(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る光モジュールを示す斜視図である。
図2は、光モジュール1に装着された光ファイバ9の軸線に沿って切断した光モジュール1のA−A線断面図である。
【0013】
(光モジュール1の構成)
この光モジュール1は、
図1に示すように、マザーボード8に搭載して使用される。マザーボード8は、例えばガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませて熱硬化処理を施した板状の基材80に複数のランド81を含む配線パターンを形成したガラスエポキシ基板である。マザーボード8には、図略のCPU(Central Processing Unit)や記憶素子等の電子部品が搭載され、光モジュール1に装着される光ファイバ9を伝送媒体とする光通信により、他の電子回路基板又は電子装置との間で信号を送信又は受信する。
【0014】
光モジュール1は、回路基板2と、回路基板2の上面2aに実装された光電変換素子31と、光ファイバ9を保持すると共に光電変換素子31と光ファイバ9とを光学的に結合する光結合部材4と、回路基板2の上面2aに実装され、光電変換素子31に電気的に接続された半導体回路素子32と、回路基板2との間に光結合部材4を挟むように配置された板状の支持基板5と、枠体6とを備えている。
【0015】
支持基板5の側面には、支持基板5の厚さ方向(マザーボード8に対して垂直な方向)に延びる第2の導電性部材としてのリード電極51が本体部50と一体に形成されている。リード電極51の一端は、回路基板2の下面2bに設けられた第1の導電性部材としての下部電極22に第1接続部材71によって接続されている。リード電極51の他端は、マザーボード8のランド81に第2接続部材72によって接続されている。
【0016】
図2に示すように、回路基板2の光結合部材4側に絶縁性の樹脂からなるカバーレイ20が設けられている。カバーレイ20は、光透過性を有する平板状の絶縁体であり、例えばPI(ポリイミド)からなる。カバーレイ20には、光ファイバ9を伝搬する光を通過させるための通過孔201が形成されている。また、カバーレイ20は、光結合部材4を覆う大きさ及び形状に形成されている。カバーレイ20と回路基板2との間、及びカバーレイ20と光結合部材4との間は、接着剤等により相互に固定されている。
【0017】
支持基板5には、ステンレス等の金属を屈曲して形成された枠体6が固定されている。枠体6は、光モジュール1に接続される光ファイバ9の外周を三方向から囲むように形成されている。この枠体6は、平板状の基部60と、基部60に連接した底壁部61と、底壁部61の両端に立設された一対の側壁部62とを一体に有している。基部60は、後述する支持基板5の第2の平面50b(
図3(a)参照)に接着により固定される。光ファイバ9は、一対の側壁部62の間の空間に充填された接着剤等により、枠体6に固定されている。
【0018】
光モジュール1は、光ファイバ9の延伸方向に沿った全長が例えば3.0mmであり、この方向に直交する幅方向の寸法が例えば2.0mmである。また、光モジュール1の高さ方向(マザーボード8に対して垂直な方向)の寸法は例えば0.8mmである。
【0019】
光電変換素子31は、電気信号を光信号に変換し、又は光信号を電気信号に変換する素子である。前者の発光素子としては、例えばレーザーダイオードやVCSEL(Vertical Cavity Surface Emmitting LASER)等が挙げられる。また、後者の受光素子としては、例えばフォトダイオードが挙げられる。光電変換素子31は、光ファイバ9に向けて光を出射又は光ファイバ9からの光を入射するように構成されている。
【0020】
光電変換素子31が電気信号を光信号に変換する素子である場合、半導体回路素子32は、電子回路基板側から入力される電気信号に基づいて光電変換素子31を駆動するドライバICである。また、光電変換素子31が受光した光信号を電気信号に変換する素子である場合、半導体回路素子32は、光電変換素子31から入力される電気信号を増幅して電子回路側に出力する受信ICである。
【0021】
(回路基板2の構成)
回路基板2は、柔軟性及び光透過性を有するフィルム状の絶縁体からなる基材の表面に、導電性の金属箔からなる複数の電極が設けられたフレキシブル基板である。光電変換素子31及び半導体回路素子32が実装される上面2aには、複数の上部電極21が設けられている。上面2aの裏側の下面2bには、第2の導電性部材としての複数の下部電極22が設けられている。
【0022】
複数の下部電極22には、支持基板5のリード電極51がそれぞれ第1接続部材71によって接続される。本実施の形態に係る光モジュール1では、下部電極22及びリード電極51が共に6つである。また、下部電極22は、下面2bの周縁部に設けられている。
【0023】
上面2aにおける複数の上部電極21は、その機能によって接続用電極21aとテスト用電極21bとに分類される。
図2に示すように、接続用電極21aは、光電変換素子31の第1接続電極311又は半導体回路素子32の第2接続電極321に半田付けによって接続される電極である。
【0024】
テスト用電極21bは、光モジュール1がマザーボード8に搭載されていない単体の状態で、光モジュール1の動作試験を行うためのテスト用の電極である。テスト用電極21bには、動作試験用のプローブが接触し、このプローブを介して電源の供給やテスト信号の入出力が行われる。本実施の形態では、複数(4つ)のテスト用電極21bが、半導体回路素子32よりも実装面積の小さい光電変換素子31の周辺に配置されている。
【0025】
(光結合部材4の構成)
光結合部材4は、光ファイバ9を保持する保持体40と、光ファイバ9を伝搬する伝搬光を導く導光体41とを有して構成されている。保持体40及び導光体41は共に光ファイバ9を伝搬する伝搬光の波長において透光性を有し、導光体41は、保持体40の屈折率よりも高い屈折率を有している。保持体40は、例えばPI(ポリイミド)からなり、導光体41は、例えばアクリル、エポキシ、PI、ポリシロキサン等からなる。
【0026】
保持体40は平板状であり、カバーレイ20に対向する平坦な表(おもて)面40aと、表面40aに平行で支持基板5に対向する裏面40bとを有している。保持体40は、支持基板5側に開口して光ファイバ9の先端部を収容する溝部401を裏面40b側に有している。溝部401は、半導体回路素子32と光電変換素子31との並列方向に沿って延びるように、保持体40の裏面40bから保持体40の厚さ方向に表面40aに向かって窪むように形成されている。導光体41は、溝部401に連通して形成され、その中心軸が溝部401の延伸方向と平行である。
【0027】
保持体40には、裏面40b側に切り欠き部403が形成されている。切り欠き部403は、保持体40の一方の側面から他方の側面に亘って形成され、その延伸方向は導光体41の中心軸に直交している。また、切り欠き部403は、側面視で三角形状を呈し、その一側面によって導光体41を終端している。切り欠き部403が裏面40bとなす角度は例えば45°である。なお、切り欠き部403には、樹脂を充填してもよい。
【0028】
導光体41は、溝部401側の一端が入出射面41aであり、切り欠き部403の一側面によって終端された斜面が反射面41bである。入出射面41aは、溝部401に保持された光ファイバ9のクラッド層91に囲まれたコア90に対向する位置に設けられている。反射面41bは、光電変換素子31から出射された光を入出射面41a側に、又は入出射面41aから入射した光を光電変換素子31側に、反射する。
【0029】
保持体40の溝部401に収容された光ファイバ9の先端部は、
図2に示すように、保持体40(溝部401の底面)と支持基板5との間に挟持される。
【0030】
(支持基板5の構成)
図3(a)は支持基板5を示す斜視図、(b)は支持基板5がダイシングされる棒状部材500の斜視図である。
【0031】
支持基板5は、光結合部材4に対向する第1の平面50aと、マザーボード8に対向する第2の平面50bと、第1〜第4の側面50c,50d,50e,50fとを有する直方体状の絶縁性の材料からなる本体部50、及び本体部50の側面に形成された複数(本実施の形態では6つ)のリード電極51を一体に有している。本実施の形態では、本体部50の第1〜第4の側面50c〜50fのうち、導光体41の中心軸に平行で、かつ互いに対向する第2の側面50d及び第4の側面50fに、それぞれ3つのリード電極51が形成されている。
【0032】
リード電極51は、光結合部材4の裏面40bに向かい合う第1の平面50aの端部から、その裏側の第2の平面50bの端部に至るまで、支持基板5の厚さ方向(第1の平面50a及び第2の平面50bに垂直な方向)に沿って延びるように形成されている。
【0033】
本実施の形態では、本体部50がガラスを含有する素材から形成されている。より具体的には、本体部50は、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませて熱硬化処理を施したガラスエポキシからなり、本実施の形態では、本体部50の素材が所謂FR4(Flame Retardant Type 4)である。また、リード電極51は、銅を主体とし、この銅の表面に金メッキが施されている。
【0034】
本体部50は、その厚みが例えば0.5mm以下であり、第1の平面50aとは反対側の第2の平面50bから、光結合部材4の溝部401に収容された光ファイバ9の先端部を視認可能な透光性を有している。
【0035】
支持基板5は、
図3(b)に示すように、棒状部材500をダイシングしてなる。以下、より具体的に説明する。棒状部材500は、支持基板5の本体部50となる基材50Aと、基材50Aの中心軸Cに沿って基材50Aの側面に形成され、支持基板5のリード電極51となる線状の金属箔51Aとを一体に有している。
【0036】
棒状部材500は、予め研磨された基材50Aの側面を覆うように銅の薄板を張り付けて接着し、この薄板を金属箔51Aの形状に適合するようにエッチングし、さらに薄板上にニッケル及び金メッキを施して金属箔51Aを形成する。なお、金属箔51Aを例えば蒸着によって形成してもよい。また、金メッキに替えてニッケルメッキ又はフラックス処理を施してもよい。
【0037】
支持基板5は、棒状の基材50Aをその中心軸Cに直交する断面で金属箔51Aと共にダイシングしてなる。
図3(b)では、棒状部材500の切断線Sを一点鎖線で示している。すなわち、棒状部材500の切断面が、支持基板5の第1の平面50a又は第2の平面50bとなる。
【0038】
(下部電極22とリード電極51との接続構造)
図4は、光モジュール1を示し、枠体6が設けられている側面と反対側の側面図である。なお、
図4では、後述する製造時の状態に即して光モジュール1がマザーボード8に垂直な方向において上下逆さまに示されている。なお、
図4において、芯部712を破線で示している。
【0039】
回路基板2の下面2bに実装された6つの下部電極22と、支持基板5の第2の側面50d及び第4の側面50fに設けられた6つのリード電極51とは、空隙100を介して互いの位置が固定されている。第1接続部材71が溶着するリード電極51の接続面510は、第1接続部材71が溶着する下部電極22の接続面としての表面22aに交差する方向に延びている。本実施の形態では、リード電極51の接続面510は、下部電極22の表面22aに直交する方向に向かって延びている。
図4では、6つの下部電極22のうち2つの下部電極22が図示され、6つのリード電極51のうち2つのリード電極が図示されている。
【0040】
本実施の形態では、下部電極22とリード電極51との空隙100の幅(回路基板2に対して垂直な方向)Wが、50μm〜200μmである。この空隙100には、下部電極22とリード電極51とを電気的に接続する導電性の第1接続部材71が介在している。
【0041】
第1接続部材71は、熱によって溶融し、下部電極22の表面22a及びリード電極51の接続面510の一端部510aに共に溶着した第1の金属部材からなる溶融部711と、溶融部711の融点よりも高い融点を有し、熱によって溶融することなく溶融部711に被覆された第2の金属部材からなる芯部712とを備えている。
【0042】
溶融部711を構成する第1の金属部材は、半田からなる。この半田は、例えば錫(Sn)、銀(Ag)、銅(Cu)を含むSnAgCu系合金や錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)を含むSnZnBi系合金や錫(Sn)、銀(Ag)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)を含む合金等を材料とした鉛フリー半田が用いられている。本実施の形態では、SnAgCu系合金を材料とした鉛フリー半田であり、その融点は、最大で220℃である。
【0043】
芯部712を構成する第2の金属部材は、主として銅(Cu)からなり、銅(Cu)の融点は1084.62℃である。したがって、第1接続部材71は、例えば220℃〜1000℃の熱を加えることにより、溶融部711だけが溶融し、芯部712は溶融することなく固体のまま溶融部711に覆われた状態となる。換言すれば、溶融部711は、溶融した状態における流動が芯部712によって抑制されている。
【0044】
芯部712は、球体状であり、その少なくとも一部が空隙100に介在している。芯部712の直径をD
1とし、空隙100の幅をWとすると、D
1は、W/2以上2W以下(W/2≦D
1≦2W)であるとよい。芯部712の直径D
1のより望ましい範囲は、W/2以上W以下(W/2≦D1≦W)である。
【0045】
また、本実施の形態では、第1接続部材71も球体状であり、第1接続部材71の直径をD
2とすると、D
2の望ましい範囲は、D
1の1.1倍以上2倍以下(1.1D
1≦D
2≦2D
1)である。
【0046】
(下部電極22とリード電極51との接続方法)
次に、下部電極22とリード電極51との接続方法について説明する。
図5は、下部電極22とリード電極51との接続方法の一例を示す模式図である。
【0047】
空隙100を介して互いの位置が固定された下部電極22及びリード電極51を電気的に接続する接続工程は、溶融部711、及び溶融部711よりも高い融点を有して溶融部711に覆われた芯部712からなる第1接続部材71を、下部電極22及びリード電極51に接するように配置する配置工程と、第1接続部材71を加熱することにより溶融部711及び芯部712のうち溶融部711のみを溶融させ、下部電極22の表面22a及びリード電極51の接続面510の一端部510aに溶着することにより、下部電極22とリード電極51とを電気的に接続する接続工程とを有する。以下、この各工程について、より詳細に説明する。なお、各工程における作業手順は一例として示すものであり、この作業手順に限定されることはない。
【0048】
(配置工程)
配置工程では、互いに直交する第1の側壁11及び第2の側壁12を有する治具10に、第1接続部材71が挿入されていない状態の光モジュール1を配置する。より具体的には、光電変換素子31の上面31a及び半導体回路素子32の上面32aが第1の側壁11に面するように、光モジュール1が配置される。治具10に配置された光モジュール1は、下部電極22の表面22aが鉛直方向の上方を向くように水平方向に対して傾いている。
【0049】
次に、第1接続部材71を、その最表面が下部電極22及びリード電極51に接するように配置する。なお、第1接続部材71の最表面が、下部電極22の表面22aのみに接触していてもよい。つまり、第1接続部材71が空隙100の内部に完全に配置された状態でもよい。
【0050】
本実施の形態では、第1接続部材71は、その最表面にフラックスが塗布されている。このフラックスは、例えば塩化亜鉛(ZnCl)飽和水溶液や松脂等を材料とし、約90℃で溶融する。したがって、フラックスが半田からなる溶融部711よりも先に溶融することにより、半田の濡れ(流れ)が良くなる。なお、フラックスは第1接続部材71の最表面に塗布せず、下部電極22の表面22a及びリード電極51に塗布されていてもよい。つまり、第1接続部材71は、下部電極22及びリード電極51の間にフラックスを介在させて配置される。
【0051】
(接続工程)
接続工程では、第1接続部材71にレーザLを照射して芯部712を構成する第1の金属部材及び溶融部711を構成する第2の金属部材のうち第2の金属部材(溶融部711)のみを溶融する。なお、本実施の形態では、レーザLを照射して第1接続部材71を加熱しているが、例えば熱風等を利用して第1接続部材71を加熱してもよい。溶融した第2の金属部材(溶融部711)が下部電極22の表面22a及びリード電極51の接続面510の一端部510aに溶着することにより、下部電極22とリード電極51とが電気的に接続される。
【0052】
より具体的には、溶融した第2の金属部材(溶融部711)の一部が下部電極22の表面22aに広がり、他の一部がリード電極51の接続面510の一端部510aに広がり、それぞれ溶着する。
【0053】
(光モジュール1の動作)
次に、
図2を参照して光モジュール1の動作について説明する。ここでは、光電変換素子31がVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER、垂直共振器面発光レーザ)であり、半導体回路素子32がこの光電変換素子31を駆動するドライバICである場合を中心に説明する。
【0054】
光モジュール1は、マザーボード8から動作電源が供給されて動作する。この動作電源は、支持基板5のリード電極51及び回路基板2を介して光電変換素子31及び半導体回路素子32に入力される。また、半導体回路素子32には、マザーボード8からリード電極51及び回路基板2を介して、光ファイバ9を伝送媒体として送信すべき信号が入力される。半導体回路素子32は、入力された信号に基づいて光電変換素子31を駆動する。
【0055】
光電変換素子31は、回路基板2との対向面に形成された受発光部から、回路基板2の上面2aに向かって、上面2aに垂直な方向にレーザ光を出射する。
図2では、このレーザ光の光路Pを二点鎖線で示している。
【0056】
レーザ光は回路基板2の基材及びカバーレイ20を透過して、光結合部材4に入射する。光結合部材4に入射したレーザ光は反射面41bで反射し、導光体41に導かれて入出射面41aから光ファイバ9のコア90に入射する。
【0057】
なお、光電変換素子31が例えばフォトダイオードであり、半導体回路素子32が受信ICである場合には、光の進行方向が上記とは逆となり、光電変換素子31が受信した光信号を電気信号に変換して半導体回路素子32に出力する。半導体回路素子32は、この電気信号を増幅し、回路基板2及び支持基板5のリード電極51を介してマザーボード8側に出力する。
【0058】
(比較例)
図6は、本実施の形態の比較例に係る光モジュール1Aを示し、枠体6が設けられている側面と反対側の側面図である。
【0059】
本比較例に係る光モジュール1Aは、第1接続部材71Aの構成が実施の形態に係る第1接続部材71の構成とは異なる。
図6において、光モジュール1について説明したものと同一の機能を有する部位については共通する符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、第1接続部材71Aは半田からなる第1の金属部材のみで構成される。この場合、熱によって溶融した第1接続部材71Aは、下部電極22の表面22a上に広がり、空隙100を介して配置されたリード電極51の接続面51a側には広がりにくい。したがって、下部電極22とリード電極51との間に介在する空隙100を埋めるためには、第1接続部材71Aを構成する半田の量が、実施の形態における半田(溶融部711)の量に比べて、より多く必要となる。
【0061】
また、半田からなる第2接続部材72によって、リード電極51の接続面510の他端部510bとマザーボード8に設けられたランド81とが接続され、光モジュール1Aがマザーボード8(
図1参照)に実装される。その際、第2接続部材72を加熱する熱が、リード電極51の接続面510の一端部510aに伝わり、その熱により第1接続部材71Aが溶融するおそれがある。溶融した第1接続部材71Aは、リード電極51の接続面510を伝ってマザーボード8に向かって流れ落ちる可能性がある。
【0062】
(実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態によれば、以下に示す作用及び効果が得られる。
【0063】
(1)第1接続部材71は、レーザLの加熱によって溶融し、下部電極22及びリード電極51に共に接着した溶融部711と、溶融部711を構成する第1の金属部材の融点よりも高い融点を有し、レーザLの加熱によって溶融することなく溶融部711に覆われた芯部712とを備えているため、溶融した第1の金属部材(溶融部711)の流動を芯部712によって抑制することができる。これにより、溶融部711は、下部電極22の表面22a上のみならず、空隙100を介して配置固定されたリード電極51の接続面510の一端部510aにも溶着する。したがって、溶融部711の半田量を減らしながらも、下部電極22とリード電極51との電気的な接続を確実にすることができる。
【0064】
(2)第1接続部材71は、芯部712を備えているため、光モジュール1をマザーボード8に実装する際、第2接続部材72を加熱する熱によって第1接続部材71の溶融部711が再溶融した場合でも、溶融した溶融部711がリード電極51の接続面510を伝ってマザーボード8に向かって流れ落ちることを抑制することができる。
【0065】
(3)芯部712は、その少なくとも一部が空隙100に介在しているため、溶融した第1の金属部材(溶融部711)が空隙100を中心として流動し溶着する。これにより、下部電極22とリード電極51との電気的な接続がより確実なものとなる。
【0066】
(4)芯部712は球体状であるため、溶融部711の溶融によって空隙100内に芯部712が入り込みやすくなる。
【0067】
(5)下部電極22及びリード電極51の接続方法における配置工程では、下部電極22及びリード電極51の間にフラックスを介在させて第1接続部材71を配置するため、フラックスの粘性によって第1接続部材71の配置後における移動(転動)を抑制することができる。
【0068】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0069】
[1]空隙(100)を介して互いの位置が固定された第1の導電性部材(下部電極22)及び第2の導電性部材(リード電極51)を電気的に接続する導電性部材の接続構造であって、加熱によって溶融し、前記第1の導電性部材(下部電極22)の接続面(表面22a)及び前記第2の導電性部材(リード電極51)の接続面(510)に共に溶着した第1の金属部材(溶融部711)と、前記第1の金属部材(溶融部711)の融点よりも高い融点を有し、前記加熱によって溶融することなく前記第1の金属部材に覆われた第2の金属部材(芯部712)とを備え、前記第1の金属部材(溶融部711)は、溶融した状態における流動が前記第2の金属部材(芯部712)によって抑制されている導電性部材の接続構造。
【0070】
[2]前記第2の金属部材(芯部712)は、その少なくとも一部が前記空隙(100)に介在する、[1]に記載の導電性部材の接続構造。
【0071】
[3]前記第2の金属部材(芯部712)は、球体状である、[1]又は[2]に記載の導電性部材の接続構造。
【0072】
[4]前記第2の金属部材(芯部712)は、その直径(D
1)が前記空隙(100)の寸法の半分以上かつ前記空隙(100)の寸法の2倍以下である、[3]に記載の導電性部材の接続構造。
【0073】
[5]前記第2の導電性部材(リード電極51)の前記接続面(510)は、前記第1の導電性部材(下部電極22)の前記接続面(表面22a)に交差する方向に延びる、[1]に記載の導電性部材の接続構造。
【0074】
[6]空隙(100)を介して互いの位置が固定された第1の導電性部材(下部電極22)及び第2の導電性部材(リード電極51)を電気的に接続する導電性部材の接続方法であって、第1の金属部材(溶融部711)、及び前記第1の金属部材(溶融部711)よりも高い融点を有して前記第1の金属部材(溶融部711)に覆われた第2の金属部材(芯部712)からなる接続部材(第1接続部材71)を、前記第1の導電性部材(下部電極22)及び前記第2の導電性部材(リード電極51)に接するように配置する配置工程と、前記接続部材(第1接続部材71)を加熱することにより前記第1及び第2の金属部材(溶融部711及び芯部712)のうち前記第1の金属部材(溶融部711)のみを溶融させ、溶融した前記第1の金属部材(溶融部711)が前記第1の導電性部材(下部電極22)の接続面(表面22a)及び前記第2の導電性部材(リード電極51)の接続面(510)に溶着することにより、前記第1の導電性部材(下部電極22)と前記第2の導電性部材(リード電極51)とを電気的に接続する接続工程とを有する導電性部材の接続方法。
【0075】
[7]前記配置工程は、前記第1の導電性部材(下部電極22)及び前記第2の導電性部材(リード電極51)の間にフラックスを介在させて前記接続部材(第1接続部材71)を配置する工程である、[6]に記載の導電性部材の接続方法。
【0076】
[8]第1の電極(下部電極22)を有する回路基板(2)と、前記回路基板(2)に実装された光電変換素子(31)と、光ファイバ(9)と前記光電変換素子(31)とを光学的に結合する光結合部材(4)と、前記回路基板(2)との間に前記光結合部材(4)を挟んで配置され、その側面に第2の電極(リード電極51)が形成された板状の支持基板(5)と、加熱によって溶融し、前記第1の電極(下部電極22)の接続面(表面22a)及び前記第2の導電性部材(リード電極51)の接続面(510)に共に溶着した第1の金属部材(溶融部711)と、前記第1の金属部材(溶融部711)の融点よりも高い融点を有し、前記加熱によって溶融することなく前記第1の金属部材(溶融部711)に覆われた第2の金属部材(芯部712)とを備えた光モジュール(1)。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0078】
上記実施の形態では、芯部712は主として銅(Cu)からなるが、これに限らず、例えば鉄(Fe)等の導電性を有する金属でもよい。また、銅(Cu)をニッケル(Ni)メッキ等した合金でもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、芯部712は球体状であったが、これに限らず、芯部712の形状に特に制限はない。ただし、球体状が最も望ましい。
【0080】
また、上記実施の形態では、光モジュール1に対して1本の光ファイバ9が装着されていたが、これに限らず、複数の光ファイバ9が装着されるように光モジュール1を構成してもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、回路基板2には光電変換素子31及び半導体回路素子32が1つずつ搭載されていたが、これに限らず、複数の光電変換素子31及び半導体回路素子32が搭載されていてもよい。
【0082】
また、光モジュール1を構成する各部材の材質も、上記実施の形態に記載したものに限らない。