特許第6092954号(P6092954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6092954酸化に対して安定化されたCMP組成物及びCMP方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092954
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】酸化に対して安定化されたCMP組成物及びCMP方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20170227BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20170227BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H01L21/304 621D
   H01L21/304 622D
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550Z
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-134469(P2015-134469)
(22)【出願日】2015年7月3日
(62)【分割の表示】特願2009-501432(P2009-501432)の分割
【原出願日】2007年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-195391(P2015-195391A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】11/384,538
(32)【優先日】2006年3月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】グランバイン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,レンジー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チャン
(72)【発明者】
【氏名】カーター,フィリップ
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−286335(JP,A)
【文献】 特開2002−313759(JP,A)
【文献】 特開2004−14623(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0031985(US,A1)
【文献】 特開2003−229387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)研磨パッドと、コロイダルシリカ、アミノ化合物、ラジカル発生型酸化剤、アミノ化合物のラジカル誘発型酸化を抑制できるラジカル捕捉剤、及びこれらのための水性キャリヤーを含む水性CMP組成物とをタングステン含有基板の表面に接触させる工程であって、ラジカル捕捉剤は、芳香族ニトロ化合物、複素環式芳香族ニトロ化合物、脂肪族ニトロ化合物、ニトロソ化合物、窒素フリーラジカル型化合物、N‐オキシド化合物、N‐ヒドロキシル‐イミン化合物、アシルアミノ置換芳香族化合物、N‐アシル‐エナミン化合物、及びこれらの窒素化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される窒素化合物を含む工程;並びに
(b)前記表面の少なくとも一部を研磨するのに十分な時間に亘って、CMP組成物の一部を研磨パッドとタングステン含有基板の間の前記面と接触させながら、研磨パッドとタングステン含有基板の間に相対運動を起こす工程;
を含む、タングステン含有基板を研磨する化学機械研磨(CMP)方法。
【請求項2】
ラジカル発生型酸化剤は、ペルオキシ化合物及びハロゲン化合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ラジカル発生型酸化剤は過酸化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ラジカル発生型酸化剤は過硫酸塩化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ラジカル発生型酸化剤はヨウ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アミノ化合物は、少なくとも1つの第一級アミン基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アミノ化合物は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨組成物及び該組成物を用いて基板を研磨する方法に関する。より詳細には、本発明はアミン及びラジカル発生型酸化剤を含む安定化された化学機械研磨組成物、並びにこの組成物を利用する化学機械研磨組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面を化学機械研磨(CMP)する組成物及び方法は当技術分野で周知である。典型的には、半導体基板(例えば集積回路)の金属含有表面のCMP用研磨組成物(研磨スラリー、CMPスラリー、及びCMP組成物としても知られている)は、酸化剤、様々な添加化合物、研磨剤などを含む。
【0003】
従来のCMP法では、基板支持体又は研磨ヘッドを支持体の集成体に取り付け、CMP装置の研磨パッドと接触させて配置する。この支持体の集成体は基板に制御可能な圧力を加え、この基板を研磨パッドに押し付ける。外部駆動力によってこのパッドを基板と相対的に動かす。パッド及び基板の相対運動は、基板の表面を磨耗させて基板表面から物質の一部を除去するのに役立ち、その結果として基板を研磨する。典型的には、パッド及び基板の間の相対運動による基板の研磨は、研磨組成物の化学的活性(例えばCMP組成物に存在している酸化剤)及び/又は研磨組成物中に懸濁している研磨剤の機械的活性によってさらに促進される。
【0004】
パッド及び表面の間にCMPスラリーを保持しながら、表面に研磨パッドを接触させて、表面と相対的に研磨パッドを動かすことにより、基板の表面を磨耗させて表面を研磨する典型的な研磨剤物質としては、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及び酸化スズが挙げられる。
【0005】
例えば、Nevilleらの米国特許第5,527,423号明細書には、水媒体に懸濁している高純度の微小な金属酸化物粒子を含む研磨スラリーを金属層の表面に接触させることにより金属層を化学機械的に研磨する方法が開示されている。また、研磨物質を研磨パッドに含めてもよい。Cookらの米国特許第5,489,233号明細書には表面組織又はパターンを有する研磨パッドの使用が、またBruxvoortらの米国特許第5,958,794号明細書には固定された研磨パッドが開示されている。
【0006】
多くの集積回路では、回路の様々な部分同士の電気的接続のために金属を利用する。典型的には相互接続集積回路は、絶縁体で囲まれているマイクロメーター以下の断面と三次元的な金属線からなる。一般に、相互接続回路として使用するのに選択される金属としては、水平型相互接続用のアルミニウム及び銅、並びに垂直型相互接続(中間層)用のタングステン及び銅が挙げられる。同様に、タンタル及び様々なタンタル化合物(例えば窒化タンタル)は、銅が下層のケイ素中に移行するのを防ぐバリアー層として頻繁に利用される。相互接続集積回路は幾つかの1μm厚の層からなるであろう。一般に金属含有表面を研磨するためのCMP組成物は、過剰な金属、バリアー層、ポリシリコン、及び酸化剤、研磨剤など、並びにベンゾトリアゾールなどのようなアミノ型腐食防止剤を除去するのに役立つ様々な他の成分を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常は、アミン化合物(例えばベンゾトリアゾール)及びラジカル発生型酸化剤(例えば過酸化水素)を含む従来の研磨組成物の可使時間は、アミンがラジカル発生型酸化剤によって頻繁に酸化されるから、完全に満足できるというわけではない。通常は、アミンが酸化するとそれらの本来の目的(例えば腐食防止)を達成するアミンの有効性が減る。
【0008】
それ故に、アミン及びラジカル発生型酸化剤を含み、従来のCMP組成物より長い可使時間を有する新規なCMP組成物の開発が継続的に必要とされている。本発明は、そのような改良されたCMP組成物を提供する。本発明のこれらの利点及び他の利点、並びに付加的な発明の性質が本書に示されている発明の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アミノ化合物、ラジカル発生型酸化剤、アミノ化合物のラジカル誘発型酸化を抑制できるラジカル捕捉剤、及びこれらのための水性キャリヤーを含む化学機械研磨(CMP)組成物を提供する。ラジカル捕捉剤はヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせを含む。所望により、この組成物は金属酸化物研磨剤(例えばシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、又はこれらの研磨剤の2つ以上の組み合わせ)、並びに他のCMP添加剤を含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、ラジカル捕捉剤は、芳香族ニトロ化合物、複素環式芳香族ニトロ化合物、脂肪族ニトロ化合物、ニトロソ化合物、窒素フリーラジカル型化合物、N‐オキシド化合物、N‐ヒドロキシル‐イミン化合物、アシルアミノ置換芳香族化合物、N‐アシル‐エナミン化合物、及びこれら窒素化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される窒素化合物である。
【0011】
他の実施態様では、ラジカル捕捉剤はヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物である。適切なヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物の非制限的な例としては、ヒドロキノン型化合物、ヒドロキシル置換キノン化合物、ヒドロキシル置換クマリン化合物、ヒドロキシル置換ナフタレン化合物、アルキルオキシ置換フェノール化合物、アルキル置換フェノール化合物、ヒドロキシル置換複素環式芳香族化合物、スルホン酸置換フェノール化合物、これらの塩、及びこれらの化合物の2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0012】
好ましくは、ラジカル発生型酸化剤は、ペルオキシ化合物(例えば、過酸化水素、過硫酸塩など)及びハロゲン化合物(例えばヨウ素)からなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む。
【0013】
アミノ化合物は少なくとも1つの第一級アミン基、少なくとも1つの窒素含有複素環基、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、又はこれらの基の2つ以上の組み合わせを含むことが好ましい。
【0014】
別の態様では、本発明は基板を化学機械的に研磨する方法を提供する。本方法は、基板の表面に研磨パッド及び水性CMP組成物を接触させる工程、並びにCMP組成物の一部をパッド及び基板の間の面と接触させながら研磨パッド及び基板の間に相対運動を起こす工程を含む。相対運動は、表面の少なくとも一部を研磨するのに十分な時間は保持される。このCMP組成物はアミノ化合物、ラジカル発生型酸化剤、アミノ化合物のラジカル誘発型酸化を抑制できるラジカル捕捉剤、これらのための水性キャリヤー、及び所望により金属酸化物研磨剤を含む。ラジカル捕捉剤はヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせでよく、ラジカル発生型酸化剤によるアミンの酸化を抑制できる。
【0015】
さらに別の態様では、本発明は、アミノ化合物及びラジカル発生型酸化剤を含むCMP組成物の可使時間を増加させる方法を提供する。本方法は、アミン酸化を抑制できる量のラジカル捕捉剤(ヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせを含む)をCMP組成物に添加する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】様々なラジカル捕捉剤を含む本発明の様々なCMP組成物について過酸化水素を加えた後の時間に対するヒュームドシリカのゼータ電位を、ラジカル捕捉剤を含まない対照組成物と比較したプロット図である。
図2】過酸化水素を加えた後の時間を増やしたときの本発明の様々なCMP組成物のタングステン除去速度を、いかなるラジカル捕捉剤も存在しない対照組成物と比較した棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、増加した保存寿命の安定性を有する化学機械研磨(CMP)組成物を提供する。CMP組成物は水性キャリヤー中にアミノ化合物、ラジカル発生型酸化剤、及びラジカル捕捉剤を含む。ラジカル捕捉剤はアミノ化合物のラジカル誘発型酸化を抑制できる。ラジカル捕捉剤はヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせでよい。一当業者であれば容易に理解できるように、個々のラジカル捕捉剤を前述の分類の1つ又は両方に含めてよい(すなわち、例えば2‐ヒドロキシピリジンのようなラジカル捕捉剤は窒素化合物及びヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物の両方となり得る)。
【0018】
アミノ化合物は、当技術分野で周知の様々な目的で(例えば腐食防止剤、分散剤などとして)本発明のCMP組成物に利用される。本発明のCMP組成物に存在するアミノ化合物としては、限定されるものではないが、少なくとも1つの第一級アミノ基を有する化合物、少なくとも1つの窒素含有複素環基を有する化合物、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有する化合物、又は前述の基の2つ以上の組み合わせを有する化合物が挙げられる。CMP組成物のアミノ化合物成分はラジカル捕捉剤成分とは別個の、また異なるものであることが好ましいが、アミノ置換化合物でもよい。
【0019】
適切なアミノ化合物の例としては、第一級アミノ基を有する化合物、窒素含有複素環式化合物(例えば、ベンゾトリアゾール(BTA)、1,2,4‐トリアゾール、イミダゾール化合物など)、及び第四級アンモニウム化合物(例えば第四級アンモニウム置換ポリマー)が挙げられる。
【0020】
本発明のCMP組成物に用いるのに適切な第四級アンモニウム置換ポリマーは、少なくとも1つの第四級アンモニウム置換モノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーでよい。また、第四級アンモニウム置換ポリマーは、少なくとも1つの第四級アンモニウム置換モノマー単位を含む両性ポリマーでよい。
【0021】
第四級アンモニウム置換ホモポリマーは、基本的に第四級アンモニウム置換モノマーの繰り返し単位からなる適切なホモポリマーのいずれかでよい。第四級アンモニウム置換基は非環式でもよいし、又は環状構造の中に組み込まれていてもよい。カチオン性ポリマーの溶解度、粘度、又は他の物理パラメータを変えるために、アルキル化、アシル化、エトキシル化、又は他の化学反応によって第四級アンモニウム置換ポリマーをさらに改質することも適切である。第四級アンモニウム置換ホモポリマーの非制限的な例としては、ハロゲン化ポリジアリルジメチルアンモニウム、塩化ポリ(メタクリルオキシルオキシエチルトリメチルアンモニウム)、及び塩化ポリ(メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム)が挙げられる。
【0022】
また、幾つかの実施形態では、第四級アンモニウム置換ポリマーは、少なくとも1つの第四級アンモニウム置換モノマー及び少なくとも1つの非イオン性モノマーを含むコポリマーでよく、少なくとも1つの第四級アンモニウム置換モノマーは、モル基準でコポリマーの50%を超えるか、モル基準でコポリマーの50%以下のいずれかを構成する。第四級アンモニウムで置換された及び非イオン性のモノマーは、いかなる適切な第四級アンモニウムで置換された及び非イオン性のモノマーでもよい。
【0023】
例えば、第四級アンモニウム置換モノマーは、いかなる適切な四級化窒素を含む第四級アンモニウム置換モノマーでもよい。モノマー単位中の四級化アンモニウム基は、非環式でもよいし、又は環状構造に組み込まれていてもよい。本発明に関して有用な第四級アンモニウム置換モノマーの例としては、限定されるものではないが、ハロゲン化ジアリルジメチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及び塩化メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムが挙げられる。
【0024】
非イオン性モノマーは、いかなる適切な非イオン性モノマーでもよく、例えば、限定されるものではないが、エチレン、プロピレン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレン、エピクロロヒドリン、アクリルアミド、これらの混合物が挙げられる。
【0025】
第四級アンモニウム置換コポリマーは、任意の適切な方法で調製できる。例えば、このコポリマーは、フリーラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、又は縮重合によって製造できる。このコポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、ブロックコポリマー(例えばAB、ABA、ABCなど)、グラフトコポリマー、又は櫛型コポリマーでよい。第四級アンモニウム置換コポリマーは、コポリマーの溶解度、粘度、又は他の物理パラメータを変えるために、アルキル化、アシル化、エトキシル化、又は他の化学反応によってさらに改質してよい。
【0026】
ここでは、用語「第四級アンモニウム置換ポリマー」は、ポリ[(N‐3‐スルホプロピル)‐N‐メタクリルアミドプロピル‐N,N‐ジメチルアンモニウムベタイン]、ポリ[(N‐3‐スルホプロピル)‐N‐メタクリルオキシエチル‐N,N‐ジメチルアンモニウムベタイン]、これらのコポリマーなどのような両性ポリマー(すなわち、同一ポリマー内に第四級アンモニウムで置換された基及びアニオン性の基を有するポリマー)をも包含する。
【0027】
第四級アンモニウム置換ポリマー(すなわち、ホモポリマー又はコポリマー)は、任意の適切な重量平均分子量を有することができる。好ましくは、カチオン性ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー、光散乱、動粘性率、又はポリオキソメタレート錯体に利用される特定のポリマーに適した他の方法のいずれかによって決められた1,000ダルトン以上の重量平均分子量を有するであろう。ポリマーの分子量及び分子量分布を決定する方法は、ポリマー技術分野で周知である。
【0028】
本発明の組成物及び方法に有用な他のアミノ化合物としては、限定されるものではないが、窒素含有複素環式化合物(例えばベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール、1,2,4‐トリアゾール、及び置換1,2,4‐トリアゾール)、第一級アミン化合物(例えば、エチレンジアミンのようなジアミン、1,4‐ビス(3‐アミノプロピル)ピペラジン、4,7,10‐トリオキサトリデカン‐1,13‐ジアミン)などが挙げられる。
【0029】
好ましくは、アミノ化合物は、本発明のCMP組成物中に0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.005〜0.05質量%の範囲の量で存在する。
【0030】
本発明のCMP組成物及び方法に用いるのに適したラジカル発生型酸化剤としては、ペルオキシ化合物及びハロゲンが挙げられる。好ましいペルオキシ化合物としては、過酸化水素及び過硫酸塩(例えば、モノ過硫酸アンモニウム、二過硫酸アンモニウム、モノ過硫酸カリウム、及び二過硫酸カリウム)が挙げられる。好ましいハロゲンとしてはヨウ素が挙げられる。好ましくは、ラジカル発生型酸化剤は、組成物中に0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲の量で存在する。
【0031】
ラジカル捕捉剤は本発明のCMP組成物中に、アミノ化合物の酸化を抑制するくらいの量で、例えば、大気室温(例えば20〜25℃)でラジカル発生型酸化剤を加えた後に、アミノ基の酸化の量を5日間の貯蔵期間に亘って20%以上まで、好ましくは5日間の貯蔵期間に亘って50%以上まで減らすくらいの量で存在する。好ましくは、ラジカル捕捉剤はCMP組成物中に0.00001〜0.1モル、より好ましくは0.001〜0.05モルの範囲の量で存在する。
【0032】
適切な窒素含有ラジカル捕捉剤の非制限的な例としては、芳香族ニトロ化合物(例えば3,5‐ジニトロ安息香酸)、複素環式芳香族ニトロ化合物(例えば2‐メチル‐4‐ニトロイミダゾール)、脂肪族ニトロ化合物(例えばトリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン)、ニトロソ化合物(例えば1‐ニトロソ‐2‐ナフトール)、窒素フリーラジカル型化合物(例えば、TEMPOとしても知られる2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシフリーラジカル、及び4‐ヒドロキシ‐TEMPOのようなニトロキシド化合物)、N‐オキシド化合物(例えばイミダゾール‐N‐オキシド、1‐(2‐ヒドロキシメチル)ピペラジン‐N‐オキシド、及びN‐メチルモルホリン‐N‐オキシド)、N‐ヒドロキシル‐イミン化合物(例えばN‐ヒドロキシフタルイミド)、アシルアミノ置換芳香族化合物(例えば、アセトアニリド及びN‐アセチル‐5‐メトキシトリプタミン)、N‐アシル‐エナミン化合物(例えば尿酸)、並びにこれらの窒素化合物の2つ以上の組み合わせが挙げられる。窒素フリーラジカル型ラジカル捕捉剤(例えばTEMPOなど)では、20〜25℃の範囲の大気室温における水溶液中のフリーラジカル半減期が0.01秒以上、より好ましくは1秒以上、最も好ましくは10秒以上であることが好ましい。窒素含有ラジカル捕捉剤はアセトアニリドであることが好ましい。当業者であれば容易に理解できるであろうが、それぞれの窒素含有ラジカル捕捉剤を1つ又は2つ以上の前述の種別の中に含めてよい。
【0033】
CMP工程中のラジカル捕捉剤及び1つ又は2つ以上の金属イオンの間の錯体の形成は研磨速度の好ましくない増加を導き、及び/又はラジカル捕捉剤を不活性化し得る(すなわち、アミン酸化を抑制する有効性を減少させる)。それ故に、窒素含有ラジカル捕捉剤は銅のような金属イオンと容易に錯形成しないことが好ましい。好ましい実施形態では、窒素含有ラジカル捕捉剤は8未満、より好ましくは5未満の銅‐配位子の錯生成定数を有する。
【0034】
適切なヒドロキシル置換ポリ不飽和環状ラジカル捕捉剤の非制限的な例としては、ヒドロキノン型化合物(例えば、1,4‐ヒドロキノン、没食子酸プロピル)、ヒドロキシル置換キノン化合物(例えば、2,5‐ジヒドロキシベンゾキノン、1,5‐ジアミノ‐4,8‐ジヒドロキシ‐アントラキノンジスルホン酸、ヒドロキシキノンスルホン酸、及びこれらの塩)、ヒドロキシル置換クマリン化合物(例えば、4‐メチルウンベリフェロンとしても知られる4‐メチル‐7‐ヒドロキシクマリン、)、ヒドロキシル置換ナフタレン化合物(例えば、3‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸及びその塩)、アルキルオキシ置換フェノール化合物(例えば4‐メトキシフェノール)、アルキル置換フェノール化合物、ヒドロキシル置換複素環式芳香族化合物(例えば2‐ヒドロキシピリジン)、スルホン酸置換フェノール化合物、これらの塩(すなわち、前述の化合物のいずれかの塩)及び前述の化合物の2つ以上の組み合わせが挙げられる。好ましいヒドロキシル置換ポリ不飽和環状ラジカル捕捉剤としては、前述のようなヒドロキノン型化合物、ヒドロキシル置換キノン化合物、アルキルオキシ置換フェノール化合物、及びスルホン酸置換フェノール化合物が挙げられる。当業者であれば容易に理解できるであろうが、それぞれのヒドロキシル置換ポリ不飽和環状ラジカル捕捉剤を1つ又は2つ以上の前述の種別の中に含めてよい。
【0035】
ヒドロキシル置換ポリ不飽和環状ラジカル捕捉剤は容易に金属イオンと錯形成しないことが好ましい。好ましい実施形態では、ヒドロキシル置換ポリ不飽和環状ラジカル捕捉剤の銅‐配位子の錯生成定数が10未満、より好ましくは8未満、最も好ましくは5未満である。
【0036】
所望により、本組成物は金属酸化物研磨剤を含む。適切な研磨剤としては、CMPの技術分野で周知であるシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、又はこれらの研磨剤の2つ以上の組み合わせが挙げられる。好ましい金属酸化物研磨剤としてはコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、及びアルミナが挙げられる。
【0037】
研磨剤は本発明のCMP組成物中に0.001〜20質量%の範囲の量で存在することが好ましい。幾つかの実施形態では、CMP組成物中に存在する研磨剤の量は0.01〜5質量%の範囲である。他の実施形態では、研磨剤の量は0.1〜1質量%の範囲である。
【0038】
研磨剤はCMP組成物に、より具体的にはCMP組成物の水性成分に懸濁していることが望ましい。研磨剤がCMP組成物に懸濁している場合には、その研磨剤はコロイド的に安定していることが好ましい。用語「コロイド」とは、キャリヤー液中の研磨剤粒子の懸濁をいう。コロイド安定性とは、長期的にその懸濁が持続することをいう。本発明に関しては、研磨剤を100mLメスシリンダーの中に入れて撹拌せずに2時間立たせたときの、メスシリンダーの底から50mLまでの粒子の濃度([B]g/mL)及びメスシリンダーの上部から50mLまでの粒子の濃度([T]g/mL)の差を研磨剤組成物中の粒子の初期濃度([C]g/mL)で割った値が0.5以下(すなわち、{[B]−[T]}/[C]≦0.5)であるならば、研磨剤はコロイド的に安定であると考えられる。[B]−[T]/[C]の値は、望ましくは0.3以下、好ましくは0.1以下である。
【0039】
本発明のCMP組成物は2〜11の範囲のpHを有することが好ましい。所望により、CMP組成物は1つ又は2つ以上のpH緩衝物質(例えば、酢酸アンモニウム、クエン酸二ナトリウムなど)を含んでよい。そのようなpH緩衝物質の多くは当技術分野で周知である。銅CMP用途では、組成物は5〜10の範囲のpHを有することが好ましい。タングステンCMP用途では、組成物は2〜4の範囲のpHを有することが好ましい。
【0040】
所望により、本発明のCMP組成物は界面活性剤、レオロジー制御剤(例えば、粘度増強剤又は凝固剤)、殺生剤など(その多くがCMP技術分野で周知である)のような1つ又は2つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0041】
本発明のCMP組成物は、その多くが当業者に知られているような適切な方法のいずれかで調製できる。CMP組成物は回分法又は連続法で調製できる。一般にCMP組成物は、任意の順序でその成分を混合することにより調製できる。ここでの用語「成分」は、個別の原料(例えば、酸、塩基など)及び原料(例えば、酸、塩基、界面活性剤など)の任意の組み合わせを包含する。例えば、研磨剤を水に分散し、アミノ化合物及びラジカル捕捉剤を添加して、それらの成分をCMP組成物中に含めることができる任意の方法で混合してよい。典型的には、組成物がCMP工程で使える状態になるまではラジカル発生型酸化剤をCMP組成物に添加しない。例えば、酸化剤を研磨の開始直前に添加できる。pHは適切な時ならいつでも調整してよい。
【0042】
本発明のCMP組成物は、使用前に適切な量の水で希釈することを目的とした濃縮物として提供してもよい。そのような実施形態では、CMP組成物の濃縮物は、適切な量の溶媒で濃縮物を希釈した状態で、研磨組成物の各成分が使用に適した範囲内の量でCMP組成物中に存在するような量で水溶液に分散している又は溶解している様々な成分を含むことができる。
【0043】
本発明は
(i)研磨パッド及びここで述べたCMP組成物を基板に接触させる工程、並びに
(ii)研磨パッドと基板との間に研磨組成物を存在させた状態で研磨パッドを基板と相対的に運動させ、基板の少なくとも一部分を磨耗させて基板を研磨する工程
を含む基板を化学機械的に研磨する方法も提供する。
【0044】
本発明のCMP法は任意の適切な基板を研磨するのに使用でき、特にタングステン、銅、ルテニウム、タンタルなどのような金属成分を含む基板を研磨するのに有用である。
【0045】
本発明のCMP法は化学機械研磨装置とともに使用するのに最適である。本発明の研磨方法は化学機械研磨装置とともに用いるのに特に適している。典型的には、CMP装置は定盤(使用中には動いており、軌道の、直線の又は円の動きによる速度を有する)、研磨パッド(定盤と接触しており、運転中は定盤とともに動いている)及び支持体(基板が研磨パッドの表面と接触して相対的に動くことにより研磨されるように基板を支える)を含む。基板を研磨パッド及び本発明のCMP組成物と接触するように配置して、次に基板の少なくとも一部分を磨耗させて基板を研磨するために研磨パッドを基板と相対的に運動させることによって、基板の研磨を行なう。
【0046】
任意の適切な研磨パッド(例えば、研磨表面)を用いて化学機械研磨組成物によって基板を平坦化又は研磨できる。適切な研磨パッドとしては、例えば、織布又は不織布の研磨パッドが挙げられる。さらに、適切な研磨パッドは、様々な密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮に反発する能力、及び圧縮弾性率を変えているような任意の適切なポリマーを含むことができる。適切なポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フッ化炭素、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
CMP装置は、その場に研磨終点検出システム(そのシステムの多くは当技術分野で知られている)をさらに含むことが望ましい。被処理物の表面から反射された光又は他の放射線を分析することにより研磨工程を検査及び監視する技術が当技術分野で知られている。例えば、Sandhuらの米国特許第5,196,353号明細書、Lustigらの米国特許第5,433,651号明細書、Tangの米国特許第5,949,927号明細書、Birangらの米国特許第5,964,643号明細書にそのような技術が開示されている。研磨されている被処理物に関する研磨工程の進行を検査又は監視して、研磨終点の検出、すなわち特定の被処理物に関する研磨工程を終わらせる時の検出を可能にすることが望ましい。
【0048】
本発明の別の態様は、アミノ化合物及びラジカル発生型酸化剤を含むCMP組成物の可使時間を増加させる方法である。この方法は、アミン酸化を抑制する量のラジカル捕捉剤(すなわち、ヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせ)をCMP組成物に添加する工程を含む。本発明に関して、アミン酸化を抑制するラジカル捕捉剤の量は、20〜25℃の範囲の大気温度で組成物のアミン成分をラジカル発生型酸化剤に触れさせた後に、CMP組成物中のアミン酸化の度合いを5日間に亘って20%以上まで減らすのに十分な量である。
【実施例】
【0049】
次の実施例は本発明をさらに説明するものであるが、当然のことながら、その範囲に何らかの制限を加えるものと解釈するべきではない。
【0050】
実施例1
この実施例では、本発明のCMP組成物に有用な様々なラジカル捕捉剤のアミン酸化抑制効率を説明する。
【0051】
12質量%コロイダルシリカ、3質量の過酸化水素、1100ppmのベンゾトリアゾール(BTA)、0.5質量%の酢酸カリウム、及び80ppmのポリエチレングリコールを含むスラリーに捕捉剤を添加した。評価したラジカル捕捉剤及び添加した各ラジカル捕捉剤の量を表1に示す。Waters996光ダイオード・アレイ及び溶媒グラジエント分析データを用いて220nmでのUV検出器を備えたWaters2695上のHPLCを用いて5日後のBTA濃度を測定した。評価された各CMP組成物の5日後の残存BTAの割合(%)を表1に示す。
【0052】
表1のデータによると、5日後にBTAのわずか49%が捕捉剤なしの対照CMP組成物に残存している(実施例1A)。一方で、ラジカル捕捉剤濃度が0.001モルであった実施例(例えばラジカル捕捉剤としてN‐アセチル‐5‐メトキシトリプタミンを用いた実施例1L)のBTAは最大70%残存している。0.005モル濃度のラジカル捕捉剤では、5日後の組成物(例えば、ラジカル捕捉剤として1‐ニトロソ‐2‐ナフトールを利用した実施例1P)中のBTAの最大88%が残存している。驚くべきことに、0.009モル濃度のラジカル捕捉剤では、N‐アセチル‐5‐メトキシトリプタミン(実施例1L)又は1‐ニトロソ‐2‐ナフトール(実施例1P)がラジカル捕捉剤の場合にBTA酸化の進行は基本的に完全に抑制された。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例2
この実施例では、CMP組成物に存在しているコロイダルシリカ粒子のゼータ電位測定によって決定されたラジカル捕捉剤のアミン酸化を抑制する能力を説明する。シリカのゼータ電位は、シリカの表面上に残っているアミン化合物の量に関係し、同様に酸化剤の存在下におけるアミノ成分の保存寿命に関係する。
【0055】
Malvern社製Zetasizer3000(この装置には±5mVの標準器械誤差がある)を用いて粒子の電気泳動移動度を測定することにより各組成物中のヒュームドシリカ粒子のゼータ電位を得た。評価したフェノール系及び窒素含有ラジカル捕捉剤としては、2‐ヒドロキシピリジン(285ppm及び950ppm濃度、それぞれ実施例2A及び2Bとした)、尿酸(504ppm、実施例2C)、N‐メチルモルホリン‐N‐オキシド(702ppm、実施例2D)、4‐ヒドロキシTEMPO(516ppm、実施例2E)、及びアセトアニリド(676ppm、実施例2F)が挙げられる。アスコルビン酸を含む組成物(実施例2G)又はラジカル捕捉剤のない組成物(実施例2H)も対照用に試験した。評価したCMP組成物の処方は、この配合物に存在することができるラジカル捕捉剤のいずれかに加えて、0.5質量%のヒュームドシリカ、0.04質量%の硝酸鉄九水和物、345ppmのマロン酸、180ppmの臭化ポリ(2‐メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及び4質量%の過酸化水素である。この結果を図1に図示する。図1から明らかなように、ラジカル捕捉剤は長期に亘ってゼータ電位の落ち込みを著しく減らした。
【0056】
実施例3
この実施例では、新たに調製したCMP組成物、及び過酸化水素を加えてから3日間及び7日間保存した組成物を用いてタングステンウエハーを研磨することにより得られたタングステン除去速度によって、アミン含有CMP組成物を安定化するラジカル捕捉剤の能力を説明する。
【0057】
利用した組成物は、実質的に実施例2で説明したように製造した。ラジカル捕捉剤の存在しない組成物(実施例2Hと同処方の実施例3A)を675ppmのアセトアニリド(実施例3B)又は500ppmのTEMPO(実施例3C)を含む組成物と比較した。IC1000同心円状K溝付きの研磨パッド「Suba(登録商標)IV」、定盤速度:100rpm、支持体速度:55rpm、副支持体圧:225ヘクトパスカル(hPa)(3.2ポンド/平方インチ又は[psi])、背面圧:225hPa(3.2psi)、リテーナリング圧:200hPa(2.9psi)、スラリー流速:150mL/分の操作条件下で、Ebara社製FREX200mm研磨器上でウエハーを研磨した。
【0058】
結果を図2に図示する。図2のデータは、対照組成物と比較してTEMPOがCMP組成物を最大7日間に亘って安定化できたのに対して、アセトアニリドが組成物を最大3日間に亘って安定化したことを示す。
本発明は、下記の態様を含んでいる。
(1)(a)アミノ化合物、
(b)ラジカル発生型酸化剤、
(c)ヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせを含み、アミノ化合物のラジカル誘発型酸化を抑制できるラジカル捕捉剤、及び
(d)これらのための水性キャリヤー
を含む化学機械研磨(CMP)組成物。
(2)ラジカル捕捉剤が、芳香族ニトロ化合物、複素環式芳香族ニトロ化合物、脂肪族ニトロ化合物、ニトロソ化合物、窒素フリーラジカル型化合物、N‐オキシド化合物、N‐ヒドロキシル‐イミン化合物、アシルアミノ置換芳香族化合物、N‐アシル‐エナミン化合物、及びこれら窒素化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される窒素化合物を含む(1)に記載のCMP組成物。
(3)ラジカル捕捉剤が、ヒドロキノン型化合物、ヒドロキシル置換キノン化合物、ヒドロキシル置換クマリン化合物、ヒドロキシル置換ナフタレン化合物、アルキルオキシ置換フェノール化合物、アルキル置換フェノール化合物、ヒドロキシル置換複素環式芳香族化合物、スルホン酸置換フェノール化合物、これらの塩及びこれらの化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物を含む(1)に記載のCMP組成物。
(4)ラジカル発生型酸化剤が、ペルオキシ化合物及びハロゲン化合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む(1)に記載のCMP組成物。
(5)ラジカル発生型酸化剤が過酸化水素を含む(1)に記載のCMP組成物。
(6)ラジカル発生型酸化剤が過硫酸塩を含む(1)に記載のCMP組成物。
(7)ラジカル発生型酸化剤がヨウ素を含む(1)に記載のCMP組成物。
(8)アミノ化合物が、少なくとも1つの第一級アミン基、少なくとも窒素を含有する複素環基、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む(1)に記載のCMP組成物。
(9)さらに金属酸化物研磨剤を含む(1)に記載のCMP組成物。
(10)金属酸化物研磨剤がシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、及びこれらの研磨剤の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される(9)に記載のCMP組成物。
(11)(a)研磨パッドと、アミノ化合物、ラジカル発生型酸化剤、アミノ化合物のラジカル誘発型酸化を抑制できるラジカル捕捉剤(ただし、ラジカル捕捉剤は、ヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせを含む。)、及びこれらのための水性キャリヤーを含む水性CMP組成物とを基板の表面に接触させる工程、並びに
(b)前記表面の少なくとも一部を研磨するのに十分な時間、CMP組成物の一部をパッド及び基板の間の前記面と接触させながら、研磨パッド及び基板の間に相対運動を起こす工程
を含む基板を研磨する化学機械研磨(CMP)方法。
(12)ラジカル捕捉剤が、芳香族ニトロ化合物、複素環式芳香族ニトロ化合物、脂肪族ニトロ化合物、ニトロソ化合物、窒素フリーラジカル型化合物、N‐オキシド化合物、N‐ヒドロキシル‐イミン化合物、アシルアミノ置換芳香族化合物、N‐アシル‐エナミン化合物、及びこれら窒素化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される窒素化合物を含む(11)に記載の方法。
(13)ラジカル捕捉剤が、ヒドロキノン型化合物、ヒドロキシル置換キノン化合物、ヒドロキシル置換クマリン化合物、ヒドロキシル置換ナフタレン化合物、アルキルオキシ置換フェノール化合物、アルキル置換フェノール化合物、ヒドロキシル置換複素環式芳香族化合物、スルホン酸置換フェノール化合物、これらの塩及びこれらの化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物を含む(11)に記載の方法。
(14)ラジカル発生型酸化剤が、ペルオキシ化合物及びハロゲン化合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む(11)に記載の方法。
(15)ラジカル発生型酸化剤が過酸化水素を含む(11)に記載の方法。
(16)ラジカル発生型酸化剤が過硫酸塩を含む(11)に記載の方法。
(17)ラジカル発生型酸化剤がヨウ素を含む(11)に記載の方法。
(18)アミノ化合物が少なくとも1つの第一級アミン基を含む(11)に記載の方法。
(19)アミノ化合物が少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含む(11)に記載の方法。
(20)CMP組成物が金属酸化物研磨剤をさらに含む(11)に記載の方法。
(21)金属酸化物研磨剤が、シリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、及びこれらの研磨剤の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される(20)に記載の方法。
(22)アミノ化合物及びラジカル発生型酸化剤を含むCMP組成物の可使時間を増加させる方法であって、アミン酸化を抑制する量のラジカル捕捉剤(ただし、ラジカル捕捉剤は、ヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物、窒素化合物、又はこれらの組み合わせを含む。)をCMP組成物に添加する工程を含むことを特徴とする方法。
(23)ラジカル捕捉剤が、芳香族ニトロ化合物、複素環式芳香族ニトロ化合物、脂肪族ニトロ化合物、ニトロソ化合物、窒素フリーラジカル型化合物、N‐オキシド化合物、N‐ヒドロキシル‐イミン化合物、アシルアミノ置換芳香族化合物、N‐アシル‐エナミン化合物、及びこれら窒素化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される窒素化合物を含む(22)に記載の方法。
(24)ラジカル捕捉剤が、ヒドロキノン型化合物、ヒドロキシル置換キノン化合物、ヒドロキシル置換クマリン化合物、ヒドロキシル置換ナフタレン化合物、アルキルオキシ置換フェノール化合物、アルキル置換フェノール化合物、ヒドロキシル置換複素環式芳香族化合物、スルホン酸置換フェノール化合物、これらの塩及びこれらの化合物の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル置換ポリ不飽和環状化合物を含む(22)に記載の方法。
(25)ラジカル発生型酸化剤が、ペルオキシ化合物及びハロゲン化合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化剤を含む(22)に記載の方法。
(26)アミノ化合物が少なくとも1つの第一級アミン基を含む(22)に記載の方法。
(27)アミノ化合物が少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含む(22)に記載の方法。
図1
図2