特許第6093569号(P6093569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093569
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 643C
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-287122(P2012-287122)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-130884(P2014-130884A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100093942
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 良二
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 知淳
【審査官】 井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−174933(JP,A)
【文献】 特開2004−079767(JP,A)
【文献】 特開2005−353739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を上向きにして基板を保持し回転させる基板保持機構と、
気体と液体との2流体ジェット流を前記基板保持機構で保持された基板の表面に向けて下向きに噴射する2流体ノズルと、
前記2流体ノズルを前記基板保持機構で保持された基板の中心部から外方に向けて一方向に移動させる移動機構とを有し、
前記2流体ノズルは、前記2流体ノズルの噴射口から噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線と鉛直線との間に所定の傾斜角をもって、前記2流体ノズルの進行方向に沿った前方で基板の表面と衝突するように構成されており、かつ、前記2流体ノズルの前記噴射口から噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線と2流体ノズルの進行方向に沿った直線との間に平面上の所定の捻れ角をもって、基板の回転方向の上流側で基板の表面と衝突するように構成されていることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記傾斜角θは、0°を超え45°以下であることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記捻れ角は、0°を超え30°以下であることを特徴とする請求項に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記2流体ノズルの前記噴射口は、長方形状の細長い形状を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
表面を上向きにして基板を保持し回転させる基板保持機構と、
気体と液体との2流体ジェット流を前記基板保持機構で保持された基板の表面に向けて下向きに噴射する2流体ノズルと、
前記2流体ノズルを前記基板保持機構で保持された基板の中心部から外方に向けて一方向に移動させる移動機構とを有し、
前記2流体ノズルは、前記2流体ノズルから噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線と鉛直線との間に所定の傾斜角をもって、前記2流体ノズルの進行方向に沿った前方で基板の表面と衝突するように構成されており、
前記基板保持機構で保持した基板の周囲を囲繞する飛散防止カップを有し、前記飛散防止カップの前記2流体ノズルの進行方向に沿った前方位置には、開口部を拡げた集中排気口が設けられていることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項6】
前記集中排気口は、専用の排気ダクトに連通していることを特徴とする請求項に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記2流体ノズルは、その下端側が前記捻れ角をもって、基板の回転方向の上流側に向けて捻られるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記2流体ノズルの前記噴射口は円形を有していることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄装置に係り、特に半導体ウエハ等の基板の表面(研磨面)を、2流体ジェット洗浄を利用して非接触で洗浄する基板洗浄装置に関する。本発明の基板洗浄装置は、φ450mmの大口径の半導体ウエハにも対応でき、フラットパネル製造工程やCMOSやCCDなどのイメージセンサー製造工程、MRAMの磁性膜製造工程などにも適用される。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体デバイスの微細化に伴い、基板上に物性の異なる様々な材料の膜を形成してこれを洗浄することが広く行われている。例えば、基板表面の絶縁膜内に形成した配線溝を金属で埋めて配線を形成するダマシン配線形成工程においては、ダマシン配線形成後に化学機械的研磨(CMP)で基板表面の余分な金属を研磨除去するようにしており、CMP後の基板表面には、金属膜、バリア膜及び絶縁膜などの水に対する濡れ性の異なる複数種の膜が露出する。
【0003】
CMPによって、金属膜、バリア膜及び絶縁膜などが露出した基板表面には、CMPに使用されたスラリーの残渣(スラリー残渣)や金属研磨屑などのパーティクル(ディフェクト)が存在し、基板表面の洗浄が不十分となって基板表面に残渣物が残ると、基板表面の残渣物が残った部分からリークが発生したり、密着性不良の原因になるなど信頼性の点で問題となる。このため、金属膜、バリア膜及び絶縁膜などの水に対する濡れ性の異なる膜が露出した基板表面を高い洗浄度で洗浄する必要がある。
【0004】
半導体ウエハ等の基板の表面を非接触で洗浄する洗浄方式の一つとして、2流体ジェット(2FJ)を使用した2流体ジェット洗浄が知られている(特許文献1,2等参照)。2流体ジェット洗浄は、図1に示すように、表面(研磨面)を上向きにして、回転方向Rに水平回転している基板Wの上方に2流体ノズル100を下向きで垂直方向に配置し、基板Wの半径方向に沿って基板Wの中心部から外方に延びる移動方向Mに沿って、2流体ノズル100を基板Wと平行に一方向に移動させつつ、該2流体ノズル100から高速気体に乗せたミスト(微小液滴)からなる2流体ジェット流を基板Wの表面に向けて下向きに噴出させて衝突させ、この微小液滴の基板Wの表面への衝突で発生した衝撃波を利用して基板Wの表面のパーティクルを除去(洗浄)するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3504023号公報
【特許文献2】特開2010−238850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の2流体ジェット洗浄にあっては、特に疎水性の表面を有する基板の該表面を洗浄するときに、一旦除去したパーティクルや空間に浮遊するミスト(微小液滴)が基板表面に付着しやく、基板の表面全域を高い洗浄度で洗浄することが困難となる。つまり、図2,3に示すように、2流体ノズル100から高速気体に乗せたミストを水平回転している基板Wの表面に向けて鉛直方向に下向きに噴出させて基板Wの表面に衝突させると、ミストは、基板Wの表面に衝突した後に周囲にほぼ均等に拡がって空間内に飛散して基板Wの表面に付着する。また、図4に示すように、ミストの衝突によって基板Wの表面から舞い上がったパーティクル102は、基板Wの表面に衝突した後に周囲にほぼ均等に拡がる気流に乗って浮遊し、基板Wの表面の洗浄済みエリアに舞い降りて付着する。そして、特に疎水性の表面では、この洗浄済みエリアに付着したミストやパーティクルがその場に停滞しやすく、結果的に基板Wの表面にパーティクルが残ってディフェクトとなる。
【0007】
特に、今後シリコンウエハのサイズが、最大でφ300mmからφ450mmの大口径となることから、φ450mmのシリコンウエハ等の基板の表面のほぼ全域を高い洗浄度で洗浄することが更に困難になると考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、2流体ジェット洗浄の本来の洗浄特性を活用して、基板の表面を高い洗浄度で洗浄できるようにした基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様において、基板洗浄装置は、表面を上向きにして基板を保持し回転させる基板保持機構と、気体と液体との2流体ジェット流を前記基板保持機構で保持された基板の表面に向けて下向きに噴射する2流体ノズルと、前記2流体ノズルを前記基板保持機構で保持された基板の中心部から外方に向けて一方向に移動させる移動機構とを有し、前記2流体ノズルは、前記2流体ノズルの噴射口から噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線と鉛直線との間に所定の傾斜角をもって、前記2流体ノズルの進行方向に沿った前方で基板の表面と衝突するように構成されており、かつ、前記2流体ノズルの前記噴射口から噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線と2流体ノズルの進行方向に沿った直線との間に平面上の所定の捻れ角をもって、基板の回転方向の上流側で基板の表面と衝突するように構成されている。
【0010】
これにより、2流体ノズルから噴出され、基板の表面に衝突して跳ね返った2流体ジェット流の大部分は、2流体ノズルの進行方向に沿った基板の外方に向かって流れ、これによって、2流体ジェット流に含まれるミストやパーティクルが基板表面の洗浄後の洗浄済みエリアへの再付着するのを抑制して、本の洗浄特性を有する2流体ジェット洗浄を行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい一態様において、前記傾斜角αは、0°を超え45°以下(0°<α≦45°)である。この傾斜角αは、5°以上で45°以下(5°≦α≦45°)であることが好ましい。
【0012】
れにより、2流体ノズルから噴射される2流体ジェット流が基板の表面に衝突するときの両者の相対速度を高め、2流体ジェット流の基板の表面への衝撃力を高めて、より高い洗浄特性を得ることができる。
【0013】
本発明の好ましい一態様において、前記捻れ角βは、0°を超え30°以下(0°<β≦30°)である。この捻れ角βは、5°以上で30°以下(5°≦β≦30°)であることが好ましい。
【0014】
本発明の好ましい一態様において、前記2流体ノズルの前記噴射口は、長方形状の細長い形状を有している。これにより、シンプルな構成で、基板の表面における単一面積あたりの洗浄時間をより長くして、高い洗浄面積を保ちながら、外周部を含む全表面をより確実に洗浄することができる。
【0015】
本発明の他の態様において、基板洗浄装置は、表面を上向きにして基板を保持し回転させる基板保持機構と、気体と液体との2流体ジェット流を前記基板保持機構で保持された基板の表面に向けて下向きに噴射する2流体ノズルと、前記2流体ノズルを前記基板保持機構で保持された基板の中心部から外方に向けて一方向に移動させる移動機構とを有し、前記2流体ノズルは、前記2流体ノズルから噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線と鉛直線との間に所定の傾斜角をもって、前記2流体ノズルの進行方向に沿った前方で基板の表面と衝突するように構成されており、前記基板保持機構で保持した基板の周囲を囲繞する飛散防止カップを有し、前記飛散防止カップの前記2流体ノズルの進行方向に沿った前方位置には、開口部を拡げた集中排気口が設けられている。
これにより、基板の表面に衝突して跳ね返り、2流体ノズルの進行方向に沿った基板の外方に向かって流れる2流体ジェット流を、集中排気口を通して、飛散防止カップの内部に速やかに回収することができる。
【0016】
本発明の好ましい一態様において、前記集中排気口は、専用排気ダクトに連通している。
これにより、集中排気口を通して、より大量の2流体ジェット流を専用排気ダクトから外部に排気することができる。
本発明の好ましい一態様において、前記2流体ノズルは、その下端側が前記捻れ角をもって、基板の回転方向の上流側に向けて捻られるように構成されている。
本発明の好ましい一態様において、前記2流体ノズルの前記噴射口は円形を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2流体ノズルから噴出され、基板の表面に衝突して跳ね返った2流体ジェット流の大部分が、2流体ノズルの進行方向に沿った基板の外方に向かって流れるようにすることができる。これによって、2流体ジェット流に含まれるミストやパーティクルが基板表面の洗浄後の洗浄済みエリアへの再付着するのを抑止して、本の洗浄特性を有する2流体ジェット洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の2流体ジェット洗浄における基板と2流体ノズルの関係を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の一部を拡大して示す平面図である。
図4】従来の2流体ジェット洗浄におけるパーティクルの挙動の説明に付する図である。
図5】本発明の実施形態に係る基板洗浄装置を備えた基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図6図5に示す第2洗浄ユニットとして使用される、本発明の実施形態に係る基板洗浄装置の飛散防止カップを省略した斜視図である。
図7図6に示す第2洗浄ユニットの基板保持機構で保持された基板と2流体ノズルの関係を示す平面図である。
図8図6に示す第2洗浄ユニットの基板保持機構で保持された基板と2流体ノズルの関係を示す正面図である。
図9図7の要部拡大図である。
図10】基板保持機構で保持された基板、基板の周囲を包囲する飛散防止カップ、及び2流体ノズルを示す斜視図である。
図11】第2洗浄ユニット(基板洗浄装置)の概略縦断正面図である。
図12】他の飛散防止カップを有する第2洗浄ユニット(基板洗浄装置)の概略縦断正面図である。
図13】本発明の2流体ジェット洗浄におけるパーティクルの挙動の説明に付する図である。
図14】本発明の他の実施形態の基板洗浄装置における2流体ノズルと基板保持機構で保持された基板の関係を示す正面図である。
図15図14の一部を拡大して示す平面図である。
図16】他の2流体ノズルを示す斜視図である。
図17図16に示す2流体ノズルと基板保持機構で保持された基板との関係を示す平面図である。
図18図17の一部を拡大して示す拡大図である。
図19】更に他の2流体ノズルを示す斜視図である。
図20】更に他の2流体ノズルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図5乃至図20を参照して説明する。なお、以下の各例において、同一要素または相当する要素には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0020】
図5は、本発明の実施形態に係る基板洗浄装置を備えた基板処理装置の全体構成を示す平面図である。図5に示すように、基板処理装置は、略矩形状のハウジング10と、多数の半導体ウエハ等の基板をストックする基板カセットが載置されるロードポート12を備えている。ロードポート12は、ハウジング10に隣接して配置されている。ロードポート12には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0021】
ハウジング10の内部には、複数(この例では4つ)の研磨ユニット14a〜14dと、研磨後の基板を洗浄する第1洗浄ユニット16及び第2洗浄ユニット18と、洗浄後の基板を乾燥させる乾燥ユニット20が収容されている。研磨ユニット14a〜14dは、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット16,18及び乾燥ユニット20も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。本発明の実施形態に係る基板洗浄装置は、第2洗浄ユニット18に適用されている。
【0022】
ローポート12、該ローポート12側に位置する研磨ユニット14a及び乾燥ユニット20に囲まれた領域には、第1搬送ロボット22が配置され、研磨ユニット14a〜14dと平行に、搬送ユニット24が配置されている。第1搬送ロボット22は、研磨前の基板をローポート12から受け取って搬送ユニット24に受け渡すとともに、乾燥後の基板を乾燥ユニット20から受け取ってローポート12に戻す。搬送ユニット24は、第1搬送ロボット22から受け取った基板を搬送して、各研磨ユニット14a〜14dとの間で基板の受け渡しを行うとともに、研磨ユニット14a〜14dから受け取った基板を第1洗浄ユニット16に受け渡す。
【0023】
第1洗浄ユニット16と第2洗浄ユニット18の間に位置して、これらの各ユニット16,18との間で基板の受け渡しを行う第2搬送ロボット26が配置され、第2洗浄ユニット18と乾燥ユニット20との間に位置して、これらの各ユニット18,20との間で基板の受け渡しを行う第3搬送ロボット28が配置されている。更に、ハウジング10の内部に位置して、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部30が配置されている。
【0024】
この例では、第1洗浄ユニット16として、洗浄液の存在下で、基板の表面(及び裏面)に、円柱状で長尺状に水平に延びるロール洗浄部材を接触させながら、基板及びロール洗浄部材を共に一方向に回転させて基板の表面(及び裏面)をスクラブ洗浄するロール洗浄ユニットが使用されている。この第1洗浄ユニット(ロール洗浄ユニット)16は、洗浄液に数十〜1MHz付近の超音波を加え、洗浄液の振動加速度による作用力を基板表面に付着した微粒子に作用させるメガソニック洗浄を併用するように構成されている。
【0025】
第2洗浄ユニット18として、本発明の実施形態の基板洗浄装置が使用されている。また、乾燥ユニット20として、水平に回転する基板に向けて、移動する噴射ノズルからIPA蒸気を噴出して基板を乾燥させ、更に基板を高速で回転させ遠心力によって基板を乾燥させるスピン乾燥ユニットが使用されている。
【0026】
図6は、図5に示す第2洗浄ユニット18として使用される、本発明の実施形態に係る基板洗浄装置の飛散防止カップを省略した斜視図である。図7は、図6に示す第2洗浄ユニット18の基板保持機構で保持された基板と2流体ノズルの関係を示す平面図である。図8は、同じく、基板と2流体ノズルの関係を示す正面図である。図9は、図7の要部拡大図である。図10は、基板保持機構で保持された基板、基板の周囲を包囲する飛散防止カップ、及び2流体ノズルを示す斜視図である。図11は、第2洗浄ユニット(基板洗浄装置)18の概略縦断正面図である。
【0027】
図6に示すように、本発明の実施形態の基板洗浄装置としての第2洗浄ユニット18は、表面を上向きにして半導体ウエハ等の基板Wを水平に保持して回転させる基板保持機構40と、基板保持機構40で保持される基板Wの側方に立設された回転自在な支持軸42と、この支持軸42の上端に基部を連結されて水平方向に延びる揺動アーム44を備えている。揺動アーム44は、基板保持機構40で保持される基板Wの上方に位置している。この支持軸42と揺動アーム44で下記の2流体ノズル46を基板保持機構40で保持された基板Wの表面と平行に移動させる移動機構48が構成されている。
【0028】
揺動アーム44の自由端(先端)には、噴射口46a(図9参照)を円形とした略円筒状の2流体ノズル46が下向きで上下動自在に取付けられている。2流体ノズル46には、Nガスまたはアルゴンガス等の不活性ガスからなるキャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと、純水、COガス溶解水または水素水等の洗浄液を供給する洗浄液供給ライン(共に図示せず)が接続されており、流体ノズル46の内部に供給されたNガス等のキャリアガスと純水またはCOガス溶解水等の洗浄液を2流体ノズル46の噴射口46aから高速で噴出させることで、キャリアガス中に洗浄液がミスト(微小液滴)として存在する2流体ジェット流が生成される。この流体ノズル46で生成される2流体ジェット流を回転中の基板Wの表面に向けて噴出させて衝突させることで、ミストの基板表面への衝突で発生した衝撃波を利用し基板表面のパーティクル等を除去(洗浄)を行うことができる。
【0029】
支持軸42は、支持軸42を回転させることで該支持軸42を中心に揺動アーム44を揺動させる駆動機構としてのモータ(図示せず)に連結されている。このモータは、制御部30からの信号で回転速度及び回転角度が制御され、これによって、揺動アーム44の角速度及び揺動角が制御されて、2流体ノズル46の移動速度及び移動距離が制御される。
【0030】
基板保持機構40は、基板Wを水平状態に保持するチャック50を先端に装着した複数本(図示では4本)のアーム52を備えており、このアーム52の基端は、回転軸54と一体に回転する基台56に連結されている。これによって、表面(研磨面)を上向きにして基板保持機構40のチャック50で保持された基板Wは、回転方向Rに沿って水平回転する。
【0031】
2流体ノズル46は、図7に詳細に示すように、揺動アーム44の揺動に伴って、基板Wの中心Oからオフセットした洗浄開始位置Aから、基板Wの中心Oの上方位置を通って、基板Wの外周部外方の洗浄終了位置Bに、略直線状の進行方向Mに沿って一方向に移動することで、基板Wの表面洗浄を行う。この洗浄時に、水平に回転している基板Wの表面に向けて、キャリアガス中に洗浄液がミスト(微小液滴)として存在する2流体ジェット流を流体ノズル46の噴射口46aから下方に向けて噴出させる。
【0032】
2流体ノズル46は、図8に詳細に示すように、2流体ノズル46の噴射口46aから噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線Oと鉛直線Vとの間に所定の傾斜角αをもって、2流体ノズル46の進行方向Mに沿った前方で基板Wの表面と衝突するように略鉛直方向に配置されている。この傾斜角αは、一般には0°を超え45°以下(0°<α≦45°)であるが、5°以上で45°以下(5°≦α≦45°)であることが好ましい。
【0033】
これにより、図8及び図9に示すように、2流体ノズル46の噴射口46aから噴出され、基板Wの表面に衝突して跳ね返った2流体ジェット流の大部分は、2流体ノズル46の進行方向Mに沿った基板Wの外方に向かって流れ、これによって、2流体ジェット流に含まれるミストやパーティクルが基板Wの表面の洗浄後の洗浄済みエリアへ再付着するのを抑制することができる。このように、2流体ジェット流に含まれるミストやパーティクルの基板Wの表面への付着を抑制することで、本の洗浄特性を有する2流体ジェット洗浄を行うことができる。
【0034】
図10及び図11に示すように、基板保持機構40で保持される基板Wの外周を取り囲む位置には、基板Wの表面に衝突して跳ね返る2流体ジェット流の外部への飛散を防止する略円筒状の飛散防止カップ60が配置されている。この飛散防止カップ60と基板保持機構40で保持された基板Wの外周端部との間には、基板Wの全周に亘って空間Sが設けられ、飛散防止カップ60の2流体ノズル46の進行方向Mに沿った前方位置には、開口部を拡げた集中排気口60aが設けられている。飛散防止カップ60の下端は排気ダクト62に連通している。
【0035】
これにより、基板Wの表面に衝突して跳ね返る2流体ジェット流は、飛散防止カップ60の内周面に沿って下方に流れ、排気ダクト62から外部に排気される。この例によれば、前述のように、基板Wの表面に衝突して跳ね返った2流体ジェット流の大部分は、2流体ノズル46の進行方向に沿って基板Wの外方に向かって流れ、この流れ方向に沿った前方位置に、開口部を拡げた集中排気口60aが設けられている。このため、基板Wの表面に衝突して跳ね返り、2流体ノズル46の進行方向Mに沿って基板の外方に向かって流れる2流体ジェット流を、集中気口60aを通して、速やかに飛散防止カップ60の内部に回収して外部に排気することができる。
【0036】
なお、図12に示すように、飛散防止カップ60の集中排気口60aを、飛散防止カップ60と独立した専用排気ダクト64に直接連通させるようにしてもよい。これにより、集中排気口60aを通して、排気性能(排気量、排気速度)の優れた排気が可能となって、より大量の2流体ジェット流を専用排気ダクト64から外部に排気することができる。
【0037】
次に、この第2洗浄ユニット18による基板Wの洗浄例を説明する。基板保持機構40は、表面(研磨面)を上向きにして、基板Wをチャック50で水平に保持する。基板が基板保持機構40で水平に保持された後、基板保持機構40の側方の退避位置に位置していた2流体ノズル46を、揺動アーム44を揺動させて、基板Wの上方の洗浄開始位置Aに移動させる。
【0038】
この状態で、基板Wを回転方向Rに水平回転させ、キャリアガス中に洗浄液がミスト(微小液滴)として存在する2流体ジェット流を、2流体ノズル46の噴射口46aから高速で下方に位置する基板Wの表面に向けて下向きに噴出させて衝突させる。同時に、2流体ノズル46を、洗浄開始位置Aから、基板Wの中心Oの下方位置を通って、基板Wの外周部外方の洗浄終了位置Bに、略直線状の進行方向Mに沿って一方向に移動させる。これによって、ミストの基板Wの表面への衝突で発生した衝撃波で基板Wの表面のパーティクル等を除去(洗浄)する。
【0039】
このように、この例では、表面を上向きして水平に回転している基板Wの該表面に、2流体ノズル46を一方向に移動させつつ、2流体ノズル46から噴射される下向き2流体ジェット流を衝突させることで、基板Wの全表面を洗浄する。この洗浄時に、基板Wの表面に衝突して跳ね返った2流体ジェット流の大部分は、2流体ノズル46の進行方向Mに沿った基板Wの外方に向かって流れ、この流れ方向に沿った前方位置に設けられた、開口部を拡げた集中排気口60aから飛散防止カップ60の内部に速やかに回収されて外部に排気される。
【0040】
図13は、この洗浄時におけるパーティクルの挙動を示す。図13に示すように、この洗浄時に2流体ジェット流のミストに衝突して基板Wの表面を離脱したパーティクル70は、2流体ジェット46の進行方向Mに沿った基板Wの外方に向かった流れに乗って基板Wの外方に向かい、基板Wの表面の洗浄済みリアに付着することなく、集中気口60aを通して飛散防止カップ60の内部に回収されて外部に排気される。これによって、基板Wの表面を離脱したパーティクル70の基板Wの表面への再付着を考慮する必要をなくして、本来の洗浄特性で2流体ジェット洗浄を行うことができる。そして、2流体ノズル46を、洗浄開始位置Aから、基板Wの中心Oの方位置を通って、基板Wの外周部外方の洗浄終了位置Bに移動させつつ、基板Wの表面を洗浄することで、基板Wの表面全域を斑なくより均一に洗浄することができる。
【0041】
図5に示す基板処理装置では、ロードポート12内の基板カセットから取り出した基板を、研磨ユニット14a〜14dのいずれかに搬送して研磨する。そして、研磨後の基板を、第1洗浄ユニット16に搬送して粗洗浄した後、第2洗浄ユニット(基板洗浄装置)18に搬送して仕上げ洗浄する。そして、洗浄後の基板を乾燥ユニット20に搬入してスピン乾燥させ、しかる後、乾燥後の基板をロードポート12の基板カセット内に戻す。
【0042】
図14及び図15は、本発明の他の実施形態の基板洗浄装置における2流体ノズル46と基板保持機構40(図6参照)で保持された基板Wの関係を示す。この例の前述の例と異なる点は、2流体ノズル46の噴射口46a(図9参照)から噴射される2流体ジェット流が、該2流体ジェット流の噴射中心線Oと2流体ノズル46の進行方向Mに沿った直線Lとの間に平面上の所定の捻れ角βをもって、基板Wの回転方向Rの上流側で基板Wの表面と衝突するように2流体ノズル46が配置されている点にある。つまり、この例では、前述の例のように配置された2流体ノズル46を、例えば上端側を固定した状態で、下端側を捻れ角βだけ基板Wの回転方向Rの上流側に向けて捻っている。この捻れ角βは、一般的には、0°を超え30°以下(0°<β≦30°)であるが、5°以上で30°以下(5°≦β≦30°)であることが好ましい。
【0043】
これにより、2流体ノズル46の噴射口46aから噴射される2流体ジェット流が基板Wの表面に衝突するときの両者の相対速度を高め、2流体ジェット流の基板Wの表面への衝撃力を高めて、より高い洗浄特性を得ることができる。
【0044】
図16は、他の2流体ノズル80を示す斜視図である。この2流体ノズル80は、長方形状の細長い噴射口80aを有する4角筒状の形状を有している。この噴射口0aの長辺は、短辺に対して、1.4倍以上の長さを有することが好ましい。
【0045】
この例にあっては、図17及び図18に示すように、長辺側を2流体ノズル80の進行方向Mと直交する側とし、捻れ角βを持たせる場合には、この長辺に沿った線Pと2流体ノズル80の進行方向Mに沿った直線Lとの間に捻れ角βが形成されるようにする。このことは、下記の図19に示す2流体ノズル82及び図20に示す流体ノズル84にあっても同様である。
【0046】
これにより、一本ノズルのために、複数のノズルを束ねたマルチノズルのような複雑な構造でなく、シンプルな構造によって、基板の表面における単一面積あたりの洗浄時間をより長くして、高い洗浄面積を保ちながら、外周部を含む全表面をより確実に洗浄することができる。しかも、マルチノズルのように、洗浄効果を打ち消しあうような懸念がなく、また、一方のノズルからの噴射させる2流体ジェット流が他方のノズルを汚染するなどの2次的な汚染を回避することができる。
【0047】
図1は、更に他の2流体ノズル82を示す斜視図である。この2流体ノズル82は、両端の角部が丸い長方形状の細長い噴射口82aを有する4角筒状の形状を有している。図20は、更に他の2流体ノズル84を示す斜視図である。この2流体ノズル84は、3個の円形ノズルを互いに横方向に連結した如き長方形状の細長い噴射口84aを有する4角筒状の形状を有している。
【0048】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
10 ハウジング
14a〜14d 研磨ユニット
16 第1洗浄ユニッ
18 第2洗浄ユニット(基板洗浄装置)
20 乾燥ユニット
24 搬送ユニット
40 基板保持機構
42 支持軸
44 揺動アーム
46,80,82,84 2流体ノズル
46a,80a,82a,84a 噴射口
48 移動機構
50 チャック
52 アーム
54 回転軸
60 飛散防止カップ
60a 集中排気口
62 排気ダクト
64 専用排気ダクト
70 パーティクル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20