(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液状のターゲット材を蓄えるタンクと、前記タンク内の前記ターゲット材を出力するノズルと、前記タンク内へガスを供給するガス供給源と、を備え、前記タンク内のガス圧を、圧力調整器が備えつけられたガス供給源から供給されるガスの圧力で制御するターゲット供給装置と、
前記ノズルから前記ターゲット材が出力され、出力された前記ターゲット材にレーザ光が照射されることで極端紫外光の生成が行われるチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、生成された前記極端紫外光を集光する集光ミラーと、
前記タンクに接続され、前記タンク内から排気されるガスが流れる第1ガス流路と、
前記第1ガス流路上に設けられた第1バルブと、
前記タンクと前記第1バルブとの間の前記第1ガス流路に接続された第2ガス流路と、
前記第2ガス流路上に設けられた第2バルブと、
前記タンク内から前記第1流路を流れて排気されるガスが前記第2ガス流路を流れて排気されるよう、前記第1バルブを閉に前記第2バルブを開に制御するコントローラと、
を含み、
前記ターゲット材を前記ノズルから出力する際から前記タンク内のガス圧を減圧する場合に、前記コントローラは、
前記第1ガス流路内のガス圧が所定ガス圧に達するまでは、前記タンク内から排気されるガスが前記第1ガス流路を流れて排気されるよう、前記第1バルブを開に前記第2バルブを閉に制御し、
前記第1ガス流路内のガス圧が前記所定ガス圧に達すると、前記タンク内から排気されるガスが前記第2ガス流路を流れて排気されるよう、前記第1バルブを閉に前記第2バルブを開に制御する
極端紫外光光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明を実施するためのいくつかの形態によるターゲット供給装置、その制御システム、その制御装置およびその制御回路について説明する。
【0024】
実施の形態1
図1は、この発明の実施の形態1によるターゲット供給装置が用いられる極端紫外光光源装置の構成を示す模式図である。
図2は、
図1に示したターゲット供給装置の詳細構成を示す模式図である。なお、
図1に示した極端紫外光光源装置は、レーザビームをターゲット物質に照射して励起させることにより極端紫外光を生成するレーザ励起プラズマ(LPP)方式を採用している。
【0025】
図1に示すように、この極端紫外光光源装置は、極端紫外光の生成が行われる真空チャンバ10と、真空チャンバ10内の所定位置にターゲット13を供給するターゲット供給部11と、ターゲット13を供給するために、ターゲット13を加圧するガスを供給するガスボンベ40と、加圧するガスの圧力を調整する圧力調整器41と、加圧するガスの圧力を切り替える圧力切替機構25と、ターゲット13に照射される励起用レーザビーム20を生成するドライバレーザ15と、ドライバレーザ15によって生成される励起用レーザビーム20を集光するレーザ集光光学系16と、ターゲット13に励起用レーザビーム20が照射されることによって発生するプラズマ18から放出される極端紫外光19を集光するように反射する集光ミラー14と、真空チャンバ10内を真空に保つための排気装置17と、極端紫外光光源装置全体を制御するメインコントローラCとを有する。ここで、ターゲット供給部11、ガスボンベ40、圧力調整器41、および圧力切替機構25は、ターゲット供給装置1を構成する。また、圧力切替機構25は、ターゲット供給部11内のガス圧を所定圧まで昇圧して維持する制御を少なくとも行うコントローラ60と、ターゲット供給部11内のガス圧を昇圧するとともに所定圧に維持する昇圧機構25aと、ターゲット供給部11内のガス圧を減圧する減圧機構25bとを有する。さらに、メインコントローラCは、少なくともターゲット供給装置1に対して昇圧指示および減圧指示などの制御指示を与える。昇圧指示を与える場合とは、たとえば、極端紫外光を用いる図示しない露光装置が極端紫外光を必要とする場合であり、減圧指示を与える場合とは、たとえば、露光装置側が極端紫外光を必要としない場合である。
【0026】
ここで、真空チャンバ内にターゲットを供給するターゲット供給装置1は、溶融した液状のSn、Li等のターゲット材料が充填されたタンク30を備える。タンク30内部のターゲット材(溶融錫34)は、タンク30の外壁に設けられたヒータ33によって溶融される。ターゲット供給装置1は、溶融されたターゲット材を蓄えるタンク30を、圧力調整器41で減圧したガスボンベ40からのガスで加圧する。これにより、タンク30の先端に取り付けられたノズル31から、ターゲット13である溶融金属(Sn、Li等)が射出される。ターゲット13は、ジェットまたはドロップレットの形態で射出される。ドロップレットは、例えばコンティニュアスジェット法により生成することができる。コンティニュアスジェット法では、ピエゾ素子32等の振動素子を用いて溶融金属のジェット表面に規則的な擾乱が与えられる。これにより、均一な体積のドロップレットがノズルから出射される。
【0027】
このターゲット供給装置1から真空チャンバ10内の所定位置にターゲット13が供給されると共に、ドライバレーザ15から出射された励起用レーザビーム20がレーザ集光光学系16を介して真空チャンバ10内の所定位置に集光されると、ターゲット13に励起用レーザビーム20が照射されることによってプラズマ18を発生する。その後、このプラズマ18からは、極端紫外光19が放射される。集光ミラー14は、この極端紫外光19を集光して真空チャンバ10外の図示しない露光装置側に出射する。なお、励起用レーザビーム20がパルスレーザ光である場合、ターゲット13の照射タイミングとパルス発生タイミングとは、メインコントローラCによって同期制御される。
【0028】
この極端紫外光源装置では、例えば、ターゲット13として、金属(液体または固体のSn、Li)が用いられ、ドライバレーザ15として、比較的波長の長い光を生成することができる炭酸ガス(CO
2)レーザが用いられる。レーザ光エネルギーから極端紫外光エネルギーへの変換効率が高い金属には、Snがある。このSnに炭酸ガスレーザを照射した場合の変換効率は2〜4%程度である。
【0029】
レーザ集光光学系16は、少なくとも1つのレンズおよび/または少なくとも1つのミラーで構成される。レーザ集光光学系16は、
図1に示すように、真空チャンバ10の外側に配置しても良いが、真空チャンバ10の内側に配置しても良い。
【0030】
集光ミラー14は、プラズマ18から放射される様々な波長成分の内から、所定の波長成分(例えば、13.5nm付近の極端紫外光)を選択的に反射し、かつ集光する集光光学系である。集光ミラー14は、凹状の反射面を有している。この反射面には、例えば、波長が13.5nm付近の極端紫外光を選択的に反射するモリブデン(Mo)およびシリコン(Si)の多層膜が形成されている。
【0031】
図2に示すように、ターゲット供給部11は、溶融錫(Sn)34を内部に収納し、内部圧力を例えば高圧または所定圧力に維持できるタンク30と、タンク30の外部側面に配置されてタンク30内のSnを溶融する温調部材としてのヒータ33と、溶融Snをターゲット13として噴出するノズル31と、ノズル31近傍に配置され、ターゲット13をドロップレットとしてノズル31から連続して噴出させるピエゾ素子32とを有する。
【0032】
圧力調整器41は、ガスボンベ40からのガスが設定された所定のガス圧となるように自律的に圧力調整を行う。圧力調整器41とタンク30との間は、ガス流路L1およびLによって接続される。ガス流路L1上には、流路の開閉を行うバルブ42が設けられる。一方、ガス流路L1およびLの接続点P1には、ガス流路L2が分岐している。ガス流路L2の他端には、排気口Laが形成されている。ガス流路L2上には、流路の開閉を行うバルブ43が設けられる。また、このバルブ43と接続点P1との間の接続点P2からは、ガス流路L3が分岐している。ガス流路L3の他端には、真空ポンプ46が接続される。さらに、真空ポンプ46と接続点P2との間のガス流路L3上には、流路の開閉を行うバルブ44が設けられる。また、接続点P1近傍には、ガス流路内の圧力を検出する圧力計45が設けられる。コントローラ60は、メインコントローラCからの指示および圧力計45の圧力値をもとに、バルブ42,43および44の開閉制御ならびに真空ポンプ46の駆動制御を行う。
【0033】
ここで、
図3および
図4に示したフローチャートを参照して、コントローラ60によるタンク30内の圧力切替制御処理手順について説明する。
図3に示すように、コントローラ60は、まず、初期設定として、バルブ42,43および44を閉にし(ステップS101)、その後、圧力調整器41の設定圧力に、ターゲット供給時に使用する圧力を設定する(ステップS102)。なお、ステップS102の設定は、この実施の形態1では、予め手動で行われる。その後、コントローラ60は、メインコントローラCから昇圧の指示が有ったか否かを判断する(ステップS103)。昇圧の指示がない場合(ステップS103,No)、コントローラ60は、ステップS103の判断処理を繰り返す。一方、昇圧の指示が有った場合(ステップS103,Yes)、コントローラ60は、バルブ42を開にすることで(ステップS104)、ガス流路L1およびLを介してタンク30内を昇圧する。これにより、タンク30内の圧力が、ターゲット13を供給するのに必要な圧力となる。
【0034】
その後、コントローラ60は、メインコントローラCから減圧の指示が有ったか否かを判断する(ステップS105)。減圧の指示がない場合(ステップS105,No)、コントローラ60は、バルブ42の開状態を維持する。これにより、タンク30内を所定の圧力状態に維持する圧力調整器41による圧力調整が行われる。一方、減圧の指示が有った場合(ステップS105,Yes)、コントローラ60は、バルブ42を閉にする(ステップS106)ことで、昇圧処理を終了し、続いて、減圧処理を行う(ステップS107)。この減圧処理後、コントローラ60は、さらに昇圧の指示があったか否かを判断する(ステップS108)。昇圧の指示が有った場合(ステップS108,Yes)、コントローラ60は、ステップS104に移行し、減圧処理で閉としたバルブ42を開にすることで、昇圧処理を再開する。一方、昇圧の指示がなかった場合(ステップS108,No)、コントローラ60は、さらにメインコントローラCから終了指示が有ったか否かを判断する(ステップS109)。終了指示がなかった場合(ステップS109,No)、コントローラ60は、ステップS108に移行し、昇圧の指示があるまで待機する。一方、終了指示が有った場合(ステップS109,Yes)、コントローラ60は、本処理を終了する。
【0035】
ステップS107の減圧処理では、
図4に示すように、コントローラ60は、まず真空ポンプ46を起動させる(ステップS111)。なお、真空ポンプ46は、常時起動していてもよい。真空ポンプ46を常時起動しておくことで、減圧の時間を短縮することができる。その後、コントローラ60は、バルブ43を開にする(ステップS112)ことで、タンク30内を加圧しているガスを排気口Laから排気する。これにより、タンク30内の圧力が低下する。ここで、ターゲット13が供給される真空チャンバ10内が真空であるため、タンク30内の圧力が大気圧程度となった場合でも、真空チャンバ10内の圧力とタンク30内の圧力との差圧から、ターゲット13の供給は停止しない。ターゲット13の供給を停止するには、ポンプ30内の圧力を数十Pa〜数百Paまで減圧する必要がある。そこで、コントローラ60は、つぎの処理として、圧力計45の計測値Pが大気圧より若干高い圧力Phigh(例えば、1.1気圧)以下になったか否かを判断する(ステップS113)。
【0036】
圧力計45の計測値Pが圧力Phigh以下でない場合(ステップS113,No)、コントローラ60は、ステップS113の判断処理を繰り返す。一方、圧力計45の計測値Pが圧力Phigh以下になった場合(ステップS113,Yes)、コントローラ60は、バルブ43を閉にし(ステップS114)、さらにバルブ44を開にする(ステップS115)。これにより、タンク30内のガスが真空ポンプ46によって排気されることで、タンク30内部が真空引きされる。
【0037】
その後、コントローラ60は、さらに、圧力計45の計測値Pがターゲット13の供給が停止する圧力Plow(例えば、数十Pa〜数百Pa)以下になったか否かを判断する(ステップS116)。圧力計45の計測値Pが圧力Plow以下でない場合(ステップS116,No)、コントローラ60は、ステップS116の判断処理を繰り返す。一方、圧力計45の計測値Pが圧力Plow以下となった場合(ステップS116,Yes)、コントローラ60は、バルブ44を閉にする(ステップS117)。なお、ターゲットの供給が停止する圧力Plowは、ノズル31径、ターゲット13の残量および温度に依存する。その後、真空ポンプ46が常時起動でない場合、コントローラ60は、真空ポンプ46を停止し(ステップS118)、ステップS107にリターンする。ただし、真空ポンプ46が常時起動の場合、コントローラ60は、ステップS117を実行せず、そのままステップS107にリターンする。
【0038】
以上のように、この実施の形態1では、圧力調整器41とターゲット供給部11のタンク30との間に圧力切替機構25を配置し、この圧力切替機構25を用いてタンク30内の加圧処理と減圧処理とを行うことで、ターゲット13の供給と停止とを行うように構成されている。この構成により、この実施の形態1では、EUV光を出力する必要のないときはターゲット13の供給を停止することが可能となる。この結果、無駄なターゲットの消費が抑えられ、ターゲット13の消費を抑えた極端紫外光光源装置を実現することができる。
【0039】
実施の形態2
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。
図5は、この発明の実施の形態2によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。
図5に示すように、この実施の形態2によるターゲット供給装置2では、上述の実施の形態1によるターゲット供給装置1の圧力調整器41とバルブ42との間の接続点P3にガス流路L4が接続される。このガス流路L4の他端には、タンク47が設けられる。また、流路L4上には、バルブ48が設けられる。このタンク47の容量は、タンク30の容量に比して大きく、たとえばタンク30の容量の10倍程度である。その他の構成は、
図2に示したターゲット供給装置1の構成と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0040】
タンク30内の昇圧に要する昇圧時間は、圧力調整器41に流せるガス流量で決定される。このため、このガス流量が少ない場合、昇圧時間が長くなってしまう。そこで、この実施の形態2では、予め昇圧タンク47内に充填した圧力ガスを用いてガス流量を補う。これにより、タンク30内の昇圧に要する昇圧時間を短縮することが可能となる。
【0041】
ここで、
図6に示したフローチャートを参照して、コントローラ60に対応するコントローラ61によるタンク30内の圧力切替制御処理手順について説明する。
図6に示すように、コントローラ61は、まず、初期設定として、バルブ42,43,44および48を閉にし(ステップS201)、さらに、圧力調整器41の設定圧力に、ターゲット供給時に使用する圧力を設定する(ステップS202)。その後、コントローラ61は、バルブ48を開にし(ステップS203)、続いて、メインコントローラCから昇圧の指示が有ったか否かを判断する(ステップS204)。昇圧の指示がない場合(ステップS204,No)、コントローラ61は、ステップS204の判断処理を繰り返す。一方、昇圧の指示が有った場合(ステップS204,Yes)、コントローラ61は、バルブ42を開にする(ステップS205)ことで、タンク47のアシスト圧力を得て、ガス流路L4,L1およびLを介してタンク30内を昇圧する。これにより、タンク30内がターゲット13を供給するのに必要な圧力となる。その後、コントローラ61は、設定時間後、さらに例えば数秒経過した後、バルブ48を閉にする(ステップS206)。これは、タンク47内のガスをタンク30に導入したのみでは、タンク30内の圧力が使用する圧力まで達しない場合があるためである。そこで、設定時間よりも数秒長く、圧力調整器41を通してガスボンベ40からのガスを供給することで、タンク30に供給されるガス流量を増大させる。なお、ステップS206でバルブ48を閉にしているのは、タンク30に接続されたガス流路の配管容量を小さくするためである。使用しないガス流路をバルブで閉鎖することで、ガスの供給時間を短縮することが可能となる。ただし、このステップS206の処理は、省略してもよい。
【0042】
その後、上述の実施の形態1と同様に、コントローラ61は、メインコントローラCから減圧の指示が有ったか否かを判断する(ステップS207)。減圧の指示がない場合(ステップS207,No)、コントローラ61は、バルブ42の開状態を維持する。これにより、タンク30内を所定の圧力状態に維持する圧力調整器41による圧力調整が行われる。一方、減圧の指示が有った場合(ステップS207,Yes)、コントローラ61は、バルブ42を閉にする(ステップS208)ことで、昇圧処理を終了し、続いて、減圧処理を行う(ステップS209)。この減圧処理は、
図4に示した処理である。この減圧処理後、さらにバルブ48を開にする(ステップS210)ことで、タンク47内を所定の圧力状態にする。
【0043】
その後、コントローラ61は、さらに昇圧の指示があったか否かを判断する(ステップS211)。昇圧の指示が有った場合(ステップS211,Yes)、コントローラ61は、ステップS205に移行し、減圧処理で閉になっているバルブ42を開にして上述したタンク47を用いた昇圧処理を再開する。一方、昇圧の指示がなかった場合(ステップS211,No)、コントローラ61は、さらにメインコントローラCから終了指示が有ったか否かを判断する(ステップS212)。終了指示がなかった場合(ステップS212,No)、コントローラ61は、ステップS211に移行し、昇圧の指示があるまで待機する。一方、終了指示が有った場合(ステップS212,Yes)、コントローラ61は、本処理を終了する。
【0044】
以上のように、この実施の形態2では、上述の実施の形態1と同様に、必要に応じてターゲット物質の供給と停止とを行うことが可能であるため、EUV光を出力する必要のないときはターゲット13の供給を停止することが可能となる。この結果、無駄なターゲットの消費が抑えられ、ターゲット13の消費の少ない極端紫外光光源装置を実現することができる。特に、この実施の形態2では、昇圧時にタンク47による昇圧のアシストを行うようにしているので、昇圧時間を短縮することが可能である。この結果、ターゲット13の消費がより抑えられた極端紫外光光源装置を実現することができる。
【0045】
実施の形態3
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。
図7は、この発明の実施の形態3によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。
図7に示すように、この実施の形態3によるターゲット供給装置3では、上述の実施の形態1に示したガス流路L2の排気口Laに替えて、タンク49が設けられている。このタンク49は、タンク30の容積に比して大きく、たとえばタンク30の容積の100倍程度の容積を備える。このタンク49には、さらにバルブ44と真空ポンプ46との間のガス流路L3上の接続点P3と接続されたガス流路L5が設けられる。このガス流路L5上には、バルブ50が設けられる。また、タンク49には、タンク内の圧力を検出する圧力計51が設けられる。その他の構成は、
図2に示したターゲット供給装置1の構成と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0046】
例えば、タンク30から排気口Laまでの排気ラインが長く流路抵抗が大きい場合、タンク30内の圧力を大気圧程度まで下げるのに長い時間を要する。そこで、この実施の形態3では、大気圧より減圧した容積の大きいタンク49を排気ラインに接続しておくことによって排気ラインの圧力勾配を大きくする。この結果、排気ラインの排気流速が上がり、排気時間を短縮することが可能となる。
【0047】
ここで、
図8および
図9に示したフローチャートを参照して、コントローラ60に対応するコントローラ62によるタンク30内の圧力切替制御処理手順について説明する。
図8は、コントローラ62による圧力切替制御処理手順を示す全体フローチャートである。
図8と
図3とを比較すると明らかなように、この実施の形態3では、
図3に示したステップS107とステップS108との間に、減圧処理後の減圧後処理(ステップS308)が実行される。その他の処理は、上述の実施の形態1と同じである。なお、
図8のステップS301〜S307は、
図3のステップS101からS107に相当し、
図8のステップS309およびS310は、
図3のステップS108およびS109に相当する。
【0048】
図9は、
図8のステップS308による減圧後処理手順を示す詳細フローチャートである。この減圧後処理は、つぎの減圧処理を行うための準備処理として、タンク49内を真空排気して減圧しておく処理である。
図9において、まずコントローラ62は、真空ポンプ46を起動する(ステップS401)。なお、真空ポンプ46は常時起動していてもよい。真空ポンプ46を常時起動しておくことで、減圧時間を短縮することができる。その後、コントローラ62は、バルブ50を開にする(ステップS402)ことで、タンク49内のガスを真空排気する。
【0049】
その後、コントローラ62は、圧力計51の計測値Pが、真空圧Pv以下、たとえば1Pa以下であるか否かを判断する(ステップS403)。圧力計51の計測値Pが真空圧Pv以下でない場合(ステップS403,No)、コントローラ62は、このステップS403の判断処理を繰り返し行う。一方、圧力計51の計測値Pが真空圧Pv以下である場合(ステップS403,Yes)、コントローラ62は、バルブ50を閉にし(ステップS404)、さらに真空ポンプ46を停止し(ステップS405)、その後、ステップS308にリターンする。なお、真空ポンプ46が常時起動の場合、コントローラ62は、ステップS404の処理後、そのままステップS308にリターンする。
【0050】
以上のように、この実施の形態3では、上述の実施の形態1と同様に、必要に応じてターゲット物質の供給と停止とを行うことが可能であるため、EUV光を出力する必要のないときはターゲット13の供給を停止することが可能となる。この結果、無駄なターゲットの消費が抑えられ、ターゲット13の消費の少ない極端紫外光光源装置を実現することができる。特に、この実施の形態3では、タンク49を用いて減圧処理を行うので、タンク30からの排気ラインの圧力勾配を大きくすることが可能である。この結果、排気流速を上げることができるため、減圧時間をさらに短くすることができる。
【0051】
実施の形態4
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。
図10は、この発明の実施の形態4によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。
図10に示すように、この実施の形態4によるターゲット供給装置4では、上述の実施の形態1によるターゲット供給装置1の圧力調整器41とバルブ42との間のガス流路L1上に圧力コントローラ52が設けられるとともに、この圧力コントローラ52をバイパスするために圧力コントローラ52の入力側および出力側のガス流路L1上の接続点P5およびP6を接続するガス流路L6が設けられる。さらに、接続点P5と圧力コントローラ52との間のガス流路L1上には、バルブ53が設けられるととともに、ガス流路L6上には、バルブ54が設けられる。その他の構成は、
図2に示したターゲット供給装置1の構成と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0052】
ここで、タンク30内のターゲット材である溶融錫34を加圧する圧力は、ターゲット13の速度に影響する。このため、タンク30内の圧力を一定に保つことが好ましい。通常、この圧力は、圧力調整器41を用いて調整される。ただし、用途によっては、より高精度な圧力制御が要求される場合がある。そこで、この実施の形態4では、高精度の圧力制御を行う圧力コントローラ52がガス流路L1上に設けられる。ただし、この高精度の圧力コントローラ51は、最大ガス流量が小さい。このため、この圧力コントローラ51を通して昇圧する場合、所望する圧力に達するまでに長い時間を要する。そこで、この実施の形態4では、ガス流路L1をバイパスするバイパスラインとしてのガス流路L6を設け、圧力コントローラ52による高精度の圧力制御を行う場合、このガス流路L6を介してガスを流入する。これにより、圧力コントローラ52をガス流路L1上に設けた場合でも、昇圧時間を短くすることが可能となる。
【0053】
ここで、
図11に示したフローチャートを参照して、コントローラ60に対応するコントローラ63によるタンク30内の圧力切替制御処理手順について説明する。
図11に示すように、コントローラ63は、まず、初期設定として、バルブ42,43,44,53および54を閉にする(ステップS501)。その後、コントローラ63は、圧力調整器41の設定圧力に、ターゲット供給時に使用する圧力より高い圧力、例えば、使用する圧力の1.1倍の圧力を設定する(ステップS502)。なお、この圧力設定は、予め設定されていてもよいし、コントローラ63によって設定されてもよい。その後、コントローラ63は、メインコントローラCから昇圧の指示があったか否かを判断する(ステップS503)。メインコントローラCから昇圧の指示がなかった場合(ステップS503,No)、コントローラ63は、このステップS503の判断処理を繰り返す。一方、メインコントローラCから昇圧の指示があった場合(ステップS503,Yes)、コントローラ63は、バルブ54および42を開にする(ステップS504)ことで、タンク30内を昇圧する。
【0054】
その後、コントローラ63は、圧力計45の計測値Pが、ターゲット供給時に使用する使用圧力の90%以上になったか否かを判断する(ステップS505)。圧力計45の計測値Pが使用圧力の90%以上でない場合(ステップS505,No)、コントローラ63は、このステップS505の判断処理を繰り返して昇圧処理を継続する。一方、圧力計45の計測値Pが使用圧力の90%以上であった場合(ステップS505,Yes)、コントローラ63は、バルブ54を閉にし(ステップS506)、さらにバルブ53を開にすると共に、圧力コントローラ52を用いてタンク30内の圧力をターゲット供給に使用する使用圧力まで昇圧させる(ステップS507)。
【0055】
その後、コントローラ63は、メインコントローラCから減圧の指示があったか否かを判断する(ステップS508)。メインコントローラCから減圧の指示がない場合(ステップS508,No)、コントローラ63は、このステップS508の判断処理を繰り返すことで、圧力コントローラ52による高精度の圧力制御を行う。一方、メインコントローラCから減圧の指示があった場合(ステップS508,Yes)、コントローラ63は、バルブ42および53を閉にすることで、圧力コントローラ52による圧力制御を停止する(ステップS509)。その後、コントローラ63は、ステップS107と同じ減圧処理を行う(ステップS510)。
【0056】
このステップS510の減圧処理後、コントローラ63は、さらに昇圧の指示があったか否かを判断する(ステップS511)。昇圧の指示が有った場合(ステップS511,Yes)、コントローラ63は、ステップS504に移行し、昇圧処理を再開する。一方、昇圧の指示がなかった場合(ステップS511,No)、コントローラ63は、さらにメインコントローラCから終了指示が有ったか否かを判断する(ステップS512)。終了指示がなかった場合(ステップS512,No)、コントローラ63は、ステップS511に移行し、昇圧の指示があるまで待機する。一方、終了指示が有った場合(ステップS512,Yes)、コントローラ63は、本処理を終了する。
【0057】
以上のように、この実施の形態4では、上述の実施の形態1と同様に、必要に応じてターゲット物質の供給と停止とを行うことが可能であるため、EUV光を出力する必要のないときはターゲット13の供給を停止することが可能となる。この結果、無駄なターゲットの消費が抑えられ、ターゲット13の消費の少ない極端紫外光光源装置を実現することができる。特に、この実施の形態4では、ガス流路L1をバイパスするバイパスラインとしてのガス流路L6を設け、圧力コントローラ52による高精度の圧力制御を行う場合はガス流路L6を介してガスの導入を行うため、ガス流路L1に高精度の圧力コントローラ52を設けた場合でもタンク30内の昇圧を短時間に行うことが可能である。
【0058】
実施の形態5
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。
図12は、この発明の実施の形態5によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。
図12に示すように、この実施の形態5によるターゲット供給装置5は、上述の実施の形態1によるターゲット供給装置1と同様の構成を備える。ただし、本実施の形態5によるターゲット供給装置5では、ターゲット供給装置1における真空ポンプ46、ガス流路L3、およびバルブ44が削除されている。その他の構成は、
図2に示したターゲット供給装置1の構成と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0059】
ここで、上述の実施の形態1では、ターゲット13の供給を停止する際、タンク30内を真空ポンプで数十Pa〜数百Paまで排気していたため、停止までに長い時間を要していた。一方、大気圧程度までの排気であれば、真空ポンプで排気する必要がないため、排気時間を短くすることができる。ここで、ターゲット物質供給時の速度Vは次の式1で表すことができる。
【数1】
なお、式1において、ΔPは、ターゲット物質を加圧する圧力であり、Phは、圧力損失であり、ρは、ターゲット物質の密度である。
【0060】
式1より、加圧圧力が数MPaから大気圧(0.1MPa)まで下がると、ターゲット物質の速度が1/10程度になることが分かる。よって、ターゲット物質を加圧する圧力を大気圧程度まで下げることで、ターゲット物質の消費量を大きく低減することができる。そこで、この実施の形態5では、タンク30内の圧力を大気圧程度まで減圧することで、ターゲット13の消費量を大幅に低減する。これにより、EUV光を必要としない場合、ターゲット物質の消費量を大幅に抑えることが可能な極端紫外光光源装置を実現することが可能となる。なお、タンク30内の圧力を大気圧程度まで減圧する構成は、簡素な構成により実現可能であるため、極端紫外光光源装置の構成を簡略化することも可能となる。
【0061】
ここで、
図13に示したフローチャートを参照して、コントローラ60に対応するコントローラ64による減圧処理手順について説明する。なお、昇圧処理は、上述の実施の形態1と同じである。ただし、
図3に示したステップS107の減圧処理手順が異なる。
図13に示すように、コントローラ64は、まずバルブ43を開にする(ステップS601)ことで、タンク30内を加圧しているガスを大気圧程度まで排気する。その後、コントローラ64は、圧力計45の計測値Pが大気圧より若干高い圧力Phigh以下、例えば1.1気圧以下になったか否かを判断する(ステップS602)。圧力計45の計測値Pが圧力Phigh以下でない場合(ステップS602,No)、コントローラ64は、このステップS602の判断処理を繰り返す。一方、圧力計45の計測値Pが圧力Phigh以下である場合(ステップS602,Yes)、コントローラ64は、バルブ43を閉にし(ステップS603)、その後、ステップS107にリターンする。
【0062】
以上のように、この実施の形態5では、必要に応じてターゲット物質の供給と供給量の低減とを行うことが可能であるため、EUV光を出力する必要のないときはターゲット13の供給量を低減することが可能となる。この結果、真空ポンプなどの複雑な構成を用いずとも、簡易な構成で無駄なターゲット物質の消費を抑えることができ、これにより、ターゲット13の消費の少ない極端紫外光光源装置を実現することができる。
【0063】
なお、上述した実施の形態1〜5の昇圧機構と減圧機構とは、適宜組み合わせた圧力切替機構25とするターゲット供給装置を実現できる。また、減圧機構なども適宜変更が可能である。その一例について以下に説明する。
【0064】
変形例1
図14は、上述の実施の形態5に示した構成に上述の実施の形態2に示した昇圧側の構成を適用した変形例1によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。すなわち、この変形例1では、昇圧機構として上述の実施の形態2に示した構成を用い、減圧機構として上述の実施の形態5に示した構成を用いる。これにより、昇圧処理では、上述の実施の形態2と同様に、タンク47を用いて短時間での昇圧を行うことができ、減圧処理では、上述の実施の形態5と同様に、簡易な構成でターゲット物質の消費を抑えることができる。
【0065】
変形例2
図15は、上述の実施の形態3に示した減圧機構の構成を簡易にした変形例2によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。
図15に示すように、この変形例2では、上述の実施の形態3に示したガス流路L3およびバルブ44が削除され、ガス流路L5の接続点P3が真空ポンプ46に接続されている。その他の構成は、上述の実施の形態3と同じである。この変形例2では、減圧処理前に予め真空ポンプ46でタンク49内を真空排気しておくことで、簡易な構成でかつ短時間で減圧処理を行うことが可能となる。
【0066】
変形例3
図16は、上述の実施の形態5に示した構成に上述の実施の形態4に示した昇圧側の構成を適用した変形例3によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。すなわち、この変形例3では、昇圧機構として上述の実施の形態4に示した構成を用い、減圧機構として上述の実施の形態5に示した構成を用いる。これにより、昇圧処理では、上述の実施の形態4と同様に、短時間での昇圧と高精度な圧力制御とを行うことができるとともに、上述の実施の形態5と同様に、簡易な構成で無駄なターゲット物質の消費を抑えることができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態1〜5および変形例1〜3では、タンク30に直接接続されるガス流路が共通のガス流路Lであった。ただし、この構成に限定されるものではない。たとえば、昇圧側のガス流路L1および減圧側のガス流路L2をそれぞれ個別にタンク30に接続してもよい。
【0068】
実施の形態6
つぎに、この発明の実施の形態6について説明する。上述した実施の形態1〜5およびその変形例では、ターゲットの供給方法にコンティニュアスジェット法を採用していた。このため、上述の実施の形態1〜5およびその変形例では、タンク30内の圧力が数MPa〜十数MPa程度の比較的高い圧力に維持されていた。これに対し、本実施の形態6では、静電引出し法を採用する。この静電引出し法では、ノズル先端と対向する位置に電極が配置される。例えば、ノズル先端を接地して、この電極に電圧を印加すると、ターゲット材に静電引力が働く。この静電引力とタンク内のガス圧により、ノズル先端からターゲット材が、ドロップレットの形態で射出される。このように、静電引出し法を採用したターゲット供給装置では、電極に電圧を印加することにより、静電引力が働くため、ターゲット材を蓄えるタンク内部の圧力は、コンティニュアスジェット法を採用した場合よりも、比較的低い圧力、たとえば1MPa以下の圧力であってもよい。
【0069】
ここで、本実施の形態6によるターゲット供給装置の一例を説明する。なお、以下の説明では、上述の実施の形態1によるターゲット供給装置1に、静電引出し法を適用した場合を例に挙げる。ただし、これに限定されず、上述の実施の形態2〜5およびその変形例のいずれに対しても、この実施の形態6を適用することは可能である。
【0070】
図17は、この実施の形態6によるターゲット供給装置の構成を示す模式図である。
図17に示すように、この実施の形態6によるターゲット供給装置6は、
図2に示すターゲット供給装置1と同様の構成において、ターゲット供給部11がターゲット供給部21に置き換えられている。ターゲット供給部21は、ターゲット供給部11と同様の構成の構成に加え、ノズル先端31aと対向した配置された電極36と、電極36とノズル先端31aとの間を絶縁しつつ一定の距離d離間した状態に固定する絶縁部35と、を備える。なお、電極36におけるノズル31と対応する部分、すなわちターゲット13の射出軌道には、ターゲット13を通過させる孔36aが形成されている。
【0071】
電極36には、ターゲット材をノズル31から引き付ける電界を発生するための電圧信号が入力される。この電圧信号は、矩形波、三角波または正弦(余弦)波などのパルス信号であっても、定電圧信号であってもよい。また、ノズル先端部31aは、接地されていてもよいし、電圧信号の極性と逆極性の電位が与えられていてもよい。高精度の電圧信号を印加することにより、溶融金属であるターゲット材をノズル31から引き出す力(静電引力)を一定に保つことが可能となる。さらに、ノズル31の先端部分であるノズル先端31aは、ターゲット13の射出方向へ円錐状に突出している。これにより、電極36とノズル31との間に形成される電界をノズル先端部31a付近に集中させることが可能となり、この結果、効率的にターゲット材をノズル31から引き出してターゲット13として射出することが可能となる。
【0072】
以上のように、静電引力を用いてドロップオンデマンドで能動的にターゲット13をノズル31から射出させる、いわゆる静電引出し法によるターゲット供給装置6においても、上述した実施の形態1〜5およびその変形例と同様に、タンク30内部の圧力を一定の圧力(<1MPa)に保つことが好ましい。
【0073】
なお、タンク内を加圧する圧力は、ターゲット材(溶融Sn)をノズル先端31aから出力する臨界値程度でよい。臨界値Pは、以下の式3で表すことができる。
【数2】
なお、式2において、γはターゲット材の表面張力、rはノズル先端31aの孔の半径、ρはターゲット材の密度、gは重力加速度、hはノズル先端31aからターゲット材の上液面までの高さである。
【0074】
ここで、ターゲット材の表面張力γ=0.573[N/m]、ノズル先端31aの孔の半径r=5[μm]、ターゲット材の密度ρ=7000[kg/m
3]、重力加速度g=9.8[N/s]、ノズル先端31aからターゲット材の上液面までの高さh=0.2[m]とすると、ガス圧の臨界値P=215[kPa]となる。
【0075】
また、静電引出し法を用いた場合におけるタンク30内圧力についての許容変動範囲(たとえば変動を誤差として見なせる程度の値)は、その5パーセント以下の値と仮定すると、たとえば±10Pa程度であることが分かる。このように、タンク30内部の圧力変動幅をたとえば±10Pa以下という小さい変動範囲内に抑えることで、ターゲット13の速度変動を小さくして、EUV光が集光する位置の変動を抑えることが可能となり、この結果、露光機において生じる露光ムラを低減することができる極端紫外光光源装置が実現される。なお、本実施の形態6においても、溶融錫34の温度を一定に制御するヒータ33を設けているので、ターゲット13の速度変動をより小さくして、EUV光が集光する位置の変動をより抑えることが可能となり、この結果、露光機において生じる露光ムラをより低減することができる極端紫外光光源装置が実現される。
【0076】
つぎに、
図18に示すフローチャートを参照して、コントローラ60に対応するコントローラ68によるタンク30内の圧力切替制御処理手順について説明する。
図18は、コントローラ68による圧力切替制御処理手順を示す全体フローチャートである。
図18と
図3とを比較すると明らかなように、この実施の形態6では、
図3に示したステップS101とステップS102との間に、電極36にターゲット射出用の電圧を印加する処理(ステップS601)が実行され、また、
図3に示したステップS109の後に、電極36への電圧の印加を停止する処理(ステップS602)が実行される。その他の行程は、
図3と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、ステップS104の結果、タンク30内のガス圧は、上述の式2による臨界値程度で、且つ、電極36に電圧を印加した状態でノズル31からターゲット13が出力する圧力に制御される。また、ステップS107の減圧処理は、上述において
図4を用いて説明した処理と同様である。
【0077】
以上のように構成および動作することで、本実施の形態6のように静電引出し法を採用したターゲット供給装置においても、上記した実施の形態およびその変形例と同様の効果を奏することが可能である。
【0078】
なお、上記実施の形態およびその変形例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。さらに、上述の各実施の形態およびその変形例は、相互に適宜組み合わせることが可能である。