(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、重合性基材成分(B)を含み、前記重合性基材成分(B)が、光重合性化合物、又は光重合性化合物と樹脂とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の感光性組成物。
請求項1〜5のいずれか1項記載の感光性組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、該塗膜又は成形体に対して所定パターン状に電磁波を照射し、現像することを含むパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪感光性組成物≫
本発明に係る感光性組成物は、上記式(1)で表される光重合開始剤(A1)、及び、ニトロ基が結合した芳香環骨格を有する光重合開始剤(A2)を含む。以下、感光性組成物に含まれる各成分について説明する。
【0017】
<光重合開始剤(A)>
光重合開始剤の種類によっては、光重合開始剤を含む感光性組成物の透過率、及び、当該感光性組成物を用いて形成され、ポストベークを施されたパターンの透過率が低下する場合がある。また、光重合開始剤の種類によっては、光重合開始剤を含む感光性組成物の透過率が低下する場合もある。しかし、上記式(1)で表される光重合開始剤(A1)(以下、「光重合開始剤(A1)」又は「(A1)成分」ともいう。)を含む感光性組成物を用いる場合、加熱によるパターンの透過率の低下が生じにくい。同時に、感光性組成物の透過率の低下が生じにくい場合もある。また、光重合開始剤(A1)は、光に対して比較的高感度である。
一方、ニトロ基が結合した芳香環骨格を有する光重合開始剤(A2)(以下、「光重合開始剤(A2)」又は「(A2)成分」ともいう。)は、光に対して高感度である。
本発明に係る感光性組成物は、光重合開始剤(A1)と光重合開始剤(A2)との組み合わせにより、光に対する感度に優れるとともに、高い透過率を維持する硬化物を与える。このため、本発明の感光性組成物を用いることで、低露光量で所望する形状のパターンを形成することが可能であり、形成されるパターンは、高い透過率を有する。また、感度に優れる本発明に係る感光性組成物を用いることで、パターン形成時のパターンはがれを抑制し、ラインパターンを形成する際のパターンのエッジに生じるがたつきの発生を抑制することができる。
【0018】
[式(1)で表される光重合開始剤(A1)]
本発明に係る感光性組成物は、上記式(1)で表される光重合開始剤(A1)を含有する。光重合開始剤(A1)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
式(1)中、R
1は、水素原子又は1価の有機基である。R
1は、式(1)中のフルオレン環上で、−CO−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。この条件を満たす限り、式(1)中、R
1のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。光重合開始剤(A1)が1以上のR
1を有する場合、光重合開始剤(A1)の合成が容易であること等から、1以上のR
1のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。R
1が複数である場合、複数のR
1は同一であっても異なっていてもよい。
【0020】
R
1が1価の有機基である場合、R
1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の1価の有機基から適宜選択される。R
1が1価の有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
【0021】
R
1がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R
1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R
1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0022】
R
1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R
1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R
1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
R
1がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。R
1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R
1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0024】
R
1が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。R
1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R
1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
R
1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。R
1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0026】
R
1がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、R
1がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。R
1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。R
1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。R
1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R
1は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
【0027】
R
1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、及び/又はOを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、イソインドール環、インドリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、カルバゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、フタラジン環、シンノリン環、キノキサリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピペリジン環、テトラヒドロピラン環、及びテトラヒドロフラン環等が挙げられる。R
1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
【0028】
R
1がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、R
1がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0029】
R
1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R
1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0030】
R
1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン原子、及びシアノ基等が挙げられる。ハロゲン原子の具体例及び好適例は後述の通りである。R
1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1〜4が好ましい。R
1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
以上説明した基の中でも、感度が向上する傾向がある点で、R
1としては、R
6−CO−で表される基が好ましい。R
6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R
6として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R
6として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、透明性が良好となる傾向がある点で、R
1としては水素原子が好ましい。なお、R
1が水素原子であり且つR
4が後述の式(R4−2)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
【0032】
式(1)中、R
2及びR
3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。R
2とR
3とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、R
2及びR
3として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。R
2及びR
3が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
【0033】
R
2及びR
3が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。R
2及びR
3が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R
2及びR
3がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0034】
R
2及びR
3が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、R
1がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、R
1がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。R
1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
【0035】
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
【0036】
R
2及びR
3が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。R
2及びR
3が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、R
2及びR
3が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0037】
R
2及びR
3が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0038】
R
2及びR
3が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されず、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0039】
R
2及びR
3がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、及び/又はOを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、イソインドール環、インドリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、カルバゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、フタラジン環、シンノリン環、キノキサリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピペリジン環、テトラヒドロピラン環、及びテトラヒドロフラン環等が挙げられる。
【0040】
R
2とR
3とは相互に結合して環を形成してもよい。R
2とR
3とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。R
2とR
3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0041】
R
2とR
3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0042】
以上説明したR
2及びR
3の中でも好適な基の例としては、式−A
1−A
2で表される基が挙げられる。式中、A
1は直鎖アルキレン基であり、A
2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
【0043】
A
1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A
2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A
2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A
2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A
2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、R
2及びR
3が置換基として有する環状有機基と同様である。A
2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、R
2及びR
3が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0044】
R
2及びR
3の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロルエチル基、3−クロル−n−プロピル基、4−クロル−n−ブチル基、5−クロル−n−ペンチル基、6−クロル−n−ヘキシル基、7−クロル−n−ヘプチル基、8−クロル−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0045】
R
2及びR
3として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
【0046】
式(1)中、R
4は、下記式(R4−1)又は(R4−2)で表される基である。
【化5】
(式(R4−1)及び(R4−2)中、R
7及びR
8はそれぞれ1価の有機基であり、pは0〜4の整数であり、R
7及びR
8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
7とR
8とが互いに結合して環を形成してもよく、qは1〜8の整数であり、rは1〜5の整数であり、sは0〜(r+3)の整数であり、R
9は1価の有機基である。)
【0047】
式(R4−1)中のR
7及びR
8についての1価の有機基の例は、R
1と同様である。R
7としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。R
7がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、R
7はメチル基であるのが最も好ましい。R
7とR
8とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(R4−1)で表される基であって、R
7とR
8とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(R4−1)中、pは0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0048】
上記式(R4−2)中、R
9は1価の有機基である。1価の有機基としては、R
1について説明した1価の有機基と同様の基が挙げられる。1価の有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R
9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0049】
上記式(R4−2)中、rは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(R4−2)中、sは0〜(r+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(R4−2)中、qは1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0050】
式(1)中、R
5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。R
5がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、R
1がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
【0051】
式(1)中、R
5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0052】
式(1)中、nは0〜4の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0053】
上述の通り、光重合開始剤(A1)は、ニトロ基を有しない。即ち、R
1〜R
5のいずれもニトロ基を有しない。
【0054】
光重合開始剤(A1)の含有量は、感光性組成物の固形分に対して0.001〜50質量%であることが好ましく、0.01〜30質量%であることがより好ましく、0.1〜20質量%が更により好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。光重合開始剤(A1)の含有量が上記の範囲内であると、得られる組成物は、露光に対する良好な感度を維持しつつ、その組成物から得られる硬化物は、透過率が十分となりやすい。
光重合開始剤(A1)の含有量は、例えば、光重合開始剤(A)全体に対して1〜99.5質量%の範囲であればよく、好ましくは50〜99質量%であり、70〜98質量%であることがより好ましく、80〜97質量%であることが更により好ましい。
【0055】
光重合開始剤(A1)の製造方法は特に限定されない。光重合開始剤(A1)は、好ましくは、下記式(2)で表される化合物に含まれるオキシム基(=N−OH)を、=N−O−COR
5で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。R
5は、式(1)中のR
5と同様である。
【化6】
(R
1、R
2、R
3、R
4、及びnは、式(1)と同様である。)
【0056】
このため、上記式(2)で表される化合物は、光重合開始剤(A1)の合成用中間体として有用である。
【0057】
オキシム基(=N−OH)を、=N−O−COR
5で表されるオキシムエステル基に変換する方法は特に限定されない。典型的には、オキシム基中の水酸基に、−COR
5で表されるアシル基を与えるアシル化剤を反応させる方法が挙げられる。アシル化剤としては、(R
5CO)
2Oで表される酸無水物や、R
5COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
【0058】
光重合開始剤(A1)は、例えば、下記スキームに従って合成することができる。下記スキームでは、下記式(1−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。R
1が1価の有機基である場合、式(1−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をR
2及びR
3で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基R
1を導入して得ることができる。9位をR
2及びR
3で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、R
2及びR
3がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
【0059】
式(1−1)で表されるフルオレン誘導体に、フリーデルクラフツアシル化反応により、−CO−CH
2−R
4で表されるアシル基を導入し、式(2−1)で表されるフルオレン誘導体が得られる。−CO−CH
2−R
4で表されるアシル基を導入するためのアシル化剤としては、式(1−8)で表されるカルボン酸ハライドが好ましい。式(1−8)中、Halはハロゲン原子である。フルオレン環上にアシル基が導入される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、アシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
【0060】
次いで、式(2−1)で表される化合物中の、R
4とカルボニル基との間に存在するメチレン基をオキシム化して、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。メチレン基をオキシム化する方法は特に限定されず、塩酸の存在下に下記式(2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させる方法が好ましい。次いで、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(2−4)で表される酸無水物((R
5CO)
2O)、又は下記式(2−5)で表される酸ハライド(R
5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(2−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(1−1)、(1−8)、(2−1)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、及び(2−6)において、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、式(1)と同様である。
【0061】
また、下記スキームにおいて、式(1−8)、式(2−1)、及び式(2−3)それぞれに含まれるR
4は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(1−8)、式(2−1)、及び式(2−3)中のR
4は、下記スキームとして示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。R
4が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
【0063】
光重合開始剤(A1)の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化8】
【0065】
[ニトロ基が結合した芳香環骨格を有する光重合開始剤(A2)]
本発明に係る感光性組成物は、ニトロ基が結合した芳香環骨格を有する光重合開始剤(A2)を含有する。光重合開始剤(A2)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0066】
光重合開始剤(A2)としては、ニトロ基が結合した芳香環骨格を有する光重合開始剤である限り、特に限定されず、例えば、ニトロ基とオキシムエステル結合を有する基とが結合した芳香環骨格を有する化合物が挙げられる。
上記芳香環骨格は、フルオレン又はカルバゾール骨格の一部分であることが好ましく、フルオレン又はカルバゾール骨格の一部分である芳香環であってもよい。
また、光重合開始剤(A2)は、後述する式(A2−1C)で表される化合物、式(A2−1N)で表される化合物のようなニトロ基がアリーレン基、ヘテロアリーレン基に結合した化合物であってもよい。
光重合開始剤(A2)において、ニトロ基は、直接(即ち、アルキレン基等の連結基を介さずに)又はアルキレン基等の連結基を介して芳香環骨格に結合していることが好ましく、直接、芳香環骨格に結合していることがより好ましい。上記オキシムエステル結合を有する基は、直接又はカルボニル基を介して芳香環骨格に結合していることが好ましい。上記オキシムエステル結合を有する基としては、例えば、下記式(3)で表される基が挙げられる。
−C(R
14)=N−O−C(R
15)=O (3)
(式中、R
14は1価の有機基であり、R
15は水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。)
【0067】
光重合開始剤(A2)の具体例としては、下記式(a−1):
【0068】
【化10】
(R
100は下記式(a−2):
【0069】
【化11】
(R
11は、水素原子、ニトロ基、又は1価の有機基であり、R
12及びR
13は、独立に鎖状アルキル基、環状炭化水素基、又はヘテロアリール基であり、R
12とR
13とは相互に結合してスピロ環を形成してもよく、n1は1〜4の整数である。但し、R
11の少なくとも1個はニトロ基である。)
で表される基、下記式(a−3):
【0070】
【化12】
(R
20は、独立に1価の有機基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、AはS又はOであり、n2は1〜4の整数である。但し、R
20の少なくとも1個はニトロ基である。)
で表される基、又は下記式(a−4):
【0071】
【化13】
(R
21は1価の有機基であり、R
22は水素原子、ニトロ基、又は1価の有機基であり、n3は1〜4の整数である。但し、R
22の少なくとも1個はニトロ基である。)
で表される基であり、R
14は1価の有機基であり、R
15は水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、mは0又は1である。)
で表される化合物が挙げられる。
【0072】
R
14の好適な1価の有機基の例としては、後述のR
11と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
【0073】
R
14がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R
14がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
14がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R
14がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0074】
R
14がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R
14がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
14がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R
14がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0075】
R
14がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。R
14がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R
14がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0076】
R
14が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。R
14が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R
14が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0077】
R
14がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。R
14がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0078】
R
14がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、R
14がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。R
14がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。R
14がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。R
14が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R
14は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
【0079】
R
14がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。R
14がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
【0080】
R
14がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、R
14がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0081】
R
14が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R
14と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0082】
R
14に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
14に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1〜4が好ましい。R
14に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
また、R
14としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、R
14に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0084】
1価の有機基の中でも、R
14としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0085】
以上、R
14について説明したが、R
14としては、下記式(R2−1)又は(R2−2)で表される基が好ましい。
【化14】
(式(R2−1)及び(R2−2)中、R
17及びR
18はそれぞれ1価の有機基であり、p1は0〜4の整数であり、R
17及びR
18がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
17とR
18とが互いに結合して環を形成してもよく、q1は1〜8の整数であり、r1は1〜5の整数であり、s1は0〜(r1+3)の整数であり、R
19はアルキル基である。)
【0086】
式(R2−1)中のR
17及びR
18についての有機基の例は、R
14と同様である。R
17としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。R
17がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、R
17はメチル基であるのが最も好ましい。R
17とR
18とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(R2−1)で表される基であって、R
17とR
18とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(R2−1)中、p1は0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0087】
上記式(R2−2)中、R
19はアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R
19としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0088】
上記式(R2−2)中、r1は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(R2−2)中、s1は0〜(r1+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(R2−2)中、q1は1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0089】
式(a−1)中、R
15は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。R
15がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、R
15がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
【0090】
式(a−1)中、R
15としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0091】
式(a−2)中、R
11は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。R
11は、式(a−2)中のフルオレン環上で、式(a−1)中の−(CO)
m−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。この条件を満たす限り、式(a−2)中、R
11のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。R
11のフルオレン環に対する結合位置は、R
100が式(a−2)で表される基である式(a−1)で表される化合物の合成が容易であること等から、フルオレン環中の2位であるのが好ましい。
【0092】
R
11が1価の有機基である場合、R
11は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。R
11が1価の有機基である場合の好適な例としては、R
14と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、R
14について説明したものと同様である。
【0093】
以上説明した基の中でも、R
11としては、ニトロ基、又はR
11a−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。但し、R
11の少なくとも1個はニトロ基である。R
11aは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R
11aとして好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R
11aとして、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、R
11が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、R
11が水素原子であり且つR
14が前述の(R2−2)であると透明性はより良好となる傾向がある。
【0094】
式(a−2)中、R
12及びR
13は、それぞれ、鎖状アルキル基、環状炭化水素基、又はヘテロアリール基である。これらの基の中では、R
12及びR
13として、鎖状アルキル基が好ましい。
【0095】
R
12及びR
13が鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。R
12及びR
13が鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。R
12及びR
13が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R
12及びR
13が鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有する鎖状アルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0096】
R
12及びR
13が環状炭化水素基である場合、環状炭化水素基は、脂肪族環状炭化水素基であっても、芳香族環状炭化水素基であってもよい。
【0097】
R
12及びR
13が芳香族環状炭化水素基である場合、芳香族環状炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族環状炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族環状炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族環状炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0098】
R
12及びR
13が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されず、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0099】
R
12及びR
13がヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロアリール基である。ヘテロアリール基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロアリール基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。
【0100】
R
12とR
13とは相互に結合してスピロ環を形成してもよい。R
12とR
13とが形成するスピロ環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。R
12とR
13とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成するスピロ環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0101】
R
12とR
13とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0102】
n1は、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1であるのが特に好ましい。
【0103】
式(a−3)中、R
20は、独立に1価の有機基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。R
20が1価の有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。R
20が1価の有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基が挙げられる。
【0104】
R
20の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基;ニトロ基がより好ましい。但し、R
20の少なくとも1個はニトロ基である。
【0105】
また、n2は、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1であるのが特に好ましい。n2が1である場合、R
20の結合する位置は、R
20が結合するフェニル基が原子Aと結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
AはSであることが好ましい。
【0106】
式(a−4)中、R
21は、1価の有機基である。R
21は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。R
21の好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0107】
R
21の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0108】
R
20又はR
21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
20又はR
21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1〜4が好ましい。R
20又はR
21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0109】
式(a−4)中、R
22は水素原子、ニトロ基、又は1価の有機基である。R
22は、R
11と同様であり、R
22の少なくとも1個はニトロ基である。
【0110】
n3は、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1であるのが特に好ましい。
【0111】
式(a−1)で表される化合物は、mが0である場合、例えば、下記スキームa1に従って合成することができる。スキームa1では、下記式(a1−1)で表される化合物を原料として用いる。例えば、R
100が式(a−2)で表される基である場合、スキームa1では、下記式(a1−1−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。R
11がニトロ基又は1価の有機基である場合、式(a1−1−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をR
12及びR
13で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基R
11を導入して得ることができる。9位をR
12及びR
13で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、R
12及びR
13がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
【0112】
式(a1−1)で表される化合物を、式(a1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、式(a1−3)で表されるケトン化合物が得られる。式(a1−2)中、Halはハロゲン原子である。R
100中に含まれる芳香環上の式(a1−2)で表される化合物によりアシル化される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、当該芳香環上の式(a1−2)で表される化合物によりアシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
【0113】
次いで、得られる式(a1−3)で表されるケトン化合物を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(a1−4)で表されるオキシム化合物を得る。式(a1−4)のオキシム化合物と、下記式(a1−5)で表される酸無水物((R
15CO)
2O)、又は下記式(a1−6)で表される酸ハライド(R
15COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(a1−7)で表される化合物を得ることができる。
【0114】
なお、式(a1−1)、(a1−2)、(a1−3)、(a1−4)、(a1−5)、(a1−6)、(a1−7)、及び(a1−1−1)において、R
100、R
14、R
15、R
11、R
12、及びR
13は、式(a−1)及び式(a−2)と同様である。
【0116】
式(a−1)で表される化合物は、mが1である場合、例えば、下記スキームa2に従って合成することができる。スキームa2では、下記式(a2−1)で表される化合物を原料として用いる。式(a2−1)で表される化合物は、スキームa1と同様の方法によって、式(a1−1)で表される化合物をフリーデルクラフツ反応によってアシル化して得られる。式(a2−1)で表される化合物に、塩酸の存在下に下記式(a2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(a2−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。次いで、下記式(a2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(a2−4)で表される酸無水物((R
15CO)
2O)、又は下記式(a2−5)で表される酸ハライド(R
15COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(a2−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(a2−1)、(a2−3)、(a2−4)、(a2−5)、及び(a2−6)において、R
100、R
14、及びR
15は、式(a−1)と同様である。
mが1である場合、式(a−1)で表される化合物を含有する感光性組成物を用いて形成される硬化物中での異物の発生をより低減できる傾向がある。
【0118】
式(a−1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化17】
【0120】
また、光重合開始剤(A2)としては、下記式(A2−1C)で表される化合物も用いることもできる。
【化19】
(式(A2−1C)中、R
1はニトロ基を表し、R
6は、アリーレン基又はヘテロアリーレン基であり、当該アリーレン基又はヘテロアリーレン基は、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基を組み合わせた基であってもよい。R
2及びR
3はそれぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を表し、R
4は1価の有機基、又は水素原子を表し、R
5は1価の有機基又は水素原子を表し、nは、0又は1を表す。)
【0121】
式(A2−1C)中のR
6がアリーレン基である場合、当該アリーレン基は、芳香族炭化水素から2つの水素原子を除いた基であれば特に限定されない。アリーレン基は、1以上のベンゼン環からなる基が好ましい。アリーレン基が2以上のベンゼン環を含む場合、複数のベンゼン環は、単結合により互いに結合していてもよく、互いに縮合してナフタレン環等の縮合環を形成していてもよい。
アリーレン基は、1〜3のベンゼン環を含むのが好ましく、1又は2のベンゼン環を含むのがより好ましい。
【0122】
アリーレン基の好適な例としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,3−ジイル基、ナフタレン1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,7−ジイル基、ナフタレン−1,8−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、ビフェニル−3,3’−ジイル基、ビフェニル−2,2’−ジイル基、ビフェニル−3,4’−ジイル基、ビフェニル−3,2’−ジイル基、及びビフェニル−2,4’−ジイル基が挙げられる。
【0123】
式(A2−1C)中のR
6がヘテロアリーレン基である場合、当該ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から2つの水素原子を除いた基であれば特に限定されない。ヘテロアリーレン基は、5員又は6員の芳香環からなる基であって、5員又は6員の芳香族複素環を少なくとも1つ含む基が好ましい。
ヘテロアリーレン基が5員又は6員の芳香環からなる基であって、5員又は6員の芳香族複素環を少なくとも1つ含む基である場合、複数の5員又は6員の芳香環は、単結合により互いに結合していてもよく、互いに縮合して縮合環を形成していてもよい。
ヘテロアリーレン基、1〜3の5員又は6員の芳香環を含むのが好ましく、1又は2の5員又は6員の芳香環を含むのがより好ましい。
【0124】
ヘテロアリーレン基の好適な例としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等の芳香族複素環化合物から、炭素原子に結合する2つの水素原子を除いた基が挙げられる。
【0125】
炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基について、その炭素原子数や、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
また、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。
【0126】
炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が特に好ましい。
鎖状脂肪族炭化水素基は、1つの炭素−炭素二重結合を含むアルケニレン基であるか、1つの炭素−炭素三重結合を含むアルキニレン基であるのが好ましい。
【0127】
炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基の好適な例としては、エチレン−1,2−ジイル基、エチン−1,2−ジイル基、プロパ−1−エン−1,2−ジイル基、プロパルギレン基、ペンチニレン基が挙げられる。
【0128】
例えば、アリーレン基と、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基の好ましい例としては、下記の2価の基が挙げられる。
ヘテロアリーレン基と、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基の好ましい例としては、下記の2価の基に含まれるアリーレン基を、種々のヘテロアリーレン基に置き換えた基が挙げられる。
【0130】
式(A2−1C)中のR
2及びR
3が置換基を持たないアルキル基である場合、当該アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。R
2及びR
3がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。
【0131】
式(A2−1C)中のR
2及びR
3が置換基を有するアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。
【0132】
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。
シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。R
2及びR
3がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
アルコキシ基としては、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が特に好ましい。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、及びn−ヘキシルオキシ基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、及びn−ヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0133】
アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
【0134】
式(A2−1C)中のR
2とR
3とは相互に結合して環を形成してもよい。R
2とR
3とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。R
2とR
3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0135】
R
2とR
3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0136】
以上説明したR
2及びR
3の中でも好適な基の例としては、式−A
1−A
2で表される基が挙げられる。式中、A
1は直鎖アルキレン基であり、A
2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
【0137】
A
1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A
2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
A
2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
A
2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。
A
2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、R
2及びR
3が置換基として有する環状有機基と同様である。A
2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、R
2及びR
3が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0138】
R
2及びR
3の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0139】
R
2及びR
3として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
【0140】
式(A2−1C)中のR
4は、1価の有機基又は水素原子である。1価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
R
4の好適な有機基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいフェノキシアルキル基、置換基を有してもよいフェニルチオアルキル基、N−置換アミノアルキル基、N,N−ジ置換アミノアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいナフトキシアルキル基、置換基を有してもよいナフチルチオアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
また、R
4としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。
【0141】
R
4がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R
4がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
4がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R
4がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0142】
R
4がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R
4がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
4がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R
4がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0143】
R
4がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。R
4がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R
4がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0144】
R
4が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。R
4が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R
4が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0145】
R
4がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。R
4がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0146】
R
4がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、R
4がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。
R
4がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。
R
4がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。
R
4が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R
4は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
【0147】
R
4がフェノキシアルキル基、フェニルチオアルキル基、ナフトキシアルキル基、及びナフチルチオアルキル基である場合に、これらの基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、当該アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。
フェノキシアルキル基の具体例としては、2−フェノキシエチル基、3−フェノキシ−n−プロピル基、4−フェノキシ−n−ブチル基、5−フェノキシ−n−ペンチル基、及び6−フェノキシ−n−ヘキシル基が挙げられる。
フェニルチオアルキル基の具体例としては、2−フェニルチオエチル基、3−フェニルチオ−n−プロピル基、4−フェニルチオ−n−ブチル基、5−フェニルチオ−n−ペンチル基、及び6−フェニルチオ−n−ヘキシル基が挙げられる。
ナフトキシアルキル基の具体例としては、2−(α−ナフトキシ)エチル基、3−(α−ナフトキシ)−n−プロピル基、4−(α−ナフトキシ)−n−ブチル基、5−(α−ナフトキシ)−n−ペンチル基、6−(α−ナフトキシ)−n−ヘキシル基、2−(β−ナフトキシ)エチル基、3−(β−ナフトキシ)−n−プロピル基、4−(β−ナフトキシ)−n−ブチル基、5−(β−ナフトキシ)−n−ペンチル基、及び6−(β−ナフトキシ)−n−ヘキシル基が挙げられる。
ナフチルチオアルキル基の具体例としては、2−(α−ナフチルチオ)エチル基、3−(α−ナフチルチオ)−n−プロピル基、4−(α−ナフチルチオ)−n−ブチル基、5−(α−ナフチルチオ)−n−ペンチル基、6−(α−ナフチルチオ)−n−ヘキシル基、2−(β−ナフチルチオ)エチル基、3−(β−ナフチルチオ)−n−プロピル基、4−(β−ナフチルチオ)−n−ブチル基、5−(β−ナフチルチオ)−n−ペンチル基、及び6−(β−ナフチルチオ)−n−ヘキシル基が挙げられる。
R
4が、フェノキシアルキル基、フェニルチオアルキル基、ナフトキシアルキル基、又はナフチルチオアルキル基である場合、R
4は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
【0148】
R
4がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。R
4がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
【0149】
R
4がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、R
4がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0150】
R
4がN−置換アミノアルキル基、又はN,N−ジ置換アミノアルキル基、である場合、窒素原子に結合する置換基としては有機基が好ましい。
有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。
N−置換アミノアルキル基、又はN,N−ジ置換アミノアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、当該アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
N−置換アミノアルキル基の具体例としては、2−(メチルアミノ)エチル基、2−(エチルアミノ)エチル基、2−(n−プロピルアミノ)エチル基、2−(n−ブチルアミノ)エチル基、3−(メチルアミノ)n−プロピル基、3−(エチルアミノ)n−プロピル基、3−(n−プロピルアミノ)n−プロピル基、3−(n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(メチルアミノ)n−プロピル基、2−(エチルアミノ)n−プロピル基、2−(n−プロピルアミノ)n−プロピル基、2−(n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(アセチルアミノ)エチル基、2−(プロピオニルアミノ)エチル基、2−(アセトキシアミノ)エチル基、2−(プロピオニルオキシアミノ)エチル基、3−(アセチルアミノ)n−プロピル基、3−(プロピオニルアミノ)n−プロピル基、3−(アセトキシアミノ)n−プロピル基、3−(プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(アセチルアミノ)n−プロピル基、2−(プロピオニルアミノ)n−プロピル基、2−(アセトキシアミノ)n−プロピル基、及び2−(プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基が挙げられる。
N,N−ジ置換アミノアルキル基の具体例としては、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)エチル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジエチルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジアセチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジプロピオニルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジアセトキシアミノ)エチル基、2−(N,N−ジプロピオニルオキシアミノ)エチル基、3−(N,N−ジアセチルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジプロピオニルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジアセトキシアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジプロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジアセチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジプロピオニルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジアセトキシアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジプロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(N−アセチル−N−アセトキシアミノ)エチル基、2−(N−プロピオニル−N−プロピオニルオキシアミノ)エチル基、3−(N−アセチル−N−アセトキシアミノ)n−プロピル基、3−(N−プロピオニル−N−プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(N−アセチル−N−アセトキシアミノ)n−プロピル基、及び2−(N−プロピオニル−N−プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基が挙げられる。
【0151】
R
4に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
4に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R
4に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0152】
有機基の中でも、R
4としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0153】
また、R
4としては、−A
3−CO−O−A
4で表される基も好ましい。A
3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのがより好ましい。A
4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
【0154】
A
3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A
3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
【0155】
A
4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。A
4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0156】
−A
3−CO−O−A
4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
【0157】
式(A2−1C)中、R
5は、1価の有機基、又は水素原子である。1価の有機基としては、例えば、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。R
5がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。
【0158】
式(A2−1C)中、R
5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0159】
また、式(A2−1C)で表される化合物の中では、下記式(A2−1C−1)又は式(A2−1C−2)で表される化合物が好ましい。
【化21】
(式(A2−1C−1)及び式(A2−1C−2)中、R
2、R
3、R
4、R
5、及びnは式(A2−1C)で示したものと同義である。)
【0160】
また、光重合開始剤(A2)としては、下記式(A2−1N)で表される化合物も用いることができる。
【化22】
(式(A2−1N)中、R
1、R
2、R
4、R
5、R
6、及びnは式(A2−1C)で示したものと同義である。)
【0161】
また、式(A2−1N)で表される化合物の中では、下記式(A2−1N−1)又は(A2−1N−2)で表される化合物が好ましい。
【化23】
(式(A2−1N−1)及び式(A2−1N−2)中、R
2、R
4、R
5、及びnは式(A2−1C)で示したものと同義である。)
【0162】
式(A2−1C)で表される化合物及び式(A2−1N)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物1〜化合物71が挙げられる。
【化24】
【0167】
光重合開始剤(A2)の含有量は、感光性組成物の固形分に対して0.05〜2質量%であることが好ましく、0.07〜1.9質量%であることがより好ましく、0.1〜1.7質量%が更により好ましく、0.15〜1.5質量%が特に好ましい。光重合開始剤(A2)の含有量が上記の範囲内であると、得られる硬化物は、良好な透過率を維持しつつ、得られる組成物は、露光に対する感度が十分となりやすい。
光重合開始剤(A2)の含有量は、例えば、光重合開始剤(A)全体に対して0.1〜50質量%の範囲であればよく、好ましくは0.5〜30質量%であり、1〜20質量%であることがより好ましく、1.5〜18質量%であることが更により好ましい。
【0168】
[他の光重合開始剤(A3)]
感光性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、(A1)成分及び(A2)成分以外の他の光重合開始剤(A3)を含んでいてもよい。他の光重合開始剤(A3)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0169】
他の光重合開始剤(A3)の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(即ち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(即ち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。
【0170】
感光性組成物が、(A1)成分及び(A2)成分以外の他の光重合開始剤(A3)を含む場合、他の光重合開始剤(A3)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。この場合、他の光重合開始剤(A3)の含有量は、典型的には、感光性組成物に含まれる光重合開始剤の総量に対して、99質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更により好ましく、0〜10質量%が特に好ましい。
【0171】
<重合性基材成分(B)>
本発明に係る感光性組成物は、更に、重合性基材成分(B)を含んでもよい。重合性基材成分(B)(以下、「(B)成分」とも記す。)は、感光性組成物に光重合性と膜形成能とを付与する成分である。重合性基材成分(B)は、光重合開始剤(A1)及び(A2)により重合可能な成分を含み、且つ膜形成可能な感光性組成物を調製可能な成分であれば特に限定されない。重合性基材成分(B)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0172】
重合性基材成分(B)は、典型的には、光重合性化合物、又は光重合性化合物と樹脂とを含む。光重合性化合物は、低分子化合物であってもよく、樹脂のような高分子化合物であってもよい。光重合性化合物及び樹脂の各々は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0173】
重合性基材成分(B)は、光重合性の点から、重合体でない低分子量の光重合性化合物(以下、「光重合性モノマー」とも記す。)、及び/又は架橋性基含有樹脂を含むことが好ましい。
また、重合性基材成分(B)が樹脂を含む場合、現像性の観点から、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、架橋性基を含んでいてもよい。架橋性基を含む(構成単位中の置換基として架橋性基を含む)アルカリ可溶性樹脂は、光重合性とアルカリ現像性との双方の観点から好ましい。
【0174】
以下、(B)成分に含まれる好適な成分である、光重合性モノマーと、架橋性基含有樹脂と、アルカリ可溶性樹脂とについて順に説明する。
【0175】
[光重合性モノマー]
感光性組成物に含有される光重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和二重結合を有する化合物には、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
【0176】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0177】
一方、多官能モノマーとしては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン−プロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、トリアクリルホルマール、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールトリアクリレート、及び2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0178】
これらのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の中でも、強度と、基板への密着性とに優れる硬化物を与える感光性組成物が得られる点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましい。
ガラス転移点(Tg)コントロールの観点で3官能以上の多官能モノマーと併用して単官能モノマーや2官能モノマーを用いてもよく、これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0179】
光重合性モノマーの含有量は、感光性組成物の固形分に対して5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。感光性組成物中の光重合性モノマーの含有量を上記の範囲とすることにより、感光性組成物の感度、現像性、及び解像性のバランスをとりやすい傾向がある。
【0180】
[架橋性基含有樹脂]
本発明に係る感光性組成物が架橋性基含有樹脂を含有すると、該感光性組成物を用いる硬化物の形成がより容易になる傾向にある。架橋性基含有樹脂は、架橋性基を有する樹脂であり、架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含むものが好ましい。架橋性基としては、主に加熱により架橋性基含有樹脂の架橋を可能する官能基であれば特に限定されず、エポキシ基、エチレン性不飽和二重結合が好ましい。架橋性基は、例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位及びエチレン性不飽和二重結合を有する単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことにより、架橋性基含有樹脂に導入することができる。
【0181】
架橋性基含有樹脂としては、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂が好ましい。かかる単位を有することにより、感光性組成物を用いて形成される絶縁膜の基材への密着性や機械的強度を向上させることもできる。
【0182】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
【0183】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を有していてもよい。本明細書において、芳香族基は、芳香環を有する基である。芳香族基を構成する芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。芳香族基を有し、且つエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0184】
感光性組成物を用いて形成される膜が透明性を要求される場合、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸は、芳香族基を有さないものが好ましい。
【0185】
鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されず、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。
【0186】
鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0187】
脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(d2−1)〜(d2−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感光性組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(d2−1)〜(d2−6)で表される化合物が好ましく、下記式(d2−1)〜(d2−4)で表される化合物がより好ましい。
また、これら各化合物に関し、脂環に対するエステル基の酸素原子の結合部位はここで示されているものに限られず、一部位置異性体を含んでいてもよい。
【0189】
上記式中、R
d4は水素原子又はメチル基を示し、R
d5は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R
d6は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。R
d5としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R
d6としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH
2−Ph−CH
2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0190】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルが、上記のような脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであると、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに比べ、該(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む架橋性基含有樹脂、ひいては感光性組成物の保管安定性に優れ、また、絶縁膜等の形成時にプリベーク可能な温度の範囲(プリベーク温度マージン)が広くなるため、好ましい。
【0191】
架橋性基含有樹脂は、また、架橋性基としてエチレン性不飽和二重結合を有する単位を含む樹脂(本明細書において、「エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂」ということがある。)であってもよい。該エチレン性不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイルオキシ基を構成する一部であることが好ましい。
【0192】
エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂を挙げることができる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂は、例えば、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む重合体に含まれるカルボキシ基の少なくとも一部と、上記脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は上記鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを反応させることにより、調製することができる。
【0193】
架橋性基含有樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂である場合、光重合性を有するものであってもよい。架橋性基含有樹脂は、かかるエチレン性不飽和二重結合を有する光重合性樹脂を含有することにより、感光性組成物の硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。
【0194】
架橋性基含有樹脂中において、該樹脂の質量に対して、架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、33〜65質量%が更に好ましく、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、10〜80質量%が好ましく、15〜70質量%がより好ましく、20〜65質量%が更により好ましく、エチレン性不飽和二重結合を有する単位の量は、15〜40質量%が好ましく、20〜35質量%がより好ましい。架橋性基含有樹脂としては、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が好ましく、該重合体である場合も、該重合体における、架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、樹脂の質量に対して、上記と同様である。
【0195】
架橋性基含有樹脂は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、エチレン性不飽和二重結合を有する単位とを両方含むものであってもよいが、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位又はエチレン性不飽和二重結合を有する単位のいずれかを含むものであってよく、架橋性基としてはエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位のみを含むものが好ましい。
【0196】
架橋性基含有樹脂は、架橋性基を有する樹脂であるとともに、アルカリ可溶性樹脂でもあることが好ましい。感光性組成物は、かかるアルカリ可溶性樹脂を配合することで、感光性組成物にアルカリ現像性を付与することができる。
【0197】
本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0198】
架橋性基含有樹脂は、アルカリ可溶性樹脂でもある場合、通常、アルカリ可溶性基を有する。アルカリ可溶性基としては、架橋性基含有樹脂に上記のアルカリに対する溶解性を付与する官能基であれば特に限定されず、カルボキシ基又は脱保護してカルボキシ基を生じる基が好ましく、例えば、後述の不飽和カルボン酸に由来する単位を含むことにより、また、アルカリ可溶性基を付与する(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を重合することにより、架橋性基含有樹脂に導入することができる。本明細書において、アルカリ可溶性基を付与する(メタ)アクリル酸エステルは、上述の架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まないものとする。
【0199】
架橋性基含有樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂でもある場合、架橋性基含有樹脂の上記アルカリに対する溶解性を抑制ないし抑止する官能基(以下、「アルカリ溶解抑止基」又は「溶解抑止基」ということがある。)を有しない樹脂であってもよいが、アルカリ可溶性基及び溶解抑止基を有する樹脂が好ましい。溶解抑止基は、架橋性基含有樹脂のアルカリに対する溶解性を低下させる機能がある点で、アルカリ難溶解性基ともいえる。架橋性基含有樹脂は、アルカリ可溶性基及び溶解抑止基を有することで、アルカリに対する溶解性を調整することができ、これにより、感光性組成物のアルカリ現像性を調整することができる。溶解抑止基としては、例えば、後述のスチレン又はスチレン誘導体;不飽和イミド類;脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル(但し、エポキシ基を有するものを除く。);ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。本明細書において、溶解抑止基を付与する(メタ)アクリル酸エステルは、上述の架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まないものとする。
【0200】
架橋性基含有樹脂の中では、製膜性に優れる点や、単量体の選択によって樹脂の特性を調整しやすいこと等から、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体が好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物;酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、及びアリルオキシエタノールのようなアリル化合物;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、及びビニルアントラニルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、及びナフトエ酸ビニルのようなビニルエステル;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、及び4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンのようなスチレン又はスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンのようなオレフィン;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;が挙げられる。
【0201】
架橋性基含有樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体である場合、通常、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む。不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として使用されるエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体に含まれる、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂が所望するアルカリ可溶性を有する限り特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂として使用される樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂の質量に対して、5〜25質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましく、架橋性基含有樹脂が後述の溶解抑止基を有する場合、特にこれらの量が好ましい。架橋性基含有樹脂が後述の溶解抑止基を有しない場合、該樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂の質量に対して、50〜80質量%が好ましく、60〜70質量%がより好ましい。
【0202】
以上例示した単量体から選択される1種以上の単量体の重合体である、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が好ましい。以下、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体について説明する。
【0203】
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の調製に用いられる、(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、公知の(メタ)アクリル酸エステルから適宜選択される。
【0204】
(メタ)アクリル酸エステルの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの詳細については後述する。
【0205】
また、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、感光性組成物を用いて透過率の高い絶縁膜を形成しやすいことから、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂も好ましい。本明細書において、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは、上述の架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まないものとする。
【0206】
脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を有する基は、脂環式炭化水素基を有する基であることが好ましい。脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
【0207】
脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(d1−1)〜(d1−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(d1−3)〜(d1−8)で表される化合物が好ましく、下記式(d1−3)又は(d1−4)で表される化合物がより好ましい。
【0209】
上記式中、R
d1は水素原子又はメチル基を示し、R
d2は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R
d3は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。R
d2としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R
d3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
【0210】
架橋性基含有樹脂は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂であることが好ましい。かかる樹脂は、更に、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位をも含む樹脂であってもよく、その場合、樹脂中の脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、10〜35質量%であってもよく、15〜30質量%であってもよく、20〜25質量%であってもよい。
【0211】
また、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。このような架橋性基含有樹脂を含む感光性組成物を用いて形成される膜は、基材に対する密着性に優れる。また、このような樹脂を用いる場合、樹脂に含まれるカルボキシ基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることが可能である。このため、このような樹脂を含む感光性組成物を用いると、膜を加熱する方法等を用いて、カルボキシ基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることによって、形成される膜の硬度のような機械的物性を向上させることができる。
【0212】
(メタ)アクリル酸に由来する単位(架橋性基を有するものを除く。)と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、前者(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。該(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
【0213】
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂であってもよい。
【0214】
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
【0215】
架橋性基含有樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜200000であることが好ましく、2000〜18000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0216】
感光性組成物中の架橋性基含有樹脂の含有量は、感光性組成物の固形分中、15〜95質量%が好ましく、35〜85質量%がより好ましく、50〜70質量%が特に好ましい。
【0217】
[アルカリ可溶性樹脂]
アルカリ可溶性樹脂は、従来から種々の感光性組成物に配合されている樹脂から適宜選択できる。なお、本明細書において、アルカリ可溶性樹脂には、上述の架橋性基含有樹脂は含まれないものとする。感光性組成物にアルカリ可溶性樹脂を配合することで、感光性組成物のアルカリ現像性を高めることができる場合があるが、本発明の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有しなくても、アルカリ可溶性樹脂でもある上述の架橋性基含有樹脂を用いることにより、アルカリ現像性を有することができる。
【0218】
好適なアルカリ可溶性樹脂としては、主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーが挙げられる。なお、本明細書において、主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーには、不飽和結合を有する単量体の重合体は、含まれないものとする。
以下、主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーについて説明する。
【0219】
(主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマー)
主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーを、所定の環構造を有するとともに所定のアルカリ可溶性を備える樹脂であれば特に限定されない。主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーの好適な例として、マレイミド由来の構成単位(以下、「構成単位(A2a)」ともいう。)を含有するポリマー(以下、「ポリマー(A2)」ともいう。)及び下記式(A−1)で表される構成単位(以下、「構成単位(A1a)」ともいう。)を含有するポリマー(以下、「ポリマー(A1)」ともいう。)を挙げることができる。
【0220】
ポリマー(A2)が有するマレイミド由来の構成単位(A2a)としては、マレイミド骨格を有するモノマーを重合して得られるものであれば特に限定されない。マレイミド骨格を有するモノマーとしては、例えば、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0221】
特に、主鎖に環構造を有する構成単位(A1a)を含有するポリマー(A1)を含む感光性組成物は、現像液に対する溶解性が良好である。
【0223】
式(A−1)中、環Aは、1個の酸素原子を環構成原子として有する炭素数4〜6の飽和脂肪族環式基である。環Aは、好ましくは、1個の酸素原子を環構成原子として有する炭素数4又は5の飽和脂肪族環式基であり、より好ましくは、テトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環であり、更に好ましくは、下記式(A−3)で表される構成単位(以下、「構成単位(A1a1)」ともいう。)におけるテトラヒドロピラン環又は下記式(A−4)で表される構成単位(以下、「構成単位(A1a2)」ともいう。)におけるテトラヒドロフラン環である。
【化32】
【0224】
主鎖に上記式(A−1)で表される構成単位を含有するポリマー(ポリマー(A1))は、通常、主鎖に上記式(A−1)で表される構成単位(構成単位(A1a))を複数個含有する。複数の構成単位(A1a)において、各構成単位(A1a)に含有される環Aはポリマー(A1)を構成する一の主鎖において相互に同一であってもよいし異なっていてもよい。具体的には、ポリマー(A1)を構成する一の主鎖は、該主鎖に含有される上記式(A−1)で表される構成単位として、例えば、上記式(A−3)で表される構成単位のみを有するものであってもよいし、上記式(A−4)で表される構成単位のみを有するものであってもよいし、上記式(A−3)で表される構成単位と上記式(A−4)で表される構成単位とを併有するものであってもよい。
【0225】
上記式(A−1)、式(A−3)及び式(A−4)において、R
b1及びR
b2はそれぞれ独立に水素原子又は−COOR
b3であり、R
b3はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基である。R
b1及びR
b2は、−COOR
b3であることが好ましい。上記式(A−1)で表される構成単位を含有するポリマー(ポリマー(A1))を構成する一の主鎖が複数個の環Aを含有する場合、各環Aに結合する−COOR
b3はそれぞれ独立であり、−COOR
b3として同一又は異なる基が各環Aに結合していてもよい。
【0226】
R
b1及びR
b2で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はない。炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。
【0227】
R
b1及びR
b2が炭化水素基である場合、炭化水素基の炭素原子数は8以下が好ましい。炭素原子数が8以下の炭化水素基としては、酸や熱で脱離しにくいことから、炭化水素基が有する方末端が自由な結合手が、1級炭素原子又は2級炭素原子と結合している炭化水素基が好ましい。このような炭化水素基としては、炭素原子数が1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
このような炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0228】
上記式(A−1)で表される構成単位(構成単位(A1a))を含有するポリマー(ポリマー(A1))を構成する一の主鎖に構成単位(A1a)が複数個含有される場合、各構成単位(A1a)に結合しているR
b1及びR
b2は、各構成単位(A1a)間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
該各構成単位(A1a)間で同一又は異なる環Aが含有される場合、R
b1及びR
b2は結合する各環Aの種類に依存することなく相互に独立である。
【0229】
具体的には、ポリマー(A1)を構成する一の主鎖に、上記式(A−3)で表される構成単位(構成単位(A1a1))が複数個含有される場合、各構成単位(A1a1)におけるR
b1及びR
b2は各構成単位(A1a1)間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0230】
ポリマー(A1)を構成する一の主鎖に、上記式(A−4)で表される構成単位(構成単位(A1a2))が複数個含有される場合、各構成単位(A1a2)におけるR
b1及びR
b2は各構成単位(A1a2)間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
更に、ポリマー(A1)を構成する一の主鎖に、上記式(A−3)で表される構成単位(構成単位(A1a1))と上記式(A−4)で表される構成単位(構成単位(A1a2))とが含有される場合、各構成単位(A1a1)におけるR
b1及びR
b2と各構成単位(A1a2)におけるR
b1及びR
b2とは同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0231】
上記式(A−3)で表される構成単位(構成単位(A1a1))は、下記式(A−5)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(ar1)」ともいう。)の一部であってよい。上記式(A−4)で表される構成単位(構成単位(A1a2))は、下記式(A−6)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(ar2)」ともいう。)の一部であってよい。
【化33】
(式(A−5)及び式(A−6)中、R
b1及びR
b2はそれぞれ独立に上記と同様である。)
【0232】
上記式(A−5)及び(A−6)で表される各繰り返し単位を与えるモノマーとしては、例えば、下記式で表される1,6−ジエン類が挙げられる。
【化34】
(上記式中、R
b3はそれぞれ独立に上記と同様である。)
【0233】
主鎖に上記式(A−1)で表される構成単位(構成単位(A1a))を含有するポリマー(ポリマー(A1))を与えるモノマー組成物中、構成単位(A1a)を含有する繰り返し単位(上述の構成単位(A1a1)及び構成単位(A1a2)を含み得る。)を与えるモノマー(A1ma)の含有割合は、モノマー組成物中のモノマーの全量に対して、好ましくは1質量%〜60質量%であり、より好ましくは5質量%〜50質量%であり、特に好ましくは10質量%〜40質量%である。
【0234】
ポリマー(A1)は、好ましくは、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を有する。ポリマー(A1)が側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を有していれば、アルカリ現像性に優れる感光性組成物を得ることができる。側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を構成することとなるモノマー(A1mb)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられる。なかでも好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0235】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物中、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を構成することとなるモノマー(A1mb)の含有割合は、モノマー組成物中のモノマーの全量に対して、好ましくは1質量%〜50質量%であり、より好ましくは5質量%〜40質量%であり、更に好ましくは10質量%〜35質量%である。
【0236】
好ましくは、ポリマー(A1)は、側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)を有する。側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)は、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基の一部又は全部(好ましくは、一部)を反応点として、炭素二重結合を有する化合物を付加することにより、得ることができる。
【0237】
側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基がカルボキシル基である場合、炭素二重結合を有する化合物として、エポキシ基と二重結合とを有する化合物、イソシアネート基と二重結合とを有する化合物等が用いられ得る。エポキシ基と二重結合とを有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。イソシアネート基と二重結合とを有する化合物としては2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基がカルボン酸無水物基である場合、炭素二重結合を有する化合物として、水酸基と二重結合とを有する化合物が用いられ得る。水酸基と二重結合とを有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0238】
ポリマー(A1)は、上記モノマー(A1ma)、モノマー(A1mb)及び/又はモノマー(A1mc)と共重合可能なその他のモノマー(A1me)由来のその他の繰り返し単位(A1e)を更に有し得る。
【0239】
その他のモノマー(A1me)としては、例えば、側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位を更に有するものであってもよい。側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化35】
【0240】
上記式中、R
b7、R
b8及びR
b9はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。R
b10は、炭素数が1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数が2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基又は炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基であり、好ましくは水素原子、炭素数が1〜20の直鎖状のアルキル基、炭素数が2〜20の直鎖状のアルケニル基又は炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数が1〜10の直鎖状のアルキル基又は炭素数が6〜12の芳香族炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数が1〜5の直鎖状のアルキル基、フェニル基又はビフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基又はビフェニル基である。なお、アルキル基、アルケニル基及び芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。AOは、オキシアルキレン基を表す。AOで表されるオキシアルキレン基の炭素数は2〜20であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜5であり、更に好ましくは2である。側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位は1種又は2種以上のオキシアルキレン基を含み得る。xは0〜2の整数を表す。yは0又は1を表す。zは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2以上であり、好ましくは2〜100であり、より好ましくは2〜50であり、更に好ましくは2〜15である。
【0241】
側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位は、側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有するモノマーにより構成される。該モノマーとしては、例えば、下記式で表されるモノマーが挙げられる。
【化36】
(上記式中、R
b7、R
b8、R
b9、R
b10、AO、x、y及びzは、上記で説明した通りである。)
【0242】
上記側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有するモノマーとしては、例えば、エトキシ化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート(EO2モル)、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO4モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO9モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO13モル)、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO4―17モル)、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(PO5モル)、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート(EO2モル)等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましくは、エトキシ化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート(EO2モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO9モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO13モル)である。更に好ましくは、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート(EO2モル)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO9モル)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO13モル)である。なお、本明細書において、例えば「EO2モル」、「PO5モル」等の表記は、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。
【0243】
その他のモノマー(A1me)としては、また、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコールル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシプロピレングリコール、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロイルモルホリン(モルホリノ(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−トリフェニルメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレン等のブタジエン又は置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレン又は置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0244】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物中、その他の繰り返し単位(A1e)を与えるモノマー(A1me)の含有割合は、モノマー組成物中のモノマーの全量に対して、好ましくは0質量%〜55質量%であり、より好ましくは5質量%〜50質量%であり、更に好ましくは10質量%〜45質量%である。
【0245】
ポリマー(A1)は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。ポリマー(A1)としては、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0246】
ポリマー(A1)の重量平均分子量は、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC)で測定した値が、好ましくは3,000〜200,000であり、より好ましくは3,500〜100,000であり、更に好ましくは4,000〜50,000である。このような範囲であれば、耐熱性を確保し、且つ、塗膜形成に適切な粘度を有する感光性組成物を得ることができる。
【0247】
ポリマー(A1)は、ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物を、任意の適切な方法で重合して得ることができる。重合方法としては、例えば、溶液重合法が挙げられる。
【0248】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物は、任意の適切な溶媒を含み得る。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。上記モノマー組成物を重合する際の重合濃度は、好ましくは5質量%〜90質量%であり、より好ましくは5質量%〜50質量%であり、更に好ましくは10質量%〜50質量%である。
【0249】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物は、任意の適切な重合開始剤を含み得る。重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の含有割合は、モノマー組成物中の全モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜15質量部、より好ましくは0.5質量部〜10質量部である。
【0250】
ポリマー(A1)を溶液重合法により重合する際の重合温度は、好ましくは40℃〜150℃であり、より好ましくは60℃〜130℃である。
【0251】
側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)を有するポリマー(A1)を得る場合、上記重合後、得られたポリマーに上記炭素二重結合を有する化合物を付加する。炭素二重結合を有する化合物を付加する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、重合禁止剤及び触媒の存在下で、炭素二重結合を有する化合物を、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基の一部又は全部(好ましくは、一部)に反応させて付加することにより、側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)を形成させることができる。
【0252】
上記炭素二重結合を有する化合物の付加量は、上記重合後のポリマー(即ち、炭素二重結合を有する化合物を付加する前のポリマー)100質量部に対して、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上であり、更に好ましくは15質量部以上であり、特に好ましくは20質量部以上である。このような範囲であれば、露光感度に優れる感光性組成物を得ることができる。このような感光性組成物を用いれば、緻密な硬化塗膜を形成しやすく、基板密着性にも優れたパターンが得られる傾向にある。また、炭素二重結合を有する化合物の付加量が上記範囲であれば、炭素二重結合を有する化合物の付加により水酸基が十分に生成され、アルカリ現像液に対する溶解性に優れる感光性組成物を得ることができる。上記炭素二重結合を有する化合物の付加量の上限は、上記重合後のポリマー(即ち、炭素二重結合を有する化合物を付加する前のポリマー)100質量部に対して、好ましくは170質量部以下であり、より好ましくは150質量部以下であり、更に好ましくは140質量部以下である。炭素二重結合を有する化合物の付加量が上記範囲内であれば、感光性組成物の保存安定性及び溶解性を維持することができる。
【0253】
重合禁止剤としては、例えば、6−tert−ブチル−2,4−キシレノール等のアルキルフェノール化合物が挙げられる。触媒としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン等の3級アミンが挙げられる。
【0254】
以上説明した、アルカリ可溶性樹脂は、主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーとともに、このポリマー以外の樹脂を含んでいてもよい。
感光性組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性組成物の固形分の質量に対して、40質量%以下が好ましく、30〜10質量%がより好ましく、25〜15質量%が特に好ましい。また、重合性基材成分(B)中の、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、80質量%以下が好ましく、60〜20質量%がより好ましく、50〜30質量%が特に好ましい。
【0255】
<その他の成分>
本発明に係る感光性組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。具体的には、溶剤、表面調整剤、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、連鎖移動剤等が例示される。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系化合物、カチオン系化合物、ノニオン系化合物等が挙げられる。密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン系化合物、ハロゲン系化合物、キノン系化合物、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。連鎖移動剤を含有することで、パターン形状(特に、ホールパターンのCD変化、露光マージン)を良好にコントロールすることができる。なかでも2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)は上記効果に加え、昇華物や着色、臭気が低減できる点で好ましい。
【0256】
本発明に係る感光性組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0257】
上記溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上述の(A1)成分及び(A2)成分並びに任意に用いられる(B)成分に対して優れた溶解性を示すため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤の含有量は、感光性組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して、50〜900質量部程度が挙げられる。
【0258】
<感光性組成物の調製方法>
本発明に係る感光性組成物は、上記各成分をマグネチックスターラーを用いて攪拌、混合溶解し、必要に応じて0.2μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。
【0259】
本発明に係る感光性組成物は、得られる硬化物の透過率が十分となりやすいことから、光路長3μmで測定した波長400nmの光に対する透過率が95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
【0260】
≪パターン形成方法、硬化物、及び表示装置≫
本発明に係るパターン形成方法は、上述の感光性組成物を用いることの他は、感光性組成物を用いて形成された従来のパターン形成方法と同様である。
【0261】
上述の感光性組成物を用いて、パターンを形成する方法は特に制限されず、従来より採用されている方法から適宜選択できる。好適なパターン形成方法としては、上述の感光性組成物を用いて塗膜又は成形体を形成する塗膜又は成形体形成工程と、上記塗膜又は成形体に対して所定パターン状に電磁波を照射する露光工程と、電磁波を照射された塗膜又は成形体を現像して、パターンを形成する現像工程と、を含む方法が挙げられる。
【0262】
まず、塗膜又は成形体形成工程では、例えば、パターンが形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感光性組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥(プリベーク)により溶媒を除去して、及び/又は、公知の成形法により上記感光性組成物を成形して、塗膜又は成形体を形成する。
【0263】
次いで、形成された塗膜又は成形体は、露光工程に供される。露光工程では、ネガ型のマスクを介して、塗膜又は成形体にArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F
2エキシマレーザー、極紫外線(EUV)、真空紫外線(VUV)、電子線、X線、軟X線、g線、i線、h線等の放射線ないし電磁波を照射し、塗膜又は成形体を所定パターン状に部分的に露光する。露光量は感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜600mJ/cm
2程度が好ましい。
【0264】
前述の感光性組成物は、露光後にアルカリ現像液に対して過度に溶解しにくい。このため、前述の感光性組成物を用いることにより、露光部を凸部とし、未露光部を凹部とする、良好な形状のパターンを形成しやすい。
【0265】
現像工程では、電磁波を照射された塗膜又は成形体を現像液で現像することにより、所定のパターンを形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0266】
そして、必要に応じ、現像後のパターンにポストベークを施して加熱硬化することにより硬化したパターンを得ることができる。ポストベークの温度は150〜270℃が好ましい。
【0267】
本発明に係る硬化物は、前述の感光性組成物を用いて形成される。上記硬化物は、好ましくは、絶縁膜である、又は、ホトレジスト膜上に積層される保護膜である。上記硬化物は、厚さ3μm(光路長3μm)の試料としたときの波長400nmの光に対する透過率が、通常、95%以上、好ましくは98%以上である。このように、上記硬化物は、透過率に優れるため、インセルタッチパネル方式の液晶表示装置、UHA(Ultra High Aperture)パネル等の透明性に優れる絶縁膜を必要とする表示装置用の絶縁膜として好適に使用される。
【実施例】
【0268】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0269】
〔感光性組成物の調製〕
架橋性基含有樹脂65質量部と、光重合性モノマー35質量部と、表1に示す種類及び量の光重合開始剤と、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶媒(質量比55:45)とを、混合して均一な溶液とし、固形分濃度24質量%の感光性組成物を調製した。なお、光重合開始剤の総量は、架橋性基含有樹脂及び光重合性モノマーの総量を100質量部として、実施例11では4.5質量部、実施例12では4質量部、それ以外の実施例及び全比較例では5質量部とした。
また、実施例1〜12及び比較例1〜22では、以下に示す架橋性基含有樹脂Aを用い、実施例13及び実施例14では、以下に示す架橋性基含有樹脂Bを用いた。
【0270】
架橋性基含有樹脂Aとしては、下記式で表される構成単位からなる樹脂を用いた。構成単位同士の質量比I−1:I−2:II−1:III−1は、25:20:14:41であった。ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求められる、架橋性基含有樹脂Aの質量平均分子量(Mw)は7000であった。
【0271】
【化37】
【0272】
架橋性基含有樹脂Bとしては、下記式で表される構成単位からなる樹脂を用いた。構成単位同士の質量比I−3:II−1:III−2は、71:12:17であった。ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求められる、架橋性基含有樹脂Bの質量平均分子量(Mw)は10200であった。
なお、構成単位I−3としては、以下に示すI−3の構造のとともに一部位置異性体である、I−3αの構造を含むものを用いた。
【0273】
【化38】
【0274】
【化39】
【0275】
光重合性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。
【0276】
光重合開始剤としては、下記式で表される開始剤1〜11を準備し、開始剤1及び3〜11を、感光性組成物の調製、並びに、感度及び透過率の評価と測定に用いた。
【0277】
光重合開始剤(A1)
・開始剤1:下記式(A1−1)で表される化合物
・開始剤2:下記式(A1−2)で表される化合物
【化40】
【0278】
光重合開始剤(A2)
・開始剤3:下記式(A2−1)で表される化合物
・開始剤4:下記式(A2−2)で表される化合物
・開始剤5:下記式(A2−3)で表される化合物
・開始剤7:下記式(A2−4)で表される化合物
・開始剤9:下記式(A2−5)で表される化合物
・開始剤12:下記式(A2−6)で表される化合物
【化41】
【0279】
他の光重合開始剤(A3)
・開始剤6:下記式(A3−1)で表される化合物
・開始剤8:下記式(A3−2)で表される化合物
・開始剤10:下記式(A3−3)で表される化合物
・開始剤11:下記式(A3−4)で表される化合物
【化42】
【0280】
各実施例及び比較例で得た感光性組成物について、以下の方法に従って、感度及び透過率の評価と測定を行った。評価結果を表1に記す。
【0281】
(感度)
ガラス基板に、上記各実施例及び比較例で調製した感光性組成物を、スピンナー(ミカサスピンナーIH−360S、ミカサ株式会社製)でスピン塗布した後、塗膜を100℃で100秒間乾燥させて、感光性樹脂層を形成した。次いで、露光装置(MPA600FA、株式会社キヤノン製)により、実験ごとに露光量を変動させて、感光性樹脂層を露光した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度2.38質量%の水溶液を現像液として用い、23℃にて、100秒間パドル現像を行い、孔径10μmの範囲内のホールを有するホールパターンを形成した。現像後、パターンを230℃で20分間ポストベークした。ポストベーク後のパターンの膜厚は3μmであった。パターンの膜厚は、触針式表面形状測定器(Dektak 3st、株式会社アルバック製)を用いて測定した。ポストベーク処理した、ホールの底部の孔径が8μmになる露光量を適正感度と判定した。上記露光量が35mJ/cm
2以下である場合、感度が良好であると評価し、上記露光量が35mJ/cm
2超である場合、感度が不良であると評価した。上記露光量は30mJ/cm
2以下であることが好ましい。
【0282】
(透過率)
実験ごとに露光量を変動させて、感光性樹脂層を露光する代わりに、露光量を上記適正感度に固定して、感光性樹脂層を露光した以外は、感度の評価方法と同様にして、ポストベークされた感光性組成物の硬化膜を形成した。硬化膜の膜厚は3μmとした。形成された硬化膜の、波長400nmにおける透過率を、MCPD−3000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。上記透過率が95%以上である場合、透過率が良好であると評価し、上記透過率が95%未満である場合、透過率が不良であると評価した。上記透過率は98%以上であることが好ましい。
【0283】
【表1】
【0284】
表1から分かる通り、式(1)で表される光重合開始剤(A1)、及び、ニトロ基が結合した芳香環骨格を有する光重合開始剤(A2)を含む本発明の感光性組成物は、露光に対する感度が十分であり、硬化により透過率が十分な硬化物を与えることが確認された。
【課題】露光に対する感度が十分であり、硬化により透過率が十分な硬化物を与える感光性組成物と、感光性組成物を用いるパターン形成方法と、感光性組成物を用いて形成される硬化物と、硬化物を備える表示装置と、を提供する。
【解決手段】ニトロ基を有しない式(1)で表される光重合開始剤(A1)、及び、ニトロ基が結合した芳香環骨格を有する光重合開始剤(A2)を含む感光性組成物。式(1)中、R