(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明における発光装置及びこの発光装置の製造方法について説明する。
【0029】
<第1実施形態>
〔発光素子の構造〕
本発明の第1実施形態における発光装置の構造を、
図1を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る発光装置10はLEDであり、基板1と、基板1上(
図1において下側)に積層された半導体発光素子構造(発光素子構造)2とを備えた半導体発光素子(発光素子)3と、半導体発光素子3のn側電極2
n及びp側電極2
pと外部の実装基板と電気的接続するためのバンプ(外部接続用電極)4
n(4)、4
p(4)と、光取り出し面である半導体発光素子3の上面(基板1側)に形成された蛍光層5と、半導体発光素子3の側面(すなわち、基板1の側面及び半導体発光素子構造2の側面)及び下面(半導体発光素子構造2側)を被覆する反射層6と、を備えて構成されている。
【0030】
図1に示すように、発光装置10において、反射層6は、断面視で開口が上向きであるU字状に形成され、半導体発光素子3の表面である下面を被覆するとともに、側面を包囲するように被覆している。反射層6は、半導体発光素子3の下面及び側面と密着しているため、発光装置10から剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10から剥離しにくい。また、蛍光層5は、平板状に形成され、半導体発光素子3の上面及び反射層6の半導体発光素子3の側面を被覆する部分の上面と密着している。
【0031】
なお、本実施形態で「U字状」とは、すべての断面でU字状となる場合に限定されず、
図1(a)に示すように、反射層6を貫通して設けられたバンプ4が含まれる断面において、反射層6の一部が分断される場合においても、他の断面で「U字状」となる場合は、反射層6は断面視で「U字状」に形成されているものとする。また、後記する他の実施形態においても同様であり、蛍光層5がバンプ4によって一部分断される場合(例えば、
図20参照)も同様である。
【0032】
また、発光装置10は、半導体発光素子構造2側の面を実装基板側に対向させて実装するフェイスダウン実装型のLEDである。
本実施形態に係る発光装置のように、n側外部接続用電極及びp側外部接続用電極が、発光素子の光取り出し面と反対側の面である他方の面側に設けられ、接続面が反射部材から露出していることが好ましい。
かかる構成によれば、発光装置は、フェイスダウン実装型の発光装置となる。このため、活性層からの光は、n側外部接続用電極及びp側外部接続用電極に遮蔽されることを回避しながら、光取り出し面である基板側から外部に取り出される。また、活性層が発光装置の他方の面側に位置するため、基板を介して波長変換部材に均一に光を入射しやすい。更に、外部接続用電極の接続面が発光装置の実装面に設けられるため、発光素子から発する熱を外部接続用電極を介して効率的に放熱することができる。
また、本実施形態に係る発光装置によれば、フェイスダウン実装型の発光装置となるため、光取り出し面側における外部接続用電極による遮光を回避して、効率的に光を外部に取り出すことができる。また、外部接続用電極を介して効率的に放熱するため、放熱性に優れた発光装置とすることができる。
【0033】
本明細書において、「半導体発光素子構造」とは、
図1(b)に示すように、n型半導体層2aとp型半導体層2cとが積層された(好ましくは、その間に活性層2bを挟んだ)積層構造体を含む発光素子として機能する基本的な構造体のことをいう。また、この半導体発光素子構造2は、基板1の同じ面側にn型半導体層2aと電気的に接続するn側電極2
nと、p型半導体層2bと電気的に接続するp側電極2
pとを有する構造を備えているものである。
【0034】
また、本明細書において、第1実施形態及び他の実施形態において、上下の方向は、原則として各実施形態を説明する説明する図面に示した通りとする。例えば、
図1(a)に示す第1実施形態に係る発光装置10の上面は、蛍光層5の上面であり、発光装置10の下面は、反射層6の下面及びバンプ4の下面である。また、
図25に示す第8実施形態に係る発光装置10Gの上面は、蛍光層5の上面及びバンプ4の上面であり、発光装置10Gの下面は、反射層6の下面である。
また、底面視での形状とは下方から見た形状をいい、平面視での形状とは上方から見た形状をいう。
【0035】
また、本明細書において、半導体発光素子3について、半導体発光素子構造2が形成された側の面を表面と呼び、基板1側を裏面と呼ぶこととする。基板1についても同様に、半導体発光素子構造2が形成された側の面を表面と呼び、反対側の面を裏面と呼ぶ。また、
図1(a)において、本実施形態の発光装置10は、フェイスダウン実装型のLEDであるため、基板1に対して、半導体発光素子構造2は、下側に設けられているが、便宜上、半導体発光素子構造2の積層構造を説明する際には、基板面から離れる方向を「上」ということがある。
【0036】
また、本実施形態に係る発光装置10は、半導体発光素子3として、透光性の基板1に窒化物半導体からなる半導体発光素子構造2が積層された青色発光ダイオードを用い、蛍光層5として、半導体発光素子3が発光する青色光を吸収し、黄色光を発光する蛍光体を含有する樹脂層を用い、半導体発光素子3が発光する青色光と、蛍光層5が発光する黄色光とを混色して、白色光を出力する白色発光ダイオードを例として説明する。
【0037】
なお、本実施形態は、本発明の適用範囲を限定するものではなく、例えば、半導体発光素子構造2が発光する光は、青色光に限定されず、紫色光や紫外光や、更に他の光色であってもよい。また、蛍光層5は、黄色光に変換するものに限定されず、赤色光又は緑色光に変換するものであってもよく、赤色光及び緑色光に変換する複数種類の蛍光体を含有するようにしてもよい。また、混色した出力光は、白色光に限定されず、有彩色光であってもよい。また、半導体発光素子構造2は、窒化物半導体に限定されず、他の半導体材料を用いたものでもよい。
【0038】
以下、発光装置10の構成各部について詳細に説明する。
【0039】
(基板)
基板1は、窒化物半導体をエピタキシャル成長させることができる基板材料で形成されればよく、大きさや厚さ等は特に限定されない。このような基板材料としては、C面、R面、A面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgA1
2O
4)のような絶縁性基板、また炭化ケイ素(SiC)、シリコン、ZnS、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、及び窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウム等の酸化物基板が挙げられる。また、本実施形態における発光装置10は、フェイスダウン実装をするため、発光装置10の上面側となる半導体発光素子3の裏面側(基板1側)が光取り出し面となる。従って、半導体発光素子構造2で発光した光は、基板1を透過して光取り出し面から出射されるため、基板1は、少なくとも、この光の波長に対して透明であることが好ましい。
【0040】
(半導体発光素子構造(発光素子構造))
半導体発光素子構造2は、例えば窒化ガリウム系の化合物半導体からなるn型半導体層2aと活性層2bとp型導体層2cとが積層された積層構造体を含む発光素子として機能する基本的な構造体のことである。本実施形態においては、半導体発光素子構造2は、p型半導体層2
p上(
図1において下側)に全面電極2dと、カバー電極2eとが積層され、基板1の同じ平面側にn型半導体層2aと電気的に接続するn側電極2
nと、p型半導体層2cと電気的に接続するカバー電極2eの上面にp側電極2
pとを有するLEDを構成している。
【0041】
なお、全面電極2dは、p型半導体層2c上に、p型半導体層2cの略全面を覆うように設けられ、p側電極2
p及びカバー電極2eを介して供給される電流を、p型半導体層2cの全面に均一に拡散するための電極である。また、フェイスダウン実装をする本実施形態における発光装置10においては、活性層2bで発光した光を光取り出し面である発光装置10の上面側(基板1の裏面側)に反射するための反射層としての機能も有する。
【0042】
また、全面電極2dは、p型半導体層2cと電気的に良好に接続できるオーミック電極であることが好ましく、また、少なくとも活性層2bで発光する光の波長に対して、良好な反射率を有することが好ましい。したがって、全面電極2dとしては、光の反射率の高いAgの単層膜、Agを最下層とするNi、Tiなどとの多層膜を好適に用いることができる。より好ましくは、Agを最下層(p型半導体層2c側)とするAg/Ni/Ti/Ptの多層膜を用いることができ、この多層膜の膜厚は、例えば、それぞれ1000nm程度とすることができる。全面電極2dは、これらの材料を、例えば、スパッタリングや蒸着により、順次積層して形成することができる。
【0043】
カバー電極2eは、全面電極2dの上面及び側面を覆い、p側電極2
pを全面電極2dから遮蔽し、全面電極2dの構成材料の、特にAgのマイグレーションを防止するためのバリア層として機能する。
【0044】
カバー電極2eとしては、例えば、Ti、Au、Wなどの金属の単層膜やこれらの金属の多層膜を用いることができる。好ましくは、Tiを最下層(全面電極2d側)とするTi(最下層)/Au/W/Tiの多層膜を用いることができ、この多層膜の膜厚は、例えば、下層側からそれぞれ2nm、1700nm、120nm、3nmとすることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、全面電極2d及びカバー電極2eをp型半導体層2c上にのみ設けるようにしたが、n型半導体層2a上にも全面電極2d及びカバー電極2eを設けるようにしてもよい。
【0046】
また、n側電極2
nはn型半導体層2aに、p側電極2pはカバー電極2e及び全面電極2dを介してp型半導体層2cに、それぞれ電気的に接続して、発光装置10に外部から電流を供給するためのパッド電極である。n側電極2
nは、半導体発光素子構造2のn型半導体層2aの露出面に設けられる。p側電極2
pは、半導体発光素子構造2のカバー電極2eの上面に設けられる。n側電極2
n及びp側電極2
pの上面には、それぞれバンプ4
n及びバンプ4
pが設けられている。
【0047】
n側電極2
n及びp側電極2
pとしては、電気抵抗が低い材料が好ましく、Au、Cu、Ni、Al、Ptなどの金属やこれらの合金の単層、又は多層膜を用いることができる。n側電極2
n及びp側電極2
pは、例えば、Cu単層又はCu/Ni積層膜を下層(n型半導体層2a、カバー電極2e側)とし、Au又はAuSn合金を上層とする多層膜とすることができる。
【0048】
また、n側電極2
nとn型半導体層2aとの良好な電気的コンタクトを得るために、n側電極2
nの最下層(n型半導体層2a側)はTi、Al、AlCuSi合金などを用いることが好ましく、左端を最下層として、Ti/Au、Al/Ti/Au、Al/Ti/Pt/Au、Ti/Pt/Au、AlCuSi/Ti/Pt/Auなどの多層膜を用いることができる。また、AlCuSi合金を最下層として、AlCuSi/Ti/Pt/Auの多層膜とする場合は、各層の膜厚は、例えば、それぞれ500nm、150nm、50nm、700nmとすることができる。
【0049】
(バンプ(外部接続用電極))
バンプ(n側外部接続用電極)4
n及びバンプ(p側外部接続用電極)4
pは、それぞれn側電極2
n及びp側電極2
pに電気的に接続されており、実装基板などの外部回路と接続するための外部接続用電極である。
バンプ4
n及びバンプ4
pは、基板1の同じ面側に配設され、反射層6を貫通して、外部回路との接続面である下面が露出している。
【0050】
バンプ4
n及びバンプ4
p(以下、適宜バンプ4と略す)は、Au、Cu、Ni、Ag又はこれらの金属を含む合金の単層膜、又はこれらの多層膜を用いることができる。Auは、電気抵抗及び接触抵抗が低く好ましいが、安価なSnとの合金であるAuSn合金を用いることができる。
【0051】
バンプ4は、単層構造の場合は、前記した材料の線材を用いて、ワイヤボンダにより形成することができる。また、単層構造又は多層構造の場合は、電解メッキや無電解メッキなどのメッキ処理により形成することもできる。
【0052】
(蛍光層(波長変換部材))
蛍光層5は、光取り出し面である発光装置10の上面側、すなわち基板1の裏面側に設けられ、半導体発光素子構造2が発光する波長の光の一部を吸収し、異なる波長の光に変換して発光する蛍光体を含有する樹脂層によって構成される波長変換部材である。
また、蛍光層5は、バインダーとなる樹脂に蛍光体を含有して形成される。また、蛍光体の他に、拡散剤を含有して構成されてもよい。更に、蛍光層5は、単層構造だけでなく、多層構造とすることもでき、異なる種類の蛍光体を含有する複数の層で構成されてもよい。また、蛍光層5の上に、拡散剤を含有する層や表面に凹凸を有する層、及び/又は凸レンズなどの透光性部材を積層してもよい。
【0053】
蛍光層5の厚さは、蛍光体の含有量、半導体発光素子構造2が発光する光と、波長変換後の光との混色後の色調などによって定めることができるが、例えば、1μm以上かつ1000μm以下とすることができ、5μm以上かつ500μm以下とすることが好ましく、10μm以上かつ200μm以下とすることがより好ましい。
【0054】
(蛍光体)
蛍光層5に含有される蛍光体としては、窒化物半導体を活性層とする半導体発光素子3が発光する光により励起されて発光可能な、Ce(セリウム)で付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体をベースとしたものを用いることができる。具体的なイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体としては、YAlO
3:Ce、Y
3Al
5O
12Y:Ce(YAG:Ce)やY
4Al
2O
9:Ce、更にはこれらの混合物などが挙げられる。イットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体にBa、Sr、Mg、Ca、Znの少なくとも一種が含有されていてもよい。また、Siを含有させることによって、結晶成長の反応を抑制し蛍光体の粒子を揃えることができる。
【0055】
他にも青色、青緑色や緑色を吸収して赤色が発光可能な蛍光体としては、Eu及び/又はCrで付活されたサファイア(酸化アルミニウム)蛍光体やEu及び/又はCrで付活された窒素含有Ca−Al
2O
3−SiO
2蛍光体(オキシナイトライド蛍光硝子)等が挙げられる。これらの蛍光体を利用して発光素子からの光と蛍光体からの光の混色により白色光を得ることもできる。
【0056】
また、前記したCeで付活されたYAG系蛍光体とEu及び/又はCrで付活された窒素含有Ca-Al-Si-O-N系オキシナイトライド蛍光硝子とを組み合わせることにより青色系が発光可能な半導体発光素子3を利用してRGB(赤色、緑色、青色)成分を高輝度に含む極めて演色性の高い白色発光ダイオードを形成させることもできる。このため、所望の顔料を添加するだけで任意の中間色も極めて簡単に形成させることができる。
【0057】
(拡散剤)
拡散剤は、半導体発光素子3及び蛍光体の発する光を効率良く拡散するために添加されるものである。具体的には、酸化チタン、酸化ケイ素、中空酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、窒化硼素を用いることができる。また、シリコーンパウダーなどの樹脂の粉末を用いてもよい。拡散剤の平均粒径は、例えば0.001μm以上かつ100μm以下とすることができ、0.005μm以上かつ50μm以下とすることが好ましい。
【0058】
(バインダー(樹脂))
バインダーは、前記した蛍光体や拡散剤を、蛍光層5として半導体発光素子3の光取り出し面に結着させるための樹脂である。バインダーとなる樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、ジメチル系シリコーン樹脂、フェニル系シリコーン樹脂、ジメチル/フェニルのハイブリッドシリコーン樹脂、エポキシ/シリコーンのハイブリッド樹脂、フッ素樹脂、アダマンタン樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ハイブリッドエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。特に、耐熱、耐光性、透過率の高い、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が好ましい。また、バインダーに、硬度を上げるために、ガラス成分を配合させてもよい。また、半導体発光素子3との密着性を向上させるために、密着性付与剤を加えてもよい。密着性付与剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを用いることができる。
【0059】
(反射層(反射部材))
反射層6は、半導体発光素子3が発光し、横方向又は下方向に進行する光を、光取り出し面である蛍光層5側に反射するための部材である。本実施形態では、反射層6は、半導体発光素子3の下面(半導体発光素子構造2側)を被覆するとともに、側面を包囲するように被覆し、反射材を含有する樹脂層であり、バインダーとなる樹脂に、反射材の他に、充填剤を含有して構成されてもよい。
【0060】
反射層6は、半導体発光素子3の光取り出し面を露出させて設けられるため、半導体発光素子3が発光した光は、光取り出し面に設けられた蛍光層5を通過して外部に取り出される。
【0061】
このとき、蛍光層5を通過する光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体により長波長の光に変換されて外部に取り出され、また、他の光は、半導体発光素子3が発光したそのままの波長の光で蛍光層5を透過して外部に取り出される。そして、蛍光体により波長変換されて取り出される光(黄色光)と、波長変換されずに取り出される光(青色光)とが混色された光(白色光)が、発光装置10から出力される。
【0062】
ここで、蛍光層5は、高い精度で厚さが調整され、チップ同士における厚さのバラツキが抑制されている。また、発光装置10から外部に取り出される光の大部分、好ましくは実質的にそのすべては、この蛍光層5を通過することになる。このとき、蛍光層5を通過する光の一部が波長変換されて外部に取り出される。このため、発光装置10から出力される光の混色の割合の発光素子同士でのバラツキが少ない。従って、発光装置10の発光色のバラツキを低減することができる。
【0063】
また、反射層6の厚さは、半導体発光素子3が発光した光を反射するのに十分な厚さであることが好ましい。半導体発光素子3の表面(半導体発光素子構造2側)に形成された反射層6の厚さは、例えば、1μm以上かつ500μm以下とすることができ、5μm以上かつ200μm以下とすることが好ましく、10μm以上かつ100μm以下とすることがより好ましい。また、反射層6の半導体発光素子3の側面側の厚さは、例えば、1μm以上かつ2000μm以下とすることができ、5μm以上かつ1000μm以下とすることが好ましく、10μm以上かつ500μm以下とすることがより好ましい。
【0064】
なお、特に半導体発光素子3の側面側の反射層6の厚さに、ある程度のバラツキが生じることを考慮して、反射材の添加量などを調整することが好ましい。すなわち、反射層6の厚さが、このバラツキの範囲内で最小の厚さの場合に、厚さや反射材の添加量などによって定まる反射層6の反射率が、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率となるように、前記した反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することが好ましい。
【0065】
(バインダー(樹脂))
バインダーは、前記した反射材や充填剤を、反射層6として半導体発光素子3の側面及び表面(半導体発光素子構造2側)に結着させるための樹脂である。バインダーとなる樹脂としては、前記した蛍光層5に用いるバインダーと同じものを用いることができる。
【0066】
(反射材)
反射材は、半導体発光素子3が発光した光を反射する部材である。反射材としては、前記した蛍光層5に用いる拡散剤と同じものを用いることができる。
【0067】
(充填剤)
充填剤は、樹脂層である反射層6の強度を上げるため、及び反射層6の熱伝導率を上げるために添加されるものである。充填剤としては、ガラス繊維、ウィスカー、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化硼素、酸化亜鉛、窒化アルミニウムなどを用いることができる。
【0068】
〔発光装置の動作〕
図1に示した本発明の第1実施形態に係る発光装置10は、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介して、実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6、n側電極2
n、p側電極2
p、全面電極2dなどによって反射されて、基板1側(
図1の上方向)から蛍光層5を通過して取り出される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。そして、発光装置10からは、蛍光層5を波長変換されずに通過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0069】
このとき、基板1の裏面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。また、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、反射層6により、光取り出し面方向に反射される。ここで、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは、発光装置10の発光色に影響しない。すなわち、半導体発光素子3が発光し、外部に取り出される光の大部分、好ましくは実質的にそのすべての光は、厚さが精度よく調整された蛍光層5を通過することになる。従って、蛍光層5を通過する光の、波長変換される光と波長変換されない光の割合の発光装置同士でのバラツキが少なくなるため、発光装置10から混色して出力される白色光の色調のバラツキを低減することができる。
【0070】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第1実施形態における発光装置の製造方法について、
図2を参照して説明する。
【0071】
図2に示すように、第1実施形態における発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S100と、バンプ形成工程S101と、第1個片化工程S102と、チップ選別工程S103と、第1キャリア貼付工程S104と、反射層形成工程S105と、反射層厚さ調整工程S106と、清浄化工程S107と、第2キャリア貼付工程S108と、蛍光層形成工程S109と、蛍光層厚さ調整工程S110と、第2個片化工程S111と、が順次行われる。
【0072】
以下、
図3を参照(適宜
図1及び
図2参照)して、各工程について詳細に説明する。
なお、本実施形態では、基板1上に窒化物半導体を積層した半導体発光素子構造2がマトリクス状に配列されて形成されたウエハ状態の半導体発光素子3は、公知の方法で製造するものとし、半導体発光素子3の製造工程より後の工程について図面を参照して説明する。
【0073】
(発光素子構造形成工程:S100)
基板1上に半導体発光素子構造2を形成する発光素子構造形成工程S100について具体的に説明すれば、まず、サファイアなどからなる基板1上に、MOVPE法(有機金属気相成長法)を用いて、例えば、窒化ガリウム系などの化合物半導体からなる、n型半導体層2a、活性層2b及びp型半導体層2cを構成するそれぞれの半導体層を成長させる。
【0074】
次に、n側電極2
nを形成するために、n型半導体層2aの一部を露出させる。ウエハ上にフォトレジストにて所定の形状のマスクを形成して、RIE(反応性イオンエッチング)にて、p型半導体層2c及び活性層2b、更にn型半導体層2aの一部を除去して、n型半導体層2aを露出させる。エッチングの後、レジストを除去する。
【0075】
次に、ウエハの全面に、全面電極2dとして、例えば、Ag/Ni/Ti/Ptを順次積層してなる多層膜をスパッタリングにて成膜する。そして、フォトリソグラフィ法により所定形状の全面電極2dを形成する。その後、カバー電極2eとして、例えば、Ti/Au/W/Tiを順次積層してなる多層膜をスパッタリングにて成膜する。そして、フォトリソグラフィ法により全面電極2dを遮蔽する所定形状のカバー電極2eを形成する。
以上により、基板1上に半導体発光素子構造2が形成された半導体発光素子3が得られる。
【0076】
また、半導体発光素子構造2の表面全体に、例えば、スパッタリングにより、絶縁性のSiO
2などを積層して保護層を形成してもよい。
【0077】
(バンプ形成工程(外部接続用電極形成工程):S101)
次に、バンプ形成工程S101において、
図3(a)に示すように、半導体発光素子構造2の上面にバンプ4を形成する。バンプ4として、n側電極2
n及びp側電極2
p(
図1(b)参照)上に、それぞれ、バンプ4
n及びバンプ4
pが形成される。
【0078】
バンプ4は、n側電極2
n及びp側電極2
p(
図1(b)参照)上に、ワイヤボンダを用いて形成することができる。ここで、
図4を参照して、ワイヤボンダを用いたバンプ4の形成方法について説明する。
【0079】
図4(a)は、Au(金)などの線材(ボンディングワイヤ)を、ワイヤボンダを用いて、半導体発光素子構造2(のn側電極2
n又はp側電極2
p(
図1(b)参照)上に接続した様子を示している。
図4(a)に示すように、ワイヤボンダにより半導体発光素子構造2上に接続されたボンディングワイヤの端部には、球状の金属の塊が形成される。この金属塊の上部でボンディングワイヤを切断し、残った金属塊がバンプ4となる。なお、形成した金属塊上に、同様の操作によって、金属塊を積層することもできる。
【0080】
また、バンプ4の形成方法はこれに限定されず、例えば、フォトレジストを用いてバンプ形成領域に開口を有するマスクパターンを形成し、電解メッキや無電解メッキによって金属のバンプを形成することもできる。
【0081】
(第1個片化工程:S102)
図3に戻って、次に、第1個片化工程S102において、
図3(b)に示すように、バンプ4を形成した半導体発光素子3をダイシングシート(不図示)に貼付し、ダイシングにより素子構造の境界線20に沿って切断し、チップ11に個片化する。
【0082】
(チップ選別工程:S103)
次に、チップ選別工程S103において、個片化された各チップ11について、半導体発光素子構造2のn側電極2
n上及びp側電極2
p(
図1(b)参照)上に形成されたバンプ4に電源装置を接続してチップ11を発光させ、発光波長を測定する。そして、発光波長が所定の範囲にあるチップ11を選別する。
【0083】
(第1キャリア貼付工程(配列工程):S104)
次に、第1キャリア貼付工程S104において、チップ選別工程S103で選別したチップ11を、バンプ4を上側にして、所定の間隔を空けて粘着シート40が貼付されたキャリア30上に配列する。キャリア30上に配列されたチップ11は、粘着シート40によってキャリア30に貼付され、その位置が保持される。
【0084】
なお、第1キャリア貼付工程S104において、チップ11を、例えば、コレットを用いて1個ずつチップ11を吸着し、キャリア30上に配列することができる。このとき、チップ11の間隔は、ある程度のバラツキが許容される。
【0085】
ここで、キャリア(平板状の治具)30は、チップ11の配列を保持する板状の治具である。キャリア30は、剛性を有するセラミックス、ガラス、金属、プラスチックなどの板状部材を用いることができる。
【0086】
(反射層形成工程(反射部材形成工程):S105)
次に、反射層形成工程S105において、
図3(d)に示すように、キャリア30に貼付されたチップ11の表面(半導体発光素子構造2側)及び側面に反射層6を形成する。具体的には、キャリア30を下金型50上に載置し、反射材を含有した樹脂をチップ11を配列した面上に塗布し、上金型51で挟み込む。そして、上金型51から離型できる強度が得られるまで加熱して硬化(一次硬化)させる。その後、キャリア30を上下金型50,51から取り出し、オーブンに投入して、反射層6の樹脂を十分に硬化(二次硬化)させる。
【0087】
なお、前記した例では、樹脂をチップ11上に塗布した後で上金型51を下げ、圧縮成形するようにしたが、成形方法はこれに限定されるものではない。例えば、上下金型50,51を所定の位置に設置し、上下金型50,51の隙間から樹脂を注入するトランスファー成形を行うようにしてもよい。
【0088】
(反射層厚さ調整工程:S106)
次に、反射層厚さ調整工程S106において、
図3(e)に示すように、反射層6の表面(
図3(e)において下側の面)を、研磨機60を用いて、研磨(又は研削)して、バンプ4を露出させるとともに、予め定めておいた研磨線61まで研磨(又は研削)して、反射層6を所定の厚さに調整する。
【0089】
(清浄化工程:S107)
次に、清浄化工程S107において、
図3(f)に示すように、反射層6で一体化されたチップ11をキャリア30から剥離し、研磨により生じたバリや、ごみ等を除去する。
【0090】
清浄化の方法としては、ウォータージェットを用いることができる。他の清浄化の方法としては、例えば、プラズマ照射、レーザ照射、ブラストなどを用いることができる。
【0091】
(第2キャリア貼付工程:S108)
次に、第2キャリア貼付工程S108において、
図3(g)に示すように、反射層6で一体化されているチップ11を、基板1が上側になるように、粘着シート40が貼付されたキャリア30に貼付する。なお、本工程で用いるキャリア30及び粘着シート40は、第1キャリア貼付工程S104で用いたものと同様のものを用いることができる。
【0092】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S109)
次に、蛍光層形成工程S109において、
図3(h)に示すように、チップ11の基板1側の面に、蛍光層5を形成する。具体的には、キャリア30を下金型50上に載置し、蛍光体を含有した樹脂をチップ11の裏面上に塗布し、上金型51で挟み込んで、上金型51から離型できる強度が得られるまで加熱して硬化(一次硬化)させる。その後、キャリア30を上下金型50,51から取り出し、オーブンに投入して、蛍光層5の樹脂を十分に硬化(二次硬化)させる。
【0093】
なお、本工程も、前記した反射層形成工程S105と同様に、圧縮成形に限定されず、トランスファー成形など他の成形方法を用いるようにしてもよい。
【0094】
(蛍光層厚さ調整工程:S110)
次に、蛍光層厚さ調整工程S110において、
図3(i)に示すように、蛍光層5の下面(
図3(i)において下側の面)を、研磨機60を用いて、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10の発光色の色調を調整することができる。
【0095】
(第2個片化工程:S111)
最後に、第2個片化工程S111において、
図3(j)に示すように、反射層6及び蛍光層5により一体化されている発光装置10をダイシングシート(不図示)に貼付し、ダイシングにより発光装置10の境界線21に沿って切断して個片化する。以上の工程により、
図1に示した発光装置10を製造することができる。
【0096】
<発光装置の変形例>
次に、
図5を参照(適宜
図1参照)して、第1実施形態に係る発光装置の変形例について説明する。
【0097】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1変形例における発光装置10は、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置10に対して、バンプ4
n,4
p(4)と電気的に接続する引出電極7(引出電極(n側外部接続用拡張電極)7
n、引出電極(p側外部接続用拡張電極)7
p)を、更に備えたものである。
図5(a)に示すように、底面視で、バンプ4
n,4
p(4)の間隔よりも広く引き出された部位を有し、またバンプ4の下面の面積よりも広い面積の引出電極7
n,7
p(7)が反射層6の面上に設けられており、実装基板との接続が容易に行えるようになっている。また、本実施形態では、引出電極7は、反射層6を介して設けられているため、引出電極7に半導体発光素子3が発光した光が伝搬して吸収されることを抑制又は回避することができる。そのため、大きな面積の引出電極7を設けても、高い光取り出し効率を維持することができる。
【0098】
また、
図5(c)に示すように、第2変形例における発光装置10は、引出電極7が、反射層6に埋め込まれるように形成されており、反射層6の下面と、引出電極7の下面とは略同じ面となるように形成されている。なお、第2変形例における発光装置10の底面視の形状は、第1変形例における発光装置10の底面視の形状と同じである。
【0099】
これらの変形例における引出電極7は、例えば、
図3(g)に示した工程において、引出電極7の形状にパターン化された金属箔を、予めキャリア30に貼付しておき、反射層5により一体化されたチップ11(
図3(f)参照)をキャリア30上に重ね、超音波接合法、常温接合法、共晶や銀ペーストを用いた接合法などにより、バンプ4と引出電極7とを接合して形成することができる。
【0100】
また、引出電極7は、公知のフォトリソグラフィ法により、
図3(j)に示した工程において、個片化する前に、発光装置10の裏面に金属層を積層し、パターニングすることで形成することもできる。
【0101】
なお、引出電極7は、後記する他の実施形態に係るフェイスダウン実装型の発光素子に対しても適用することができる。
【0102】
次に、
図4を参照(適宜
図1参照)して、第1実施形態に係る発光装置10におけるバンプ4の変形例について説明する。
【0103】
前記したように、
図4(a)に示したバンプ4は、ワイヤボンダを用いて形成された球状の金属塊からなるバンプである。
図4(a)に示したバンプ4は、下面(半導体発光素子構造2との接続面)の断面視における幅Aが、バンプ4の最も膨らんだ部分の幅Bよりも狭くなっている。このため、バンプ4を球状に形成することで、バンプ4の側面を取り囲むようにして形成された反射層6は、バンプ4によるアンカー効果のため、剥離しにくくなる。
【0104】
また、反射層6を、バンプ4の側面の幅が幅Bとなる位置よりも上方(例えば幅Cとなる位置(但し、C<Bである))となる位置)まで形成することにより、バンプ4は、反射層6によるアンカー効果により、剥離しにくくなる。
【0105】
また、
図4(b)に示したバンプ4は、
図3(e)に示した反射層厚さ調整工程S106において、研磨機60により、上部4aが延伸したものである。特に、バンプ4としてAuなどの延性の高い材料を用いた場合に顕著である。
この上部4aは、研磨機60による研磨方向、すなわち側方に延伸する。また、研磨機60により、バンプ4と共に反射層6も研磨される。反射層6を構成する樹脂は、バンプ4を構成する金属よりも柔らかいため、研磨によりバンプ4はその上部4aが延伸しながら反射層6の上面と略同一の高さとなる。すなわち、研磨後の、反射層6の上面とバンプ4の上面とは、略同一面となる。
【0106】
このように、バンプ4の上部4aが延伸することにより、アンカー効果により反射層6を剥離しにくくすることができる。
【0107】
<製造方法の変形例>
次に、
図6を参照して、
図3(d)に示した反射層形成工程S105の変形例について説明する。
図6に示したように、本変形例では、上金型51の下面側に弾性を有する離型シート70が貼付されており、バンプ4の上面が離型シート70の面と接するか、離型シート70に食い込むように上金型51を配置する。そして、反射層6となる樹脂を上下金型50,51内に注入して反射層6を成形する。これによって、バンプ4の上面を反射層6から露出させて反射層6を形成することができるため、バンプ4の上面を露出させるための研磨工程(反射層高さ調整工程S106)を省略することができる。
【0108】
なお、離型シート70を用いる形成方法は、後記する他の実施形態において、バンプ4を形成した半導体発光素子3の表面に樹脂層(反射層6又は蛍光層5)を形成する工程に適用することができる。
【0109】
次に、
図7(a)及び
図7(b)を参照して、
図3(h)に示した蛍光層形成工程S109の変形例について説明する。
図7(a)に示した変形例では、上金型51に代えて、各素子に対応して1つの凹部52aを有する上金型52を用いて蛍光層5を形成するものである。凹部52aの形状は、図示する例の砲弾型のほか、半球状などが挙げられる。蛍光層5の外形を砲弾型とすれば、正面光度の高い発光装置が得られやすい。蛍光層5の外形を半球状とすれば、光取り出し効率の高い発光装置が得られやすい。
【0110】
また、
図7(b)に示した変形例では、上金型51に代えて、各素子に対応して複数の凹部53aを有する上金型53を用いて蛍光層5を形成するものである。複数の凹部53aは、不規則に配置されてもよいが、好ましい配光特性を得るためには、規則的に配列されることが好ましい。凹部53aの形状は、半球状、円錐状、角錐状、角錐台状などが挙げられる。このような上金型53を用いることで、例えば蛍光層5の表面を光散乱面とすることができ、発光色度や光度の分布を均一化することができる。このように、上金型51(52,53)の形状を変えることにより、様々な外形の蛍光層5を形成することができる。
【0111】
また、蛍光層形成工程S109において、蛍光層5の形成を、金型を用いた樹脂成形に代えて、板状ないしシート状の、蛍光体を含有する樹脂部材を予め作製しておき、この樹脂部材を半導体発光素子3の裏面側に貼付して形成することもできる。このとき、樹脂部材と半導体発光素子3の間を加圧することにより、必要に応じてチップやバンプを樹脂部材に埋め込んだり、突き破るようにしたりすることもできる。
【0112】
更にまた、蛍光層形成工程S109において、金型を用いずに、蛍光体を含有する樹脂を半導体発光素子3の裏面側に所定の厚さで塗布し、加熱して硬化させることで、蛍光層5を形成するようにしてもよい。
【0113】
なお、これらの変形例は、後記する他の実施形態において、蛍光層5を形成する工程に適用することができる。
【0114】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態に係る発光素子において、第1実施形態に係る発光装置10と同様の機能を有する構成については、同じ符号を付して示し、用いる材料など共通する構成については詳細な説明を適宜省略する。また、製造方法についても、同様の工程については、同じ工程名を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0115】
<第2実施形態>
〔発光装置の構造〕
次に、
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る発光装置について説明する。
図8に示した第2実施形態に係る発光装置10Aは、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置10に対して、蛍光層5が、光取り出し面である半導体発光素子3の上面(基板1側)に加えて、反射層6の側面を被覆することが異なる。また、発光装置10Aは、
図1に示した発光装置10と同様に、フェイスダウン実装型のLEDである。
【0116】
図8に示すように、発光装置10Aにおいて、反射層6は、断面視で開口が上向きのU字形状に形成され、半導体発光素子3の表面である下面を被覆するとともに、側面を包囲するように被覆している。反射層6は、半導体発光素子3の下面及び側面と密着しているため、発光装置10Aから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10Aから剥離しにくい。また、蛍光層5は、断面視で開口が下向きの逆U字形状に形成され、一体的な樹脂層として半導体発光素子3の表面である下面と、反射層6の半導体発光素子3の側面を被覆する部分の上面と、を被覆するとともに、反射層6の側面を包囲するように被覆している。蛍光層5は、半導体発光素子3の上面である基板1の裏面及び反射層6の半導体発光素子3の側面を被覆する部分の上面との平面的な密着に加え、反射層6の側面とも密着するため、発光装置10Aから剥離しにくい構造となっている。
【0117】
なお、反射層6の側面に形成された蛍光層5は、反射層6の外側にあり、実質的に半導体発光素子3が発光した光は通過しないため、波長変換部材としては機能しない。
【0118】
〔発光装置の動作〕
図8に示した本発明の第2実施形態に係る発光装置10Aは、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介して、実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6、n側電極、p側電極、全面電極などによって反射されて、基板1の裏面側(
図8の上方向)を被覆する蛍光層5を通過して取り出される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。そして、発光装置10Aからは、蛍光層5を波長変換されずに通過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0119】
このとき、基板1の裏面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。また、側面の蛍光層5は、反射層6の外側であるため、波長変換部材としては機能しない。このため、蛍光層5の側面の厚さのバラツキは発光装置10Aの出力光の色調に影響しない。また、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、反射層6により、光取り出し面方向に反射される。ここで、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは発光装置10Aの出力光の色調に影響しない。すなわち、半導体発光素子3が発光し、外部に取り出される光の大部分、好ましくは実質的にそのすべての光は、厚さが精度よく調整された蛍光層5を通過することになる。従って、蛍光層5を通過する光の、波長変換される光と波長変換されない光の割合の発光装置同士でのバラツキが少なくなるため、発光装置10Aから混色して出力される白色光の色調のバラツキを低減することができる。
【0120】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第2実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図9を参照して説明する。
【0121】
図9に示すように、第2実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S200と、バンプ形成工程S201と、第1個片化工程S202と、チップ選別工程S203と、第1キャリア貼付工程S204と、反射層形成工程S205と、反射層厚さ調整工程S206と、清浄化工程S207と、第2個片化工程S208と、第2キャリア貼付工程S209と、蛍光層形成工程S210と、蛍光層厚さ調整工程S211と、第3個片化工程S212と、が順次行われる。
【0122】
ここで、第2実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S200から清浄化工程S207までは、
図2に示した第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S100から清浄化工程S107までと同様であるから、説明は省略する。
【0123】
以下、
図10を参照(適宜
図8及び
図9参照)して、各工程について説明する。
【0124】
(第2個片化工程:S208)
第1実施形態に係る発光装置の製造方法と同様にして、清浄化工程S207(
図10(f)参照)の後、第2個片化工程S208において、
図10(g)に示すように、反射層6により一体化されたチップ11(
図10(f)参照)を、反射層6を加えた素子構造の境界線21に沿って、ダイシングして切断し、チップ12に個片化する。
【0125】
(第2キャリア貼付工程(第2配列工程):S209)
次に、第2キャリア貼付工程S209において、
図10(h)に示すように、個片化されたチップ12を、バンプ4が下側になるように、粘着シート40が貼付されたキャリア30に貼付する。このとき、チップ12が所定の間隔を空けて配列されるように配置する。
【0126】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S210)
次に、蛍光層形成工程S210において、
図10(i)に示すように、チップ11の基板1側の面及び側面に、蛍光層5を形成する。
【0127】
(蛍光層厚さ調整工程:S211)
次に、蛍光層厚さ調整工程S211において、
図10(j)に示すように、蛍光層5の下面(
図10(j)において下側の面)を、研磨機60を用いて、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10Aの発光色の色調を調整することができる。
【0128】
(第3個片化工程:S212)
最後に、第3個片化工程S212において、
図10(k)に示すように、発光装置10Aを、ダイシングにより発光装置10Aの境界線22に沿って切断し、個片化する。以上の工程により、
図8に示した発光装置10Aを製造することができる。
【0129】
<第3実施形態>
〔発光装置の構造〕
次に、
図11を参照して、本発明の第3実施形態に係る発光装置について説明する。
図11に示した第3実施形態に係る発光装置10Bは、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置10に対して、蛍光層5が、光取り出し面である半導体発光素子3の裏面側に加えて、側面まで一体化された樹脂層で被覆するように構成され、更に、反射層6が、半導体発光素子3の下面(半導体発光素子構造2側)と、蛍光層5の側面及び半導体発光素子3の側面を被覆する部分の下面と、を外側から被覆することが異なる。また、発光装置10Bは、
図1に示した発光装置10と同様に、フェイスダウン実装型のLEDである。
【0130】
図11に示すように、発光装置10Bは、蛍光層5が、断面視で開口が下向きの逆U字状に形成され、一体的な樹脂層として半導体発光素子3の裏面である上面を被覆するとともに、側面を包囲するように被覆している。蛍光層5は、半導体発光素子3の上面及び側面と密着しているため、発光装置10Bから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、断面視で開口が上向きのU字状に形成され、半導体発光素子3の表面である下面と、蛍光層5の側面及び半導体発光素子3の側面を被覆する部分の下面と、を被覆している。反射層6は、半導体発光素子3の下面と、蛍光層5の側面及び半導体発光素子3の側面を被覆する部分の下面と密着しているため、発光装置10Bから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10Bから剥離しにくい。
【0131】
〔発光装置の動作〕
図11に示した本発明の第3実施形態に係る発光装置10Bは、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介して、実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6、n側電極、p側電極、全面電極などによって反射されて、基板1の裏面側(
図11の上方向)を被覆する蛍光層5を通過して取り出される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。また、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、側面に形成された反射層6によって反射されるが、この反射の前後に側面に形成された蛍光層5を通過することにより、青色光の一部が黄色光に波長変換される。そして、発光装置10Bからは、蛍光層5を透過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0132】
このとき、基板1の裏面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。ここで、側面の蛍光層5は、厚さにバラツキがあると、黄色光に波長変換される光の割合が変化することとなる。しかし、側面部に形成された蛍光層5の更に外側は反射層6で被覆されているため、側面から光が取り出されることはない。このため、光取り出し面である基板1の裏面側から取り出される光は、青色光と黄色光とが平均的に混色されることとなる。従って、発光装置10Bの観察方向の違いによる色むらを低減することができる。なお、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは、発光装置10Bの出力光の色調に影響しない。
【0133】
なお、蛍光層5の側面を被覆する反射層6の上面は、蛍光層5の上面と略同一面となるように設けられることが好ましい。これによって、蛍光層5の側面から光が出射するのを抑制して、実質的に厚さが精度よく形成された蛍光層5の上面からのみ光が取り出されるようにすることができるため、観察方向の違いによる色むらをより低減することができる。
【0134】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第3実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図12を参照して説明する。
【0135】
図12に示すように、第3実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S300と、第1個片化工程S301と、チップ選別工程S302と、第1キャリア貼付工程S303と、蛍光層形成工程S304と、蛍光層厚さ調整工程S305と、清浄化工程S306と、バンプ形成工程S307と、第2個片化工程S308と、第2キャリア貼付工程S309と、反射層形成工程S310と、反射層厚さ調整工程S311と、第3個片化工程S312と、が順次行われる。
【0136】
ここで、第3実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S300は、
図2に示した第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S100と同様であるから、説明は省略する。
【0137】
以下、
図13を参照(適宜
図11及び
図12参照)して、各工程について説明する。
【0138】
(第1個片化工程:S301)
発光素子構造形成工程S300の後、第1個片化工程S301において、
図13(a)に示すように、ダイシングにより素子構造の境界線20に沿って、チップ11に個片化する。
【0139】
(チップ選別工程:S302)
次に、チップ選別工程S302において、個片化された各チップ11について、半導体発光素子構造2のn側電極及びp側電極に電源装置を接続してチップ11を発光させ、発光波長を測定する。そして、発光波長が所定の範囲にあるチップ11を選別する。
【0140】
(第1キャリア貼付工程(配列工程):S303)
次に、第1キャリア貼付工程S303において、
図13(b)に示すように、チップ選別工程S302で選別したチップ11を、半導体発光素子構造2を下側にして、所定の間隔を空けて粘着シート40が貼付されたキャリア30上に配列する。キャリア30上に配列されたチップ11は、粘着シート40によってキャリア30に貼付され、その位置が保持される。
【0141】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S304)
次に、蛍光層形成工程S304において、
図13(c)に示すように、キャリア30に貼付されたチップ11の基板1側の面及び側面に蛍光層5を形成する。
【0142】
(蛍光層厚さ調整工程:S305)
次に、蛍光層厚さ調整工程S305において、
図13(d)に示すように、蛍光層5の上面(
図13(d)において下側の面)を、研磨機60を用いて、研磨(又は研削)して、予め定めておいた研磨線61まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10Bの発光色の色調を調整することができる。
【0143】
(清浄化工程:S306)
次に、清浄化工程S306において、
図13(e)に示すように、蛍光層5で一体化されたチップ11をキャリア30から剥離し、研磨により生じたバリや、ごみ等を除去する。
【0144】
(バンプ形成工程(外部接続用電極形成工程):S307)
次に、バンプ形成工程S307において、
図13(f)に示すように、半導体発光素子構造2の上面にバンプ4を形成する。バンプ4として、不図示のn側電極及びp側電極上に、それぞれ、バンプ4
n及びバンプ4
pが形成される。
【0145】
(第2個片化工程:S308)
次に、第2個片化工程S308において、
図13(g)に示すように、蛍光層5により一体化されたチップ11(
図13(f)参照)を、蛍光層5を加えた素子構造の境界線21に沿って、ダイシングして切断し、チップ12に個片化する。
【0146】
(第2キャリア貼付工程(第2配列工程):S309)
次に、第2キャリア貼付工程S309において、
図13(h)に示すように、個片化されたチップ12を、バンプ4が上側になるように、粘着シート40が貼付されたキャリア30に貼付する。このとき、チップ12が所定の間隔を空けて配列されるように配置する。
【0147】
(反射層形成工程(反射部材形成工程):S310)
次に、反射層形成工程S310において、
図13(i)に示すように、チップ12の表面(半導体発光素子3の表面側)及び側面に、反射層6を形成する。
【0148】
(反射層厚さ調整工程:S311)
次に、反射層厚さ調整工程S311において、
図13(j)に示すように、反射層6の上面(
図13(j)において下側の面)を、研磨機60を用いて、バンプ4を露出させるとともに、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、反射層6を所定の厚さに調整する。
【0149】
(第3個片化工程:S312)
最後に、第3個片化工程S312において、
図13(k)に示すように、発光装置10Bを、ダイシングにより発光装置10Bの境界線22に沿って切断し、個片化する。以上の工程により、
図11に示した発光装置10Bを製造することができる。
【0150】
<製造方法の変形例>
次に、
図7(c)を参照(適宜
図12及び
図13参照)して、本実施形態に係る発光装置の製造方法における反射層形成工程S310の変形例について説明する。
【0151】
反射層形成工程S310において、上金型51(
図13(i)参照)に代えて、
図7(c)に示すような、素子構造の境界線22(
図13(k)参照)に仕切部54aを有する上金型54を用いて反射層6を形成することにより、チップ12(
図13(i)参照)は互いに分離した状態で、又は凹部により仕切られて分離しやすい状態で形成される。従って、反射層厚さ調整工程S311の後、チップ12をキャリア30から剥離することにより、ダイシングによる個片化工程を省略又は簡略化して、個片化された発光装置10Bを得ることができる。なお、
図7(c)においては、蛍光層5の記載は省略している。
【0152】
また、前記した仕切部54aを有する上金型54を用いた樹脂層(反射層6又は蛍光層5)の形成工程は、後記する第4実施形態、第5実施形態及び第7実施形態における反射層形成工程、並びに第6実施形態における蛍光層形成工程などに適用することができる。
【0153】
<第4実施形態>
〔発光装置の構造〕
次に、
図14を参照して、本発明の第4実施形態に係る発光装置について説明する。
図14に示した第4実施形態に係る発光装置10Cは、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置10に対して、蛍光層5が、光取り出し面である半導体発光素子3の上面(基板1側)を被覆するように設けられ、反射層6が、半導体発光素子3の下面(半導体発光素子構造2側)及び側面に加えて、蛍光層5の側面を被覆することが異なる。また、発光装置10Cは、
図1に示した発光装置10と同様に、フェイスダウン実装型のLEDである。
【0154】
図14に示すように、発光装置10Cは、蛍光層5が、平板状に形成され、半導体発光素子3の上面(基板1側)と密着しているとともに、側面が反射層6と密着している。すなわち、蛍光層5は、その下面と側面で他の部材と密着しているため、発光装置10Cから剥離しにくい構造となっている。更に、反射層6は、断面視でU字状に形成され、半導体発光素子3の下面を被覆するとともに、半導体発光素子3の側面と、蛍光層5の側面と、を包囲するように被覆している。反射層6は、半導体発光素子3の下面及び側面と、蛍光層5の側面と、密着しているため、発光装置10Cから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10Cから剥離しにくい。
【0155】
〔発光装置の動作〕
図14に示した本発明の第3実施形態に係る発光装置10Cは、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介して、実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6、n側電極、p側電極、全面電極などによって反射されて、基板1の裏面側(
図14の上方向)を被覆する蛍光層5を通過して取り出される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。そして、発光装置10Cからは、蛍光層5を波長変換されずに通過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0156】
このとき、基板1の裏面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。また、側面には蛍光層5が設けられておらず、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、反射層6により、光取り出し面方向に反射される。ここで、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは、発光装置10の発光色に影響しない。すなわち、半導体発光素子3が発光し、外部に取り出される光の大部分、好ましくは実質的にそのすべての光は、厚さが精度よく調整された蛍光層5を通過することになる。従って、蛍光層5を通過する光の、波長変換される光と波長変換されない光の割合の発光装置同士でのバラツキが少なくなるため、発光装置10Cから混色して出力される白色光の色調のバラツキを低減することができる。
【0157】
なお、蛍光層5の側面を被覆する反射層6の上面は、第3実施形態と同様に、蛍光層5の上面と略同一面となるように設けられることが好ましい。これによって、蛍光層5の側面から光が出射するのを抑制して、実質的に厚さが精度よく形成された蛍光層5の上面からのみ光が取り出されるようにすることができるため、観察方向の違いによる色むらをより低減することができる。
【0158】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第4実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図15を参照して説明する。
【0159】
図15に示すように、第4実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S400と、第1キャリア貼付工程S401と、蛍光層形成工程S402と、蛍光層厚さ調整工程S403と、清浄化工程S404と、バンプ形成工程S405と、第1個片化工程S406と、チップ選別工程S407と、第2キャリア貼付工程S408と、反射層形成工程S409と、反射層厚さ調整工程S410と、第2個片化工程S411と、が順次行われる。
【0160】
ここで、第4実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S400は、
図2に示した第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S100と同様であるから、説明は省略する。
【0161】
以下、
図16を参照(適宜
図14及び
図15参照)して、各工程について説明する。
【0162】
(第1キャリア貼付工程:S401)
発光素子構造形成工程S400の後、第1キャリア貼付工程S401において、
図16(a)に示すように、ウエハ状態の半導体発光素子3を、基板1が上側になるように、粘着シート40が貼付されたキャリア30に貼付する。
【0163】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S402)
次に、蛍光層形成工程S402において、
図16(b)に示すように、キャリア30に貼付された半導体発光素子3の裏面(基板1側)に蛍光層5を形成する。
【0164】
(蛍光層厚さ調整工程:S403)
次に、蛍光層厚さ調整工程S403において、
図16(c)に示すように、蛍光層5の下面(
図16(c)において下側の面)を、研磨機60を用いて、研磨(又は研削)して、予め定めておいた研磨線61まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10Cの発光色の色調を調整することができる。
【0165】
(清浄化工程:S404)
次に、清浄化工程S404において、
図16(d)に示すように、蛍光層5で一体化されたチップ11をキャリア30から剥離し、研磨により生じたバリや、ごみ等を除去する。
【0166】
(バンプ形成工程(外部接続用電極形成工程):S405)
次に、バンプ形成工程S405において、
図16(e)に示すように、半導体発光素子構造2の上面にバンプ4を形成する。バンプ4として、不図示のn側電極及びp側電極上に、それぞれ、バンプ4
n及びバンプ4
pが形成される。
【0167】
(第1個片化工程:S406)
次に、第1個片化工程S406において、
図16(f)に示すように、素子構造の境界線20に沿って、ダイシングして切断し、チップ11に個片化する。
【0168】
(チップ選別工程:S407)
次に、チップ選別工程S407において、個片化された各チップ11について、半導体発光素子構造2のn側電極上及びp側電極上に形成されたバンプ4に電源装置を接続してチップ11を発光させ、発光波長を測定する。そして、発光波長が所定の範囲にあるチップ11を選別する。
【0169】
(第2キャリア貼付工程(配列工程):S408)
次に、第2キャリア貼付工程S408において、
図16(g)に示すように、チップ選別工程S407で選別したチップ11を、バンプ4を上側にして、所定の間隔を空けて粘着シート40が貼付されたキャリア30上に配列する。キャリア30上に配列されたチップ11は、粘着シート40によってキャリア30に貼付され、その位置が保持される。
【0170】
(反射層形成工程(反射部材形成工程):S409)
次に、反射層形成工程S409において、
図16(h)に示すように、チップ11の上面(半導体発光素子構造2側)及び側面に、反射層6を形成する。
【0171】
(反射層厚さ調整工程:S410)
次に、反射層厚さ調整工程S410において、
図16(i)に示すように、反射層6の下面(
図16(i)において下側の面)を、研磨機60を用いて、バンプ4を露出させるとともに、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、反射層6を所定の厚さに調整する。
【0172】
(第2個片化工程:S411)
最後に、第2個片化工程S411において、
図16(j)に示すように、発光装置10Cを、ダイシングにより発光装置10Cの境界線21に沿って切断し、個片化する。以上の工程により、
図14に示した発光装置10Cを製造することができる。
【0173】
<第5実施形態>
〔発光装置の構造〕
次に、
図17を参照して、本発明の第5実施形態に係る発光装置について説明する。
図17に示した第5実施形態に係る発光装置10Dは、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置10がフェイスダウン実装型のLEDであるのに対して、半導体発光素子構造2が形成された面を光取り出し面とする、フェイスアップ実装型のLEDである。なお、本実施形態は、フェイスアップ実装型のLEDであるため、半導体発光素子3のp側半導体層上に形成される全面電極は、ITO(インジウム・スズ酸化物)などの透光性の導電材料を用いて形成され、半導体発光素子3の表面から光が取り出されるように構成されている。
【0174】
図17に示すように、発光装置10Dは、バンプ4が設けられた半導体発光素子3の上面(半導体発光素子構造2側)に蛍光層5が平板状に形成されている。また、バンプ4は、蛍光層5を貫通し、その上面が露出している。また、反射層6は、断面視でU字状に形成され、半導体発光素子3の下面(基板1側)を被覆するとともに、半導体発光素子3の側面と、蛍光層5の側面と、を包囲するように被覆している。
【0175】
蛍光層5は、半導体発光素子3の上面(半導体発光素子構造2側)と密着するとともに、その側面は反射層6と密着しているため、発光装置10Dから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、半導体発光素子3の下面及び側面とともに、蛍光層5の側面とも密着しているため、発光装置10Dから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10Dから剥離しにくい。
【0176】
〔発光装置の動作〕
図17に示した本発明の第5実施形態に係る発光装置10Dは、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介し、更にボンディングワイヤ(不図示)を介して実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6によって反射されて、光取り出し面である半導体発光素子3の表面側(
図17の上方向)を被覆する蛍光層5を通過して取り出される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。そして、発光装置10Dからは、蛍光層5で波長変換されずに通過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0177】
このとき、半導体発光素子3の表面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。また、側面には蛍光層5が設けられておらず、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、反射層6により、光取り出し面方向に反射される。ここで、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは、発光装置10Dの出力光の色調に影響しない。すなわち、半導体発光素子3が発光し、外部に取り出される光の大部分、好ましくは実質的にそのすべての光は、厚さが精度よく調整された蛍光層5を通過することになる。従って、蛍光層5を通過する光の、波長変換される光と波長変換されない光の割合の発光装置同士でのバラツキが少なくなるため、発光装置10Dから混色して出力される白色光の色調のバラツキを低減することができる。
【0178】
なお、蛍光層5の側面を被覆する反射層6の上面は、第3実施形態と同様に、蛍光層5の上面と略同一面となるように設けられることが好ましい。これによって、蛍光層5の側面から光が出射するのを抑制して、実質的に厚さが精度よく形成された蛍光層5の上面からのみ光が取り出されるようにすることができるため、観察方向の違いによる色むらをより低減することができる。
【0179】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第5実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図18を参照して説明する。
【0180】
図18に示すように、第5実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S500と、バンプ形成工程S501と、第1キャリア貼付工程S502と、蛍光層形成工程S503と、蛍光層厚さ調整工程S504と、清浄化工程S505と、第1個片化工程S506と、チップ選別工程S507と、第2キャリア貼付工程S508と、反射層形成工程S509と、反射層厚さ調整工程S510と、第2個片化工程S511と、が順次行われる。
【0181】
ここで、第5実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S500は、
図2に示した第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S100とは、p型半導体層上に設ける全面電極として、ITOなどからなる透明電極を用いて形成すること以外は同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0182】
以下、
図19を参照(適宜
図17及び
図18参照)して、各工程について説明する。
【0183】
(バンプ形成工程(外部接続用電極形成工程):S501)
発光素子構造形成工程S500の後、バンプ形成工程S501において、
図19(a)に示すように、半導体発光素子構造2の上面にバンプ4を形成する。バンプ4として、不図示のn側電極及びp側電極上に、それぞれ、バンプ4
n及びバンプ4
pが形成される。
【0184】
(第1キャリア貼付工程:S502)
次に、第1キャリア貼付工程S502において、
図19(b)に示すように、バンプ4が形成されたウエハ状態の半導体発光素子3を、バンプ4が上側になるように、粘着シート40が貼付されたキャリア30に貼付する。
【0185】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S503)
次に、蛍光層形成工程S503において、
図19(c)に示すように、キャリア30に貼付された半導体発光素子3の表面に蛍光層5を形成する。
【0186】
(蛍光層厚さ調整工程:S504)
次に、蛍光層厚さ調整工程S504において、
図19(d)に示すように、蛍光層5の下面(
図19(d)において下側の面)を、研磨機60を用いて、研磨(又は研削)して、バンプ4を露出させるとともに、予め定めておいた研磨線61まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10Dの発光色の色調を調整することができる。
【0187】
(清浄化工程:S505)
次に、清浄化工程S505において、
図19(e)に示すように、蛍光層5が形成されたウエハ状態の半導体発光素子3をキャリア30から剥離し、研磨により生じたバリや、ごみ等を除去する。
【0188】
(第1個片化工程:S506)
次に、第1個片化工程S506において、
図19(f)に示すように、ウエハ状態の半導体発光素子3を、素子構造の境界線20に沿って、ダイシングして切断し、チップ11に個片化する。
【0189】
(チップ選別工程:S507)
次に、チップ選別工程S507において、個片化された各チップ11について、半導体発光素子構造2のn側電極上及びp側電極上に形成されたバンプ4に電源装置を接続してチップ11を発光させ、発光波長を測定する。そして、発光波長が所定の範囲にあるチップ11を選別する。
【0190】
(第2キャリア貼付工程(配列工程):S508)
次に、第2キャリア貼付工程S508において、
図19(g)に示すように、チップ選別工程S507で選別したチップ11を、基板1を上側にして、所定の間隔を空けて粘着シート40が貼付されたキャリア30上に配列する。キャリア30上に配列されたチップ11は、粘着シート40によってキャリア30に貼付され、その位置が保持される。
【0191】
(反射層形成工程(反射部材形成工程):S509)
次に、反射層形成工程S509において、
図19(h)に示すように、チップ11の基板1側の面及び側面に、反射層6を形成する。
【0192】
(反射層厚さ調整工程:S510)
次に、反射層厚さ調整工程S510において、
図19(i)に示すように、反射層6の下面(
図19(i)において下側の面)を、研磨機60を用いて、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、反射層6を所定の厚さに調整する。
【0193】
(第2個片化工程:S511)
最後に、第2個片化工程S511において、
図19(j)に示すように、発光装置10Dを、ダイシングにより発光装置10Dの境界線21に沿って切断し、個片化する。以上の工程により、
図17に示した発光装置10Dを製造することができる。
【0194】
<第6実施形態>
〔発光装置の構造〕
次に、
図20を参照して、本発明の第6実施形態に係る発光装置について説明する。
図20に示した第6実施形態に係る発光装置10Eは、
図17に示した第5実施形態に係る発光装置10Dと同様に、フェイスアップ実装型のLEDである。なお、本実施形態は、フェイスアップ実装型のLEDであるため、半導体発光素子3のp側半導体層上に形成される全面電極は、ITOなどの透光性の導電材料を用いて形成され、半導体発光素子3の表面から光が取り出されるように構成されている。
【0195】
図20に示すように、発光装置10Eは、反射層6が、断面視で開口が上向きのU字状に形成され、半導体発光素子3の下面(基板1側)を被覆するとともに、側面を包囲するように被覆している。また、蛍光層5は、断面視で開口が下向きの逆U字状に形成され、一体的な樹脂層としてバンプ4が設けられた半導体発光素子3の上面側(半導体発光素子構造2側)に加えて、反射層6の半導体発光素子3の側面に形成された部分の上面を被覆するとともに、反射層6の側面を包囲するように被覆している。また、バンプ4は、蛍光層5を貫通し、その上面が露出している。
【0196】
なお、反射層6の側面に形成された蛍光層5は、反射層6の外側にあり、半導体発光素子3が発光した光は通過しないため、波長変換部材としては機能しない。
【0197】
反射層6は、半導体発光素子3の下面及び側面と密着しているため、発光装置10Eから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10Eから剥離しにくい。また、蛍光層5は、半導体発光素子3の上面と密着しているとともに、反射層6の側面及び半導体発光素子3の側面に形成された部分の上面と密着しているため、蛍光層5は、発光装置10Eから剥離しにくい構造となっている。
【0198】
〔発光装置の動作〕
図20に示した本発明の第6実施形態に係る発光装置10Eは、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介し、更にボンディングワイヤ(不図示)を介して実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6によって反射されて、光取り出し面である半導体発光素子3の表面側(
図20の上方向)を被覆する蛍光層5を通過して取り出される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。そして、発光装置10Eからは、蛍光層5で波長変換されずに通過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0199】
このとき、半導体発光素子3の表面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。また、側面の蛍光層5は、反射層6の外側であるため、波長変換部材としては機能しない。このため、蛍光層5の側面の厚さのバラツキは発光装置10Aの出力光の色調に影響しない。また、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、反射層6により、光取り出し面方向に反射される。ここで、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは、発光装置10Eの出力光の色調に影響しない。すなわち、半導体発光素子3が発光し、外部に取り出される光の大部分、好ましくは実質的にそのすべての光は、厚さが精度よく調整された蛍光層5を通過することになる。従って、蛍光層5を通過する光の、波長変換される光と波長変換されない光の割合の発光装置同士でのバラツキが少なくなるため、発光装置10Eから混色して出力される白色光の色調のバラツキを低減することができる。
【0200】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第6実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図21を参照して説明する。
【0201】
図21に示すように、第6実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S600と、第1個片化工程S601と、チップ選別工程S602と、第1キャリア貼付工程S603と、反射層形成工程S604と、反射層厚さ調整工程S605と、清浄化工程S606と、バンプ形成工程S607と、第2個片化工程S608と、第2キャリア貼付工程S609と、蛍光層形成工程S610と、蛍光層厚さ調整工程S611と、第3個片化工程S612と、が順次行われる。
【0202】
ここで、第6実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S600は、
図18に示した第5実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S500と同様に、p型半導体層上に設ける全面電極として、ITOなどからなる透明電極を用いて形成するものであるから、詳細な説明は省略する。
【0203】
以下、
図22を参照(適宜
図20及び
図21参照)して、各工程について説明する。
【0204】
(第1個片化工程:S601)
発光素子構造形成工程S600の後、第1個片化工程S601において、
図22(a)に示すように、ウエハ状態の半導体発光素子3を、素子構造の境界線20に沿って、ダイシングして切断し、チップ11に個片化する。
【0205】
(チップ選別工程:S602)
次に、チップ選別工程S602において、個片化された各チップ11について、半導体発光素子構造2のn側電極及びp側電極に電源装置を接続してチップ11を発光させ、発光波長を測定する。そして、発光波長が所定の範囲にあるチップ11を選別する。
【0206】
(第1キャリア貼付工程(第1配列工程):S603)
次に、第1キャリア貼付工程S603において、
図22(b)に示すように、チップ選別工程S602で選別したチップ11を、基板1を上側にして、所定の間隔を空けて粘着シート40が貼付されたキャリア30上に配列する。キャリア30上に配列されたチップ11は、粘着シート40によってキャリア30に貼付され、その位置が保持される。
【0207】
(反射層形成工程(反射部材形成工程):S604)
次に、反射層形成工程S604において、
図22(c)に示すように、チップ11の基板1側の面及び側面に、反射層6を形成する。
【0208】
(反射層厚さ調整工程:S605)
次に、反射層厚さ調整工程S605において、
図22(d)に示すように、反射層6の下面(
図22(d)において下側の面)を、研磨機60を用いて、予め定めておいた研磨線61まで研磨(又は研削)して、反射層6を所定の厚さに調整する。
【0209】
(清浄化工程:S606)
次に、清浄化工程S606において、
図22(e)に示すように、反射層6により一体化されたチップ11をキャリア30から剥離し、研磨により生じたバリや、ごみ等を除去する。
【0210】
(バンプ形成工程(外部接続用電極形成工程):S607)
次に、バンプ形成工程S607において、
図22(f)に示すように、半導体発光素子構造2の上面にバンプ4を形成する。バンプ4として、不図示のn側電極及びp側電極上に、それぞれ、バンプ4
n及びバンプ4
pが形成される。
【0211】
(第2個片化工程:S608)
次に、第2個片化工程S608において、
図22(g)に示すように、反射層6により一体化されている素子構造を、反射層6を加えた素子構造の境界線21に沿って、ダイシングして切断し、チップ12に個片化する。
【0212】
(第2キャリア貼付工程(第2配列工程):S609)
次に、第2キャリア貼付工程S609において、
図22(h)に示すように、チップ12を、バンプ4が上側になるように、粘着シート40が貼付されたキャリア30に貼付する。
【0213】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S610)
次に、蛍光層形成工程S610において、
図22(i)に示すように、キャリア30に貼付されたチップ12の表面及び側面に蛍光層5を形成する。
【0214】
(蛍光層厚さ調整工程:S611)
次に、蛍光層厚さ調整工程S611において、
図22(j)に示すように、蛍光層5の下面(
図22(j)において下側の面)を、研磨機60を用いて、研磨(又は研削)して、バンプ4を露出させるとともに、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10Eの発光色の色調を調整することができる。
【0215】
(第3個片化工程:S612)
最後に、第3個片化工程S612において、
図22(k)に示すように、発光装置10Eを、ダイシングにより発光装置10Eの境界線22に沿って切断し、個片化する。以上の工程により、
図20に示した発光装置10Eを製造することができる。
【0216】
<第7実施形態>
〔発光装置の構造〕
次に、
図23を参照して、本発明の第7実施形態に係る発光装置について説明する。
図23に示した第7実施形態に係る発光装置10Fは、
図17に示した第5実施形態に係る発光装置10Dと同様に、フェイスアップ実装型のLEDである。なお、本実施形態は、フェイスアップ実装型のLEDであるため、半導体発光素子3のp側半導体層上に形成される全面電極は、ITOなどの透光性の導電材料を用いて形成され、半導体発光素子3の表面から光が取り出されるように構成されている。
【0217】
図23に示すように、発光装置10Fは、蛍光層5が、断面視で開口が下向きの逆U字状に形成され、一体的な樹脂層として半導体発光素子3の上面を被覆するとともに、側面を包囲するように被覆している。また、バンプ4は、蛍光層5を貫通し、その上面が露出している。反射層6は、断面視で開口が上向きのU字状に形成され、半導体発光素子3の下面と、蛍光層5の半導体発光素子3の側面を被覆する部分の下面と、を被覆するとともに、蛍光層5の側面を包囲するように被覆している。
【0218】
蛍光層5は、半導体発光素子3の上面及び側面と密着しているため、発光装置10Fから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、半導体発光素子3の下面と密着しているとともに、蛍光層5の側面及び半導体発光素子3の側面を被覆する部分の下面と密着しているため、発光装置10Fから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10Fから剥離しにくい。
【0219】
なお、蛍光層5の側面を被覆する反射層6の上面は、第3実施形態と同様に、蛍光層5の上面と略同一面となるように設けられることが好ましい。これによって、蛍光層5の側面から光が出射するのを抑制して、実質的に厚さが精度よく形成された蛍光層5の上面からのみ光が取り出されるようにすることができるため、観察方向の違いによる色むらをより低減することができる。
【0220】
〔発光装置の動作〕
図23に示した本発明の第7実施形態に係る発光装置10Fは、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介し、更にボンディングワイヤ(不図示)を介して実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6によって反射されて、光取り出し面である半導体発光素子3の表面側(
図23の上方向)を被覆する蛍光層5を通過して取り出される。また、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、側面に形成された反射層6によって反射されるが、この反射の前後に側面に形成された蛍光層5を通過することにより、青色光の一部が黄色光に波長変換される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。そして、発光装置10Fからは、蛍光層5で波長変換されずに通過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0221】
このとき、半導体発光素子3の表面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。ここで、側面の蛍光層5は、厚さにバラツキがあると、黄色光に波長変換される光の割合が変化することとなる。しかし、側面部に形成された蛍光層5の更に外側は反射層6で被覆されているため、側面から光が取り出されることはない。このため、光取り出し面である蛍光層5の表面から取り出される光は、青色光と黄色光とが平均的に混色されることとなる。従って、発光装置10Fの観察方向の違いによる色むらを低減することができる。なお、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは、発光装置10Fの出力光の色調に影響しない。
【0222】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第7実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図24を参照して説明する。
【0223】
図24に示すように、第7実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S700と、バンプ形成工程S701と、第1個片化工程S702と、チップ選別工程S703と、第1キャリア貼付工程S704と、蛍光層形成工程S705と、蛍光層厚さ調整工程S706と、清浄化工程S707と、第2個片化工程S708と、第2キャリア貼付工程S709と、反射層形成工程S710と、反射層厚さ調整工程S711と、第3個片化工程S712と、が順次行われる。
【0224】
ここで、第7実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S700は、
図18に示した第5実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S500と同様に、p型半導体層上に設ける全面電極として、ITOなどからなる透明電極を用いて形成するものであるから、詳細な説明は省略する。
【0225】
以下、
図25を参照(適宜
図23及び
図24参照)して、各工程について説明する。
【0226】
(バンプ形成工程(外部接続用電極形成工程):S701)
発光素子構造形成工程S700の後、バンプ形成工程S701において、
図25(a)に示すように、半導体発光素子構造2の上面にバンプ4を形成する。バンプ4として、不図示のn側電極及びp側電極上に、それぞれ、バンプ4
n及びバンプ4
pが形成される。
【0227】
(第1個片化工程:S702)
次に、第1個片化工程S702において、
図25(b)に示すように、バンプ4が形成されたウエハ状態の半導体発光素子3を、素子構造の境界線20に沿って、ダイシングして切断し、チップ11に個片化する。
【0228】
(チップ選別工程:S703)
次に、チップ選別工程S703において、個片化された各チップ11について、半導体発光素子構造2のn側電極上及びp側電極上に形成されたバンプ4に電源装置を接続してチップ11を発光させ、発光波長を測定する。そして、発光波長が所定の範囲にあるチップ11を選別する。
【0229】
(第1キャリア貼付工程(配列工程):S704)
次に、第1キャリア貼付工程S704において、
図25(c)に示すように、チップ選別工程S703で選別したチップ11を、バンプ4が上側になるように、所定の間隔を空けて粘着シート40が貼付されたキャリア30上に配列する。キャリア30上に配列されたチップ11は、粘着シート40によってキャリア30に貼付され、その位置が保持される。
【0230】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S705)
次に、蛍光層形成工程S705において、
図25(d)に示すように、チップ11の半導体発光素子構造2側の面及び側面に、蛍光層5を形成する。
【0231】
(蛍光層厚さ調整工程:S706)
次に、蛍光層厚さ調整工程S706において、
図25(e)に示すように、蛍光層5の下面(
図25(e)において下側の面)を、研磨機60を用いて、バンプ4を露出させるとともに、予め定めておいた研磨線61まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10Fの発光色の色調を調整することができる。
【0232】
(清浄化工程:S707)
次に、清浄化工程S707において、
図25(f)に示すように、蛍光層5により一体化されたチップ11をキャリア30から剥離し、研磨により生じたバリや、ごみ等を除去する。
【0233】
(第2個片化工程:S708)
次に、第2個片化工程S708において、
図25(g)に示すように、蛍光層5により一体化されている素子構造を、蛍光層5を加えた素子構造の境界線21に沿って、ダイシングして切断し、チップ12に個片化する。
【0234】
(第2キャリア貼付工程(第2配列工程):S709)
次に、第2キャリア貼付工程S709において、
図25(h)に示すように、チップ12を、基板1が上側になるように、所定の間隔を空けて粘着シート40が貼付されたキャリア30上に配列する。キャリア30上に配列されたチップ11は、粘着シート40によってキャリア30に貼付され、その位置が保持される。
【0235】
(反射層形成工程(反射部材形成工程):S710)
次に、反射層形成工程S710において、
図25(i)に示すように、キャリア30に貼付されたチップ12の基板1側の面及び側面に反射層6を形成する。
【0236】
(反射層厚さ調整工程:S711)
次に、蛍光層厚さ調整工程S711において、
図25(j)に示すように、反射層6の下面(
図25(j)において下側の面)を、研磨機60を用いて、研磨(又は研削)して、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、反射層6を所定の厚さに調整する。
【0237】
(第3個片化工程:S712)
最後に、第3個片化工程S712において、
図25(k)に示すように、発光装置10Fを、ダイシングにより発光装置10Fの境界線22に沿って切断し、個片化する。以上の工程により、
図23に示した発光装置10Fを製造することができる。
【0238】
<第8実施形態>
〔発光装置の構造〕
次に、
図26を参照して、本発明の第8実施形態に係る発光装置について説明する。
図26に示した第8実施形態に係る発光装置10Gは、
図17に示した第5実施形態に係る発光装置10Dと同様に、フェイスアップ実装型のLEDである。なお、本実施形態は、フェイスアップ実装型のLEDであるため、半導体発光素子3のp側半導体層上に形成される全面電極は、ITOなどの透光性の導電材料を用いて形成され、半導体発光素子3の表面から光が取り出されるように構成されている。
【0239】
図26に示すように、発光装置10Gにおいて、反射層6は、断面視でU字状に形成され、半導体発光素子3の下面(基板2側)を被覆するとともに、側面を包囲するように被覆している。また、蛍光層5は、平板状に形成され、バンプ4が設けられた半導体発光素子3の上面(半導体発光素子構造2側)及び反射層6の半導体発光素子3の側面を被覆する部分の上面を被覆している。また、バンプ4は、蛍光層5を貫通し、その上面が露出している。
【0240】
反射層6は、半導体発光素子3の下面及び側面と密着しているため、発光装置10Gから剥離しにくい構造となっている。また、反射層6は、一体的な樹脂層として形成されている。つまり、反射層6は、その内部に界面を含まない。従って、反射層6は、半導体発光素子3の下面側に設けられる領域と、半導体発光素子3の側面の周囲に設けられる領域と、の間などに界面を含む場合に比べて、発光装置10Gから剥離しにくい。また、蛍光層5は、半導体発光素子3の上面と密着するとともに、反射層6の半導体発光素子3の側面を被覆する部分の上面とも密着し、発光装置10Eから剥離しにくい構造となっている。
【0241】
〔発光装置の動作〕
図26に示した本発明の第8実施形態に係る発光装置10Gは、n側電極及びp側電極と、それぞれ電気的に接続するバンプ4
n及びバンプ4
pを介し、更にボンディングワイヤ(不図示)を介して実装基板の配線電極(不図示)を通して電流が供給されると、半導体発光素子3が青色光を発光する。半導体発光素子3が発光した青色光は、直接に、又は反射層6によって反射されて、光取り出し面である半導体発光素子3の表面側(
図20の上方向)を被覆する蛍光層5を通過して取り出される。このとき、蛍光層5を通過する青色光の一部は、蛍光層5に含有される蛍光体によって吸収され、波長の長い黄色光に変換されて取り出される。そして、発光装置10Gからは、蛍光層5で波長変換されずに通過する青色光と、蛍光層5で波長変換された黄色光とが混色された白色光が出力される。
【0242】
このとき、半導体発光素子3の表面を被覆する蛍光層5の厚さは精度よく形成され、発光装置同士のバラツキが抑制されている。また、側面には蛍光層5が設けられておらず、半導体発光素子3内を横方向に進行する光は、反射層6により、光取り出し面方向に反射される。ここで、反射層6の厚さがバラツキの範囲内における最小の場合でも、反射層6に入射する光を、実質的にすべて反射するだけの反射率が得られるように反射材の添加量などを調整して反射層6を形成することによって、反射層6の厚さのバラツキは、発光装置10Gの出力光の色調に影響しない。すなわち、半導体発光素子3が発光し、外部に取り出される光の大部分、好ましくは実質的にそのすべての光は、厚さが精度よく調整された蛍光層5を通過することになる。従って、蛍光層5を通過する光の、波長変換される光と波長変換されない光の割合の発光素子同士でのバラツキが少なくなるため、発光装置10Gから混色して出力される白色光の色調のバラツキを低減することができる。
【0243】
〔発光装置の製造方法〕
本発明の第8実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図27を参照して説明する。
【0244】
図27に示すように、第8実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子構造形成工程S800と、第1個片化工程S801と、チップ選別工程S802と、第1キャリア貼付工程S803と、反射層形成工程S804と、反射層厚さ調整工程S805と、清浄化工程S806と、バンプ形成工程S807と、第2キャリア貼付工程S808と、蛍光層形成工程S809と、蛍光層厚さ調整工程S810と、第2個片化工程S811と、が順次行われる。
【0245】
ここで、第8実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S800からバンプ形成工程S807までの工程は、
図21に示した第6実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子構造形成工程S600からバンプ形成工程S607までの工程と同様であるから、説明は省略する。
【0246】
以下、
図28を参照(適宜
図26及び
図27参照)して、第2キャリア貼付工程S808以降の各工程について説明する。
【0247】
(第2キャリア貼付工程:S808)
バンプ形成工程S807において反射層6により一体化されたチップ11にバンプ4を形成した後(
図28(f)参照)、第2キャリア貼付工程S808において、
図28(g)に示すように、チップ11を、バンプ4が上側になるように、粘着シート40が貼付されたキャリア30に貼付する。
【0248】
(蛍光層形成工程(波長変換部材形成工程):S809)
次に、蛍光層形成工程S809において、
図28(h)に示すように、キャリア30に貼付されたチップ11の表面及び反射層6の上面に蛍光層5を形成する。
【0249】
(蛍光層厚さ調整工程:S810)
次に、蛍光層厚さ調整工程S810において、
図28(i)に示すように、蛍光層5の下面(
図28(i)において下側の面)を、研磨機60を用いて、研磨(又は研削)して、バンプ4を露出させるとともに、予め定めておいた研磨線62まで研磨(又は研削)して、蛍光層5を所定の厚さに調整する。これにより、発光装置10Gの発光色の色調を調整することができる。
【0250】
(第2個片化工程:S811)
最後に、第2個片化工程S811において、
図28(j)に示すように、発光装置10Gを、ダイシングにより発光装置10Gの境界線21に沿って切断し、個片化する。以上の工程により、
図26に示した発光装置10Gを製造することができる。
【0251】
<発光装置の変形例>
次に、本発明における発光装置の変形例について説明する。
本変形例に係る発光装置は、前記した各実施形態に係る発光装置10から発光装置10Gにおいて、基板1、蛍光層5及び/又は反射層6について、被覆部材である蛍光層5又は反射層6により被覆される面に、凹凸を形成するようにするものである。これによって、凹凸が形成された面上に形成される被覆部材である蛍光層5又は反射層6の密着性が向上し、剥離しにくくすることができる。このような凹凸は、ブラスト加工、レーザ照射、プラズマ照射などにより形成することができ、特にブラスト加工が効果的な凹凸を簡便に形成しやすい。
【0252】
また、第1実施形態から第4実施形態に係るフェイスダウン実装型の発光装置10から発光装置10Cにおいて、基板2の蛍光層5により被覆される面の凹凸形成による光拡散効果により、色むらを低減することができる。
なお、被覆部材により被覆されるすべての面に凹凸を形成してもよいが、その内の一部に凹凸を形成するようにしてもよい。
【0253】
更にまた、各実施形態に係る発光装置10から発光装置10Gにおいて、光取り出し面となる蛍光層5の表面に凹凸を形成するようにしてもよい。これによって、外部への光取り出し効率を向上することができる。
【0254】
ここで、
図29を参照して、基板、蛍光層及び反射層に凹凸を形成した発光装置の例について説明する。
【0255】
図29に示した発光装置10Hは、
図1(a)に示した第1実施形態の発光装置10において、基板1の裏面1a及び側面1b、反射層6の上面6a、並びに光取り出し面である蛍光層5の上面5aに凹凸を形成した例である。なお、この例では、基板1の側面1bに加えて、半導体発光素子構造2の側面にも凹凸が形成されている。
【0256】
本変形例に係る発光装置10Hは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、次のように凹凸形成処理を追加することで製造することができる。
【0257】
基板1の側面1bの凹凸形成は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における第1キャリア貼付工程S104(
図2参照)において、
図3(c)に示した状態で行うことができる。凹凸形成処理の際は、凹凸の形成を避けるべき半導体発光素子構造2の上面は、適宜にマスキング処理を施すものとする。
【0258】
また、基板1の裏面1a及び反射層6の上面6aの凹凸形成は、第2キャリア貼付工程S108(
図2参照)において、
図3(g)に示した状態で行うことができる。
更に、蛍光層5の上面5aの凹凸形成は、蛍光層厚さ調整工程S110(
図2参照)において、
図3(i)に示した状態で、蛍光層5の厚さ調整を行った後に行うことができる。
【0259】
他の実施形態に係る発光装置についても、反射層形成工程を行う前、及び蛍光層形成工程を行う前に、適宜にそれぞれ工程で形成される被覆部材である反射層6又は蛍光層5が被覆する領域に凹凸を形成する処理を追加することができる。
【実施例】
【0260】
次に、本発明による発光装置の色むら低減の効果を確認するために、実施例として、
図30(a)に示す構成の発光装置10及び
図30(c)に示す構成の発光装置10Lについて、発光色の配光特性のシミュレーションを行った。また、比較例として、
図30(b)に示す構成の発光装置110及び
図30(d)に示す構成の発光装置110Lについて、発光色の配光特性のシミュレーションを行った。
【0261】
図30(a)に示すように、実施例に係る発光装置10は、フェイスダウン実装した半導体発光素子3を備え、
図1(a)に示した第1実施形態に係る発光装置10と同様の構成を有するものである。
図30(a)に示した発光装置10は、発光装置10の幅がW1、半導体発光素子3の幅がW3である。また、
図30(a)における横方向について、反射層6の半導体発光素子3から左側の厚さ(幅)はW2L、反射層6の半導体発光素子3から右側の厚さ(幅)はW2Rである。
図30(a)における横方向において、半導体発光素子3は、発光装置10の中央に配置されており、W2L=W2Rである。なお、発光装置10及び半導体発光素子3の平面視の形状は、正方形である。
また、反射層6の縦方向の厚さはH2であり、半導体発光素子3の縦方向の厚さはH3であり、反射層6の上面と半導体発光素子3の上面とは同一面である。また、蛍光層5は、半導体発光素子3及び反射層6の上面の全体を覆うように設けられ、厚さはH1である。
【0262】
図30(b)に示すように、比較例に係る発光装置110は、発光装置110の幅がW1であり、半導体発光素子3の厚さがH3である。また、蛍光層105は、半導体発光素子3の上面及び側面を被覆するように設けられている。ここで、
図30(b)における横方向について、蛍光層105の半導体発光素子3から左側の厚さ(幅)はW2L、蛍光層105の半導体発光素子3から右側の厚さ(幅)はW2Rである。
図30(b)における横方向において、半導体発光素子3は、発光装置110の中央に配置されており、W2L=W2Rである。なお、発光装置110及び半導体発光素子3の平面視の形状は、正方形である。
また、蛍光層5の、半導体発光素子3の上面における厚さはH1であり、蛍光層5の上面は反射層105の上面に平行な平面である。
【0263】
図30(c)に示した発光装置10Lは、
図30(a)に示した発光装置10において、半導体発光素子3を左寄りに配置したものである。従って、発光装置10Lにおいて、W2L<W2Rである。半導体発光素子3を左寄りに配置したこと以外は、
図30(a)に示した発光装置10と同様である。
【0264】
図30(d)に示した発光装置110Lは、
図30(b)に示した発光装置110において、半導体発光素子3を左寄りに配置したものである。従って、発光装置110Lにおいて、W2L<W2Rである。半導体発光素子3を左寄りに配置したこと以外は、
図30(b)に示した発光装置110と同様である。
【0265】
ここで、半導体発光素子3は、中心波長が442[nm]、光出力1[W]の青色光を発光するものとした。なお、半導体発光素子3の最下層には、反射率92%のAgの反射膜を設けている。
また、蛍光層5、105は、YAG系の蛍光体を含有したシリコーン樹脂を用いて構成され、反射層6は、拡散材としてTiO
2を含有したシリコーン樹脂を用いて構成されるものとした。また、この蛍光体は、粒径7[μm]、最大励起波長450[nm]における光吸収率が95%であって、中心波長が555[nm]の黄色光を発光するものとした。なお、実施例と比較例の発光装置を略同等の発光色度で比較するために、蛍光体の密度は、実施例に係る蛍光層5では2×10
6[個/mm
3]とし、比較例に係る蛍光層105では1×10
6[個/mm
3]とした。また、拡散剤は、平均粒径が0.2[μm]、密度が1.5×10
11[個/mm
3]であるものとした。
【0266】
なお、発光装置10、10Lにおいて、H2=170[nm]とした。また、各発光装置において、発光装置の幅W1、半導体発光素子の幅W3、厚さH3、及び蛍光層5、105の厚さH1は同一とし、W1=1000[μm]、W3=500[μm]、H3=120[μm]、H1=50[μm]とした。
【0267】
また、発光装置10及び発光装置110において、W2L=W2R=250[μm]とし、発光装置10L及び発光装置110Lにおいて、W2L=150[μm]、W2R=350[μm]とした。
【0268】
図31にシミュレーション結果を示す。
図31(a)は、半導体発光素子3が発光装置の中央に配置された発光装置10及び発光装置110のシミュレーション結果である。ここで、実線で示したAが、本発明の実施例に係る発光装置10の配光特性であり、破線で示したBが、比較例に係る発光装置110の配光特性である。
図31(a)において、横軸は、発光装置10及び発光装置110の横方向の中央位置において、真上方向(蛍光層5の面に垂直方向)を0°とし、右側の真横方向を90°、左側の真横方向を−90°とする観察方向を示す。また、
図31(a)において、横軸は、白色光である出力光の色温度を示す。
なお、発光装置の真横方向には光がほとんど出力されないため、−75°〜+75°の範囲についてシミュレーション結果を示した。
【0269】
図31(a)に示すように、半導体発光素子3が発光装置10,110の中央に配置されているため、何れの発光装置も略左右対称の配光特性を示している。また、観察方向の違いによる色温度の変化が少なく、色むらの少ない発光装置であることが分かる。
【0270】
図31(b)は、半導体発光素子3が左寄りに配置された発光装置10L及び発光装置110Lのシミュレーション結果である。ここで、実線で示したAが、本発明の実施例に係る発光装置10Lの配光特性であり、破線で示したBが、比較例に係る発光装置110Lの配光特性である。
図31(b)において、横軸及び縦軸は、
図31(a)と同様に、観察方向及び色温度を示す。
【0271】
図31(b)に示すように、実施例に係る発光装置10Lの配光特性は、略左右対称であり、
図31(a)に示した発光装置10の配光特性と大きな違いがない。
一方、比較例に係る発光装置110Lの配光特性は、左右対称性が大きく崩れ、左側の色温度が非常に高くなっている。発光装置110Lは、蛍光層105の半導体発光素子3から左側の厚さが小さくなっており、蛍光層105で青色光が十分に色変換されることなく出射されるため、青色光成分が多い色温度の高い光が出力されることが分かる。
なお、図示は省略するが、実施例に係る発光装置10、10Lの輝度の配光特性は、ほぼランバーシアンとなる。
【0272】
図31(a)及び
図31(b)に示したように、本発明による発光装置によれば、半導体発光素子3から見た蛍光層5の左右の厚さに差が生じた場合でも、発光装置の配光特性が大きく変化することなく、また、観察方向の違いによる色温度の変化、すなわち色むらが少ないことが分かる。
すなわち、本発明による発光装置は、1つの発光装置における観察方向の違いによる色むらが低減されるとともに、発光装置間の配光特性の差も低減されることが分かる。