特許第6093975号(P6093975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6093975発泡積層体の製造方法及びその発泡積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093975
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】発泡積層体の製造方法及びその発泡積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20170306BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   B32B5/24 101
   B65D81/38 J
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-281507(P2012-281507)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-124797(P2014-124797A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】増田 淳
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/078487(WO,A1)
【文献】 特開2009−243015(JP,A)
【文献】 特開2011−206074(JP,A)
【文献】 特開平07−232774(JP,A)
【文献】 特開2007−168178(JP,A)
【文献】 特開2013−078928(JP,A)
【文献】 東ソー研究・技術報告書,2011,Vol.55,p.45-48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00〜43/00
D21B 1/00〜D21J7/00
B65D65/00〜65/46
67/00〜79/02
81/18〜81/30
81/38
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)層/紙基材/(B)層をこの順に有する発泡積層体の製造方法であって、少なくとも下記に示す(i)〜(iii)の工程を経ることを特徴とする発泡積層体の製造方法。
(i)紙基材の片面または両面に沸点が83℃以上117℃以下の有機溶剤を塗布する工程
(ii)(A)層を構成する熱可塑性樹脂(a)及び(B)層を構成する熱可塑性樹脂(b)を紙基材に積層する工程
(iii)熱可塑性樹脂(a)/紙基材/熱可塑性樹脂(b)からなる積層体に加熱処理を施し、少なくとも熱可塑性樹脂(a)を発泡する工程
【請求項2】
紙基材に塗布する有機溶剤量が1.5g/m以上30g/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項3】
ダンプニング装置を用いて、紙基材に有機溶剤を塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項4】
紙基材に塗布する有機溶剤の沸点が、90℃以上110℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項5】
紙基材に塗布する有機溶剤が、アルコール類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項6】
紙基材の坪量が150g/m以上400g/m以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項7】
発泡前の(A)層の厚みが60μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項8】
熱可塑性樹脂(a)が、JIS K 6922−1(1997年)により測定された密度が915kg/m以上930kg/m以下である高圧法低密度ポリエチレン(c)であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項9】
熱可塑性樹脂(b)が、JIS K 6922−1(1997年)により測定された密度が930kg/m以上970kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(d)であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
【請求項10】
ポリエチレン系樹脂(d)が、高密度ポリエチレン(e)10〜90重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(f)10〜90重量%((e)と(f)の合計は100重量%)を含むエチレン系樹脂組成物(g)であることを特徴とする請求項に記載の発泡積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡積層体の製造方法及びその発泡積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、断熱性を有する容器として、合成樹脂、特にポリスチレンを発泡させたものが多く使用されている。しかし、発泡ポリスチレン容器は、廃棄時の環境への負荷が高い、印刷適性に劣るなどの欠点があり、他の素材への代替が検討されている。そのような中、紙カップ胴部の外周面にコルゲートした紙を貼り合わせて断熱層を形成した容器、同紙カップの胴部外周面にパルプ製の不織布とコート紙との積層体を接合した容器などが開発され、使用されている。
【0003】
しかしながら、いずれの方法も加工、成形が容易でなく、コスト高になるという欠点があった。そこで、水分を含んだ基材の少なくとも一面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートし、加熱することにより、基材に含まれている水分を利用して合成樹脂フィルムを凹凸に発泡させる技術が考案された(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかし、このようにして得られる材料は、発泡層の厚みが薄く、断熱性が不十分であった。
【0004】
また、発泡層の厚い発泡体を得る手段として、発泡面の少なくとも一部を真空吸引して発泡セルの発泡層を厚くする手法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。また、容器胴部材及び底板部材からなり、容器胴部材及び底板部材の原紙の内壁面に高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあると共に容器胴部材の原紙の外壁面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあり、この低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムを加熱処理して発泡してある断熱紙容器が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0005】
しかし、真空吸引により発泡層を厚くする手法は、真空吸引装置が必要であること、製造工程に真空吸引を施す工程を設ける必要があることからコストパフォーマンスに劣るといった問題があった。また、内壁面に高融点の熱可塑性合成樹脂を有する断熱紙容器では、発泡層の厚みが薄く、断熱性が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭48−32283号公報
【特許文献2】特開昭57−110439号公報
【特許文献3】特開2001−270571号公報
【特許文献4】特開2004−58534号公報
【特許文献5】特開2007−217024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、発泡層が厚く、断熱性が良好な発泡積層体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の方法で製造した発泡積層体が、優れた断熱性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、少なくとも(A)層/紙基材/(B)層をこの順に有する発泡積層体の製造方法であって、少なくとも下記に示す(i)〜(iii)の工程を経ることを特徴とする発泡積層体の製造方法に関するものである。
(i)紙基材の片面または両面に有機溶剤を塗布する工程
(ii)(A)層を構成する熱可塑性樹脂(a)及び(B)層を構成する熱可塑性樹脂(b)を紙基材に積層する工程
(iii)熱可塑性樹脂(a)/紙基材/熱可塑性樹脂(b)からなる積層体に加熱処理を施し、少なくとも熱可塑性樹脂(a)を発泡する工程
また、本発明の方法により製造された発泡積層体に関するものである。
【0010】
また、本発明の方法により製造された発泡積層体からなる容器に関するものである。
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の製造方法の工程(i)では、得られる発泡積層体の断熱性に優れるため、紙基材の片面または両面に有機溶剤を塗布する。
【0013】
有機溶剤を塗布する手法は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、ロールコート装置、リップコート装置、スプレー装置、ダイコート装置、グラビア装置、ダンプニング装置などを用いた手法が例示することができる。有機溶剤の塗布量が均一になるため、ダンプニング装置を用いた手法が好ましい。
【0014】
このようなダンプニング装置は、例えば、ニッカ(株)より商品名「WEKOローターダンプニング」が、鈴木産業(株)より商品名「ハイローターS」が、東機エレクトロニクス(株)より商品名「TSD−3000」が販売されている。特に、有機溶剤の塗布ムラがなく品質が安定することから、「ハイローターS」を用いることが好ましい。
【0015】
本発明における有機溶剤の塗布量は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はないが、熱可塑性樹脂の発泡倍率が高くでき、かつ、紙基材と熱可塑性樹脂(a)及び/または熱可塑性樹脂(b)との接着強度が低下しないことから、1.5〜30g/mが好ましく、15〜25g/mの範囲がより好ましい。
【0016】
このような有機溶剤は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカンなどの炭化水素類、及びそれらのハロゲン化物、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、エステル類、エーテル類、アミン類、アミド類、ニトリル類、芳香族類などを例示することができるが、断熱性に優れることからアルコール類が好ましい。
【0017】
このようなアルコール類は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル1−プロパノール、2−メチル2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル1−ブタノール、2−メチル2−ブタノール、ビニルアルコール、1−プロペノール、エチノール、1−プロピノールなどの1価脂肪族アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価脂肪族アルコール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの1価脂環式アルコール、シクロプロパンジオールなどの2価脂環式アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコールなどを例示することができるが、ハンドリング性に優れ、かつ、発泡積層体の断熱性に優れることから、1価脂肪族アルコールが好ましい。
【0018】
このような有機溶剤の沸点は、断熱性に優れることから、90〜110℃が好ましく、より好ましくは95〜105℃の範囲である。
【0019】
これらの有機溶剤は、1種単独、または2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0020】
本発明の製造方法の工程(ii)では、紙基材の両面に熱可塑性樹脂(a)及び熱可塑性樹脂(b)を積層する。
【0021】
熱可塑性樹脂(a)及び熱可塑性樹脂(b)を積層する手法は本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、本発明の積層体を成形する方法としては、押出ラミネート成形法、ドライラミネート成形法、ウェットラミネート成形法、サーマルラミネート成形法、ホットメルトラミネート成形法、圧縮成形法などを例示することができる。熱可塑性樹脂(a)の成形方法と熱可塑性樹脂(b)の成形方法は、同一の手法を用いてもよく、異なる手法を用いてもよい。
【0022】
これらの成形方法の中でも生産効率や成形された積層体の品質などの面から、押出ラミネート成形法が好ましい。
【0023】
押出ラミネート成形法により積層体を得る手法として、シングルラミネート加工法、タンデムラミネート加工法、サンドウィッチラミネート加工法、共押出ラミネート加工法などの各種押出ラミネート加工法を例示することができる。押出ラミネート法における樹脂の温度は260〜350℃の範囲が好ましく、冷却ロールの表面温度は10〜50℃の範囲が好ましい。
【0024】
また、押出ラミネート加工において、熱可塑性樹脂を溶融状態で押出し層とした直後に、該層の基材接着面を含酸素気体又は含オゾン気体に曝し、基材と貼り合わせる手法を用いると、基材層との接着性に優れることから好ましい。含オゾン気体により熱可塑性樹脂と基材との接着性を向上させる場合は、オゾンガスの処理量としては、ダイより押出された熱可塑性樹脂よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上のオゾンを吹き付けることが好ましい。
【0025】
加熱発泡により本発明の積層体を得る手法における押出ラミネート加工法は、熱可塑性樹脂層と基材層との接着性をさらに向上させるため、熱可塑性樹脂が発泡しない程度の温度、例えば30〜60℃の温度で10時間以上熱処理することができる。また必要に応じて、基材の接着面に対してコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。また、必要であれば基材にアンカーコート剤を塗布しても良い。
【0026】
本発明の製造方法の工程(iii)では、断熱性に優れるため、熱可塑性樹脂(a)/紙基材/熱可塑性樹脂(b)に加熱処理を施し、少なくとも熱可塑性樹脂(a)を発泡させる。
【0027】
加熱方法としては本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、熱風、電熱、電子線の他、積層体を容器状に成形し、高温の物体を内填して充填物の熱を利用するなど、任意の手段を使用できる。加熱は、オーブン内で回分式に行う手法、コンベアなどにより連続的に行う手法などにより行うことができる。
【0028】
加熱温度、加熱時間は、および熱可塑性樹脂の種類に依存して変化するが、一般的に加熱温度は熱可塑性樹脂の融点以上300℃以下であり、加熱時間は10秒〜5分間である。
【0029】
本発明の積層体を構成する紙基材については特に限定はないが、熱可塑性樹脂の発泡倍率を向上させることができるため、紙基材の坪量は150〜400g/mが好ましく、更に好ましくは、250〜350g/mである。
【0030】
このような紙基材に含まれる水分については特に制限はないが、熱可塑性樹脂の発泡倍率が向上することから、20〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは20〜28g/mである。
【0031】
本発明の製造方法では、本発明の目的が達成される限りにおいては、その他の工程を含んでも構わず、熱可塑性樹脂の表面に紙、熱可塑性樹脂などの他の層を積層する工程、熱可塑性樹脂又は/及び紙に印刷を施す工程、熱可塑性樹脂(a)/紙基材/熱可塑性樹脂(b)を容器の形状に製函する工程などが例示できる。
【0032】
本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂(a)は、本発明の目的が達成される限りにおいては特に限定はなく、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6などのポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリル酸などのアクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミドなどを例示することができる。発泡層の厚みに優れることから、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリスチレンが好ましく、加工性に優れることから、エチレン系樹脂がより好ましい。
【0033】
これらの熱可塑性樹脂(a)は、1種単独、または2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0034】
これらの熱可塑性樹脂(a)を複数混合する時は、複数の熱可塑性樹脂(a)のペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度は熱可塑性樹脂の融点〜300℃程度が好ましい。
【0035】
また、本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂(a)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、熱可塑性樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0036】
本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂(b)は、本発明の目的が達成される限りにおいては特に限定はなく、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6などのポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリル酸等のアクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミドなどを例示することができる。発泡層の厚みに優れることから、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリスチレンが好ましく、加工性に優れることから、エチレン系樹脂がより好ましい。
【0037】
これらの熱可塑性樹脂(b)は、1種単独、または2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0038】
これらの熱可塑性樹脂(b)を複数混合する時は、複数の熱可塑性樹脂(b)のペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度は熱可塑性樹脂の融点〜300℃程度が好ましい。
【0039】
また、本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂(b)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、熱可塑性樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0040】
本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂のうち、発泡層の厚み及び加工性に優れることから、少なくとも熱可塑性樹脂(a)は、JIS K6922−1(1997年)により測定した密度(以下、単に密度と略す。)が915〜930kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(c)が好ましい。発泡層厚みに優れることから、910〜925kg/mの範囲であれば、より好ましい。
【0041】
このような高圧法低密度ポリエチレン(c)は、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
【0042】
また、高圧法低密度ポリエチレン(c)のJIS K6922−1(1997年)により測定したメルトマスフローレート(以下、単にMFRと略す。)は、6〜30g/10分の範囲であると、発泡性に優れるため好ましく、より好ましくは8〜30g/10分、更に好ましくは10〜24g/10分、最も好ましくは13〜18g/10分の範囲である。
【0043】
本発明を構成する高圧法低密度ポリエチレン(c)には、エチレン・α−オレフィン共重合体などの他のポリオレフィンを配合してもよい。
【0044】
本発明の積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン(c)にポリオレフィンを混合する時は、高圧法低密度ポリエチレン(c)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリオレフィン系樹脂の融点〜300℃程度が好ましい。
【0045】
また、本発明の積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン(c)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0046】
更に、本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂(b)が、密度が935〜970kg/mであるポリエチレン系樹脂(d)であると、断熱性、発泡の安定性に優れるため好ましく、より好ましくは945〜970kg/m、最も好ましくは950〜965kg/mである。
【0047】
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂(d)としては、エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、又は、これらの組成物を用いることができ、その分子鎖の形態は直鎖状でもよく、炭素数6以上の長鎖分岐を有していてもよい。このようなポリエチレン系樹脂(d)は、特に限定されるものではない。
【0048】
このようなエチレン単独重合体としては、低圧法エチレン単独重合体、また、高圧法低密度ポリエチレンが例示することができる。
【0049】
エチレン・α−オレフィン共重合体に用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0050】
エチレン・α−オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
【0051】
このような、低圧法エチレン単独重合体は、従来公知の低圧イオン重合法により得ることができる。
【0052】
このような高圧法低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
【0053】
これらの中で、ラミネート成形性に優れることから、高密度ポリエチレン(e)10〜90重量%と高圧法低密度ポリエチレン(f)90〜10重量%((e)と(f)の合計は100重量%)を含むエチレン系樹脂組成物(g)であることが好ましい。
【0054】
高密度ポリエチレン(e)としては、低圧法エチレン単独重合体やエチレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0055】
また、高密度ポリエチレン(e)において、エチレン系樹脂組成物(g)のラミネート加工性に優れることから、MFRは6〜100g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは8〜60g/10分の範囲である。
【0056】
さらに、高密度ポリエチレン(e)において、エチレン系樹脂組成物(g)のラミネート加工性、生産性に優れるため、密度は935〜980kg/mの範囲が好ましく、より好ましくは945〜975kg/mの範囲である。
【0057】
高圧法低密度ポリエチレン(f)としては、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
【0058】
また、高圧法低密度ポリエチレン(f)において、エチレン系樹脂組成物(g)の押出ラミネート加工性に優れるため、MFRは0.1〜20g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10g/10分、最も好ましくは1〜4g/10分の範囲である。
【0059】
さらに、高圧法低密度ポリエチレン(f)において、エチレン系樹脂組成物(g)の製膜安定性に優れることから、密度は910〜935kg/mの範囲が好ましい。
【0060】
このようなエチレン系樹脂組成物(g)のMFRは、ラミネート成形性に優れるため、1〜50g/10分の範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜20g/10分の範囲である。
【0061】
また、本発明を構成するポリエチレン系樹脂(d)には、ポリプロピレンなどの他のポリオレフィンを配合してもよく、これらのポリオレフィンの配合比は1〜30重量%がラミネート成形性と積層体外観の点から好ましい。
【0062】
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂(d)にポリオレフィンを混合する時は、ポリエチレン系樹脂(d)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリエチレン系樹脂の融点〜300℃程度が好ましい。
【0063】
さらに、本発明を構成するポリエチレン系樹脂(d)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0064】
本発明の積層体を構成する(A)層の発泡前の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はないが、発泡性に優れ、破損などの問題が小さいことから、30μm〜5mmの厚みであることが好ましく、発泡外観に優れることから、60〜200μmがより好ましく、最も好ましくは80〜150μmである。
【0065】
本発明の積層体を構成する(B)層の発泡前の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はないが、発泡性に優れ、破損などの問題が小さいことから、30μm〜5mmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、30〜150μmの範囲が最も好適である。
【0066】
本発明の積層体について、断熱性に優れるため、発泡層の厚みの総計は900μm以上が好ましく、より好ましくは1000μm以上、最も好ましくは1100μm以上である。
【0067】
本発明の積層体は、少なくとも(A)層/紙基材/(B)層が積層されてなることを特徴とするものであり、(A)層、紙基材、(B)層はこの順に隣接して存在している。(A)層と紙基材と(B)層の3成分のみからなるものだけでなく他の成分、例えば(C)層を含んでいてもよい。具体的には、(A)層/紙基材/(B)層、(A)層/紙基材/(B)層/(A)層、(B)層/紙基材/(A)層/(B)層、(A)層/紙基材/(B)層/(B)層、(A)層/(A)層/紙基材/(B)層、(A)層/紙基材/(B)層/(C)層、(B)層/紙基材/(A)層/(C)層、(C)層/(B)層/紙基材/(A)層/(B)層/(C)層、(A)層/紙基材/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層、(B)層/紙基材/(A)層/(C)層/(A)層/(B)層などが例示される。
【0068】
(C)層としては、合成高分子重合体から形成される層や織布、不織布、金属箔、紙類、セロファン等が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂など合成高分子重合体から形成される層等が挙げられる。更に、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミ蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着、アクリル処理されたものでもよい。また、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。金属箔としては、アルミ箔、銅箔などが例示でき、また、紙類としてはクラフト紙、上質紙、伸張紙、グラシン紙、カップ原紙や印画紙原紙等の板紙などが挙げられる。
【0069】
本発明の容器は、所定の大きさに打ち抜かれた少なくとも胴部材と底部材からなり、断熱性に優れることから、本発明の製造方法により製造された発泡積層体を少なくとも胴部材に使用することが好ましい。容器を製函する手法は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はない。
【0070】
また、容器を製函する工程の順序は特に限定はないが、生産効率が高いことから、工程(ii)と工程(iii)の間に行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0071】
本発明の製造方法により、発泡層の厚みが大きく、良好な断熱性を示す発泡積層体の製造ができる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)密度
密度は、JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(2)メルトマスフローレート(MFR)
MFRは、JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(3)加熱発泡
実施例により得られた積層体を10cm×20cmに切り出し円筒状に成形したサンプルを、120℃に加熱したギア式老化試験機(安田精機製作所製 No.102−SHF−77)中で所定の時間静置した後、取り出して空気中で室温まで冷却した。
(4)紙基材の水分量
ポリエチレン系樹脂の積層前の紙基材について、カールフィッシャー法水分測定装置(三菱化学(株)製、商品名CA−05)を使用し測定した。測定温度は165℃である。
(5)発泡層厚み
実施例により得られた発泡体及びブランクとして発泡させる前のラミネート積層体をサンプル取りし、光学顕微鏡により断面写真を撮影した。断面写真から発泡層の厚みを測定し、5箇所で測定した。発泡層の厚みが900μm未満であれば×、900μm以上1000μm未満であれば△、1000μm以上1100μm未満であれば○とした。なお、発泡層厚みが1000μm以上であれば、良好であると評価した。
(6)発泡表面の状態
得られた発泡体の表面の平滑性を目視で観測した。表面の平滑性が良好である場合を○、良好であるもののやや劣る場合を△、不良の場合を×とした。
(7)紙基材との接着強度
実施例により得られた積層体について、オートグラフDCS−100((株)島津製作所製)を用いて、紙基材とポリエチレン系樹脂との接着強度を測定した。引張速度は300mm/分、チャック間距離は50mm、試験片の長さ及び巾はそれぞれ70mm及び15mmとした。接着強度が5N/15mm未満であれば×、5N/15mm以上6N/15mm未満であれば△、6N/15mm以上であれば○とした。なお、紙基材との接着強度が5N/15mm以上であれば、良好であると評価した。
【0073】
実施例1
熱可塑性樹脂(a)として、MFRが13g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 212)(A1)を、熱可塑性樹脂(b)として、MFRが7g/10分、密度が940kg/mである高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン LW04−1)(B1)を、有機溶剤として、炭化水素類であり、沸点が99℃であるノルマルヘプタン(S1)を使用した。
【0074】
まず、紙基材における(A1)を積層する面にハイローターS(スズキ産業(株)製)を用いて、水分量が24g/mであり、坪量320g/mである紙基材に10g/mの(S1)を塗布した後、(A1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、320℃の温度でTダイより押し出し、紙基材上に引き取り速度が60m/分、エアギャップ長さが130mmで70μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った。さらに、(B1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出機(ムサシノキカイ(株)製)へと供給し、320℃の温度、60m/分の引き取り速度、130mmのエアギャップ長さで、70μmの厚さとなるよう押出ラミネートを行い、高圧法低密度ポリエチレン(A1)、紙基材、高密度ポリエチレン(B1)の順に積層されてなる積層体を得た。得られた積層体を120℃、5分間加熱して発泡させ、発泡積層体を得た。得られた発泡前後の積層体について、発泡層の厚み及び紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0075】
実施例2
紙基材に塗布した有機溶剤を、ケトン類であり、沸点が101℃であるジエチルケトン(S2)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0076】
実施例3
紙基材に塗布した有機溶剤を、アルデヒド類であり、沸点が103℃であるペンタナール(S3)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0077】
実施例4
紙基材に塗布した有機溶剤を、カルボン酸類であり、沸点が101℃であるギ酸(S4)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0078】
実施例5
紙基材に塗布した有機溶剤を、エステル類であり、沸点が102℃である酢酸ノルマルプロピル(S5)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0079】
実施例6
紙基材に塗布した有機溶剤を、エーテル類であり、沸点が101℃である1,4−ジオキサン(S6)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0080】
実施例7
紙基材に塗布した有機溶剤を、アミン類であり、沸点が108℃であるブチルエチルアミン(S7)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0081】
実施例8
紙基材に塗布した有機溶剤を、ニトリル類であり、沸点が97℃であるプロピルニトリル(S8)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0082】
実施例9
紙基材に塗布した有機溶剤を、芳香族類であり、沸点が111℃であるトルエン(S9)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0083】
実施例10
紙基材に塗布した有機溶剤を、アルコール類であり、沸点が100℃である2−ブタノール(S10)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0084】
【表1】
実施例11
紙基材に塗布した有機溶剤を、アルコール類であり、沸点が108℃であるイソブチルアルコール(S11)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表2に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0085】
実施例12
紙基材に塗布した有機溶剤を、アルコール類であり、沸点が117℃である1−ブタノール(S12)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表2に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0086】
実施例13
紙基材に塗布した有機溶剤を、アルコール類であり、沸点が83℃であるイソプロパノール(S13)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表2に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0087】
実施例14
紙基材に塗布した有機溶剤を、アルコール類であり、沸点が91℃であるシクロプロパノール(S14)とした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表2に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0088】
【表2】
実施例15
紙基材における(A1)を積層する面に1g/mの(S10)を塗布した以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0089】
実施例16
紙基材における(A1)を積層する面に2g/mの(S10)を塗布した以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
実施例17
紙基材における(A1)を積層する面に20g/mの(S10)を塗布した以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0090】
実施例18
紙基材における(A1)を積層する面に30g/mの(S10)を塗布した以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0091】
実施例19
紙基材における(A1)を積層する面に35g/mの(S10)を塗布した以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0092】
実施例20
紙基材における(A1)を積層する面に15g/mの(S10)を塗布し、(B1)を積層する面に15g/mの(S10)を塗布した以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0093】
実施例21
紙基材における(A1)を積層する面に(S10)を塗布せず、(B1)を積層する面に30g/mの(S10)を塗布した以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0094】
実施例22
(B)層の樹脂として、MFRが21g/10分、密度が952kg/mである高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ニポロンハード 2000)を90重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 360)を10重量%になるよう配合し、単軸押出機(プラコー(株)製 口径50mm)にて溶融混練したエチレン系樹脂組成物(B2、MFR 16g/10分、密度 949kg/m)を使用した以外は実施例18と同様にして、ラミネート成形を行い、発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0095】
実施例23
(B)層の樹脂として、MFRが20g/10分、密度が966kg/mである高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ニポロンハード 1000)を90重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 360)を10重量%になるよう配合し、単軸押出機(プラコー(株)製 口径50mm)にて溶融混練したエチレン系樹脂組成物(B3、MFR 16g/10分、密度 961kg/m)を使用した以外は実施例18と同様にして、ラミネート成形を行い、発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表3に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0096】
【表3】
実施例24
(A1)の厚みを80μmとした以外は、実施例10と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表4に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0097】
実施例25
(A1)の厚みを80μmとした以外は、実施例17と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表4に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0098】
実施例26
(A1)の厚みを80μmとした以外は、実施例18と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表4に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0099】
実施例27
(A1)の厚みを100μmとした以外は、実施例18と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表4に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0100】
実施例28
(A1)の厚みを120μmとした以外は、実施例18と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表4に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0101】
実施例29
(A1)の厚みを150μmとした以外は、実施例18と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表4に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0102】
実施例30
(A1)の厚みを100μmとした以外は、実施例23と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、紙基材との接着強度を評価した。評価の結果を表4に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の平滑性、紙基材との接着強度はともに良好であった。
【0103】
【表4】
比較例1
紙基材に有機溶剤を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表5に示す。発泡表面の平滑性及び紙基材との接着強度は良好であったものの、発泡後の発泡層の厚みに劣っていた。
【0104】
比較例2
紙基材に有機溶剤を塗布しなかったこと以外は、実施例22と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表5に示す。発泡表面の平滑性及び紙基材との接着強度は良好であったものの、発泡後の発泡層の厚みに劣っていた。
【0105】
比較例3
紙基材に有機溶剤を塗布しなかったこと以外は、実施例23と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、紙基材との接着強度を評価した。結果を表5に示す。発泡表面の平滑性及び紙基材との接着強度は良好であったものの、発泡後の発泡層の厚みに劣っていた。
【0106】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の発泡積層体は、コーヒー、スープなどの高温飲料用の紙容器、インスタントラーメンなどの即席食品用の容器等、断熱性を求められる容器に好適に使用される。