(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一の前記発光素子搭載部の前記立設部の前記基板の厚さ方向の一方の端面と、一の前記発光素子搭載部に隣接する他の前記発光素子搭載部の前記立設部の前記基板の厚さ方向の他方の端面とは、絶縁膜を介して接している請求項1乃至4の何れか一項記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る発光装置の構造]
まず、第1の実施の形態に係る発光装置の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る発光装置を例示する図であり、
図1(a)が斜視図、
図1(b)が
図1(a)の一部を示す断面斜視図である。
図2は、
図1のA部を拡大して例示する正面図(出射光Lが出射される側を正面とする)である。なお、
図2は正面図であるが、便宜上、後述の
図4(断面図)に対応するハンチングを施している部分がある(後述の
図16及び21についても同様)。
【0013】
図1及び
図2では、発光素子80の出射光Lが水平方向に出射されるように発光装置10を配置しているが、発光装置10を配置する方向はこれには限定されない。例えば、発光素子80の出射光Lが垂直方向に出射されるように発光装置10を配置してもよいし、発光素子80の出射光Lが斜め方向に出射されるように発光装置10を配置してもよい。なお、
図1等では、出射光Lの出射方向をZ方向としている。
【0014】
図1及び
図2を参照するに、発光装置10は、大略すると、発光素子搭載部20と、接合材30(第1接合材)とを有する。発光素子搭載部20は複数個設けられ、各発光素子搭載部20は接合材30を介して積層されている。接合材30の材料としては、例えば、金錫はんだ、インジウムはんだ、銀ペースト等の導電性の材料を用いることができる。接合材30の厚さは、例えば、5μm程度とすることができる。なお、本実施の形態では、発光素子搭載部20は3個積層されているが、2個又は4個以上積層してもよい。
【0015】
発光素子搭載部20は、基板保持部40と、基板50と、接着材60(第1接着材)及び接合材70(第2接合材)と、発光素子80とを有する。発光素子搭載部20は、一方の面に発光素子80が実装された導電性の基板50をシリコンからなる基板保持部40で保持した部分であり、所定ピッチで複数積層されている。
【0016】
基板保持部40は、基板50の側面の外側に配置されて、基板50及び発光素子80の厚さ方向に立設する立設部41と、立設部41の一方の側面(
図1及び
図2では基板50が実装される側)に一体的に形成され、基板50の平面方向(X方向)に延設された基板接合部42とを有する。
【0017】
本実施の形態における基板保持部40は、基板50の両側面において、断面視したとき、鉤のような形状とされている。基板接合部42の下面42tは、接着材60を介して、基板50の一方の面の外縁部を含む部分と接合されている。又、基板接合部42は、基板50が実装される厚さを除いた立設部41の一方の側面に一体的に形成されている。
【0018】
基板保持部40の立設部41の基板50の厚さ方向の一方の端面(
図1及び
図2では上面)には、絶縁膜43が形成されている。つまり、一の基板保持部40の立設部41の基板50及び発光素子80の厚さ方向の一方の端面と、一の基板保持部40に隣接する他の基板保持部40の立設部41の基板50及び発光素子80の厚さ方向の他方の端面とは、絶縁膜43を介して接している。必要に応じ、接着材等で接着してもよい。
【0019】
絶縁膜43は、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)である。絶縁膜43の厚さは、例えば、1μm程度とすることができる。なお、接着材60として絶縁性の材料を用い、基板接合部42と基板50とが確実に絶縁できれば、絶縁膜43を形成しなくてもよい。
【0020】
基板保持部40は、例えば、平面形状がコの字型に形成されており、基板接合部42は、例えば、立設部41の一端側からコの字の内側に向かって突出している。基板保持部40の平面形状がコの字型の場合、立設部41は、基板50の両側面の外側に配置される。又、基板接合部42は、互いに対向する外縁部42r及び42qと、外縁部42r及び42qを連結するように基板50の平面方向に延在する中央部42vとを有する。
【0021】
立設部41及び基板接合部42は、同一材料により一体に形成されている。立設部41の高さHは、発光素子搭載部20のピッチ(すなわち、発光素子80のピッチ)を規定している。なお、本実施の形態では、基板接合部42の内側面42s(コの字の内側の部分)が傾斜面とされているが、これに限定されることはない。
【0022】
基板50は、発光素子80を実装するための導電性の基板である。基板50として導電性の基板を用いる理由は、後述のように、各発光素子80に直列に電流を流す際に、基板50が電流経路の一部を構成するからである。基板50としては、例えば、銅タングステン(CuW)基板等を用いることができる。基板50の厚さは、例えば、100〜400μm程度とすることができる。なお、銅タングステン(CuW)基板は、搭載する発光素子80が半導体レーザダイオードである場合に、発光素子80と熱膨張係数が整合する点で好適である。銅タングステン(CuW)基板の熱膨張係数は、6.5〜8.5ppm/℃程度である。
【0023】
基板50は、一方の面と、一方の面とは反対側の他方の面を有する。基板50の一方の面には発光素子80が実装され、基板保持部40の基板接合部42の下面42tが接合されている。基板50の他方の面は、隣接する他の発光素子搭載部20の発光素子80の第2面(
図1(a)及び
図2では、N型半導体層82の面)と接合材30を介して接合されている。
【0024】
基板50は、発光素子搭載部20が形成される発光素子搭載領域50aと、発光素子搭載領域50aから延在し、発光素子搭載部20から突出する領域である突出部50bとを有する。突出部50bは、出射光Lと反対方向(
図1では、Z方向)に延在している。
【0025】
基板50の一方の面の外縁部(基板接合部42の外縁部42r及び42qと対向する部分)、及び中央部(基板接合部42の中央部42vと対向する部分)は、接着材60を介して、基板保持部40の基板接合部42の下面42tと接着されている。接着材60の材料としては、例えば、感光性接着剤等を用いることができる。接着材60の厚さは、例えば、5μm程度とすることができる。感光性接着剤は、フォトリソグラフィ法により位置精度良く塗布できる点で好適である。
【0026】
発光素子80は、例えば、P型半導体層(第1半導体層)81とN型半導体層(第2半導体層)82がPN接合された構造を有する端面出射型の半導体レーザダイオードである。半導体レーザダイオードとしては、例えば、AlGaAsレーザ等を用いることができる。発光素子80は、所定の動作電流で
図1の矢印方向に出射光Lを出射する。
【0027】
発光素子80の第1面は、接合材70(第2接合材)を介して、基板50の一方の面の一端側に実装されている。例えば、P型半導体層81の面が、接合材70を介して、基板50の一方の面の一端側に実装されている。又、発光素子80の第1面とは反対側の第2面は、他の発光素子搭載部20の基板50の他方の面と接合材30を介して接合されている。
【0028】
発光素子80の厚さは、例えば、100μm程度とすることができる。接合材70の材料としては、例えば、金錫はんだ、インジウムはんだ、銀ペースト等の導電性の材料を用いることができる。接合材70の厚さは、例えば、5μm程度とすることができる。
【0029】
図3は、第1の実施の形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
図4は、
図3のA−A線に沿う断面図である。
図3及び
図4に示す発光装置は、発光装置10の各基板50の発光側とは反対側の面が接合材110(第3接合材)を介して配線基板100の一方の面に接合された構造を有する。
【0030】
つまり、基板50の基板保持部40から突出する突出部50bの端面が接合材110を介して配線基板100の一方の面に接合されて、それぞれの基板50が配線基板100の一方の面に立設されている。各発光素子80は配線基板100の一方の面と平行な出射面を有し、配線基板100の一方の面と反対側に出射光Lを出射することができる。
【0031】
配線基板100としては、セラミック基板を用いることができる。セラミック基板の材料としては、例えば、窒化アルミニウム(AIN)や酸化ベリリウム(BeO)等を用いることができる。又、配線基板100としては、他に、有機基板等の既存の基板を適宜使用することができる。各発光素子80の発する熱は、各基板50を介して配線基板100に伝達され、配線基板100から放熱される。接合材110としては、例えば、インジウムはんだ等を用いることができる。
【0032】
又、各発光素子80の各出射光Lの光路上には、それぞれレンズ120が配置されている。レンズ120としては、例えば、円柱状レンズ等を用いることができる。レンズ120は、各発光素子80の各出射光Lの光路上に精度良く配置する必要がある。レンズ120は、例えば、シリコンからなるレンズ保持部材(図示せず)を基板保持部40の発光側端面に配置することにより、基板保持部40上に精度良く配置できる。基板保持部40の発光側端面に、予めエッチング等により、レンズ120を保持するための溝部や突起部も設けても良い。
【0033】
発光装置10において、各発光素子80は直列に接続されている。つまり、一方の最外部に積層された基板50から他方の最外部に積層された発光素子80に、図示しない入出力端子を経由して直列に電流Iを流すことにより、各発光素子80が同時に発光して各出射光Lが出射される。
【0034】
このように、発光装置10の各発光素子80に所定の動作電流を流すと各発光素子80は発光する。そして、各発光素子80の各出射光Lは、それぞれレンズ120を介して所定位置に集光されるとともに、各発光素子80の発する熱は、各基板50を介して配線基板100に伝達され、配線基板100から放熱される。
【0035】
[第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
図5〜
図14は、第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を例示する図である。特に、
図5〜
図11は、第1の実施の形態に係る基板保持部40の製造工程を例示する図である。例えば、1枚のシリコン基板410に複数の基板保持部40形成領域を備え、ダイシング等により複数の基板保持部40を製造するが、
図5〜
図11では、説明の便宜上、複数の基板保持部40形成領域の例示は省略する。
【0036】
なお、
図5、
図8、及び
図9において、それぞれ(a)は断面図、(b)は平面図である。又、
図6及び
図7は、それぞれ断面図である。又、
図10において、(a)は断面図、(b)は斜視図である。又、
図11において、(a)は断面図、(b)は斜視図、(c)は背面図である。又、
図12及び
図14は、斜視図である。又、
図13において、(a)は斜視図、(b)は背面図である。
【0037】
まず、
図5に示す工程では、シリコン基板410を準備し、シリコン基板410の表面に絶縁膜430を形成する。シリコン基板410の表面近傍の温度を例えば1000℃以上とするウェット熱酸化法により熱酸化することにより、絶縁膜430としてSiO
2膜を形成できる。絶縁膜430の厚さは、例えば1μm程度とすることができる。なお、絶縁膜430として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、例えば二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等の膜を形成しても構わない。
【0038】
そして、表面に絶縁膜430が形成されたシリコン基板410の一方の面に、絶縁膜430を除去する領域に対応する開口部500xを有する、平面視においてコの字型のレジスト層500を形成する。例えば、平面視において、シリコン基板410の一方の面の各辺のうち一の辺を除く他の辺から所定幅の範囲内にレジスト層500が形成される。例えば、シリコン基板410の一方の面に感光性樹脂を塗布してレジスト層500を形成し、フォトリソグラフィ法により開口部500xを形成できる。
【0039】
次に、
図6に示す工程では、
図5に示す開口部500x内に露出する絶縁膜430をウェットエッチングにより除去し、その後、レジスト層500を除去する。絶縁膜430を除去するためのエッチング液には、例えば、KOH(水酸化カリウム)やTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)等のアルカリ性溶液を用いることができる。以降、一部が除去された絶縁膜430を絶縁膜430Aとする。
【0040】
次に、
図7に示す工程では、絶縁膜430Aをマスクとするウェットエッチングにより、絶縁膜430Aが形成されていない部分のシリコン基板410の一部を除去し、溝部410xを形成する。溝部410xの内側面は傾斜面(テーパ状)となる。この工程では、例えば、
図6に示す工程と同様のエッチング液を用いることができる。
【0041】
次に、
図8に示す工程では、シリコン基板410の他方の面(溝部410xが形成されていない側の面)をバックサイドグラインダー等で研削し、他方の面を覆う絶縁膜430Aを除去する。又は、必要に応じ、他方の面を覆う絶縁膜430Aを除去するとともに、シリコン基板410を薄型化する。
【0042】
次に、
図9に示す工程では、立設部41及び基板接合部42を形成するために、シリコン基板410の他方の面に、開口部510xを有するレジスト層510を形成する。例えば、平面視において、シリコン基板410の一方の面の各辺のうち対向する辺から所定幅の範囲内にレジスト層510が形成される。例えば、シリコン基板410の他方の面に感光性樹脂を塗布してレジスト層510を形成し、フォトリソグラフィ法により開口部510xを形成できる。なお、
図9〜
図11は、
図1等とは上下が反転して描かれている。
【0043】
次に、
図10に示す工程では、開口部510x内に露出するシリコン基板410を、溝部410xに達するまでドライエッチングにより除去する。これにより、シリコン基板410の平面形状がコの字型に形成される。ドライエッチングとしては、例えばSF
6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等を用いると好適である。
【0044】
次に、
図11に示す工程では、例えばダイシングによって、
図10に示す構造体のコの字の外側面の絶縁膜430Aが形成されている部分近傍を切断する。これにより、立設部41、外縁部42r及び42q並びに中央部42vを含む基板接合部42、絶縁膜43を有する基板保持部40がシリコンから形成される。
【0045】
次に、
図12に示す工程では、銅タングステン(CuW)基板等からなる基板50の一方の面の一端側に、接合材70を介して、半導体レーザダイオード等である発光素子80を実装する。基板50の厚さは、例えば、100〜400μm程度とすることができる。接合材70の材料としては、例えば、金錫はんだ、インジウムはんだ、銀ペースト等の導電性の材料を用いることができる。接合材70の厚さは、例えば、5μm程度とすることができる。
【0046】
続いて、基板50の基板保持部40と接合される領域近傍に、例えば感光性接着剤を塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターニングして接着材60を形成する。接着材60の厚さは、例えば、5μm程度とすることができる。なお、本実施の形態では、
図12に示す構造体を3個作製する。
【0047】
次に、
図13に示す工程では、基板50の一方の面の外縁部を含む部分を、接着材60を介して、
図11に示す工程で作製した基板保持部40の基板接合部42の下面42tと接触させる。そして、接着材60を加熱等により硬化させ、基板50の一方の面の外縁部を含む部分を接着材60を介して基板接合部42の下面42tと接合する。なお、本実施の形態では、
図13に示す構造体を3個作製する。
【0048】
次に、
図14に示す工程では、接合材30を介して
図13に示す構造体を3個積層する。そして、接合材30を加熱しながら、隣接する基板保持部40の絶縁膜43の上面と立設部41の下面とが密着するように押厚する。そして、接合材30を硬化させる。これにより、発光装置10が完成する。
【0049】
このように、第1の実施の形態では、発光装置10において、発光素子80を搭載する発光素子搭載部20が複数個積層されているが、発光素子80のピッチはシリコンからなる基板保持部40の立設部41の高さHで決定されている。シリコンはフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等により極めて高精度な加工ができるため、発光素子80を高ピッチ精度で積層できる。
【0050】
又、発光素子80が搭載されている基板50の厚さは、発光素子80のピッチには寄与しないため、薄化して厚み精度が悪化しても問題とはならない。つまり、基板50を薄化することにより、発光素子80を狭ピッチかつ高ピッチ精度で積層できる。なお、基板50の厚さのばらつき分は、接合材30により吸収される。
【0051】
本実施の形態では、例えば、発光素子80を200μmピッチで積層でき、ピッチのばらつきを±5μm程度に抑えることができる。なお、従来の発光装置では、発光素子を400μmピッチ程度で積層することが限界であり、ピッチのばらつきも±10μm程度であった。
【0052】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
図15は、第1の実施の形態の変形例1に係る発光装置を例示する斜視図である。
図16は、
図15のA部を拡大して例示する正面図である。
図15及び
図16を参照するに、発光装置10Aは、基板保持部40が基板保持部40Aに置換された(基板接合部42が基板接合部42Aに置換された)点が発光装置10(
図1及び
図2参照)と相違する。
【0053】
第1の実施の形態では、基板接合部42の内側面42s(コの字の内側の部分)が傾斜面とされていたが、
図16に示す発光装置10Aの基板接合部42Aのように、内側面42sを垂直面としても構わない。
【0054】
基板接合部42Aの内側面42sを垂直面とするには、第1の実施の形態の
図5及び
図6と同様の工程を実行した後、
図8に示す工程(ウェットエッチング工程)に代えて、
図17に示す工程を実行する。
図17に示す工程では、シリコン基板410の一方の面に、開口部520xを有するレジスト層520を形成する。レジスト層520は、例えば、レジスト層510と同様にして形成できる。そして、開口部520x内に露出するシリコン基板410の一部をドライエッチングにより除去し、溝部410yを形成する。溝部410yの内側面は垂直面となる。
【0055】
その後、第1の実施の形態の
図9及び
図10と同様の工程を実行した後、
図18に示す工程では、例えばダイシングによって、
図10に相当する構造体のコの字の外側面の絶縁膜430Aが形成されている部分近傍を切断する。これにより、立設部41、外縁部42r及び42q並びに中央部42vを含む基板接合部42A、絶縁膜43を有する基板保持部40Aがシリコンから形成される。
【0056】
このように、基板接合部42Aの内側面42sを垂直面としても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0057】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
図19は、第1の実施の形態の変形例2に係る発光装置を例示する斜視図である。
図19を参照するに、発光装置10Bは、基板保持部40が基板保持部40Bに置換された(立設部41が立設部41Bに置換され、基板接合部42が基板接合部42Bに置換された)点が発光装置10(
図1及び
図2参照)と相違する。
【0058】
第1の実施の形態では、基板保持部40の平面形状がコの字型であったが、第1の実施の形態の変形例2では、発光素子搭載部20の基板保持部40Bは、基板保持部40のコの字の中央部近傍が除去された形状とされている。つまり、立設部41Bと基板接合部42Bからなる基板保持部40Bが基板50を挟んで互いの基板接合部41B同士が対向するように、基板50の両サイドに配置されている。
【0059】
基板保持部40Bを作製するには、例えば、第1の実施の形態の
図5に示す工程で、平面視において、シリコン基板410の一方の面の各辺のうち対向する辺から所定幅の範囲内にレジスト層500を形成する。そして、第1の実施の形態の
図6に示す工程で、開口部500x内に露出する絶縁膜430をウェットエッチングにより除去し、その後、レジスト層500を除去して、絶縁膜430Aを形成する。絶縁膜430Aは、シリコン基板410の一方の面の各辺のうち対向する辺から所定幅の範囲内に形成される。その後、絶縁膜430Aをマスクとして第1の実施の形態の
図7〜
図11と同様の工程を行えばよい。
【0060】
このように、平面形状が矩形状の一対の基板保持部40Bを基板50の両サイドに配置しても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。なお、第1の実施の形態の変形例1と同様に、基板接合部42Bの内側面を垂直面としても構わない。
【0061】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、一方の面に発光素子が実装された複数の導電性の基板を1つの基板保持部で保持して所定ピッチで積層する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0062】
図20は、第2の実施の形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
図21は、
図20のA部を拡大して例示する正面図である。
図20及び
図21を参照するに、発光装置10Cは、基板保持部40が基板保持部40Cに置換された点が発光装置10(
図1及び
図2参照)と相違する。
【0063】
第1の実施の形態では、基板保持部40が基板50と平行な方向に設けられていたが、第2の実施の形態では、基板保持部40Cが基板50と垂直な方向に設けられている。
【0064】
基板保持部40Cは、複数の細長状(スリット状)の貫通孔42xが基板50の積層方向に所定ピッチで並設されたシリコンからなる板状部材である。貫通孔42xは、基板50を挿入可能な大きさに形成されている。それぞれの基板50は、それぞれの貫通孔42xに挿入されて、接着材60を介して貫通孔42xの内壁面に接合されている。
【0065】
それぞれの基板50と基板保持部40Cとは絶縁する必要がある。例えば、
図21に示すように、それぞれの貫通孔42xの内壁面を含む基板保持部40Cの表面に、SiO
2等の絶縁膜を形成すればよい。又、基板保持部40Cとしてシリコンに代えて絶縁性の材料であるセラッミクを用いてもよい。基板保持部40Cとしてセラッミクを用いた場合には、例えば、超音波加工法により貫通孔42xを形成できる。
【0066】
基板保持部40Cの材料として、銅タングステン(CuW)基板である基板50と熱伝導率がより近いセラミック材料を用いることにより、放熱性を向上できる。なお、銅タングステン(CuW)基板の熱伝導率は略160W/m・K、シリコン(Si)の熱伝導率は略149W/m・K、シリコン酸化膜(SiO
2)の熱伝導率は略10W/m・K以下である。又、セラミック材料である窒化アルミニウム(AlN)の熱伝導率は略150W/m・Kである。
【0067】
そこで、基板保持部40Cの材料として、例えば、窒化アルミニウム(AlN)を用いることにより、基板保持部40Cの材料としてシリコン(Si)を用いて表面にシリコン酸化膜(SiO
2)を形成した場合よりも放熱性を向上できる。
【0068】
このように、複数の細長状(スリット状)の貫通孔42xが基板50の積層方向に所定ピッチで並設された基板保持部40Cを用いても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0069】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、一方の面に発光素子が実装された複数の導電性の基板を1つの基板保持部で保持して所定ピッチで積層する他の例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0070】
図22は、第3の実施の形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
図23は、
図22のB部に対応する部分断面図であり、YZ平面に平行な断面を示している。なお、
図22では、
図23に示す絶縁膜43の図示は省略されている。
【0071】
図22及び
図23を参照するに、発光装置10Dは、基板保持部40が基板保持部40Dに置換された点が発光装置10(
図1及び
図2参照)と相違する。
基板保持部40Dは、シリコンからなる部材である。基板保持部40Dの所定の面(発光側の面)には、複数の細長状(スリット状)の溝42yが基板50の積層方向に所定ピッチで並設されている。各々の溝42yの両サイドは、基板保持部40Dの所定の面(発光側の面)に垂直な側面に開口されている。溝42yの内壁面を含む基板保持部40Dの表面には絶縁膜43(SiO
2等)が形成されている。
【0072】
又、溝42yの内壁面には、絶縁膜43を介して、第1金属層75が形成されている。第1金属層75は、
図23に示すように、例えば、溝42yの内壁面に絶縁膜43を介して形成された金属層75a、金属層75aを被覆する金属層75b、及び金属層75bを被覆する金属層75cにより構成できる。
【0073】
金属層75aとしては、例えば、チタン(Ti)やタングステン(W)等のシリコンとの密着性の良い金属材料を用いることができる。金属層75aの厚さは、例えば、0.05μm程度とすることができる。金属層75bとしては、例えば、ニッケル(Ni)等の金属材料を用いることができる。金属層75bの厚さは、例えば、3μm程度とすることができる。
【0074】
金属層75cとしては、例えば、錫(Sn)、錫銀(Sn−Ag)、錫金(Sn−Au)等のはんだ材料を用いることができる。金属層75cの厚さは、例えば、10μm程度とすることができる。なお、金属層75bは、金属層75cを構成するはんだ材料が金属層75a側に拡散することを防止する機能を有する。
【0075】
溝42yは基板50を挿入可能な大きさに形成されており、各々の基板50の一部(発光素子80が実装されていない部分)が溝42yに挿入されている。基板50を溝42yに挿入し、金属層75cを構成するはんだ材料が溶融後硬化することにより、第1金属層75と導電性の基板50とが導通すると共に、基板50の一部(発光素子80が実装されていない部分)が溝42yの内壁に接合される。
【0076】
基板保持部40Dの所定の面の一端側及び他端側(溝42yが並設されている領域のY方向の両外側)には、各々第2金属層76及び第3金属層77が形成されている。第2金属層76は、所定の面の一端側に最も近い溝42yに形成された第1金属層75の端面と接して導通している。第3金属層77は、所定の面の他端側に最も近い溝42yに形成された第1金属層75の端面と接して導通している。
【0077】
第2金属層76と第3金属層77との間には、各溝42yの第1金属層75及び基板50を介して、複数の発光素子80が直列に接続されている。第2金属層76及び第3金属層77の材料としては、例えば、金(Au)等を用いることができる。但し、第2金属層76及び第3金属層77を第1金属層75と同一の層構成とし、第1金属層75と一体に形成してもよい。
【0078】
このように、各発光素子80は第1金属層75及び基板50を介して直列に接続されている。そのため、第2金属層76及び第3金属層77の何れか一方を入力端子、他方を出力端子とし、入力端子から出力端子に電流を流すことにより、各発光素子80を同時に発光させることができる。
【0079】
なお、本実施の形態では、基板50の幅(X方向)と発光素子80の幅(X方向)を略同一としているが、第1の実施の形態のように、基板50の幅(X方向)を発光素子80の幅(X方向)よりも広くしても構わない。
【0080】
又、
図24に示すように、発光装置10Dの基板保持部40Dの裏面(所定の面とは反対側の面)を接合材110(第3接合材)を介して配線基板100の一方の面に接合した構造としてもよい。接合材110としては、例えば、インジウムはんだ等を用いることができるが、エポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂等の絶縁性の接着材を用いてもよい。
【0081】
図24において、基板保持部40Dの所定の面の一端側及び他端側に形成された第2金属層76及び第3金属層77は、各々ボンディングワイヤ等の金属線150(銅線や金線等)を介して、配線基板100の図示しない配線と電気的に接続されている。但し、第3金属層77と配線基板100の図示しない配線とを電気的に接続する金属線150は、図示されていない。なお、
図3と同様に、各発光素子80の各出射光Lの光路上に、それぞれレンズ120を配置してもよい。
【0082】
発光装置10Dを作製するには、例えば、
図25(a)に示すように、
図9と同様にして、シリコン基板の所定の面(
図25では上面)に溝42yを形成する部分を露出する開口部530xを有するレジスト層530を形成する。そして、開口部530x内に露出するシリコン基板の一部をドライエッチングにより除去し、所定の面の開口部530xに対応する位置に溝42yが形成された基板保持部40Dを作製する。ドライエッチングとしては、例えばSF
6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等を用いると好適である。
【0083】
次に、
図25(b)に示す工程では、レジスト層530を除去後、
図5に示す工程と同様にして、溝42yの内壁面を含む基板保持部40Dの表面に絶縁膜43を形成する。
【0084】
次に、
図25(c)に示すように、溝42yの内壁面に、絶縁膜43を介して、第1金属層75を形成する。具体的には、例えば、スパッタ法や蒸着法、めっき法等により、溝42yの内壁面に形成された絶縁膜43上に、金属層75a、金属層75b、及び金属層75c(何れも
図25(c)では図示せず)を順次積層する。金属層75a、金属層75b、及び金属層75cの材料等は、前述の通りである。
【0085】
次に、
図25(d)に示す工程では、基板保持部40Dの所定の面の一端側及び他端側(溝42yが並設されている領域のY方向の両外側)に、各々第2金属層76及び第3金属層77を形成する。第2金属層76及び第3金属層77は、例えば、基板保持部40Dの所定の面の一端側及び他端側に、無電解金(Au)めっきを施すことにより形成できる。但し、第2金属層76及び第3金属層77を第1金属層75と同一の層構成とし、
図25(c)に示す工程において、第1金属層75と一体に形成してもよい。
【0086】
その後、
図12に示す工程と同様にして、基板50の一方の面の一端側に接合材70を介して発光素子80を実装し、更に発光素子80上に接合材30を形成した部材を複数組(
図22の例では4組)準備する。又、発光素子80が実装されていない基板50単体を1枚準備する。そして、各基板50を溝42yに挿入して金属層75cにより接合すると共に、隣接する基板50と発光素子80とを接合材30を介して接合する。これにより、発光装置10Dが完成する。
【0087】
或いは、予め4組の上記部材の隣接する基板50と発光素子80とを接合材30を介して接合し、更に、基板50が接合されていない側に接合材30を介して基板50単体を接合する。その後、各基板50を溝42yに同時に挿入して金属層75cにより接合してもよい。
【0088】
なお、基板保持部40Dとしてシリコンに代えて第2の実施の形態と同様のセラッミクを用いてもよい。基板保持部40Dとしてセラッミクを用いた場合には、例えば、ダイシングにより溝42yを形成できる。なお、セラッミクは絶縁材料であるため、絶縁膜43の形成は不要である。
【0089】
このように、複数の細長状(スリット状)の溝42yが基板50の積層方向に所定ピッチで並設された基板保持部40Dを用いても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0090】
又、
図24の形態において、各発光素子80の発する熱は、各基板50及び基板保持部40Dを介して配線基板100に伝達され、配線基板100から放熱される。この際、各基板50は第1金属層75を介して溝42yの内壁面全面と接しており、各基板50から基板保持部40Dに効率よく熱が伝達されるため、発光装置10D全体の放熱効率を向上できる。
【0091】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0092】
例えば、各実施の形態において、シリコンに代えて、セラミック又はガラスからなる基板保持部を用いても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。なお、セラミック又はガラスは、マイクロブラストやレーザにより加工できる。
【0093】
又、第3の実施の形態において、溝42yの両サイドは開口されているが、溝42yは基板挿入側のみに開口し両サイドが塞がれた形態であっても構わない。