してなる熱融着部であるので、接着部材などを用いることなく、第2の側板4の内側面4aと巻芯2の側面2aとを溶融凝固することにより、固着できる。また、複数の固着部Sは軸穴5周りに円弧状にそれぞれ形成されているので、第1の側板3と第2の側板4とを強固に固定できる。
【0035】
また、巻芯2に巻き付けられた接着テープTを更に備えることが好ましい。この構成によれば、洗浄を行った後、接着テープ用リール1に接着テープTを巻き付けるまでの作業時間を短縮できる。
【0036】
上述のように、接着テープ用リール1の通気性を確保することは、当該接着テープ用リール1を透湿度の小さいシートで梱包して保管等する場合に特に有用である。リール内に水分が残存している場合に透湿度の小さいシートに梱包を行うと、内部からの水がシート内から逃げずに残り、接着テープT(特にラジカル硬化系の接着剤層を有するもの)にダメージを与えることがあるためである。
【0037】
なお、梱包用シートとしては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンセルローストリアセテート、塩化ビニルと塩化ビニリデンの共重合体、セロファン等のシートに無機粉末等の吸水能又は吸湿能を有する物質を蒸着した蒸着シートが挙げられる。上記無機粉末としては、特に制限はないが、例えば、乾燥剤として前述したもの等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0038】
また、梱包用シートとしては、例えば、アルミ箔、アルミ蒸着フイルム、ファインバリヤーAT(ポリエステルフィルムに酸化アルミニウムを蒸着したもの、(株)麗光製商品名)、テックバリアS、テックバリアT、テックバリアH、テックバリアV(シリカ蒸着フィルム、三菱化学興人パックス(株)製商品名)、ファインバリアAT((株)麗光製商品名)とB−PE(ブラックポリエチレン)フィルムとのドライラミネート品、OPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)上に遮光用インクを塗布したフィルムとVMCPP(アルミニウムを蒸着した一軸延伸ポリプロピレンフィルム)とのドライラミネート品等が入手可能である。なお、上記ドライラミネートとは、2つのフィルム間に接着剤を塗布し、温度40〜60℃程度で熱圧着し、室温にて24〜60時間程度予備エージングした後に30〜50℃程度で12〜36時間程度本エージングを行う作業である。
【0039】
梱包用シートの透湿度は、例えば0.02〜4.5g/(24h・m)であるが、0.05〜4.3g/(24h・m)であることがより好ましく、0.10〜4.0g/(24h・m)であることが特に好ましく、0.15〜3.5g/(24h・m)であることが非常に好ましく、0.20〜3.0g/(24h・m)であることが極めて好ましく、0.30〜2.0g/(24h・m)であることが非常に極めて好ましい。透湿度が0.02g/(24h・m)未満では入手容易性が劣り、4.5g/(24h・m)を超えると感光性エレメントのエッジフユージョンが劣る。なお、ここでいう透湿度は、JISK
7129−1992に準拠して測定され、A法により試験温度40±0.5℃及び相対湿度差90±2%RHの条件で行われるものである。
【0040】
梱包用シートの厚みは、例えば1〜100μmであるが、1〜50μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが特に好ましく、5〜20μmであることが極めて好ましい。この厚みが1μm未満では製造容易性及び入手容易性が劣る傾向があり、100μmを超えると経済性が劣る傾向がある。梱包用シートは、上記透湿度を満足すれば、材質、厚み、単独品、複数のシートの積層品等特に制限はない。梱包方法としては、接着テープ用リール1を梱包用シートで包むようにしてもよく、袋状に形成した梱包用シートに接着テープ用リール1を収容してもよい。袋状に形成した梱包用シートを用いる場合、外気が遮断されるように梱包用シートの開口部を折り曲げてもよく、開口部にスライドファスナーのような封止手段を設けてもよい。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、固着部Sは、第2の側板4の内側面4aと巻芯2の側面2aとの当接部分を接着してなる接着部であってもよい。例えば、固着部Sに対応する巻芯2の側面2aの位置に予め接着部材などを形成しておき、第1の側板3と第2の側板4とを接着してもよい。この接着部材として、例えば熱溶融性の接着剤などを適用できる。このように接着部材を用いる場合、第2の側板4及び巻芯2自体を加熱して、溶融凝固させて固着する場合よりも、第2の側板4及び巻芯2への入熱は少ない。よって、第2の側板4及び巻芯2の入熱による変形を抑制しつつ、第1の側板3及び第2の側板4同士を強固に固定できる。
【0042】
あるいは、巻芯2を有する第1の側板3と第2の側板4とが複数の固着部Sによって連結固定されるように、予め第1の側板3、第2の側板4、巻芯2、及び複数の固着部Sが一体的に成形されていてもよい。また、巻芯2、第1の側板3、円筒部材30、リブ6、及び突出部60は、例えば射出成形などによって一体的に成形されていてもよいし、あるいは、これらを別々に成形して接着または固着した後、第1の側板3の突起部7を第2の側板4の開口部50に嵌合・固着してもよい。また、固着部Sの平面形状は、必ずしも円弧状のものに限られず、直線状や波線状などでもよい。また、固着部Sは、巻芯2の側面2a内であれば、開口部40から周縁部側に沿って2重・3重に設けてもよい。この場合、第2の側板4及び巻芯2をより強固に固定することができる。
【0043】
また、接着テープTとして異方導電テープを例示したが、接着剤層が接着剤成分からなり導電粒子を含有しない非導電テープを用いてもよく、導電粒子を異方導電テープよりも多く配合した異方性を有さない導電テープを用いてもよい。また、ダイボンドフィルム、銀フィルム、半導体ウエハ加工用の接着フィルムなど各種の接着フィルムにも適用可能である。
【0044】
なお、巻芯2は第1の側板3の開口部40周りに固定されている本体部と、本体部の外周に嵌めこまれるリング部R(図6を参照)とによって構成されていてもよい。この場合、リング部Rの周面が接着テープTの巻付面となる。
【0045】
また、上述の固着部Sの配置数Nは、2〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、3〜5が特に好ましい。
【0046】
また、接着テープTの長さは、50m〜1200m程度であってもよい。
【0047】
上記実施形態において、固着部Sの平面形状は、円弧状のものに限られず、巻芯2の径方向と交差する方向に延びる長尺状であればよく、例えば、長方形状等のものを採用してもよい。
【0048】
また、各固着部Sは、巻芯2の径方向と交差する方向に延びる長尺状の領域内において、長さ方向に離間して配置された複数の固着部分により構成されていてもよい。この場合、各固着部分は、四角形状や円形状等を呈していてもよい。固着部分が配置される長尺状の領域は、上記実施形態と同様に、例えば、幅0.5mm〜2.0mm程度、長さ10mm〜30mm程度とすればよく、隣り合う領域間にはそれぞれ10mm〜30mm程度の間隔が設けられていてもよい。
【0049】
また、複数の固着部Sは、互いに異なる形状・寸法としてもよく、固着部S,Sの間隔がそれぞれ異なっていてもよい。
【0050】
また、図7は、梱包物を示す模式的斜視図である。図7に示すように、梱包物300は、接着テープ用リール1および接着テープTを有する巻重体100と、巻重体100を収容するための梱包用シート200と、を備えている。梱包用シート200は、袋状に形成されている。
【0051】
また、袋状に形成した梱包用シートを用いる場合に、封止手段として、開口部を熱により封止する方法を採用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…接着テープ用リール、2…巻芯、2a…側面、3…第1の側板、3a…内側面、4…第2の側板、4a…内側面、5…軸穴、6…リブ、7…突起部、T…接着テープ、S…固着部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7