(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
≪絶縁膜形成用組成物≫
本発明に係る絶縁膜形成用組成物は、シロキサンポリマー(A)、シロキサンポリマー(B)という異なる2種類のシロキサンポリマーを必須に含有する。この絶縁膜形成用組成物は非感光性であっても感光性(ネガ型)であってもよく、感光性(ネガ型)である場合には光酸発生剤を必須に含有する。以下、絶縁膜形成用組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
【0015】
<シロキサンポリマー(A)>
シロキサンポリマー(A)は、下記式(a−1)で表される少なくとも1種のシラン化合物の部分縮合物である。
【0017】
上記式(a−1)中、R
aは水素原子又は1価の有機基を示す。1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の有機基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;等が挙げられる。上記のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、グリシジル基等のオキシラン含有基;アミノ基、ジメチルアミノ基等のアミノ含有基;フッ素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0018】
上記式(a−1)中、Xは加水分解性基を示す。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;ビニロキシ基、2−プロペノキシ基等のアルケノキシ基;フェニルオキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基;ブタノキシム基等のオキシム基;アミノ基、ジメチルアミノ基等のアミノ含有基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、特に加水分解縮合時の制御のし易さから、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、塩素原子が好ましい。
【0019】
上記式(a−1)中、nは0〜2の整数を示す。この中でも、絶縁膜の機械強度をより向上させる観点から、n=0であるシラン化合物が含まれていることが好ましい。また、n=1,2である場合には、R
aが1価の有機基であるシラン化合物を用いることが好ましい。
【0020】
上記式(a−1)で表されるシラン化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
n=0である場合、具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランや、これらの化合物のアルコキシ基の一部又は全部を塩素原子で置き換えた化合物等が挙げられる。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
【0021】
n=1である場合、具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジブロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシランや、これらの化合物のアルコキシ基の一部又は全部を塩素原子で置き換えた化合物等が挙げられる。これらの中でも、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランが好ましい。
【0022】
n=2である場合、具体例としては、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシランや、これらの化合物のアルコキシ基の一部又は全部を塩素原子で置き換えた化合物等が挙げられる。これらの中でも、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
【0023】
上記シラン化合物の中では、n=0であるシラン化合物とn=1であるシラン化合物とを組み合わせて用いることが好ましく、メチルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを組み合わせて用いることが特に好ましい。メチルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの配合モル比は、30:70〜90:10が好ましく、60:40〜90:10がより好ましい。このような配合モル比とすることにより、絶縁膜の誘電率をより低下させることができる。
【0024】
シロキサンポリマー(A)は、1種以上の上記シラン化合物を有機溶剤に溶解した溶液に水及び酸触媒を添加し、加水分解縮合することにより得ることができる。
【0025】
この有機溶剤としては、後述する有機溶剤を用いることができる。有機溶剤は、例えば、シラン化合物1モルに対して10〜30倍モルの割合で用いられる。
【0026】
縮合の前提となるシラン化合物の加水分解の度合いは、添加する水の量により調整することができる。一般的には、シラン化合物の合計モル数に対して1〜10倍モルの割合で添加することが好ましく、1.5〜8倍モルの割合で添加することがより好ましい。
【0027】
酸触媒としては、従来慣用的に使用されている有機酸、無機酸のいずれも使用することができる。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機カルボン酸が挙げられる。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等が挙げられる。
【0028】
加水分解縮合反応は、通常5〜100時間程度で完了する。加水分解されたシラン化合物は、その後、縮合反応を起こし、その結果、Si−O−Siのネットワークが形成されてシロキサンポリマー(A)が得られる。
【0029】
シロキサンポリマー(A)の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算質量。以下同じ。)は、1000〜10000であることが好ましく、1000〜7000であることがより好ましく、2000〜5000であることがさらに好ましい。
【0030】
シロキサンポリマー(A)の含有量は、絶縁膜形成用組成物中、SiO
2換算濃度として2〜50質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。
【0031】
<シロキサンポリマー(B)>
シロキサンポリマー(B)は、下記式(b−1)で表される構成単位(b1)を少なくとも有する。
【0033】
上記式(b−1)中、R
1bは単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基を示す。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、メチレン基が特に好ましい。
【0034】
上記式(b−1)中、mは1〜5の整数を示し、1又は2が好ましく、1が特に好ましい。m=1である場合、フェノール性水酸基の置換位置は特に限定されないが、工業的にはパラ位が好ましい。
【0035】
シロキサンポリマー(B)中の構成単位(b1)の割合は、30〜100モル%が好ましく、50〜70モル%がより好ましい。
【0036】
シロキサンポリマー(B)は、下記式(b−2)で表される構成単位(b2)をさらに有することが好ましい。
【0038】
上記式(b−2)中、R
2bは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
これらの中でも、絶縁膜の誘電率をより低下させる観点から、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
【0039】
シロキサンポリマー(B)が構成単位(b2)を有する場合、その割合は、シロキサンポリマー(B)中、70モル%以下が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。また、構成単位(b1)と構成単位(b2)との比率(b1)/(b2)は、モル比で40/60〜90/10であることが好ましく、50/50〜80/20であることがより好ましく、60/40〜70/30であることがさらに好ましい。
【0040】
シロキサンポリマー(B)は、下記式(b−3−1)又は(b−3−2)のように、Si原子にオキシラン含有基又はオキセタン含有基が結合した構成単位(b3)をさらに有していてもよい。
【0042】
上記式(b−3−1)、(b−3−2)中、R
3bは水素原子又は1価の有機基を示す。1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の有機基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;これらの組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0043】
上記式(b−3−1)、(b−3−2)中、R
4bは2価の有機基を示す。2価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の有機基が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;フェニレン基等のアリーレン基;これらの組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。この有機基は、エーテル結合やエステル結合を含んでいてもよい。
【0044】
上記式(b−3−1)、(b−3−2)においてSi原子に結合しているオキシラン含有基又はオキセタン含有基の具体例としては、オキシラニル基、グリシジル基、オキシラニルエチル基、グリシジルオキシプロピル基、グリシジルオキシフェニル基、オキセタニル基、(3’−メチル−3’−オキセタニル)メチル基、2−(3’−メチル−3’−オキセタニル)エチル基、(3’−メチル−3’−オキセタニル)メチルオキシエチル基、(3’−メチル−3’−オキセタニル)メチルオキシプロピル基、(3’−エチル−3’−オキセタニル)メチル基、2−(3’−エチル−3’−オキセタニル)エチル基、(3’−エチル−3’−オキセタニル)メチルオキシエチル基、(3’−エチル−3’−オキセタニル)メチルオキシプロピル基等が挙げられる。
【0045】
シロキサンポリマー(B)が構成単位(b3)を有する場合、その割合は、シロキサンポリマー(B)中、30モル%以下が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
【0046】
本発明に係る絶縁膜形成用組成物が感光性(ネガ型)である場合、シロキサンポリマー(B)は、下記式(b−4)のように、Si原子にエチレン性二重結合含有基が結合した構成単位(b4)をさらに有していてもよい。
【0048】
上記式(b−4)中、R
5bは水素原子又はメチル基を示し、R
6bは炭素数1〜5のアルキレン基を示す。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
上記式(b−4)においてSi原子に結合しているエチレン性二重結合含有基の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシメチル基、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル基、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの一方又は両方を意味する。
【0049】
シロキサンポリマー(B)が構成単位(b4)を有する場合、その割合は、シロキサンポリマー(B)中、30モル%以下が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
【0050】
シロキサンポリマー(B)は、シロキサンポリマー(A)と同様にして得ることができる。すなわち、シロキサンポリマー(B)の各構成単位に対応する加水分解性のシラン化合物を有機溶剤に溶解した溶液に水及び酸触媒を添加し、加水分解縮合することにより得ることができる。
【0051】
シロキサンポリマー(B)の質量平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、1000〜8000であることがより好ましく、3000〜7000であることがさらに好ましい。
【0052】
シロキサンポリマー(B)の含有量は、絶縁膜形成用組成物中、SiO
2換算濃度として1〜35質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
また、シロキサンポリマー(A)の含有量とシロキサンポリマー(B)の含有量との比率(A)/(B)は、SiO
2換算の質量比で10/90〜90/10であることが好ましく、30/70〜90/10であることがより好ましい。この範囲とすることにより、低誘電率の絶縁膜を形成することが容易になる。
【0053】
<光酸発生剤>
本発明に係る絶縁膜形成用組成物が感光性(ネガ型)である場合、露光により酸を発生する光酸発生剤をさらに含有する。酸を発生させるための露光光としては、紫外線、放射線、電子線等の活性エネルギー線が用いられる。
光酸発生剤としては、公知の光酸発生剤を特に限定されることなく用いることができるが、具体例としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ジアゾメタンニトロベンジルスルホネート類等のジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等が挙げられる。この光酸発生剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0054】
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。これらの中でも、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩が好ましい。
【0055】
オキシムスルホネート系酸発生剤としては、例えば、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリル、ビス−O−(n−ブチルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。これらの中でも、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、ビス−O−(n−ブチルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシムが好ましい。
【0056】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類としては、例えば、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0057】
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン等が挙げられる。
【0058】
光酸発生剤の含有量は、シロキサンポリマー(A)とシロキサンポリマー(B)との合計含有量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。この範囲とすることにより、絶縁膜形成用組成物の保存安定性を保った上で、絶縁膜形成用組成物を十分に硬化させ、所望のパターンの絶縁膜を形成することができる。
【0059】
<含窒素有機化合物>
本発明に係る絶縁膜形成用組成物は、含窒素有機化合物を含有していてもよい。この含窒素有機化合物としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールのアミン;等が挙げられる。この含窒素有機化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0060】
含窒素有機化合物の含有量は、シロキサンポリマー(A)とシロキサンポリマー(B)との合計含有量に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。この範囲とすることにより、絶縁膜形成用組成物の保存安定性を保った上で、絶縁膜形成用組成物が感光性(ネガ型)である場合に形成される絶縁膜のパターン形状を良好なものにすることができる。
【0061】
<硬化促進触媒>
本発明に係る絶縁膜形成用組成物は、硬化促進触媒を含有していてもよい。この硬化促進触媒は、露光によって酸又は塩基を発生するような通常の光酸発生剤又は光塩基発生剤とは異なるものであり、例えば、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属類;オニウム塩;等が例示される(特許第3781049号公報等を参照)。この硬化促進触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0062】
この硬化促進触媒の中でも、絶縁膜形成用組成物の保存安定性等の観点からオニウム塩が好ましく、4級アンモニウム塩がより好ましい。
オニウム塩としては、例えば、アンモニウムヒドロキシド、アンモニウムフルオライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムブロマイド、ヨウ化アンモニウム、燐酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩、ホウ酸アンモニウム塩、硫酸アンモニウム塩、蟻酸アンモニウム塩、マレイン酸アンモニウム塩、フマル酸アンモニウム塩、フタル酸アンモニウム塩、マロン酸アンモニウム塩、コハク酸アンモニウム塩、酒石酸アンモニウム塩、リンゴ酸アンモニウム塩、乳酸アンモニウム塩、クエン酸アンモニウム塩、酢酸アンモニウム塩、プロピオン酸アンモニウム塩、ブタン酸アンモニウム塩、ペンタン酸アンモニウム塩、ヘキサン酸アンモニウム塩、ヘプタン酸アンモニウム塩、オクタン酸アンモニウム塩、ノナン酸アンモニウム塩、デカン酸アンモニウム塩、シュウ酸アンモニウム塩、アジピン酸アンモニウム塩、セバシン酸アンモニウム塩、酪酸アンモニウム塩、オレイン酸アンモニウム塩、ステアリン酸アンモニウム塩、リノール酸アンモニウム塩、リノレイン酸アンモニウム塩、サリチル酸アンモニウム塩、ベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、安息香酸アンモニウム塩、p−アミノ安息香酸アンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸アンモニウム塩、メタンスルホン酸アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム塩、トリフルオロエタンスルホン酸アンモニウム塩等のアンモニウム塩化合物が挙げられる。また、上記アンモニウム塩化合物のアンモニウム部位がメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等に置換されたアンモニウム塩化合物等も挙げられる。
これらの中でも、硬化促進の観点から、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩等が好ましい。
【0063】
硬化促進触媒の含有量は、シロキサンポリマー(A)とシロキサンポリマー(B)との合計含有量に対して0.0001〜5質量%であることが好ましく、0.0001〜1質量%であることがより好ましく、0.0001〜0.1質量%であることがさらに好ましい。この範囲とすることにより、絶縁膜形成用組成物の保存安定性を保った上で、絶縁膜形成用組成物の硬化性を適度に調整することができる。
【0064】
<空孔形成剤>
本発明に係る絶縁膜形成用組成物は、空孔形成剤を含有していてもよい。空孔形成剤としては、ポリアルキレングリコール又はその少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物:6単糖類誘導体1〜22個からなる単糖類、二糖類、多糖類、又はそれらの誘導体;過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物;等が挙げられる。この空孔形成剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0065】
この空孔形成剤の中でも、ポリアルキレングリコール又はその少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物が好ましい。
ポリアルキレングリコールにおけるアルキレン基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールの少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物とは、すくなくとも1つの上記末端の水酸基がアルキル基によってアルコキシ化されたものである。上記末端のアルコキシ化に用いられるアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖状のアルキル基が好ましい。
ポリアルキレングリコール又はその少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物の質量平均分子量は、100〜10000であることが好ましく、200〜5000であることがより好ましく、400〜4000であることがさらに好ましい。
【0066】
空孔形成剤の含有量は、シロキサンポリマー(A)とシロキサンポリマー(B)との合計含有量に対して25〜200質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。この範囲とすることにより、絶縁膜の機械的強度を保ちながら、誘電率をより低下させることができる。
【0067】
<有機溶剤>
本発明に係る絶縁膜形成用組成物は、塗布性を改善したり、粘度を調節したりするために、有機溶剤を含有することが好ましい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート(MA)、3−メトキシブタノール(BM)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル等が挙げられる。この有機溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0068】
有機溶剤の含有量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度となる範囲において、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一例としては、絶縁膜形成用組成物の固形分濃度が2〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲内となるように用いられる。
【0069】
<その他の成分>
本発明に係る絶縁膜形成用組成物は、所望により、従来公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、ラジカル性光重合開始剤、光増感剤、付加的樹脂、界面活性剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、着色剤等が挙げられる。
【0070】
本発明に係る絶縁膜形成用組成物によれば、低誘電率かつ厚膜の絶縁膜を形成することが可能である。その理由の詳細は不明であるが、絶縁膜形成用組成物の被膜を焼成する際に、シロキサンポリマー(A)中に残存する加水分解性基から生成したシラノール基と、シロキサンポリマー(B)中に存在するフェノール性水酸基とが脱水縮合することが関係していると推測される。
【0071】
≪絶縁膜の製造方法及び絶縁膜≫
本発明に係る絶縁膜形成用組成物が非感光性である場合、本発明に係る絶縁膜の製造方法は、支持体上に、本発明に係る絶縁膜形成用組成物を用いて被膜を形成する工程と、被膜を焼成する工程とを含む。
【0072】
まず、スピンナー、ロールコータ、スプレーコータ、スリットコータ等を用いて、支持体上に本発明に係る絶縁膜形成用組成物を塗布、乾燥させ、絶縁膜形成用組成物の被膜を形成する。支持体としては、例えば、シリコン基板や、透明導電回路等の配線を備え、必要に応じてブラックマトリクス、カラーフィルタ、偏光板等を備えるガラス板等が挙げられる。
【0073】
絶縁膜形成用組成物が塗布された支持体の乾燥方法としては、例えば(1)ホットプレートにて80〜120℃の温度にて60〜120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間〜数日放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分〜数時間入れて有機溶剤を除去する方法、のいずれでもよい。被膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.1〜5.0μm程度であることが好ましい。
【0074】
次いで、被膜を焼成することにより、絶縁膜を形成する。焼成温度としては、例えば150〜600℃の条件が好ましい。
【0075】
一方、本発明に係る絶縁膜形成用組成物が感光性である場合、本発明に係る絶縁膜の製造方法は、支持体上に、本発明に係る絶縁膜形成用組成物を用いて被膜を形成する工程と、被膜を露光する工程と、露光後の被膜を現像してパターンを形成する工程と、パターンを焼成する工程とを含む。
【0076】
まず、上記と同様にして支持体上に被膜を形成する。
次いで、所定のマスクを介して、塗膜を露光する。この露光により、露光部分におけるシロキサンポリマー同士のSi−O−Siネットワーク形成が促進され、現像液に対する溶解性が低下する。露光は、紫外線、放射線、電子線等の活性エネルギー線を被膜に照射することにより行う。活性エネルギー線の光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ等が挙げられる。照射するエネルギー線量は、絶縁膜形成用組成物の組成によっても異なるが、例えば1〜2000mJ/cm
2程度であればよい。
【0077】
次いで、露光後の被膜を現像してパターンを形成する。現像に用いる現像液としては、1〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が好ましい。TMAH水溶液の濃度としては、2〜2.5質量%であることが好ましく、汎用品の濃度である2.38質量%であることが特に好ましい。
次いで、現像後のパターンを焼成することにより、絶縁膜のパターンを形成する。焼成温度としては、例えば150〜600℃の条件が好ましい。
【実施例】
【0078】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0079】
<絶縁膜形成用組成物の調製>
[実施例1]
メチルトリメトキシシラン18.0質量部と、テトラメトキシシラン10.5質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)61.3質量部とを混合し、撹拌した。この混合物に純水10.2質量部と、69%硝酸0.077質量部とを加え、さらに2時間撹拌した。その後、40℃で12時間反応させることにより、シロキサンポリマー(A−1)(質量平均分子量2580、メチルトリメトキシシラン/テトラメトキシシラン=66.7/33.3(モル比))を含有する溶液を得た。
【0080】
同様にして、下記式(1)及び(2)で表される構成単位を有するシロキサンポリマー(B−1)(質量平均分子量4850、(1)/(2)=60/40(モル比))を含有する溶液を得た。
【0081】
【化7】
【0082】
そして、上記のシロキサンポリマー、光酸発生剤、及び含窒素有機化合物がそれぞれ下記の濃度となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と混合し、絶縁膜形成用組成物を調製した。
シロキサンポリマー:
シロキサンポリマー(A−1)とシロキサンポリマー(B−1)との合計含有量・・・19質量%
シロキサンポリマー(A−1)/シロキサンポリマー(B−1)=38.6/61.4(SiO
2換算質量比)
光酸発生剤:
トリフェニルスルホニウムノナフルオロブチルスルホネート・・・シロキサンポリマー(A−1)とシロキサンポリマー(B−1)との合計含有量に対して5質量%
含窒素有機化合物:
トリエチルアミン・・・シロキサンポリマー(A−1)とシロキサンポリマー(B−1)との合計含有量に対して0.3質量%
【0083】
[実施例2]
シロキサンポリマー(A−1)とシロキサンポリマー(B−1)との混合比をシロキサンポリマー(A−1)/シロキサンポリマー(B−1)=65.4/34.6(SiO
2換算質量比)としたほかは実施例1と同様にして、絶縁膜形成用組成物を調製した。
【0084】
[実施例3]
シロキサンポリマー(A−1)とシロキサンポリマー(B−1)との混合比をシロキサンポリマー(A−1)/シロキサンポリマー(B−1)=85.0/15.0(SiO
2換算質量比)としたほかは実施例1と同様にして、絶縁膜形成用組成物を調製した。
【0085】
[実施例4]
メチルトリメトキシシラン19.0質量部と、テトラメトキシシラン5.5質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)64.6質量部とを混合し、撹拌した。この混合物に純水10.8質量部と、69%硝酸0.081質量部とを加え、さらに2時間撹拌した。その後、25℃で3日間反応させることにより、シロキサンポリマー(A−2)(質量平均分子量4899、メチルトリメトキシシラン/テトラメトキシシラン=80/20(モル比))を含有する溶液を得た。
【0086】
そして、シロキサンポリマー(A−1)の代わりにシロキサンポリマー(A−2)を使用し、シロキサンポリマー(A−2)とシロキサンポリマー(B−1)との混合比をシロキサンポリマー(A−2)/シロキサンポリマー(B−1)=84.8/15.2(SiO
2換算質量比)としたほかは実施例1と同様にして、絶縁膜形成用組成物を調製した。
【0087】
[実施例5]
下記式(1)及び(3)で表される構成単位を有するシロキサンポリマー(B−2)(質量平均分子量5725、(1)/(3)=72/28(モル比))を含有する溶液を得た。
【0088】
【化8】
【0089】
そして、シロキサンポリマー(A−1),(B−1)の代わりにシロキサンポリマー(A−2),(B−2)を使用し、シロキサンポリマー(A−2)とシロキサンポリマー(B−2)との混合比をシロキサンポリマー(A−2)/シロキサンポリマー(B−2)=87.0/13.0(SiO
2換算質量比)としたほかは実施例1と同様にして、絶縁膜形成用組成物を調製した。
【0090】
[比較例1]
シロキサンポリマーとしてシロキサンポリマー(A−1)のみを用いたほかは実施例1と同様にして、絶縁膜形成用組成物を調製した。
【0091】
[比較例2]
シロキサンポリマーとしてシロキサンポリマー(A−2)のみを用いたほかは実施例1と同様にして、絶縁膜形成用組成物を調製した。
【0092】
[比較例3]
シロキサンポリマー、光酸発生剤、及び含窒素有機化合物がそれぞれ下記の濃度となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と混合し、絶縁膜形成用組成物を調製した。
シロキサンポリマー:
シロキサンポリマー(B−1)・・・26質量%
感光剤:
4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールの全水酸基の水素原子を1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基で置換した化合物・・・シロキサンポリマー(B−1)の含有量に対して20質量%
界面活性剤:
PolyFox PF−656(オムノバ社製)・・・シロキサンポリマー(B−1)の含有量に対して0.05質量%
【0093】
[比較例4]
シロキサンポリマー、光酸発生剤、及び含窒素有機化合物がそれぞれ下記の濃度となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と混合し、絶縁膜形成用組成物を調製した。
シロキサンポリマー:
シロキサンポリマー(B−2)・・・10質量%
光酸発生剤:
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメチルスルホネート・・・シロキサンポリマー(B−2)の含有量に対して1.5質量%
架橋剤:
ビスメトキシメチル尿素・・・シロキサンポリマー(B−2)の含有量に対して10質量%
ヘキサメトキシメチルメラミン・・・シロキサンポリマー(B−2)の含有量に対して1質量%
含窒素有機化合物:
トリイソプロパノールアミン・・・シロキサンポリマー(B−2)の含有量に対して0.4質量%
界面活性剤:
PolyFox PF−656(オムノバ社製)・・・シロキサンポリマー(B−2)の含有量に対して0.05質量%
【0094】
<絶縁膜の形成>
実施例1〜5及び比較例1,2の絶縁膜形成用組成物のそれぞれを、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理済みの8インチのシリコン基板上にスピンナーで塗布し、被膜を形成した。次いで、形成した被膜を、マスクパターンを介さずにNSR−S203B型露光装置(ニコン社製)によりオープンフレーム露光(KrF線、露光量55mJ/cm
2)した。その後、窒素雰囲気下、500℃で30分間焼成することにより、絶縁膜を形成した。
比較例3の絶縁膜形成用組成物については、焼成温度を400℃としたほかは上記と同様にして絶縁膜を形成した。また、比較例4の絶縁膜形成用組成物については、焼成温度を350℃としたほかは上記と同様にして絶縁膜を形成した。
得られた絶縁膜の膜厚を表1に示す。
【0095】
<誘電率の評価>
測定器(製品名「SSM495」、Solid State Measurement社製)を用いて、得られた絶縁膜の誘電率(0.9216MHz)を測定した。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
表1から分かるように、シロキサンポリマーとしてシロキサンポリマー(A−1)のみを含有する比較例1の絶縁膜形成用組成物を用いた場合の誘電率は3.02であったが、シロキサンポリマー(A−1)のほかにシロキサンポリマー(B−1)を含有させることにより、誘電率を2.87以下に低減することができた(実施例1〜3)。
また、シロキサンポリマーとしてシロキサンポリマー(A−2)のみを含有する比較例2の絶縁膜形成用組成物を用いた場合の誘電率は2.86であったが、シロキサンポリマー(A−2)のほかにシロキサンポリマー(B−1)又は(B−2)を含有させることにより、それぞれ誘電率を2.74、2.72に低減することができた(実施例4,5)。
なお、シロキサンポリマーとしてシロキサンポリマー(B−1)又は(B−2)のみを含有する比較例3,4の絶縁膜形成用組成物を用いた場合は、誘電率がそれぞれ4.80、5.14と高いものであった。
このことから、シロキサンポリマー(A)とシロキサンポリマー(B)とを組み合わせることにより、低誘電率かつ厚膜の絶縁膜を形成可能であることが分かる。