特許第6090777号(P6090777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6090777ナノ構造体を表面に備える基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090777
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ナノ構造体を表面に備える基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20170227BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20170227BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   B82Y40/00
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-557987(P2012-557987)
(86)(22)【出願日】2012年2月15日
(86)【国際出願番号】JP2012053499
(87)【国際公開番号】WO2012111694
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年1月27日
(31)【優先権主張番号】特願2011-30274(P2011-30274)
(32)【優先日】2011年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-198764(P2011-198764)
(32)【優先日】2011年9月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-198765(P2011-198765)
(32)【優先日】2011年9月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】藤川 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】早川 晴美
(72)【発明者】
【氏名】先崎 尊博
(72)【発明者】
【氏名】宮城 賢
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126000(JP,A)
【文献】 Partha Majumdar et al.,"Influence of solvent composition and degree of reaction on the formation of surface microtopography in a thermoset siloxane-urethane system",polymer,2006年,vol.47,pp.4172-4181
【文献】 Eva Berndt et al.,"Functional coatings for anti-biofouling applications by surface segregation of block copolymer additives",polymer,2010年,vol.51,pp.5910-5920
【文献】 国立医薬品食品衛生研究所,国際化学物質安全性カード/ベンゼン,[online],インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0015c.html>,2003年 5月,[2015年10月29日検索]
【文献】 国立医薬品食品衛生研究所,国際化学物質安全性カード/トルエン,[online],インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0078c.html>,2002年10月,[2015年10月29日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/32
H01L 21/027
B82B 1/00、3/00
B82Y 5/00−99/00
Science Direct
ACS Publication
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を基板上に形成した後、当該層を加熱し、当該層を相分離させる相分離工程と、
前記層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相の少なくとも一部を分解する分解工程と、
前記層を現像液に浸漬させ、前記分解工程において分解されたブロックを含む相を選択的に除去する選択的除去工程と、
を有し、
前記現像液が、SP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である有機溶媒、ベンゼン、及びトルエンからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、ナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項2】
前記現像液が、酢酸ブチル、2−ヘプタノン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群より選択される1種以上を含む請求項1に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項3】
前記分解工程を、前記層に対して紫外線を照射することにより行う請求項1に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項4】
前記層に対して、波長254nmにおける紫外線露光量が1〜100mJ/cmである請求項に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項5】
前記分解工程を、前記層に対してArFエキシマレーザーを照射することにより行う請求項1に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項6】
前記層に対して、波長193nmにおけるArF露光量が400〜4000mJ/cmである請求項に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項7】
前記ブロックコポリマーが、ポリスチレンとポリメチルメタクリレートからなる請求項1に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項8】
前記選択的除去工程により、前記基板表面の一部が露出し、
前記選択的除去工程後、さらに、
露出された基板表面に金属イオンを接触させ、基板表面と金属イオンとの間に起こる電気化学反応により、当該基板表面に金属を析出させる析出工程と、
を有する請求項1〜のいずれか一項に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【請求項9】
前記選択的除去工程後、さらに、
前記層の表面に、金属薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記金属薄膜の一部または全部を残したまま、前記層の一部または全部を除去する除去工程と、を有する請求項1〜のいずれか一項に記載のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックコポリマーの相分離を利用して、基板上にナノ構造体が形成された基板を製造する方法に関する。
本願は、2011年2月15日に、日本に出願された特願2011−030274号、2011年9月12日に、日本に出願された特願2011−198764号、2011年9月12日に、日本に出願された特願2011−198765号、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。このような要望に対して、互いに非相溶性のポリマー同士を結合させたブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
ブロックコポリマーの相分離を利用するためには、ミクロ相分離により形成された自己組織化ナノ構造を特定の領域のみに形成し、かつ所望の方向へ配列させることが必須となる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって、相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーと、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシーといった方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
ブロックコポリマーのナノ相分離構造から特定のポリマー領域を選択的に除去する方法は、液相型とドライ型の二つに大別できる(例えば、特許文献2参照。)。ドライ型の方法(ドライエッチング)は、ナノ相分離構造に反応性のガスを吹き付け、当該ドライガスに対するポリマーの分解速度の違いによって選択的に除去する方法である。一方、液相型の方法(溶液エッチング)は、必要に応じてナノ相分離構造中の特定のポリマー領域のポリマーを選択的に分解させた後、当該ナノ相分離構造を現像液に浸漬させ、特定の相部分を優先的に溶解除去する方法である。溶液エッチングでは、一般的に水溶液ベースの現像液が利用されている。これは、ポリマーが分解されて形成されると考えられる物質の水溶液への溶解性の高さに基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36491号公報
【特許文献2】特許第4127682号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G−1(2010年).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドライエッチングの場合、ドライガスに対するポリマーの分解速度が遅いポリマー領域の表面も分解され除去されやすい。このため、得られたナノパターンは、特に高さ方向においてナノ相分離構造を正確に反映させることが難しい。さらに、ドライエッチングは、一般的に減圧雰囲気で行われるため、連続プロセスが困難であり、また減圧のための設備や反応性ガスを導入するための設備が必要であり、プロセスが高価となる。
【0007】
一方、溶液エッチングでは、このような高価な設備は必要としない。しかしながら、水は表面張力が極めて高いため、水溶液ベースの現像液を用いると、エッチング操作及びエッチング後の乾燥過程において、形成されたナノ構造(ナノパターン)が崩壊してしまうなどの問題が起こってしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ブロックコポリマーの相分離を利用して、ナノ相分離構造がより正確に反映されたナノ構造体を表面に備える基板を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を基板上に形成した後、当該層を加熱し、当該層を相分離させる相分離工程と、
前記層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相の少なくとも一部を分解する分解工程と、前記層を現像液に浸漬させ、前記分解工程において分解されたブロックを含む相を選択的に除去する選択的除去工程と、を有し、
前記現像液が、SP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である有機溶媒、ベンゼン、及びトルエンからなる群より選択される1種以上を含む、ナノ構造体を表面に備える基板の製造方法である。
【0010】
本明細書および本請求の範囲において、「ブロック」は、ブロックコポリマーを構成する、同種の構成単位のみが結合した部分構成成分を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板上に、ナノ相分離構造がより正確に反映されたナノ構造体を備える基板を製造し得る方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1における、現像液として酢酸ブチルを用いたときの基板表面の走査型電子顕微鏡像である。
図2】実施例4における、現像処理後の基板表面の走査型電子顕微鏡像である。
図3】実施例7における、現像処理後の基板表面の走査型電子顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のナノ構造体を表面に備える基板の製造方法は、複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層を基板上に形成した後、当該層を加熱し、当該層を相分離させる相分離工程と、前記層のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相の少なくとも一部を分解する分解工程と、前記層を現像液に浸漬させ、前記分解工程において分解されたポリマーを含む相を選択的に除去する選択的除去工程と、を有し、
前記現像液が、SP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である有機溶媒、又はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていても良いベンゼンを主成分とする。
【0014】
複数種類のブロックが結合したブロックコポリマーを含む層は、相分離により、ブロックポリマーを構成する各成分が分離した構造を形成する。本発明においては、まず、相分離構造中の少なくとも一の相が残存するように、当該相分離構造中の一又は複数の相を選択的に除去することにより、残存する相から形成されるナノ構造体を基板上に形成させることができる。また、基板上に形成させる相分離構造の大きさや形状を適宜調整することにより、所望の形状や大きさのナノ構造体を基板上に形成させることができる。
【0015】
本発明においては、溶液エッチングにおいて用いる現像液として、SP値(溶解パラメーター)が特定の範囲の有機溶媒を主成分とすることにより、パターン崩壊を伴わずに、ナノ相分離構造中の特定の相を選択的に除去することができる。また、現像液の主成分とする有機溶媒の25℃における蒸気圧が2.1kPa未満と低いことにより、通常のリソグラフィー工程で用いられるパドル現像において、現像液有機溶媒の局所的な揮発を抑制することができ、面内均一性の良いパターンを得ることができる。また、本発明は、既に半導体プロセスで実際に広く用いられている有機溶媒のうち、SP値と蒸気圧が前記範囲内であるものを用いることにより、簡便かつ大量処理可能なパターニングプロセスとなる。
【0016】
また、本発明においては、溶液エッチングにおいて用いる現像液として、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていても良いベンゼンを主成分とすることにより、パターン崩壊を伴わずに、ナノ相分離構造中の特定の相を選択的に除去することができる。また、本発明は、既に半導体プロセスで実際に広く用いられている有機溶媒のうち、特定の構造の化合物を主成分とするものを用いることにより、簡便かつ大量処理可能なパターニングプロセスとなる。
【0017】
以下、各工程とそこで用いられる材料について、より詳細に説明する。
<ブロックコポリマー>
ブロックコポリマーは、同種の構成単位のみが結合した部分構成成分(ブロック)が、複数結合した高分子である。ブロックコポリマーを構成するブロックの種類は、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。
本発明においては、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。また、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。
【0018】
ブロックコポリマーとしては、例えば、スチレン又はその誘導体を構成単位とするブロックと(メタ)アクリル酸エステルを構成単位とするブロックとを結合させたブロックコポリマー、スチレン又はその誘導体を構成単位とするブロックとシロキサン又はその誘導体を構成単位とするブロックとを結合させたブロックコポリマー、及びアルキレンオキシドを構成単位とするブロックと(メタ)アクリル酸エステルを構成単位とするブロックとを結合させたブロックコポリマー等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
【0019】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の炭素原子に、アルキル基やヒドロキシアルキル基等の置換基が結合しているものが挙げられる。置換基として用いられるアルキル基としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アントラセン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、(メタ)アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
スチレンの誘導体としては、例えば、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−ニトロスチレン、3−ニトロスチレン、4−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、4−アセトキシビニルスチレン、ビニルシクロへキサン、4−ビニルベンジルクロリド、1−ビニルナフタレン、4−ビニルビフェニル、1−ビニルー2−ピロリドン、9−ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0021】
シロキサンの誘導体としては、例えば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0022】
本発明においては、スチレン又はその誘導体を構成単位とするブロックと(メタ)アクリル酸エステルを構成単位とするブロックとを結合させたブロックコポリマーを用いることが好ましい。具体的には、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート(PS−PMMA)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルメタクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルメタクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメタクリル酸ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリメチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチルアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン−(ポリ−t−ブチルアクリレート)ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリアクリル酸ブロックコポリマー等が挙げられる。本発明においては、特に、PS−PMMAブロックコポリマーを用いることが好ましい。
【0023】
ブロックコポリマーを構成する各ブロックの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、相分離を起こすことが可能な大きさであれば特に限定されるものではないが、5000〜500000が好ましく、5000〜400000がより好ましく、5000〜300000がさらに好ましい。
またブロックコポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0024】
なお、以下において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、後の工程で選択的に除去されないブロックをPブロック、選択的に除去されるポリマーをPブロックという。例えば、PS−PMMAブロックコポリマーを含む層を相分離した後、当該層に対して分解処理及び現像液処理を行うことにより、PMMAからなる相が選択的に除去される。この場合、PSがPブロックであり、PMMAがPブロックである。
【0025】
本発明において、選択的に除去される相(すなわち、Pブロックからなる相)の形状や大きさは、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの成分比や、ブロックコポリマーの分子量により規定される。例えば、ブロックコポリマー中に占めるPブロックの体積当たりの成分比を比較的小さくすることにより、Pブロックからなる相中にPブロックからなる相がシリンダー状に存在するシリンダー構造を形成させることができる。一方で、ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックの体積当たりの成分比を同程度にすることにより、Pブロックからなる相とPブロックからなる相とが交互に積層されたラメラ構造を形成させることができる。また、ブロックコポリマーの分子量を大きくすることにより、各相の大きさを大きくすることができる。
【0026】
<基板>
基板は、その表面上にブロックコポリマーを含む溶液を塗布し得るものであれば、その種類は特に限定されない。例えば、シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属;ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカなどの無機物からなる基板;アクリル板、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂などの有機化合物からなる基板などが挙げられる。
また、本発明において用いられる基板の大きさや形状は、特に限定されるものではない。基板は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状の基板まで多様に用いることができる。
【0027】
基板は、基板表面が電子供与性を備える基板であってもよい。電子供与性を備える基板であれば、金属イオンとの間で酸化還元反応(ガルバニック置換反応)が起こり得る。このような基板としては、例えば、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板等が挙げられる。その他、ポリカーボネートや、ガラス(石英ガラス等)基板等の表面に、シリコン薄膜等の電子供与性膜を備えることにより、基板表面において酸化還元反応によるガルバニック置換が起こるようにされた基板であってもよい。
【0028】
<基板洗浄処理>
ブロックコポリマーを含む層を形成する前に、基板表面を洗浄してもよい。基板表面を洗浄することにより、後の中性化反応処理が良好に行える場合がある。
洗浄処理としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。例えば、基板を硫酸/過酸化水素水溶液等の酸溶液に浸漬させた後、水洗し、乾燥させる。その後、当該基板の表面に、ブロックコポリマーを含む層を形成することができる。
【0029】
<中性化処理>
「中性化処理」とは、基板表面を、ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性を有するように改変する処理をいう。中性化処理を行うことにより、相分離によって特定のブロックからなる相のみが基板表面に接することを抑制することができる。このため、ブロックコポリマーを含む層を形成する前に、基板表面に、用いるブロックコポリマーの種類に応じた中性化処理を行っておくことが好ましい。特に、相分離によって基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造又はシリンダー構造を形成させるためには、予め基板表面に中性化処理を行っておくことが好ましい。
【0030】
具体的には、中性化処理としては、基板表面に、ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性を有する下地剤を含む薄膜(中性化膜)を形成する処理等が挙げられる。
このような中性化膜としては、樹脂組成物からなる膜を用いることができる。下地剤として用いられる樹脂組成物は、ブロックコポリマーを構成するブロックの種類に応じて、薄膜形成に用いられる従来公知の樹脂組成物の中から適宜選択することができる。下地剤として用いられる樹脂組成物は、熱重合性樹脂組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物やネガ型レジスト組成物等の感光性樹脂組成物であってもよい。
その他、中性化膜は非重合性膜であってもよい。例えば、フェネチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等の下地剤からなるシロキサン系有機単分子膜も、中性化膜として好適に用いることができる。
これらの下地剤からなる中性化膜は、常法により形成することができる。
【0031】
ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性を有する下地剤としては、例えば、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの構成単位をいずれも含む樹脂組成物や、ブロックコポリマーを構成する各ブロックと親和性の高い構成単位をいずれも含む樹脂等が挙げられる。
例えば、PS−PMMAブロックコポリマーを用いる場合には、下地剤として、PSとPMMAの両方を構成単位として含む樹脂組成物や;PSと親和性が高い部位である芳香環等と、PMMAと親和性の高い部位である極性の高い官能基等の両方を含む化合物又は組成物を用いることが好ましい。
PSとPMMAの両方を構成単位として含む樹脂組成物としては、例えば、PSとPMMAのランダムコポリマー、PSとPMMAの交互ポリマー(各モノマーが交互に共重合しているもの)等が挙げられる。
【0032】
また、PSと親和性が高い部位とPMMAと親和性の高い部位の両方を含む組成物としては、例えば、モノマーとして、少なくとも、芳香環を有するモノマーと極性の高い置換基を有するモノマーとを重合させて得られる樹脂組成物が挙げられる。芳香環を有するモノマーとしては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基;及びこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等を有するモノマーが挙げられる。また、極性の高い置換基を有するモノマーとしては、トリメトキシシリル基、トリクロロシリル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等を有するモノマーが挙げられる。
その他、PSと親和性が高い部位とPMMAと親和性の高い部位の両方を含む化合物としては、フェネチルトリクロロシラン等のアリール基と、極性の高い置換基の両方を含む化合物や;アルキルシラン化合物等のアルキル基と、極性の高い置換基の両方を含む化合物等が挙げられる。
【0033】
<ガイドパターンの形成1>
基板表面は、ブロックコポリマーを含む層を形成する前に、予めパターンが形成されたガイドパターンを有していてもよい。これにより、ガイドパターンの形状・表面特性に応じた相分離構造の配列構造制御が可能となる。例えば、ガイドパターンがない場合にはランダムな指紋状の相分離構造が形成されるブロックコポリマーであっても、基板表面にレジスト膜の溝構造を導入することにより、その溝に沿って配向した相分離構造が得られる。このような原理でガイドパターンを導入してもよい。ガイドパターンとしては、例えば、L/Sパターンや、コンタクトホールパターン等の物理形状をもつ構造が利用可能である。またガイドパターンの表面が、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を備えることにより、基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造やシリンダー構造からなる相分離構造を形成しやすくすることもできる。
【0034】
基板表面にガイドパターンを備える基板としては、例えば、予め金属のパターンが形成された基板を用いることができる。また、リソグラフィー法やインプリント法により基板表面にパターンを形成したものを用いることもできる。これら中でも、リソグラフィー法を用いたものが好ましい。例えば、基板表面に、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を有するレジスト組成物からなる膜を形成した後、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、ガイドパターンを形成することができる。なお、基板に中性化処理を行う場合には、中性化処理後に、中性化膜の表面にガイドパターンを形成することが好ましい。
【0035】
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物を用いて、物理形状をもつガイドパターンを形成することができる。かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、ガイドパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記アルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像を行うことにより露光部が除去されてガイドパターンが形成される。なお、該ポジ型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大し、且つ、露光により酸を発生する基材成分を含有するものも用いることができる。
【0036】
具体的には、例えば、基板表面上に、前記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なガイドパターンを形成することができる。
【0037】
また、酸の作用により極性が増大し、有機溶剤を含有する現像液に対する溶解性が減少する基材成分、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するネガ型現像用レジスト組成物を用いて、ガイドパターンを形成することもできる。かかるネガ型現像用レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、基材成分から酸が発生し、該酸の作用により基材成分の有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、ガイドパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記有機溶剤を含有する有機系現像液に対する溶解性が減少する一方で、未露光部の該有機系現像液に対する溶解性は変化しないため、該有機系現像液を用いたネガ型現像を行うことにより未露光部が除去されてガイドパターンが形成される。
【0038】
さらに、アルカリ現像液に可溶性の基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、架橋剤とを含有するネガ型レジスト組成物を用いて、ガイドパターンを形成することもできる。かかるネガ型レジスト組成物においては、露光により酸発生剤成分から酸が発生すると、当該酸が作用して基材成分と架橋剤成分との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して難溶性へ変化する。そのため、ガイドパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することにより未露光部が除去されてガイドパターンが形成できる。
【0039】
ガイドパターンの基板表面(若しくは中性化膜表面)からの高さは、基板表面に形成されるブロックコポリマーを含む層の厚み以上であることが好ましい。ガイドパターンの基板表面(若しくは中性化膜表面)からの高さは、例えば、ガイドパターンを形成するレジスト組成物を塗布して形成されるレジスト膜の膜厚によって適宜調整することができる。
【0040】
ガイドパターンを形成するレジスト組成物は、一般的にレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物やその改変物の中から、ブロックコポリマーを構成するいずれかのブロックと親和性を有するものを適宜選択して用いることができる。当該レジスト組成物としては、ポジ型レジスト組成物とネガ型レジスト組成物のいずれであってもよいが、ネガ型レジスト組成物であることが好ましい。
【0041】
また、ガイドパターンが形成された基板上にブロックコポリマーの有機溶剤溶液が流し込まれた後、相分離を起こすために、熱処理がなされる。このため、ガイドパターンを形成するレジスト組成物としては、耐溶剤性と耐熱性に優れたレジスト膜を形成し得るものであることが好ましい。
【0042】
<ガイドパターンの形成2>
基板表面は、前記のような物理的に凹凸のある構造からなるガイドパターンに代えて、より平面的なガイドパターンを形成してもよい。すなわち、物理形状を持たなくても、表面の化学的性状が異なるような化学パターンも利用可能である。具体的には、ブロックコポリマーを構成するいずれかのブロックと親和性を有する領域と、その他の領域とからなるガイドパターンを有していてもよい。
【0043】
平面的なガイドパターンは、例えば、以下のようにして形成することができる。まず、下地剤として、ブロックコポリマーを構成するいずれかのブロックと親和性を有する感光性レジスト組成物又は電子線により重合あるいは主鎖断裂をおこす組成物を用い、当該下地剤を基板表面に塗布してレジスト膜を形成した後、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、基板表面に、ブロックコポリマーを構成するいずれかのブロックと親和性を有する薄膜が所定のパターンに配置される。これにより、下地剤から形成された領域と下地剤が除去された領域とが所定のパターンに配された平面的なガイドパターンを形成することができる。
【0044】
このようなガイドパターンを形成する際に用いられる下地剤としては、薄膜形成に用いられる従来公知の感光性樹脂組成物の中から所望の性質を備えるものを適宜選択して用いることができる。
【0045】
<ブロックコポリマーを含む層の相分離構造の形成>
まず、基板上にブロックコポリマーを含む層を形成する。具体的には、適当な有機溶剤に溶解させたブロックコポリマーを、スピンナー等を用いて基板上に塗布する。
ブロックコポリマーを溶解させる有機溶剤としては、用いるブロックコポリマーを溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、ブロックコポリマーを構成する各ポリマーのいずれとも相溶性の高いものを用いることができる。有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
【0046】
ブロックコポリマーを溶解させる有機溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類又は前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
例えば、ブロックコポリマーとしてPS−PMMAブロックコポリマーを用いる場合には、トルエン、酢酸ブチル、2−ヘプタノン、又はPGMEAに溶解させることが好ましく、トルエン、2−ヘプタノン、又はPGMEAに溶解させることがより好ましく、2−ヘプタノン又はPGMEAに溶解させることが特に好ましい。
【0047】
本発明においては、ブロックコポリマーを含む層の厚さは、相分離が起こるために十分な厚みであればよく、当該厚さの下限値としては、特に限定されないが、形成される相分離構造の構造周期サイズ、ナノ構造体の均一性等を考慮すると、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。また、後述するように、基板上に形成されたナノ構造体を鋳型として金属ナノ構造体を備える基板を作製する場合には、基板上に形成されるブロックコポリマーを含む層の厚みは、形成しようとする金属ナノ構造体の基板上からの高さ寸法よりも高くなるように適宜設定すればよい。
【0048】
ポリマーを含む層が形成された基板を熱処理し、後工程におけるブロックコポリマーの選択除去によって基板表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造を形成させる。熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ熱分解温度未満で行うことが好ましい。また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0049】
<相分離構造中のPブロックからなる相の分解>
次いで、相分離構造を形成させた後の基板上のブロックコポリマーを含む層のうち、Pブロックからなる相中のブロックの少なくとも一部を分解(低分子量化)する。予めPブロックの一部を分解することにより、現像液に対する溶解性を高められる結果、Pブロックからなる相がPブロックからなる相よりも選択的に除去しやすくなる。
【0050】
分解処理は、PブロックよりもPブロックを優先的に分解可能な処理であれば特に限定されるものではなく、ブロックの分解に用いられる手法の中から、PブロックとPブロックの種類に応じて、適宜選択して行うことができる。当該分解処理としては、例えば、UV(紫外線)照射処理、ArFエキシマレーザー照射処理、熱分解処理、及び化学反応処理等が挙げられる。
【0051】
本発明においては、分解処理をUV照射処理により行うことが好ましい。UV照射処理により、Pブロックの分解と同時に、Pブロックの硬化を促進することができる。UV照射処理におけるUV露光量は、PブロックとPブロックの種類に応じて適宜調整することができる。UV露光量が少なすぎるとPブロックの分解が不十分となりやすく、UV露光量が多すぎるとPブロックまで分解されてしまいやすい。例えば、PS−PMMAブロックコポリマーを用いる場合には、UV露光量は、波長254nmにおいて1〜100mJ/cmであることが好ましく、10〜50mJ/cmであることがより好ましい。
【0052】
また、本発明においては、分解処理をArFエキシマレーザー照射処理により行うことも好ましい。ArFエキシマレーザー照射処理により、Pブロックの分解と同時に、Pブロックの硬化を促進することができる。ArFエキシマレーザー照射処理におけるArF露光量は、PブロックとPブロックの種類に応じて適宜調整することができる。ArF露光量が少なすぎるとPブロックの分解が不十分となりやすく、ArF露光量が多すぎるとPブロックまで分解されてしまいやすい。例えば、ArF露光量は、波長193nmにおいて400〜4000mJ/cmであることが好ましく、800〜3600mJ/cmであることがより好ましい。
【0053】
<相分離構造中のPブロックからなる相の選択除去>
次いで、相分離構造を形成させた後の基板上のブロックコポリマーを含む層のうち、露出しているPブロックからなる相を選択的に除去する。これにより、Pブロックからなる相のみが、基板の露出面に残る。すなわち、基板表面には、表面がPブロックからなる相のみからなるナノ構造体が形成される。相分離構造が、基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造又はシリンダー構造であった場合には、Pブロックからなる相を選択的に除去することにより、Pブロックのみから形成されるライン状やホール状のナノ構造体が基板上に形成される。
【0054】
選択的除去により、Pブロックからなる相のうち、基板表面からブロックコポリマーを含む層の表面まで連続して形成されていた相が除去され、基板表面が露出する。基板表面に予め中性化膜が形成されている場合には、当該中性化膜もPブロックからなる相と同様に除去される。また、基板表面に予めガイドパターンが形成されている場合には、当該ガイドパターンは、Pブロックと同様に除去されない。
【0055】
本発明においては、選択的除去処理は、相分離構造を形成させた後の基板を、SP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である有機溶媒、又はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていても良いベンゼンを主成分とする現像液に浸漬させ、Pブロックからなる相を選択的に溶解除去することにより行う。
SP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である有機溶媒を主成分とする現像液の場合、当該有機溶媒のSP値は、8.0〜10.5(cal/cm1/2であることが好ましく、8.4〜9.5(cal/cm1/2であることがより好ましい。なお、本発明及び本願明細書において、SP値は、‘POLYMER HANDBOOK (FOURTH EDITION)’(edited by Brandrup, etal.,1999, John Wiley & Sons, Inc.)の第679〜680ページに記載されている理論式で見積もられた値である。
【0056】
当該現像液は、SP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である有機溶媒を1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上を含んでいてもよい。また、当該現像液は、本発明の効果を損なわない限り、SP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である有機溶媒以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、酢酸エチル等の25℃における蒸気圧が2.1kPa以上である有機溶媒等が挙げられる。
【0057】
本発明においては、現像液の主成分が酢酸ブチル、2−ヘプタノン、又はPGMEAであることが好ましい。また、現像液は、酢酸ブチル、2−ヘプタノン、PGMEAからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0058】
また、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていても良いベンゼンを主成分とする現像液の場合、アルキル基としては炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子等が挙げられる。現像液の主成分とするベンゼンは、これらの置換基のうち、1種のみで置換されていてもよく、2以上の同種又は異種の置換基で置換されていてもよく、置換基を有さなくてもよい。
【0059】
本発明においては、当該現像液の主成分がベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アニソール、又はクロロベンゼンであることが好ましく、トルエン又はベンゼンがより好ましい。また、当該現像液は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アニソール、及びクロロベンゼンからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0060】
現像液によるPブロックからなる相の除去における選択性(Pブロックからなる相の除去され難さ)やナノ構造体の保存性(ナノ相分離構造から露出しているPブロックからなる相のみが除去されて形成されたナノ構造体と実際に形成されたナノ構造体の一致度)は、ブロックコポリマーを溶解させた溶媒の種類にも依存する場合がある。例えば、ブロックコポリマーを溶解させた溶媒がトルエン又はPGMEAの場合には、現像液の主成分は酢酸ブチル、2−ヘプタノン、若しくはPGMEA、又はトルエン若しくはベンゼンであることが好ましい。
【0061】
<金属ナノ構造体の形成>
基板上に形成されたナノ構造体を鋳型として金属からなるナノ構造体を基板上に形成させることができる。本発明においては、レジストパターンよりも微細なパターンを形成することが可能な相分離構造を鋳型として用いることにより、非常に微細な形状の金属ナノ構造体を備える基板を形成することができる。
【0062】
本発明においては、ナノ相分離構造中のPブロックからなる相の選択的除去を、ドライエッチングではなく、特定の有機溶媒を有効成分とする現像液を用いた溶液エッチングで行うことにより、ナノ相分離構造をより正確に反映したナノパターンを形成することができる。本発明においては、特に、エッチング処理において、Pブロックからなる相の表面がほとんど除去されないため、基板上に形成されるブロックコポリマーを含む層の厚みとほぼ等しい高さ寸法の金属ナノ構造体を形成することができる。
【0063】
金属ナノ構造体の形成方法は特に限定されるものではなく、高分子からなる鋳型を用いて金属構造体を形成する際に用いられる方法の中から適宜選択して用いることができる。
例えば、鋳型表面に無電解めっき法やスパッタ法等で金属薄膜を形成する方法(例えば、特開2009−57518号公報又は特開2009−297837号公報参照。)や、ガルバニック置換反応を利用して金属を析出させる方法等が挙げられる。
【0064】
なお、選択的除去処理後、金属ナノ構造体形成前に、露出された基板表面を洗浄処理することも好ましい。当該処理としては、前述の基板洗浄処理で挙げられたものと同様の処理を行うことができる。
【0065】
また、金属ナノ構造体を形成させた基板は、そのまま使用してもよく、その後、Pブロックからなる相等の基板上に残存しているブロックコポリマーを含む層を除去してもよい。例えば、金属ナノ構造体を形成させた基板を水素プラズマ処理することにより、当該基板からPブロックからなる相等を除去することができる。
【0066】
<金属薄膜の形成方法>
まず、鋳型に金属薄膜を形成する方法について説明する。
例えば、無電解めっき法やスパッタリング法により、金属薄膜からなる被覆膜を形成することができる。
無電解めっきは、所定の金属種のイオンを含むめっき液を鋳型表面に接触させ、当該イオンを還元する(金属を析出させる)ことにより行われ、これにより、前記所定の金属種で構成される金属薄膜が形成される。
目的とする金属種が、直接無電解めっきが困難な金属種(たとえば金などの貴金属)である場合、あらかじめ、当該金属種よりもイオン化傾向の高い金属種(たとえばニッケル)を用いて無電解めっきにより金属薄膜を形成し、その後、当該金属薄膜の金属種を目的とする金属種に置換することで、容易に目的とする金属種の金属薄膜を形成できる。
無電解めっきの金属種としては、特に限定されず、一般的に無電解めっきの金属種として用いられているものが使用でき、たとえば金、銀、銅、ニッケル、コバルト、すず、白金族(パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム)等が挙げられる。これらの中でも、一般的にめっき技術が確立していることから、金、銀、銅、ニッケルおよびコバルトからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
金属薄膜を構成する金属が、導電性を持つ金属である場合には、導電性を持つ金属ナノ構造体を形成することができる。本発明においては、導電性を持つ金属としては、例えば、金、銀および銅からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、金属薄膜を構成する金属としては、強磁性を有する構造体が得られることから、コバルトも好ましい。
金属種のイオンの還元は、公知の方法により行うことができる。具体例としては、還元反応の触媒となるもの(無電解めっきにおける触媒)を使用する方法、めっき金属よりもイオン化傾向の高い金属を置換する方法等が挙げられる。
【0067】
本発明においては、前記基材の表面に、無電解めっきにおける触媒を導入した後、前記無電解めっきを行うことが好ましい。当該触媒は、無電解めっきの核として、当該基材表面に接触した金属イオンの還元反応を促進させるため、基材表面に、高いめっき選択性で、効率よく金属薄膜を形成できる。
無電解めっきにおける触媒としては、一般的に、金属の微粒子や薄膜等が用いられる。
触媒となる金属の種類は、使用する金属種の種類によって異なっており、通常、使用する金属種と同じか、またはそれよりもイオン化しやすい金属が触媒として用いられる。
具体例としては、たとえば金属種が銀の場合は主に銀触媒が用いられ;金属種が銅の場合は主に銀触媒、銅触媒が用いられ;金属種がニッケル、コバルト、金等の場合は主にパラジウム触媒、すず触媒等が用いられる。触媒としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
基材の表面への触媒を導入は、公知の方法により行うことができる。たとえば、触媒となる金属の塩(たとえば硝酸銀、金属塩化物等)の水溶液と基材表面に接触させて当該塩を基材表面に吸着させ、当該塩を還元する。これにより、基材表面に金属微粒子を導入できる。
【0068】
その他、本発明においては、金属薄膜形成を容易にするために、薄膜形成工程前に、基材表面を親水化処理してもよい。特に、ナノ構造体形成材料として金属を用いる場合には、基材表面に親水化処理を施すことにより、鋳型表面の親水性が向上(活性化)し、当該表面に、無電解めっきにより、高密度に、高い密着性で金属薄膜を形成することができる。また、薄膜形成工程において、基材表面に無電解めっきにおける触媒を導入しやすくなる。そのため、基材の凹凸形状が精度良く複写または転写された形状の金属薄膜を形成できる。
親水化処理としては、従来公知の方法を利用でき、たとえば酸素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。これらの中でも、処理時間が短く、簡便であることから、酸素プラズマ処理が好ましい。また、酸素プラズマ処理を行うことにより、基材表面の活性化のみならず、その処理条件を調節することにより、基材の凹凸形状の高さ、ひいては形成されるナノ構造体の高さを調節できる。たとえば酸素プラズマ処理の処理時間が長いほど、基材の凹凸形状の高さが低くなり、より微細なナノ構造体が形成される。
たとえば、酸素プラズマ処理を用いる場合、酸素プラズマ処理時の圧力は、1.33〜66.5Pa(10〜50mtorr)が好ましく、13.3〜26.6Pa(100〜200mtorr)がより好ましい。また、酸素プラズマ処理時のプラズマ出力は、5〜500Wが好ましく、5〜50Wがより好ましい。また、酸素プラズマ処理時の処理時間は、1〜30秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。また、酸素プラズマ処理の温度は、−30〜300℃が好ましく、0〜100℃がより好ましく、最も好ましくは室温(5〜40℃)である。酸素プラズマ処理に用いるプラズマ装置は、特に限定されず、たとえば、サウスベイ社製(South Bay Technology,USA)のPE−2000プラズマエッキャー(Plasma etcher)などを用いることができる。
【0069】
次に、前記金属薄膜のうち、前記凹凸形状の凹部の底面部分及び凸部の頂面部分に形成された金属薄膜の一部または全部を除去し、ナノ構造体を形成する。凹凸形状の凹部の底面部分及び凸部の頂面部分に形成された金属薄膜を除去することにより、当該凸部の側壁部分を被覆する被覆膜からなり、当該金属薄膜の膜厚に相当する厚みを有するナノ構造体を形成することができる。
金属薄膜の一部を除去する方法としては、金属薄膜を構成する材料の種類を考慮して、また必要に応じて基材の種類等を考慮して、公知の方法を採用すればよい。当該公知の方法としては、たとえば、エッチング、化学処理、物理的剥離、研磨等が挙げられる。被覆膜が金属薄膜である場合には、これらの中でも、処理工程が少なく簡便であることからエッチングが好ましく、特に、アルゴン、酸素等を用いるドライエッチングが好ましい。
【0070】
前記凸部の頂面部を除去する際、どの程度除去するかを調節することにより、形成されるナノ構造体の高さを調節することができる。たとえば被覆膜の頂面部(すなわち、凸部の側壁部分の上端部)の除去量が多いほど、形成されるナノ構造体の高さが低くなり、より微細なナノ構造体が得られる。
このように、金属薄膜の上端部を除去し、金属薄膜の凸部の側壁部分を利用する場合、基材表面の凹凸形状として、それほど微細なものを用いなくとも、ナノレベルの構造体を容易に得ることができる。
【0071】
<ガルバニック置換反応を利用した金属析出方法>
選択的除去において、基板表面からブロックコポリマーを含む層の表面まで連続して形成されていたPブロックからなる相が除去されると、基板表面が露出する。そこで、基板表面が電子供与性を備える基板を用いた場合には、露出された基板表面に金属イオンを接触させ、基板表面と金属イオンとの間に起こる電気化学反応により、当該基板表面に金属を析出させることができる。基板表面上に残存しているブロックコポリマーを含む層(表面がPブロックからなる相)が鋳型となり、析出された金属から金属ナノ構造体が形成される。相分離構造が、基板表面に対して垂直方向に配向されたラメラ構造又はシリンダー構造であった場合には、Pブロックからなる構造を鋳型とすることにより、ライン状やシリンダー状の金属ナノ構造体を基板上に直接形成することができる。
【0072】
金属イオンは、基板に含まれている金属よりも標準電極電位が大きいイオンであればよい。金属イオンとしては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、すず、白金族(パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム)等のイオンが挙げられる。中でも、シリコンウェーハを基板とした場合には、金属イオンとして、金イオン、銀イオン、又は銅イオンであることが好ましい。
【0073】
具体的には、表面の一部を露出させた基板を、金属イオンを含有する水溶液に浸漬させる。金属水溶液への浸漬時間は、露出された基板表面の面積や、所望の金属ナノ構造体の高さや大きさ等を考慮して、適宜調整することができる。金属水溶液への浸漬時間が短すぎると、露出された基板表面の一部に、金属が析出されない領域ができ、形成された金属ナノ構造体の形状が、選択除去されたPブロックからなる相の形状通りとはならなくなる。浸漬時間が長すぎる場合には、鋳型を超えて金属が析出し、やはり、選択除去されたPブロックからなる相の形状通りの金属ナノ構造体を形成することができなくなる。
【実施例】
【0074】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0075】
[実施例1]
シリコン基板を硫酸/過酸化水素水混合液(体積比7:3)に1時間浸漬させた後、当該基板を水洗し、窒素ガスによって風乾した。次いで、当該基板の表面に、フェネチルトリクロロシランのトルエン溶液(1.0体積%)を滴下し、回転塗布した。その後、当該基板を250℃で60秒間加熱し、最後にトルエンに30秒間浸漬後、窒素ガスで風乾した。
この基板に、PS−PMMAブロックコポリマー1(PSの分子量:53000、PMMAの分子量:54000、分散度(Poly dispersity index:PDI):1.16)のトルエン溶液(17.5mg/ml)をスピンコート(回転数:3000rpm、60秒間)した。PS−PMMAブロックコポリマーが塗布された基板を、窒素気流下、200℃で1時間加熱させて相分離構造を形成させた。
次いで、オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に30分間UVを照射した。356nm用の照度測定計で測定したところ、UV照度は16.2mW/cmであったため、UV露光量は29.1mJ/cmであると算出された。その後、各種現像液にそれぞれ1分間浸漬させた後、さらに当該基板を窒素ガスで風乾した。これにより、当該基板上には、表面がPSからなる相のみからなるナノ構造体が残存した。なお、UV照射から窒素ガス風乾までを現像処理という。
【0076】
現像処理後の表面を走査型電子顕微鏡で観察した。観察結果を、各種現像液の主成分である有機溶媒のSP値及び25℃における蒸気圧と合わせて表1に示す。但し、メタノールは12℃における蒸気圧である。相分離構造を反映したナノ構造体が形成されたものを「A」、相分離構造は形成されたものの、ナノ構造体の一部が当該相分離構造を反映しておらず、ナノパターンが崩壊しているものを「B」、明瞭な縞状構造のナノ構造体が観察されなかったものを「C」として評価した。この結果、主成分である有機溶媒のSP値が7.5〜11.5(cal/cm1/2であり、かつ25℃における蒸気圧が2.1kPa未満である酢酸ブチル、HPシンナー(主成分:2−ヘプタノン)、PGMEA、及びPGMEAと酢酸エチルの混合溶液(PGMEA:酢酸エチル=10:1(体積比))では相分離構造を反映したナノ構造体が観察された。これに対して、主成分である有機溶媒のSP値が7.5(cal/cm1/2未満であるn−ヘキサンやn−ヘプタン、SP値が11.5(cal/cm1/2超であるGBLシンナー(主成分:γブチロラクトン)、エタノール、及びメタノールでは、明瞭なナノ構造体が観察されなかった。また、SP値は7.5〜11.5(cal/cm1/2であるが、25℃の蒸気圧が2.1kPa以上であるTHF、PGME、アセトン、酢酸、及び1−プロパノールのうち、酢酸ではナノパターンが一部崩壊しており、酢酸以外では明瞭なナノ構造体が観察されなかった。これは、蒸気圧が高すぎるため、現像液有機溶媒の局所的な揮発が生じてしまったためと推される。
【0077】
【表1】
【0078】
また、図1に、現像液として酢酸ブチルを用いたときの基板表面の電子顕微鏡像を示す。
【0079】
[製造例1]
下地剤として使用するネガ型レジスト組成物溶液を製造した。
具体的には、下記式(A)−1で表されるポリマー(Mw=40000)を100質量部、下記式(B)−1で表される光酸発生剤((4−ターフェニルチオフェニル)ジフェニルスルフォニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェート)を2.5質量部、下記式(C)−1で表される架橋剤を150質量部、及びPGMEAを34150質量部混合し、溶解してネガ型レジスト組成物溶液(1%PGMEA溶液)を調製した。なお、式(A)−1中、( )の右下の数値は各構成単位の割合(モル%)を示す。
【0080】
【化1】

【0081】
【化2】

【0082】
【化3】

【0083】
[実施例2]
ブロックコポリマーを溶解させる有機溶媒の種類が、現像処理に与える影響を調べた。
シリコン基板を硫酸/過酸化水素水混合液(体積比7:3)に1時間浸漬させた後、当該基板を水洗し、窒素ガスによって風乾した。次いで、当該基板表面に、製造例1により製造されたネガ型レジスト組成物溶液をスピンコート(回転数:2000rpm、60秒間)した後、250℃で60秒間加熱した。当該基板を、トルエンに30秒間浸漬させる処理を1回行い、窒素ガスによって風乾した。
【0084】
この基板に、実施例1で用いたPS−PMMAブロックコポリマー1のトルエン溶液、PGMEA溶液、又はHPシンナー溶液(いずれも17.5mg/ml)をスピンコート(回転数:3000rpm、60秒間)した。PS−PMMAブロックコポリマーが塗布された基板を、窒素気流下、200℃で1時間加熱させて相分離構造を形成させた。次いで、実施例1と同様にして、当該基板にUVを照射した後、PGMEAと酢酸エチルの混合溶液(PGMEA:酢酸エチル=10:1(体積比))にそれぞれ1分間浸漬させた後、さらに当該基板を窒素ガスで風乾した。
【0085】
現像処理後の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、PS−PMMAブロックコポリマー1をトルエン又はPGMEAに溶解させた基板では相分離構造を反映したナノ構造体が形成されていた。これに対して、PS−PMMAブロックコポリマー1をHPシンナー溶液に溶解させた基板では、現像処理前は相分離構造が観察されたものの、現像処理後は明瞭なナノ構造体が観察されなかった。この結果からも明らかな通り、塗布するブロックコポリマーを溶解させた有機溶媒の種類により、現像後の基板表面形態が異なってくる。したがって、より明瞭な現像パターンを得るためには、ブロックコポリマー溶液の溶媒を適切に設定する必要がある。
【0086】
[実施例3]
UV露光量が、現像処理に与える影響を調べた。
シリコン基板を硫酸/過酸化水素水混合液(体積比7:3)に1時間浸漬させた後、当該基板を水洗し、窒素ガスによって風乾した。次いで、当該基板表面に、製造例1により製造されたネガ型レジスト組成物溶液を実施例2と同様にして塗布し、風乾した。
【0087】
この基板に、実施例1で用いたPS−PMMAブロックコポリマー1のトルエン溶液(17.5mg/ml)をスピンコート(回転数:3000rpm、60秒間)した。PS−PMMAブロックコポリマーが塗布された基板を、窒素気流下、200℃で1時間加熱させて相分離構造を形成させた。
次いで、オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に0、5、10、15、又は30分間UVを照射した。356nm用の照度測定計で測定したところ、UV照度は18.4mW/cmであったため、UV露光量はそれぞれ、365nmでの露光量として0、5.5、11.0、16.5、及び33.1mJ/cmであると算出された。その後、PGMEAにそれぞれ1分間浸漬させた後、さらに当該基板を窒素ガスで風乾した。
【0088】
現像処理後の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、UV未照射(照射時間0分間)の基板では、ブロックコポリマーからなる層が基板より溶解除去されてしまい、ほとんど基板に膜が残っていなかった。UV照射時間が長くなるにつれて、明瞭なナノ構造体のパターンが観察されたが、30分間UVを照射した基板では、15分間照射したものよりも逆にナノパターンが不明瞭になっていた。これらの結果から、UV露光量が適切な範囲内になるように基板にUVを照射することが、明瞭な現像パターンを得る上で重要であることが示唆された。
【0089】
[実施例4]
ブロックコポリマーを含む層を形成する前にガイドパターンが形成された基板を用いるグラフォエピタキシープロセスにて、ナノ構造体を表面に備える基板を製造した。
まず、シリコン基板に、スピンコートによって有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を膜厚82nmになるように製膜し、205℃で60秒加熱した。次に、スピンコートによってSM−008T(商品名、東京応化工業社製)を膜厚1nmになるように製膜し、250℃で600秒間加熱した。
次いで、当該基板表面に、SG−N002 PM(商品名、東京応化工業社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、85℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのガイドパターン形成用レジスト膜を形成した。
当該ガイドパターン形成用レジスト膜に対して、露光装置S−302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60、σ=2/3)により、マスクパターンを介して選択的に露光した(露光量=17.5mJ/cm)。露光後、酢酸ブチルで16秒間の条件で現像し、その後100℃、60秒間、次いで200℃で300秒間の条件でポストベーク処理を行った後、その結果、ガイドパターンとして、ライン幅160nm、スペース間隔160nmのL/Sパターンが形成された。
【0090】
次いで、当該基板表面に、実施例1で用いたPS−PMMAブロックコポリマー1のPGMEA溶液(17.5mg/ml)をスピンコートし、110℃、60秒間プレベーク(PAB)処理を行い、膜厚60nmのPS−PMMAブロックコポリマー層を形成した。PS−PMMAブロックコポリマー層が形成された基板を、窒素気流下、240℃で10分間加熱させて相分離構造を形成させた。
オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に対して、UV露光量が36mJ/cmとなるように、窒素気流下、UVを照射した。その後、当該基板をPGMEAに1分間浸漬させた後、窒素ガスで風乾した。
【0091】
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察した。図2に、現像処理後の基板表面の電子顕微鏡像を示す。この結果、当該基板上では、ガイドパターンからなる鋳型ラインのライン間に、当該ガイドパターンのラインに平行な、幅約50nm、高さ約100nmの明瞭な平行ラインパターンが形成されていた。
【0092】
[実施例5]
シリコン基板を硫酸/過酸化水素水混合液(体積比7:3)に1時間浸漬させた後、当該基板を水洗し、窒素ガスによって風乾した。次いで、当該基板の表面に、フェネチルトリクロロシランのトルエン溶液(1.0体積%)を滴下し、回転塗布した。その後、当該基板を250℃で60秒間加熱し、最後にトルエンに30秒間浸漬後、窒素ガスで風乾した。
この基板に、PS−PMMAブロックコポリマー1(PSの分子量:53000、PMMAの分子量:54000、分散度(Poly dispersity index:PDI):1.16)のトルエン溶液(17.5mg/ml)をスピンコート(回転数:3000rpm、60秒間)した。PS−PMMAブロックコポリマーが塗布された基板を、窒素気流下、200℃で1時間加熱させて相分離構造を形成させた。
次いで、オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に30分間UVを照射した。356nm用の照度測定計で測定したところ、UV照度は16.2mW/cmであったため、UV露光量は29.1mJ/cmであると算出された。その後、トルエン(特級)又はベンゼンにそれぞれ1分間浸漬させた後、さらに当該基板を窒素ガスで風乾した。これにより、当該基板上には、表面がPSからなる相のみからなるナノ構造体が残存した。なお、UV照射から窒素ガス風乾までを現像処理という。
現像処理後の表面を走査型電子顕微鏡で観察した。この結果、現像液としてトルエン及びベンゼンのいずれを用いた場合でも、相分離構造を反映したナノ構造体が観察された。
【0093】
[実施例6]
シリコン基板を硫酸/過酸化水素水混合液(体積比7:3)に1時間浸漬させた後、当該基板を水洗し、窒素ガスによって風乾した。次いで、当該基板の表面に、フェネチルトリクロロシランのトルエン溶液(1.0体積%)を滴下し、回転塗布した。その後、当該基板を250℃で60秒間加熱し、最後にトルエンに30秒間浸漬後、窒素ガスで風乾した。
次いで、当該基板表面に、PS−PMMAブロックコポリマー2(PSの分子量:18000、PMMAの分子量:18000、分散度:1.06)のトルエン溶液(17.5mg/ml)をスピンコート(回転数:3000rpm、60秒間)し、110℃、90秒間プレベーク(PAB)処理を行い、膜厚50〜60nmのPS−PMMAブロックコポリマー層を形成した。PS−PMMAブロックコポリマー層が形成された基板を、窒素気流下、200℃で1時間加熱させて相分離構造を形成させた。
オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に対して、UV露光量が15mJ/cmとなるように、窒素気流下、UVを照射した。その後、当該基板をトルエン(特級)に1分間浸漬させた後、窒素ガスで風乾した。
【0094】
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、相分離構造を反映した、幅約20nm、高さ約50nmのナノ構造体が形成されていた。よって、分子量が比較的低いブロックコポリマーを用いた場合でも、明瞭なパターン現像が可能であることが確認された。
【0095】
[実施例7]
ブロックコポリマーを含む層を形成する前にガイドパターンが形成された基板を用いるグラフォエピタキシープロセスにて、ナノ構造体を表面に備える基板を製造した。
まず、シリコン基板を硫酸/過酸化水素水混合液(体積比7:3)に1時間浸漬させた後、当該基板を水洗し、窒素ガスによって風乾した。次いで、当該基板の表面に、フェネチルトリクロロシランのトルエン溶液(1.0体積%)を滴下し、回転塗布した。その後、当該基板を250℃で60秒間加熱し、最後にトルエンに30秒間浸漬後、窒素ガスで風乾した。
次いで、当該基板表面に、TSMR−iN027(商品名、東京応化工業社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、90℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚350nmのガイドパターン形成用レジスト膜を形成した。
当該ガイドパターン形成用レジスト膜に対して、i線露光装置NSR−2205i14E(ニコン社製;NA(開口数)=0.57、σ=0.56)により、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に、高圧水銀灯(365nm)を170m秒間照射した(露光量=85mJ/cm)。そして、120℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%TMAH水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業社製)で60秒間の条件で現像し、その後100℃、60秒間ポストベーク処理後、ghi線ブロードバンド露光機HMW−532D(ORC社製)によりマスクを介さずウエハー全面に紫外線を500mJ/cm照射し、次いで130℃、5分間、その後200℃、5分間の条件でポストベーク処理を行った。その結果、ガイドパターンとして、ライン幅500nm、スペース間隔250nmのL/Sパターンが形成された。
【0096】
次いで、当該基板表面に、実施例5で用いたPS−PMMAブロックコポリマー1のトルエン溶液をスピンコート(回転数:3000rpm、60秒間)し、110℃、90秒間プレベーク(PAB)処理を行い、膜厚50〜60nmのPS−PMMAブロックコポリマー層を形成した。PS−PMMAブロックコポリマー層が形成された基板を、窒素気流下、200℃で1時間加熱させて相分離構造を形成させた。
オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に対して、UV露光量が36mJ/cmとなるように、窒素気流下、UVを照射した。その後、当該基板をトルエン(特級)に3分間浸漬させた後、窒素ガスで風乾した。
【0097】
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察した。図3に、現像処理後の基板表面の電子顕微鏡像を示す。この結果、当該基板上では、ガイドパターンからなる鋳型ラインのライン間に、当該ガイドパターンのラインに平行な、幅約50nm、高さ約100nmの明瞭な平行ラインパターンが形成されていた。
【0098】
[実施例8]
ガイドパターン形成用レジスト膜に対するポストベーク処理を130℃、5分間の条件で行い、ガイドパターンとして、ライン幅350nm、スペース間隔350nmのL/Sパターンを形成し、PS−PMMAブロックコポリマー1のトルエン溶液に代えてPS−PMMAブロックコポリマー3(PSの分子量:37000、PMMAの分子量:37000、分散度:1.08)のトルエン溶液(17.5mg/ml)を用いた以外は、実施例7と同様にして、シリコン基板上にガイドパターンを形成後、当該基板上にPS−PMMAブロックコポリマー層を形成した後、相分離構造を形成した。
オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に対して、UV露光量が36mJ/cmとなるように、窒素気流下、UVを照射した。その後、当該基板をトルエン(特級)に5分間浸漬させた後、窒素ガスで風乾した。
【0099】
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、当該基板上には、若干うねりがあるものの、実施例7と同様に、ガイドパターンからなる鋳型ラインのライン間に、平行ラインパターンが形成されていた。
【0100】
[実施例9]
ガイドパターン形成用レジスト膜に対するポストベーク処理を200℃、5分間の条件で行い、ガイドパターンとして、ライン幅350nm、スペース間隔350nmのL/Sパターンを形成し、PS−PMMAブロックコポリマー1のトルエン溶液に代えて、実施例6で用いたPS−PMMAブロックコポリマー2のトルエン溶液を用いた以外は、実施例7と同様にして、シリコン基板上にガイドパターンを形成後、当該基板上にPS−PMMAブロックコポリマー層を形成した後、相分離構造を形成した。
オゾンレス低圧水銀ランプ(254nm)(セン特殊光源社製)を用いて、当該基板に対して、UV露光量が30mJ/cmとなるように、窒素気流下、UVを照射した。その後、当該基板をトルエン(特級)に10分間浸漬させた後、窒素ガスで風乾した。
【0101】
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、当該基板上には、若干うねりがあるものの、実施例7と同様に、ガイドパターンからなる鋳型ラインのライン間に、平行ラインパターンが形成されていた。
【0102】
[実施例10]
ガイドパターンとして、L/Sパターンに代えて、ホール径310nm、ピッチ間隔980nmのホールレジストパターンを形成した以外は、実施例9と同様にして、シリコン基板上にガイドパターンを形成後、当該基板上にPS−PMMAブロックコポリマー層を形成し、相分離構造を形成した後、現像処理を行った。
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、当該基板上には、ガイドパターンからなる鋳型ホール内に、相分離構造を反映した当該鋳型ホールと同心円状のシリンダー状のナノ構造体が形成されていた。
【0103】
[実施例11]
ブロックコポリマーを含む層を形成する前にガイドパターンが形成された基板を用いるグラフォエピタキシープロセスにて、ナノ構造体を表面に備える基板を製造した。
まず、シリコン基板に、スピンコートによって有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を膜厚82nmになるように製膜し、205℃で60秒加熱した。次に、スピンコートによってSM−008T(商品名、東京応化社製)を膜厚1nmになるように製膜し、250℃で600秒間加熱した。
次いで、当該基板表面に、SG−N002 PM(商品名、東京応化工業社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、85℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのガイドパターン形成用レジスト膜を形成した。
当該ガイドパターン形成用レジスト膜に対して、露光装置S−308F(ニコン社製;NA(開口数)=0.92、Crosspole(0.76−0.95)with POLANO)により、マスクパターンを介して選択的に露光した(露光量=11mJ/cm)。露光後、酢酸ブチルで16秒間の条件で現像し、その後100℃、60秒間、次いで200℃で300秒間の条件でポストベーク処理を行った後、その結果、ガイドパターンとして、ホール径85nm、ピッチ間隔158nmのホールレジストパターンが形成された。
【0104】
次いで、当該基板表面に、PS−PMMAブロックコポリマーのPGMEA溶液(8.0mg/ml)をスピンコートし、110℃、60秒間プレベーク(PAB)処理を行い、膜厚20nmのPS−PMMAブロックコポリマー層を形成した。PS−PMMAブロックコポリマー層が形成された基板を、空気雰囲気下、240℃で60秒間加熱させて相分離構造を形成させた。
ArF露光装置S−308F(193nm)(ニコン社製)を用いて、当該基板に対して、ArF露光量が400〜4000mJ/cmとなるように、空気雰囲気下、ArFエキシマレーザーを照射した。その後、当該基板をトルエンに1分間浸漬させた後、窒素ガスで風乾した。
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、当該基板上には、ガイドパターンからなる鋳型ホール内に、相分離構造を反映した当該鋳型ホールと同心円状のシリンダー状のナノ構造体が形成されていた。
【0105】
[実施例12]
現像液をトルエンに代えて、酢酸ブチルを用いた以外は実施例11と同様にして、シリコン基板上にガイドパターンを形成後、当該基盤上にブロックコポリマー層を形成し、相分離構造を形成した後、現像処理を行った。
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、当該基板上には、ガイドパターンからなる鋳型ホール内に、相分離構造を反映した当該鋳型ホールと同心円状のシリンダー状のナノ構造体が形成されていた。
【0106】
[実施例13]
現像液をトルエンに代えて、2−ヘプタノンを用いた以外は実施例11と同様にして、シリコン基板上にガイドパターンを形成後、当該基盤上にブロックコポリマー層を形成し、相分離構造を形成した後、現像処理を行った。
現像処理後の基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、当該基板上には、ガイドパターンからなる鋳型ホール内に、相分離構造を反映した当該鋳型ホールと同心円状のシリンダー状のナノ構造体が形成されていた。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明によれば、基板上に、ナノ相分離構造がより正確に反映されたナノ構造体を備える基板を製造し得る方法を提供できるから、産業上極めて有用である。
図1
図2
図3