(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0020】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0021】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0023】
さらに、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
【0024】
なお、以下に説明する各実施の形態では、容量素子としてのMIMキャパシタを備えた半導体装置を、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effective Transistor)を備えた半導体装置に適用した場合を例に挙げて説明を行う。しかし、各実施の形態は、CMOS、BiCMOSおよびバイポーラトランジスタを備えた各種の半導体装置に適用可能である。また、各実施の形態の半導体装置におけるMIMキャパシタは、例えば、ADC(Analog-to-digital converter)、DAC(Digital-to-analog converter)におけるフィルタやアナログキャパシタとして、用いることが可能である。また、各実施の形態の半導体装置におけるMIMキャパシタは、例えば、RF(Radio Frequency)回路におけるオシレータや共振回路、マッチングネットワークにおけるRFカップリングやRFバイパス用キャパシタとして、用いることが可能である。
【0025】
また、以下の実施の形態において、A〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
【0026】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
一実施の形態である半導体装置を、図面を参照して説明する。前述したように、以下では、半導体装置を、静電容量素子すなわち容量素子としてMIMキャパシタを備えた半導体装置に適用した例について説明する。
【0027】
図1および
図2は、実施の形態1の半導体装置の要部断面図である。
図1は、半導体基板に形成されたトランジスタなどの半導体素子が図示されていないが、
図2では、半導体素子の一例としてトランジスタが図示されている。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態1の半導体装置は、半導体基板SB上に形成された第1層配線M1、第2層配線M2、第3層配線M3および第4層配線M4を有する。また、本実施の形態1の半導体装置は、下部電極BE1、容量膜CIF1および上部電極TE1からなり、容量素子としてのMIMキャパシタMC1を有する。半導体基板SBは、例えばシリコン単結晶基板からなる。
【0029】
図1では図示を省略するが、半導体基板SBにはトランジスタなどの半導体素子が形成されている。半導体素子として、例えばnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effective Transistor)Qnおよびpチャネル型MISFETQpが形成された場合を、
図2に示す。
図2に示す例では、nチャネル型MISFETQn上およびpチャネル型MISFETQp上には、絶縁膜IFが形成されている。絶縁膜IF上には、絶縁膜IFを貫通して半導体基板SBに達する開口部CHが形成されている。開口部CH内には、開口部CHに露出した半導体基板SB上に、開口部CHを埋め込むように、導体膜からなるプラグPGが形成されている。
【0030】
なお、
図1では、
図2に示した半導体素子であるnチャネル型MISFETQn上、pチャネル型MISFETQp、絶縁膜IF、開口部CHおよびプラグPGの図示を省略する。
【0031】
図2に示すように、プラグPGが形成された絶縁膜IF上には、第1層配線M1が形成されている。すなわち、
図1に示すように、第1層配線M1は、半導体基板SB上に、形成されている。第1層配線M1は、半導体基板SBと電気的に接続されている。
【0032】
図1に示すように、第1層配線M1は、バリア導体膜11、主導体膜12およびバリア導体膜13が積層された導体膜としての積層膜14からなる。
【0033】
バリア導体膜11は、プラグPG上および絶縁膜IF上に形成されている。バリア導体膜11として、下から順に、チタン(Ti)を含む膜、Tiおよび窒素(N)を含む膜が積層されたものとすることができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するチタン(Ti)膜、例えば30nmの膜厚を有する窒化チタン(TiN)膜が積層されたものとすることができる。
【0034】
主導体膜12は、バリア導体膜11上に形成されている。主導体膜12として、アルミニウム(Al)を含む膜からなるものとすることができ、具体的には、例えば400nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜からなるものとすることができる。
【0035】
バリア導体膜13は、主導体膜12上に形成されている。バリア導体膜13として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば20nmの膜厚を有するTiN膜が積層されたものとすることができる。バリア導体膜11およびバリア導体膜13は、主導体膜12中のAlなどの拡散を防止または抑制するためのものである。
【0036】
すなわち、第1層配線M1は、プラグPG上および絶縁膜IF上に、順次、例えばTi膜、TiN膜、Al合金膜、Ti膜、TiN膜が積層された積層膜14からなる。
【0037】
絶縁膜IF(
図2参照)上には、第1層配線M1を覆うように、第1層間絶縁膜15が形成されている。すなわち、絶縁膜IF上および第1層配線M1上には、第1層間絶縁膜15が形成されている。第1層間絶縁膜15のうち第1層配線M1上の部分には、第1層間絶縁膜15を貫通して第1層配線M1に達する開口部16が形成されている。開口部16内には、開口部16の底部に露出した第1層配線M1上に、開口部16を埋め込むように、導体膜からなるプラグ17が形成されている。
【0038】
プラグ17が埋め込まれた第1層間絶縁膜15上には、第2層配線M2が形成されている。第2層配線M2は、プラグ17を介して、第1層配線M1と電気的に接続されている。
【0039】
第2層配線M2は、第1層配線M1と同様に、バリア導体膜21、主導体膜22およびバリア導体膜23が積層された導体膜としての積層膜24からなる。
【0040】
バリア導体膜21は、プラグ17上および第1層間絶縁膜15上に形成されている。バリア導体膜21として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば30nmの膜厚を有するTiN膜が積層されたものとすることができる。
【0041】
主導体膜22は、バリア導体膜21上に形成されている。主導体膜22として、Alを含む膜からなるものとすることができ、具体的には、例えば400nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜からなるものとすることができる。
【0042】
バリア導体膜23は、主導体膜22上に形成されている。バリア導体膜23として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば20nmの膜厚を有するTiN膜が積層されたものとすることができる。バリア導体膜21およびバリア導体膜23は、主導体膜22中のAlなどの拡散を防止または抑制するためのものである。
【0043】
すなわち、第2層配線M2は、プラグ17上および第1層間絶縁膜15上に、順次、例えばTi膜、TiN膜、Al合金膜、Ti膜、TiN膜が積層された積層膜24からなる。
【0044】
第1層間絶縁膜15上には、第2層配線M2を覆うように、第2層間絶縁膜25が形成されている。すなわち、第1層間絶縁膜15上および第2層配線M2上には、第2層間絶縁膜25が形成されている。第2層間絶縁膜25のうち第2層配線M2上の部分には、第2層間絶縁膜25を貫通して第2層配線M2に達する開口部26が形成されている。開口部26内には、開口部26の底部に露出した第2層配線M2上に、開口部26を埋め込むように、導体膜からなるプラグ27が形成されている。
【0045】
なお、第1層配線M1の主導体膜12および第2層配線M2の主導体膜22として、Al合金膜からなる導体膜に代え、例えばAlからなる導体膜または銅(Cu)からなる導体膜を用いることができる。
【0046】
プラグ27が埋め込まれた第2層間絶縁膜25上には、下部電極BE1および第3層配線M3が互いに離れて形成されている。下部電極BE1は、MIMキャパシタMC1の下部電極として用いられるものである。第3層配線M3は、プラグ27を介して、第2層配線M2と電気的に接続されている。
【0047】
図3は、実施の形態1の半導体装置の要部断面図である。
図3は、
図1の破線で囲まれた領域AR1、すなわち、
図1の下部電極BE1付近の部分を拡大して示す要部断面図である。
【0048】
図1および
図3に示すように、下部電極BE1は、バリア導体膜31、主導体膜32およびバリア導体膜33が積層された導体膜としての積層膜34からなる。
【0049】
バリア導体膜31は、第2層間絶縁膜25上に形成されている。バリア導体膜31として、
図3に示すように、下から順に、Tiを含む膜31a、TiおよびNを含む膜31bが積層されたものとすることができる。具体的には、バリア導体膜31として、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜からなる膜31a、例えば30nmの膜厚を有するTiN膜からなる膜31bが積層されたものとすることができる。
【0050】
主導体膜32は、バリア導体膜31上に形成されている。主導体膜32として、Alを含む膜からなるものとすることができ、具体的には、例えば600nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜からなるものとすることができる。
【0051】
バリア導体膜33は、主導体膜32上に形成されている。バリア導体膜33として、
図3に示すように、下から順に、Tiを含む膜33a、TiおよびNを含む膜33bが積層されたものとすることができる。具体的には、バリア導体膜33として、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜からなる膜33a、例えば60nmの膜厚を有するTiN膜からなる膜33bが積層されたものとすることができる。バリア導体膜31およびバリア導体膜33は、主導体膜32中のAlなどの拡散を防止または抑制するためのものである。
【0052】
すなわち、下部電極BE1は、第2層間絶縁膜25上に、順次、例えばTi膜からなる膜31a、TiN膜からなる膜31b、Al合金膜からなる主導体膜32、Ti膜からなる膜33a、TiN膜からなる膜33bが積層されたものとすることができる。
【0053】
第3層配線M3は、平面視において、下部電極BE1が形成される領域と異なる領域に形成されており、下部電極BE1から離れて形成されているが、下部電極BE1と同層の積層膜34からなるものとすることができる。すなわち、第3層配線M3は、下部電極BE1と同様に、バリア導体膜31、主導体膜32およびバリア導体膜33が積層された導体膜としての積層膜34からなる。
【0054】
第3層配線M3は、下部電極BE1と同様に、プラグ27上および第2層間絶縁膜25上に、順次、Tiを含む膜31a、TiおよびNを含む膜31b、Alを含む膜からなる主導体膜32、Tiを含む膜33a、TiおよびNを含む膜33bが積層されたものとすることができる。すなわち、第3層配線M3は、下部電極BE1と同様に、順次、例えばTi膜からなる膜31a、TiN膜からなる膜31b、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜からなる主導体膜32、Ti膜からなる膜33a、TiN膜からなる膜33bが積層されたものとすることができる。
【0055】
そして、第3層配線M3のバリア導体膜31は、下部電極BE1のバリア導体膜31と同層の膜からなるものとすることができる。また、第3層配線M3の主導体膜32は、下部電極BE1の主導体膜32と同層の膜からなるものとすることができる。さらに、第3層配線M3のバリア導体膜33は、下部電極BE1のバリア導体膜33と同層の膜からなるものとすることができる。これにより、下部電極BE1と第3層配線M3とを、同一の工程により形成することができ、工程を簡略化することができる。
【0056】
なお、バリア導体膜31の膜厚については、好適には、下部電極BE1および第3層配線M3の電気抵抗を低減する観点、または、下部電極BE1および第3層配線M3においてエレクトロマイグレーション等に対する信頼性を確保する観点等から決定される。このうち、バリア導体膜31として、Ti膜およびTiN膜からなる積層膜を用いる場合には、バリア導体膜31の全体としての膜厚は、好適には、20〜100nm程度の範囲内である。また、バリア導体膜31として、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)もしくはタングステン(W)、または、Ta、MoもしくはWの窒化物を主成分とする導体膜を用いることができる。
【0057】
一方、主導体膜32の膜厚については、下部電極BE1により形成されるMIMキャパシタMC1の高周波特性を向上させるために下部電極BE1の電気抵抗を低減する観点、および、第3層配線M3の電気抵抗を低減する観点等から決定される。主導体膜32の膜厚が100nm未満の場合、下部電極BE1の電気抵抗および第3層配線M3の電気抵抗を容易に低減できないおそれがある。さらに、主導体膜32の膜厚が3000nmを超える場合、第3層配線M3が厚くなりすぎるおそれがある。したがって、主導体膜32の膜厚は、好適には、100〜3000nmの範囲内である。
【0058】
また、主導体膜32の膜厚は、さらに好適には、200〜1200nmの範囲内である。これにより、下部電極BE1および第3層配線M3の電気抵抗を容易に低減しつつ、下部電極BE1の上面における表面粗さRMSをも容易に低減することができる。
【0059】
さらに、バリア導体膜33として、Ta、MoもしくはW、または、Ta、MoもしくはWの窒化物を主成分とする導体膜を用いることができる。これにより、バリア導体膜33におけるクラックの発生を防止または抑制することができる。
【0060】
下部電極BE1上には、絶縁膜38からなる容量膜CIF1が形成されている。容量膜CIF1は、絶縁膜38がパターニングすなわち加工されたものである。容量膜CIF1は、MIMキャパシタMC1の容量膜として用いられるものである。容量膜CIF1となる絶縁膜38として、酸化シリコン(SiO
2)膜、窒化シリコン(SiN)膜または酸窒化シリコン(SiON)膜などの各種の絶縁膜を用いることができる。これにより、各種の成膜方法を用いて絶縁膜38を容易に形成することができる。また、容量膜CIF1の膜厚FT1(
図3参照)は、MIMキャパシタMC1の容量に応じて決定される。
【0061】
本実施の形態1の半導体装置では、容量膜CIF1の膜厚FT1に対し、下部電極BE1の上面34a(
図3参照)における二乗平均粗さとしての表面粗さRMSの比率が、14%以下である。これにより、
図22を用いて後述するように、良品率が90%以上となる製品を製造することができる。
【0062】
なお、半導体装置が製造された後においても、容量膜CIF1など、下部電極BE1よりも上方の部分を除去して下部電極BE1の上面34aが露出した試料を作製することができる。そして、作製された試料について、露出した下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さを、例えば積分散乱計を用いて測定することができる。あるいは、下部電極BE1と容量膜CIF1との界面を含む断面が観察可能な断面観察用試料を、例えばFIB(Focused Ion Beam)加工により作製することができる。そして、作製された断面観察用試料について、下部電極BE1と容量膜CIF1との界面を、例えばSEM(Scanning Electron Microscope)により観察することで、下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さを測定することができる。
【0063】
また、本実施の形態1の半導体装置では、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値が、200cps(カウント毎秒)/nm以上である。このとき、
図23を用いて後述するように、下部電極BE1の上面34aおける表面粗さRMSが25Å以下となり、容量膜CIF1の膜厚FT1(
図3参照)に対する、下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0064】
なお、半導体装置が製造された後においても、容量膜CIF1など、下部電極BE1よりも上方の部分を除去して下部電極BE1の上面34aが露出した試料を作製し、主導体膜32における(111)面のX線回折強度をX線回折法により測定することができる。あるいは、下部電極BE1よりも上方の部分を除去しない場合であっても、X線の照射条件を調整することにより、主導体膜32における(111)面のX線回折強度をX線回折法により測定することができる。
【0065】
容量膜CIF1上には、導体膜PF1が形成されている。導体膜PF1は、導体膜39がパターニングすなわち加工されたものである。導体膜PF1は、MIMキャパシタMC1の上部電極の一部として用いられるものであるが、容量膜CIF1と接触する部分であり、容量膜CIF1の上面を保護する保護膜としても用いられるものである。導体膜PF1として、TiおよびNを含む導体膜を用いることができ、例えば80nmの膜厚を有するTiN膜を用いることができる。また、導体膜PF1として、TiN膜に代え、Ti膜、窒化タンタル(TaN)膜またはAl膜等の導体膜を用いることができ、これらの導体膜を用いた場合にも、導体膜PF1は、上部電極の一部となるとともに、容量膜CIF1の上面を保護することができる。
【0066】
このように、下部電極BE1と容量膜CIF1と導体膜PF1とにより、容量素子としてのMIMキャパシタMC1が形成されている。
【0067】
なお、
図1に示すように、第3層配線M3上に、絶縁膜38が形成されていてもよい。
【0068】
第2層間絶縁膜25上には、下部電極BE1、容量膜CIF1、導体膜PF1および第3層配線M3を覆うように、第3層間絶縁膜35が形成されている。すなわち、下部電極BE1上、容量膜CIF1上、導体膜PF1上および第3層配線M3上には、第3層間絶縁膜35が形成されている。
【0069】
第3層間絶縁膜35のうち導体膜PF1上の部分には、第3層間絶縁膜35を貫通して導体膜PF1に達する開口部36aが形成されている。開口部36a内には、開口部36aに露出した導体膜PF1上に、開口部36aを埋め込むように、導体膜からなるプラグ37aが形成されている。プラグ37aは、導体膜PF1と電気的に接続されている。
【0070】
下部電極BE1上には、第3層間絶縁膜35および容量膜CIF1を貫通して下部電極BE1に達する開口部36bが形成されている。開口部36b内には、開口部36bに露出した下部電極BE1上に、開口部36bを埋め込むように、導体膜からなるプラグ37bが形成されている。プラグ37bは、下部電極BE1と電気的に接続されている。
【0071】
第3層配線M3上には、第3層間絶縁膜35および容量膜CIF1を貫通して第3層配線M3に達する開口部36cが形成されている。開口部36c内には、開口部36cに露出した第3層配線M3上に、開口部36cを埋め込むように、導体膜からなるプラグ37cが形成されている。プラグ37cは、第3層配線M3と電気的に接続されている。
【0072】
プラグ37aが埋め込まれた第3層間絶縁膜35上には、上部電極TE1が形成されている。上部電極TE1は、プラグ37aを介して、導体膜PF1と電気的に接続されており、導体膜PF1とともにMIMキャパシタMC1の上部電極として用いられるものである。
【0073】
上部電極TE1は、バリア導体膜41、主導体膜42およびバリア導体膜43が積層された導体膜としての積層膜44からなる。
【0074】
バリア導体膜41は、プラグ37a上および第3層間絶縁膜35上に形成されている。バリア導体膜41として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば30nmの膜厚を有するTiN膜が積層されたものとすることができる。
【0075】
主導体膜42は、バリア導体膜41上に形成されている。主導体膜42として、Alを含む膜からなるものとすることができ、具体的には、例えば600nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜からなるものとすることができる。
【0076】
バリア導体膜43は、主導体膜42上に形成されている。バリア導体膜43として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば20nmの膜厚を有するTiN膜が積層されたものとすることができる。バリア導体膜41およびバリア導体膜43は、主導体膜42中のAlなどの拡散を防止または抑制するためのものである。
【0077】
すなわち、上部電極TE1は、プラグ37a上および第3層間絶縁膜35上に、順次、例えばTi膜、TiN膜、Al合金膜、Ti膜、TiN膜が積層されたものとすることができる。
【0078】
また、プラグ37b、37cが埋め込まれた第3層間絶縁膜35上には、複数の第4層配線M4が、互いに離れて形成されている。第4層配線M4のうちある配線は、プラグ37bを介して、下部電極BE1と電気的に接続されており、第4層配線M4のうち別の配線は、プラグ37cを介して、第3層配線M3と電気的に接続されている。
【0079】
第4層配線M4は、平面視において、上部電極TE1が形成される領域と異なる領域に形成されており、上部電極TE1から離れて形成されているが、上部電極TE1と同層の積層膜44からなるものとすることができる。すなわち、第4層配線M4は、上部電極TE1と同様に、バリア導体膜41、主導体膜42およびバリア導体膜43が積層された導体膜としての積層膜44からなる。
【0080】
第4層配線M4は、上部電極TE1と同様に、プラグ37b上、プラグ37c上および第3層間絶縁膜35上に、順次、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜、Alを含む膜、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができる。すなわち、第4層配線M4は、上部電極TE1と同様に、プラグ37b上、プラグ37c上および第3層間絶縁膜35上に、順次、例えばTi膜、TiN膜、Al合金膜、Ti膜、TiN膜が積層されたものとすることができる。
【0081】
そして、第4層配線M4のバリア導体膜41は、上部電極TE1のバリア導体膜41と同層の膜からなるものとすることができる。また、第4層配線M4の主導体膜42は、上部電極TE1の主導体膜42と同層の膜からなるものとすることができる。さらに、第4層配線M4のバリア導体膜43は、上部電極TE1のバリア導体膜43と同層の膜からなるものとすることができる。これにより、上部電極TE1と第4層配線M4とを、同一の工程により形成することができ、工程を簡略化することができる。
【0082】
<半導体装置の製造工程>
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造工程について、図面を参照して説明する。
図4〜
図16は、実施の形態1の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0083】
なお、
図4〜
図16では、
図1と同様に、
図2に示した半導体素子であるnチャネル型MISFETQn上、pチャネル型MISFETQp、絶縁膜IF、開口部CHおよびプラグPGの図示を省略する。また、
図2に示したnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpを形成する工程は、公知の方法により行うことができるので、ここではその説明を省略する。
【0084】
まず、
図4に示すように、半導体基板SBを準備する(ステップS11)。このステップS11では、半導体基板SB上に、第1層配線M1および第2層配線M2の2層の配線が形成された半導体基板SBを準備する。
【0085】
まず、プラグPG(図示は省略)および絶縁膜IF(図示は省略)が形成された半導体基板SB上に、下から順に、バリア導体膜11、主導体膜12およびバリア導体膜13からなる積層膜14を成膜する。バリア導体膜11として、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば30nmの膜厚を有するTiN膜を、スパッタ法により成膜することができる。主導体膜12として、例えば400nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜を、スパッタ法により成膜することができる。バリア導体膜13として、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば20nmの膜厚を有するTiN膜を、スパッタ法により成膜することができる。このようにして成膜された積層膜14を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすなわち加工し、第1層配線M1を形成する。
【0086】
次に、半導体基板SB上および第1層配線M1上に、第1層間絶縁膜15を形成する。例えば1300nmの膜厚を有するSiO
2膜を、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜した後、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法により研磨して平坦化し、第1層間絶縁膜15を形成する。このようにして形成された第1層間絶縁膜15を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすなわち加工し、第1層間絶縁膜15のうち第1層配線M1上の部分に、第1層間絶縁膜15を貫通して第1層配線M1に達する開口部16を形成する。
【0087】
次に、開口部16の底部に露出した第1層配線M1上、開口部16の側壁、および第1層間絶縁膜15上に、例えばTiN膜からなるバリア導体膜を、スパッタ法により成膜する。そして、成膜されたバリア導体膜上に、開口部16を埋め込むように、例えばW膜からなる主導体膜をCVD法により成膜する。その後、主導体膜およびバリア導体膜のうち開口部16内以外の部分、すなわち、第1層間絶縁膜15上の主導体膜およびバリア導体膜をCMP法により研磨して除去し、開口部16内にプラグ17を形成する。
【0088】
次に、プラグ17上および第1層間絶縁膜15上に、下から順に、バリア導体膜21、主導体膜22およびバリア導体膜23からなる積層膜24を成膜する。バリア導体膜21として、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば30nmの膜厚を有するTiN膜を、スパッタ法により成膜することができる。主導体膜22として、例えば400nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜を、スパッタ法により成膜することができる。バリア導体膜23として、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば20nmの膜厚を有するTiN膜を、スパッタ法により成膜することができる。このようにして成膜された積層膜24を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすなわち加工し、第2層配線M2を形成する。
【0089】
次に、第1層間絶縁膜15上および第2層配線M2上に、第2層間絶縁膜25を形成する。例えば1300nmの膜厚を有するSiO
2膜を、プラズマCVD法により成膜した後、CMP法により研磨して平坦化し、第2層間絶縁膜25を形成する。このようにして形成された第2層間絶縁膜25を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすなわち加工し、第2層間絶縁膜25のうち第2層配線M2上の部分に、第2層間絶縁膜25を貫通して第2層配線M2に達する開口部26を形成する。
【0090】
次に、開口部26の底部に露出した第2層配線M2上、開口部26の側壁、および第2層間絶縁膜25上に、例えばTiN膜からなるバリア導体膜を、スパッタ法により成膜する。そして、成膜されたバリア導体膜上に、開口部26を埋め込むように、例えばW膜からなる主導体膜をCVD法により成膜する。その後、主導体膜およびバリア導体膜のうち開口部26内以外の部分、すなわち、第2層間絶縁膜25上の主導体膜およびバリア導体膜をCMP法により研磨して除去し、開口部26内にプラグ27を形成する。
【0091】
なお、第1層配線M1の主導体膜12および第2層配線M2の主導体膜22として、Al合金膜からなる導体膜をスパッタ法により形成することに代え、例えばAl膜からなる導体膜またはCu膜からなる導体膜をダマシン法により形成することができる。
【0092】
次に、
図5に示すように、下部電極BE1(
図10参照)および第3層配線M3(
図10参照)となる積層膜34を成膜する(ステップS12)。このステップS12では、プラグ27上および第2層間絶縁膜25上に、下から順に、バリア導体膜31、主導体膜32およびバリア導体膜33からなる積層膜34を成膜する。
【0093】
図3に示したように、バリア導体膜31として、下から順に、Tiを含む膜31a、TiおよびNを含む膜31bを成膜することができる。具体的には、バリア導体膜31として、例えば10nmの膜厚を有するTi膜からなる膜31aを、窒素を含まない雰囲気でスパッタ法により成膜した後、例えば30nmの膜厚を有するTiN膜からなる膜31bを、スパッタ法により成膜することができる。主導体膜32として、Alを含む膜を成膜することができ、具体的には、例えば600nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜を、スパッタ法により成膜することができる。バリア導体膜33として、下から順に、Tiを含む膜33a、TiおよびNを含む膜33bを成膜することができる。具体的には、バリア導体膜33として、例えば10nmの膜厚を有するTi膜からなる膜33aを、窒素を含まない雰囲気でスパッタ法により成膜した後、例えば60nmの膜厚を有するTiN膜からなる膜33bを、スパッタ法により成膜することができる。
【0094】
なお、窒素を含まない雰囲気でスパッタ法により成膜するとは、スパッタ法により成膜する際に、スパッタ装置の成膜室の内部を真空排気した後、成膜室の内部に窒素ガスまたは窒素を含むガスを供給しない状態で、成膜することを意味する。
【0095】
なお、前述したように、バリア導体膜31の膜厚については、積層膜34からなる下部電極BE1(
図10参照)および第3層配線M3(
図10参照)の電気抵抗を低減する観点から決定される。または、バリア導体膜31の膜厚については、積層膜34により形成される下部電極BE1および第3層配線M3においてエレクトロマイグレーション等に対する信頼性を確保する観点等から決定される。このうち、バリア導体膜31として、Ti膜およびTiN膜からなる積層膜を用いる場合には、バリア導体膜31の全体としての膜厚は、好適には、20〜100nm程度の範囲内である。また、バリア導体膜31として、Ta、MoもしくはW、または、Ta、MoもしくはWの窒化物を主成分とする導体膜を用いることができる。
【0096】
一方、前述したように、主導体膜32の膜厚については、積層膜34からなる下部電極BE1により形成されるMIMキャパシタMC1(
図10参照)の高周波特性を向上させるために積層膜34の電気抵抗を低減する観点から決定される。または、主導体膜32の膜厚については、積層膜34からなる第3層配線M3の電気抵抗を低減する観点等から決定される。前述したように、主導体膜32の膜厚は、好適には、100〜3000nmの範囲内である。また、前述したように、主導体膜32の膜厚は、さらに好適には、200〜1200nmの範囲内である。これにより、下部電極BE1および第3層配線M3の電気抵抗を容易に低減しつつ、下部電極BE1の上面における表面粗さRMSをも容易に低減することができる。
【0097】
さらに、前述したように、バリア導体膜33として、Ta、MoもしくはW、または、Ta、MoもしくはWの窒化物を主成分とする導体膜を用いることができる。これにより、バリア導体膜33におけるクラックの発生を防止または抑制することができる。
【0098】
次に、
図6に示すように、容量膜CIF1(
図10参照)となる絶縁膜38および導体膜PF1(
図8参照)となる導体膜39を成膜する(ステップS13)。このステップS13では、バリア導体膜31、主導体膜32およびバリア導体膜33からなる積層膜34上に、容量膜CIF1となる絶縁膜38、および、導体膜PF1となる導体膜39を成膜する。
【0099】
まず、バリア導体膜33上に、例えばSiO
2膜、SiN膜またはSiON膜などの各種の絶縁膜からなる絶縁膜38を、プラズマCVD法により成膜する。また、絶縁膜38の膜厚FT1(
図3参照)は、MIMキャパシタMC1(
図10参照)の容量に応じて決定される。
【0100】
次に、絶縁膜38上に、例えば80nmの膜厚を有するTiN膜からなる導体膜39を、スパッタ法により成膜する。導体膜39は、MIMキャパシタMC1の上部電極の一部として形成されるものであるが、絶縁膜38と接触する部分であり、その後の工程、例えばレジストを除去する工程において、絶縁膜38の上面を保護する保護膜としても形成されるものである。導体膜39として、TiN膜に代え、Ti膜、TaN膜またはAl膜等の導体膜を形成することができ、これらの導体膜を形成した場合にも、導体膜39が上部電極の一部となるとともに、絶縁膜38の上面を保護することができる。
【0101】
このとき、導体膜39を、積層膜34よりも上層に形成することになる。これにより、導体膜39からなる導体膜PF1(
図10参照)と、積層膜34からなる第3層配線M3(
図10参照)とを異なる高さ位置に形成することができるので、配線レイアウトの自由度を向上させ、半導体装置の面積を小さくすることができる。
【0102】
本実施の形態1の半導体装置の製造工程では、ステップS13において成膜される絶縁膜38の膜厚FT1(
図3参照)に対し、ステップS12において成膜される積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率が、14%以下である。これにより、
図22を用いて後述するように、良品率が90%以上となる製品を製造することができる。
【0103】
また、好適には、本実施の形態1の半導体装置の製造工程では、ステップS12において、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜からなる主導体膜32の成膜速度が、1000nm/分以上である。このとき、
図23を用いて後述するように、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下となり、絶縁膜38の膜厚FT1に対する、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0104】
さらに好適には、本実施の形態1の半導体装置の製造工程では、ステップS12において成膜される主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値が、200cps/nm以上である。このとき、
図23を用いて後述するように、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下となり、絶縁膜38の膜厚FT1に対する、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0105】
次に、
図7に示すように、レジストマスクRM1を形成する(ステップS14)。このステップS14では、フォトリソグラフィ技術を用い、導体膜39上に塗布したフォトレジスト膜を露光し、現像することで、導体膜39のうち導体膜PF1(
図8参照)となる部分が覆われるように、フォトレジスト膜を残す。すなわち、フォトレジスト膜のうち、導体膜PF1が形成される領域における部分を残し、レジストマスクRM1を形成する。
【0106】
次に、
図8に示すように、導体膜PF1を形成する(ステップS15)。このステップS15では、レジストマスクRM1をマスクとしてドライエッチング技術を用い、導体膜39をパターニングすなわち加工した後、レジストマスクRM1を除去する。これにより、導体膜39からなる導体膜PF1が形成される。
【0107】
次に、
図9に示すように、レジストマスクRM2を形成する(ステップS16)。このステップS16では、フォトリソグラフィ技術を用い、導体膜PF1上および絶縁膜38上に塗布したフォトレジスト膜を露光し、現像することで、積層膜34のうち下部電極BE1および第3層配線M3となる部分が覆われるように、フォトレジスト膜を残す。すなわち、フォトレジスト膜のうち、下部電極BE1および第3層配線M3が形成される領域における部分を残し、レジストマスクRM2を形成する。
【0108】
次に、
図10に示すように、容量膜CIF1、下部電極BE1および第3層配線M3を形成する(ステップS17)。このステップS17では、レジストマスクRM2をマスクとしてドライエッチング技術を用い、絶縁膜38、バリア導体膜33、主導体膜32およびバリア導体膜31をパターニングすなわち加工した後、レジストマスクRM2を除去する。
【0109】
これにより、上部電極の一部となる導体膜PF1の下に配置され、絶縁膜38からなる容量膜CIF1と、容量膜CIF1の下に配置され、積層膜34からなる下部電極BE1とが形成される。すなわち、第2層間絶縁膜25上に下部電極BE1が形成され、下部電極BE1上に容量膜CIF1が形成され、容量膜CIF1上に導体膜PF1が形成される。このとき、下部電極BE1と容量膜CIF1と導体膜PF1とにより、容量素子としてのMIMキャパシタMC1が形成される。
【0110】
また、積層膜34からなる第3層配線M3が、下部電極BE1から離れて形成される。すなわち、平面視において、下部電極BE1が形成される領域と異なる領域において、積層膜34からなる第3層配線M3が形成される。なお、
図10に示すように、第3層配線M3上に、絶縁膜38を残してもよい。
【0111】
次に、
図11に示すように、第3層間絶縁膜35を形成する(ステップS18)。このステップS18では、下部電極BE1上、容量膜CIF1上、導体膜PF1上および第3層配線M3上に、例えば1300nmの膜厚を有するSiO
2膜を、プラズマCVD法により成膜した後、CMP法により研磨して平坦化し、第3層間絶縁膜35を形成する。
【0112】
次に、
図12に示すように、開口部36a、36b、36cを形成する(ステップS19)。このステップS19では、第3層間絶縁膜35を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすなわち加工し、第3層間絶縁膜35を貫通して導体膜PF1に達する開口部36aを形成する。また、ステップS19では、第3層間絶縁膜35および容量膜CIF1を貫通して下部電極BE1に達する開口部36bを形成する。さらに、ステップS19では、第3層間絶縁膜35を貫通して第3層配線M3に達する開口部36cを形成する。
【0113】
次に、
図13に示すように、プラグ37a、37b、37cを形成する(ステップS20)。このステップS20では、開口部36aに露出した導体膜PF1上、開口部36bに露出した下部電極BE1上、開口部36cに露出した第3層配線M3上、開口部36a、36b、36cの側壁、および第3層間絶縁膜35上に、例えばTiN膜からなるバリア導体膜をスパッタ法により成膜する。そして、成膜されたバリア導体膜上に、開口部36a、36b、36cを埋め込むように、例えばW膜からなる主導体膜をCVD法により成膜する。その後、主導体膜およびバリア導体膜のうち開口部36a、36b、36c内以外の部分、すなわち、第3層間絶縁膜35上の主導体膜およびバリア導体膜をCMP法により研磨して除去する。
【0114】
これにより、開口部36a内に、開口部36aを埋め込み、導体膜PF1と電気的に接続されたプラグ37aを形成する。また、開口部36b内に、開口部36bを埋め込み、下部電極BE1と電気的に接続されたプラグ37bを形成し、開口部36c内に、開口部36cを埋め込み、第3層配線M3と電気的に接続されたプラグ37cを形成する。
【0115】
次に、
図14に示すように、上部電極TE1(
図1参照)および第4層配線M4(
図1参照)となる積層膜44を成膜する(ステップS21)。このステップS21では、プラグ37a、37b、37c上および第3層間絶縁膜35上に、下から順に、バリア導体膜41、主導体膜42およびバリア導体膜43からなる積層膜44を成膜する。
【0116】
バリア導体膜41として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜を成膜することができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば30nmの膜厚を有するTiN膜を、スパッタ法により成膜することができる。主導体膜42として、Alを含む膜を成膜することができ、具体的には、例えば600nmの膜厚を有し、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜を、スパッタ法により成膜することができる。バリア導体膜43として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜を成膜することができ、具体的には、下から順に、例えば10nmの膜厚を有するTi膜、例えば20nmの膜厚を有するTiN膜を、スパッタ法により成膜することができる。
【0117】
次に、
図15に示すように、レジストマスクRM3を形成する(ステップS22)。このステップS22では、フォトリソグラフィ技術を用い、積層膜44上に塗布したフォトレジスト膜を露光し、現像することで、フォトレジスト膜のうち、上部電極TE1および第4層配線M4が形成される領域における部分を残し、レジストマスクRM3を形成する。
【0118】
その後、レジストマスクRM3をマスクとしてドライエッチング技術を用い、バリア導体膜43、主導体膜42およびバリア導体膜41をパターニングすなわち加工した後、レジストマスクRM3を除去する。これにより、積層膜44からなり、プラグ37aと電気的に接続された上部電極TE1が形成され、積層膜44からなり、プラグ37b、37cと電気的に接続された第4層配線M4が形成される。ここまでの工程により、
図1に示した半導体装置が製造される。
【0119】
さらに、
図16に示すように、半導体装置内において、互いに異なる複数の層にそれぞれMIMキャパシタを形成してもよい。
【0120】
例えば、ステップS21の工程を行った後、積層膜44上に、容量膜CIF2となる絶縁膜および導体膜PF2となる導体膜を成膜する。そして、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、導体膜PF2、容量膜CIF2、ならびに、積層膜44からなる第4層配線M4および下部電極BE2を形成する。このとき、下部電極BE2と容量膜CIF2と導体膜PF2とにより、容量素子としてのMIMキャパシタMC2が形成される。
【0121】
次に、第4層間絶縁膜45を形成する。そして、第4層間絶縁膜45を貫通して導体膜PF2に達する開口部46aを形成し、第4層間絶縁膜45および容量膜CIF2を貫通して下部電極BE2に達する開口部46bを形成し、第4層間絶縁膜45を貫通して第4層配線M4に達する開口部46cを形成する。次に、開口部46a、46b、46cに、それぞれプラグ47a、47b、47cを形成する。その後、プラグ47a上、プラグ47b上、プラグ47c上および第4層間絶縁膜45上に、バリア導体膜51、主導体膜52およびバリア導体膜53が積層された積層膜54からなる第5層配線M5を形成する。ここまでの工程により、
図16に示すように、2つのMIMキャパシタMC1、MC2を備えた半導体装置が製造される。
【0122】
<表面粗さと欠陥密度について>
次に、比較例を参照し、下部電極BE1となる積層膜34の上面34aにおける表面粗さと欠陥密度との関係について説明する。比較例としては、前述した半導体装置の製造工程のステップS13において成膜される絶縁膜38の膜厚FT1に対し、ステップS12において成膜される積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率が、14%を超える場合を、比較例1と称して説明する。
【0123】
なお、以下では、積層膜34の上面34aにおける表面粗さを、単に、積層膜34の表面粗さとも称する。
【0124】
図17は、比較例1において、下部電極となる積層膜の上面における表面粗さに対する主導体膜の膜厚依存性を示すグラフである。
図18は、積分散乱計による表面粗さの測定方法を説明するための図である。
【0125】
比較例1においても、実施の形態1と同様に、積層膜34は、
図3に示したように、下から順に、Ti膜からなる膜31a、TiN膜からなる膜31b、Al膜からなる主導体膜32、Ti膜からなる膜33a、TiN膜からなる膜33bが積層されたものである。膜31a、膜31b、主導体膜32、膜33aおよび膜33bは、それぞれスパッタ法により成膜されたものである。そして、比較例1では、主導体膜32の膜厚を変更しながら、それぞれの膜厚を有する半導体装置を製造した。また、比較例1において、絶縁膜38は、プラズマCVD法により成膜されたSiO
2膜からなる。
【0126】
表面粗さとは、前述したように、二乗平均粗さとしての表面粗さRMSである。ここでは、表面粗さRMSとして、積分散乱計により測定した測定値を用いた。
図18に示すように、積分散乱計は、被測定試料である半導体基板SB上に形成された下部電極BE1の表面にレーザ光61を照射し、照射されたレーザ光61が正反射された正反射光62と異なる方向に散乱された散乱光63の強度を検出器64により検出するものである。検出器64は、例えばレーザ光61が照射される位置を中心として回転可能に設けられており、検出器64の回転角度を変更しながら検出器64により散乱光63の強度を測定することで、散乱光63の強度の回転角度依存性のデータを取得する。そして、取得したデータを解析することで、表面粗さを測定することができる。
【0127】
なお、前述したように、半導体装置が製造された後においても、容量膜CIF1など、下部電極BE1よりも上方の部分を除去して下部電極BE1の上面34aが露出された試料を作製することができる。そして、作製された試料について、露出した下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さを、例えば積分散乱計を用いて測定することができる。あるいは、下部電極BE1と容量膜CIF1との界面を含む断面が観察可能な断面観察用試料を、例えばFIB加工により作製することができる。そして、作製された断面観察用試料について、下部電極BE1と容量膜CIF1との界面を、例えばSEMにより観察することで、下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さを測定することができる。
【0128】
また、表面粗さとして、積分散乱計に代え、例えばAFM(Atomic Force Microscope)など、各種の測定装置により測定した測定値を用いることができる。
【0129】
図17に示すように、比較例1において、主導体膜32の膜厚が400nm以上の範囲では、主導体膜32の膜厚の増加に伴って、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが増大し、積層膜34の表面の平坦性が低下することが分かった。また、
図17中の破線は、測定点を最小二乗法により線形近似して求めたものであるが、破線と測定点とが近接しているため、主導体膜32の膜厚に対して、積層膜34の上面34aにおける表面粗さが線形に増大することが分かった。
【0130】
なお、積層膜34の上面34aは、バリア導体膜33の上面であるが、主導体膜32の膜厚に比べ、バリア導体膜33の膜厚が小さいため、バリア導体膜33の上面における表面粗さは、主導体膜32の上面における表面粗さに略等しいものと考えられる。すなわち、積層膜34の上面34aにおける表面粗さは、主導体膜32の上面における表面粗さに略等しいものと考えられる。
【0131】
図19は、比較例1における、MIMキャパシタの耐圧値の累積度数分布を示すグラフである。
【0132】
図19は、比較例1の半導体装置のうち、Al膜からなる主導体膜32の膜厚が400nm、600nmおよび700nmである場合において、半導体基板SBの面内に形成された多数のMIMキャパシタMC1について、耐圧値の測定を行い、測定された耐圧値の累積度数分布を示したものである。前述したように、耐圧値とは、急激にリーク電流が増大する電圧値である。
図19では、横軸に耐圧値をプロットし、縦軸に耐圧欠陥密度をプロットしている。例えば耐圧値が5Vのときに耐圧欠陥密度が10個/cm
2であるとは、MIMキャパシタMC1のうち耐圧値が5V以下であるものが、1cm
2当たりに10個あることを意味する。
【0133】
図19に示すように、比較例1では、主導体膜32の膜厚の増加に伴って、MIMキャパシタMC1の耐圧値が低下し、MIMキャパシタMC1の耐圧値のばらつきが増大する。これは、主導体膜32の膜厚の増加に伴って、主導体膜32の上面における表面粗さが増大し、主導体膜32の表面の平坦性が低下して、下部電極BE1と導体膜PF1との間でリーク電流が流れやすくなるためと考えられる。つまり、主導体膜32の膜厚の増加に伴って、積層膜34の上面34aにおける表面粗さが増大し、積層膜34の表面の平坦性が低下することで、MIMキャパシタMC1の耐圧値が低下し、MIMキャパシタMC1の耐圧値のばらつきが増大するものと考えられる。
【0134】
上記特許文献1記載の半導体装置では、MIMキャパシタの下部電極として、下から順に、第1のバリア層、第1のアルミニウム層、第2のバリア層が積層され、第1のアルミニウム層の表面粗さが所定値未満である。上記特許文献1記載の半導体装置では、第1のアルミニウム層での表面の平坦性が向上すると、MIMキャパシタの耐圧のばらつきが抑制される。したがって、上記特許文献1記載の半導体装置では、MIMキャパシタの耐圧のばらつきを抑制するために、第1のアルミニウム層の表面粗さを所定値よりも小さくする。また、上記特許文献1記載の半導体装置では、第1のバリア層の成膜方法を変更することで、第1のバリア層上に成膜され、150nmの膜厚を有する第1のアルミニウム層についてAFMにより測定した表面粗さが変化する。
【0135】
主導体膜32の電気抵抗を低減するためには、主導体膜32の膜厚を厚くすることが好ましい。しかし、
図17および
図19に示したように、主導体膜32の膜厚が厚くなると、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが増大し、積層膜34の表面の平坦性が低下することで、MIMキャパシタMC1の耐圧値が低下し、耐圧値のばらつきが増大することが分かった。したがって、MIMキャパシタの耐圧値を増加させ、耐圧値のばらつきを抑制するためには、MIMキャパシタの耐圧値に対する主導体膜の膜厚依存性を考慮する必要がある。
【0136】
しかし、上記特許文献1記載の半導体装置では、MIMキャパシタの耐圧値に対する第1のアルミニウム層の膜厚の依存性が考慮されていない。そのため、上記特許文献1記載の半導体装置では、主導体膜の膜厚が厚くなると、MIMキャパシタの耐圧値の低下を抑制し、耐圧値のばらつきを抑制することができず、半導体装置の性能を向上させることができない。例えば主導体膜の膜厚が400nm以上の範囲では、MIMキャパシタの耐圧値の低下を抑制し、耐圧値のばらつきを抑制することができず、半導体装置の性能を向上させることができない。
【0137】
一方、上記特許文献2記載のMIMキャパシタでは、下から順に、TiN膜、Ti膜、下部金属膜、誘電体膜および上部金属膜が形成され、下部金属膜の表面が粗面化されている。上記特許文献2記載のMIMキャパシタでは、下部金属膜の表面を粗面化することで、MIMキャパシタの容量を増加させる。
【0138】
しかし、上記特許文献2記載のMIMキャパシタは、MIMキャパシタの容量を増加させることはできるものの、主導体膜の膜厚が厚くなると、MIMキャパシタの耐圧値の低下を抑制し、耐圧値のばらつきを抑制することができず、半導体装置の性能を向上させることができない。また、上記特許文献2記載のMIMキャパシタでは、下部金属膜の表面が粗面化されている。そのため、容量膜となる絶縁膜を成膜する際に、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法など、段差被覆性に優れた成膜方法を用いる必要があり、製造コストが増大するおそれがある。
【0139】
さらに、上記特許文献3記載の半導体装置の製造工程では、MIMキャパシタの下部電極となる導体膜を形成した後、導体膜の形成温度より高い温度で熱処理を行い、導体膜に含まれるAl結晶粒を再配向させる。
【0140】
しかし、上記特許文献3記載の半導体装置の製造工程は、容量膜に加わる局所的なストレスを低減することはできるものの、主導体膜の膜厚が厚くなると、耐圧値の低下を抑制し、耐圧値のばらつきを抑制することができず、半導体装置の性能を向上させることができない。
【0141】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
一方、本実施の形態1では、容量膜CIF1となる絶縁膜38の膜厚FT1に対する、下部電極BE1となる積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率が、14%以下である。
【0142】
ここで、本実施の形態1についての実施例を参照し、積層膜34の上面34aにおける表面粗さと欠陥密度との関係について説明する。実施例としては、前述した半導体装置の製造工程のステップS13において成膜される絶縁膜38の膜厚FT1に対し、ステップS12において成膜される積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率が、14%以下である場合を、実施例1と称して説明する。
【0143】
図20は、実施例1において、下部電極となる積層膜の上面における表面粗さに対する主導体膜の膜厚依存性を、比較例1における膜厚依存性とともに示すグラフである。
【0144】
実施例1において、積層膜34は、
図3に示したように、下から順に、Ti膜からなる膜31a、TiN膜からなる膜31b、Al膜からなる主導体膜32、Ti膜からなる膜33a、TiN膜からなる膜33bが積層されたものである。膜31a、膜31b、主導体膜32、膜33aおよび膜33bは、それぞれスパッタ法により成膜されたものである。そして、実施例1では、主導体膜32の膜厚を変更しながら、それぞれの膜厚を有する半導体装置を製造した。また、実施例1において、絶縁膜38は、プラズマCVD法により成膜されたSiO
2膜からなる。
【0145】
図20に示すように、実施例1においても、比較例1と同様に、主導体膜32の膜厚が400nm以上の範囲では、主導体膜32の膜厚の増加に伴って、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが増大し、積層膜34の表面の平坦性が低下する。また、
図20中の実線は、測定値を最小二乗法により線形近似して求めたものであるが、実線と測定値とが近接しているため、実施例1についても、比較例1と同様に、主導体膜32の膜厚に対して、積層膜34の上面34aにおける表面粗さが線形に増大する。
【0146】
しかし、
図20に示すように、主導体膜32の膜厚が等しい場合、実施例1では、比較例1に比べ、積層膜34の表面粗さが低減されることが確認された。具体的には、実施例1において、400nmおよび600nmのいずれの膜厚を有する主導体膜32を備えた積層膜34の表面粗さも、比較例1において、400nmの膜厚を有する主導体膜32を備えた積層膜34の表面粗さ、すなわち25Å程度の表面粗さよりも著しく低減されることが確認された。つまり、実施例1では、比較例1に比べ、主導体膜32の膜厚が厚くなっても、積層膜34の表面粗さが低減されることが確認された。
【0147】
図21は、実施例1における、MIMキャパシタの耐圧値の累積度数分布を、比較例1における耐圧値の累積度数分布とともに示すグラフである。
【0148】
図21は、実施例1の半導体装置のうち、Al膜からなる主導体膜32の膜厚が600nmである場合において、半導体基板SBの面内に形成された多数のMIMキャパシタMC1について、耐圧値の測定を行い、測定された耐圧値の累積度数分布を示したものである。また、
図21では、比較例1の半導体装置のうち、主導体膜32の膜厚が600nmである場合について、測定された耐圧値の累積度数分布を示している。
【0149】
図21に示すように、実施例1では、比較例1に比べ、MIMキャパシタMC1の耐圧値が著しく増大し、かつ、MIMキャパシタMC1の耐圧値のばらつきが抑制されることが確認された。これは、実施例1では、比較例1に比べ、主導体膜32の上面における表面粗さが低減され、主導体膜32の表面の平坦性が向上して、下部電極BE1と導体膜PF1との間でリーク電流が流れにくくなるためと考えられる。つまり、実施例1では、比較例1に比べ、積層膜34の上面34aにおける表面粗さが低減され、積層膜34の表面の平坦性が向上することで、MIMキャパシタMC1の耐圧値が増加し、MIMキャパシタMC1の耐圧値のばらつきが抑制されるものと考えられる。
【0150】
図22は、容量膜となる絶縁膜の膜厚に対する、下部電極となる積層膜の表面粗さの比率と、MIMキャパシタの良品率との関係を示すグラフである。なお、MIMキャパシタの良品率とは、半導体基板の面内に形成された多数のMIMキャパシタのうち、耐圧値が最大となるMIMキャパシタの耐圧値、すなわち最大耐圧値の85%以上の耐圧値を有するMIMキャパシタの比率を意味する。また、絶縁膜38の膜厚FT1(
図3参照)に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%以下のものは、実施例1の半導体装置に相当し、絶縁膜38の膜厚FT1に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%を超えるものは、比較例1の半導体装置に相当する。さらに、
図22においては、測定値と測定値との間が直線により繋がれている。
【0151】
図22に示すように、絶縁膜38の膜厚FT1に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%を超える場合、すなわち比較例1の半導体装置では、MIMキャパシタの良品率は、90%未満である。一方、絶縁膜38の膜厚FT1に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%以下の場合、すなわち実施例1の半導体装置では、MIMキャパシタの良品率は、90%以上である。換言すれば、実施例1では、絶縁膜38の膜厚FT1に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%以下であることにより、MIMキャパシタの良品率を90%以上にすることができる。これは、
図20および
図21に示したように、実施例1では、比較例1に比べ、積層膜34の表面粗さを低減することができ、MIMキャパシタの耐圧値を増加させ、耐圧値のばらつきを抑制することができるためである。
【0152】
すなわち、本実施の形態1では、絶縁膜38の膜厚FT1に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%以下であることにより、下部電極BE1の表面粗さを低減することができ、MIMキャパシタの耐圧値の低下を抑制し、耐圧値のばらつきを抑制することができる。その結果、MIMキャパシタの良品率を90%以上にすることができる。
【0153】
次に、このような絶縁膜38の膜厚FT1に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%以下になるための、主導体膜32の好適な成膜条件について説明する。
【0154】
図23は、主導体膜の成膜速度と、下部電極となる積層膜の表面粗さ、および、主導体膜における(111)面のX線回折強度との関係を示すグラフである。
図23では、横軸はAl膜からなる主導体膜32の成膜速度を表し、左側の縦軸は積層膜34の上面34aにおける二乗平均の表面粗さRMSを表し、右側の縦軸はAl膜からなる主導体膜32におけるAl(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値を表している。
図23においては、測定値と測定値との間が直線により繋がれている。
【0155】
図23に示すように、主導体膜32の成膜速度の増加に伴って、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSは低減され、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値は増加する。すなわち、Al膜からなる主導体膜32の成膜速度の増加に伴って、積層膜34の上面34aにおける平坦性が向上し、Al膜からなる主導体膜32の(111)配向性が向上する。
【0156】
スパッタ法によりAl膜を成膜する際に、Al膜の成膜速度を増加させるためには、供給される電力を増加させる、ターゲットと半導体基板との間の距離を短縮する、半導体基板の温度を調整する、など各種の成膜条件を調整する方法が考えられる。
【0157】
このうち、供給される電力を増加させる場合には、電力の増加に伴って、半導体基板に供給される原子の供給速度が増加するため、Al膜の成膜速度が増加するものと考えられる。また、電力の増加に伴って、半導体基板に供給される原子が有するエネルギーが増加するため、半導体基板の表面に到達した原子がエネルギー的に安定な位置まで移動しやすくなって、Al膜の(111)配向性が向上するものと考えられる。また、Alが面心立方格子の結晶構造を有し、Al(111)面が、面内で原子が最も緻密に詰まった面、すなわち最密充填面であることから、Al膜が(111)配向するときには、平坦性が向上しやすい。そのため、Al膜の(111)配向性の向上に伴って、Al膜の表面の平坦性が向上する。
【0158】
図20に示した結果から、実施例1の半導体装置における積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSは、比較例1の半導体装置における積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSのうち最小値である25Å以下の範囲にある。また、
図23に示した結果から、積層膜34の上面34aにおける表面粗さが25Å以下になるのは、Al膜からなる主導体膜32の成膜速度が1000nm/分以上である場合である。つまり、Al膜からなる主導体膜32の成膜速度が1000nm/分以上であるときに、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下となり、絶縁膜38の膜厚FT1(
図3参照)に対する、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0159】
したがって、本実施の形態1では、好適には、主導体膜32の成膜速度は、1000nm/分以上である。これにより、主導体膜32の膜厚が厚くなっても、主導体膜32の(111)配向性を向上させることで、積層膜34からなる下部電極BE1の表面粗さを低減することができ、耐圧値の低下をさらに抑制し、耐圧値のばらつきをさらに抑制することができる。
【0160】
また、
図23に示した結果から、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下になるのは、Al膜からなる主導体膜32におけるAl(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値が200cps/nm以上の場合である。つまり、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値が200cps/nm以上であるときに、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下となる。その結果、絶縁膜38の膜厚FT1に対する、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0161】
したがって、本実施の形態1では、好適には、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚FT1で除した値は、200cps/nm以上である。これにより、主導体膜32の膜厚が厚くなっても、主導体膜32の(111)配向性を向上させることで、積層膜34からなる下部電極BE1の表面粗さを低減することができ、耐圧値の低下をさらに抑制し、耐圧値のばらつきをさらに抑制することができる。
【0162】
なお、
図23に示すX線回折強度は、X線回折装置において、X線源に印加する電圧を50kVとし、X線源に流れる電流を300mAとすることにより、X線源に供給される電力を1.5kWとしたときに、測定された値である。すなわち、好適には、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚FT1で除した値は、X線回折装置のX線源に供給される電力を1.5kWとしたときに、200cps/nm以上である。
【0163】
また、主導体膜32の成膜速度が1000nm/分であるときに、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚FT1で除した値は、200cps/nmである。一方、主導体膜32の成膜速度が700nm/分であるときに、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚FT1で除した値は、170cps/nmである。したがって、好適には、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚FT1で除した値は、主導体膜32の成膜速度が700nm/分であるときに、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚FT1で除した値の、200/170=1.18倍以上である。
【0164】
さらに、
図23に示すX線回折強度は、半導体基板上にX線が照射される面積を5mm×15mm=75mm
2としたときに、測定された値である。
【0165】
なお、前述したように、スパッタ法による主導体膜32の成膜速度を増加させるためには、供給される電力を増加させる方法以外にも、ターゲットと半導体基板との間の距離を短縮する、半導体基板の温度を調整する、など各種の成膜条件を調整する方法が考えられる。このような各種の成膜条件を調整することでも、絶縁膜38の膜厚FT1に対する、積層膜34の上面34aにおける表面粗さの比率を14%以下にすることができ、積層膜34からなる下部電極BE1の表面粗さを低減し、耐圧値の低下を抑制し、耐圧値のばらつきを抑制することができる。
【0166】
さらに、本実施の形態1では、下部電極BE1となる積層膜34の表面が粗面化されていない。そのため、容量膜CIF1となる絶縁膜38を成膜する際に、例えばALD法など、段差被覆性に優れた成膜方法を用いる必要がなく、製造コストが増大することを防止または抑制することができる。
【0167】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の半導体装置について説明する。本実施の形態2の半導体装置は、下部電極を覆うように形成された層間絶縁膜に開口部を形成し、開口部に露出する下部電極上に、容量膜および導体膜が形成されたものである。
【0168】
<半導体装置の構成>
図24は、実施の形態2の半導体装置の要部断面図である。
【0169】
図24に示すように、本実施の形態2の半導体装置は、半導体基板SB上に形成された第1層配線M1、第2層配線M2、第3層配線M3および第4層配線M4を有する。また、本実施の形態2の半導体装置は、下部電極BE1、容量膜CIF1および上部電極TE1からなり、容量素子としてのMIMキャパシタMC1を有する。半導体基板SBは、例えばシリコン単結晶基板からなる。
【0170】
図24では、半導体基板SBに形成されたトランジスタなどの半導体素子が図示されていない。しかし、実施の形態1で
図2を用いて説明したように、半導体基板SBには、半導体素子として、例えばnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpが形成されていてもよい。
【0171】
また、本実施の形態2の半導体装置のうち、下部電極BE1の上方の部分以外の各部分については、実施の形態1の半導体装置における各部分と同一である。そのため、第1層配線M1から第2層間絶縁膜25までの部分については、その説明を省略する。
【0172】
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、プラグ27が埋め込まれた第2層間絶縁膜25上には、下部電極BE1および第3層配線M3が互いに離れて形成されている。下部電極BE1は、MIMキャパシタMC1の下部電極として用いられるものである。第3層配線M3は、プラグ27を介して、第2層配線M2と電気的に接続されている。
【0173】
なお、前述した
図3は、
図24の破線で囲まれた領域AR2、すなわち、
図24の下部電極BE1付近の部分を拡大して示す要部断面図でもある。
【0174】
下部電極BE1は、バリア導体膜31、主導体膜32およびバリア導体膜33が積層された導体膜としての積層膜34からなる。バリア導体膜31は、第2層間絶縁膜25上に形成されている。バリア導体膜31として、
図3に示すように、下から順に、Tiを含む膜31a、TiおよびNを含む膜31bが積層されたものとすることができる。主導体膜32は、バリア導体膜31上に形成されている。主導体膜32として、Alを含む膜からなるものとすることができる。バリア導体膜33は、主導体膜32上に形成されている。バリア導体膜33として、下から順に、Tiを含む膜33a、TiおよびNを含む膜33bが積層されたものとすることができる。バリア導体膜31およびバリア導体膜33は、主導体膜32中のAlなどの拡散を防止または抑制するためのものである。
【0175】
第3層配線M3は、平面視において、下部電極BE1が形成される領域と異なる領域に形成されており、下部電極BE1から離して形成されているが、下部電極BE1と同層の積層膜34からなるものとすることができる。すなわち、第3層配線M3は、下部電極BE1と同様に、バリア導体膜31、主導体膜32およびバリア導体膜33からなる導体膜としての積層膜34からなる。
【0176】
第3層配線M3は、下部電極BE1と同様に、プラグ27上および第2層間絶縁膜25上に、順次、Tiを含む膜31a、TiおよびNを含む膜31b、Alを含む膜からなる主導体膜32、Tiを含む膜33a、TiおよびNを含む膜33bが積層されたものとすることができる。そして、第3層配線M3のバリア導体膜31は、下部電極BE1のバリア導体膜31と同層の膜からなるものとすることができる。また、第3層配線M3の主導体膜32は、下部電極BE1の主導体膜32と同層の膜からなるものとすることができる。さらに、第3層配線M3のバリア導体膜33は、下部電極BE1のバリア導体膜33と同層の膜からなるものとすることができる。これにより、下部電極BE1と第3層配線M3とを、同一の工程により形成することができ、工程を簡略化することができる。
【0177】
なお、本実施の形態2の半導体装置におけるバリア導体膜31、膜31a、膜31bの膜厚および材料については、実施の形態1の半導体装置におけるバリア導体膜31、膜31a、膜31bの膜厚および材料と同様とすることができる。また、本実施の形態2の半導体装置における主導体膜32の膜厚および材料については、実施の形態1の半導体装置における主導体膜32の膜厚および材料と同様とすることができる。さらに、本実施の形態2の半導体装置におけるバリア導体膜33、膜33a、膜33bの膜厚および材料については、実施の形態1の半導体装置におけるバリア導体膜33、膜33a、膜33bの膜厚および材料と同様とすることができる。
【0178】
第2層間絶縁膜25上には、下部電極BE1および第3層配線M3を覆うように、第3層間絶縁膜35が形成されている。すなわち、下部電極BE1上および第3層配線M3上には、第3層間絶縁膜35が形成されている。
【0179】
第3層間絶縁膜35のうち下部電極BE1上の部分には、第3層間絶縁膜35を貫通して下部電極BE1に達する開口部36aが形成されている。開口部36aの底部に露出した下部電極BE1上、開口部36aの側壁、および第3層間絶縁膜35上には、容量膜CIF1が形成されている。容量膜CIF1は、絶縁膜38がパターニングすなわち加工されたものである。容量膜CIF1は、MIMキャパシタMC1の容量膜として用いられるものである。容量膜CIF1となる絶縁膜38として、実施の形態1と同様に、SiO
2膜、SiN膜またはSiON膜などの各種の絶縁膜を用いることができる。これにより、各種の成膜方法を用いて絶縁膜38を容易に形成することができる。また、容量膜CIF1の膜厚FT1(
図3参照)は、MIMキャパシタMC1の容量に応じて決定される。
【0180】
本実施の形態2の半導体装置でも、実施の形態1の半導体装置と同様に、容量膜CIF1の膜厚FT1に対し、下部電極BE1の上面34a(
図3参照)における二乗平均粗さとしての表面粗さRMSの比率が、14%以下である。これにより、実施の形態1において
図22を用いて前述したように、良品率が90%以上となる製品を製造することができる。
【0181】
なお、実施の形態1と同様に、半導体装置が製造された後においても、容量膜CIF1など、下部電極BE1よりも上方の部分を除去して下部電極BE1の上面34aが露出した試料を作製することができる。そして、作製された試料について、露出した下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さを、例えば積分散乱計を用いて測定することができる。あるいは、実施の形態1と同様に、下部電極BE1と容量膜CIF1との界面を含む断面が観察可能な断面観察用試料を、例えばFIB加工により作製することができる。そして、作製された断面観察用試料について、下部電極BE1と容量膜CIF1との界面を、例えばSEMにより観察することで、下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さを測定することができる。
【0182】
また、本実施の形態2の半導体装置でも、実施の形態1の半導体装置と同様に、主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値が、200cps/nm以上である。このとき、実施の形態1において
図23を用いて前述したように、下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下となり、容量膜CIF1の膜厚FT1に対する、下部電極BE1の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0183】
なお、実施の形態1と同様に、半導体装置が製造された後においても、容量膜CIF1など、下部電極BE1よりも上方の部分を除去して下部電極BE1の上面34aが露出した試料を作製し、主導体膜32における(111)面のX線回折強度をX線回折法により測定することができる。あるいは、下部電極BE1よりも上方の部分を除去しない場合であっても、X線の照射条件を調整することにより、主導体膜32における(111)面のX線回折強度をX線回折法により測定することができる。
【0184】
容量膜CIF1上には、導体膜PF1が形成されている。導体膜PF1は、導体膜39がパターニングすなわち加工されたものである。導体膜PF1は、MIMキャパシタMC1の上部電極の一部として用いられるものであるが、容量膜CIF1と接触する部分であり、容量膜CIF1の上面を保護する保護膜としても用いられるものである。導体膜PF1として、TiおよびNを含む導体膜を用いることができ、例えば80nmの膜厚を有するTiN膜を用いることができる。また、導体膜PF1として、TiN膜に代え、Ti膜、TaN膜またはAl膜等の導体膜を用いることができ、これらの導体膜を用いた場合にも、導体膜PF1は、上部電極の一部となるとともに、容量膜CIF1の上面を保護することができる。
【0185】
このように、下部電極BE1と容量膜CIF1と導体膜PF1とにより、容量素子としてのMIMキャパシタMC1が形成されている。
【0186】
第3層間絶縁膜35のうち下部電極BE1上の部分には、第3層間絶縁膜35を貫通して下部電極BE1に達する開口部36bが形成されている。開口部36b内には、開口部36bに露出した下部電極BE1上に、開口部36bを埋め込むように、導体膜からなるプラグ37bが形成されている。プラグ37bは、下部電極BE1と電気的に接続されている。
【0187】
第3層間絶縁膜35のうち第3層配線M3上の部分には、第3層間絶縁膜35を貫通して第3層配線M3に達する開口部36cが形成されている。開口部36c内には、開口部36cに露出した第3層配線M3上に、開口部36cを埋め込むように、導体膜からなるプラグ37cが形成されている。プラグ37cは、第3層配線M3と電気的に接続されている。
【0188】
導体膜PF1上には、上部電極TE1が形成されている。上部電極TE1は、導体膜PF1と電気的に接続されており、導体膜PF1とともにMIMキャパシタMC1の上部電極として用いられるものである。
【0189】
上部電極TE1は、バリア導体膜41、主導体膜42およびバリア導体膜43が積層された導体膜としての積層膜44からなる。バリア導体膜41は、導体膜PF1上に形成されている。バリア導体膜41として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができる。主導体膜42は、バリア導体膜41上に形成されている。主導体膜42として、Alを含む膜からなるものとすることができる。バリア導体膜43は、主導体膜42上に形成されている。バリア導体膜43として、下から順に、Tiを含む膜、TiおよびNを含む膜が積層されたものとすることができる。バリア導体膜41およびバリア導体膜43は、主導体膜42中のAlなどの拡散を防止または抑制するためのものである。
【0190】
また、プラグ37b、37cが埋め込まれた第3層間絶縁膜35上には、第4層配線M4が形成されている。第4層配線M4は、プラグ37bを介して、下部電極BE1と電気的に接続されており、プラグ37cを介して、第3層配線M3と電気的に接続されている。
【0191】
第4層配線M4は、平面視において、上部電極TE1が形成される領域と異なる領域に形成されており、上部電極TE1から離して形成されているが、上部電極TE1と同層の積層膜44からなるものとすることができる。すなわち、第4層配線M4は、上部電極TE1と同様に、バリア導体膜41、主導体膜42およびバリア導体膜43からなる導体膜としての積層膜44からなる。
【0192】
第4層配線M4のバリア導体膜41は、上部電極TE1のバリア導体膜41と同層の膜からなり、第4層配線M4の主導体膜42は、上部電極TE1の主導体膜42と同層の膜からなり、第4層配線M4のバリア導体膜43は、上部電極TE1のバリア導体膜43と同層の膜からなる。これにより、上部電極TE1と第4層配線M4とを、同一の工程により形成することができ、工程を簡略化することができる。
【0193】
なお、本実施の形態2の半導体装置におけるバリア導体膜41の膜厚および材料については、実施の形態1の半導体装置におけるバリア導体膜41の膜厚および材料と同様とすることができる。また、本実施の形態2の半導体装置における主導体膜42の膜厚および材料については、実施の形態1の半導体装置における主導体膜42の膜厚および材料と同様とすることができる。さらに、本実施の形態2の半導体装置におけるバリア導体膜43の膜厚および材料については、実施の形態1の半導体装置におけるバリア導体膜43の膜厚および材料と同様とすることができる。
【0194】
<半導体装置の製造工程>
次に、本実施の形態2の半導体装置の製造工程について、図面を参照して説明する。
図25〜
図37は、実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0195】
なお、
図25〜
図37では、
図24と同様に、半導体基板に形成されたトランジスタなどの半導体素子の図示を省略する。また、半導体素子を形成する工程は、公知の方法により行うことができるので、ここではその説明を省略する。
【0196】
まず、
図25に示すように、半導体基板SBを準備する(ステップS31)。このステップS31の工程は、実施の形態1におけるステップS11の工程と同様の工程とすることができる。
【0197】
次に、
図26に示すように、下部電極BE1および第3層配線M3となる積層膜34を成膜する(ステップS32)。このステップS32の工程は、実施の形態1におけるステップS12の工程と同様の工程とすることができる。
【0198】
次に、
図27に示すように、レジストマスクRM2を形成する(ステップS33)。このステップS33の工程は、積層膜34上に絶縁膜38および導体膜39が形成されていない点を除き、実施の形態1におけるステップS16の工程と同様の工程とすることができる。
【0199】
次に、
図28に示すように、下部電極BE1および第3層配線M3を形成する(ステップS34)。このステップS34の工程は、積層膜34上に絶縁膜38および導体膜39が形成されていない点を除き、実施の形態1におけるステップS17の工程と同様の工程とすることができる。
【0200】
これにより、第2層間絶縁膜25上に、積層膜34からなる下部電極BE1が形成される。また、積層膜34からなる第3層配線M3が、下部電極BE1から離れて形成される。すなわち、平面視において、下部電極BE1が形成される領域と異なる領域において、積層膜34からなる第3層配線M3が形成される。
【0201】
次に、
図29に示すように、第3層間絶縁膜35を形成する(ステップS35)。このステップS35の工程は、積層膜34上に絶縁膜38および導体膜39が形成されていない点を除き、実施の形態1におけるステップS18の工程と同様の工程とすることができる。
【0202】
次に、
図30に示すように、開口部36b、36cを形成する(ステップS36)。このステップS36では、第3層間絶縁膜35を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすなわち加工し、第3層間絶縁膜35を貫通して下部電極BE1に達する開口部36bを形成する。また、ステップS36では、第3層間絶縁膜35を貫通して第3層配線M3に達する開口部36cを形成する。
【0203】
次に、
図31に示すように、プラグ37b、37cを形成する(ステップS37)。このステップS37では、開口部36bの底部に露出した下部電極BE1上、開口部36cの底部に露出した第3層配線M3上、開口部36b、36cの側壁、および、第3層間絶縁膜35上に、例えばTiN膜からなるバリア導体膜を、スパッタ法により成膜する。そして、成膜されたバリア導体膜上に、開口部36b、36cを埋め込むように、例えばW膜からなる主導体膜をCVD法により成膜する。その後、主導体膜およびバリア導体膜のうち開口部36b、36c内以外の部分、すなわち、第3層間絶縁膜35上の主導体膜およびバリア導体膜をCMP法により研磨して除去する。
【0204】
これにより、開口部36b内に、開口部36bを埋め込み、下部電極BE1と電気的に接続されたプラグ37bを形成し、開口部36c内に、開口部36cを埋め込み、第3層配線M3と電気的に接続されたプラグ37cを形成する。
【0205】
次に、
図32に示すように、開口部36aを形成する(ステップS38)。このステップS38では、第3層間絶縁膜35を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすなわち加工し、第3層間絶縁膜35を貫通して下部電極BE1に達する開口部36aを形成する。
【0206】
次に、
図33に示すように、容量膜CIF1(
図35参照)となる絶縁膜38および導体膜PF1(
図35参照)となる導体膜39を成膜する(ステップS39)。このステップS39では、開口部36aの底部に露出した下部電極BE1上、開口部36aの側壁、および、第3層間絶縁膜35上に、容量膜CIF1となる絶縁膜38、および、導体膜PF1となる導体膜39を、順次成膜する。このステップS39の工程は、開口部36aの側壁および第3層間絶縁膜35上に絶縁膜38および導体膜39を成膜する点を除き、実施の形態1におけるステップS13の工程と同様の工程とすることができる。
【0207】
本実施の形態2では、ステップS39において、導体膜39を、第3層配線M3よりも上層に形成することになる。これにより、導体膜39からなる導体膜PF1と第3層配線M3とを異なる高さ位置に形成することができるので、配線レイアウトの自由度を向上させ、半導体装置の面積を小さくすることができる。
【0208】
次に、
図34に示すように、レジストマスクRM4を形成する(ステップS40)。このステップS40では、フォトリソグラフィ技術を用い、導体膜39上に塗布したフォトレジスト膜を露光し、現像することで、導体膜39のうち導体膜PF1(
図35参照)となる部分が覆われるように、フォトレジスト膜を残す。すなわち、フォトレジスト膜のうち、導体膜PF1および容量膜CIF1が形成される領域における部分を残し、レジストマスクRM4を形成する。
【0209】
次に、
図35に示すように、導体膜PF1および容量膜CIF1を形成する(ステップS41)。このステップS41では、レジストマスクRM4をマスクとしてドライエッチング技術を用い、導体膜39および絶縁膜38をパターニングすなわち加工した後、レジストマスクRM4を除去する。
【0210】
これにより、開口部36aの底部に露出した下部電極BE1上に、絶縁膜38からなる容量膜CIF1が形成され、容量膜CIF1上に、導体膜39からなる導体膜PF1が形成される。このとき、下部電極BE1と容量膜CIF1と導体膜PF1とにより、容量素子としてのMIMキャパシタMC1が形成される。
【0211】
本実施の形態2の半導体装置の製造工程でも、実施の形態1の半導体装置の製造工程と同様に、ステップS39において成膜される絶縁膜38の膜厚FT1(
図3参照)に対し、ステップS32において成膜される積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率が、14%以下である。これにより、実施の形態1において
図22を用いて前述したように、良品率が90%以上となる製品を製造することができる。
【0212】
また、好適には、本実施の形態2の半導体装置の製造工程でも、実施の形態1の半導体装置の製造工程と同様に、ステップS32において、Alを主成分とする合金膜すなわちAl合金膜からなる主導体膜32の成膜速度が、1000nm/分以上である。このとき、実施の形態1において
図23を用いて前述したように、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下となり、絶縁膜38の膜厚FT1に対する、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0213】
さらに好適には、本実施の形態2の半導体装置の製造工程でも、実施の形態1の半導体装置の製造工程と同様に、ステップS32において成膜される主導体膜32における(111)面のX線回折強度を主導体膜32の膜厚で除した値が、200cps/nm以上である。このとき、実施の形態1において
図23を用いて前述したように、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSが25Å以下となり、絶縁膜38の膜厚FT1に対する、積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率を14%以下にすることができる。
【0214】
次に、
図36に示すように、上部電極TE1(
図24参照)および第4層配線M4(
図24参照)となる積層膜44を成膜する(ステップS42)。このステップS42では、導体膜PF1上、プラグ37b、37c上および第3層間絶縁膜35上に、下から順に、バリア導体膜41、主導体膜42およびバリア導体膜43からなる積層膜44を成膜する。このステップS42の工程は、導体膜PF1上に積層膜44を成膜する点を除き、実施の形態1におけるステップS21の工程と同様の工程とすることができる。また、積層膜44の膜厚は、積層膜44が開口部36a内を埋め込むような膜厚とすることができる。
【0215】
次に、
図37に示すように、レジストマスクRM5を形成する(ステップS43)。このステップS43では、フォトリソグラフィ技術を用い、積層膜44上に塗布したフォトレジスト膜を露光し、現像することで、フォトレジスト膜のうち、上部電極TE1および第3層配線M3が形成される領域における部分を残し、レジストマスクRM5を形成する。
【0216】
その後、レジストマスクRM5をマスクとしてドライエッチング技術を用い、バリア導体膜43、主導体膜42およびバリア導体膜41をパターニングすなわち加工した後、レジストマスクRM5を除去する。これにより、積層膜44からなり、導体膜PF1と電気的に接続された上部電極TE1が形成され、積層膜44からなり、プラグ37b、37cと電気的に接続された第4層配線M4が形成される。ここまでの工程により、
図24に示した半導体装置が製造される。
【0217】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、容量膜CIF1となる絶縁膜38の膜厚FT1に対する、下部電極BE1となる積層膜34の上面34aにおける表面粗さRMSの比率が、14%以下である。絶縁膜38の膜厚FT1に対する積層膜34の表面粗さの比率が14%以下であることにより、下部電極BE1の表面粗さを低減することができ、MIMキャパシタの耐圧値の低下を抑制し、耐圧値のばらつきを抑制することができる。その結果、MIMキャパシタの良品率を90%以上にすることができる。
【0218】
また、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、好適には、主導体膜32の成膜速度は、1000nm/分以上である。これにより、主導体膜32の膜厚が厚くなっても、主導体膜32の(111)配向性を向上させることで、積層膜34からなる下部電極BE1の表面粗さを低減することができ、耐圧値の低下をさらに抑制し、耐圧値のばらつきをさらに抑制することができる。
【0219】
さらに、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、下部電極BE1となる積層膜34の表面が粗面化されていない。そのため、容量膜CIF1となる絶縁膜38を成膜する際に、例えばALD法など、段差被覆性に優れた成膜方法を用いる必要がなく、製造コストが増大することを防止または抑制することができる。
【0220】
実施の形態1では、絶縁膜38のうち容量膜CIF1の端部となる部分が、下部電極BE1と接している。そのため、絶縁膜38の膜厚FT1が薄くなると、導体膜39をエッチングする際に、オーバーエッチングにより絶縁膜38および積層膜34がエッチングされるおそれがある。したがって、積層膜34中のTiまたはAlなどの金属が容量膜CIF1の側面に付着し、導体膜PF1と下部電極BE1とが電気的に短絡するおそれがある。
【0221】
一方、本実施の形態2では、絶縁膜38のうち容量膜CIF1の端部となる部分が、第3層間絶縁膜35上にあり、下部電極BE1と接していない。そのため、絶縁膜38の膜厚FT1が薄くなっても、導体膜39および絶縁膜38をエッチングする際に、オーバーエッチングにより下部電極BE1がエッチングされることを防止することができる。したがって、導体膜PF1と下部電極BE1とが電気的に短絡することを防止することができる。
【0222】
実施の形態1では、積層膜34をエッチングして下部電極BE1を形成する際に、積層膜34とともに絶縁膜38をエッチングする。積層膜34と絶縁膜38とでは、エッチング条件が異なるため、エッチング条件を容易に最適化することができず、積層膜34を容易に微細加工することができない。
【0223】
一方、本実施の形態2では、積層膜34をエッチングして下部電極BE1を形成する際に、積層膜34とともに絶縁膜38をエッチングすることがない。そのため、エッチング条件を容易に最適化することができ、積層膜34を容易に微細加工することができる。
【0224】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。