特許第6087342号(P6087342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087342
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】基板上に材料を堆積するための装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20170220BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/455
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-506543(P2014-506543)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-516475(P2014-516475A)
(43)【公表日】2014年7月10日
(86)【国際出願番号】US2012034222
(87)【国際公開番号】WO2012145492
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】61/478,462
(32)【優先日】2011年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/192,101
(32)【優先日】2011年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス, エロール アントニオ シー.
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, リチャード オー.
(72)【発明者】
【氏名】カールソン, デーヴィッド ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ボーティスタ, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ディニス, ハーマン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パタレイ, カイラシュ
(72)【発明者】
【氏名】ミオ, ニィ オー.
(72)【発明者】
【氏名】デマース, デニス エル.
(72)【発明者】
【氏名】マルカダル, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンパー, スティーヴ
(72)【発明者】
【氏名】クップラオ, サティシュ
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−507004(JP,A)
【文献】 特表2006−524911(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0121193(US,A1)
【文献】 特開平01−183809(JP,A)
【文献】 特開平07−153707(JP,A)
【文献】 特開平07−286274(JP,A)
【文献】 特表2009−516906(JP,A)
【文献】 特開昭63−240067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための装置であって、
石英を含む内部表面を含む温度制御される反応容積部と、前記温度制御される反応容積部内に配置されて基板の処理表面を支持する基板支持体とを有するプロセスチャンバと、
前記基板支持体の下方に配置されて前記基板支持体に熱エネルギーを供給する加熱システムと、
前記基板支持体の第1の側に配置され、第1のプロセスガスを供給するための第1の流路および前記第1のプロセスガスから独立して第2のプロセスガスを供給するための第2の流路を有するインジェクタであって、前記インジェクタは、前記基板の前記処理表面全体に前記第1のプロセスガスおよび前記第2のプロセスガスを供給するように位置決めされており、前記インジェクタは、前記第1のプロセスガスを注入するための複数の第1のインジェクタ口と、前記第2のプロセスガスを注入するための複数の第2のインジェクタ口と、をさらに備えており、前記複数の第2のインジェクタ口に比べて前記複数の第1のインジェクタ口の相対的なサイズ、個数、または形状は、前記基板の処理表面全体に、前記第2のプロセスガスに対する所望の濃度または流量パターンの前記第1のプロセスガスを供給するように調整される、インジェクタと、
前記基板支持体の上方に配置されて前記基板の前記処理表面に前記第1のプロセスガスを供給するシャワーヘッドと、
前記インジェクタの対向側の、前記基板支持体の第2の側に配置されて、前記プロセスチャンバから前記第1のプロセスガスおよび前記第2のプロセスガスを排出する加熱式排気マニホルドと
を備える装置。
【請求項2】
前記基板支持体は、
前記基板支持体を回転させるための回転機構と、
前記シャワーヘッドおよび前記インジェクタに対して前記基板支持体を位置決めするためのリフト機構と
をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加熱システムは、
それぞれが複数のランプを含む複数の加熱ゾーン
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記温度制御される反応容積部は、
前記基板支持体の上方に配置されたチャンバリッドと、
前記基板支持体に隣接して、前記インジェクタおよび前記排気マニホルドの上方かつ前記チャンバリッドの下方に配置された上方チャンバライナと、
前記基板支持体に隣接して、前記インジェクタおよび前記排気マニホルドの下方に配置された下方チャンバライナと
を含む複数のチャンバ構成要素により少なくとも部分的に形成される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記シャワーヘッドは、前記チャンバリッドの中、または前記チャンバリッドの下方に配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シャワーヘッド、前記上方チャンバライナ、前記下方チャンバライナ、前記チャンバリッド、および前記インジェクタは、石英を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の第2のインジェクタ口はそれぞれ、前記複数の第1のインジェクタ口のそれぞれよりも大きな直径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の第1のインジェクタ口および前記複数の第2のインジェクタ口は別個の平面内に配置され、各平面は前記基板の前記処理表面に対して平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の第1のインジェクタ口は、基板が前記基板支持体の上に位置決めされた場合、基板のエッジから第1の距離に配置され、前記複数の第2のインジェクタ口は、前記基板が前記基板支持体の上に位置決めされた場合、前記基板の前記エッジから第2の距離に配置され、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の第1のインジェクタ口のうちの1つが、前記複数の第1のインジェクタ口のうちの別のものとは異なる直径を有し、前記複数の第2のインジェクタ口のうちの1つが、前記複数の第2のインジェクタ口のうちの別のものとは異なる直径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記シャワーヘッドは、
前記処理表面の中心に位置合わせされた位置に配置された単一の排出口、または
前記処理表面の所望の領域に位置合わせされた位置に配置された複数の排出口
をさらに備える、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
処理容積部内において基板上に層を堆積する方法であって、
前記処理容積部内の表面を洗浄するステップと、
前記処理容積部内に基板を導入する前に、前記処理容積部内の温度を確立するステップと、
前記処理容積部内に、および前記基板の処理表面全体に、第1のプロセスガスを流すステップと、
前記処理容積部内に、および前記処理表面の上方から前記処理表面に向かって、前記第1のプロセスガスを別個に流すステップと、
前記処理容積部内に、および前記処理表面全体に、第2のプロセスガスを流すステップであって、前記第1のプロセスガスは、第1のキャリアガス中に、ドーパントおよび塩化水素(HCl)と共に1つまたは複数のIII族元素を含み、前記第2のプロセスガスは、第2のキャリアガス中に、ドーパントおよび塩化水素(HCl)と共に1つまたは複数のV族元素を含む、ステップと、
前記第1のプロセスガスおよび前記第2のプロセスガスで前記処理表面に1つまたは複数の層を形成する間に、前記基板の前記処理表面の温度を調整するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記第1のプロセスガスは前記第2のプロセスガスとは異なる速度で流される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、基板上に材料を堆積するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイスの臨界寸法が縮小し続けていくにつれて、例えばエネルギー効率および/または速度などを向上させるために、新規の材料をCMOS構造に取り入れることが必要となる。かかる材料群の1つが、III−V族材料であり、これらは、例えばトランジスタデバイスのチャネルにおいて使用され得る。残念ながら、現行の処理装置および処理方法は、低い欠陥密度、組成制御、高い純度、モルホロジ、ウエハ内均一性、およびランツーラン再現性など、適切な材料品質を有するIII−V族膜を作製することができない。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明者らは、例えばIII−V族材料などの材料を基板に堆積するための改良された方法および装置を提供する。
【0004】
本明細書においては、基板上に材料を堆積するための方法および装置が提示される。いくつかの実施形態においては、本発明の方法および装置は、基板にIII−V族材料を堆積するために有利に使用され得る。いくつかの実施形態においては、基板を処理するための装置は、石英からなる内部表面を含む温度制御される反応容積部を有し、温度制御される反応容積部内に配置されて基板の処理表面を支持する基板支持体を有する、プロセスチャンバと、基板支持体の下方に配置されて基板支持体に熱エネルギーを供給する加熱システムと、基板支持体の第1の側に配置され、第1のプロセスガスを供給するための第1の流路および第1のプロセスガスから独立して第2のプロセスガスを供給するための第2の流路を有するインジェクタであって、基板の処理表面全体に第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを供給するように位置決めされたインジェクタと、基板支持体の上方に配置されて基板の処理表面に第1のプロセスガスを供給するシャワーヘッドと、インジェクタの対向側の、基板支持体の第2の側に配置されてプロセスチャンバから第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを排出する加熱式排気マニホルドとを含み得る。
【0005】
いくつかの実施形態においては、基板に層を堆積するための方法は、処理容積部内の表面を洗浄することと、処理容積部内に基板を導入する前に、処理容積部内の温度を確立することと、処理容積部内に、および基板の処理表面全体に、第1のプロセスガスを流すことと、処理容積部内に、および処理表面の上方から処理表面に向かって、第1のプロセスガスを別個に流すことと、処理容積部内に、および処理表面全体に、第2のプロセスガスを流すことと、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスで処理表面に1つまたは複数の層を形成する間、基板の処理表面の温度を調整することとを含む。
【0006】
以下、本発明の他のおよびさらなる実施形態を説明する。
【0007】
上記において簡潔な要約として示し以下においてさらに詳細に論じる本発明の実施形態は、添付の図面に示す本発明の例示的な実施形態を参照することにより、理解することが可能である。しかし、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を示すものにすぎず、したがって本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない点に留意されたい。なぜならば、本発明は、他の同様に有効な実施形態を許容し得るからである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバの概略側面図である。
図1B】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバおよび保守点検エンクロージャの概略上面図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバのインジェクタおよび排気口の構成を示すプロセスチャンバの部分概略上面図である。
図3】A〜Cは、本発明のいくつかの実施形態によるインジェクタの概略側面図である。
図4】A〜Bは、本発明のいくつかの実施形態によるインジェクタの概略正面図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態によるシャワーヘッドの概略側面図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による基板に層を堆積するための方法の流れ図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による基板に堆積された層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解し易くするために、可能な場合には同一の参照数字を使用することにより、図面間で共通の同一要素を示している。これらの図面は、縮尺どおりには描かれておらず、明瞭化のために簡略化される場合がある。さらなる詳述を伴わずに、一実施形態の要素および特徴が、他の実施形態に有益に組み込まれる場合があることが企図される。
【0010】
本明細書においては、基板上に材料を堆積するための方法および装置が提示される。いくつかの実施形態においては、本発明の方法および装置は、基板上のIII−V族材料を堆積するために有利に使用され得る。本発明の方法および装置の実施形態は、例えばCOMSアプリケーションなどに適した改良されたIII−V族膜の堆積を有利に実現し得る。少なくともいくつかの実施形態においては、これらの改良された装置は、現行のエピタキシャルシリコンリアクタおよびシリコンゲルマニウムリアクタに関して主流の半導体産業によって寄せられる期待のいくつかまたは全てを満たし得る。例えば、いくつかの実施形態においては、改良された装置は、従来の市販のリアクタと比較した場合に、特定の基板内において、およびランツーランにおいて、より良好な材料品質(例えばより低い欠陥密度、良好な組成制御、より高い純度、良好なモルホロジ、およびより高い均一性のうちの1つまたは複数)を有するエピタキシャル膜の、例えば300mmシリコンウエハなどの上における成長を促進し得る。少なくともいくつかの実施形態においては、これらの改良された装置は、残留物の蓄積がはるかにより少なくなってメンテナンスサイクルおよび介入の頻度がより少なくなることに伴い、高信頼性のオペレーションおよび高いリアクタ安定性(およびプロセス安定性)を実現し得る。少なくともいくつかの実施形態においては、これらの改良された装置は、装置の安全かつ効率的な保守点検を可能にし得るため、装置のダウンタイムが減少し、全体の稼働率が上昇する。したがって、本明細書において説明される改良された装置および使用方法は、従来の市販のリアクタと比較した場合に、CMOSデバイス製造におけるIII−V族材料の改良された堆積を有利に実現し得る。
【0011】
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバ100の概略側面図を示す。いくつかの実施形態においては、プロセスチャンバ100は、Santa Clara、CaliforniaのApplied Materials, Inc.による市販のRP EPI(登録商標)リアクタなどの市販のプロセスチャンバ、またはエピタキシャルシリコン堆積プロセスを実施するように構成された任意の適切な半導体プロセスチャンバから、変更されたものであってもよい。プロセスチャンバ100は、例えば図6の方法に関連して以下において論じられるものなどのエピタキシャル堆積プロセスを実施するように構成されてもよく、例示的には、チャンバ本体110、温度制御される反応容積部101、インジェクタ114、オプションのシャワーヘッド170、および加熱式排気マニホルド118を備える。プロセスチャンバ100は、以下においてさらに詳細に論じるように、サポートシステム130およびコントローラ140をさらに含み得る。
【0012】
インジェクタ114をチャンバ本体110内部に配置された基板支持体124の第1の側121に配置して、基板が基板支持体124内に配置された場合に、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスなどの複数のプロセスガスを基板125の処理表面123全体に供給することができる。これらの複数のプロセスガスは、例えばガスパネル108などから供給されてもよい。インジェクタ114は、第1のプロセスガスを供給するための第1の流路、および第1のプロセスガスから独立して第2のプロセスガスを供給するための第2の流路とを有することもできる。第1の流路および第2の流路の実施形態は、図3A図3Bおよび図4A図4Bに関して以下に論じる。
【0013】
加熱式排気マニホルド118をインジェクタ114の対向側の、基板支持体124の第2の側129に配置してプロセスチャンバ100から第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを排出することができる。加熱式排気マニホルド118は、基板125の直径とほぼ同一のまたはそれ以上の幅の開口を含み得る。加熱式排気マニホルドは、接着低減ライナ117を含んでもよい。例えば、接着低減ライナ117は、石英またはニッケル含浸フッ素重合体等々のうちの1つまたは複数から構成され得る。
【0014】
チャンバ本体110は、概して、上方部分102、下方部分104、およびエンクロージャ120を含む。上方部分102は、下方部分104に配置され、チャンバリッド106および上方チャンバライナ116を含む。いくつかの実施形態においては、上方高温計156が、処理中の基板の処理表面の温度に関するデータを供給するために設けられてもよい。チャンバリッド106の頂部に配置されたクランプリングおよび/または上方チャンバライナが載置され得るベースプレートなどの追加の要素が、図1Aにおいては省かれているが、プロセスチャンバ100内に任意選択で含まれてもよい。チャンバリッド106は、平坦形状(図示するような)もしくはドーム状形状(図示せず)を有するなど、任意の適切な形状寸法を有してもよく、または、反転湾曲蓋リッドなど、他の形状もまた、企図される。いくつかの実施形態においては、チャンバリッド106は、石英等々の材料から構成されてもよい。したがって、チャンバリッド106は、基板125から、および/または基板支持体124の下方に配置されたランプから放射されるエネルギーを、少なくとも部分的に反射し得る。シャワーヘッド170が設けられ、リッドの下方に配置された別個の構成要素(図示せず)である実施形態においては、シャワーヘッド170は、例えば上記に論ずるようなエネルギーを少なくとも部分的に反射する石英等々の材料から構成されてもよい。上方チャンバライナ116は、図示するように、インジェクタ114および加熱式排気マニホルド118の上方かつチャンバリッド106の下方に配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、上方チャンバライナ116は、例えば上記に論ずるようなエネルギーを少なくとも部分的に反射する石英等々の材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態においては、上方チャンバライナ116、チャンバリッド106、および下方チャンバライナ131(以下に論ずる)は、石英であってもよく、これにより、基板125を囲む石英エンベロープが有利に実現される。
【0015】
概して、下方部分104は、ベースプレートアセンブリ119、下方チャンバライナ131、下方ドーム132、基板支持体124、予熱リング122、基板リフトアセンブリ160、基板支持アセンブリ164、加熱システム151、および下方高温計158を備える。加熱システム151を基板支持体124の下方に配置して基板支持体124に熱エネルギーを供給することができる。加熱システム151は、1つまたは複数の外方ランプ152および1つまたは複数の内方ランプ154を備えてもよい。「リング」という用語が、予熱リング122など、プロセスチャンバのある種の構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素の形状は、円形である必要はなく、矩形、多角形、および楕円形等々を含むが、それらに限定されない任意の形状を備え得ることが企図される。下方チャンバライナ131は、例えばインジェクタ114および加熱式排気マニホルド118の下方に、かつベースプレートアセンブリ119の上方に配置されてもよい。インジェクタ114および加熱式排気マニホルド118は、概して、上方部分102と下方部分104との間に配置され、上方部分102および下方部分104のいずれかまたは両方に結合されてもよい。
【0016】
図2は、インジェクタ114および加熱式排気マニホルド118の構成を示す、プロセスチャンバ100の部分概略上面図を示す。図示するように、インジェクタ114および加熱式排気マニホルド118は、基板支持体124の両側に配置される。インジェクタ114は、プロセスチャンバ100の内部容積部へとプロセスガスを供給するための複数のインジェクタ口202を含み得る。複数のインジェクタ口202は、実質的に基板125の処理表面123全体に第1のプロセスガス流および第2のプロセスガス流を供給するのに適したパターンにおいて、インジェクタ114の基板対面エッジに沿って定間隔をおいて配置されてもよい。例えば、複数のインジェクタ口202は、基板125の第1の側部の近傍のインジェクタ114の第1の側部から基板125の第2の側部の近傍のインジェクタ114の対向側の第2の側部にかけて、インジェクタ114の基板対面エッジに沿って定間隔を置いて配置されてもよい。加熱式排気マニホルド118は、実質的な層流条件を維持しつつ、チャンバからの過剰なプロセスガスおよび任意のプロセス副生成物の除去を促進するために、基板125の直径とほぼ同一またはそれ以上の幅の開口を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態においては、複数のインジェクタ口202は、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを互いから独立して供給するように構成され得る。例えば、第1のプロセスガスは、複数の第1のインジェクタ口により供給されてもよく、第2のプロセスガスは、複数の第2のインジェクタ口により供給されてもよい。複数の第1のインジェクタ口のサイズ、個数、および構成は、基板の処理表面全体に所望の流量の第1のプロセスガスを供給するように制御され得る。複数の第2のインジェクタ口のサイズ、個数、および構成は、基板の処理表面全体に所望の流量の第2のプロセスガスを供給するように独立して制御され得る。さらに、複数の第2のインジェクタ口に比べて複数の第1のインジェクタ口の相対的なサイズ、個数、および構成は、基板の処理表面全体に、第2のプロセスガスに対する所望の濃度または流量パターンの第1のプロセスガスを供給するように制御され得る。
【0018】
いくつかの実施形態においては、図3Aの断面図において示すように、インジェクタ114は、第1のプロセスガスを注入するための複数の第1のインジェクタ口302(例えば第1の流路)と、第2のプロセスガスを注入するための複数の第2のインジェクタ口304(例えば第2の流路)とを含み得る。図3Aに示すように、複数の第1のインジェクタ口302および複数の第2のインジェクタ口304は、相互に対して非平面配置構成とすることができる。いくつかの実施形態においては、複数の第1のインジェクタ口302がそれぞれ、複数の第2のインジェクタ口304のそれぞれの上方に配置されてもよい(またはその逆であってもよい)。複数の第1のインジェクタ口302のそれぞれが、図3に示すように、平行平面構成などの任意の所望の構成において、複数の第2のインジェクタ口304のそれぞれの上方に配置されてもよい。例えば、平行平面構成は、複数の第1のインジェクタ口302および複数の第2のインジェクタ口304が、別個の平面内に配置され、各平面が、基板125の処理表面123に対して平行であるものであってもよい。例えば、図3Bに示すように、複数の第1のインジェクタ口302はそれぞれ、基板125の上方の第1の高さ312の位置の第1の平面308に沿って配置され、複数の第2のインジェクタ口304はそれぞれ、第1の高さ312とは異なる基板125の上方の第2の高さ314の位置の第2の平面310に沿って配置される。いくつかの実施形態においては、複数の第1のインジェクタ口302はそれぞれ、複数の第2のインジェクタ口304の対応するそれぞれの直上に(例えば垂直方向に位置合わせされた状態で)配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、第1のインジェクタ口302および第2のインジェクタ口304の1つまたは複数の各口が、破線で示されるインジェクタ口306により図示されるような非垂直方向に位置合わせされた状態であってもよい(これらのインジェクタ口306は、図示されるように第2のインジェクタ口304に加えてもしくは代替として設けられてもよく、および/または第1のインジェクタ口302に加えてもしくは代替として設けられてもよい)。
【0019】
例えば図3Cに示すようないくつかの実施形態においては、複数の第1のインジェクタ口302は、基板125が基板支持体124の上に位置決めされた場合、基板125のエッジから第1の距離316に配置され、複数の第2のインジェクタ口304は、基板125が基板支持体124の上に位置決めされた場合、基板125のエッジから第2の距離318に配置され得る。例えば、「基板支持体124の上に位置決めされた場合」という表現は、基板125がプロセスチャンバ100における処理のためにとることが期待される所望の位置として理解されるように意図される。例えば、基板支持体124は、所望の処理位置に基板125を受けるためのリップ(図示せず)または他の適切な位置決め機構を備えてもよい。したがって、基板125が所望の処理位置にある場合、第1の距離316および第2の距離318は、基板125のエッジから測定され得る。例えば、図3Bに示すように、第1の距離316および第2の距離318は、異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、複数の第1のインジェクタ口302が、複数の第2のインジェクタ口304よりも基板125のエッジを越えて(またはさらに越えて)延びていてもよい。例えば、複数の第1のインジェクタ口302は、複数の第2のインジェクタ口304が第2のプロセスガスを注入する場合よりも、温度制御される反応容積部101内へとさらに第1のプロセスガスを注入するように、複数の第2のインジェクタ口304よりもさらに延びていてもよい。この理由は、第1のプロセスガスが、第2のプロセスガスよりも温度条件下における分解をより被りやすい場合があることによる。例えば、分解前に第1のプロセスの反応を最大限に引き起こすために、複数の第1のインジェクタが、温度制御される反応容積部101に対して第1のプロセスガスをさらす前に、温度制御される反応容積部101内へとできるだけ遠くに第1のプロセスガスを注入するように位置決めされてもよい。
【0020】
第1のインジェクタ口302および第2のインジェクタ口304の個数、サイズ、および構成は、様々な利点を実現するための多数の組合せにおいて制御することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、複数の第1のインジェクタ口302のうちのいくつかまたは全てが、複数の第2のインジェクタ口304のうちのいくつかまたは全てとは異なる直径を有してもよい。インジェクタ口の直径を制御することにより、それらの注入口を経由してプロセスチャンバに進入するプロセスガスの速度の制御が容易になる。より小さな直径の口は、所与の上流圧力において、より大きな直径の口よりも高速にてプロセスガスを供給する。例えば、いくつかの実施形態においては、複数の第2のインジェクタ口304はそれぞれ、図4A図4Bに示すように、複数の第1のインジェクタ口302のそれぞれよりも大きな直径を有してもよい。例えば、各第2のインジェクタ口304は、第1のプロセスガスよりも低速にて第2のプロセスガスを注入するために、より大きな直径を有してもよい。
【0021】
代替的に、または組合せとして、いくつかの実施形態においては、インジェクタの中心のより近くに配置された複数の第1のインジェクタ口302のうちの1つの第1の直径404が、図4Aに示すように、インジェクタ114のエッジのより近くに配置された複数の第1のインジェクタ口のうちの別のものの第2の直径402とは異なってもよい。同様に、いくつかの実施形態においては、インジェクタ114の中心のより近くに配置された複数の第2のインジェクタ口304のうちの1つの第1の直径408が、インジェクタ114のエッジのより近くに配置された複数の第2のインジェクタ口304のうちの別のものの第2の直径406とは異なってもよい。例えば、図4Aに示すように、第1のインジェクタ口302または第2のインジェクタ口304の直径は、例えば線形減少低減方式または非線形等々の任意の適切な低減方式において、インジェクタ114のエッジから中心にかけて次第に小さくされてもよい。代替的には、第1のインジェクタ口302または第2のインジェクタ口304の直径は、インジェクタ114のエッジから中心にかけて、例えば段階的低減方式等々、より大きな差分に基づき小さくされてもよい。
【0022】
代替的に、または組合せとして、いくつかの実施形態においては、複数の第1のインジェクタ口302および複数の第2のインジェクタ口304はそれぞれ、図4Bに示すように、共平面構成において配置されてもよい。例えば、複数の第1のインジェクタ口302および複数の第2のインジェクタ口304はそれぞれ、基板125の上方のほぼ同一の高さに配置されてもよく、または基板125の処理表面123に対して平行な面内に配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、共平面構成において配置された場合に、複数の第1のインジェクタ口302および複数の第2のインジェクタ口304はそれぞれ、図4Bに示すように、交互に配置されてもよい。代替的には、第1のインジェクタ口302および/または第2のインジェクタ口304のうちの2つ以上が、第1のインジェクタ口302および/または第2のインジェクタ口304のサブセットへと共にグループ化され、このサブセットが、他の複数の隣接するインジェクタ口間に挟置されてもよい。
【0023】
図1Aに戻ると、いくつかの実施形態においては、シャワーヘッド170を基板支持体124の上方に(例えば基板支持体124の対向側に)配置して基板125の処理表面123に第3のプロセスガスを供給することができる。第3のプロセスガスは、第1のプロセスガスと同一であってもよく、第2のプロセスガスと同一であってもよく、またはインジェクタ114により供給される第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスとは異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、第3のプロセスガスは、第1のプロセスガスと同一である。また、第3のプロセスガスは、例えばガスパネル108から供給することもできる。
【0024】
例えば図1Aに図示されるようないくつかの実施形態においては、シャワーヘッド170は、基板125の処理表面123に対して第3のプロセスガスを供給するための単一の排出口171を含み得る。図1Aに図示されるようないくつかの実施形態においては、単一の排出口171は、処理表面123の中心または基板支持体124の中心に実質的に位置合わせされた位置に配置されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態においては、シャワーヘッド170は、図5に図示されるように、複数の排出口502を含み得る。いくつかの実施形態においては、複数の排出口502は、共にグループ化され得る(例えば約10センチメートル(約4インチ)を超えない直径を有する円内に配置される)。これらの複数の排出口は、基板125の処理表面123に第1のプロセスガスを(例えばガス源504から)送達するために、処理表面の所望の領域、例えば処理表面の中心に実質的に位置合わせされる位置に配置されてもよい。シャワーヘッド170は、3つの排出口502を有するものとして図示されるが、第3のプロセスガスを供給するのに適した任意の所望の個数の排出口を有することが可能である。さらに、処理表面の中心と位置合わせされるように図示されるが、単一の排出口または複数の排出口は、処理中に基板の所望の領域にプロセスガスを供給するために、処理表面の任意の所望の領域と位置合わせされてもよい。
【0026】
シャワーヘッド170は、チャンバリッド106と一体であってもよく(図1Aに示すように)、または別個の構成要素であってもよい(図5に示すように)。例えば、排出口171は、チャンバリッド106中に中ぐりされた孔であってもよく、任意選択でチャンバリッド106中に中ぐりされた孔を貫通して配置されたインサートを含み得る。代替的には、シャワーヘッド170は、チャンバリッド106の下方に配置された別個の構成要素であってもよい。いくつかの実施形態においては、シャワーヘッド170およびチャンバリッド106は共に、例えばシャワーヘッド170またはチャンバリッド106によりランプ152、154からのまたは基板125からのエネルギー吸収を制限するために、石英から構成されてもよい。
【0027】
上述のようなインジェクタ114の、および任意選択でシャワーヘッド170の実施形態は、最適な堆積均一性および残留物形成を最小限に抑えた成分制御を促進するために、使用され得る。例えば、上記において論ずるように、第1のガスおよび第2のガスなどの特定の反応物が、インジェクタ114の独立して制御可能なインジェクタ口および/またはシャワーヘッド170の排出口を通して導かれてもよい。インジェクタ114の、および任意選択でシャワーヘッド170のこれらの実施形態により助長される注入方式により、各反応物の流速および/または流れプロファイルを、プロセスチャンバ100内を流れる他の反応物に対するその反応性と整合させることが可能となり得る。例えば、以下に論じるように、第1のプロセスガスは、第2のプロセスガスよりも速い流速にて流されてもよい。なぜならば、第1のプロセスガスは、第2のプロセスガスより反応性が高い可能性があり、より高速で分解する場合があるからである。したがって、残留物形成を制限し、均一性および/または組成を最適化するように、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスの反応性を整合させるために、第1のプロセスガスは、第2のプロセスガスよりも高速で流されてもよい。前述の注入方式は単なる例示にすぎず、他の注入方式が可能である。
【0028】
図1Aに戻ると、基板支持体124は、その上に基板125を支持するための、プレート(図1Aに図示)またはリング(図1Aにおいて破線により図示)など、任意の適切な基板支持体とすることができる。基板支持アセンブリ164は、概して、基板支持体124に対して結合された複数の支持ピン166を有する支持ブラケット134を含む。基板リフトアセンブリ160は、基板リフトシャフト126と、基板リフトシャフト126の各パッド127に選択的に載置される複数のリフトピンモジュール161とを備える。一実施形態においては、リフトピンモジュール161が、基板支持体124うちの第1の開口162を通して可動的に配置される、リフトピン128のオプションの上方部分を備える。作動に際して、基板リフトシャフト126は、リフトピン128に係合するように移動される。係合されると、リフトピン128は、基板支持体124の上方に基板125を上昇させ得る、または基板支持体124の上に基板125を下降させ得る。
【0029】
基板支持体124は、リフト機構172と、基板支持アセンブリ164に対して結合された回転機構174とをさらに含み得る。リフト機構172は、基板125の処理表面123に対して垂直な方向に基板支持体124を移動させるために使用され得る。例えば、リフト機構172は、シャワーヘッド170およびインジェクタ114に対して基板支持体124を位置決めするために使用され得る。回転機構174は、中心軸を中心として基板支持体124を回転させるために使用され得る。作動に際して、リフト機構は、インジェクタ114および/またはシャワーヘッド170により生成される流れ場に対する基板125の位置の動的制御を容易にし得る。基板125の位置の動的制御と、回転機構174による基板125の連続回転との組合せは、流れ場に対する基板125の処理表面123の露出を最適化することにより、堆積均一性および/または組成を最適化し、処理表面123における残留物形成を最小限に抑えるために利用され得る。
【0030】
処理中に、基板125は、基板支持体124の上に配置される。ランプ152および154は、赤外(IR)放射(すなわち熱)源であり、作動に際して、基板125全体に所定の温度分布を生じさせる。チャンバリッド106、上方チャンバライナ116、および下方ドーム132は、上記で論じたように石英から形成されてもよいが、他のIR透過性のおよびプロセス適合性の材料が、これらの構成要素を形成するために使用されてもよい。ランプ152、154は、基板支持体124の裏側に対して熱均一性を実現するためのマルチゾーンランプ加熱装置の一部であってもよい。例えば、加熱システム151は、複数の加熱ゾーンを含むことができ、各加熱ゾーンは複数のランプを含む。例えば、1つまたは複数のランプ152が、第1の加熱ゾーンとすることができr、1つまたは複数のランプ154が、第2の加熱ゾーンとすることができる。ランプ152、154は、約200から約900℃の広範な温度範囲を可能にし得る。ランプ152、154は、約5から約20℃/秒の高速応答制御を可能にし得る。例えば、ランプ152、154のこの温度範囲および高速応答制御により、基板125における堆積均一性が提供され得る。さらに、下方ドーム132は、基板支持体124の裏側および/または基板125の処理表面123における温度均一性の制御をさらに補助するために、例えば能動冷却または窓設計等々により、温度制御されてもよい。
【0031】
温度制御される反応容積部101は、複数のチャンバ構成要素によるチャンバリッド106により形成され得る。例えば、かかるチャンバ構成要素は、チャンバリッド106、上方チャンバライナ116、下方チャンバライナ131、および基板支持体124を含み得る。温度制御される反応容積部101は、温度制御される反応容積部101を形成するチャンバ構成要素のうちの任意の1つまたは複数の表面などの、石英からなる内部表面を含み得る。温度制御される反応容積部101は、約20から約40リットルとすることができる。この容積部101は、例えば200mmまたは300mm等々の任意の適切にサイズ設定された基板を収容することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、基板125が、約300mmである場合には、例えば上方チャンバライナ116および下方チャンバライナ131などの内部表面は、基板125のエッジから最大で約50mmまで離れていてもよい。例えば、いくつかの実施形態においては、上方チャンバライナ116および下方チャンバライナ131などの内部表面は、基板125のエッジから、最大で基板125の直径の約18%までの距離のところにあってもよい。例えば、いくつかの実施形態においては、基板125の処理表面123は、チャンバリッド106から、最大で約100mmまでとすることができ、または約2.03センチメートルから約2.54センチメートル(約0.8インチから約1インチ)の範囲とすることもできる。
【0032】
温度制御される反応容積部101は、変動体積を有してもよく、例えば、容積部101のサイズは、リフト機構172がチャンバリッド106のより近くに基板支持体124を上昇させる場合には縮小し、リフト機構172がチャンバリッド106から離れるように基板支持体124を下降させる場合には拡張してもよい。温度制御される反応容積部101は、1つまたは複数の能動冷却構成要素または受動冷却構成要素により冷却され得る。例えば、容積部101は、プロセスチャンバ100の壁部により受動的に冷却されてもよく、この壁部は、例えばステンレス鋼等々であってもよい。例えば、別個に、または受動冷却との組合せにおいて、容積部101は、例えばチャンバ100の周囲に冷却剤を流すことなどにより、能動的に冷却されてもよい。例えば、この冷却剤は、ガスであってもよい。
【0033】
支持システム130は、プロセスチャンバ100における所定のプロセス(例えばエピタキシャルシリコン膜の成長など)を実行およびモニタリングするために使用される構成要素を備える。かかる構成要素は、概して、かかる構成要素には、処理チャンバ100の様々なサブシステム(例えばガスパネル(複数可)、ガス分配導管、および真空/排気サブシステム等々)と、デバイス(例えば電源およびプロセス制御機器等々)が含まれる。例示的な支持システム130は、以下において論じられ、図1Bに図示される、化学物質デリバリシステム186を備えてもよい。
【0034】
コントローラ140は、直接的に(図1Aに示すように)、または代替的にはプロセスチャンバおよび/または支持システムに関連付けられたコンピュータ(もしくはコントローラ)を介して、プロセスチャンバ100および支持システム130に対して結合されてもよい。コントローラ140は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための工業環境で使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つであってもよい。CPU142のメモリまたはコンピュータ可読媒体144は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または任意の他の形態のローカルもしくはリモートのデジタルストレージなど、容易に入手可能なメモリのうちの1つまたは複数であってもよい。サポート回路146は、従来的な態様でプロセッサをサポートするために、CPU142に対して結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、および入出力サブシステム等々を備える。
【0035】
この改良された装置の実施形態では、プロセスチャンバ100の安全かつ効率的な保守点検が実現されることにより、プロセスチャンバ100のダウンタイムが減少し、全体の稼働率が上昇する。例えば、図1Bに示すように、プロセスチャンバ100のエンクロージャ120は、保守点検人員による保守点検エンクロージャ180からのアクセスが可能なものであってもよく、この保守点検エンクロージャ180は、エンクロージャ120に隣接して配置され得る。例えば、プロセスチャンバ100は、保守点検人員にとって、保守点検エンクロージャ180からエンクロージャ120を隔離し得るドア182を経由してアクセス可能なものとされてもよい。代替的には、または組合せとして、プロセスチャンバ100は、保守点検人員にとって、エンクロージャ120と保守点検エンクロージャ180との間に配置されたグローブボックス184を経由して保守点検エンクロージャ180内にアクセス可能なものとされてもよい。例えば、グローブボックス184は、エンクロージャ120内に配置されたプロセスチャンバ100および/またはプロセスチャンバ100の構成要素に対する、管理雰囲気等々の下における管理されたアクセスを可能にし得る。いくつかの実施形態においては、保守点検エンクロージャ180は、保守点検エンクロージャ180からアクセス可能なおよび/または保守点検エンクロージャ180内に配置された、ガスキャビネット等々の化学物質デリバリシステム186をさらに備えてもよい。化学物質デリバリシステム186は、所望の基板処理を促進するために、プロセスチャンバ100に対してプロセスガスを供給してもよい。図1Bに示すように、エンクロージャ120および保守点検エンクロージャ180は、例えば別個に、ハウス排気システム188へと通気されてもよい。代替的には、または組合せとして、エンクロージャ120は、ハウス排気システム188へと、または保守点検エンクロージャ180からアクセス可能な予備排気機構190を経由して別の排気システム(図示せず)へと通気されてもよい。
【0036】
図6は、基板125に層700を堆積する方法600に関する流れ図を示す。以下、この方法600は、プロセスチャンバ100の実施形態にしたがって説明される。しかし、方法600は、この方法600の要素を実現し得る任意の適切なプロセスチャンバにおいて使用され得るものであり、プロセスチャンバ100に限定されるものではない。
【0037】
1つまたは複数の層700が、図7に図示されるが、これらは、基板125に堆積され得る任意の適切な1つまたは複数の層であってもよい。例えば、1つまたは複数の層700は、III−V族材料を含んでもよい。1つまたは複数の層700は、例えばトランジスタデバイスのチャネル等々のデバイスの要素であってもよい。
【0038】
任意選択で、方法600は、温度制御される反応容積部101(例えば処理容積部)内に基板125を導入する前に、温度制御される反応容積部101の表面を洗浄する、および/または温度制御される反応容積部101内の温度を確立することにより開始され得る。例えば、各基板125における層形成の前および/または後に、チャンバ100は、低いパーティクルレベルを維持するために、および/または各基板125上の残留物蓄積を制限するために、インシトゥ洗浄されてもよい。例えば、インシトゥ洗浄プロセスは、インジェクタ114および/またはシャワーヘッド170を通してハロゲンガスおよびパージガスを交互に流すことにより、チャンバから残留物等々をパージすることを含んでもよい。例えば、温度制御される反応容積部101の表面を洗浄することは、ハロゲンガスを用いてこの表面をエッチングし、不活性ガスを用いて処理容積部をパージすることを含んでもよい。例えば、ハロゲンガスは、塩素(Cl)塩化水素(HCl)、または三フッ化窒素(NF)等々のうちの1つまたは複数を含んでもよい。ハロゲンガスは、基板支持体124、上方チャンバライナ116および下方チャンバライナ131、またはチャンバリッド106等々の、温度制御される反応容積部101の任意の適切な構成要素に対して付与することができる。
【0039】
温度制御される反応容積部101内の温度を確立することは、基板125の処理表面123に対するプロセスを実施するための温度であるかまたはそれに近い温度である任意の適切な温度へと温度を次第に上昇させることと、容積部101内に基板125を導入する前にこの所望の温度の所望の許容レベル内にこの温度を安定化させることとを含んでもよい。
【0040】
方法600は、602で、基板125の処理表面123全体に第1のプロセスガスを流すことにより開始される。第1のプロセスガスは、インジェクタ114の複数の第1のインジェクタ口302に関して上記において論じた実施形態のうちの任意のものにより、処理表面123中全体に流されてもよい。いくつかの実施形態においては、第1のプロセスガスは、容易に分解してもよく、および/または、第2のプロセスガスよりも迅速に反応するものであってもよい。例えば、温度制御される反応容積部101内における第1のプロセスガスの滞留時間を、第2のプロセスガスに対して最小限に抑えることが必要となる場合がある。例えば、第1のプロセスガスの滞留時間を最小限に抑えることにより、第2のプロセスガスに対して第1のプロセスガスの消耗が最小限に抑えられ、1つまたは複数の層700における組成および/または厚さの均一性が改善され得る。したがって、いくつかの実施形態においては、第1のプロセスガスが、分解または反応前に、基板125に、または基板125の中心に、または基板125の中心付近により迅速に到達するように、より小さな直径を第1のインジェクタ口302に対して与えて、第1のプロセスガスの速度をより高速にしてもよい。そのため、第1のプロセスガスは、第2のプロセスガスよりも高い流量で流されてもよい。同様に、第1のインジェクタ口302の直径が図3Cに図示されるようにインジェクタ114のエッジから中心にかけて小さくなり得るいくつかの実施形態においては、第1のプロセスガスの流量は、処理表面のエッジにわたるよりも処理表面の中心にわたる方がより高くなり得る。いくつかの実施形態においては、第1のプロセスガスは、第1のキャリアガス内に1つまたは複数のIII族元素を含んでもよい。例示的な第1のプロセスガスは、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、またはトリメチルアルミニウムのうちの1つまたは複数を含む。また、ドーパントおよび塩化水素(HCl)が、第1のプロセスガスに添加されてもよい。
【0041】
604では、任意選択で、第1のプロセスガスが、処理表面123の上方から処理表面123に向かって別個に流されてもよい。例えば、第1のプロセスガスは、上述のようなシャワーヘッド170の任意の適切な実施形態を使用してシャワーヘッド170から流されてもよい。第1のプロセスガスは、十分な量の第1のプロセスガスが処理表面123の中心に到達し、例えば第1のプロセスガスの反応性がより高いことなどにより反応して層700を形成することが確保されるように、シャワーヘッド170から流されてもよい。第1のプロセスガスは、例えば同時流方式、交互流方式、もしくは周期流方式などの任意の適切な方式、または処理表面123全体を層700が十分に覆うような任意の適切な流れ方式で、インジェクタ114およびシャワーヘッド170から流されてもよい。代替的には、窒素(N)または水素(H)などの不活性ガスが、処理表面123の上方から処理表面123に向かって流されてもよい。
【0042】
606では、第2のプロセスガスが、処理表面123全体に流されてもよい。第2のプロセスガスは、インジェクタ114の複数の第2のインジェクタ口304に関して上記において論じた任意の実施形態により、処理表面123全体に流されてもよい。例えば、第2のプロセスガスは、第1のプロセスガスに比べてより低速で分解しても、および/またはより低い反応性を有してもよい。したがって、上記において論じたように第2のインジェクタ口304の直径がより大きいことにより、第2のプロセスガスは、より低速になり得るため、これにより、第2のプロセスガスは、第1のプロセスガスに比べてより低速でプロセスチャンバ100に進入し、基板の表面のより広い部分にわたり移動しつつ分解することが可能となる。そのため、第2のプロセスガスは、第1のプロセスガスに比べてより低流量にて流され得る。同様に、第2のインジェクタ口304の直径が、図3Cに示すようにインジェクタ114のエッジから中心にかけて小さくなり得るため、第2のプロセスガスの流量は、処理表面のエッジによりも処理表面の中心の方が高くなり得る。いくつかの実施形態においては、第2のプロセスガスは、第2のキャリアガス中に1つまたは複数のV族元素を含んでもよい。例示的な第2のプロセスガスは、アルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)、第三級ブチルアルシン、または第三級ブチルホスフィン等々のうちの1つまたは複数を含む。また、ドーパントおよび塩化水素(HCl)が、第2のプロセスガスに添加されてもよい。
【0043】
第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスは、例えば同時流方式、交互流方式、または周期流方式などの任意の適切な方式、あるいは1つまたは複数の層700が処理表面123全体を十分に覆うような任意の適切な流れ方式などの、任意の適切な方式において、インジェクタ114およびシャワーヘッド170から流されてもよい。
【0044】
608では、基板125の処理表面123の温度が、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスで基板125の処理表面123に1つまたは複数の層700を形成するために、調整されてもよい。例えば、温度を調整することは、容積部101を構成する構成要素および/または内部表面のうちの任意の1つまたは複数を加熱または冷却するなど、温度制御される反応容積部101を加熱および冷却することを含んでもよい。例えば、加熱することは、基板支持体124の裏側表面に対してエネルギーを供給することを含んでもよく、この場合に、基板は、基板支持体124の表側表面に載置される。加熱することは、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスが流れる前および/または流れている間に実施されてもよい。加熱することは、連続的または不連続的に、および周期的になど任意の所望の方式で行われてもよい。加熱することは、処理表面123上への層700の堆積を達成するために、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスが流れる前および/または最中に基板125において任意の所望の温度プロファイルを実現するものであってもよい。加熱することは、ランプ152、154により実現されてもよい。ランプ152、154は、約5℃/秒から約20℃/秒で基板温度を上昇させることが可能であってもよい。ランプ152、154は、約200から約900℃の範囲の温度を基板125に与えることが可能であってもよい。
【0045】
ランプ152、154は、約5℃/秒から約20℃/秒で処理表面123の温度を調整するために、上記において論じた冷却機構および冷却装置などの他の構成要素と組み合わせて使用されてもよい。例えば、1つまたは複数の層は、図7に示すように、第1の層702と、第1の層702の頂部に堆積された第2の層704とを備えてもよい。例えば、第1の層702は、第1の温度で処理表面123に堆積されてもよい。例えば、第1の層702は、核形成層等々であってもよい。第2の層704は、第2の温度において第1の層702の頂部に堆積されてよい。例えば、第2の層704は、バルク層等々であってもよい。いくつかの実施形態においては、第2の温度が、第1の温度よりも高くてもよい。第1の層702および第2の層704の堆積は、例えば第1の温度において第1の層702を堆積し、第1の温度よりも高い第2の温度において第2の層704を堆積し、次いで第1の温度において第2の層704の頂部に追加の第1の層702を堆積する等、所望の層厚さに達するまで反復されてもよい。
【0046】
方法600の追加的なおよび/または代替的な実施形態が可能である。例えば、基板125は、第1の層702および第2の層704などの1つまたは複数の層を堆積する間に、回転されてもよい。別個に、または組合せとして、処理表面123の位置が、1つまたは複数の層の組成を調節するために、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスの流れに対して変更されてもよい。例えば、リフト機構174は、第1のプロセスガスおよび/または第2のプロセスガスが、1つまたは複数の層の組成を制御するために流されている間、インジェクタ114および/またはシャワーヘッド170に対する処理表面123の位置を上昇および/または下降させるために使用されてもよい。
【0047】
したがって、本明細書においては、III−V族材料を堆積するための改良された方法および装置が提供された。本発明の方法および装置の実施形態は、従来的な堆積装置により堆積されるIII−V族膜と比較して、CMOSアプリケーションに適した改良されたIII−V族膜の堆積を有利に実現し得る。
【0048】
前述は、本発明の実施形態に関するが、本発明の他のおよびさらなる実施形態が、本発明の基本範囲から逸脱することなく考案され得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7