(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
風力を利用した種子精選装置としては、吹き上げ式、吸引式、密閉式が知られている。吹き上げ式は、例えば、下部に吹き上げ送風機があり、筒内はプラス圧になっており、風は下方から上方へ流れ、その筒の途中から、できるだけ垂直方向の運動エネルギーがゼロになるように選別物を投入し、重量物は中網上をすべり排出され、軽量物は拡散室内で風と分離されて落下捕集される構成となっている。吸引式は、例えば、サイクロン上部に吸い上げ排風機が設けられ、下部はロッカーバルブでエアーロックされており、サイクロンとつながっている筒はマイナス圧になり、風は下方から上方へ流れ、選別物の投入方法は吹き上げ式の場合と同様であり、重量物は筒下部から落下させて排出し(中網等はない)、軽量物はサイクロンで風と分離され、ロッカーバルブを介して排出される構成となっており、吹き上げ式の場合と比べて高い動力が必要である。また、密閉式は、送風機の吸引と排気がつながっており、その途中に筒があり、そこに投入された選別物のうち重量物はそのまま落下し、ロッカーバルブを介して排出され、軽量物は、拡散室で風と分離され、ロッカーバルブを介して排出される構成となっている。
【0003】
従来の種子精選装置でも、精選する種子の品種系統が1種類であれば、それ程問題は生じないが、研究機関や種苗会社等で様々な品種系統を一連の作業で順次処理する場合、直前に処理した品種系統の種子又は混在している籾殻、シイナ種子等が装置配管内部に滞留し、それが逆流して、次に処理する品種系統の種子に混入してしまい、コンタミネーションが生じるという問題がある。
【0004】
例えば、比重の小さい除去対象物を排気室へ吸引し、比重の大きい穀物を風選部から落下せしめて穀物の選別を行う縦型穀類選別機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、従来から使用・実施されている
図6に示す吸引式種子自動精選機の場合、垂直吸引管61と連結管62とサイクロン63とを有してなり、種子の吸引を始め、吸引力を調整することにより、吸引されて垂直吸引管61内を浮遊していた所定の重さを有する種子は降下し、容器64内に溜まる。垂直吸引管61から吸引された種子の一部や除去対象物は、踊り場61aを経て、連結管62内を運ばれ、サイクロン63内を降下し、除去対象物は溜まり容器65内へ溜まる。この場合、降下せずに上部へ吸引された比重の軽い種子や除去対象物の一部が、サイクロン63へ運ばれず、垂直吸引管61とサイクロン63とを接続する連結管62(図中のA部分)内に滞留し、この滞留したものが逆流して垂直吸引管61内を下降し、精選された種子に混入してしまうという問題が生じている。滞留物が生じれば、装置内をクリーニングしなければならず、作業の手間が増えるという問題もある。さらに、大きな除去対象物が配管内に詰まった場合、コンタミネーションの原因になるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、多数の品種系統の種子(100品種系統、200品種系統又はそれ以上)を連続して精選処理する場合、1つの品種系統の精選処理を終了した後に、精選処理をした種子やシイナ種子やゴミ等が配管内に残存し、逆流することにより、品種系統間のコンタミネーションを起こしていた。そのため、種子の収集のためには、品種系統間のコンタミネーションを生じない種子精選装置の開発が求められていた。
【0008】
また、従来の吸引式種子精選装置は、大型で重量があるので、持ち運びが非常に困難であるため、種子収集の際に携帯可能な種子精選装置の開発が求められていた。
【0009】
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、種子中に混在する籾殻、シイナ種子、未熟種子、マメがら、ゴミ等の除去対象物を選別する際に、連結管等の配管内に種子や除去対象物が全く滞留することなく、高い精度で所望の種子だけを得ることができる吸引式種子精選装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の吸引式種子精選装置は、垂直吸引管と、この垂直吸引管の上部に
、前記垂直吸引管に対して下方に向かって
75度以下である鋭角の角度をもって一端が接続されている
傾斜管部及びこの傾斜管部の他端に一端が接続されている垂直管部を有する連結管と、
前記垂直管部の他端に接続されている吸引装置とを有
し、前記垂直吸引管と傾斜管部との接続部分の断面が放物線形状の突起状部を有してなることを特徴とする。
【0012】
前記角度が75度を超えると、連結管内に精選しようとする種子の一部及び除去対象物が滞留する傾向があり、滞留したものが逆流し、精選した種子の中に混入してしまうという問題が生じる。特に、水平(90度)であると、この連結管内にシイナ種子等の一部種子や除去対象物が滞留し、逆流することが甚だしい。このような滞留物が生じると、多数の品種系統の種子を連続して精選処理する場合、異なる品種系統の種子が混ざってしまうという問題が生じる。
【0013】
本発明の吸引式種子精選装置はまた、垂直吸引管と、この垂直吸引管の上部に
、垂直吸引管に対して接続角度0度で一端が接続されている垂直
連結部及びこの垂直
連結部の他端に
、下方に向かって
、前記垂直連結部に対して75度以下である鋭角の角度をもって一端が接続されている傾斜管部を有
する連結管とで構成され、前記垂直吸引管の上部と前記垂直
連結部の上部と
の接続部分には、両者を連通する開口部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、垂直吸引管
の上部に、垂直吸引管に対して
下方に向かって75度以下である鋭角の角度
をもって一端が接続されている傾斜管部を設けているので、多数の品種系統の種子を連続して精選処理する場合、精選処理後、全ての配管(吸引管、連結管を含む)内に種子や除去対象物が全く滞留せず、所望の種子だけを精度高く精選することができる。
【0015】
また、本発明の装置は、例えば通常の掃除機の吸引力でも十分な精選効果が得られるため、軽量かつ安価であり、各部品に分解して収納した形での携帯が可能であるため、野外等での種子収集に適している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の吸引式種子精選装置の実施の形態によれば、この装置は、垂直吸引管と、この垂直吸引管の上部に
、垂直吸引管に対して下方に向かって75度以下
である鋭角の角度をもって一端が接続されている
傾斜管部及びこの傾斜管部の他端に一端が接続されている垂直管部を有する連結管と、この
垂直管部の他端に接続されている吸引装置とを備え
、垂直吸引管と傾斜管部との接続部分の断面が放物線形状の突起状部を有してなる。
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の吸引式種子精選装置について説明する。
図1、2、4において、同じ構成要素は、同じ参照番号を付してある。
【0019】
本発明に係る吸引式種子精選装置の一実施の形態を示す
図1(a)の模式的概略側面図によれば、吸引式種子精選装置10は、精選したい種子を下部より吸引する垂直吸引管11と、垂直吸引管11の上部に一端が接続されている傾斜管部12及びこの傾斜管部の他端に一端が接続されている垂直管部13からなる連結管と、垂直管部13に接続された吸引装置(図示せず)と、吸引風量を調整する風量調整装置14とを有している。傾斜管部12は、垂直吸引管11の上部に、斜め下方に向かうように接続されている。これらの管は、その断面が円形であっても多角形であっても良い。
【0020】
上記垂直吸引管11の下方の端部11aは、種子収納容器15内に収納された精選される種子を吸引する際に種子収納容器15が垂直吸引管11に密着閉塞しないような所定の形状、例えば波形形状となっていることが好ましい。
【0021】
また、傾斜管部12は、垂直吸引管11の上部に
、垂直吸引管に対して下方に向かって鋭角の角度を持って接続されており、この角度は、
図1(a)では45度の場合が例示されている。一般には80度未満、好ましくは75度以下、より好ましくは45度以下であり、下限は0度
より大きい角度であるように構成される。この範囲内の角度であれば、吸引された種子の一部や混在する籾殻、シイナ種子、未熟種子、マメがら、ゴミ等の除去対象物が傾斜管部12の内部に滞留することは問題になることはない。
【0022】
上記角度が75度を超え90度に近づくにつれて、滞留率(精選したい種子中の除去対象物等が傾斜管部内に滞留する割合(%))は増加し、この滞留物の逆流が生じる恐れがある。80度の場合でも、100回(100品種系統の種子)を超える連続精選処理では、軽い種子や扁平な種子を精選処理する場合には若干の滞留率はあり得るが、75度以下であれば、1000回(1000品種系統の種子)の連続精選処理を行ってもシイナ種子等や混在する籾殻等の除去対象物が滞留することは全くない。
【0023】
次に、垂直吸引管11と傾斜管部12との接続部について、
図2(a)、(b)及び(c)を参照して説明する。
図2(a)は、垂直吸引管11と傾斜管部12との接続部分周辺を示す模式的断面図であり、
図2(b)は、垂直吸引管11と傾斜管部12との接続状態を示す模式的斜視図であり、そして
図2(c)は、
図2(b)に示す模式的斜視図を明確にするための写真図面である。この接続部分の断面は、放物線形状の突起状部20(但し、傾斜管部12の接続角度が
75度以下の鋭角の場
合)を有している。これにより、かりに傾斜管部12に滞留物が生じたとしても、垂直吸引管11を介して種子収納容器15内へ逆流しないように構成されている。
以下説明する図3に示すように、垂直吸引管
31と
連結管32を構成する垂直連結部32aとの接続の角度が0度の場合は、垂直吸引管
31と
垂直連結部32aとの接続部分の上部が所定の開口部(通風口)を有するように構成され、その開口部の断面形状は、放物線形状ではなく円形等の任意の開口部を形成するように構成できる。
【0024】
傾斜管部12と垂直管部13との間は、所定の角度を持ったエルボ16でつながれている。
【0025】
垂直管部13のエルボ側と逆の端部は、例えば、バルブソケット17を介して袋ナット等で筐体18の上蓋18aに装着され、垂直管部13の先端部は筐体18内部で吸引装置の吸引口に接続される。吸引装置の本体は筐体18の外部に設置されることが好ましい。この吸引装置に関しては、種子を吸引できる吸引力を有するものであれば、特に制限はなく使用できる。例えば、通常の掃除機を利用できる。なお、
図1において19は吸引装置(例えば、掃除機)への継手接続部である。
【0026】
この吸引装置の吸引仕事率は、可変装置を備えた吸引装置であれば、その可変装置により、そうでなければ吸引力切り替えスイッチを備えた上記風量調整装置14等により、被精選種子の重量、形状、大きさ、除去対象物の混合割合等に基づいて、適宜、変動できるようにされている。そのため、精選処理したい各種種子に応じて、適宜、風量を調整しながら精選処理を実施できる。風量調整装置14は、風量を調整できるものであれば特に制限はない。例えば、
図1(b)及び(c)に示すように、円状開口部14aとこの開口部の面積を調整するための可変部材14bとを有してなり、前記可変部材は前記開口部に嵌合しており、この可変部材の上部はつまみ部14cを備えている。前記つまみ部を保持しながら回転させ、前記開口部の面積を増減することにより、吸引風量を調整することができる。
【0027】
上記した垂直吸引管11、連結管(傾斜管部12及び垂直管部13)を透明な合成樹脂素材、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、ガラス等で作製することが好ましい。種子精選装置の運転中に、吸引管、連結管内部の種子の精選状態、浮遊状態を肉眼で観察しながら、適宜、運転調整することができると共に、不都合が生じた場合に直ちに運転を停止することができるようにするためである。
【0028】
垂直吸引管11、連結管(傾斜管部12、垂直管部13)は、内部壁面のクリーニング及び収納の点を考慮して、複数に分割できるようになっていてもよい。例えば、
図1(a)に示すように、傾斜管部12は2つの部品(12a及び12b)に分割されていることが好ましい。そして垂直管部13は、図示していないが分割されていても良いし、垂直でなくても良い。但し、垂直吸引管11と部品12aとは一体化されている。分割する数は適宜調整すればよい。分割部品の組み立て、組み立て品の分解は、通常の配管の組み立て、分解の場合と同様であれば良い。例えば、
図2に示すように、各部品の管端部の一方又は両方を広口にし、その広口部分に、対応する寸法を有する接続する部品の管端部を組み合わせ、嵌合せしめる。部品同士を接続する際には、例えば、傾斜管部12の場合、
図1(a)に示すように、部品12aと部品12bとを脱着ピン(例えば、アイボルト等)12cを用いて取り付ければよい。
【0029】
本発明に係る吸引式種子精選装置の他の実施の形態を示す
図3(a)〜(c)の模式的概略断面図では、吸引式種子精選装置を構成する
図1に示す垂直吸引管と連結管(
傾斜管部、垂直管部)との配置以外は
図1に示す装置と同じであるため、図示及び詳細な説明を省略する。
【0030】
図3(a)に簡略化して示すように、垂直吸引管31と、その上部に接続する垂直連結部32a(接続角度0度)及びこの連結部32aの他端に接続する傾斜管部32bからなる連結管32とで構成されている。なお、垂直吸引管31に対する垂直連結部32aの接続角度0度とは、
図1との関係で既に説明した垂直吸引管11と傾斜管部12との接続の角度が
鋭角の場合と異なり、図3(a)〜(c)に示すような構成であ
る。図3(a)において、この垂直吸引管31と垂直連結部32aとは、両者の接続部分に隔壁31aが形成され、上部が開口するように配置・構成され
、この隔壁の上端部は右下方に傾斜している。すなわち、垂直吸引管31の上部と垂直連結部32aの上部との接続部分には、両者を連通する所定の開口部(通風口)が設けられ、その開口部の断面形状は、放物線形状ではなく円形等の任意の開口部を形成するように構成できる。また、傾斜管部32bは、垂直連結部32aの他端に、下方に向かって
垂直連結部32aに対して鋭角に取り付けられている。なお、
図3(b)及び(c)に示すように、隔壁31aの上端部は、右下方に傾斜していることが好ましい。
図3(b)及び(c)の構成については、
図3(a)の説明から自明であるので、その説明を省略する。
【0031】
上記傾斜管部32bの傾斜角度は、
鋭角であり、図1に示す傾斜管部12の場合と同様に、
図3では45度の場合が例示されている。一般には80度未満、好ましくは75度以下、より好ましくは45度以下であり、下限は0度
より大きいように構成される。75度以下の範囲内の角度であれば、吸引された種子の一部や混在する籾殻、シイナ種子、未熟種子、マメがら、ゴミ等の除去対象物が連結管32を構成する垂直連結部32a及び傾斜管部32bの内部に滞留することは全くない。
【0032】
角度が75度を超えて90度に近づくにつれて、滞留率(精選したい種子中の除去対象物等が連結管32内に滞留する割合(%))は増加し、この滞留物の逆流が生じる恐れがある。しかし、75度以下であれば、多数(1000回程度)の連続精選処理を行ってもシイナ種子等や混在する除去対象物が滞留することは全くない。
【0033】
図1に示す吸引式種子精選装置を各部品に分解して、吸引装置として用いる掃除機と共に、全ての部品を筐体18内に収納することができる。かくして、保管場所の省スペース化が図れる。収納状態に制限はなく、全ての部品が筐体18内へ収まるように適宜行えば良い。その収納状態の一例を
図4(a)及び(b)に示す。
図4(a)は、収納状態を示す模式的側面図であり、
図4(b)は、収納状態を示す模式的上面図である。
図4(a)及び(b)においては、
図1の場合と同じ部品等を同じ参照番号で示してあるので、その説明は省略する。
【0034】
本発明の吸引式種子精選装置により精選できる種子の作物種は、従来から精選処理されている種子であれば特に制限はない。例えば、イネ、ムギ、アワ、大豆、アズキ、タカキビ、ソバ、キビ等の作物種を挙げることができる。
【実施例1】
【0035】
図1に示す吸引式種子精選装置において、垂直吸引管11の上部に接続される傾斜管部12の角度を、垂直吸引管に対して90度(水平)、また、下方に85度、80度、75度、45度、及び0度
(以下説明するように、0度とは、図3(a)−(c)に示す吸引式種子精選装置の場合)と変動させた精選装置を用いて、種子の精選を実施した。精選物として、穂軸片、葉片、籾殻を混入せしめたイネの種子(籾)を用い、1カルトン(木鉢)につき、10回の精選をし、それを10カルトン行い、合計100回を1セットとした。この1セットを3回繰り返し、合計300回の精選を行った。接続角度が80度と75度の精選装置を用いた場合は、合計300回の精選とは別に、上記1セットを10回繰り返し、合計1000回の精選を行った。ここで、角度が0度とは、
上記したように、例えば
図3(a)及び(b)に示すように、垂直吸引管31に接して垂直連結部32aが配置されている状態
であり、垂直吸引管31の上部に、この垂直吸引管に対して接続角度0度で垂直連結部32aが接続されていることを意味する。
【0036】
上記精選の結果については、傾斜管部12内に残ったイネの種子数(シイナ種子、未熟種子を含む)を数えることにより評価し、以下の表1及び2に纏めて示す。表1におけるa、b、及びcは、それぞれ、1回目、2回目、及び3回目のセットをそれぞれ実施後の残存種子の数を示すものであり、Xは、300回の精選処理実施後の残存種子の合計数(全種子中の割合(%))を示す。また、表2におけるa〜jは、それぞれ、1回目〜10回目のセットをそれぞれ実施後の残存種子の数を示すものであり、Yは、1000回の精選処理実施後の残存種子の合計数(全種子中の割合(%))である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表1及び2から明らかなように、垂直吸引管と傾斜管部との接続部分の角度が90度(水平)である場合は、1回目、2回目及び3回目のそれぞれのセットを実施した後に、傾斜管部内に残存する種子の数が多く、300回の精選処理を実施した後の種子残存率は、9%以上であった。85度の場合も、90度の場合と比べると残存種子の数は少ないが、1回目、2回目及び3回目のそれぞれのセットを実施した後に、傾斜管部内に残存する種子が観察され、300回の精選処理を実施した後の種子残存率は4%以上であった。80度の場合には、2回目及び3回目のセットを実施した後に、それぞれ、傾斜管部内に残存する種子が1つ存在し、300回の精選処理を実施した後の種子残存率は0.67%(残存数:2つ)であり、また、10回のセット(1000回の精選処理)を実施した後の種子残存率は0.70%(7つ)であった。垂直吸引管と傾斜管部との接続部分の角度が75度、45
度である場合は、
また、垂直吸引管と垂直連結部との接続部分の角度が0度である場合は、1〜3回目のセットを実施した後の傾斜管部内に残存する種子の合計数は0個であった。角度が75度である場合は、1〜10回目のセットを実施した後でも、連結管内に残存する種子の合計数は0個であった。なお、75度以下の場合、精選処理前にイネの種子内に混入させた穂軸片、葉片、籾殻は全て取り除かれていた。
【0040】
上記結果を勘案すれば、垂直吸引管と連結管の傾斜管部との接続部分の角度が80度未満であれば、100回以下の精選処理を連続して行う場合には、十分実用に耐えること、また、75度以下であれば、1000回の精選処理を連続して行う場合でも、十分に実用に耐えることが確認できた。
【0041】
なお、
図5(a)及び(b)に示すように、傾斜管部を設けずに、吸引管の上向きから下向きに変わる部分を逆U字型や山形にした吸引管を試作し、上記と同様な種子の精選処理を実施したところ、いずれの場合も、少ない回数の精選処理で逆U字型部分や山形部分に種子の滞留が生じ、種子収納容器内へ逆流し、コンタミネーションを起こした。