特許第6094069号(P6094069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094069
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20170306BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01L33/48
   H01L33/64
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-140905(P2012-140905)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2014-7233(P2014-7233A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朋幸
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−259785(JP,A)
【文献】 特開平11−237850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板の表面に載置された第1発光素子と、第2基板と、前記第2基板の表面に載置された第2発光素子と、を備える発光装置であって、
前記第1基板は、第1開口部と、表面に露出し且つ前記第1発光素子と電気的に接続された第1接続部と、表面に露出し且つ前記第1発光素子と電気的に接続されていない第1非接続部と、第1ビス穴と、を有し、
前記第2基板は、第2開口部と、表面に露出し且つ前記第2発光素子と電気的に接続された第2接続部と、表面に露出し且つ前記第2発光素子と電気的に接続されていない第2非接続部と、第2ビス穴と、を有し、
前記第1接続部は、表面に露出する一対の第1幅広部と、前記一対の第1幅広部それぞれから延伸し、且つ、前記第1ビス穴の周囲に露出するように形成された第1幅狭部と、を有し、
前記第2接続部は、表面に露出する一対の第2幅広部と、前記一対の第2幅広部それぞれから延伸し、且つ、前記第2ビス穴の周囲に露出するように形成された第2幅狭部と、を有し、
前記第1発光素子は、正負一対の電極を有し、一方の前記電極が一方の前記第1幅広部に接続され、他方の前記電極が他方の前記第1幅広部に接続され、
前記第2発光素子は、正負一対の電極を有し、一方の前記電極が一方の前記第2幅広部に接続され、他方の前記電極が他方の前記第2幅広部に接続され、
前記第1基板の表面と前記第2基板の表面は、前記第1発光素子が前記第2開口部内に配置され且つ前記第2発光素子が前記第1開口部内に配置されると共に、前記第1接続部が前記第2非接続部と熱的に接続され且つ前記第2接続部が前記第1非接続部と熱的に接続され、前記第1幅狭部と前記第2幅狭部が前記第1ビス穴と前記第2ビス穴の周辺で接触するように、対向していることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1幅広部は、前記第2非接続部と熱的に接続され、
前記第2幅広部は、前記第1非接続部と熱的に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1非接続部は、前記第1基板の裏面に露出し、
前記第2非接続部は、前記第2基板の裏面に露出し、
前記第1基板の裏面には、前記第1非接続部と熱的に接続された第1放熱部が設けられ、
前記第2基板の裏面には、前記第2非接続部と熱的に接続された第2放熱部が設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1接続部は、前記第2接続部と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面発光が可能な発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)等を発光素子とした両面発光が可能な発光装置が提案されている。例えば、特許文献1及び2には、一枚の基板の表面と裏面にそれぞれ発光素子が実装された発光装置が記載されている。また、特許文献3及び4には、表面に発光素子が実装された二枚の基板の背面同士を対向させた発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−4296045号公報
【特許文献2】特開2001−223486号公報
【特許文献3】特開2011−129416号公報
【特許文献4】特開2012−015067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1〜4に記載された発光装置では、発光素子からの熱を十分に逃がすことができず、温度上昇により発光効率が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、両面発光が可能であり且つ放熱性に優れた発光装置を得ること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る発光装置は、第1基板と、第1基板の表面に載置された第1発光素子と、第2基板と、第2基板の表面に載置された第2発光素子と、を備える。第1基板は、第1開口部と、表面に露出し且つ第1発光素子と電気的に接続された第1接続部と、表面に露出し且つ第1発光素子と電気的に接続されていない第1非接続部と、を有する。同様に、第2基板は、第2開口部と、表面に露出し且つ第2発光素子と電気的に接続された第2接続部と、表面に露出し且つ第2発光素子と電気的に接続されていない第2非接続部と、を有する。ここで、第1基板の表面と第2基板の表面は、第1発光素子が第2開口部内に配置され且つ第2発光素子が第1開口部内に配置されると共に、第1接続部が第2非接続部と熱的に接続され且つ第2接続部が第1非接続部と熱的に接続されるように、対向している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る発光装置を説明するための図である。
図2】本発明の一実施形態に係る発光装置を表面、側面、裏面から見た図である。
図3】本発明の一実施形態に係る発光装置を表面、側面、裏面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る発光装置を実施するための形態について説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。
【0009】
図1に、本実施形態に係る発光装置を組み立てる前の分解図を、図2に組み立てた後の発光装置をそれぞれの角度から見た図を、示す。
【0010】
各図に示すように、本実施形態に係る発光装置は、第1基板11と、第1基板11の表面に載置された第1発光素子16と、第2基板21と、第2基板21の表面に載置された第2発光素子26と、を備える。第1基板11は、第1開口部12と、表面に露出し且つ第1発光素子16と電気的に接続された第1接続部13と、表面に露出し且つ第1発光素子16と電気的に接続されていない第1非接続部14と、を有する。同様に、第2基板21は、第2開口部22と、表面に露出し且つ第2発光素子26と電気的に接続された第2接続部23と、表面に露出し且つ第2発光素子26と電気的に接続されていない第2非接続部24と、を有する。ここで、第1基板11の表面と第2基板21の表面は、第1発光素子16が第2開口部22内に配置され且つ第2発光素子26が第1開口部12内に配置されると共に、第1接続部13が第2非接続部24と熱的に接続され且つ第2接続部23が第1非接続部14と熱的に接続されるように、対向している。
【0011】
これにより、両面発光が可能で、放熱性に優れた発光装置とすることができる。以下、この点について説明する。
【0012】
第1基板11の表面には第1発光素子16からの熱が直接的に伝わる第1接続部13を露出させており、この第1接続部13が第2基板21の表面に露出した第2非接続部24と熱的に接続されている。ここで、第2非接続部24は、第1基板11側の熱を逃がすために設けられたもので、第2基板21に設けられているにもかかわらず第2発光素子26とは電気的に接続されていない。同様に、第2基板21の表面には第2発光素子26からの熱が直接的に伝わる第2接続部23を露出させており、この第2接続部23が第1基板の表面に露出した第1非接続部14と熱的に接続されている。第2非接続部24と同様に、第1非接続部14は、第2基板21側の熱を逃がすために設けられたもので、第1基板11に設けられているにもかかわらず第1発光素子16とは電気的に接続されていない。したがって、第1発光素子16で生じた熱を効果的に第2非接続部24に逃がすことができ、第2発光素子26で生じた熱を効果的に第1非接続部14に逃がすことができる。これにより、両面発光が可能であるだけでなく、放熱性に優れた発光装置とすることができる。
【0013】
以下、本実施形態に係る発光装置を構成する主な部材について説明する。なお、第1基板11、第1発光素子16などと、第2基板21、第2発光素子26などとは、基本的にその構成が共通する。したがって、以下では、主な説明は第1基板11などで行うが、第2基板21などについても同様であることは言うまでもない。また、第1基板11及び第2基板21、第1発光素子16及び第2発光素子26などを、単に「基板」、「発光素子」などということがある。
【0014】
(第1基板11、第2基板21)
基板は、発光素子を実装するための、所謂、回路基板である。基板としては、リジッド基板やフレキシブル基板を用いることができるが、本実施形態では母材をガラスエポキシとしたリジッド基板を用いている。
【0015】
図1において、矢印の左側は第1基板11を表面側から見た平面図とその側面図を、矢印の右側は第2基板21を表面側から見た平面図とその側面図を、それぞれ示している。図1に示すように、第1基板11と第2基板21の表面同士を対向させて貼り合せることで1つの発光装置が作製される。
【0016】
第1基板11には、第2発光素子26の位置に対応して第1開口部12が形成されている。また、第1基板11には、第1発光素子16と電気的に接続された第1接続部13と、第1発光素子16と電気的に接続されていない第1非接続部14と、が表面に露出すように形成されている。第1接続部13と第1非接続14は、銅箔などの金属材料を含む所謂配線パターンとして形成できる。同様に、第2基板21も、第2開口部12、第2接続部23及び第2非接続部24を有する。
【0017】
第1接続部13は、表面に露出した第1幅広部13aと、第1幅広部13aから延伸した第1幅狭部13bと、を有することができる(第1幅広部13aは、第1幅狭部13bの延伸方向に垂直をなす方向における幅が第1幅狭部13bよりも幅広に形成された部分である。)。図1に示すように、ここでは、第1幅広部13aを半円形状とし、第1幅狭部13bを線状としている。なお、表面側から見て、第1幅広部13aはその一部が最表面に露出していればよく、必ずしもその全てが最表面に露出していなくてもよい。また、第1幅狭部13bは必ずしも第1基板11の表面に露出していなくてもよい。第2接続部23も、同様に、第2幅広部23aと第2幅狭部23bを有している。
【0018】
図1に示すように、第1発光素子16は、第1幅広部13a上に載置されることが好ましい。ここでは、第1発光素子16のそれぞれに対して一対の第1幅広部13aが設けられている。つまり、第1発光素子16は正負一対の電極を有しており、一方の電極が一方の第1幅広部13aに接続され、且つ、他方の電極が他方の第1幅広部13aに接続されている。これにより、第1発光素子16は一対の第1幅広部13aに跨って載置されることになる。
【0019】
この場合、第1幅広部13aは、少なくともその一部が第2非接続部24と対向するように構成されており、第1幅広部13aと第2非接続部24とが熱的に接続されることが好ましい。第1幅広部13aは、その幅が広く(つまり面積が大きい)且つ第1発光素子16の直下に設けられているので、第1発光素子16からの熱を容易に逃がすことができる。さらに、第1幅広部13aと第2非接続部24と対向させて熱的に接続することで、全体としてより放熱性を向上させることができる。以上は第1幅広部13aについて説明であるが、第2幅広部23aについても同様である。
【0020】
図1に示すように、第1基板11には、外部から電力を供給するためのコネクタ17を設けることができる。コネクタ17からは、第1幅狭部13bが延伸しており、この第1幅狭部13が最初の第1幅広部13aと繋がっている。一方、第2基板21には、コネクタ17に対応する領域が切欠かれた切欠部28が形成されている。これにより、第1基板11と第2基板21とを容易に貼り合せることができる。
【0021】
図1では、第1基板11及び第2基板21を平面視において矩形としており、その四隅及び中央に、ビスを挿入するためのビス穴を形成している。第1基板11及び第2基板21は、ビスとナットにより各裏面から締めつけることにより、互いの表面を接触させている。また、第1基板11は、コネクタ17の左右のビス穴の周囲に、第1幅狭部13bが露出するように形成されている(図1参照)。一方、第2基板21においても、対応するビス穴の周囲に第2幅狭部23bが露出するように形成されている。このように構成することで、第1基板11と第2基板21をビスで締め合せたときに、圧力がかかり易いビス穴の周辺において、第1幅狭部13bと第2幅狭部23bをより確実に接触させることができる。これにより、コネクタ17と直接接続されていない第2幅狭部23bにも電力を供給することができるので、比較的簡単な構成で第1発光素子16と第2発光素子26に電力を供給することができる。なお、第1幅狭部13bと第2幅狭部23bを接触される位置はビス穴の周辺が好ましいが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0022】
また、基板同士の貼り合せ手段はビス等に限られず、例えば、放熱部と基板との間に熱導電性の高い両面シートを介在させることもできる。ただし、作業効率の観点から、基板をビス等で直接固定することが好ましい。
【0023】
(第1発光素子16、第2発光素子26)
第1発光素子16及び第2発光素子26には、典型的には表面実装型の発光ダイオード(LED)を用いることができる。発光色としては、白色、青色等とすることができる。ここでは、基板の表面に、発光素子として白色発光が可能な3つの表面実装型LEDを実装している。
【0024】
第1発光素子16は、正電極及び不電極からなる一対の電極を備える。図1に示すように、各電極が第1幅広部13a上に載置されており、それにより導通が可能となっている。第2発光素子26についても同様である。
【0025】
(第1放熱部19、第2放熱部29)
図3に、第1放熱部19及び第2放熱部29を備える発光装置を示す。図3では、左から順に、第1基板11の表面側から見た平面図、側面図、第2基板21の表面側から見た平面図を示している。なお、点線は、基板の外縁を示すために便宜的に記したものである。
【0026】
放熱部は、典型的には、熱伝導率の高いアルミなどの金属から構成される。第1放熱部19は、第1基板11の裏面の全域と接するようにして設けることができる。同様に、第2放熱部29は、第2基板21の裏面の全域と接するようにして設けることができる。図3に示すように、第1放熱部19は、第1基板11の形状に沿って屈曲している。第2放熱部29も同様である。放熱部により、発光素子からの熱を放熱部に効果的に逃がすことができる。なお、第1放熱部19は主として第2発光素子26からの熱を逃がし、第2放熱部29は主として第1発光素子16からの熱を逃がすことができる。
【0027】
図3に示すように、第1放熱部19は、第2発光素子26に対応する領域に開口部を有しており、第2発光素子26は第1放熱部19に形成された開口部を介して発光することができる。第2放熱部29も同様に、第1発光素子16に対応する領域に開口部を有しており、第1発光素子16は第2放熱部29に形成された開口部を介して発光することができる。
【0028】
放熱部を設ける場合、第1非接続部14を第1基板11の裏面に露出させると共に、第2非接続部24を第2基板21の裏面に露出させることが好ましい。これにより、第1非接続部14の熱を第1放熱部19に直接逃がすことができると共に、第2非接続部24の熱を第2放熱部29に直接逃がすことができる。非接続部は典型的には配線パターンで形成することができるので、通常の手法により基板の裏面に露出させることができる。
【0029】
図3に示すように、ここでは、放熱部の各隅部に、ビスを挿入するためのビス穴が形成されている。これにより、第1放熱部19と第2放熱部29とを容易に締め合せることができる。もちろん、放熱部と基板との間に熱導電性の高い両面シートを介在させることにより、両者を固定することもできるが、作業効率の観点から、ビス等で直接固定することが好ましい。
【符号の説明】
【0030】
11・・・第1基板
12・・・第1開口部
13・・・第1接続部
13a・・・第1幅広部
13b・・・第1幅狭部
14・・・第1非接続部
15・・・ビス穴
16・・・第1発光素子
17・・・コネクタ
19・・・第1放熱部
21・・・第2基板
22・・・第2開口部
23・・・第2接続部
23a・・・第2幅広部
23b・・・第2幅狭部
24・・・第2非接続部
25・・・ビス穴
26・・・第1発光素子
29・・・第1放熱部
図1
図2
図3