【実施例】
【0047】
以下に実施例、比較例及び参考例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0048】
実施例1〜10は、本発明の油中水型乳化物並びにこれを用いた本発明の焼き菓子生地及び焼き菓子の実施例を示し、比較例1は、加工澱粉の配合量が本発明の範囲外である油中水型乳化物を用いた比較例を示し、比較例2は、加工澱粉の代わりに通常の澱粉を用いた油中水型乳化物を用いた比較例を示し、比較例3は、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤のみを用いた油中水型乳化物を用いた比較例を示す。また、参考例1は、ショートニングタイプの可塑性油脂組成物を用いた参考例であり、油分の量を減じていない従来品に対応するものである。
【0049】
〔実施例1〕
パーム油とナタネ油を9:1の質量比で混合した配合油60質量部にコハク酸ステアリン酸モノグリセリド1質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステル0.3質量部を添加、65℃に加温溶解した後、馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉20質量部を分散させた油相を得た。この油相へ、水18.7質量部のみからなる水相を加え、撹拌乳化後、急冷可塑化し、本発明の油中水型乳化物Aを得た。
【0050】
<クッキーの製造>
得られた油中水型乳化物Aを用いて、次の配合及び製法によりワイヤーカットクッキーを製造した。
【0051】
(配合)
薄力粉100質量部、砂糖40質量部、全卵(正味)15質量部、食塩1質量部、重炭安1質量部、重曹1質量部、水16.7質量部、油中水型乳化物46質量部
(製法)
卓上ミキサー(ケンウッドミキサー)に油中水型乳化物A及び砂糖を投入し、軽く混合した後、最高速で7分クリーミングした。次いで、あらかじめ全卵、水、食塩及び重炭安を混合した水相を少しずつ加えて攪拌・混合した(比重:0.9)。さらに薄力粉及び重曹を加えた後、低速で1分混合して本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地Aを得た。得られたワイヤーカットクッキー生地Aを、厚さ4ミリ、直径4センチの丸型にワイヤーカット成型し、オーブン(フジサワ社製)で180℃にて10分焼成した後、25℃で40分冷却し、包装した。
【0052】
得られた本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーAは、10人のパネラーにより下記[評価基準]に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして〔表1〕に示した。
41〜50点:◎+、31〜40点:◎、21〜30点:○、11〜20点:△、0〜10点:×
[評価基準]
・ 食感
5点 …非常にサクサクした食感で、歯切れも良好である。
3点 …サクサクした食感で、歯切れも良好である。
1点…やや硬い食感で、歯切れが悪い。
0点…硬い食感で、歯切れが悪い。
・風味
5点…非常に風味が良い。
3点…風味が良い。
1点…やや風味が乏しく、わずかな雑味が感じられる。
0点…風味が乏しく、雑味が感じられる。
・口溶け
5点…非常に口溶けが良い。
3点…口溶けが良い。
1点…口溶けが悪い。
0点…非常に口溶けが悪い。
【0053】
〔実施例2〕
馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉を15質量部、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドを2質量部、水を22.7質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Bを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Bを使用し、水を14.9質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地B及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーBを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0054】
〔実施例3〕
コハク酸ステアリン酸モノグリセリドを0.5質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.6質量部、水を18.9質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Cを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Cを使用し、水を16.6質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地C及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーCを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0055】
〔実施例4〕
コハク酸ステアリン酸モノグリセリドを2.8質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.6質量部、水を16.6質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Dを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Dを使用し、水を17.7質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地D及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーDを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0056】
〔実施例5〕
コハク酸ステアリン酸モノグリセリドを0.2質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.6質量部、水を19.2質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Eを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Eを使用し、水を16.5質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地E及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーEを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0057】
〔実施例6〕
コハク酸ステアリン酸モノグリセリドを0.5質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0質量部、水を19.5質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Fを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Fを使用し、水を16.4質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地F及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーFを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0058】
〔実施例7〕
馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉20質量部を馬鈴薯由来の酸化澱粉20質量部に変更し、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドを2質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.6質量部、水を17.4質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Gを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Gを使用し、水を17.3質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地G及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーGを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0059】
〔実施例8〕
馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉を12質量部、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドを2質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.6質量部、水を25.4質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Hを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Hを使用し、水を13.7質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地H及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーHを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0060】
〔実施例9〕
コハク酸ステアリン酸モノグリセリド1質量部をジアセチル酒石酸モノグリセリドを2質量部に変更し、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.6質量部、水を17.4質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の油中水型乳化物Iを得た
。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Iを使用し、水を17.3質量部と
した以外、実施例1と同様の方法で、本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地I及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーIを製造し、評価を行った
。評価結果は〔表1〕に示す。
【0061】
〔実施例10〕
パーム油とナタネ油を9:1の質量比で混合した配合油50質量部にコハク酸ステアリン酸モノグリセリド2質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステル0.6質量部を添加、65℃に加温溶解した後、馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉28質量部を分散させた油相を得た。
この油相へ、水19.4質量部のみからなる水相を加え、撹拌乳化後、急冷可塑化し、本発明の油中水型乳化物Jを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Jを使用し、水を16.4質量部とした以外、実施例1と同様の方法で本発明の焼き菓子生地であるワイヤーカットクッキー生地J及び本発明の焼き菓子であるワイヤーカットクッキーJを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0062】
〔比較例1〕
パーム油とナタネ油を9:1の質量比で混合した配合油65質量部にコハク酸ステアリン酸モノグリセリド0.5質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステル0.5質量部を添加、65℃に加温溶解した後、馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉5質量部を分散させ油相を得た。
この油相へ、水29質量部のみからなる水相を加え、撹拌乳化後、急冷可塑化し、油中水型乳化物Kを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Kを使用し、水を12質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、ワイヤーカットクッキー生地K及びワイヤーカットクッキーKを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0063】
〔比較例2〕
パーム油とナタネ油を9:1の質量比で混合した配合油60質量部にコハク酸ステアリン酸モノグリセリド0.5質量部、プロピレングリコール脂肪酸エステル0.5質量部を添加、65℃に加温溶解した後、馬鈴薯澱粉20質量部を分散させ油相を得た。
この油相へ、水19質量部のみからなる水相を加え、撹拌乳化後、急冷可塑化し、油中水型乳化物Lを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Lを使用し、水を16.6質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、ワイヤーカットクッキーを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0064】
〔比較例3〕
パーム油とナタネ油を9:1の質量比で混合した配合油60質量部にプロピレングリコール脂肪酸エステル0.6質量部、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル0.5質量部を添加、65℃に加温溶解した後、馬鈴薯由来のリン酸架橋澱粉20質量部を分散させ油相を得た。
この油相へ、水18.9質量部のみからなる水相を加え、撹拌乳化後、急冷可塑化し、油中水型乳化物Mを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えて油中水型乳化物Mを使用し、水を16.6質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、ワイヤーカットクッキー生地M及びワイヤーカットクッキーMを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0065】
〔参考例1〕
パームオレインのランダムエステル交換油52質量部、パームステアリン13質量部、ナタネ油35質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの可塑性油脂組成物Nを得た。
続いて、油中水型乳化物Aに代えてショートニングタイプの可塑性油脂組成物Nを使用し、水を25.3質量部とした以外、実施例1と同様の方法で、ワイヤーカットクッキー生地N及びワイヤーカットクッキーNを製造し、評価を行った。評価結果は〔表1〕に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
上記〔表1〕の結果から明らかなように、本発明の油中水型乳化物を用いた実施例1〜10の焼き菓子は、油分の量を減じているのにもかかわらず、油分の量を減じていない従来の焼き菓子(参考例1)と同等のサクい食感、風味及び口溶けが得られた。
これに対し、加工澱粉の配合量が本発明の範囲外である油中水型乳化物を用いた場合(比較例1)や、加工澱粉の代わりに通常の澱粉を用いた油中水型乳化物を用いた場合(比較例2)、有機酸モノグリセリド以外の乳化剤のみを用いた油中水型乳化物を用いた場合(比較例3)には、食感、風味及び口溶けが不十分であった。