(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091023
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】化学蒸着法によるSi基板上へのニッケル薄膜、及び、Si基板上へのNiシリサイド薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/18 20060101AFI20170227BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20170227BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
C23C16/18
H01L21/285 C
H01L21/28 301R
H01L21/28 301S
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-127262(P2015-127262)
(22)【出願日】2015年6月25日
(62)【分割の表示】特願2013-207669(P2013-207669)の分割
【原出願日】2013年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-6228(P2016-6228A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000268
【氏名又は名称】特許業務法人田中・岡崎アンドアソシエイツ
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 俊一
(72)【発明者】
【氏名】原田 了輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和治
(72)【発明者】
【氏名】曽根 孝之
(72)【発明者】
【氏名】横尾 道弘
【審査官】
末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−093732(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0248648(US,A1)
【文献】
特開2005−109504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学蒸着法により、酸化皮膜のないSi基板上に直接ニッケル薄膜を製造する方法であって、
前記Si基板として、表面にB、P、AsのいずれかをドープしたSi基板を用い、
原料化合物として、次式で示される、ニッケルに、シクロペンタジエニル基(Cp)又はその誘導体、及び、3〜9個の炭素原子から成る鎖状あるいは環状のアルケニル基又はその誘導体が配位するニッケル錯体であって、炭素と水素以外の元素を構造中に含まない炭化水素系ニッケル錯体を用い、
反応ガスとして水素を用い、
更に、成膜条件として、成膜圧力1〜150torr、成膜温度80〜250℃としてニッケル薄膜を製造する方法。
【化1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学蒸着法(化学気相蒸着法(CVD法)、原子層蒸着法(ALD法))により、Si基板に直接、高品位のニッケル薄膜を製造するための方法に関する。また、このニッケル薄膜をシリサイド化してNiシリサイド薄膜を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MOSFET等の半導体デバイスにおける電極材料の低抵抗化を図るため、ニッケル薄膜をシリサイド化したニッケルシリサイド膜(NiSi)の適用が検討されている。このNiSi膜の形成方法としては、Si基板上にNi薄膜を形成し、これを熱処理することでSi基板からSiを拡散させてシリサイド化してNiSiを生成するのが一般的である。
【0003】
上記のように、Si基板にNiSi薄膜を製造するためのNi薄膜の製造方法としては、スパッタリング法等の物理蒸着法(PVD)の適用例がこれまで多かったが、化学気相蒸着法(CVD法)や原子層蒸着法(ALD法)等の化学蒸着法の適用が着目されるようになっている。近年、半導体デバイスの3次元集積化が進んでおり、そこで用いられる電極も立体構造となってきている。そして、PVD法では立体構造の薄膜形成は困難であることから、段差被覆能に優れる化学蒸着法の適用が好ましいとされている。
【0004】
化学蒸着によりSi基板上にNi膜を形成する方法としては、例えば、プリカーサ(原料化合物)としてニッケルアミジネートを用い、反応ガスとしてNH
3を適用する方法を基本としたものが知られている(特許文献1)。但し、ニッケルアミジネートを適用して生成されるNi膜は、原料物質由来の窒素(N)や反応ガスであるNH
3由来のNが膜中に取り込まれるため、膜中で窒化ニッケル(NiNx)が生成する。このような不純物は電極の低抵抗化の阻害要因となるが、特許文献1においては成膜後に熱処理を行いNを除去することとしている。以上のNi薄膜の成膜及び高純度化プロセスは、最終的にはN成分のない高純度で低抵抗のNi薄膜を形成することができる。そして、Si基板上に係る高純度のNi薄膜を形成することでNiSi膜の製造も可能となる。
【0005】
しかし、このようなNiNx膜の形成を経由する方法では、N除去に伴い膜の密度低下や形態(ラフネス)の変化が生じ、更に、Nの残留も懸念される。そのためバルクのNiに対して抵抗が高いNi薄膜となっているという問題がある。そして、かかるNi薄膜をシリサイド化しても好適な電極を形成することはできない。
【0006】
ここで、不純物残留のない高品位のNi薄膜を成膜するためには、プリカーサ及び反応ガスの構成元素として、Ni薄膜中に残留する可能性のあるN等の元素を排除することが適切な対応といえる。この観点から考えられる好適条件としては、プリカーサとして炭化水素系のNi錯体を用い、反応ガスとして水素を適用するのが好ましい。炭化水素系Ni錯体であれば、錯体成分が炭化水素の形態で放出されることになり、薄膜中に不純物を残留させる懸念は少ないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2011/040385国際公開パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、炭化水素系Ni錯体を用いてSiに直接Ni薄膜を製造することができるとの検討例はこれまでない。本発明者等によれば、これまでの炭化水素系Ni錯体を用いたNi薄膜の成膜例としては、酸化皮膜(SiO
2)が形成されたSi基板に対するものの報告例がいくつかあり、それらで好適なNi皮膜を形成できるとされている。しかし、酸化皮膜のないSi素地面については連続的なNi薄膜を形成するのは困難であるとされており、この現象は本発明者等の実証試験でも確認されている。
【0009】
そして、酸化皮膜を有するSi基板にNi皮膜を形成する場合、これをシリサイド化してNiSiとすることはできない。シリサイド化はNi皮膜へSiが拡散することで進行するものであり、Ni皮膜とSi基板との間に酸化皮膜があると、これが障壁となりSiのNi膜への拡散が阻害されるからである。従って、NiSi薄膜形成のためには、Si素地面のNi薄膜の形成は必須の事項である。
【0010】
そこで本発明は、NiSi皮膜の形成のために、Si基板に直接Ni薄膜を形成することができ、且つ、形成されるNi薄膜について不純物を残留させることのない方法を提供する。また、形成したNi薄膜についてこれを的確にシリサイド化しNiSi皮膜を製造する方法についても言及する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべくプリカーサとして炭化水素系Ni錯体を用いつつもSi基板へ直接Niを成膜するための条件について検討した。この検討においては、まず炭化水素系Ni錯体においてSiへの直接成膜が可能となる範囲(Ni錯体の種類)を模索するとともに、各種成膜条件について検討を行った。また、この検討において留意したのは、炭化水素系Ni錯体といえどもNi薄膜中に不純物残留が常に生じないとはいえない点である。即ち、炭化水素系Ni錯体は、ニッケルアミジネートに比べると不純物残留の懸念は低いものの、その構成元素故に炭素(C)がNi膜中に取り込まれる可能性がある。本発明者等の検討でも、成膜条件の設定によっては、Ni膜(基板とNi膜との境界部)に炭素の残留が懸念されている。そして、本発明者等は、鋭意検討の結果、Si基板への好適なNi薄膜の成膜条件を見出し、本発明に想到した。
【0012】
即ち、本発明は、化学蒸着法により、酸化皮膜のないSi基板上に直接ニッケル薄膜を製造する方法であって、前記Si基板として、表面にB、P、AsのいずれかをドープしたSi基板を用い、原料化合物として、次式で示される、ニッケルに、シクロペンタジエニル基(Cp)又はその誘導体、及び、3〜9個の炭素原子から成る鎖状あるいは環状のアルケニル基又はその誘導体が配位するニッケル錯体であって、炭素と水素以外の元素を構造中に含まない炭化水素系ニッケル錯体を用い、反応ガスとして水素を用い、更に、成膜条件として、成膜圧力1〜150torr、成膜温度80〜250℃としてニッケル薄膜を製造する方法である。
【0013】
【化1】
【0014】
以下、本発明についてより詳細に説明する。本発明に係るNi薄膜の製造方法は、基本的な工程は通常の化学蒸着法に準じる。化学蒸着法による薄膜製造工程は、プリカーサとなる金属錯体を気化し、これを反応ガスと共に基板表面に輸送し、基板表面で金属錯体から金属を析出させる。本発明に係るNi薄膜の製造方法もこの工程に沿うものであるが、適用するプリカーサの種類と成膜条件(成膜圧力、成膜温度)において規定することを特徴とする。以下の説明ではこれらの特徴部分について詳説する。
【0015】
本発明においてNi薄膜製造のためのプリカーサは、炭素と水素以外の元素を構造中に含まない炭化水素系のNi錯体である。上述の通り、成膜されたNiへの不純物の残留を抑制するためである。そして、本発明で適用される炭化水素系Ni錯体は、上記した特定の炭化水素系Ni錯体である。炭化水素系Ni錯体の中でこのNi錯体を適用するのは、水素ガスとの適度な反応性と優れた気化特性を有するからである。
【0016】
この炭化水素系Ni錯体は、シクロペンタジエニル基又はその誘導体と、鎖状あるいは環状のアルケニル基又はその誘導体が配位するNi錯体である。アルケニル基の炭素数を3〜9とするのは、Ni錯体の気化・分解特性を考慮したものである。好ましいのは環状のアルケニル基(シクロアルケニル基)であり、次式で示される、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノネニル、又はこれらの誘導体のうち、いずれか1種が特に好ましい。これらが配位するNi錯体は、気化段階では安定的に気化しつつ、成膜段階では低温で分解しやすく、化学蒸着用原料として好適である。
【0017】
【化2】
【0018】
また、このNi錯体でNiに配位するもう一つの配位子であるシクロペンタジエニル(Cp)は、置換基(R
1〜R
5)が全て水素原子であるものの他、アルキル基を置換した誘導体であっても良い。シクロペンタジエニル誘導体としては、置換基(R
1〜R
5)のうち、1つがアルキル基、残り4つの置換基が水素原子である誘導体が好ましい。また、置換基(R
1〜R
5)として、とりうる炭素数は0〜6であるが、好ましくは4以下である。シクロペンタジエニルの置換基が長すぎると、有機ニッケル化合物の融点上昇、分子量増加に伴う蒸気圧の低下、蒸発しにくくなり成膜の際に膜中に不純物が混入する、等の傾向があり、化学蒸着用原料として好適な特性を維持しにくい。
【0019】
化学蒸着法によるNi成膜に当たっては、上記のプリカーサを気化してSi基板に供給する。このとき、気化したプリカーサは反応ガスと共に基板上に輸送される。この反応ガスは水素を適用する。Ni膜中に不純物を残留させないためである。
【0020】
基板は、Si基板が適用されるが、これは単結晶Si、多結晶Siのいずれでも良く、高純度のものが好ましい。Si基板に対しては、Ni成膜前に酸化皮膜の除去がなされたものが適用される。
【0021】
また、本発明者等によれば、Si基板の表面について、B、P、Asのいずれかを適当量ドープしたものを適用した場合、連続的なNi皮膜を高速で形成することができる。B、PあるいはAsのドープによりNiの成膜速度が向上する理由については明確ではないが、本発明者等は基板表面状態の変化がNi化合物の吸着と分解を促進したと考察している。B、PあるいはAsのドーズ量は、最大で10
18atms/cm
3とする。10
18atms/cm
3を超えても成膜速度に変化がないからである。より好ましくは、10
13〜10
16atms/cm
3とする。Si基板に対するB、PあるいはAsのドープの方法は特に限定されることはなく、イオン注入法、熱拡散法等を適用することができる。
【0022】
本発明における炭化水素系Ni錯体によるNi成膜の条件について、規定されるのは、成膜圧力、成膜温度である。これらの成膜条件は、Siへ直接Niを成膜する上で重要な条件となる。
【0023】
成膜圧力は、成膜に必要なプリカーサの供給量のために規定される。成膜圧力が150torrを超えるとプリカーサが気化されにくく供給不足となる。また、1torrよりも低い場合も供給量が不足する。好ましい成膜圧力は50〜120torrであり、膜の連続性と平滑性が得られやすい。
【0024】
また、本発明者等によれば、炭化水素系Ni錯体によるNi薄膜は、不純物残留の可能性は低いものの、成膜温度が高温となることによって炭素の残留が懸念されることが確認されている。そして、成膜温度が250℃を超えることで炭素残留量が増大する。そのため、本発明においては成膜温度を80〜250℃とする。80℃未満では、成膜反応が進行し難く必要な膜厚が得られ難い。好ましい成膜温度は100〜220℃である。尚、成膜温度とは、基板の加熱温度の意義である。
【0025】
次に、本発明に係るNiシリサイド(NiSi)薄膜の製造方法について説明する。上記のNi薄膜の製造工程で、成膜直後の段階で純度が高く形態性にも優れる。そして、Siに直接接触していることから、シリサイド化によりNiSi膜を形成することも容易である。シリサイド化は、不活性ガス(窒素、アルゴンが好ましい)又は水素雰囲気で、基板を加熱してNi膜を300〜600℃で加熱することで可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基板となるSiに直接接触した状態でNi薄膜を製造することができる。本発明により形成されるNi薄膜は、C、N、O等の不純物を含有することもなく、適宜の熱処理によりシリサイド化が容易でありNiSi膜を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】Si基板の酸化皮膜の有無によるNi成膜及びシリサイド化の可否(第1実施形態)の結果を示す写真。
【
図2】BをドープしたSi基板へのNiの成膜速度の測定結果(第2実施形態)を示す図。
【
図3】第2実施形態で成膜したNi薄膜について熱処理によるシリサイド化を確認する写真。
【
図4】シリサイド化後の薄膜断面のXPS分析結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明における最良の実施形態について説明する。
第1実施形態:この実施形態は、炭化水素系Ni錯体によるSi基板へのNi成膜の形成及びそのシリサイド化の可否を検討するために行ったものである。ここでは、複数の高純度Si基板を用意してそれぞれについて成膜試験を行った。Si基板は、酸洗により酸化皮膜を除去したSi基板、酸洗を行わずに酸化皮膜をそのままにしたSi基板を用意した。酸洗は、希フッ酸(0.5%)に基板を5分間浸漬し、表面の酸化皮膜を除去した。
【0029】
成膜試験は、プリカーサとして、(η
3−シクロヘキセニル)(η
5−シクロペンタジエニル)ニッケル(II)を用いた。そして、コールドウォール式の成膜装置を用い、CVD法によりニッケル薄膜を形成させた。成膜試験後、基板表面についてSEM観察を行い、Ni成膜の可否を評価した。成膜条件は、次の通りである。
【0030】
プリカーサ加熱温度:90℃
基板加熱温度:200℃
キャリアガス:アルゴン60sccm
反応ガス:水素、100ccm
圧力:100torr
成膜時間:20分
【0031】
次に、成膜したNi薄膜について、シリサイド化の熱処理を行った。熱処理条件は、基板温度を500℃とし、10sccmの水素ガス+10sccmのアルゴンの雰囲気中で基板を加熱した。加熱時間はいずれも10分間とした。
【0032】
図1は、各基板におけるNi薄膜及び熱処理後の薄膜のSEM写真である。
図1から、本実施形態で適用したプリカーサ及び成膜条件によってSi基板上に直接Niが成膜していることがわかる。そして、これを熱処理したことでシリサイド化が進行し、Si基板上にSiNi薄膜が形成されたのが確認できる。一方、酸化皮膜(SiO
2)を有するSi基板でもNi薄膜は形成される。しかし、これを熱処理してもSiNi薄膜に変化は見られない。これは、Ni薄膜とSi基板との境界のSiO
2層がバリア層となってSiの拡散を阻害しシリサイド化されなかったことによると考えられる。
【0033】
第2実施形態:ここでは、Si基板表面についてBをドープした状態でNi薄膜を製造した。基板へのBドープは、イオン注入後900℃で30分間のアニール処理により、Bを10
15atms/cm
3ドープし、成膜前に上記と同様に酸洗した。本実施形態の成膜試験では、第1実施形態と同様のプリカーサ((η
3−シクロヘキセニル)(η
5−シクロペンタジエニル)ニッケル(II))を用いてNi成膜を行い、成膜速度を評価した。成膜条件は下記の通りとし、成膜時間1分、2分、5分、15分におけるNi薄膜の膜厚を測定した。
【0034】
プリカーサ加熱温度:90℃
基板加熱温度:175℃
キャリアガス:アルゴン100sccm
反応ガス:水素、100ccm
圧力:100torr
成膜時間:1分、2分、5分、15分
【0035】
図2は、この成膜試験の結果を示す。
図2から、BドープSi基板におけるNi薄膜の成膜過程ではインキュベーションタイムもほとんど見られず、成膜開始から速やかに成長を開始する。また、成膜時間に対してリニアに膜厚は増大する。本実施形態では、8.2nm/minの比較的良好な成膜速度を示す。
【0036】
また、本実施形態の成膜時間1分、2分でNi薄膜を製造した基板について、熱処理を行いNi薄膜をNiSi薄膜にシリサイド化した。熱処理条件は、基板温度を500℃とし、10sccmの水素ガス+10sccmのアルゴンの雰囲気中で基板を加熱した。加熱時間はいずれも10分間とした。
【0037】
図3は、各Ni薄膜の熱処理前後のSEM写真である。いずれのNi薄膜も熱処理によりその上部にNiSi薄膜が形成されている。Ni薄膜が薄い場合(成膜時間1分)のものであっても、ムラ無く均一なシリサイド化が確認できた。
【0038】
また、
図4には、NiSi薄膜(Niの成膜時間2分)のXPS分析の結果を示す。本実施形態で成膜したNiSi薄膜には、C、N、Oのいずれの不純物も計測されなかった。また、NiとSiの組成比もほぼ1:1であり、良好な品質のNiシリサイド薄膜を得ることができたことが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る方法は、Si基板に直接Ni薄膜を製造することができるものあり、C、N、O等の不純物の残留のない高品位のNi薄膜を得ることができる。また、このNi薄膜は、熱処理によりそのままNiSi膜とすることができる。本発明に係る方法は、化学蒸着法という段差被覆能に優れた薄膜製造プロセスを基本とし、各種半導体デバイスの3次元構造を有する立体電極の製造に好適である。