(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水溶性の親水性基剤が、乳糖、グルコース、マンニトール、もしくはトレハロースから選択される1種または2種以上の組み合わせであり、水不溶性の親水性基剤がデンプン、部分α化デンプン、クロスポビドン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースから選択される1種または2種以上の組み合わせである請求項5に記載の徐放性製剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
塩酸ピオグリタゾンは、治療効果、安全性の両面において極めて優れた抗糖尿病薬として長年に渡って広く医療の現場で使用され、高い評価を獲得している。具体的には、速放性製剤として、医療の現場に提供されている。
塩酸ピオグリタゾンを、アルツハイマー病の発症の遅延に適用することが検討されている。本発明者らは、アルツハイマー病についての予防的な使用も含めて長期的に塩酸ピオグリタゾンが患者に投薬されることを考慮して、徐放性製剤の検討を行うこととした。
【0007】
徐放性製剤については、以下のような効果が望まれる。
(1)薬剤の持続的な放出を成し得る製剤であり、仮にその用量が低くても、持続的な薬剤の放出により、安定した薬効の発揮をもたらすことができる。
(2)最高薬物濃度(以下、Cmaxと記載する場合がある)をコントロールすることができる(例えば、速放性製剤より低く抑えることができる)。
(3)加えて、速放性製剤に比較して遜色のない血漿中濃度−時間曲線下面積(以下、AUCと記載する場合がある)を達成できれば、十分な薬効の発揮をもたらすことができる。
(4)食事による物理的刺激に耐えうる(食事の影響を受けにくい)製剤を提供することも期待できる。
本発明は、上記(1)〜(4)の効果を有するピオグリタゾンまたはその塩を含有する徐放性製剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ピオグリタゾンまたはその塩、ゲル形成ポリマー、およびゲル形成促進剤を含有した製剤が、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。さらに、ピオグリタゾンまたはその塩を含有し、後述の特定の溶出特性を有する製剤が、アルツハイマー病の予防および/または治療の観点から特に好ましいことを併せて見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の通りである。
[1]ピオグリタゾンまたはその塩を含有し、37℃のpH2.0 KCl/HCl bufferを試験液とする回転数50rpmのUSPパドル法による溶出試験において、ピオグリタゾンの溶出率が、2時間時点で平均25−58%、および4時間時点で平均60−100%、好ましくは、2時間時点で平均25−58%、4時間時点で平均60−100%、および6時間時点で平均80−110%となることを特徴とする、徐放性製剤。
[2]0.1〜8mgのピオグリタゾン;またはピオグリタゾンとして0.1〜8mgに相当するピオグリタゾンの塩を含有することを特徴とする上記[1]に記載の徐放性製剤。
[3]0.1mg、0.3mg、0.5mg、0.8mg、2.8mgまたは5.2mgのピオグリタゾン;またはピオグリタゾンとして0.1mg、0.3mg、0.5mg、0.8mg、2.8mgまたは5.2mgに相当するピオグリタゾンの塩を含有することを特徴とする上記[1]に記載の徐放性製剤。
[4]ピオグリタゾンまたはその塩が、塩酸ピオグリタゾンである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[5]さらに、ゲル形成ポリマーおよびゲル形成促進剤を含有することを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[6]ゲル形成ポリマーが、ポリエチレンオキサイドである上記[5]に記載の徐放性製剤。
[7]ポリエチレンオキサイドが、
1)1種のポリエチレンオキサイドが使用される場合には、製剤中のポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有率(%)の積が、(7×M+1500)ないし(14.5×M+5410)(式中、Mはポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000で計算される値を示す。)となるように徐放性製剤中に含有され;
2)平均分子量の異なる2種以上のポリエチレンオキサイドが使用される場合には、製剤中の平均分子量の最も大きいポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有率(%)の積が、(14×M−300)ないし(
17×M+7700)(式中、Mは使用されるポリエチレンオキサイドのうち平均分子量の最も大きいポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000で計算される値を示す。)となるように徐放性製剤中に含有される、
上記[6]に記載の徐放性製剤。
[8]ゲル形成促進剤が、水溶性の親水性基剤または水不溶性の親水性基剤である上記[5]〜[7]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[9]水溶性の親水性基剤が、乳糖、グルコース、マンニトール、もしくはトレハロースから選択される1種または2種以上の組み合わせであり、水不溶性の親水性基剤がデンプン、部分α化デンプン、クロスポビドン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースから選択される1種または2種以上の組み合わせである上記[8]に記載の徐放性製剤。
[10]錠剤である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[11]錠剤重量が60〜600mgである上記[10]に記載の徐放性製剤。
[12]ピオグリタゾンまたはその塩の平均粒子径が、1ないし25μmである上記[1]〜[11]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[13]ピオグリタゾンまたはその塩、ゲル形成ポリマー、およびゲル形成促進剤を含有する徐放性製剤。
[14]ゲル形成ポリマーが、ポリエチレンオキサイドである上記[13]に記載の徐放性製剤。
[15]ポリエチレンオキサイドが、
1)1種のポリエチレンオキサイドが使用される場合には、製剤中のポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有率(%)の積が、(7×M+1500)ないし(14.5×M+5410)(式中、Mはポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000で計算される値を示す。)となるように徐放性製剤中に含有され;
2)平均分子量の異なる2種以上のポリエチレンオキサイドが使用される場合には、製剤中の平均分子量の最も大きいポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有率(%)の積が、(14×M−300)ないし(
17×M+7700)(式中、Mは使用されるポリエチレンオキサイドのうち平均分子量の最も大きいポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000で計算される値を示す。)となるように徐放性製剤中に含有される、
上記[14]に記載の徐放性製剤。
[16]ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量が100万以上、400万未満であり、製剤中の10〜90重量%の割合で含有される上記[14]に記載の徐放性製剤。
[17]ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量が100万以上、400万未満であり、製剤中の50〜80重量%の割合で含有される上記[14]に記載の徐放性製剤。
[18]ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量が400万以上1000万以下であり、製剤中の5〜70重量%の割合で含有される上記[14]に記載の徐放性製剤。
[19]ゲル形成促進剤が、水溶性の親水性基剤または水不溶性の親水性基剤である上記[13]〜[18]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[20]水溶性の親水性基剤が、乳糖、グルコース、マンニトール、もしくはトレハロースから選択される1種または2種以上の組み合わせであり、水不溶性の親水性基剤がデンプン、部分α化デンプン、クロスポビドン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースから選択される1種または2種以上の組み合わせである上記[19]に記載の徐放性製剤。
[21]錠剤である、上記[13]〜[20]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[22]錠剤重量が60〜600mgである上記[21]に記載の徐放性製剤。
[23]0.1〜8mgのピオグリタゾン;またはピオグリタゾンとして0.1〜8mgに相当するピオグリタゾンの塩を含有することを特徴とする上記[13]〜[22]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[24]0.1mg、0.3mg、0.5mg、0.8mg、2.8mgまたは5.2mgのピオグリタゾン;またはピオグリタゾンとして0.1mg、0.3mg、0.5mg、0.8mg、2.8mgまたは5.2mgに相当するピオグリタゾンの塩を含有することを特徴とする上記[23]に記載の徐放性製剤。
[25]ピオグリタゾンまたはその塩が、塩酸ピオグリタゾンである上記[1]〜[24]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[26]ピオグリタゾンまたはその塩の平均粒子径が、1ないし25μmである上記[13]〜[25]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[27]ピオグリタゾンまたはその塩、ゲル形成促進剤およびゲル形成ポリマーを含む混合物にゲル形成促進剤を含む水溶液あるいは分散液を噴霧して造粒し、得られた造粒物を圧縮成型する工程;
ゲル形成促進剤およびゲル形成ポリマーを含む混合物にゲル形成促進剤を含む水溶液あるいは分散液を噴霧して造粒し、得られた造粒物にピオグリタゾンまたはその塩を混合し、得られた混合物を圧縮成型する工程;または、
ピオグリタゾンまたはその塩、ゲル形成促進剤およびゲル形成ポリマーを含む混合物を圧縮成形する工程;
を含む徐放性製剤の製造方法。
[28]ピオグリタゾンまたはその塩、ゲル形成促進剤およびポリエチレンオキサイドを含む混合物にゲル形成促進剤を含む水溶液あるいは分散液を噴霧して造粒し、得られた造粒物を圧縮成型する工程;
ゲル形成促進剤およびポリエチレンオキサイドを含む混合物にゲル形成促進剤を含む水溶液あるいは分散液を噴霧して造粒し、得られた造粒物にピオグリタゾンまたはその塩を混合し、得られた混合物を圧縮成型する工程;または、
ピオグリタゾンまたはその塩、ゲル形成促進剤およびポリエチレンオキサイドを含む混合物を圧縮成形する工程;
を含む徐放性製剤の製造方法。
[29]アルツハイマー病の予防および/または治療(発症の遅延、進展の抑制を含む)のための上記[1]〜[26]のいずれかに記載の徐放性製剤。
[30]上記[1]〜[26]のいずれかに記載の徐放性製剤を、その投与を必要とする対象者に投与することからなる、アルツハイマー病の予防および/または治療(発症の遅延、進展の抑制を含む)方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のピオグリタゾンまたはその塩を含有する徐放性製剤は、以下の効果を有する。(1)薬剤の持続的な放出を成し得る製剤であり、仮にその用量が低くても、持続的な薬剤の放出により、安定した薬効の発揮が期待できる。(2)最高薬物濃度(Cmax)をコントロールすることができる(例えば、速放性製剤より低く抑えることができる)。(3)速放性製剤に比較して遜色のない血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を達成することができる。(4)食事による物理的刺激に耐えうる(食事の影響を受けにくい)製剤を提供することも期待される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の徐放性製剤で用いられる「ピオグリタゾンまたはその塩」において、ピオグリタゾンの塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば無機酸との塩、有機酸との塩、酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
また、ピオグリタゾンは、無水物あるいは水和物のいずれであってもよく、さらに同位元素(例、
3H、
14C、
35S、
125I)などで標識されていてもよい。
ピオグリタゾンまたはその塩は、特に好ましくは塩酸ピオグリタゾンである。
ピオグリタゾンまたはその塩は、一般に医療、食品分野などで用いられる希釈剤などによって希釈されたものであってもよい。
【0013】
通常粉体は種々の大きさからなる粒子の集合体であるため、粒子の大きさは平均粒子径として表示される。この平均粒子径として、メジアン径、モード径、算術平均径などが用いられる。メジアン径はd50とも表現され、重量分布または個数分布において粗粒と細粒とを50%ずつに分割する粒径を意味する。本明細書で用いられる平均粒子径は、主にこのメジアン径で表示される。
粉体の測定法にはレーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、FFF法、電気的検知帯法などがある。レーザー回折法粒度分布測定装置には、マスターサイザー2000(マルバーン社製)、HELOS&RODOS(SYMPATEC社製)、SALD2200(島津製作所製)、LA−920(堀場製作所製)などがある。本明細書記載の平均粒子径は、レーザー回折法を応用したマスターサイザー2000を用いて測定した値である。
本発明の徐放性製剤において、原薬として用いられるピオグリタゾンまたはその塩の平均粒子径は、通常1〜25μm、好ましくは2〜21μm、さらに好ましくは2〜10μmである。このような平均粒子径を採用することにより、吸収性に優れた製剤が得られる。
なお、上記の好適な平均粒子径は、本発明の徐放性製剤を製造する際の原薬(徐放性製剤を製造する過程で粉砕することによって得られる粉砕品などを含む)として用いられるピオグリタゾンまたはその塩に適用される。すなわち、ピオグリタゾンまたはその塩の平均粒子径は、本発明の徐放性製剤を製造する過程、あるいは製造後の徐放性製剤を保存する過程で、ピオグリタゾンまたはその塩の凝集などにより上記範囲を超えて変化していてもよい。なお、粉砕は、例えば、乳鉢、ジェットミル、ハンマーミル、スクリーンミルなどの製剤機械を用いて行われる。
本発明の徐放性製剤中のピオグリタゾンまたはその塩の含有量は、徐放性製剤の剤型、対象疾患、疾患の重篤度、などにより異なるが、ピオグリタゾンとして、通常0.1〜45mg、好ましくは0.1〜30mg、より好ましくは0.1〜15mg、さらに好ましくは0.1〜10mg、よりさらに好ましくは0.1〜8mgに相当する量である。該含有量は、例えばアルツハイマー病の予防および/または治療に適している。当該製剤を、1日1〜3回(好ましくは、1回)投与すればよい。
より具体的には、本発明の徐放性製剤としては、例えば、0.1mg、0.3mg、0.5mg、0.8mg、2.8mgまたは5.2mgのピオグリタゾン;またはピオグリタゾンとして0.1mg、0.3mg、0.5mg、0.8mg、2.8mgまたは5.2mgに相当するピオグリタゾンの塩を含有する製剤が挙げられる。当該製剤は、好ましくは、1日1回投与される。
本発明の徐放性製剤中のピオグリタゾンまたはその塩の含有量は、ピオグリタゾンとして、通常0.05〜20重量%、好ましくは0.06〜15重量%、さらに好ましくは0.08〜10重量%が挙げられる。
【0014】
本発明の徐放性製剤は、ピオグリタゾンまたはその塩を含有し、37℃のpH2.0 KCl/HCl bufferを試験液とする回転数50rpmのUSP(US Pharmacopeia)パドル法による溶出試験において、ピオグリタゾンの溶出率が、2時間時点で平均25−58%、および、4時間時点で平均60−100%、好ましくは、2時間時点で平均25−58%、4時間時点で平均60−100%、および6時間時点で平均80−110%である製剤を提供することができる。
該特定の溶出特性を有することで、前述の(1)〜(4)の効果を有するとともに、アルツハイマー病の予防および/または治療に有用な製剤が提供できる。
【0015】
本発明は、ピオグリタゾンまたはその塩、ゲル形成ポリマー、およびゲル形成促進剤を含有する徐放性製剤にも関する。
本発明で用いられるゲル形成ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、などが挙げられ、ポリエチレンオキサイドが好ましい。
【0016】
本発明で用いられるポリエチレンオキサイドは、重量平均分子量が、通常10万〜1000万、好ましくは30万〜800万である。
本発明において、ポリエチレンオキサイドは、市販品を用いてもよく、例えば、Polyox WSR−308(平均分子量:800万、粘度:10000−15000cps(1% 水溶液25℃))、Polyox WSR−303(平均分子量:700万、粘度:7500−10000cps(1% 水溶液25℃))、Polyox WSR Coagulant(平均分子量500万、粘度:5500−7500cps(1% 水溶液25℃))、Polyox WSR−301(平均分子量:400万、粘度:1650−5500cps(1% 水溶液25℃))、Polyox WSR N−60K(平均分子量:200万、粘度:2000−4000cps(2% 水溶液25℃))、Polyox WSR N−12K(平均分子量:100万、粘度:400−800cps(2% 水溶液25℃))、Polyox WSR−1105(平均分子量:90万、粘度:8800−17600cps(5% 水溶液25℃))、Polyox WSR 205(平均分子量:60万、粘度:4500−8800cps(5% 水溶液25℃))、Polyox WSR N−750(平均分子量:30万、粘度:600−1200cps(5% 水溶液25℃))、Polyox WSR N−80(平均分子量:20万、粘度:65−115cps(5% 水溶液25℃))、Polyox WSR N−10(平均分子量:10万、粘度:30−50cps(5% 水溶液25℃))、UCARFLOC Polymer310(平均分子量:1000万、粘度:15000cps以上(1% 水溶液25℃))、UCARFLOC Polymer309(平均分子量:800万、粘度:10000−15000cps(1% 水溶液25℃))、UCARFLOC Polymer304(平均分子量:700万、粘度:7500−10000cps(1% 水溶液25℃))、UCARFLOC Polymer302(平均分子量:500万、粘度:5500−7500cps(1% 水溶液25℃))、UCARFLOC Polymer300(平均分子量:400万、粘度:1650−5500cps(1% 水溶液25℃))等が挙げられる。
本発明において、1種のポリエチレンオキサイドを使用し、およびピオグリタゾンの溶出率が「2時間時点で平均25−58%、4時間時点で平均60−100%、および6時間時点で平均80−110%」である徐放性製剤(以下、「Fast処方」と略称する場合がある)を得るためには、1)本発明の徐放性製剤中のポリエチレンオキサイドは、製剤中のポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有率(%)の積の上限が、好ましくは(14.5×M+5410)、より好ましくは(14.5×M+4970)、さらに好ましくは(14.5×M+4530)、よりさらに好ましくは(14.5×M+4090)、2)その下限が、好ましくは(7×M+1500)、より好ましくは(7×M+1545)、さらに好ましくは(7×M+1590)、よりさらに好ましくは(7×M+1600)(Mは、「ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量」×「1/10000」で計算される値を示す。)となるような量で使用される。
例えば、ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量が1,000,000(M=100)の場合、製剤中のポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有量(%)の積の上限は、よりさらに好ましくは14.5×100+4090=5540であり、およびその下限は、よりさらに好ましくは7×100+1600=2300である。徐放性製剤(実施例1)において、ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量は1,000,000、ポリエチレンオキサイドの製剤中含有量は30%であるので、製剤中ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有量(%)の積は1000000×1/10000×30(%)=3000であり、これは2300−5540の範囲に入る。
本発明において、平均分子量の異なる2種以上のポリエチレンオキサイドを組合せて使用し、およびピオグリタゾンの溶出率が「2時間時点で平均25−58%、4時間時点で平均60−100%、および6時間時点で平均80−110%」である徐放性製剤を得るためには、1)本発明の徐放性製剤で使用するポリエチレンオキサイドのうち最も平均分子量の大きいポリエチレンオキサイドは、製剤中の、使用するポリエチレンオキサイドのうち最も平均分子量の大きいポリエチレンオキサイドの重量平均分子量×1/10000と含有率(%)の積の上限が、好ましくは(17×M+7700)、より好ましくは(17×M+6400)、さらに好ましくは(17×M+5100)、よりさらに好ましくは(17×M+3500)、2)その下限が、好ましくは(14×M−300)、より好ましくは(14×M−100)、さらに好ましくは(14×M+90)、よりさらに好ましくは(14×M+270)(Mは、「使用するポリエチレンオキサイドのうち最も平均分子量の大きいポリエチレンオキサイドの重量平均分子量」×「1/10000」で計算される値を示す。)となるような量で使用される。
本発明の徐放性製剤中のポリエチレンオキサイドの含量は、通常、製剤中の10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜80重量%である。
【0017】
本発明で用いられるヒプロメロースは、重量平均分子量が、通常2〜50万、好ましくは2万〜25万である。
本発明において、ヒプロメロースは、市販品を用いてもよく、例えば、METHOCEL K100(平均分子量:2.6万、2%粘度:100mPa・sec)、METHOCEL K4M(平均分子量:8.6万、2%粘度:4000mPa・sec)、METHOCEL K15M(平均分子量:12万、2%粘度:15000mPa・sec)、METHOCEL K100M(平均分子量:24.6万、2%粘度:100000mPa・sec)等が挙げられる。
本発明の徐放性製剤中のヒプロメロースの含量は、ピオグリタゾンの溶出率が「2時間時点で平均25−58%、4時間時点で平均60−100%、および6時間時点で平均80−110%」である徐放性製剤を得ることを目的とする際には、平均分子量2.6万の場合、好ましくは製剤中の10〜60重量%(より好ましくは30〜50重量%、さらに好ましくは30〜40重量%)、平均分子量8.6万の場合、好ましくは製剤中の10〜50重量%(より好ましくは20〜40重量%、さらに好ましくは20〜30重量%)、平均分子量12万の場合、好ましくは製剤中の10〜50重量%(より好ましくは、20〜40重量%、さらに好ましくは20〜30重量%)、平均分子量24.6万の場合、好ましくは製剤中の10〜50%(より好ましくは、10〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%)である。
ピオグリタゾンの溶出率が、後記の実験例2に示された実施例4の製剤が有する溶出パターンを示す徐放性製剤(以下、Middle処方と略称する場合がある)を得ることを目的とする際には、ポリエチレンオキサイドの平均分子量が100万以上、400万未満であり、製剤中の50〜80重量%の割合で含有されることが好ましい。
ピオグリタゾンの溶出率が、後記の実験例2に示された実施例5の製剤が有する溶出パターンを示す徐放性製剤(以下、Slow処方と略称する場合がある)を得ることを目的とする際には、ポリエチレンオキサイドの平均分子量が400万以上、1000万以下であり、製剤中の5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0018】
本明細書において、ゲル形成促進剤とは、ゲル形成ポリマーがゲル化する前に製剤中への水の浸透を促進する働きをもつ賦形剤を意味し、そのような働きを示す賦形剤であれば特に限定されない。本発明の徐放性製剤において、ゲル形成促進剤の一部は、表面改質剤としての機能も有する。
本明細書において、表面改質剤とは、ゲル形成ポリマーの表面改質により、ゲル形成ポリマーのゲル化を速やかにする働きをもつものであれば特に限定されない。
本発明で用いられるゲル形成促進剤としては、例えば、水溶性の親水性基剤、または水不溶性の親水性基剤が挙げられる。
本発明で用いられる水溶性の親水性基剤としては、例えば、乳糖、グルコース、マンニトール、トレハロース、D−ソルビトール、キシリトール、白糖、マルトース、ラクチュロース、D−フルクトース、デキストラン、ブドウ糖等の糖および糖アルコール類、ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000(いずれも日本油脂社製))、ポリビニルピロリドン(例えば、PVP(登録商標)K30(BASF社製))等の水溶性高分子、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、Cremophor(登録商標)RH40(BASF社製)、HCO−40、HCO−60(日光ケミカルズ社製))、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(例えばプルロニック(登録商標)F68(旭電化社製)等)またはポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル(例えばTween80(関東化学社製)等)等の界面活性剤、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等の塩類、クエン酸、酒石酸等の有機酸、グリシン、β−アラニン、塩酸リジン等のアミノ酸類、メグルミン等のアミノ糖類等が挙げられ、1種または2種以上を組み合せて用いてもよい。
本発明で用いられる水不溶性の親水性基剤としては、例えば、デンプン、デンプンを含む穀粉(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン)、部分アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスポビドン、結晶セルロース(セオラスKG801、KG802、PH101、PH102、PH301、PH302、PH−F20、RC−A591NF、KG1000、PH101D、PH301D、PH301Z、UF702、UF711(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)、微結晶セルロースと呼ばれているもの)、微粒子無水ケイ酸(疎水化処理を施されていない軽質無水ケイ酸または粒径0.1ミクロン以下の非晶質シリカ微粒子)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース[好ましくは、LH−11、LH−21、LH−31、LH−22、LH−32、LH−20、LH−30、LH−33、LH−B1、NBD−020、NBD−021、NBD−022(商品名、信越化学株式会社製)等のヒドロキシプロポキシ基含量が5〜16重量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース]等が挙げられ1種または2種以上を組み合せて用いてもよい。
本発明の徐放性製剤中のゲル形成促進剤の含量は、通常製剤中2.5〜80重量%、好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは15〜80重量%である。
【0019】
本発明の徐放性製剤においては、ピオグリタゾンとして1mgを含有する徐放性製剤のビーグル犬への絶食条件下(ペンタガストリン処理)経口投与後のCmaxが、速放錠と比較して通常5〜90%の範囲内にあるものが好ましく、10〜80%の範囲内にあるものがより好ましく、20〜70%の範囲内にあるものがさらに好ましい。同条件下で速放錠と比較してAUCが、30〜150%の範囲内にあるものが好ましく、40〜120%の範囲内にあるものがより好ましく、50〜110%の範囲内にあるものがさらに好ましい。
さらに本発明の徐放性製剤においては、ピオグリタゾンとして1mgを含有する徐放性製剤のビーグル犬への摂食条件下(投与前日から18時間以上の絶食後に、固形飼料約50gに飲水約80mlを含ませた餌を与え、給餌後約1時間後に錠剤を強制経口投与し、飲水60mlを与える)での経口投与後のCmaxが、速放錠と比較して通常10〜120%の範囲内にあるものが好ましく、30〜120%の範囲内にあるものがより好ましく、50〜120%の範囲内にあるものがさらに好ましい。同条件下で速放錠と比較してAUCが、通常50〜150%の範囲内にあるものが好ましく、60〜140%の範囲内にあるものがより好ましく、70〜130%の範囲内にあるものがさらに好ましい。
なお、上記の数値は、速放錠として後述の比較例1の製剤を使用して、本願徐放性製剤との間で、実験例3および4に記載された試験方法に従って行われた場合の評価結果に基づいて算出される。
加えて本発明の徐放性製剤(ピオグリタゾンとして1mgを含有する)をペンタガストリン処理したビーグル犬へ絶食下で経口投与した場合の最高薬物濃度(Cmax)の平均値は、好ましくは10〜130(ng/mL)であり、血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)の平均値は、好ましくは70〜470(ng・min/mL)である。
【0020】
本発明の徐放性製剤は、製剤技術分野において慣用の添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、矯味剤、甘味料、香料、流動化剤、帯電防止剤、遮光剤、酸化防止剤、還元剤、キレート剤などが挙げられる。これら添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。また、これら添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、無水リン酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、粉末セルロース、ゼラチン、軽質無水ケイ酸(例えば、疎水化処理を施していない軽質無水ケイ酸または粒径0.1ミクロンよりも大きい非晶質シリカ微粒子)、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムが挙げられる。なかでも、結晶セルロースが好ましい。
結晶セルロースとしては、例えばセオラスKG801、KG802、PH101、PH102、PH301、PH302、PH−F20、RC−A591NF(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)が挙げられ、微結晶セルロースと呼ばれているものも含まれる。
【0021】
崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース[好ましくは、LH−11、LH−21、LH−31、LH−22、LH−32、LH−20、LH−30、LH−33、LH−B1、NBD−020、NBD−021、NBD−022(商品名、信越化学株式会社製)等のヒドロキシプロポキシ基含量が5〜16重量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース]が挙げられる。
結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース[好ましくは、HPC−SSL、SL、L(商品名、日本曹達株式会社)]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、メチルセルロース、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース[好ましくは、LH−11、LH−21、LH−31、LH−22、LH−32、LH−20、LH−30、LH−33、LH−B1、NBD−020、NBD−021、NBD−022(商品名、信越化学株式会社製)等のヒドロキシプロポキシ基含量が5〜16重量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース]、デキストラン、ポリビニルアルコールが挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ワックス類、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、軽質無水ケイ酸(疎水化処理を施していない軽質無水ケイ酸または粒径0.1ミクロンよりも大きい非晶質シリカ微粒子)が挙げられる。なかでも、フマル酸ステアリルナトリウムが好ましい。
【0022】
着色剤としては、例えば食用黄色5号(サンセットイエロー、米国の食用黄色6号と同一)、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、黄色三二酸化鉄(黄ベンガラ)、三二酸化鉄(赤ベンガラ)、黒色三二酸化鉄(黒ベンガラ)、リボフラビン、リボフラビン有機酸エステル(例、リボフラビン酪酸エステル)、リン酸リボフラビンあるいはそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、フェノールフタレイン、酸化チタン、リコピン、ベータカロチンが挙げられる。
pH調整剤としては、例えばクエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が挙げられる。
安定化剤としては、例えばアスコルビン酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類;アルカリ土類金属塩(例、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム)、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。
矯味剤としては、例えばアスコルビン酸、(無水)クエン酸、酒石酸、リンゴ酸が挙げられる。
甘味料としては、例えばアスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウムが挙げられる。
香料としては、例えばメントール、ハッカ油、レモン油、バニリンが挙げられる。
流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸(疎水化処理を施していない軽質無水ケイ酸または粒径0.1ミクロンよりも大きい非晶質シリカ微粒子)、含水二酸化ケイ素が挙げられる。ここで、軽質無水ケイ酸は、含水二酸化ケイ素(SiO
2 nH
2O)(nは整数を示す)を主成分とするものであればよく、その具体例として、例えばサイリシア320(商品名、富士シリシア化学株式会社)、アエロジル200(商品名、日本アエロジル株式会社)等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、タルク、軽質無水ケイ酸(疎水化処理を施していない軽質無水ケイ酸または粒径0.1ミクロンよりも大きい非晶質シリカ微粒子)が挙げられる。
遮光剤としては、例えば酸化チタンが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、トコフェロールエステル(例えば、酢酸トコフェロール)、アスコルビン酸あるいはそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、リコピン、ベータカロチンが挙げられる。
還元剤としては、例えばシスチン、システインが挙げられる。
キレート剤としては、例えばEDTAあるいはそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0023】
本発明の徐放性製剤の形状は特に制限されず、丸形、キャプレット形、ドーナツ形、オブロング形等のいずれであってもよい。
【0024】
本発明の徐放性製剤は、上記した各種添加剤を用いて、製剤技術分野において慣用の方法によって製造することができる。
例えば、本発明の徐放性製剤は、ピオグリタゾンまたはその塩(例えば、塩酸ピオグリタゾン)、ゲル形成促進剤(例えば、D−マンニトール、乳糖)、ゲル形成ポリマー(例えば、ポリエチレンオキサイド)、および任意に添加してもよい賦形剤を混合後、ゲル形成促進剤(例えば、D−マンニトール、乳糖)を溶解した水溶液あるいは分散した分散液を噴霧して造粒し、乾燥し、必要により整粒し、任意に添加してもよい滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム)を混合し、得られた顆粒または混合物を圧縮成形することで、製造することができる。
上記方法において、ピオグリタゾンまたはその塩、任意に添加してもよい賦形剤は、上記造粒、乾燥後に添加してもよい。
また、例えば、本発明の徐放性製剤は、ピオグリタゾンまたはその塩(例えば、塩酸ピオグリタゾン)、ゲル形成促進剤(例えば、D−マンニトール、乳糖)、ゲル形成ポリマー(例えば、ポリエチレンオキサイド)、および任意に添加してもよい賦形剤を混合後、任意に添加してもよい滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム)を混合し、得られた混合物を圧縮成形することで、製造することができる。
混合は、例えば、V型混合機、タンブラー混合機などの混合機を用いて行うことができる。造粒は、例えば、高速攪拌造粒機、流動層造粒乾燥機などを用いて行うことができる。圧縮成形は、例えば、単発錠剤機、ロータリー打錠機などを用い、打錠することにより行うことができる。
本発明の徐放性製剤は、素錠であっても十分な徐放性を得られるが、必要により、製剤技術分野において慣用の方法によってコーティングを行ってもよい。
また、識別性のためのマーク、文字さらには分割用の割線を付してあってもよい。
ここで、コーティング基剤としては、例えば糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
糖衣基剤としては、ショ糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE〔オイドラギットE(商品名)〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーS〔オイドラギットS(商品名)〕などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えばエチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS〔オイドラギットRS(商品名)〕、アクリル酸エチル−メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、コーティング添加剤を用いてもよい。
該コーティング添加剤としては、例えば酸化チタン、タルク、三二酸化鉄などの遮光剤および/または着色剤;ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤などが挙げられる。
【0025】
本発明の徐放性製剤は、上記に説明された優れた効果に加えて、以下の効果も有する。
本発明の徐放性製剤は、ポリエチレンオキサイドなどのゲル形成ポリマーの配合量や分子量を変化させることで放出速度を制御できる。
本発明の徐放性製剤は、小型化することが可能であり0次型の薬物放出が可能である。
本発明の徐放性製剤は、配合性の悪い成分(例えば、クエン酸)を顆粒外成分として配合することにより、ピオグリタゾンまたはその塩の安定性を向上されることができる。
本発明の徐放性製剤は、水の浸透を妨げる成分(ヒドロキシポリマー、結合剤など)を顆粒中に内包させることでゲル形成能が向上し、および該水の浸透を妨げる成分を表面改質剤により被覆することで水の浸入経路を確保することにより、速いゲル化を達成することができる。その結果、0次型の薬物放出が可能となる。さらに生体内での食事による物理的刺激に耐えうる強度を付与させることが可能となる。
本発明の徐放性製剤は、ゲル形成ポリマーとしてポリエチレンオキサイドが用いられる場合には、ポリエチレンオキサイドの酸化傾向を低減可能なゲル形成促進剤を用いることにより、酸化によるポリエチレンオキサイドの分解を抑制できる。
【0026】
本発明の徐放性製剤の重量は、特に限定されないが、通常60〜600mg、好ましくは60〜480mg、より好ましくは60〜200mg、さらに好ましくは100〜200mgである。
【0027】
本発明の徐放性製剤は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト)に対して、経口的に安全に投与することができる。
【0028】
本発明の徐放性製剤は、アルツハイマー病の予防、もしくは、治療(発症の遅延、進展の抑制を含む)に用いることが出来る。アルツハイマー病は人格の変化を主な症状とする認知症の一種である。アルツハイマー病の原因はβアミロイドタンパク質の細胞内蓄積による細胞変性等の説はあるが解明には至っておらず、大脳の萎縮に伴って以下のように段階的に症状が進行する。
1)軽度認知障害(アルツハイマーの前触れ)
知的能力の低下の約2〜3年前から、不安、抑うつ、睡眠障害、幻視妄想などの軽度の人格変化が現れる。軽い物忘れが認められるものの、金銭の計算や車の運転など日常生活には支障がない。
2)アルツハイマー第一期
この第一期は別名健忘期とも言われ、健忘症状、空間的見当識障害、多動、徘徊などが認められる。細胞の変化としては大脳皮質の全般の機能が衰え始める時期で、単なる物忘れの度を越え始める時期である。
3)アルツハイマー第二期
別名混乱期とも呼ばれ、会話が困難になるなど大脳皮質の萎縮が進行して初期の症状が一層深刻化する。高度の知的障害、失語、失行、失認が現れる。錐体外路症状はパーキンソン病と間違われることもある。
4)アルツハイマー第三期
臥床期とも言われ、高度な認知症の末期で寝たきりとなり、失禁、拒食、過食、反復運動、痙攣などが生じ失語も認められる。身の回りのことができなくなるので生活全般において介護が必要となる。
このようにアルツハイマー病は徐々に症状が進行するため、早期に発症を予見し予防するために種々のバイオマーカーが提唱されている。そのバイオマーカーとして、脳脊髄液中のAβ42(βアミロイドタンパク質の42残基断片)、脳脊髄液中のタウタンパク質、アポリポタンパク質E(ApoE)ε4アレル数、等がある。一方、TOMM40(ミトコンドリア外膜チャネルサブユニット、40kDa)は、ミトコンドリア外膜に共局在化するApoEと特異的相互作用してミトコンドリアアポトーシスを誘導することが報告されている(PCT/US2009/053373)。
本発明の徐放性製剤は、これらのバイオマーカーによりアルツハイマー病を発症するリスクの高い患者に対し、その発症を予防するために投与することが望ましい。
【0029】
本発明の徐放性製剤は、ピオグリタゾンまたはその塩以外の活性成分(以下、併用成分と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。この際、ピオグリタゾンまたはその塩と併用成分の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明の徐放性製剤と併用成分とは、それぞれの活性成分を含む2種類の製剤として投与されてもよいし、両方の活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
併用成分の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。
このように、併用成分を用いることにより、1)本発明の徐放性製剤または併用成分の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)本発明の徐放性製剤または併用成分の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)本発明の徐放性製剤または併用成分の二次的な作用の低減効果などの優れた効果が得られる。
併用成分としては、アルツハイマー病の予防および/または治療剤として有用な他の薬剤が挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下に、実施例、比較例、参考例、実験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0031】
実施例1
流動層造粒乾燥機(MP-01、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、結晶セルロース、D-マンニトール(表1中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表1中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例2
流動層造粒乾燥機(MP-01、(株)パウレック)中で、表2の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表2中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表2中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0034】
【表2】
【0035】
実施例3
流動層造粒乾燥機(MP-01、(株)パウレック)中で、表3の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表3中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR-303 、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表3中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例4
流動層造粒乾燥機(MP-01、(株)パウレック)中で、表4の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表4中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表4中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0038】
【表4】
【0039】
実施例5
流動層造粒乾燥機(MP-01、(株)パウレック)中で、表5の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール-1(表5中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR-303、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表5中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0040】
【表5】
【0041】
実施例6
流動層造粒乾燥機(GPCG1、Glatt)中で、表6の処方に従い、D-マンニトール(表6中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N-12K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表6中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末に塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、V型混合機(4 Quart V-Shell Blender、GlobePharma)により混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(Minipress、GlobePharma)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0042】
【表6】
【0043】
実施例7
流動層造粒乾燥機(GPCG1、Glatt)中で、表7の処方に従い、D-マンニトール(表7中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N-12K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表7中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、コーミル(Quadro Comil、(株)パウレック)を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末に塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、V型混合機(4 Quart V-Shell Blender、GlobePharma)により混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(Minipress、GlobePharma)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0044】
【表7】
【0045】
実施例8
流動層造粒乾燥機(GPCG1、Glatt)中で、表8の処方に従い、D-マンニトール(表8中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR-303、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表8中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末に塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、V型混合機(4 Quart V-Shell Blender、GlobePharma)により混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(Minipress、GlobePharma)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0046】
【表8】
【0047】
実施例9
流動層造粒乾燥機(MP-01、(株)パウレック)中で、表9の処方に従い、D-マンニトール(表9中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N-12K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表9中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末に塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0048】
【表9】
【0049】
比較例1
流動層造粒乾燥機(MP-01、(株)パウレック)中で、表10の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(粉砕品、平均粒子径約15μm)、乳糖を均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロースを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にカルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を3,000錠得た。
【0050】
【表10】
【0051】
実験例1
実施例1,2,3で得られた錠剤について、溶出性を測定した。pH2.0 KCl/HCl buffer900mLに、錠剤を1錠投入し、パドル法(USP、以下同じ)、回転数50rpm、37℃により評価した。錠剤投入後、経時的に溶出液をサンプリングし、非水系フィルター(0.45μm)でろ過し、次の条件で高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)法にて定量し溶出率を算出した。結果を
図1に示す。
【0052】
HPLC条件
検出器:紫外線吸光光度計、測定波長:269nm
カラム:YMC−Pack ODS−A A−302、5μm、内径:4.6mm、長さ:150mm
カラム温度:25℃
移動相:アセトニトリル:0.1mol/L酢酸アンモニウム緩衝液:氷酢酸混液(25:25:1)
流量:0.7mL/分
【0053】
実験例2
実施例4および5で得られた錠剤について、溶出性を測定した。pH2.0 KCl/HCl buffer900mLに、錠剤を1錠投入し、パドル法(USP)、回転数50rpm、37℃により評価した。錠剤投入後、経時的に溶出液をサンプリングし、非水系フィルター(0.45μm)でろ過し、実験例1と同様の条件で高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)法にて定量し溶出率を算出した。結果を
図2に示す。
【0054】
実験例3
実施例1,2および比較例1で得られた錠剤について、ペンタガストリン処理したビーグル犬に絶食条件下で経口投与後の薬物動態を測定した。投与前、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間および12時間後の血漿中濃度を測定し、台形公式により血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を計算した。結果を
図3および表11に示す。
【0055】
【表11】
【0056】
実験例4
実施例1,2および比較例1で得られた錠剤について、ビーグル犬に摂食条件下で経口投与後の薬物動態を測定した。投与前、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間および12時間後の血漿中濃度を測定し、台形公式により血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を計算した。結果を
図4および表12に示す。
【0057】
【表12】
【0058】
実験例5
実施例2,9および比較例1で得られた錠剤について、ペンタガストリン処理したビーグル犬に絶食条件下で経口投与後の薬物動態を測定した。投与前、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間および12時間後の血漿中濃度を測定し、台形公式により血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を計算した。結果を
図5および表13に示す。
【0059】
【表13】
【0060】
実施例10
流動層造粒乾燥機(CPCG1、Glatt)中で、表14の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表14中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表14中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、20M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、V型混合機(4 Quart V-Shell Blender、GlobePharma)を用い、25rpmで3分間混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(Minipress、GlobePharma)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を4,000錠得た。
【0061】
【表14】
【0062】
実施例11
流動層造粒乾燥機(CPCG1、Glatt)中で、表15の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表15中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表15中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、20M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、V型混合機(4 Quart V-Shell Blender、GlobePharma)を用い、25rpmで3分間混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(Minipress、GlobePharma)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を4,000錠得た。
【0063】
【表15】
【0064】
実施例12
流動層造粒乾燥機(CPCG1、Glatt)中で、表16の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表16中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR 303、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表16中、D-マンニトール-2)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、20M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、V型混合機(4 Quart V-Shell Blender、GlobePharma)を用い、25rpmで3分間混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(Minipress、GlobePharma)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン4mg含有する素錠を4,000錠得た。
【0065】
【表16】
【0066】
参考例1
表17の処方に従い、塩酸ピオグリタゾンおよびクエン酸を精製水に溶解させ試験用溶液を調製した。
【0067】
【表17】
【0068】
実施例13
流動層造粒乾燥機(LAB-1、株式会社パウレック)中で、表18の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表18中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表18中、D-マンニトール-2)、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解し、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄を分散した分散液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥する。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得る。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とする。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で8.5mm x 5mmオーバルの杵を用いて打錠し、1錠当たりピオグリタゾン0.1mg含有する素錠を20錠得る。
【0069】
【表18】
【0070】
実施例14
流動層造粒乾燥機(LAB-1、株式会社パウレック)中で、表19の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表19中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表19中、D-マンニトール-2)、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解し、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄を分散した分散液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥する。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得る。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とする。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で8.5mm x 5mmオーバルの杵を用いて打錠し、1錠当たりピオグリタゾン0.3mg含有する素錠を20錠得る。
【0071】
【表19】
【0072】
実施例15
流動層造粒乾燥機(WSG-60、株式会社パウレック)中で、表20の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表20中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表20中、D-マンニトール-2)、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解し、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄を分散した分散液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、パワーミル(P-7S、昭和化学機械工作所)を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールを加え、タンブラー混合機(TM-400S、昭和化学機械工作所)を用い、11rpmで2分間混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(アクエリアス36K、菊水製作所)で8.5mm x 5mmオーバルの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン0.8mg含有する素錠を1,000,000錠得た。
【0073】
【表20】
【0074】
実施例16
流動層造粒乾燥機(WSG-60、株式会社パウレック)中で、表21の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表21中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表21中、D-マンニトール-2)、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解し、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄を分散した分散液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、パワーミル(P-7S、昭和化学機械工作所)を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールを加え、タンブラー混合機(TM-400S、昭和化学機械工作所)を用い、11rpmで2分間混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(アクエリアス36K、菊水製作所)で8.5mm x 5mmオーバルの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン2.8mg含有する素錠を1,000,000錠得た。
【0075】
【表21】
【0076】
実施例17
流動層造粒乾燥機(WSG-60、株式会社パウレック)中で、表22の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表22中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox WSR N12-K、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表22中、D-マンニトール-2)、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解し、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄を分散した分散液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、パワーミル(P-7S、昭和化学機械工作所)を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールを加え、タンブラー混合機(TM-400S、昭和化学機械工作所)を用い、11rpmで2分間混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(アクエリアス36K、菊水製作所)で8.5mm x 5mmオーバルの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン5.2mg含有する素錠を1,000,000錠得た。
【0077】
【表22】
【0078】
実験例6
実施例10で得られた錠剤について、ヒトに絶食条件下で経口投与後のピオグリタゾンの薬物動態を測定した。投与前、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間および48時間後の血漿中濃度を測定し、台形公式により血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を計算した。結果を表23に示す。
【0079】
【表23】
【0080】
実験例7
実施例11で得られた錠剤について、ヒトに絶食条件下で経口投与後のピオグリタゾンの薬物動態を測定した。投与前、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間および48時間後の血漿中濃度を測定し、台形公式により血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を計算した。結果を表24に示す。
【0081】
【表24】
【0082】
実験例8
実施例12で得られた錠剤について、ヒトに絶食条件下で経口投与後のピオグリタゾンの薬物動態を測定した。投与前、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間および48時間後の血漿中濃度を測定し、台形公式により血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を計算した。結果を表25に示す。
【0083】
【表25】
【0084】
実験例9
参考例1で得られたSolutionについて、ヒトに絶食条件下で経口投与後のピオグリタゾンの薬物動態を測定した。投与前、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間および48時間後の血漿中濃度を測定し、台形公式により血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)を計算した。結果を表26に示す。
【0085】
【表26】
【0086】
実験例10
実施例13、14、15、16、17で得られた錠剤について、溶出性を測定した。37℃のpH2.0 HCl/KCl buffer900mLに、錠剤を1錠投入し、回転数50rpmのUSPパドル法により評価した。錠剤投入後、経時的に溶出液をサンプリングし、非水系フィルター(0.45μm)でろ過し、実験例1と同様の条件で高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)法にて定量し溶出率を算出した。結果を
図6に示す。
【0087】
実施例18〜39
乳鉢中で、表27−1、27−2の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトールおよびポリエチレンオキサイド(Polyox 各種粘度グレード、Dow chemical company)を均一に混合後、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、さらに均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で7mmφの杵を用いて打錠し、1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を20錠得た。
【0088】
実施例40〜41
流動層造粒乾燥機(MP-01、株式会社パウレック)中で、表29の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表28中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox 各種粘度グレード、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表28中、D-マンニトール-2)およびヒドロキシプロピルセルロース(実施例41のみ配合)を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を20錠得た。
【0089】
【表27-1】
【0090】
【表27-2】
【0091】
【表28】
【0092】
実施例42〜57
乳鉢中で、表29−1、29−2の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトールおよびポリエチレンオキサイド(Polyox各種粘度グレード、Dow chemical company)を均一に混合後、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、さらに均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で7mmφの杵を用いて打錠し、1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を20錠得た。
【0093】
【表29-1】
【0094】
【表29-2】
【0095】
比較例2〜14
乳鉢中で、表30−1、30−2の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトールおよびポリエチレンオキサイド(Polyox 各種粘度グレード、Dow chemical company)を均一に混合後、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、さらに均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で7mmφの杵を用いて打錠し、1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を20錠得た。
【0096】
比較例15〜16
流動層造粒乾燥機(MP-01、株式会社パウレック)中で、表31の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品、平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトール(表31中、D-マンニトール-1)およびポリエチレンオキサイド(Polyox 各種粘度グレード、Dow chemical company)を均一に混合後、機内でD-マンニトール(表31中、D-マンニトール-2)を溶解した溶液を噴霧して造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物を、16M篩を用いて整粒を行い、整粒末を得た。この整粒末にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、10Lポリ袋により手混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で7mmφの杵を用いて重量120mgに打錠し1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を20錠得た。
【0097】
【表30-1】
【0098】
【表30-2】
【0099】
【表31】
【0100】
比較例17〜30
乳鉢中で、表32−1、32−2の処方に従い、塩酸ピオグリタゾン(微粉砕品平均粒子径約5μm)、微結晶セルロース、D-マンニトールおよびポリエチレンオキサイド(Polyox各種粘度グレード、Dow chemical company)を均一に混合後、フマル酸ステアリルナトリウムを加え、さらに均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を重量120mgずつ秤量し、オートグラフ(AG-1型、島津製作所)で7mmφの杵を用いて打錠し、1錠当たりピオグリタゾン1mg含有する素錠を20錠得た。
【0101】
【表32-1】
【0102】
【表32-2】
【0103】
実験例11
実施例18〜57で得られた錠剤について、溶出性を測定した。pH2.0 KCl/HCl buffer900mLに、錠剤を1錠投入し、USPパドル法により回転数50rpm、37℃により評価した。錠剤投入後、経時的に溶出液をサンプリングし、非水系フィルター(0.45μm)でろ過し、実験例1と同様の条件で高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)法にて定量し溶出率を算出した。結果を表35−1から35−5に示す。
上記結果に基づいて、「ポリエチレンオキサイド(PEO)の重量平均分子量×1/10000」及び「その製剤中含有量(%)」と、ピオグリタゾンの溶出率が、「2時間時点で平均25−58%、4時間時点で平均60−100%、および6時間時点で平均80−110%」の基準との関係について分析し、その結果を
図7、8に示した。
図7の各プロットは、1種のPEOを使用した実施例及び比較例の「PEOの重量平均分子量×1/10000」と「PEOの重量平均分子量×1/10000×PEOの製剤中含有量(%)」の関係を示し、上記基準に合致するものを白丸、概ね合致するものを三角、非合致のものを黒丸で示す。
上記結果より、該基準を充足し得る、「PEOの重量平均分子量×1/10000」と「PEOの製剤中含有量(%)」の関係の好ましい範囲は下記計算式で示すことができることがわかった。
【0104】
【表33】
【0105】
図8の各プロットは、分子量の異なる2種のPEOを使用した実施例及び比較例の「高分子量PEOの重量平均分子量×1/10000」と「高分子量PEOの重量平均分子量×1/10000×高分子量PEOの製剤中含有量(%)」の関係を示し、上記基準に合致するものを白丸、概ね合致するものを三角、非合致のものを黒丸で示す。「高分子量PEO」とは、使用したPEOのうち平均分子量が大きいものをいう。
上記結果より、該基準を充足し得る、「高分子量PEOの重量平均分子量×1/10000」と「高分子量PEOの製剤中含有量(%)」の関係の好ましい範囲は下記計算式で示すことができることがわかった。
【0106】
【表34】
【0107】
実験例12
比較例2〜30で得られた錠剤について、溶出性を測定した。pH2.0の0.3M塩化カリウム緩衝液の900mLに、錠剤を1錠投入し、USPパドル法により回転数50rpm、37℃により評価した。錠剤投入後、経時的に溶出液をサンプリングし、非水系フィルター(0.45μm)でろ過し、実験例1と同様の条件で高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)法にて定量し溶出率を算出した。結果を表36−1から36−5に示す。
【0108】
【表35-1】
【0109】
【表35-2】
【0110】
【表35-3】
【0111】
【表35-4】
【0112】
【表35-5】
【0113】
【表36-1】
【0114】
【表36-2】
【0115】
【表36-3】
【0116】
【表36-4】
【0117】
【表36-5】