(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態による色材選択補助システム1の構成例を示す概略ブロック図である。
図1において、本実施形態による色材選択補助システム1は、色彩値設定部11、色彩値変換部12、分光反射率計算部13、属性データ設定部14、下地素材設定部15、インキタイプ設定部16、CCM演算部17、制御部18、表示部19、入力部20、パラメータデータベース21及び再現可能色域データベース22を備えている。
【0017】
図2は、再現可能色域データベース22に記憶されている配合インキテーブルの構成例を示す図である。
図2(a)は、配合インキテーブルの全体構成を示す概念図である。
配合インキテーブルには、ベースインキを配合して作成される配合インキに関する各種情報が示されている。以下、この各種情報について説明する。
配合インキ識別情報は、配合された配合インキを識別するための情報である。下地素材識別情報は、配合インキが彩色されている下地の素材(以下、下地素材)を識別するための情報である。分光反射率は、配合インキ識別情報の示す配合インキを下地素材に彩色した際の分光反射率(再現色彩値に対応する分光反射率)を示している。
【0018】
色番号は、この配合インキ識別情報の示す配合インキの色を示す番号、例えばインキ会社の製造する配合色に付加されるカラーコードである。L
*a
*b
*値(L
*a
*b
*)は、ベースインキの配合色の分光反射率と、等色関数と、下地素材識別情報の示す下地素材の分光反射率と、照明の光源の分光特性とから求めた、L
*a
*b
*空間における座標値(色彩値:再現される色彩値である再現色彩値)である。測定装置情報は、配合色を配合するために用いたベースインキの光学濃度を求める際に用いた分光反射率を測定した測定装置を識別するための製造会社、製品名及び製品番号などを含む情報である。
【0019】
ここで、分光反射率の測定条件は、例えばミノルタ製の分光光度計(CM−2600d)を用いた場合は、積分球によるD/8(鏡面反射光取込)もしくはd/8(鏡面反射光非取込)や、X−Rite社製分光光度計 SpectroEye(登録商標)を用いた場合は、45/0(フィルタ条件含む)である。これらの測定条件は、測定された分光反射率と共に、測定機名称や測定条件を記憶する。
ベースインキ情報は、配合インキ識別情報の示す配合色を配合するベースインキの情報である。
属性データは、配合インキの配合に用いたベースインキの価格帯、入手可能地域、その地域の化学物質法規制への対応情報、透明度、耐性データなどが含まれる。
【0020】
図2(b)は、
図2(a)におけるベースインキ情報の詳細な構成を示す図である。この
図2(b)において、ベースインキ情報は、配合インキの配合に用いられたベースインキ各々のベースインキ識別情報と、それぞれの希釈率(メジウムなどで希釈)と、配合インキにおける配合比率と、ベースインキの上記希釈率での希釈後の分光反射率とで構成されている。
【0021】
図3は、耐性データの一例としてオフセットインキ及びグラビアインキにおける耐性特性の種類とその耐性の説明が示されている。この耐性データは、それぞれの用途に対して用いられるために必要な特性、例えば
図3のテーブルに示す耐光性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐水性、耐酸性、耐ボイル性、耐レトルト性などである。
この
図4において、耐光性は、蛍光灯や太陽光に含まれる紫外線による色褪せの程度に対する耐性の評価を示している。また、耐アルカリ性は、アルカリ性を有する環境による色褪せ及び変色に対する耐性の評価を示している。耐溶剤性は、付着した溶剤による色褪せ及び変色に対する耐性の評価を示している。耐水性は、付着した水による色褪せ及び変色に対する耐性の評価を示している。耐酸性は、付着した酸性を有する液体による色褪せ及び変色に対する耐性の評価を示している。耐ボイル性は、加熱された際の温度による色褪せ及び変色に対する耐性の評価を示している。耐レトルト性は、内容物の殺菌や加熱加工時された際の温度による色褪せ及び変色に対する耐性の評価を示している。ここでの評価は、実験によって求めた複数段階の耐性の強度を示す評価値となっている。
【0022】
図4は、パラメータデータベース21に予め書き込まれて記憶されている下地素材テーブルの構成を示している。この
図4において、下地素材テーブルには、
図2における下地素材識別情報と、この下地素材識別情報の示す下地素材(原反)の素材名称と、この下地素材の分光反射率とが対応して記憶されている。素材名称としては、例えば、コート紙やアルミ(アルミニウム)などの彩色する下地の素材の名称がある。この分光反射率は、下地素材を識別する下地素材識別情報と、この下地素材識別情報が示す素材の名称である素材名称と、この素材の分光反射率のデータとが組みとして構成されている。分光反射率は380nmから780nmまで、10nm刻みで記憶されている。また、このパラメータデータベース21には、等色関数が記憶されている。
【0023】
ここで、分光反射率は、例えばミノルタ製の分光光度計(CM−2600d)を用いた場合は、積分球によるD/8(鏡面反射光取込)もしくはd/8(鏡面反射光非取込)や、X−Rite社製分光光度計 SpectroEye(登録商標)を用いた場合は、45/0(フィルタ条件含む)である。これらの測定条件は、測定された分光反射率と共に、測定機名称や測定条件を記憶する。
【0024】
図5は、パラメータデータベース21に予め書き込まれて記憶されているベースインキテーブルの構成を示している。この
図5において、ベースインキテーブルは、例えば、ベースインキを識別するベースインキ識別情報と、このベースインキ識別情報が示すベースインキの種類の名称と、このインキベースの色を示す色名称と、このベースインキの色材濃度と光学濃度(分光反射率から以下の(1)式により算出される数値)のデータ(後述する波長λ毎)と、印刷可能な下地素材の名称である下地対応情報と、単位当たりの価格と、ベースインキの透明度と、ベースインキの耐性特性の評価値を示す耐性データと、このベースインキを入手及び使用可能な地域や、その地域の化学物質法規制への対応情報などと、分光反射率を測定した測定装置情報と、分光反射率を測定する際の測定条件として照明の種類とが組みとして構成されている。属性データとしては、透明度、価格、耐性データなどである。
【0026】
上記(1)式において、Nが光学濃度であり、Rが分光反射率であり、xが任意の係数である。
【0027】
また、ここで、ベースインキの種類としては、油性オフセットインキ、UV(紫外線)硬化型インキ、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーン印刷インキ及び金属インキなどである。色名称としては、例えば、赤色、黄色、青色、緑色、橙色などである。また、下地対応情報とは、印刷可能な下地素材の名称が記載され、全部とされているときは全ての下地素材に対応可能であることを示している。価格は所定の単位毎、例えば1kg(キログラム)毎の標準販売価格が記載されている。
【0028】
測定装置情報は、分光反射率を測定したメーカー、製品名及び型番に加えてフィルタ有無や鏡面反射成分の有無などの測定条件などが記載されている。分光反射率の測定条件は、例えばミノルタ製の分光光度計 CM−2600dを用いた場合は、積分球によるD/8(鏡面反射光取込)もしくはd/8(鏡面反射光非取込)や、X−Rite社製分光光度計 SpectroEye(登録商標)を用いた場合は、45/0(フィルタ条件含む)である。これらの測定条件は、光学濃度を求めるために測定された分光反射率及び分光反射率を測定した測定機名称とともに、ベースインキデータベース19のベースインキテーブルに書き込んで記憶させる。この測定条件については下地素材の分光反射率の場合と同様である。また、透明度は、そのベースインキの展色物(例えば、顔料を均等に分散・付着させる媒体である展色材)を評価する事によって求められ、例えば0−5の数値に置き換えられる。また、色彩値であるL
*a
*b
*値は、例えばD50/2度視野による計算値とし、その計算方法はJIS Z8729にある方法を使用する。
【0029】
図1に戻り、色彩値設定部11は、再現したい色を示す色彩値のデータ、例えばRGB(Red、Green、Blue)、CMYK(Cyan、Magenta、Yellow、Black)、L
*a
*b
*値(L
*a
*b
*色空間における座標値)、マンセル(Munsell)値、カラーナンバー(Color No.)の各々の入力欄を、表示部19に表示する。カラーナンバーは、配合インキの製造会社毎に異なるため、後述する絞り込みにより会社を指定する必要がある。
【0030】
属性データ設定部14は、配合インキの選択を行う際の絞り込みを行う耐性データの種類と評価値とを入力するための入力欄を表示部19に表示させる。
下地素材設定部15は、配合インキを彩色する下地素材(原反)の選択を行うための入力欄を表示部19に表示させる。下地素材としては、スクリーン紙、アルミ(アルミニウム)、プラスチック、ビニール、セラミックなどがある。
インキタイプ設定部16は、彩色する下地素材に用いるベースインキの種類の選択を行うための入力欄を表示部19に表示させる。ベースインキの種類は、UV(紫外線)硬化型インキ、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーン印刷インキ及び金属インキなどである。
【0031】
図6は、表示部19に表示される、下地素材の選択、インキタイプの選択、再現したい色の色彩値のデータ、属性データの入力画面100の一例を示す図である。
原反(下地素材)の入力欄101は、矢印ボタン101Aが設けられている。上記下地素材設定部15は、操作者がこの矢印ボタン101Aをポインティングデバイスによりクリックしたことを検出すると、下地素材の名称の一覧表を表示する。そして、下地素材設定部15は、操作者がこの一覧表から選択した下地素材の名称に対応する下地素材識別情報を、パラメータデータベース21の下地素材テーブルから読み出す。
【0032】
インキタイプの入力欄102は、矢印ボタン102Aが設けられている。上記インキタイプ設定部16は、操作者がこの矢印ボタン102Aをポインティングデバイスによりクリックしたことを検出すると、下地素材の彩色に使用することが可能なインキタイプの名称の一覧表を表示する。そして、インキタイプ設定部16は、操作者がこの一覧表から選択したインキタイプの名称に対応するインキタイプを、彩色に使用するインキタイプとする。
【0033】
色彩値のデータの入力欄は、RGB用の入力欄103と、CMYK用の入力欄104と、Munsell用の入力欄105と、L
*a
*b
*値用の入力欄106、カラーナンバー用の入力欄107とがある。上記色彩値設定部11は、入力欄103、入力欄104、入力欄105、入力欄106及び入力欄107のいずれかの入力欄に入力された色彩値を、彩色する配合インキの色彩値とする。
【0034】
絞り込み(属性データ)の入力欄108は、1個または複数のいずれを設けるようにしても良い。本実施形態においては3個の場合、矢印ボタン108_1A、矢印ボタン108_2A及び矢印ボタン108_3Aとして説明する。上記属性データ設定部14は、矢印ボタン108_1A、矢印ボタン108_2A及び矢印ボタン108_3Aに入力される属性データを、彩色に用いる配合色の選択に用いる絞り込み用データとする。また、属性データ設定部14は、操作者がこの矢印ボタン108_1Aをポインティングデバイスによりクリックしたことを検出すると、属性データの名称の一覧表を表示する。そして、属性データ設定部14は、操作者がこの一覧表から選択した属性データの名称に対応する選択する数値あるいは名称の一覧表を表示する。属性データ設定部14は、操作者がこの一覧表から選択した数値あるいは名称を、彩色に用いる配合インキの選択の絞り込みに用いる。
【0035】
また、入力画面100には、原反、インキタイプ、色彩値のデータ及び絞込みのデータの各々が入力された後、検索を開始するための検索ボタン109が設けられている。
上記制御部18は、操作者がこの検索ボタン109をポインティングデバイスによりクリックしたことを検出すると、原反、インキタイプ、色彩値のデータ及び絞込みのデータの各々が含まれる検索データに対応した配合インキの検索を、再現可能色域データベース22において行う。
【0036】
図1に戻り、色彩値変換部12は、色彩値設定部11から供給される色彩値がL
*a
*b
*値及びカラーナンバーであるか否かの判定を、いずれの入力欄のデータであるかにより行う。すなわち、色彩値変換部12は、予めL
*a
*b
*値に対応した入力欄106とカラーナンバーに対応した入力欄107から抽出したか、入力欄106または入力欄107以外の入力欄103、入力欄104、入力欄105及び入力欄107のいずれかから抽出したかにより、色彩値がL
*a
*b
*値か否かの判定を行う。また、色彩値変換部12は、L
*a
*b
*値以外の色彩値であるBRG、CYMK及びMunsellの各々をL
*a
*b
*値に変換する処理を行う。
【0037】
色彩値変換部12は、各々の入力欄から色彩値の種類を判別し、この入力欄の色彩値をL
*a
*b
*値に変換する変換式を、パラメータデータベース21から読み出す。例えば、色彩値変換部12は、色彩値設定部11から供給される色彩値が入力欄103から供給された場合、この色彩値がRGBであると判定し、RGBからL
*a
*b
*値に変換する変換式を、パラメータデータベース21から読み出し、この変換式を用いて色彩値をRGBからL
*a
*b
*値に変換する。他のCYMK、Munsellについても同様である。また、カラーナンバーについては、色彩値ではないため、RGB、L
*a
*b
*値及びCYMKと異なるため、変換の処理を行わない。すなわち、色彩値変換部12は、カラーナンバーとこのカラーナンバーのL
*a
*b
*値とが対応して記憶されている色番号テーブルから、カラーナンバーに対応したL
*a
*b
*値を読み出すことにより色彩値の変換処理を行う。この色番号テーブルは、パラメータデータベース21に予め書き込まれて記憶されている。
【0038】
分光反射率計算部13は、RGB、CYMK、Munsell及びL
*a
*b
*値の各々を、所定の変換式により分光反射率に変換する。ここで、分光反射率計算部13は、RGBから分光反射率に変換する変換式、CYMKから分光反射率に変換する変換式、Munsellから分光反射率に変換する変換式及びから分光反射率に変換する変換式の各々をパラメータデータベース21から読み出し、所定の変換式として色彩値から分光反射率への変換を行う。
【0039】
表示部19は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などである。
入力部20は、詳細な図示はしていないが、キーボード及びポインティングデバイスにより、
図6に示す入力欄に対して各種データを書き込む機能を有している。
【0040】
次に、
図7は、表示部19に表示される、
図6の各々の入力欄に書き込まれたデータにより検索された配合インキを下地素材に彩色した結果を示す検索結果画面110の一例を示す図である。この
図7の表示処理については、制御部18が行う。
この
図7において、入力欄101には、操作者が
図6の入力画面100で入力した原反(下地素材)の名称がそのまま表示されている。また、入力欄102には、操作者が
図6の入力画面100で入力したインキタイプの名称がそのまま表示されている。入力欄103には、操作者が
図6の入力画面100で入力した色彩値を示すデータとしてのRGBの数値がそのまま表示されている。
ここで、操作者が色彩値をCYMKにより入力した場合、
図7の入力欄103の位置に
図6の入力欄104における色彩値を示すデータとしてのCYMKの数値が表示され、色彩値をMunsellにより入力した場合、
図7の入力欄103の位置に
図6の入力欄105における色彩値を示すデータとしてのMunsellの数値が表示されている。また、操作者がカラーナンバーを色彩値を示すデータとして用いた場合、入力欄107のカラーナンバーの数値が表示されている。
【0041】
また、表示領域120には、操作者が入力した検索データの色彩値が再現された配合インキの情報、すなわち操作者が入力した色彩値が下地素材に彩色された際に再現される配合インキの情報が提示されている。ここで、配合インキの情報は、例えば、列領域201、列領域202、列領域203、列領域204及び列領域205の各々に表示される。ここで、制御部18は、矢印ボタン120Aをポインティングデバイスでクリックしたり、またはつまみ表示120Bをポインティングデバイスなどにより移動させることにより、検索結果の表示範囲を表示領域120の中で移動させる。この表示領域120に表示される検索結果は、例えば第1の照明(LS1:基準光源)、第2の照明(LS2:基準光源LS1以外の他の光源)及び第3の照明(LS3:基準光源LS1及び他の光源LS2以外の他の光源)の各々の光源下で観察される色が表示される。
【0042】
ここで、この検索結果画面110及び後述する検索結果詳細画面150の各々は、標準光源D50の下で観察されるように表示される。すなわち、標準光源D50の下で観察することにより、照明LS1において標準光源D50の照明の下で観察される再現色が表示され、例えば照明LS2において代表的な蛍光灯の下で観察される再現色が表示され、照明LS3において代表的な白熱球の下で観察される再現色が表示される。すなわち、
図2(a)のL
*a
*b
*値と、
図2(c)におけるL
*a
*b
*値とが表示されることになる。また、コード(Code)は、色番号が表示される。RegA、RegB、…は耐性データの種類の名称を示しており、耐性データの評価値が各列領域201、列領域202、…の各々に示されている。
【0043】
絞り込み(属性データ)の入力欄108(108_1、108_2、108_3)は、検索結果画面110にも表示され、さらなる絞込みを行うために設けられている。操作者は、検索結果画面110における表示された検索結果の配合インキの数が多い場合、さらに使用に適した配合インキを選択するための属性データをこの入力欄108に書き込む。
戻るボタン111は、検索結果の配合インキが適した再現色が得られ場合、
図6の入力画面100に戻すために用いられる。
【0044】
次へボタン112は、次の処理を実行するために用いられる。すなわち、操作者が表示領域120に表示される領域、例えば列領域201をポインティングデバイスにより選択し、次へボタン112をクリックすることにより、後述する検索結果詳細画面150が表示部19に表示される。
また、操作者が絞込みの入力欄108に対し、絞込みの属性データを書き込んだ後、次へボタン112をクリックすると、再度絞り込みの検索が行われ、
図7の検索結果画面110が再表示される。
【0045】
図8は、表示部19に表示される、
図7の検索結果画面110で選択した配合インキの詳細な情報を示す検索結果詳細画面150の一例を示す図である。この
図8の表示処理については、制御部18が行う。
この
図8において、入力欄101には、操作者が
図6の入力画面100で入力した原反(下地素材)の名称がそのまま表示されている。また、入力欄102には、操作者が
図6の入力画面100で入力したインキタイプの名称がそのまま表示されている。
表示領域151には、
図7の検索結果画面110で選択した配合インキの再現色が、第1の照明LS1、第2の照明LS2及び第3の照明LS3の照明下に対応して表示される。
【0046】
入力欄103には、操作者が
図6の入力画面100で入力した色彩値を示すデータとしてのRGBの数値がそのまま表示されている。Code表示欄152には、
図7の検索結果画面110で選択された配合インキのコード(Code)としての色番号が表示される。
表示領域160には、配合されたベースインキの種類(色名称及び希釈率)及び配合されたベースインキの配合比率などのインキの配合情報が表示される。すなわち、
図2(b)の情報が表示される。また、表示領域160には、配合インキの耐性データや透明度などの属性情報が表示される。
【0047】
制御部18は、矢印ボタン160Aがポインティングデバイスによりクリックされた場合、表示領域160の表示画面を下方向に移動させ、一方、矢印ボタン160Bがクリックされた場合、表示領域160の表示画面を上方向に移動させる。制御部18は、つまみ表示160Bがポインティングデバイスにより移動された場合、移動方向に表示領域160の表示画面を移動させる。制御部18は、出力ボタン161がポインティングデバイスによりクリックされた場合、例えばプリンタから表示領域151及び表示領域160に表示されている画像を印刷させる。制御部18は、OKボタン162がポインティングデバイスによりクリックされた場合、処理を終了する。
【0048】
次に、
図9は、本実施形態の色材選択補助システム1における、操作者が入力した検索データに基づいた配合インキの検索処理を示すフローチャートである。以下、
図6、
図7、
図8及び
図9を用い、色材選択補助システム1における検索データによる配合インキの検出処理を説明する。
ステップS0:
色材選択補助システム1が起動されると、色彩値設定部11は、色彩値を示すデータとしてのRGBの入力欄103、入力欄104、入力欄105、入力欄106及び入力欄107の各々を、表示部19において
図6の入力画面100に表示する。
【0049】
属性データ設定部14は、絞り込みに用いる属性データを記入する入力欄108_1、入力欄108_2及び入力欄108_3の各々を、表示部19において
図6の入力画面100に表示する。
下地素材設定部15は、下地素材の種類を入力する入力欄101を、表示部19において
図6の入力画面100に表示する。
インキタイプ設定部16は、検索する配合色のインキタイプの種類を入力する入力欄102を、表示部19において
図6の入力画面100に表示する。
【0050】
ステップS1:
操作者が
図6の入力画面100における入力欄101における矢印ボタン101Aを、ポインティングデバイスでクリックする。
矢印ボタン101Aがクリックされたことを検出すると、下地素材設定部15は、パラメータデータベース21に記憶されている
図4の下地素材テーブルから、下地素材の名称を読み出して表示部19における入力画面100上に一覧表を表示する。
そして、操作者が入力画面100に表示された一覧表からいずれかの下地素材の名称を選択する。これにより、下地素材設定部15は、操作者の選択した下地素材の名称に対応する下地素材識別情報をパラメータデータベース21の下地素材テーブルから検索して読み出し、自身の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。
【0051】
ステップS2:
操作者が
図6の入力画面100における入力欄102における矢印ボタン102Aを、ポインティングデバイスでクリックする。矢印ボタン101Aがクリックされたことを検出すると、インキタイプ設定部16は、パラメータデータベース21に記憶されている
図5のベースインキテーブルから、ベースインキのインキの種類の名称を読み出して表示部19における入力画面100上に一覧表を表示する。
そして、操作者が入力画面100に表示された一覧表からいずれかのベースインキの種類の名称を選択する。これにより、インキタイプ設定部16は、操作者の選択したベースインキの種類の名称を、自身の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。
【0052】
ステップS3:
操作者が
図6の入力画面100における入力欄103におけるRGBのデータ、すなわちRGBの各々の階調度を入力する欄を、ポインティングデバイスで順次選択し、再現させたい色彩値のRGBの各々の階調度をキーボード等の入力手段により書き込む。
そして、操作者が入力画面100における入力欄103におけるRGBの各々の入力欄の全てに階調度を書き込んだことを検出すると、色彩値設定部11は、操作者が入力欄103に書き込んだ階調度のデータを、自身の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。
【0053】
ステップS4:
操作者が
図6の入力画面100における入力欄108における矢印ボタン、例えば入力欄108_1の矢印ボタン108_1Aを、ポインティングデバイスでクリックする。矢印ボタン108_1Aがクリックされたことを検出すると、属性データ設定部14は、属性データの種類の名称の一覧表を表示部19における入力画面100上に表示する。
そして、属性データ設定部14は、操作者が名称の一覧表からいずれかを選択すると、選択された名称の評価値などを書き込む入力欄を新たに表示する。操作者がこの評価値などを書き込む入力欄に対し、一覧表から選択した属性データの評価値などを書き込んだことを検出すると、属性データ設定部14は、操作者が入力欄に書き込んだ一覧表から選択した属性データの評価値などを、自身の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。他の入力欄108_2及び入力欄108_3も、ポインティングデバイスにより操作者に選択された場合、同様の処理が行われる。
【0054】
ステップS5:
次に、操作者は、入力画面100の各入力欄にそれぞれ対応したデータを書き込み、入力画面100の検索ボタン109を、ポインティングデバイスによりクリックする。
この検索ボタン109がクリックされたことを検出すると、制御部18は、色彩値設定部11、属性データ設定部14、下地素材設定部15及びインキタイプ設定部16の各々から、それぞれの内部記憶部に記憶されている検索用のデータを読み込む。
そして、制御部18は、色彩値設定部11から読み込んだRGBのデータを制御信号に付加し、色彩値変換部12に対して出力して、RGBからL
*a
*b
*値への変換を指示する。
【0055】
色彩値変換部12は、パラメータデータベース21から、RGBをL
*a
*b
*値へ変換する変換式を読み込み、制御部18から供給されたRGBをL
*a
*b
*値に変換する。そして、色彩値変換部12は、変換結果のL
*a
*b
*値を制御部18に出力する。
色彩値変換部12からL
*a
*b
*値が供給されると、制御部18は、原反、インキタイプ、L
*a
*b
*値のデータ及び絞込みのデータの各々が含まれる検索データに対応した配合インキの検索を、再現可能色域データベース22において行う。
【0056】
ステップS6:
制御部18は、再現可能色域データベース22から検索データに対応した配合インキのデータを抽出し、
図7に示す検索結果画面110として表示する。
このとき、制御部18は、表示部19において検索結果画面110に照明毎の彩色結果の再減色を表示するため、表示する配合インキの
図2(a)における基準光源のL
*a
*b
*値及び
図2(c)における他の光源におけるL
*a
*b
*値の各々を付加した制御信号を色彩値変換部12に出力し、L
*a
*b
*値からRGBへの変換を指示する。
色彩値変換部12は、L
*a
*b
*値からRGBに変換する制御信号が供給されると、パラメータデータベース21から、L
*a
*b
*値からRGBに変換する変換式を読み出す。
【0057】
そして、色彩値変換部12は、読み出した変換式により、供給されるL
*a
*b
*値の各々を、それぞれRGBに変換し、変換したRGBを制御部18へ出力する。
そして、制御部18は、色彩値変換部12にから供給されたRGBを用い、検索結果画面110の表示領域120における列領域201、列領域202、列領域203、列領域204及び列領域205の第1の照明(LS1)、第2の照明(LS2)及び第3の照明(LS3)の再現色を表示する。
【0058】
ここで、第1の照明(LS1)の色彩値は、配合インキテーブルにおける測定条件に示す光源下で観察された場合の再現色を示している。また、第2の照明(LS2)及び第3の照明(LS3)の各々における色彩値については、制御部18が分光反射率と等色関数と、第2の照明の光源及び第3の照明の光源の第1の照明の光源に対する分光放射強度とから算出する。第2の照明の光源及び第3の照明の光源の分光放射強度は、図示しない入力欄などから操作者が入力する。ここで、分光放射強度は、標準光源とした第1の照明(LS1)の分光放射照度に対する比率を示している。すなわち、制御部18は、測定条件の光源下において観察した際、あたかも第2の照明及び第3の照明のそれぞれの光源下で観察される再現色として、第2の照明及び第3の照明における色彩値を、分光反射率と等色関数と、第2の照明の光源及び第3の照明の光源の第1の照明の光源に対する分光放射強度とを用いて予め設定された関係式により算出する。
【0059】
また、制御部18は、表示領域120に表示されている配合インキ間の第1の照明、第2の照明及び第3の照明の各々により、照明された場合の色を、列領域201から列領域205の各々に表示する。
この検索結果画面110において、属性データ設定部14は、入力画面100と同様に、入力欄108の表示を行う。
【0060】
ステップS7:
制御部18は、検索結果画面110における戻るボタン111がポインティングデバイスによりクリックされた場合、処理をステップS1に戻す。また、制御部18は、検索結果画面110の表示領域120においていずれかの配合インキを選択され、次ぎへボタン112がポインティングデバイスによりクリックされた場合、処理をステップS10へ進る。また、制御部18は検索結果画面110における入力欄108にデータが書き込まれて次ぎへボタン112がポインティングデバイスによりクリックされた場合、処理をステップS8へ進める。
【0061】
ステップS8:
属性データ設定部14は、属性データの種類の名称の一覧表を表示部19における入力画面100上に表示する。
そして、属性データ設定部14は、操作者が名称の一覧表からいずれかを選択すると、選択された名称の評価値などを書き込む入力欄を新たに表示する。操作者がこの評価値などを書き込む入力欄に対し、一覧表から選択した属性データの評価値などを書き込んだことを検出すると、属性データ設定部14は、操作者が入力欄に書き込んだ一覧表から選択した属性データの評価値などを、自身の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。他の入力欄108_2及び入力欄108_3も、ポインティングデバイスにより操作者に選択された場合、同様の処理が行われる。
【0062】
次に、属性データ設定部14は、操作者が入力欄108に書き込んだ評価値などの属性データを、自身の記憶部から読み出し、制御部18に対して出力する。
制御部18は、ステップS5における配合インキの検索に用いた検索データに対して、新たに操作者が入力した属性データを加えて、再度、この検索データに対応した配合色を再現可能色域データベース22において検索する。
【0063】
ステップS9:
制御部18は、再現可能色域データベース22から検索データに対応した配合インキのデータを再抽出し、
図7に示す検索結果画面110として新たに表示する。
この検索結果画面110において、属性データ設定部14は、ステップS6の場合と同様に、入力画面100と同様に、入力欄108の表示を行い、処理をステップS7へ戻す。
【0064】
ステップS10:
制御部18は、次ぎへボタン112がポインティングデバイスによりクリックされて選択されたため、この選択された配合インキの配合インキ識別情報に対応した配合インキの属性データなどの配合インキの情報を、再現可能色域データベース22から抽出する。
【0065】
ステップS11:
そして、制御部18は、再現可能色域データベース220から読み出した配合インキの情報を、
図8に示す検索結果詳細画面150の表示領域160に表示する。
制御部180は、出力ボタン161がポインティングデバイスによりクリックされると、図示しないプリンタから配合インキの彩色結果の印刷物を出力させる。
また、制御部180は、OKボタン162がポインティングデバイスによりクリックされると、全ての処理を終了する。
【0066】
次に、上述した
図9のステップS11において、操作者が出力ボタン161をポインティングデバイスでクリックした際のプリンタによる印刷について説明する。
制御部18は、出力ボタン161がポインティングデバイスによりクリックされると、選択された列領域の配合インキの再現色のRGBあるいはL
*a
*b
*値を、プリンタが印刷用紙に印刷する色彩値に変換する。制御部18は、表示に用いられる色彩値を、プリンタが印刷用紙に印刷する色彩値への変換の処理を色彩値変換部12に依頼する。
ここで、色彩値変換部12は、表示に用いられる色彩値を、プリンタが印刷用紙に印刷する色彩値への変換に用いる変換式を、パラメータデータベース21から読み出す。
【0067】
そして、色彩値変換部12は、読み出した変換式により、RGBあるいはL
*a
*b
*値を、プリンタが印刷用紙に印刷する色彩値に変換し、変換結果を制御部18に出力する。
制御部18は、変換結果の色彩値が色彩値変換部12から供給されると、この色彩値をプリンタに送信して、印刷用紙に対する再現色の印刷を行わせる。
ここで、印刷用紙に印刷される再現色は、基準光源D50/2度視野の照明下でみるように色彩値が、公知の計算方法により求められる。この公知の計算方法は、「CIE(Commission Internationale de l’Eclairage) 159−2004,A color appearance model for color management systems:CIECAM02」に記載されている。この計算式は、色順応を考慮した色の見えを計算するもので、指定された光源下の「色順応を考慮した」色をカラープリンタで印刷する際の色彩値を求める。また、表示部19(ディスプレイ)に表示する色も光源による色順応を前記式を適用して求める。
これにより、操作者が基準光源50の照明下で観ると、第1の照明(LS1)の印刷された色がが基準光源D50の照明下で観た再現色となり、第2の照明(LS2)の印刷された色が第2の照明下で観た再現色となり、第3の照明(LS3)の印刷された色が第3の照明下でみた再現色となる。
【0068】
次に、
図9のステップS11において、操作者の選択した配合インキの補正処理について説明する。
操作者が
図6の入力画面100における入力欄107にカラーナンバー及びL
*a
*b
*値を書き込む以外、RGB、CYMK、Munsellを変換式により、L
*a
*b
*値に変換して、このL
*a
*b
*値に対応する配合インキを求め、この配合インキの分光反射率を求める。
この求めた配合インキの分光反射率は、ベースインキの配合比率から算出された数値であり、実際の印刷における配合や印刷条件などのばらつきによる誤差により、配合インキを実際に下地素材に彩色した展色物の彩色値と一致しない場合がある。このような場合、配合インキの配合比率を調整し、配合インキの分光反射率に近似させる必要がある。
【0069】
このため、制御部18は、操作者が指定した設定配合比率に対し、実際に下地素材に彩色した展色物の分光反射率を測定した測定分光反射率を付加し、CCM演算部17に対して補正処理を依頼する。
CCM演算部17は、配合インキ識別情報に対応するベースインキ情報(
図2(b)参照)を読み出すとともに、操作者が書き込んだ測定分光反射率が制御部18から供給される。
そして、CCM演算部17は、ベースインキの配合比率から求めた再現可能色域データベース22から読み出した分光反射率と、操作者が入力した測定分光反射率とにより、以下に示す、ベースインキの配合比率の調整を行う。ここで、分光反射率と測定分光反射率との差分は、CCM理論式の計算誤差(理論誤差及び実験誤差の双方を含む)である。
【0070】
次に、CCM演算部17は、分光反射率の光学濃度と測定分光反射率の光学濃度を求め、分光反射率から求めた光学濃度と、測定分光反射率から求めた光学濃度の差分として光学濃度差を算出する。そして、CCM演算部17は、この算出した光学濃度差を反映させて、配合インキの配合比率の再計算を行う。ここで、CCM演算部17は、例えば、上述した光学濃度差に対応して配合比率の調整量を予め設定しておき、この調整量により配合比率の補正を行う。また、CCM演算部17は、分光反射率の差分が予め設定した閾値以下となるとこの補正の計算を終了する。
【0071】
ここで、CCM演算部17は、分光反射率でなく光学濃度の差分が予め設定した閾値以下となるとこの補正の計算を終了するように構成しても良い。さらに、CCM演算部17は、操作者が指定した単一もしくは複数の光源及び視野におけるL
*a
*b
*値を用いて、分光反射率の差分あるいは光学濃度の差分が閾値以下となったときとしても良い。
また、上述したCCM演算部17の機能、すなわちベースインキの配合比率の修正計算機能は、一般的なCCMシステムには備わっている。したがって、本実施形態においては、色材選択補助システム1内部にCCM演算部17を設けずに、ユーザー(印刷会社やインキ会社等)が用いているCCMシステムに対し、再現可能色域データベース22から読み出した配合インキの配合比率と分光反射率とを提供し、ユーザーの保有しているCCMシステムにて配合比率の修正を行うようにしても良い。
【0072】
そして、CCM演算部17は、最終的に得られた補正分光反射率及びこのときの配合比率とを制御部18に対して出力する。
これにより、制御部18は、CCM演算部17から供給される配合インキの情報を、
図8の表示領域160におけるベースインキの配合情報(インキ配合情報)として表示する。また、制御部18は、表示領域151における第1の照明(LS1)、第2の照明(LS2)及び第3の照明(LS3)の各々の光源下で観察した際の再現色を表示する。
【0073】
上述したように、本実施形態によれば、操作者が選択する下地素材と、耐性データ及び価格などの属性データとなどに対応させて、容易に下地素材に彩色した再現色を得るための配合インキを、予め準備した再現可能色域データベース22から抽出することができる。
また、本実施形態によれば、デザイナーが調色を行った結果と遜色ない程度に、彩色を行う下地素材に対応させ、彩色する色を再現するベースインキの種類と、それらベースインキの配合比率とを、再現可能色域データベース22から容易に求めることができる。
【0074】
<再現可能色域データベースの作成方法>
以下に、本実施形態における再現可能色域データベース22における配合インキテーブルの生成方法を説明する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における再現可能色域データベースの作成ついて説明する。
図10は、この発明の一実施形態による色域データベース作成システム3の構成例を示す概略ブロック図である。
図10において、色域データベース作成システム3は、素材設定部31、ベースインキ選択部32、コンビネーション設計部33、初期配合設定部34、分光反射率計算部35、L
*a
*b
*算出部36、L
*a
*b
*空間データ補完部37、表示部38、ベースインキデータベース39及び素材データベース40を備えている。また、色域データベース作成システム10は、作成した色域データを、外部のすでに説明した再現可能色域データベース22の配合インキテーブルに書き込む。
【0075】
素材設定部31は、素材データベース40に予め書き込まれている、配合インキ(特色インキ)を印刷(特色印刷)する下地の素材の種類が書き込まれた下地素材テーブルから読み出し、素材の名称の素材名称の一覧表を表示部38に表示し、この一覧表からの素材の選択を操作者に促す。
また、素材設定部31は、表示部38に表示された一覧表から操作者が素材を選択すると、選択された素材の下地素材識別情報をベースインキ選択部32及び分光反射率計算部35に対して出力する。
素材データベース40には、
図4に示す下地素材テーブルが、予め書き込まれて記憶されている。
【0076】
ベースインキデータベース39には、
図5に示すベースインキテーブルが予め書き込まれて記憶されている。
ベースインキ選択部32は、操作者の選択した下地素材の彩色に適用可能なベースインキを、ベースインキデータベース39に記憶されているベースインキのなかから選択する。
また、ベースインキ選択部32は、この選択した下地素材に適用可能なベースインキを、耐性データ、透明度及び価格などの属性データによってグルーピングする。例えば、耐光性が所定の数値より高いベースインキのグループ、耐酸性が所定の数値より高くかつ価格が所定の価格より安いベースインキのグループなどにグルーピング(分類)する。このグループを作成する耐性データ、透明度及び価格などの属性データの条件は、予め操作者が設定しておく。
【0077】
ここで、ベースインキ選択部32は、設定されているグループの属性データの組みを表示し、いずれの属性データの組みのグループを、配合色を生成するベースインキのグループとするかの選択を、操作者に対して促す。
また、ベースインキ選択部32は、操作者が選択した属性データの組み合わせに対応するベースインキのグループを、コンビネーション設計部33に対して出力する。
【0078】
コンビネーション設計部33は、操作者が選択したベースインキのグループが供給されると、このグループ内における異なるベースインキを2種類以上選択し、配合インキを配合するためのベースインキの組み合わせ(コンビネーション)を生成する。
上述したように、コンビネーション設計部33は、ベースインキの異なる色の配合に際し、例えば2種類から3種類の異なる色のベースインキの配合する組み合わせを設定する。このとき、コンビネーション設計部33が異なる色のベースインキの配合の組み合わせを設計する場合、一般的に用いられない色の組み合わせを、除外組み合わせとして予め設定しておく。
【0079】
そして、コンビネーション設計部33は、生成され色の組み合わせを確認し、この除外組み合わせが検出された場合、この組み合わせを削除して配合インキの色の設計から除外する。例えば、除外組み合わせは、橙色/紫色/草色や黄色/紫色/緑などの色合せ作業では一般的ではないベースインキの組み合わせである。また、色として用いられる可能性が低い色となる可能性のある、ベースインキの組み合わせを、上述した除外組み合わせに加えても良い。以下、この色の組み合わせを、配合インキ組と呼ぶ。
また、コンビネーション設計部33は、作成した配合インキ組の各々を配合インキ組テーブルとして、ベースインキデータベース39に書き込んで記憶させる。
【0080】
初期配合設定部34は、ベースインキデータベース39の配合インキ組テーブルから順次、1つずつ配合インキ組を取り出す。
また、初期配合設定部34は、配合インキ組を構成するベースインキ各々の組み合わせの割合を設定する。
例えば、配合インキ組が3種類のベースインキから構成されている場合、この3種類のベースインキI
1、ベースインキI
2及びベースインキI
3の組み合わせる割合、a
1:a
2:a
3を設定する。このとき、例えば、配合する割合の刻み幅は墨色を除く色を10%とし、墨色の割合を2%とする。
【0081】
また、例えば、ベースインキに使われる顔料の特性によって配合量が少ない場合に外的要因による退色が顕著になってしまう為にインキや印刷物の耐性性能に影響する様な配合量制限がある等の特性により、配合する割合の上限及び下限が存在するベースインキの種類においては、この割合の上限及び下限のいずれかあるいは双方を設定する。
一例として、墨色の場合には配合の割合の上限を30%とし、淡色耐候性が配合する他のベースインキに比較して低いベースインキの場合には下限を2%とする。
そして、初期配合設定部34は、10%刻みで1つのインキベースで10段階の割合とした場合、
[a
1,a
2,a
3]
={[0.1,0.1,0.8],…,[0.1,0.8,0.1],…,[0.8,0.1,0.1]}
などの配合比率の集合を設計データとして生成する(a
1+a
2+a
3=1)。
【0082】
分光反射率計算部35は、初期配合の組合せに対する分光反射率及びL
*a
*b
*値(L
*a
*b
*色空間における座標値、すなわち色彩値)の算出を行う。ここで、分光反射率計算部35は、配合インキの分光反射率を以下の(2)式及び上述した(1)により、配合したベースインキの各々の配合比率a
i及び光学濃度N
i(λ)とから、配合して得られた配合インキを下地素材に彩色した際の光学濃度Nc(λ)を算出して求める。ここで、iは配合するベースインキの数である。光学濃度は、例えば、波長λが380nmから780nmまで、10nm刻みでベースインキデータベース39に記憶されている。分光反射率計算部15は、上記光学濃度と同様に、例えば波長λが380nmから780nmまで、10nm刻みで配合インキの分光反射率を算出する。
【0084】
上記(2)式において、Ncは配合した配合インキを下地素材に彩色した際の光学濃度であり、Niは配合したベースインキの光学濃度であり、a
i(たとえば上記a
1,a
2,a
3)は配合比率である。iは、配合するベースインキの種類の数である。また、分光反射率計算部15は、下地素材の光学濃度Nwを、下地素材テーブルから下地素材の分光反射率を読み出し、(1)式に代入して求める。
例えば、3種類のべースインキを用いて配合インキを配合する際(n=3)、配合インキ組の各々の初期配合の分光反射率は、分光反射率計算部35において、以下の(2)式により算出される。例えば、赤色(光学濃度N
1(λ))と緑色(光学濃度N
2(λ))と青色(光学濃度N
3(λ))との各々を、3:3:4の配合比率(a
1=0.3、a
2=0.3、a
3=0.4)で配合した場合、配合した配合インキを下地素材に彩色した際の分光反射率R(λ)
compは、以下の(3)式のようになる。
【0086】
また、上述したように、ベースインキ−ブルには、波長毎の光学濃度が予め書き込まれて記憶されている。この光学濃度を算出する際に用いる分光反射率は、例えばミノルタ製の分光光度計CM−2600dを用いた場合は、積分球によるD/8(鏡面反射光取込)もしくはd/8(鏡面反射光非取込)や、X−Rite社製分光光度計 SpectroEye(登録商標)を用いた場合は、45/0(フィルタ条件含む)の測定条件で測定されている。これらの測定条件は、測定された分光反射率と共に、測定機名称や測定条件を記憶する。また記憶している色彩値であるL
*a
*b
*値は、例えばD50/2度視野による計算値とし、その計算方法はJIS Z8729にある方法を使用する。
【0087】
L
*a
*b
*算出部36は、分光反射率計算部35が算出した配合インキの分光反射率R(λ)
compと、等色関数と、照明の分光反射強度とから、予め設定された一般的な分光反射率からの変換を行う変換式を用いて、初期配合の配合インキ各々のL
*a
*b
*値(下地素材に彩色された際の色彩値)の算出を行う。
【0088】
図11は、初期配合した配合インキ各々のL
*a
*b
*値をL
*a
*b
*色空間の各座標にプロットした図である。
図1に戻り、初期配合インキを配合する際、ベースインキの割合を所定の率、例えば10%ずつ変化させて配合しても、
図11のL
*a
*b
*色空間においては、各配合の座標が所定の間隔で求められる訳ではない。このため、後述するL
*a
*b
*空間データ補完部37は、
図11のL
*a
*b
*色空間における座標値に対応するL
*a
*b
*値が算出されておらず疎となっている領域のL
*a
*b
*値を補完する。
【0089】
L
*a
*b
*空間データ補完部37は、
図11のL
*a
*b
*空間の座標値におけるL
*a
*b
*値の有無の連続性を検出し、L
*a
*b
*値が計算されていない疎の座標領域の検出を行う。例えば、L
*a
*b
*空間データ補完部37は、L
*a
*b
*値のある座標値が「1」を超えて不連続である領域、すなわちL
*a
*b
*値が計算されていない座標の距離が以上離れている間の座標値のL
*a
*b
*値を補完する。この補完に関する詳細な処理は、後述するが、L
*a
*b
*値を離散化L
*a
*b
*値として配合比率の算出を行う。ここで、L
*a
*b
*空間データ補完部17は、L
*a
*b
*空間において、すでに配合比率が求められている離散化L
*a
*b
*値に対し、配合比率が求められていない離散化L
*a
*b
*値の配合比率の計算対象とする。
そして、L
*a
*b
*空間データ補完部37は、配合比率が計算されていない離散化L
*a
*b
*値を、目標の離散化L
*a
*b
*値とし、この目標のL
*a
*b
*値となる分光反射率を算出する。
【0090】
すなわち、L
*a
*b
*空間データ補完部37は、分光反射率計算部35に対し、L
*a
*b
*値に隣接するL
*a
*b
*値が計算された座標値における配合比率を変化させた補完配合比率を出力し、補完分光反射率を算出させる。そして、L
*a
*b
*空間データ補完部37は、分光反射率計算部35の算出した補完分光反射率を用いて、L
*a
*b
*算出部36に予測値として補完L
*a
*b
*値を算出させる。L
*a
*b
*空間データ補完部37は、L
*a
*b
*算出部36が算出した予測値である補完L
*a
*b
*値と、補完配合比率を与えた目標の離散化L
*a
*b
*値とが一致するか否かの判定を行う。
【0091】
ここで、L
*a
*b
*空間データ補完部37は、補完L
*a
*b
*値が補完配合比率を与えた座標値(後述する計算対象となっている離散化L
*a
*b
*値)と予め設定されている所定の誤差内で一致した場合、この補完L
*a
*b
*値をこの座標におけるL
*a
*b
*値とする。また、L
*a
*b
*空間データ補完部37は、補完値を再現可能色域データベース100の配合インキテーブルに、初期配合の配合インキのデータに対して、追加で書き込み記憶させる。
一方、L
*a
*b
*空間データ補完部37は、補完L
*a
*b
*値が補完配合率を与えた座標値と予め設定されている所定の誤差内で一致しない場合、この補完L
*a
*b
*値(L
*a
*b
*空間における後述する疎の領域の座標に対応する計算対象とされる離散化L
*a
*b
*値)を算出した際の補完配合比率を変化させ、所定の誤差範囲において一致するまで上述した処理を繰り返して行う。
【0092】
次に、
図12は、本実施形態による色域データベース作成システム10の配合インキテーブルの作成における動作を示すフローチャートである。以下、この
図12及び
図10を用いて、本実施形態による本実施形態による色域データベース作成システム10の動作例を説明する。
ステップS21:
素材設定部31は、ベースインキを配合して生成する配合インキの下地となる下地素材を操作者に選択させるため、例えば、素材データベース40に予め書き込まれている全ての種類の下地素材を表示部38に一覧表示する。
そして、素材設定部31は、操作者が上述した一覧表示からいずれかの下地素材を選択すると、その下地識別情報をベースインキ選択部32及びL
*a
*b
*算出部36に対して出力し、処理をステップS22へ進める。
【0093】
ステップS22:
ベースインキ選択部32は、ベースインキデータベース39に記憶されているベースインキから、操作者が選択した下地素材に対応するべースインキを選択し、表示部38に対して一覧表示する。
このとき、ベースインキ選択部32は、耐性データの種類、透明度及び価格などの属性データによりグルーピングされた状態で、分類して表示部38に表示する。
そして、ベースインキ選択部32は、操作者が選択したベースインキのグループを、配合インキを配合するためのベースインキとして使用するため、このグループに含まれるベースインキのベースインキ識別番号をコンビネーション設計部33に対して出力し、処理をステップS23へ進める。
【0094】
ステップS23:
コンビネーション設計部33は、操作者が選択したグループのベースインキのベースインキ識別情報が供給されると、配合インキを配合するための、色成分3種類と希釈成分1種類の計4種類のベースインキの組合せを作成する。
このとき、コンビネーション設計部33は、生成した組合せ毎に構成するベースインキの色を抽出し、この抽出した色の組合せにより、予め設定されている除外組合せであるか否かの判定を行い、除外組合せと同一の色の組合せで有る場合、この組合せを除去して削除する。
【0095】
そして、コンビネーション設計部33は、除外組合せを除去した残りの組合せを、再現可能色域データベース100の配合インキテーブルに対し、配合するベースインキの組合せである配合インキ組として、順次書き込んで記憶させ、処理をステップS24へ進める。また、コンビネーション設計部33は、現在の配合インキ組の各々における下地素材情報の欄に、操作者の選択した下地素材の下地素材識別情報を書き込んで記憶させる。
【0096】
ステップS24:
初期配合設定部34は、再現可能色域データベース100の配合インキテーブルから、順番に配合インキ組を読み出す。
そして、初期配合設定部34は、読み出した配合インキ組のベースインキの配合比率を示す配合比率を、所定の基準幅により変化させて、この初期配合における配合比率で配合する配合インキに対して配合インキ識別情報及び色番号を与え、再現可能色域データベース100に書き込んで記憶させる。また、初期配合設定部34は、この配合インキの配合に用いるベースインキのベースインキ識別情報と、それぞれの配合比率と、分光反射率とを、べースインキ情報として、他の属性データとともに、再現可能色域データベース22の配合インキテーブルに書き込んで記憶させる。そして、初期配合設定部34は、処理をステップS25へ進める。
【0097】
ステップS25:
分光反射率計算部35は、配合インキ組におけるベースインキの配合比率の各々に対応した配合インキの分光反射率を計算するため、再現可能色域データベース22の配合インキテーブルから、ベースインキ情報を配合インキ識別情報の順番に読み出す。
次に、分光反射率計算部35は、読み出したベースインキ情報における各ベースインキの配合比率及び分光反射率により、配合インキ毎の配合比率により配合インキの分光反射率を、(1)式により算出する。
【0098】
そして、分光反射率計算部35は、再現可能色域データベース22の配合インキテーブルのそれぞれの配合インキ組の配合インキの分光反射率の欄に、算出した配合インキそれぞれの分光反射率を書き込んで記憶させる。
分光反射率計算部35は、配合インキ組における配合比率のコンビネーションの全てに対する分光反射率の算出が終了すると、L
*a
*b
*算出部36に対してL
*a
*b
*値の算出を指示する制御信号を出力する。
【0099】
次に、L
*a
*b
*算出部36は、ベースインキデータベース39から等色関数と、ベースインキの分光反射率を行った際の照明の分光反射強度とを読み出し、素材データベース40から操作者の選択した下地素材の分光反射率を読み出す。
そして、L
*a
*b
*算出部36は、再現可能色域データベース22の配合インキテーブルから、現在処理している配合インキ組の分光反射率を、配合インキ識別情報の順番に順次読み出す。
【0100】
これにより、L
*a
*b
*算出部36は、読み出した順番に、配合比率毎の分光反射率と、読み出した等色関数と、照明の分光反射強度と、操作者の選択した下地素材の分光反射率とから、配合比率毎に下地素材に対応したL
*a
*b
*値を求める
L
*a
*b
*算出部36は、求めたL
*a
*b
*値をそれぞれの配合インキ識別情報に対応させ、再現可能色域データベース22の配合インキテーブルに書き込み、処理をステップS26へ進める。
【0101】
ステップS26:
分光反射率計算部35は、再現可能色域データベース22の配合インキテーブルにおける配合インキ組における全てのインキの組合せに対する分光反射率の計算が終了し、かつL
*a
*b
*値を求める処理が終了したか否かの判定を行う。
このとき、分光反射率計算部35は、分光反射率及びL
*a
*b
*値を求める処理が終了した場合、処理をステップS27へ進める。一方、分光反射率計算部35は、分光反射率及びL
*a
*b
*値を求める処理が終了していない場合、処理をステップS24へ進める。
【0102】
ステップS27:
次に、L
*a
*b
*空間補完部37は、ステップS6で分光反射率計算部35が計算した実数のL
*a
*b
*値を離散化(例えば、小数点以下の数値を四捨五入して整数化)し、離散化した結果の離散化L
*a
*b
*値の集合を配合計算対象L
*a
*b
*群とし、処理をステップS28へ進める。
図13は、L
*a
*b
*空間補完部37が行う離散化を説明する図である。この
図8においては、L
*値方向の軸を省略して記載し、a
*値及びb
*値の軸からなる2次元平面を示しているが、実際にはL
*a
*b
*空間である。
図13(a)は、所定の配合比率において初期配合された配合インキのL
*a
*b
*値(計算値)をプロットした図である。
図13(b)は、配合インキのL
*a
*b
*値を離散化して離散化L
*a
*b
*値(離散化)としてプロットした図である。
【0103】
ステップS28:
そして、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群に含まれる離散化L
*a
*b
*値の各々に対し、L
*±dL(ΔL)、a
*±da(Δa)、b
*±db(Δb)した離散化L
*a
*b
*値を新規配合計算対象とし、配合計算対象L
*a
*b
*群へ加える。一方、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群の補集合における離散化L
*a
*b
*値を配合計算対象外L
*a
*b
*群とし、処理をステップS29へ進める。ここで、dL、da、dbの各々は、予め設定された所定の数値であり、離散化した数値が例えば整数値である場合、それぞれ「1」である。
ここで、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群におけるL
*±dL、a
*±da、b
*±dbした離散化L
*a
*b
*値において、すでに配合計算対象L
*a
*b
*群にあり、重複する離散化L
*a
*b
*値を削除する。
【0104】
図14は、計算対象の配合計算対象L
*a
*b
*群に含まれる離散化L
*a
*b
*値の設定を説明する図である。
図14は、
図13と同様に、L
*値方向の軸を省略して記載し、a
*値及びb
*値の軸からなる2次元平面を示しているが、実際にはL
*a
*b
*空間である。
図14(a)は、配合計算対象の離散化L
*a
*b
*値(計算対象)に対し、配合計算対象の離散化L
*a
*b
*値の各々をL
*±dL、a
*±da、b
*±dbした離散化L
*a
*b
*値(新規対象)を設定した図である。
【0105】
ステップS29:
L
*a
*b
*空間補完部13は、配合計算対象L
*a
*b
*群と配合計算対象外L
*a
*b
*群の連結の評価を行う。
ここで、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値の連結(隣接している)と、配合計算対象外L
*a
*b
*群内のL
*a
*b
*値の連結とを、すなわちグルーピングしてグループ数を評価する。
図14(b)は、配合計算対象L
*a
*b
*値(計算対象)と、計算対象外L
*a
*b
*値(計算対象外)とのグルーピング結果を示す図である。
図14(b)においては、計算対象外L
*a
*b
*値のグループが複数存在している。
【0106】
すなわち、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値がL
*a
*b
*空間において上下(L軸方向)前後(a軸方向)左右(b軸方向)の6方向において配合計算対象L
*a
*b
*群内の他の離散化L
*a
*b
*値と連結されている離散化L
*a
*b
*値からなるグループ数を計数する。
同様に、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象外L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値がL
*a
*b
*空間において上下前後左右の6方向において配合計算対象外L
*a
*b
*群内の他の離散化L
*a
*b
*値と連結されている離散化L
*a
*b
*値からなるグループ数を計数する。
【0107】
ステップS30:
次に、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値のグループと、配合計算対象外L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値のグループとの各々が1つであるか否かの判定を行う。
このとき、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値のグループと、配合計算対象外L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値のグループとの各々が1つである場合、処理をステップS31へ進める。 ここで、
図14(c)は、配合計算対象L
*a
*b
*値と、計算対象外L
*a
*b
*値とのグルーピング結果を示す図である。
図14(c)においては、配合計算対象L
*a
*b
*値(計算対象)と、計算対象外L
*a
*b
*値(対象外)とのグループが一つずつ構成されている。。
一方、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値のグループ、あるいは配合計算対象外L
*a
*b
*群内の各離散化L
*a
*b
*値のグループのいずれか一方でも2つ以上有る場合、処理をステップS28へ戻す。
【0108】
ステップS31:
L
*a
*b
*空間補完部37は、新規配合計算対象として離散化L
*a
*b
*値を得るためのベースインキの配合比率を求める。
このとき、L
*a
*b
*空間補完部37は、新規配合計算対象の離散化L
*a
*b
*値各々の配合比率の計算において、配合比率の初期値として予め設定した初期配合比率を用いて、上記離散化L
*a
*b
*値に対応する配合比率を算出する。ここで、初期配合比率は任意であり、3種類のベースインキを用いる場合、例えば34%、33%、33%などと設定して良い。
また、L
*a
*b
*空間補完部37は、この配合比率の計算過程において、配合比率の結果として得られた予測L
*a
*b
*値を離散化する。
【0109】
そして、L
*a
*b
*空間補完部37は、離散化した予測L
*a
*b
*値と、目標値である配合計算対象L
*a
*b
*値とが一致するかを確認し、一致した場合に配合計算済L
*a
*b
*値とし、計算済L
*a
*b
*群に加え、かつ配合計算対象L
*a
*b
*群から除く。
【0110】
図15は、配合計算対象外L
*a
*b
*群に含まれる離散化L
*a
*b
*値の配合比率を算出する処理を説明する図である。
図15(a)は、
図14(c)における配合計算対象とされた離散化L
*a
*b
*値において配合比率を求める計算が収束せず、配合計算対象とされた離散化L
*a
*b
*値(例えば、a
*=24、b
*=21の離散化L
*a
*b
*値など)が、再度、配合計算対象外の離散化L
*a
*b
*値とされたことを示す図である。この
図15(a)においては、配合比率の計算が収束した離散化L
*a
*b
*値(計算済)のみが示されている。
【0111】
ステップS32:
そして、L
*a
*b
*空間補完部37は、計算済L
*a
*b
*群に含まれる離散化L
*a
*b
*値の各々に対し、L
*±dL、a
*±da、b
*±dbした離散化L
*a
*b
*値において、計算済L
*a
*b
*群における離散化L
*a
*b
*値と重複しない離散化L
*a
*b
*値を新規配合計算対象とし、配合計算対象L
*a
*b
*群へ加える。
【0112】
ステップS33:
次に、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合計算対象L
*a
*b
*群における新たに設定された新規配合計算対象の離散化L
*a
*b
*値に対して、配合比率の再計算を行う。
このとき、L
*a
*b
*空間補完部37は、配合比率の初期値として、配合計算済L
*a
*b
*群の中で最も小さい色差のものを用いる。ここで、同じ色差のものが存在した場合には、その中のいずれを初期値としても良い。例えば、L
*値、a
*値、b
*値の順番で予めいずれを用いるかの優先順位を設定しておく。
そして、L
*a
*b
*空間補完部37は、予め設定した演算回数の範囲内において、離散化した予測L
*a
*b
*値と、目標値である配合計算対象L
*a
*b
*群における離散化L
*a
*b
*値とが一致するかを確認し、一致した場合に配合計算済の離散化L
*a
*b
*値とし、配合計算済L
*a
*b
*群に含める。
【0113】
ステップS34:
L
*a
*b
*空間補完部37は、ステップS33において、配合計算済L
*a
*b
*群に新たに含めた離散化L
*a
*b
*値が、すでに配合計算済L
*a
*b
*群に含まれているいずれかの離散化L
*a
*b
*値と一致する数値が存在した場合、処理をステップS32に戻す。
一方、L
*a
*b
*空間補完部37は、ステップS33において、配合計算済L
*a
*b
*群に新たに含めた離散化L
*a
*b
*値が、すでに配合計算済L
*a
*b
*群に含まれている離散化L
*a
*b
*値のいずれとも一致しない場合、処理を終了する。
図15(c)は、再計算の結果で収束しなかった離散化L
*a
*b
*値(計算済)と、計算対象外の離散化L
*a
*b
*値が、色域外の離散化L
*a
*b
*値(色域外)となったことを示す図である。
【0114】
上述したように、本実施形態によれば、操作者が選択する下地素材と、耐性データ及び価格などの属性データとなどに対応させてL
*a
*b
*色空間における離散化L
*a
*b
*値を算出し、L
*a
*b
*色空間に疎の領域(L
*a
*b
*値として算出されていない座標値の密度が少ない領域)がなくなるように、すなわち色の連続性が従来に比較して高い色域データとしての離散化L
*a
*b
*値を容易に補完して得ることができる。
これにより、本実施形態によれば、再現可能な色域内における離散化L
*a
*b
*値が隣接する他の離散化L
*a
*b
*値と連結された状態、すなわち疎の領域が無い状態となるため、高い精度で再現色に対応させた配合比率を得ることが可能となり、デザイナーが希望する、彩色を行う下地の素材に対応さた色を再現するベースインキの種類と、それらベースインキの配合比率とを容易に求めることができるデータベースを作成することができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、属性データの一つである入手及び使用可能地域により、ベースインキのグループを形成し、デザイナーが作業する地域において容易に入手及び使用可能なベースインキによって、配合色の色域データを得ることが可能となり、デザイナーの作業効率を上げることができる。
【0116】
また、
図1における色材選択補助システム1及び
図10における色域データベース作成システムの各々の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより色材選択補助あるいはデータベース作成の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0117】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0118】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。