(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
1分子中に2個以上のチオール基を有する化合物は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などと混合することにより該樹脂と簡単に反応し、硬化生成物となる。そのため、それらはシーリング材料、コーティング材料、接着剤等のために、幅広く使用されてきた。例えば、「総説エポキシ樹脂」(第1巻、基礎編、2003年11月19日出版)の第204頁には、種々のポリチオール系硬化剤が低温硬化剤として開示されている。しかしながら、第3級アミン硬化剤を備えた従来のポリチオール系エポキシ接着剤は、低温では硬化剤が優れた硬化性を示すが、このような硬化剤と、エポキシ化合物および硬化補助剤とを、通常の温度で混合してエポキシ樹脂組成物を形成する際、組成物のゲル化時間は3分〜5分程と短く、組成物の調製途中に硬化が開始されるという明らかな欠点を有する。したがって、エポキシ-チオール系に基づく接着剤のゲル化時間を制御することはむしろ困難であった。ゲル化時間は、硬化促進剤を使用しない場合に非常に長いか、または、硬化促進剤を使用する場合に非常に短いかのいずれかである。その結果、エポキシ-チオール接着剤の作業条件は制限されていた。
【0003】
チオール-アミン硬化系のゲル化時間をどのように調整するかについての関連する文献は報告されておらず、この問題についていくつかの特許において次のように言及されている:
米国特許出願公開第2010/0273940号には、チオール基(-SH)に対するα位で炭素原子上に分枝(置換)を有するチオール化合物を含有するエポキシ樹脂用硬化剤、および、該硬化剤を用いる1成分型エポキシ樹脂組成物が開示されている。この発明は、5分〜15分のポットライフを有し、貯蔵安定性を有する、エポキシ樹脂硬化剤に関する。
【0004】
特開1996−269203号には、主鎖においてポリエーテル部分を有し、末端に3
個以上のヒドロキシル基を有するポリオールに、エピハロヒドリンを
添加することにより
得られるハロゲン末端化ポリエーテルポリマーを、アミド中で水硫化アルカリおよび/ま
たは多硫化アルカリと反応させて得た、チオール基含有ポリエーテルポリマーが開示され
ている。このポリエーテルポリマーを含有するエポキシ樹脂組成物は好ましい硬化性を有
するが、かかるエポキシ樹脂組成物をエポキシ樹脂用の硬化剤として使用する際、ゲル化
時間が非常に短いため、エポキシ樹脂と、硬化剤であるチオール化合物とを互いに混合す
る際中に硬化が開始され、そのため、作業条件が制限されることが指摘されている。
【0005】
国際公開第99/54373号に開示されているヘテロ環含有化合物を用いるエポキシ樹脂硬化性組成物は、低温硬化性および通常の温度での迅速な硬化性を有するが、そのゲル化時間は短いため、作業性は乏しい。
【0006】
特公1992−21693号には、エポキシ樹脂硬化用の液状ポリスルフィドポリマーが開示され、これは、トリ-またはテトラ官能性アルキルハライドおよび二官能性アルキルハライドの混合物を、多硫化アルカリと反応させて得たコポリマーであり、重合における該多官能性モノマーの量は、モノマー全体に基づいて20〜60モル%であり、これは2〜30質量%の末端チオール基を含有する。この液状スルフィドポリマーとアミンとを組み合わせて使用することにより、硬化速度が従来のポリスルィドポリマーの硬化速度と比較してより早くなることが示されている。しかしながら、これは優れた耐衝撃性、耐化学性などを有するが、ゲル化時間が短く、得られる硬化生成物は作業性の問題を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において参照する全ての出版物、特許出願、特許および他の文献は、特記しない限り、全ての目的のために、完全に明記されるように、その全体において本明細書に参照により組み込まれる。
【0025】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に通常理解されるのと同様の意味を有する。対立する場合には、定義を含む本明細書が制御する。
【0026】
特記しない限り、全てのパーセント、部、比等は重量による。
【0027】
量、濃度または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または、より低い好ましい値およびより高い好ましい値のリストのいずれかとして示される場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関わらず、より低い任意の範囲下限または好ましい値と、より高い任意の範囲上限または好ましい値との任意の対から形成される、全ての範囲を具体的に開示するとして理解される。例えば、「1〜5」の範囲が述べられる際、当該範囲は「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2および4〜5」、「1〜3および5」などの範囲を含むとして理解されるべきである。本明細書において数値の範囲を述べる場合、特記しない限り、該範囲はその終点を含むことを意図し、全ての整数および分数がその範囲に含まれる。
【0028】
用語「約」は、値または範囲の終点の記載において使用され、かかる開示は、言及される特定の値または終点を含むとして理解されるべきである。
【0029】
さらに、反対に明示的に記載しない限り、「または」は、両立的な「または」を表し、排他的な「または」を表すものではない。例えば、以下のいずれによっても、条件A「または」Bが満足される:Aは真(または存在する)かつBは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)かつBは真(または存在する)、および、AおよびBの両方が真(または存在する)。
【0030】
また、本発明の要素または成分の前の不定冠詞「a」および「an」は、要素または成分の例の数(即ち出現)に関して非制限的であることが意図される。したがって、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むとして読まれるべきであり、要素または成分の単数の語形は、数が単数を明確に意味しない限り、複数を含む。
【0031】
本明細書中の材料、方法および例は一例にすぎず、具体的に記載したものを除き、限定することを意図するものではない。本発明の実施または試験において、本明細書に記載される方法および材料に類似のまたは等しい方法および材料を使用することができるが、適当な方法および材料は本明細書に記載されている。
【0032】
本発明を以下において詳細に記載する。
【0033】
本明細書で使用するように、特記しない限り、全ての濃度は重量%として記載される。
【0034】
広範な実験の結果、本発明者らは、以下を含む2液型エポキシ接着剤を用いて望ましい効果が達成されることを見出した:
1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂100重量部;-O-O-構造を含有する過酸化物0.03〜3重量部;を含む第1液A、
および、
チオール硬化剤110〜120重量部、硬化促進剤0.05〜5重量部を含む、第2液B。
【0035】
本発明の接着剤の好ましい態様は、以下を含む:
1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂100重量部;-O-O-構造を含有する過酸化物0.2〜2重量部;シラン6〜7重量部、およびチキソトロピー剤4〜5重量部を含む、第1液A;
および
チオール硬化剤113〜118重量部、促進剤0.2〜5重量部およびフィラー12〜16重量部を含む、第2液B。
【0036】
広範な実験の結果、本発明者らは、以下を含む2液型エポキシ接着剤を用いて望ましい効果がさらにより達成されることを見出した:
1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂100重量部;硬化促進剤0.05〜5重量部;を含む第1液A、
および、
チオール硬化剤110〜120重量部;-O-O-構造を含有する過酸化物0.03〜3重量部を含む、第2液B。
【0037】
本発明の接着剤の好ましい態様は以下を含む:
1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂100重量部;促進剤0.2〜5重量部、シラン6〜7重量部、およびチキソトロピー剤4〜5重量部;を含む第1液A、
および、
チオール硬化剤113〜118重量部、-O-O-構造を含有する過酸化物0.2〜2重量部;およびフィラー12〜16重量部を含む、第2液B。
【0038】
本発明において、エポキシ樹脂は分子中に2個以上のエポキシ基を含有し、該エポキシ樹脂の例は、多価フェノール、例えばビスフェノールA、ハロゲン化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハロゲン化ビスフェノールF、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロカテコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニルおよび1,5-ヒドロキシナフタレン、多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロール、および、オキシ安息香酸およびフタル酸などの芳香族ジカルボン酸にエピクロロヒドリンを付加することにより得たエポキシ樹脂を含むが、エポキシ樹脂はこれらの樹脂に限定されない。市販され入手可能なエポキシ樹脂製品の例は、以下が挙げられる:Epon(登録商標)828、826、862、1001、1002、1071(Hexion Co. Ltd製)、DER(登録商標)331、332、354、671、431、731(Dow Chemical Co.Ltd製)、Epicoat(登録商標)828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000およびCardura(登録商標)E10P(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、Epichlon(登録商標)830、835LV、HP4032D、703、720およびHP820(大日本インキ化学工業製)、EP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309およびEP49-20(ADEKA Corporation製)、Denachol EX411、EX314、EX201、EX212、EX252、EX111、EX146およびEX721(ナガセケムテックス株式会社製)、KBM403およびKBE402(信越化学工業株式会社製)および多官能性エポキシ樹脂 MY721(Huntsman製)、AG 80(SOI製)およびJEH 010(Changsu Jiafa製)、しかし、エポキシ樹脂製品はこれらの製品に限定されない。これらの樹脂は、単独で使用してよく、または、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してよい。本発明の一態様において、使用される2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂は、いずれの重合性C=C二重結合も実質的に不含である。いずれの重合性C=C二重結合も実質的に不含であるとは、本発明の範囲内で、本発明のエポキシ接着剤中のエポキシ基の総量に対して、エポキシ樹脂が、20mol%未満、好ましくは5mol%未満、より好ましくは0.5mol%未満の重合性C=C二重結合を含有することを意味する。別の一態様において、エポキシ樹脂は、概して(メタ)アクリレートの一部であるいずれのC=C二重結合も不含であることが好ましくあり得る。
【0039】
本発明において使用される過酸化物は、R1-O-O-R2[式中、R1およびR2は、
それぞれ独立して、水素原子、1〜10個の炭素原子のアルキル基および1個以上のフェ
ニル基を含む芳香族基から選択され、場合により、R1、R2および-O-O-の間にカル
ボニル基が存在する]のような構造を示す。市販され入手可能な製品の例は、以下を含む
:ベンゾイルペルオキシド(CAS No.94-36-0)、TRIGONOX(登録商標)C-50D、TRIGON
OX(登録商標)P-50S、PERKADOX(登録商標)L-50S、PERKADOX(登録商標)PD-50S(Akzo Nobel
Chemical Co. Ltd製)、tert-アミルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、
tert-ブチルペルオキシアセテート、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン
、1,1,-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、メチルエ
チルケトンペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチ
ルペルオキシ)ヘキシ
ン-3、tert-ブチル-モノペルオキシマレエート、3-クロロペルオキシ安息香酸、ジベン
ゾイルペルオキシド、ジ-4-クロロベンゾイルペルオキシド、2,2-ジヒドロペルオキシ
プロパン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ-(2-フェノ
キシエチル)ペルオキシジカーボネート、ジコハク酸ペルオキシド、3,3,6,6,9,9-
ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(ベン
ゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ-(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート、ジ
コハク酸ペルオキシド、tert-アミルペルオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ジ-(ter
t-ブチルペルオキシ)吉草酸エステル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチル
ペルオキシド、tert-ブチル-モノペルオキシマレエート、tert-ブチルペルオキシアセテ
ート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボ
ネート、tert-ブチルペルオキシ-2-メチルベンゾエート、1,1-ジ-(tert-アミルペルオ
キシ)シクロヘキサン、2,2-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ジ-(tert-ブチ
ルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-di-(tert-
ブチルペルオキシ)ヘキシ
ン-3-エチル、3,3-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ブ
チレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオ
キシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロペルオキシヘキサンアセチルアセトンペ
ルオキシド、アセチルベンゾイルペルオキシド(Aldrich chemical company製)。適当な過酸化物はこれらの化合物に限定されない。好ましくは、過酸化物R1-O-O-R2中、R1、R2および-O-O-の間にカルボニル基が存在する。本発明の接着剤を調製する際、
過酸化物が溶液として使用され、使用する溶媒は、酢酸エチル、アセトン、クロロホルム
などを含む。
【0040】
本発明においてシランを用いる理由は、硬化コンパウンドの架橋度を高めるためであり、フィラーと樹脂基質との間のカップリング剤として使用される。
【0041】
本発明において1種以上のシランを任意に使用してよく、かかるシランは、アミン基、
アルキル基またはエポキシ基で終端していてよい。市販製品としては、KH550、KH560(Ch
inese Chemical Company製)、Glymo(登録商標)、Wetlink(登録商標)78(Evonik製)、A-1106、A-1702、A-1002(Momentive Co.Ltd製)が挙げられる。シラン製品はこれらの製品に限定されない。これらの樹脂を単独で使用してよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。1つの態様において、1種以上のシランが、本発明のエポキシ接着剤の第1液A中に含
有される。
【0042】
本発明において、接着剤のチキソトロピー性および粘度特性を調整するために、1種以上のチキソトロピー剤を任意に使用してよく、通常使用されるものはヒュームドシリカであり、本発明において使用され得る市販製品は、Cabosil(登録商標)TS-720、Cabosil(登録商標)M5(Cabot Company製)を含む。1つの態様において、1種以上のチキソトロピー剤が、本発明のエポキシ接着剤の第1液A中に含有される。
【0043】
本発明において、1種以上の硬化促進剤を任意に使用してよい。硬化促進剤は、求核性物質、例えばアミン、第3級ホスフィン、求核性アニオンを有する第4級アンモニウム塩、求核性アニオンを有する第4級ホスホニウム塩、イミダゾール、求核性アニオンを有する第3級ヒ素塩および求核性アニオンを有する第3級スルホニウム塩であり得る。可能なアミン触媒は、第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミンを含む。触媒の種々の混合物を使用することができる。第3級アミン促進剤が好ましく、例えば以下が記載される:トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラエチルメチレンジアミン、テトラメチルプロパン-1,3-ジアミン、テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコール(3-ジメチル)アミノプロピルエーテル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N'-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルアミノメチルフェノール、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-メチルピペリジン、N,N'-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ-ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロウンデセン-7、1,2-ジメチルイミダゾール、ジメチルピペラジン、N-メチル-N'-(2-ジメチルアミノ)-エチルピペラジン、N-メチルモルホリン、N-(N',N'-(ジメチルアミノ)エチル)モルホリン、N-メチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、トリエチレンジアミンおよびヘキサメチレンテトラミン。これらの中で、第3級アミンが好ましく、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが特に好ましい。これらは、単独で使用してよく、または、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してよい。本発明の一態様において、1種以上の硬化促進剤が、いずれの過酸化物成分をも含有しないエポキシ接着剤の液中に含まれる。
【0044】
本発明において使用されるチオール硬化剤は、分子中に1個以上の−R3−SH基を含有し、R3は、2〜16個の炭素原子を含むアルキレン基、または、芳香族基である。市販製品の例は、以下を含む:Polythiol QE 340M、GMP 800(CAS No. 100-53-8)、ジドデカンチオール(CAS No. 112-55-0)、1,3-ジメルカプトプロパン(CAS No. 109-80-8)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコレート)(CAS No. 10193-95-0)、1,6-ヘキサンジオールビス(チオグリコレート)(CAS No. 15430-31-6)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)(CAS No. 10193-96-1)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)(CAS No. 10193-99-4)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)(CAS No. 22504-50-3)、1,4-ブタンジイルビス(3-メルカプトプロピオネート)(CAS No. 92140-97-1)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)(CAS No. 33007-83-9)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(CAS No. 7575-23-7)、ステアリルメルカプタン(CAS No. 2885-00-9)およびCapcure(登録商標)3-800(Cognis Chemical company)。
【0045】
本発明において、1種以上のフィラーを任意に使用してよく、これは特に限定されない。通常使用されるフィラーの例は、CaCO
3、SiO
2、BaSO
4、Al
2O
3、CaSiO
4を含む。1つの態様において、1種以上のフィラーが、本発明のエポキシ接着剤の第2液B中に含有される。
【0046】
任意に、1種以上の強化剤を本発明において使用することができ、これは特に限定されない。このような強化剤は、エポキシ接着剤の分野において当業者に知られている。これらは例えば以下から選択してよい:熱可塑性イソシアネートまたはポリウレタン、ゴム粒子、特にコア-シェル構造を有するもの、およびブロックコポリマー、特に15℃より低いガラス転移温度を有する第1ポリマーブロックおよび25℃より高いガラス転移温度を有する第2ポリマーブロックを含有するもの。このようなブロックコポリマーは、第1ポリマーブロックがポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックから選択され、第2ポリマーブロックがポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートブロックから選択されるものから選択されることが好ましい。それらの具体例は、次のブロック構造を有するブロックコポリマーである:スチレン-ブタジエン-(メタ)アクリレート、スチレン-ブタジエン-(メタ)アクリル酸エステル、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-グリシジル(メタ)アクリル酸エステル、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-無水マレイン酸、メチルメタクリレート-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート。
【0047】
本発明に好ましい強化剤は、さらに、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー材料から作られたコア、および、25℃より高いガラス転移温度を有するポリマー材料から作られたシェルを備えた、コア-シェル構造を有するゴム粒子である。コア-シェル構造を有する特に適当なゴム粒子は、ジエンホモポリマー、ジエンコポリマーまたはポリシロキサンエラストマーから作られたコア、および/または、アルキル(メタ)アクリレートホモポリマーまたはコポリマーから作られたシェルを有し得る。
【0048】
例えば、これらのコア-シェル粒子のコアは、ジエンホモポリマーまたはコポリマーを含有し得、これらは、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンと1種以上のエチレン性不飽和モノマー、例えばビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレートまたは類似のモノマーとのコポリマーから選択され得る。シェルのポリマーまたはコポリマーは、モノマーとして、例えば以下を含有し得る:(メタ)アクリレート、特にメチルメタクリレート、ビニル芳香族モノマー(例えばスチレン)、シアン化ビニル(例えばアクリロニトリル)、不飽和酸または無水物(例えばアクリル酸)、(メタ)アクリルアミドおよび類似のモノマーなど、これらは適当な高いガラス転移温度を有するポリマーを導く。
【0049】
シェルのポリマーまたはコポリマーは、例えば2価の金属カチオンとの塩形成による、金属カルボン酸塩形成により架橋することができる酸基を含有し得る。シェルのポリマーまたはコポリマーは、さらに、1分子あたり2個以上の二重結合を有するモノマーを用いることにより共有結合的に架橋され得る。
【0050】
他のゴム様ポリマー、例えばポリブチルアクリレートまたはポリシロキサンエラストマー、例えばポリジメチルシロキサン、特に架橋ポリジメチルシロキサンをコアとして使用することができる。
【0051】
これらコア-シェル粒子は、通常、コアがコア-シェル粒子の50〜95重量%を構成し、シェルが粒子の5〜50重量%を構成するようにして構築される。
【0052】
これらのゴム粒子は比較的小さいことが好ましい。例えば、(例えば光散乱法により測定される)平均粒子サイズは、約0.03〜約2μmの範囲、特に約0.05〜約1μmの範囲であり得る。しかしながら、同様に、より小さいコア-シェル粒子、例えば平均直径が約500nm未満、特に約200nm未満であるコア-シェル粒子を使用することもできる。平均粒子サイズは、例えば約25〜約200nmの範囲内であり得る。
【0053】
このようなコア-シェル粒子の製造は、例えばWO 2007/025007、第6頁、第16〜21行に記載されるように、先行技術において既知である。このようなコア-シェル粒子用の市販の供給源は、該文献の第6頁最終段落〜第7頁第1段落に挙げられている。これらの供給源についての参照を本明細書に記載したものとする。該文献の第7頁、第2段落〜第8頁、第1段落に記載の粒子の製造方法がさらに参照される。適当なコア-シェル粒子についてのさらなる情報のために、第8頁15行〜第13頁15行においてこの主題についての詳細な情報を含むWO 2007/025007を、同様に参照したものとする。
【0054】
有機ポリマーから作られたシェルを有する無機粒子は、コア-シェル構造を有する上記のゴム粒子としての同様の作用を奏し得る。
【0055】
この態様において、本発明による材料は、有機ポリマーから作られたシェルを有する無機粒子であって、該有機ポリマーはアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマーから選択され、重合により組み込まれた少なくとも30重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルを含有する、無機粒子を含有することが好ましい。
【0056】
アクリル酸および/またはメタクリル酸エステルは、好ましくはメチルおよび/またはエチルエステルであり、ここで該エステルの少なくとも一部は、特に好ましくはメチルエステルとして存在する。ポリマーは、非エステル化アクリル酸および/またはメタクリル酸も追加的に含有してよく、これは、無機粒子の表面に対する有機ポリマーの結合を改善し得る。したがって、この場合において、非エステル化アクリル酸および/またはメタクリル酸のモノマー単位について、無機粒子の表面に結合するポリマー鎖の末端(または末端付近)に位置することが特に好ましい。
【0057】
本明細書において、有機ポリマーについて、少なくとも80重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルで構成されることが好ましい。特に、90重量%、95重量%または完全にそれらで構成され得る。有機ポリマーが、上記のアクリル酸および/またはメタクリル酸エステル以外のモノマー、または、非エステル化アクリル酸および/またはメタクリル酸を含有する場合、これらは、エポキシ基、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有するコモノマーから好ましくは選択される。
【0058】
シェルの有機ポリマーは、好ましくは、架橋されていないか、または、非常にわずかに架橋されている(これは、1つの鎖の5%未満のモノマー単位が別の鎖のモノマー単位で架橋されている)。本明細書において、シェルのさらなる外側よりも、無機粒子の表面付近で、ポリマーがより強く架橋されていることが有利であり得る。特に、該シェルは、好ましくは、少なくとも80%、特に少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%のポリマー鎖が、無機粒子の表面に、片端で結合されるように構成されることが好ましい。
【0059】
有機ポリマーのシェルを適用する前に、該無機粒子は、好ましくは、1〜1000の範囲、特に5〜30nmの範囲の平均粒子サイズを有する。該粒子サイズは、光散乱法および電子顕微鏡法を用いて測定できることが知られている。
【0060】
有機ポリマーのシェルは、無機粒子自体よりも低比重を有する。有機ポリマーのシェルは、無機コア:有機ポリマーのシェルの重量比が、2:1〜1:5の範囲、好ましくは3:2〜1:3の範囲であるような厚みを有することが好ましい。これは、無機粒子上で有機ポリマーのシェルを成長させる際の反応条件を選択することにより制御することができる。
【0061】
一般に、該無機粒子は、金属、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩およびリン酸塩から選択され得る。酸化物、水酸化物および炭酸塩の混合形態、例えば塩基性炭酸塩または塩基性酸化物が存在してもよい。金属の無機粒子を選択する場合、鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの金属を少なくとも50重量%含む合金が好適である。酸化物、水酸化物、またはこれらの混合形態は、ケイ素、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、イットリウム、ジルコニウムおよび/またはアルミニウムから選択されることが好ましい。これらの混合形態は、例えばアルモシリケートの粒子または珪質ガラスであることも可能である。酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびSiO
2およびシリカとも称されるケイ素の酸化物形態は、特に好ましい。無機粒子は、さらに、炭酸塩(例えば炭酸カルシウム)、または、硫酸塩(例えば硫酸バリウム)から構成され得る。
【0062】
異なる構成の無機コアを有する粒子が隣り合って存在することも、当然に適当である。
【0063】
WO 2004/111136 A1に記載された方法を、アルキレンエーテルカルボン酸を用いる酸化亜鉛のコーティングの例を参照することにより、例えば有機ポリマーのシェルを有する無機粒子の製造に使用してよい。この処理方式によれば、未処理の無機粒子を非極性またはほとんど極性がない溶媒中に懸濁し、次いで、シェルのモノマー性またはプレポリマー性構成成分を添加し、溶媒を除去し、重合を例えばラジカル的または光化学的に開始する。さらに、EP 1 469 020 A1に記載の製造方法と同様の方法で進めることも可能であり、ここで、シェル材料のモノマーまたはプレポリマーが粒子の有機コーティング成分として使用される。さらに、G. Carrot、S. Diamanti、M. Manuszak、B. Charleux、J.-P. Vairon:「Atom Transfer Radical Polymerization of n-Butyl Acrylate from Silica Nanoparticles(シリカナノ粒子からのn-ブチルアクリレートの原子移動ラジカル重合)」、J. Polym. Sci.、Part A:Polymer Chemistry、Vol. 39、4294-4301(2001)において、シリカナノ粒子へのn-ブチルアクリレートの重合に関し、例を用いて記載されるような、原子移動ラジカル重合によるカプセル化粒子の製造が可能である。
【0064】
さらに、WO 2006/053640に記載されるような製造方法を用いることができる。本発明について、WO 2006/053640の第5頁24行〜第7頁15行にその製造方法と共に記載されるような無機コアを選択する。これらのコアのコーティングは、この文献の第10頁22行〜第15頁7行に記載の類似の方法で行われる。この文献における、重合によるシェルの適用の前に、無機コアの前処理を行う提案に従うこともできる(第15頁9〜24行)。ここで、これに関して、以下が述べられる:
「特に無機コアを使用する場合、コアに前処理を施すことも好ましくあり得、これは、シェルに重合が適用される前にシェルの結合を可能にする。これは通常、非常に幅広い無機材料について文献から知られるような、粒子表面の化学的官能基化においてなり得る。これは、好ましくは、特に、反応性鎖末端としてシェルポリマーのグラフト化を可能にするこのような化学的官能基の、表面への適用を包含し得る。ここで、末端二重結合、エポキシ官能基および重縮合性基が例として挙げられ得る。ヒドロキシル基を有する表面のポリマーを用いる官能基化は、例えばEP-A-337 144から知られている。」。
【0065】
本発明の一態様において、本発明のエポキシ接着剤中に、C=C二重結合を実質的に含まない強化剤を含むことが好ましくあり得る。C=C二重結合を実質的に含まないとは、本明細書において、強化剤が、本発明のエポキシ接着剤におけるエポキシ基の総量に対して、5mol%未満のC=C二重結合を含有することを意味する。さらに、強化剤は、概して、1,2-ポリブタジエン部分、1,4-ポリブタジエン部分またはポリイソプレン部分の一部であるいずれのC=C二重結合も不含であることが好ましくあり得る。
【0066】
本発明のエポキシ樹脂組成物を製造するための方法は、使用する材料が混合および分散できる限りにおいて特に限定されないが、例えば、以下の方法を用いることができる。
(1)撹拌棒、スパチュラなどを用いて適当な容器、例えばガラスビーカー、缶、プラスチックカップまたはアルミニウムカップなどの適当な容器中で成分を混合する。
(2)ダブルヘリカルリボン翼、ゲート翼を用いて成分を混合する。
(3)遊星型ミキサーで成分を混合する。
(4)ビーズミルを用いて成分を混合する。
(5)3本ロールミルを用いて成分を混合する。
(6)押出型のニーダー押出機を用いて成分を混合する。
【0067】
これらの製造方法を使用することができるが、製造方法はこれらの方法に限定されない。これらの製造方法は、単独で使用してよく、または、2つの成分を別々に調製する際に2つ以上の方法を組み合わせて使用することができる。
【0068】
試験
ゲル化時間測定
ゲル化時間測定は、標準 ASTM D3532-99に基づいた。ゲル化時間は、接着剤の粘度が、元の化合物の2倍に増加した際の時間として理解される。
【0069】
重ねせん断強度測定
重ねせん断強度測定は、試験標準 ASTM D 3161に基づいた。使用した基材は冷延鋼板であり、結合ラインは10mm*25mmである。基材の表面は、酢酸エチルまたはアセトンを用いて洗浄した。表1に示すデータは、少なくとも5回の測定データの平均値である。
【実施例】
【0070】
本発明の接着剤の利点を説明するために、異なる2液型エポキシ接着剤を調製し、ゲル化時間測定および重ねせん断強度測定において試験した。
【0071】
以下に示す実施例において、次の物質を使用した。
【0072】
実施例1〜14:(主要な性能性質を含む本発明の有利な態様)
表1に記載の原料を混ぜ合わせ、ゲル化時間を調整可能なエポキシ系接着剤を得た。製剤中の他の成分の量を一定に維持し、過酸化物の濃度のみを変化させることにより、ゲル化時間を5分〜24時間以上に調整することができる。第1液の調製方法は以下である:過酸化物をアセトン中に溶解させ、0.12g/mlの過酸化物濃度を有する溶液を作った。エポキシ樹脂を、室温で、スピードミキサーカップ中に計り入れ、次いで、過酸化物溶液を混合容器中に計り入れ、2つの成分を2000rpm THINKY(登録商標)Speedmixerの下、室温で1分間混合した。シランおよびチキソトロピー剤を混合容器中に計り入れた。混ざり合った4成分を、THINKY(登録商標)Speedmixer中、2000rpmの速度、室温、0.2kPa真空で1分間混合した。混合し、スピードミキサーから取り出し後、液状混合物を、2Kカートリッジの一方に滴下した。第2液の調製方法は以下である:初めに、硬化剤として用いたチオールを混合容器に計り入れ、次いで、混合容器中にアミン触媒を計り入れ、2つの成分を2000rpm THINKY(登録商標)Speedmixerの下、室温で30秒間混合し、次いで、混合物中にフィラーを計量添加した。混ざり合った3成分を、THINKY(登録商標)Speedmixer中、2000rpmの速度、室温、0.2kPa真空下で1分間混合した。混合し、スピードミキサーから取り出し後、液状混合物を、2Kカートリッジの他方に滴下した。ゲル化時間測定または機械的特性測定用の試料は、機械的または空気圧接着ガンを用いることにより2つの液を押し出し、混合し、次いでこれを基材上に塗布することにより、製造した。
【0073】
ゲル化時間測定は、標準 ASTM D3532-99に基づき、その結果を表1に示した。この結果より、製剤中のベンゾイルペルオキシドを0.03〜2.99重量%で高めることにより、ゲル化時間が4.2分〜24時間、長くなることを見出すことができる。重ねせん断強度測定は、試験標準 ASTM D 3161に基づいた。使用した基材は冷延鋼板である。この測定結果を表1に示した。この結果より、製剤中への過酸化物の添加が接着剤の機械的特性に悪影響を及ぼさないであろうことを見出すことができる。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例15〜35
成分の重量を表2に記載した。実施例15〜35についての手順方法は、実施例1〜14と同様である。Perkadox(登録商標)L-50S、Trigonox(登録商標)P-50Sを含む使用した酸化物は、アセトン中に0.12g/mlの濃度で溶解させた。第1液において、エポキシ樹脂を、室温で、スピードミキサーカップ中に計り入れ、次いで、過酸化物溶液を混合容器中に計り入れ、2つの成分を2000rpm THINKY(登録商標)Speedmixerの下、室温で1分間混合した。シランおよびチキソトロピー剤を混合容器中に計り入れた。混ざり合った4成分を、THINKY(登録商標)Speedmixer中、2000rpmの速度、室温、0.2kPa真空で1分間混合した。混合し、スピードミキサーから取り出し後、液状混合物を、2Kカートリッジの一方に滴下した。第2液の調製方法は以下である:初めに、硬化剤として用いたチオールを混合容器に計り入れ、次いで、混合容器中にアミン触媒を計り入れ、2つの成分を2000rpm THINKY(登録商標)Speedmixerの下、室温で30秒間混合する。混合物中にフィラーを計量添加し、次いで、混ざり合った3成分を、THINKY(登録商標)Speedmixer中、2000rpmの速度、室温、0.2kPa真空下で1分間混合した。混合し、スピードミキサーから取り出し後、液状混合物を、2Kカートリッジの他方に滴下した。
【0076】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0077】
実施例36〜38:
成分の重量を表3に示した。実施例36〜38についての手順方法は、実施例1〜14と同様であり、相違点は、過酸化物を第2液中に入れ、アミン触媒(硬化促進剤)を第1液中に入れることである。第1液において、エポキシ樹脂を、室温で、スピードミキサーカップ中に計り入れ、次いで、アミン触媒を混合容器中に計り入れ、2つの成分を2000rpm THINKY(登録商標)Speedmixerの下、室温で1分間混合した。シランおよびチキソトロピー剤を混合容器中に計り入れた。混ざり合った4成分を、THINKY(登録商標)Speedmixer中、2000rpmの速度、室温、0.2kPa真空下で1分間混合した。混合し、スピードミキサーから取り出し後、液状混合物を、2Kカートリッジの一方に滴下した。第2液の調製方法は以下である:初めに、Perkadox(登録商標)L-50S、Trigonox(登録商標)P-50Sを含む使用した過酸化物を、アセトン中に0.12g/mlの濃度で溶解させた。次いで、硬化剤として使用したチオール化合物を混合容器に計り入れ、過酸化物溶液を混合容器中に計り入れ、2つの成分を2000rpm THINKY(登録商標)Speedmixerの下、室温で30秒間混合した。混合物中にフィラーを計量添加し、混ざり合った3成分を、THINKY(登録商標)Speedmixer中、2000rpmの速度、室温、0.2kPa真空下で1分間混合した。混合し、スピードミキサーから取り出し後、液状混合物を、2Kカートリッジの他方に滴下した。
【0078】
【表3】
【0079】
上記の試験結果に見られるように、過酸化物を2液型エポキシ-チオール系接着剤中に導入することにより、ゲル化時間の望ましい制御が達成された。加える過酸化物の量に応じて、接着剤のゲル化時間を5分〜24時間以上の幅広い範囲で調整することができる。
【0080】
エポキシ-チオール硬化系においてゲル化時間を遅らせるために過酸化物添加剤を使用することは全く新しい考えであり、その効果はむしろ驚くべきものである。この発見は、本発明と共に、将来的なエポキシ-チオール系接着剤の設計に深い影響を有し得る。例えば、消費者の要求を満足するために、異なるゲル化時間を有する特別の製品のシリーズを設計するのに用いることができる。
【0081】
本発明を代表的な態様において説明し、記載したが、詳細に示されたものに限定されることを意図するものではなく、本発明の精神を逸脱することなく置き換えが可能である。そのようなものとして、本明細書に開示された本発明の改良および等価物は、単なる日常の実験を用いて当業者に生じ得、かかる全ての改良および等価物は、以下の請求項により定義されるような本発明の精神および範囲に含まれると考えられる。