(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記両親媒性非イオン性界面活性剤(B)の重量平均分子量は1,000〜10,000ダルトンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性研磨組成物。
前記両親媒性非イオン性界面活性剤(B)の濃度は0.001〜5重量%であることを特徴とし、このとき該重量%は前記組成物の完全重量に基づく、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性研磨組成物。
前記水性研磨組成物が該研磨組成物の完全重量に基づいて0.005〜10重量%の研磨粒子(A)を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性研磨組成物。
電気、機械および光学装置のための基板を研磨するための、前記基板を少なくとも1回水性研磨組成物と接触させる工程および前記基板材料を所望の平坦性が達成されるまで研磨する工程による方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の前記水性研磨組成物が使用されることを特徴とする方法。
前記基板は、少なくとも1つの酸化ケイ素誘電体材料を含有する、もしくはそれから成る少なくとも1つの膜およびポリシリコンを含有する、もしくはそれから成る少なくとも1つの膜を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
前記電気装置は、集積回路装置、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、プリント回路基板、微小機械、DNAチップ、マイクロプラントおよび磁気ヘッドである;前記機械装置は精密機械装置である;および前記光学装置は、フォトマスク、レンズおよびプリズム等の光学ガラス、ITO(インジウムスズ酸化物)等の無機導電性膜、光学集積回路、光学スイッチング素子、光導波路、光ファイバーおよびシンチレータの端面等の光学単結晶、固体レーザー単結晶、青色レーザーLEDのためのサファイア基板、半導体単結晶、ならびに磁気ディスク用のガラス基板であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
化学的機械的平坦化もしくは研磨(CMP:Chemical mechanical planarization or polishing)は、集積回路(ICs:integrated circuits)装置の局所的および全体的平坦性を達成するための主要な方法である。この技術は、典型的には活性化学的成分として研磨剤および他の添加物を含有するCMP組成物もしくはスラリーを運用荷重下で回転する基板表面と研磨パッドとの間に適用する。そこで、CMP法は、例えば研磨のような物理的工程と酸化もしくはキレート化のような化学的工程とを結び付けている。基板材料の除去もしくは研磨が単に物理的もしくは単に化学的作用だけを含むことは望ましくなく、むしろ迅速で一様な除去を達成するために両方の相乗的組み合わせを含むことが望ましい。
【0004】
このように、該基板材料は、望ましい平坦性が達成されるまで、またはバリア副層もしくは阻止膜が露出されるまで除去される。最終的には、平坦で欠陥のない、その後のフォトリソグラフィー、パターニング、エッチングおよび薄膜加工処理による、適正な多層IC装置製造を可能にする表面が得られる。
【0005】
シャロー・トレンチ・アイソレーション(shallow trench isolation:STI)は、パターン化されたウェーハ基板上の窒化ケイ素への二酸化ケイ素の選択的除去を一般に必要とする特殊CMP用途である。この場合には、エッチングされたトレンチは誘電体材料、例えば二酸化ケイ素で過充填され、これが阻止膜としての窒化ケイ素バリア膜を用いて研磨される。該CMP法は、露出した窒化ケイ素およびトレンチ二酸化ケイ素の除去を最小限に抑えながらバリア膜から二酸化ケイ素を除去する工程で終了する。
【0006】
このためには、二酸化ケイ素MRR(材料除去速度:material removal rate)対窒化ケイ素MRRの高い相対比率を達成できるCMPスラリーを必要とするが、該比は、当分野では酸化物対窒化物選択性とも言われている。
【0007】
近年、ポリシリコン膜は、バリア膜としても電極材料としても使用されている(米国特許第6626968号明細書を参照)。このため、酸化ケイ素誘電体膜およびポリシリコン膜を含有する基板の全体的平坦化を可能にする、利用可能なCMPスラリーおよび方法を有することが高度に望ましくなってきた。これは、高い酸化物対ポリシリコン選択性を示すCMPスラリーを必要とする。
【0008】
いっそうより望ましいのは、窒化ケイ素膜を追加して含有する基板の全体的平坦化を可能にする、利用可能なCMPスラリーおよび方法を有することである。
【0009】
この場合には、酸化物対窒化物選択性は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素およびポリシリコン領域を含有する、全体的に平坦化され、均質で、パターン化された表面におけるディッシング(dishing)およびその他の損傷や欠陥を回避するため、高過ぎてはならない。しかし、窒化ケイ素対ポリシリコン選択性は、高くなければならない。
【0010】
セリアベースのCMPスラリーはSTI用途において相当に大きな注目を集めてきたが、それは当分野ではセリアの化学的トゥース作用(chemical tooth action)とも呼ばれている、二酸化ケイ素に対するセリアの高い化学的親和性に起因する相当に高い酸化物対窒化物選択性を達成する能力のためである。
【0011】
それでも、セリアベースのCMPスラリーの酸化物対ポリシリコン選択性は、該選択性を「調整する」添加物によって改良されなければならない。
【0012】
セリアベースのCMPスラリーの選択性を調整するために、極めて多数の試みが企てられてきた。
【0013】
そこで、Jae−Don Lee et al.は、Journal of the Electrochemical Society,149(8),G477−G481,2002において、様々なHLB(親水性−親油性平衡)値を備える非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーおよびエチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシドトリブロックコポリマーがCMP中の酸化物対ポリシリコン選択性に及ぼす作用について開示している。しかし、研磨剤としてヒュームド・シリカが使用されており、酸化物対窒化物選択性については取り扱われていない。
【0014】
米国特許出願公開第2002/0034875号明細書および米国特許第6626968号明細書は、界面活性剤、pH調整剤、例えば水酸化カリウム、硫酸、硝酸、塩酸もしくはリン酸、ならびに親水性官能基および親油性官能基を含有するポリマー、例えばポリビニルメチルエーテル(PVME)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(POLE)、ポリプロパン酸(PPA)、ポリアクリル酸(PM)、およびポリエーテルグリコールビスエーテル(PEGBE)を含有するポリマーを含有するセリアベースのCMPスラリーについて開示している。該セリアベースのCMPスラリーは、酸化物対ポリシリコン選択性を上昇させる。
【0015】
米国特許第6645051号明細書は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含有する、メモリ・ハードディスク基板を研磨するためのセリアベースのCMPスラリーについて開示している。
【0016】
米国特許出願公開第2003/0228762号明細書は、低k誘電体膜を含有する基板を研磨するためのCMPスラリーであって、
−アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、ゲルマニア、マグネシア、およびそれらから共調製された生成物から成る群から選択される研磨粒子、および
−少なくとも1つの親油性頭部基および少なくとも1つの親水性尾部基を有する両親媒性非イオン性界面活性剤を含有するCMPスラリーについて開示している。
【0017】
米国特許出願公開第2003/0228762号明細書によると、適切な頭部基には、ポリシロキサン、テトラ−C
1−4−アルキルデシン、飽和もしくは部分不飽和C
6−30アルキル基、ポリオキシプロピレン基、C
6−12アルキルフェニルもしくはアルキルシクロヘキシル基、およびポリエチレン基が含まれる。適切な尾部基には、ポリオキシエチレン基が含まれる。そこで、該両親媒性非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステルから成る群から選択することができる。
【0018】
米国特許出願公開第2006/0124594号明細書は、少なくとも1.5cPの粘度を有し、非イオン性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)を含む粘度増強剤を含むセリアベースのCMPスラリーについて開示している。該セリアベースのCMPスラリーは、高い酸化物対窒化物選択性を有しており、低いWIWNU(ウェーハ面内均一度)を誘導すると言われている。
【0019】
米国特許出願公開第2006/0216935号明細書は、タンパク質、リシンおよび/またはアルギニンならびにピロリドン化合物、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、N−オクチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、N−ヘキシル−2−ピロリドン、N−デシル−2−ピロリドン、N−オクタデシル−2−ピロリドン、およびN−ヘキサデシル−2−ピロリドンを含むセリアベースのCMPスラリーについて開示している。該セリアベースのCMPスラリーは、分散剤、例えばポリアクリル酸、グリコールおよびポリグリコールをさらに含有することができる。特定の例は、プロリン、ポリビニルピロリドンもしくはN−オクチル−2−ピロリドン、PPO/PEOブロックコポリマー、およびグルタルアルデヒドを使用する。該セリアベースのCMPスラリーは、トレンチ二酸化ケイ素を攻撃的にではなく除去するので、これにより実質的に最小ステップ高を増加させることなく終点を越える広範囲の研磨を可能にすると考えられている。
【0020】
米国特許出願公開第2007/0077865号明細書は、好ましくはBASF社によって販売されているPluronic(商標)ファミリーからのポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマーを含有するセリアベースのCMPスラリーについて開示している。該セリアベースのCMPスラリーは、アミノアルコール、例えば2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール(DMAMP)、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール(AMP)、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(イソプロピルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−(2−ジメチルアミノ)エトキシ)エタノール、1,1’−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]イミノ]−ビス−2−プロパノール、2−(2−ブチルアミノ)エタノール、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、およびN−(3−アミノプロピル)モルホリンをさらに含有することができる。該セリアベースのCMPスラリーは、第4級アンモニウム化合物、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、塗膜形成剤、例えばアルキルアミン、アルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、リン酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルホスホネート、ポリマレート、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルフェート、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、およびベンゾイミダゾール、ならびに錯化剤、例えばアセチルアセトン、酢酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、没食子酸、シュウ酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコール、ピロカテコール、ピロガロール、タンニン酸、ホスホニウム塩およびホスホン酸をさらに含有することができる。該セリアベースのCMPスラリーは、ポリシリコンに対する二酸化ケイ素および/または窒化ケイ素の優れた選択性を提供すると考えられている。
【0021】
米国特許出願公開第2007/0175104号明細書は、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびそれらのα−置換誘導体;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン;アルコキシル化直鎖脂肪族アルコールおよびアセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加化合物から成る群から選択されるいずれかのメンバーによって置換されたN−一置換もしくはN,N−ジ−置換骨格を有する水溶性ポリマーから選択されるポリシリコン研磨抑制剤を含むセリアベースのCMPスラリーについて開示している。該セリアベースのCMPスラリーは、追加の水溶性ポリマー、例えば多糖類、例えばアルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードランおよびプルラン;ポリカルボン酸、例えばポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリイミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリグリオキサル酸およびそれらの塩;ならびにビニルポリマー、例えばポリビニルアルコール、およびポリアクロレインをさらに含有することができる。該セリアベースのCMPスラリーは、ポリシリコン選択性に比較して高い二酸化ケイ素を有すると言われている。
【0022】
米国特許出願公開第2008/0085602号明細書および同第2008/0124913号明細書は、分散剤としてのエチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシドトリブロックコポリマーおよびポリアクリル酸から選択される非イオン性界面活性剤を0.001〜0.1重量%含有するセリアベースのCMPスラリーについて開示している。該セリアベースのスラリーは、ポリシリコン選択性に比較して高い二酸化ケイ素および窒化ケイ素を有すると言われている。
【0023】
米国特許出願公開第2008/0281486号明細書は、12〜17の範囲内のHLB値を有する非イオン性界面活性剤を含有するセリアベースのCMPスラリーについて開示している。該非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテルおよびそれらの混合物から成る群から選択される。該CMPスラリーは、ポリシリコン選択性に比較して高い二酸化ケイ素を有すると言われている。
【0024】
電気装置、特に半導体ICsの製造には、特に高選択性CMPを含む精密方法を必要とする。
【0025】
先行技術のセリアベースのCMPスラリーは、満足できる酸化物対ポリシリコン選択性を有することができ、WIWNUおよびWTWNU(ウェーハ面間均一度)によって例示される良好な全体的および局所的平坦性、いっそう減少した寸法のIC構造、特にLSI(large−scale integration:大規模集積)もしくはVLSI(very−large−scale integration:超大規模集積)を備えるICsを有する研磨ウェーハを生じさせることはできるが、集積回路装置の製造業者からの高まり続ける技術的および経済的需要を満たすためにはセリアベースのCMPスラリーの絶え間ない改良を必要とする。
【0026】
しかし先行技術のセリアベースのCMPスラリーを常に改良するというこの差し迫った必要は、集積回路装置の分野に当てはまるだけではなく、研磨および平坦化効率は、さらにまた他の電気装置、例えば液晶パネル、有機エレクトロルミネッセントパネル、プリント回路基板、微小機械、DNAチップ、マイクロプラント、光電池、および磁気ヘッド;ならびに精密機械装置および光学装置、特に光学ガラス、例えばフォトマスク、レンズおよびプリズム、無機導電性膜、例えばITO(インジウムスズ酸化物)、光学集積回路、光学スイッチング素子、光導波路、光学単結晶、例えば光ファイバーおよびシンチレータの端面、固体レーザー単結晶、青色レーザーLEDsのためのサファイア基板、半導体単結晶、ならびに磁気ディスク用のガラス基板を製造する分野においても改良されなければならない。そのような電気、機械および光学装置の製造もまた、精密CMP方法工程を必要とする。
【0027】
特開2001−240850号公報は、研磨剤としてのアルミナ、ジルコニアもしくはシリコンカーバイド、分散剤としてのアルキレンオキシド−エチレンオキシドブロックもしくはランダムコポリマーおよび「防錆剤」としてのリン酸ナトリウムもしくはポリリン酸ナトリウムを含有するCMPスラリーについて開示している。
【0028】
該アルキレンオキシド−エチレンオキシドコポリマーは、一般式:
Z−[{(AO)
n/(EO)
m}R
1]
p、
(式中、変数における指数は、以下の意味を有する:
pは、1〜6の整数である、
nは、平均値が10〜200の整数である、
mは、平均値が1〜300の整数である、
Eは、エチレン基である、
Aは、プロピレンまたは1,2−、2,3−、1,3−もしくは1,4−ブチレン基である、
Zは、多価アルコールの残基である;および
R
1は、水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基または2〜24個の炭素原子を有するアシル基である)のコポリマーである。
【0029】
該CMPスラリーは、シリコンウェーハ、ガラス、アルミニウム、セラミック、合成シリカ、石英およびサファイアを研磨するために使用される。ポリシリコンに比較した二酸化ケイ素および/または窒化ケイ素選択性については何も開示されていない。
【0030】
2010年9月8日に出願された先行する米国仮特許出願第61/380719号明細書は、特開2001−240850号公報、米国特許出願公開第2007/0077865号明細書、同第2006/0124594号明細書および同第2008/0124913号明細書、同第2006/0213780号明細書ならびにBASF Corporation社の会社パンフレット「Pluronic(商標)& Tetronic(商標)Block Copolymer Surfactants,1996」に開示された、直鎖および分枝鎖アルキレンオキシドホモポリマーおよびコポリマーから成る群から選択された少なくとも1つの水溶性ポリマーを含有するセリアベースのCMPスラリーについて開示している。さらに、セリアベースのCMPスラリーは、少なくとも1つのアニオン性リン酸塩分散剤を含有している。セリアベースのCMPスラリーは、有益な酸化物対窒化物選択性と結合された極めて優れた酸化物対ポリシリコン選択性および高い窒化物対ポリシリコン選択性を示す。
【0031】
2010年10月7日に出願された先行する欧州特許出願公開第101868867号明細書は、(b1)5〜20個の炭素原子を有する分枝状アルキル基から成る群から選択された少なくとも1つの親油性基、および(b2)(b21)オキシエチレンモノマー単位を含むポリオキシアルキレン基および(b22)少なくとも1つのタイプの置換オキシアルキレンモノマー単位を含むポリオキシアルキレン基であって、前記置換基はアルキル、シクロアルキルもしくはアリール、アルキル−シクロアルキル、アルキル−アリール、シクロアルキル−アリールおよびアルキル−シクロアルキル−アリール基から成る群から選択され、前記ポリオキシアルキレン基は前記モノマー単位(b21)および(b22)をランダム、交互、勾配および/またはブロック状分布で含有するポリオキシアルキレン基から成る群から選択された少なくとも1つの親水性基を有する水溶性もしくは水分散性界面活性剤から成る群から選択される少なくとも1つの両親媒性非イオン性界面活性剤を含有するシリカベースのCMPスラリーについて開示している。該CMPスラリーは、超低k誘電体材料に比して高い二酸化ケイ素、窒化タンタルおよび銅選択性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の組成物は、水性組成物である。これは、本発明の組成物が水、特に超純水を主溶媒および分散剤として含有することを意味する。それでも、本発明の組成物は、少なくとも1つの水混和性有機溶媒を、しかし本発明の組成物の水性の性質を変化させない微量でのみ含有することができる。
【0050】
好ましくは、本発明の組成物は、水を本発明の組成物の完全重量に基づいた重量%で60〜99.95重量%、より好ましくは70〜99.9重量%、いっそうより好ましくは80〜99.9重量%、および最も好ましくは90〜99.9重量%の量で含有する。
【0051】
「水溶性」は、本発明の組成物の関連構成成分もしくは成分を分子レベルで水相内に溶解させることができることを意味する。
【0052】
「水分散性」は、本発明の組成物の関連構成成分もしくは成分が水相内に分散させることができ、安定性エマルジョンまたは懸濁液を形成することを意味する。
【0053】
本発明の組成物の第1必須成分は、セリアを含有する、またはそれから成る少なくとも1つ、好ましくは1つのタイプの研磨粒子(A)である。
【0054】
該研磨粒子(A)の平均粒径は広範囲に及んでよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に合わせて調整することができる。好ましくは、動的レーザー光散乱法によって決定される平均粒径は、1〜2,000nm、好ましくは1〜1,000nm、より好ましくは1〜750、最も好ましくは1〜500nm、詳細には10〜250nm、例えば80〜200nmの範囲内にある。
【0055】
該研磨粒子(A)の粒径分布は、単峰性、二峰性または多峰性であってよい。好ましくは、該粒径分布は、該研磨粒子(A)の容易に再現性の特性プロファイルおよび本発明の方法中の容易に再現性の条件を有するために単峰性である。
【0056】
さらに、該研磨粒子(A)の粒径分布は、狭くても広くてもよい。好ましくは、該粒径分布は、該研磨粒子(A)の容易に再現性の特性プロファイルおよび本発明の方法中の容易に再現性の条件を有するためにほんの少量の小粒子および大粒子だけを含んでいて狭い。
【0057】
該研磨粒子(A)は、様々な形状を有していてよい。そこで、それらは1つの、または実質的に1つのタイプの形状であってよい。しかし、該研磨粒子(A)が様々な形状を有することも可能である。詳細には、2つのタイプの異なる形状の研磨粒子(A)が本発明の所定の組成物中に存在してよい。形状自体に関しては、それらは立方体、面取りした辺縁を備える立方体、八面体、二十面体、突出部もしくはくぼみを備える、または備えない小塊および球体であってよい。最も好ましくは、形状は、突出部もしくはくぼみを備えない、またはほんの少数しか備えない球形である。この形状が一般に好ましいが、それは通常は該研磨粒子(A)がCMP工程中に曝露させられる機械力に対する抵抗性を増加させるからである。
【0058】
セリアを含有する該研磨粒子(A)は、微量の他の希土類金属酸化物を含有することができる。
【0059】
セリアから成る該研磨粒子(A)は、六角形、立方体または面心立方結晶格子を有することができる。
【0060】
好ましくは、セリアを含有する該研磨粒子(A)は、セリアとは相違する少なくとも1つの他の研磨粒子材料、特にアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、およびそれらの混合物を含有する、またはそれらから成るコアを含む複合粒子(A)である。
【0061】
そのような複合粒子(A)は、例えば、国際公開第2005/035688号パンフレット、米国特許第6110396号明細書、同第6238469号明細書、同第6645265号明細書、K.S.Choi et al.,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.671,2001 Materials Research Society,M5.8.1 to M5.8.10、S.−H.Lee et al.,J.Mater.Res.,Vol.17,No.10(2002),pages 2744 to 2749、A.Jindal et al.,Journal of the Electrochemical Society,150(5),G314−G318(2003)、Z.Lu,Journal of Materials Research,Vol.18,No.10,October 2003,Materials Research Society、またはS.Hedge et al.,Electrochemical and Solid−State Letters,7(12),G316−G318(2004)から公知である。
【0062】
最も好ましくは、該複合粒子(A)は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、およびそれらの混合物から成る群から選択される20〜100nmのコアサイズを備えるコアであって、10nm未満の粒径を有するセリア粒子でコーティングされているコアを含むラズベリータイプの被覆粒子である。
【0063】
本発明の組成物中で使用される該研磨粒子(A)の量は広範囲に及んでよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に合わせて調整することができる。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の組成物の完全重量に基づいた重量%で0.005〜10重量%、より好ましくは0.01〜8重量%、および最も好ましくは0.01〜6重量%の量で研磨粒子(A)を含有する。
【0064】
本発明の所定の組成物の第2必須成分は、一般式I:
R[(B1)
m/(B2)
nY]
p
の水溶性および水分散性、好ましくは水溶性の、直鎖および分枝鎖、好ましくは直鎖のポリオキシアルキレンブロックコポリマーから成る群から選択される少なくとも1つの、好ましくは1つの両親媒性非イオン性界面活性剤(B)である。
【0065】
一般式Iでは、指数mおよびnは相互から独立して1以上の整数、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、および最も好ましくは1〜3の整数である。
【0066】
一般式Iの指数pは、1以上の整数、好ましくは1〜100、より好ましくは1〜50、いっそうより好ましくは1〜25、および最も好ましくは1〜10の整数である。
【0067】
変数Rは、水素原子、または5〜20個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基を除く一価もしくは多価有機残基を表す。
【0068】
好ましくは、一価もしくは多価有機残基Rは、1〜4個および21〜30個の炭素原子を有するアルキル基ならびにシクロアルキル、アリール、アルキル−シクロアルキル、アルキル−アリール、シクロアルキル−アリールおよびアルキル−シクロアルキル−アリール基から成る群から選択される。
【0069】
より好ましくは、該一価もしくは多価有機残基Rは、モノヒドロキシおよびポリヒドロキシ化合物R’に由来する。
【0070】
適切なモノヒドロキシ化合物R’の例は、直鎖および分枝鎖ヘネイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサンおよびトリアコンタン、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノールおよびそれらの4位に4〜16個の炭素原子のアルキル基を有するフェノールに由来するメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−、sec−およびtert−ブタノール、モノアルコールである。
【0071】
適切なジヒドロキシ化合物R’の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコール、ジエチレンプロピレングリコール、エチレンジプロピレングリコール、1,2−、1,3−および1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンおよびベンゼンならびにビスフェノールAおよびFである。
【0072】
適切なトリヒドロキシ化合物R’の例は、グリセロール、1,2,3−トリヒドロキシ−n−ブタン、トリメチロールプロパン、1,2,3−、1,2,4−および1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンならびにベンゼンである。
【0073】
適切なポリヒドロキシ化合物R’の例は、ペンタエロトリトール、1,2,3,4−、1,2,3,5−および1,2,4,5−テトラヒドロキシシクロヘキサンおよびベンゼン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシスチレン)アルジトール、シクリトール、炭水化物ならびにグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、アルジトールおよびシクリトールの二量体およびオリゴマーである。
【0074】
適切なアルジトールR’の例は、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール、ヘプチトール、およびオクチトール、特にエリトリトール、トレイトール、アラビニトール、リビトール、キシリトール、ガラクチトール、マンニトール、グルシトール、アリトール、アルトリトールおよびイジトールである。
【0075】
適切な二量体R’の例は、グリセロール、トリメチロールプロパン、エリトリトール、トレイトールおよびペンタエリトリトール、マルチトール、イソマルトおよびラクチトール、特に、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、ノナ−、デカ−、ウンデカ−およびドデカグリセロール、−トリメチロールプロパン、−エリトリトール、−トレイトールおよび−ペンタエリトリトールの二量体である。
【0076】
適切なシクリトールR’の例は、1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシシクロヘキサンおよびイノシトール、特にミオ−、シロ−、ムコ−、カイロ−、ネオ−、アロ−、エピ−およびシス−イノシトールである。
【0077】
適切な炭水化物R’の例は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、デソキシ糖類およびアミノ糖類、特に単糖類である。
【0078】
適切な単糖類R’の例は、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトースおよびタロースである。
【0079】
水素原子以外の残基Rは、少なくとも1つの不活性置換基を有していてよい。「不活性」は、該置換基が、長期間の保管後および本発明の工程中にエチレンオキシドおよびアルキレンオキシドの重合ならびに望ましくない反応、例えば本発明の組成物の構成成分の分解および/または沈殿を開始しないことを意味する。適切な不活性置換基の例は、酸素もしくは硫黄原子、カルボキシ基、スルホキシ基、スルホ基、カルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸エステル基もしくはウレタン基を介して残基Rと結合したハロゲン原子、特にフッ素および塩素原子、ニトロ基、ニトリル基およびアルキル、シクロアルキルおよびアリール基である。該不活性置換基は、それらが該界面活性剤(B)のHLB値に有害な影響を及ぼさないような量で使用される。好ましくは、該置換基は、そのような不活性置換基を有していない。
【0080】
最も好ましくは、残基Rは、水素原子である。
【0081】
一般式Iの両親媒性非イオン性界面活性剤(B)は、少なくとも1つのブロック(B1)および少なくとも1つのブロック(B2)を含有するが、このとき(B)が1つより多いブロック(B1)および(B2)を含有する場合、同一タイプの2つのブロックが相互から他のタイプのブロックによって分離されていることを前提とする。
【0082】
このため、該両親媒性非イオン性界面活性剤(B)は、様々な一般ブロック状構造、例えば
−B1−B2、
−B1−B2−B1、
−B2−B1−B2、
−B1−B2−B1−B2、
−B1−B2−B1−B2−B1、
−B2−B1−B2−B1−B2、
−B1−B2−B1−B2−B1−B2、
−B1−B2−B1−B2−B1−B2−B1、および
−B2−B1−B2−B1−B2−B1−B2を含有することができる。
【0083】
2つ以上のブロック(B1)が存在する場合は、それらは同一または実質的に同一の組成、分子量およびHLB値を有することができる、またはそれらは相互に相違してもよい。これは、ブロック(B2)にも同等に当てはまる。
【0084】
好ましくは、該両親媒性非イオン性界面活性剤(B)は、一般ブロック状構造B1−B2、B1−B2−B1またはB2−B1−B2を含有する。
【0085】
ブロック(B1)は、実質的にオキシエチレンモノマー単位から成る。「実質的に〜から成る」は、ブロック(B1)が全体としてオキシエチレンモノマー単位から成る、または微量のオキシプロピレンモノマー単位および/またはオキシアルキレンモノマー単位、即ちブロック(B2)のモノマー単位を含有することを意味する。「微量」は、該オキシエチレンモノマー単位以外のモノマー単位の濃度が極めて低いので、該オキシエチレンモノマー単位によって誘導されるブロック(B1)の化学的および物理化学的特性、特に親水性の性質が有害な影響を受けず、有益には改質されることを意味する。
【0086】
ブロック(B2)の平均重合度とは無関係に、ブロック(B1)の平均重合度は広範囲に変動してよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に合わせて適応させることができる。好ましくは、平均重合度は、5〜100、より好ましくは5〜75、および最も好ましくは5〜50の範囲内にある。
【0087】
該ブロック(B2)は、実質的に少なくとも1つの、好ましくは1つのタイプの置換オキシアルキレンモノマー単位から成り、該置換基は、少なくとも2つのメチル基、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル基ならびにシクロアルキル、アリール、アルキル−シクロアルキル、アルキル−アリール、シクロアルキル−アリールおよびアルキル−シクロアルキル−アリール基から成る群から選択される。
【0088】
「実質的に〜から成る」は、ブロック(B2)が全体として前記オキシアルキレンモノマー単位から成る、または微量のオキシプロピレンモノマーおよび/またはオキシエチレンモノマー単位を含有することを意味する。「微量」は、該オキシエチレンモノマーおよび/またはオキシプロピレンモノマー単位の濃度が極めて低いので、該オキシアルキレンモノマー単位によって誘導されるブロック(B2)の化学的および物理化学的特性、特に親油性の性質が有害な影響を受けず、有益には改質されることを意味する。
【0089】
好ましくは、ブロック(B2)のオキシアルキレンモノマー単位は置換オキシランに由来するが、このとき該置換基は、少なくとも2つのメチル基および少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル基ならびにシクロアルキル、アリール、アルキル−シクロアルキル、アルキル−アリール、シクロアルキル−アリールおよびアルキル−シクロアルキル−アリール基から成る群から選択される。
【0090】
より好ましくは、該置換基は、少なくとも2つのメチル基、2〜10個の炭素原子を有するアルキル基、スピロ環式、環外および/またはアニール化構造にある5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基、6〜20個の炭素原子を有するアルキル−シクロアルキル基、7〜20個の炭素原子を有するアルキル−アリール基、11〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル−アリール基および12〜30個の炭素原子を有するアルキル−シクロアルキル−アリール基から成る群から選択される。
【0091】
適切なアルキル基の例は、2つのメチル基およびエチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、n−ヘキシル、2−、3−および4−メチルペント−1−イル、2,2−および3,3−ジメチルブト−1−イル、n−ヘプチル、2,3−ジメチルペント−1−イル、2,3,3−トリメチルブト−1−イル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、2−エチル−3,4−ジメチルペント−1−イル、およびn−デシル;好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシル基である。
【0092】
適切なシクロアルキル基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,2−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、およびシクロヘキサン−1,2−ジイル基である。
【0093】
適切なアリール基の例は、フェニルならびに1−および2−ナフチル基である。
【0094】
適切なアルキル−シクロアルキル基の例は、シクロペンチル−およびシクロヘキシルメチル、2−シクロペンチル−および2−シクロヘキシルエチル−1−イル、3−シクロペンチル−および3−シクロヘキシルプロプ−1−イル、ならびに4−シクロペンチル−および4−シクロヘキシル−n−ブト−1−イル基である。
【0095】
適切なアルキル−アリール基の例は、フェニルメチル、2−フェニルエト−1−イル、3−フェニルプロプ−1−イル、および4−フェニル−n−ブト−1−イル基である。
【0096】
適切なシクロアルキル−アリール基の例は、4−フェニル−シクロヘキス−1−イル、4−シクロヘキシル−フェン−1−イル、および2,3−ジヒドロインデン−1,2−ジイル基である。
【0097】
適切なアルキル−シクロアルキル−アリール基の例は、シクロヘキシル−フェニル−メチルおよび2−シクロヘキシル−2−フェニル−エト−1−イル基である。
【0098】
特に好ましい置換オキシランの例は、エチル、2,2−および2,3−ジメチル、2,2,3−トリメチル、2,2,3,3−テトラメチル、2−メチル−3−エチル、2,2−および2,3−ジエチル、n−プロピル、2−メチル−3−n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、およびナフチルオキシラン;1,2−エポキシ−シクロヘキサンおよび−シクロペンタン;1−オキサ−3−スピロ[3.4]−ヘプタンおよび1−オキサ−3−スピロ[3.5]−オクタン;ならびに1,2−エポキシ−2,3−ジヒドロインデンである。
【0099】
最も好ましくは、該置換オキシランは、2−エチル、2,3−ジメチルおよび2,2−ジメチルオキシラン、特に好ましくは、2−エチルオキシランおよび2,3−ジメチルオキシランから成る群から選択される。
【0100】
このため、特に好ましくは使用される該オキシアルキレンモノマー単位は、オキシブト−1,2−イレン、−CH(C
2H
5)−CH
2−O−、およびオキシブト−2,3−イレン、−CH(CH
3)−CH(CH
3)−O−から選択される。
【0101】
ブロック(B1)の平均重合度とは無関係に、ブロック(B2)の平均重合度は広範囲に変動してよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に合わせて適応させることができる。好ましくは、平均重合度は、5〜100、より好ましくは5〜75、および最も好ましくは5〜50の範囲内にある。
【0102】
変数Yは、水素原子、または5〜20個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基を除く一価有機残基を表す。
【0103】
好ましくは、該一価有機残基Yは、1〜4個および21〜30個の炭素原子を有するアルキル基ならびにシクロアルキル、アリール、アルキル−シクロアルキル、アルキル−アリール、シクロアルキル−アリールおよびアルキル−シクロアルキル−アリール基から成る群から選択される。
【0104】
より好ましくは、該一価残基Yは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−、sec−およびtert−ブチル、直鎖および分枝鎖ヘネイコサニル、ドコサニル、トリコサニル、テトラコサニル、ペンタコサニル、ヘキサコサニル、ヘプタコサニル、オクタコサニル、ノナコサニルおよびトリアコンタニル、シクロヘキシル、ベンジルおよびフェニル基ならびにそれらの4位に4〜16個の炭素原子を備えるアルキル基を有するフェニル基から成る群から選択される。
【0105】
好ましくは、該一価残基Yは、水素原子である。
【0106】
両親媒性非イオン性界面活性剤(B)のHLB値は広範囲に変動してよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に適応させることができる。好ましくは、HLB値は、3〜20、最も好ましくは4〜18の範囲内にある。
【0107】
該両親媒性非イオン性界面活性剤(B)の表面張力もまた広範囲に及んでよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に合わせて適応させることができる。好ましくは、表面張力は、25℃で20〜60、より好ましくは25〜55、および最も好ましくは25〜50ダイン/cmの範囲内にある。
【0108】
該両親媒性非イオン性界面活性剤(B)の重量平均分子量もまた広範囲に変動してよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に適応させることができる。好ましくは、重量平均分子量は、1,000〜10,000、最も好ましくは1,100〜8,000ダルトン、詳細には1,100〜3,500ダルトンの範囲内にある。
【0109】
該両親媒性非イオン性界面活性剤(B)の調製は、化学的および方法的特性を全く提供しないが、それらは、例えばスターター分子として上述したモノ−およびポリヒドロキシ化合物R’を使用して、またはそのようなスターター分子を使用せずに適切なオキシランのアニオン性開環重合または適切なエピクロロヒドリンの重縮合のような慣習的および公知の方法にしたがって実施できる。
【0110】
本発明の所定の組成物中の該両親媒性非イオン性界面活性剤(B)の濃度は、広範囲に変動してよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に合わせて調整することができる。好ましくは、本発明の組成物は、該両親媒性非イオン性界面活性剤(B)を0.001〜5重量%、より好ましくは0.005〜2.5重量%、いっそうより好ましくは0.0075〜1重量%、および最も好ましくは0.0075〜0.5重量%の量で含有する。
【0111】
本発明の組成物は、成分または構成成分(A)、(B)および(C)とは異なる少なくとも1つの官能性構成成分(D)を含有することができる。
【0112】
好ましくは、該官能性構成成分(D)は、セリアベースのCMPスラリーにおいて慣習的に使用される化合物の群から選択される。そのような化合物(D)の例は、例えば、Y.N.Prasad et al.in Electrochemical and Solid−State Letters,9(12),G337−G339(2006)、Hyun−Goo Kang et al.in Journal of Material Research,volume 22,No.3,2007,pages 777 to 787、S.Kim et al.in Journal of Colloid and Interface Science,319(2008),pages 48 to 52、S.V.Babu et al.in Electrochemical and Solid−State Letters,7(12),G327−G330(2004)、Jae−Dong Lee et al.in Journal of the Electrochemical Society,149(8),G477−G481,2002、米国特許第5738800号明細書、同第6042741号明細書、同第6132637号明細書、同第6218305(B)号明細書、同第5759917号明細書、同第6689692号明細書、同第6984588号明細書、同第6299659号明細書、同第6626968号明細書、同第6436835号明細書、同第6491843号明細書、同第6544892号明細書、同第6627107号明細書、同第6616514号明細書、および同第7071105号明細書、米国特許出願公開第2002/0034875号明細書、同第2006/0144824号明細書、同第2006/0207188号明細書、同第2006/0216935号明細書、同第2007/0077865号明細書、同第2007/0175104号明細書、同第2007/0191244号明細書および同第2007/0218811号明細書、ならびに特開2005−336400号公報に開示されている。
【0113】
さらに、該官能性構成成分(D)は、該粒子(D)とは異なる有機、無機およびハイブリッド有機−無機研磨粒子、LCST(下限臨界共溶温度)もしくはUCST(上限臨界共溶温度)を有する材料、酸化剤、不動態化剤、電荷反転剤(charge reversal agent)、水性媒体中では分離できない少なくとも3つのヒドロキシド基を有する有機ポリオール、水性媒体中では分離できない少なくとも3つのヒドロキシド基を有する少なくとも1つのモノマーから形成されたオリゴマーおよびポリマー、錯化剤もしくはキレート剤、摩擦剤、安定剤、レオロジー剤、界面活性剤、金属カチオン、抗菌剤または殺生物剤および有機溶媒から成る群から選択される。
【0114】
適切な有機研磨粒子(D)およびそれらの有効量は,例えば、メラミンおよびメラミン誘導体、例えばアセトグアナミン、ベンゾグアナミンおよびジシアンジアミドから成る固体粒子が開示されている米国特許出願公開第2008/0254628号明細書、第4頁第0054段落または国際公開第2005/014753号パンフレットから公知である。
【0115】
適切な無機研磨粒子(D)およびそれらの有効量は、例えば、国際特許公開第2005/014753号パンフレット、第12頁第1〜8行または米国特許第6068787号明細書第6段第41行〜第7段第65行から公知である。
【0116】
適切なハイブリッド有機−無機研磨粒子(D)およびそれらの有効量は、例えば、米国特許出願公開第2008/0254628号明細書第4頁第0054段落または同第2009/0013609号明細書第3頁第0047段落〜第6頁第0087段落から公知である。
【0117】
適切な酸化剤(D)およびそれらの有効量は、例えば、欧州出願公開第第1036836号明細書第8頁第0074〜0075段落または米国特許第6068787号明細書第4段第40行〜第7段第45行または米国特許第7300601号明細書第4段第18〜34行から公知である。好ましくは、有機および無機過酸化物、より好ましくは無機過酸化物が使用される。特に、過酸化水素が使用される。
【0118】
適切な不動態化剤(D)およびそれらの有効量は、例えば、米国特許第7300601号明細書第3段第59行〜第4段第9行または米国特許出願公開2008/0254628号明細書の第4〜5頁にわたる第0058段落から公知である。
【0119】
時々は摩擦剤とも呼ばれる適切な錯化剤もしくはキレート剤(D)(米国特許出願公開第2008/0254628号明細書第5頁第0061段落を参照)またはエッチング剤もしくはエッチャント(米国特許出願公開第2008/0254628号明細書第4頁第0054段落を参照)およびそれらの有効量は、例えば米国特許第7300601号明細書第4段第35〜48行から公知である。アミノ酸、特にグリシン、およびさらにその上、少なくとも1つ、好ましくは2つ、およびより好ましくは3つの第1級アミノ基を含有するジシアンジアミドおよびトリアジン、例えばメラミンおよび水溶性グアナミン、特にメラミン、ホルモグアナミン、アセトグアナミンおよび2,4−ジアミノ−6−エチル−1,3,5−トリアジンが最も特に好ましく使用される。
【0120】
適切な安定剤(D)およびそれらの有効量は、例えば、米国特許第6068787号明細書第8段第4〜56行から公知である。
【0121】
適切なレオロジー剤(D)およびそれらの有効量は、例えば、米国特許出願公開第20080254628号明細書第5頁第0065段落〜第6頁第0069段落から公知である。
【0122】
適切な界面活性剤(D)およびそれらの有効量は、例えば、国際特許公開第2005/014753号パンフレット第8頁第23行〜第10頁第17行または米国特許第7300601号明細書第5段第4行〜第6段第8行から公知である。
【0123】
好ましい界面活性剤(D)は、直鎖および分枝鎖アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド、ホモポリマーおよびコポリマーから成る群から選択される非イオン性界面活性剤である。
【0124】
好ましいエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー(D)は、ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはポリエチレンオキシドブロックおよびポリプロピレンオキシドブロックを含有するブロックコポリマーであってよい。
【0125】
好ましくは、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー(D)では、該ポリエチレンオキシドブロックは、10〜15のHLB値を有する。該ポリプロピレンオキシドブロックは、28〜約32のHLB値を有していてよい。
【0126】
好ましい界面活性剤(D)は慣習的および公知の市販で入手できる材料であり、欧州特許第1534795号明細書第3頁第0013段落〜第4頁第0023段落、特開2001−240850号公報第0007〜第0014段落と結び付けた請求項2、米国特許出願公開第2007/0077865号明細書第1頁第0008段落〜第2頁第0010段落、米国特許出願公開第2006/0124594号明細書第3頁第0036および0037段落ならびに同第2008/0124913号明細書の請求項14と結び付けた第3頁第0031〜0033段落に記載されている、またはそれらはBASF Corporation社の会社パンフレット「Pluronic(商標)& Tetronic(商標)Block Copolymer Surfactants,1996」または米国特許出願公開第2006/0213780号明細書によって明らかにされているように、BASF Corporation社およびBASF SE社によって商標名Pluronic(商標)、Tetronic(商標)およびBasensol(商標)を付けて販売されている。
【0127】
最も好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)が非イオン性界面活性剤(D)として使用される。
【0128】
適切な多価金属イオン(D)およびそれらの有効量は、例えば、欧州特許出願公開第1036836号明細書第8頁第0076段落〜第9頁第0078段落から公知である。
【0129】
適切な有機溶媒(D)およびそれらの有効量は、例えば、米国特許第7361603号明細書第7段第32〜48行または米国特許出願公開2008/0254628号明細書第5頁第0059段落から公知である。
【0130】
適切な抗菌剤または殺生物剤は、N−置換ジアゼニウムジオキシドおよびN’−ヒドロキシ−ジアゼニウムオキシド塩である
LCSTもしくはUCSTを示す適切な材料(D)は、例えばChemical Communication,2005,4872−4874におけるH.Mori,H.Iwaya,A.Nagai and T.Endoの論文、Controlled synthesis of thermoresponsive polymers derived from L−proline via RAFT polymerization;もしくはD.Schmaljohannの論文、Thermo−and pH−responsive polymers and drug delivery,Advanced Drug Delivery Reviews,volume 58(2006),1655−1670、または米国特許出願公開第2002/0198328号明細書、同第2004/0209095号明細書、同第2004/0217009号明細書、同第2006/0141254号明細書、同第2007/0029198号明細書、同第2007/0289875号明細書、同第2008/0249210号明細書、同第2008/0050435号明細書もしくは同第2009/0013609号明細書、米国特許第5057560号明細書、同第578882号明細書および同第6682642号明細書、国際特許出願公開第01/60926号パンフレット、同第2004/029160号パンフレット、同第2004/0521946号パンフレット、同第2006/093242号パンフレットまたは同第2007/012763号パンフレット、欧州特許出願公開第0583814号明細書、同第1197587号明細書および同第1942179号明細書もしくは独国特許出願第2610705号明細書に記載されている。
【0131】
原理上、CMPの分野において慣習的に使用される任意の公知の電荷反転剤(D)を使用できる。好ましくは、該電荷反転剤(D)は、カルボン酸塩、スルフィン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩およびリン酸塩基から成る群から選択される少なくとも1つのアニオン性基を含有するモノマー、オリゴマーおよびポリマー化合物から成る群から選択される。
【0132】
好ましくは、アニオン性リン酸塩分散剤、特に水溶性縮合リン酸塩が電荷反転剤(D)として使用される。
【0133】
適切な水溶性縮合リン酸塩(D)の例は、塩、特に一般式I:
[M
n(PO
3)
n] (I);
のメタリン酸塩のアンモニウム、ナトリウムおよびカリウム塩、ならびに一般式IIおよびIII:
M
n+2P
nO
3n+1 (II);
M
nH
2P
nO
3n+1 (III);
(式中、Mは、アンモニウム、ナトリウムもしくはカリウムカチオンであり、指数nは2〜10,000である)のポリリン酸塩である。
【0134】
特に適切な水溶性縮合リン酸塩(D)の例は、グラハム(Graham)塩(NaPO
3)
40−50、Calgon(商標)(NaPO
3)
15−20、クロール(Kurrol)塩(NaPO
3)
n(式中、n=約5,000)、ならびにヘキサメタリン酸アンモニウム、ナトリウムおよびカリウムである。
【0135】
本発明の組成物中の水溶性アニオン性リン酸塩分散剤(D)の濃度は、極めて広範囲に変動してよく、このため、最も有益には本発明の所定の組成物および方法の特定の要件に合わせて調整することができる。好ましくは、該アニオン性リン酸塩分散剤(D)は、10〜2,000、およびより好ましくは20〜1,000のセリア(A)対アニオン性リン酸塩分散剤(D)の重量比が結果として生じるような量で使用される。
【0136】
存在する場合、該官能性構成成分(D)を様々な量で含有することができる。好ましくは、(D)の総量は、対応するCMP組成物の総重量に基づいて、10wt%超(「wt%」は重量%を意味する)、より好ましくは2wt%以下、最も好ましくは0.5wt%以下、特に0.1wt%以下、例えば0.01wt%以下である。好ましくは、(D)の総量は、対応する組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.0001wt%、より好ましくは少なくとも0.001wt%、最も好ましくは少なくとも0.008wt%、特に少なくとも0.05wt%、例えば少なくとも0.3wt%である。
【0137】
本発明の組成物は、物質的に構成成分(A)、(B)および(C)とは異なる少なくとも1つのpH調整剤もしくは緩衝剤(E)を場合により含有することができる。
【0138】
適切なpH調整剤もしくは緩衝剤(E)およびそれらの有効量は、例えば、欧州特許出願公開第1036836号明細書第8頁第0080、0085および0086段落、国際公開第2005/014753号パンフレット第12頁第19〜24行、米国特許出願公開第2008/0254628号明細書第6頁第0073段落または米国特許第7300601号明細書第5段第33〜63行から公知である。pH調節剤または緩衝剤(E)についての例は、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、硝酸、および硫酸である。
【0139】
存在する場合、該pH調整剤もしくは緩衝剤(E)は、様々な量で含有できる。好ましくは、(E)の総量は、対応するCMP組成物の総重量に基づいて、20wt%以下、より好ましくは7wt%以下、最も好ましくは2wt%以下、特に0.5wt%以下、例えば0.1wt%以下である。好ましくは、(E)の総量は、対応する組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001wt%、より好ましくは少なくとも0.01wt%、最も好ましくは少なくとも0.05wt%、特に少なくとも0.1wt%、例えば少なくとも0.5wt%である。
【0140】
好ましくは、本発明の組成物のpHは、好ましくは上述したpH調整剤(E)を使用して、3〜10、より好ましくは3〜8、いっそうより好ましくは3〜7、および最も好ましくは5〜7に設定される。
【0141】
本発明の組成物の調製は、何の特殊性も示さないが、上述した構成成分(A)、(B)および(C)ならびに場合により(D)および/または(E)を水性媒体、特に脱イオン水中に溶解もしくは分散させる工程によって実施できる。このために、慣習的および標準的混合工程および混合装置、例えば攪拌槽、インライン溶解槽、高剪断インペラー、超音波ミキサー、ホモジナイザーノズルまたは向流ミキサーを使用できる。好ましくは、このようにして得られた本発明の組成物は、粗粒子状粒子、例えば固体の微細に分散した研磨粒子(A)の塊もしくは凝集体を除去するために、適切なメッシュ開口のフィルターを通してろ過することができる。
【0142】
本発明の組成物は、本発明の方法のために素晴らしく適合する。
【0143】
本発明の方法では、電気、機械および光学装置、特に電気装置、最も好ましくは、IC装置のための基板は、少なくとも1回、本発明の組成物と接触させられ、所望の平坦性が達成されるまで、研磨される、特に化学的および機械的に研磨される。
【0144】
本発明の方法は、少なくとも1つ、好ましくは1つの酸化ケイ素誘電体材料、およびポリシリコンから成る少なくとも1つの膜から成る少なくとも1つの誘電体分離膜を有するシリコン半導体ウェーハのCMPにおいてその特定の利点を示す。
【0145】
好ましくは、酸化ケイ素誘電体材料は、二酸化ケイ素および低kおよび超低k酸化ケイ素材料から成る群から選択される。
【0146】
場合により、該シリコン半導体ウェーハは、少なくとも1つの窒化ケイ素膜を有する。
【0147】
適切な二酸化ケイ素材料は、米国特許出願公開第2007/0175104号明細書第7頁第0092段落に記載されたように、低圧および高圧プラズマ化学蒸着法(LDPまたはHDP CVD)によって、モノシラン−酸素もしくはテトラエチルオルトシリケート(TEOS)−酸素プラズマを用いて予備調製することができる。
【0148】
適切な低kもしくは超低k材料および該断熱誘電体膜を調製する適切な方法は、例えば、米国特許出願公開第2005/0176259号明細書第2頁第0025〜0027段落、同第2005/0014667号明細書第1頁第0003段落、同第2005/0266683号明細書第1頁第0003段落および第2頁第0024段落もしくは同第2008/0280452号明細書第0024〜0026段落または米国特許第7250391号明細書第1段第49〜54行もしくは欧州特許出願公開第1306415号明細書第4頁第0031段落に記載されている。
【0149】
本発明の方法は、パターン化されたウェーハ基板上のポリシリコンの上方の誘電体酸化ケイ素材料の選択的除去を必要とするSTIのために特に適合する。この方法では、エッチングされたトレンチには誘電体酸化ケイ素材料、例えば二酸化ケイ素が過充填され、これがバリアまたは阻止膜としてのポリシリコン膜を用いて研磨される。この好ましい実施形態では、本発明の方法は、露出したポリシリコンおよびトレンチ二酸化ケイ素の除去を最小限に抑えながら該二酸化ケイ素を該バリア膜から除去する工程で終了する。
【0150】
さらに、本発明の方法は、さらにSTIのために特に適切であるが、このとき窒化ケイ素膜もまた存在するがそれは本発明の組成物が高い酸化物対ポリシリコン選択性だけではなく有益な窒化物対−ポリシリコン選択性および有益な酸化物対窒化物選択性もまた示すからである。
【0151】
本発明の方法は、特殊性を示さないが、ICsを備える半導体ウェーハの製造におけるCMPのために慣習的に使用される方法および装置を用いて実施することができる。
【0152】
当分野において公知であるように、CMPのための典型的装置は、研磨パッドを用いて被覆されている回転プラテンから成る。該ウェーハは、それとその上側の裏側が該研磨パッドに面しているキャリアまたはチャック上に載せられる。該キャリアは、該ウェーハを水平位置に固定する。研磨および保持装置のこの特定配列は、硬質プラテン設計としても公知である。該キャリアは、該キャリアの保持表面と研磨されていない該ウェーハの表面との間にあるキャリアパッドを保持することができる。このパッドは、該ウェーハのためのクッションとして機能できる。
【0153】
該キャリアの下方には、より大きな径のプラテンが同様に概して水平に配置され、研磨される該ウェーハの表面に平行の表面を提示している。その研磨パッドは、平坦化工程中に該ウェーハ表面に接触する。本発明のCMP工程中、本発明の組成物は、連続流として、または滴下法で該研磨パッド上に適用される。
【0154】
該キャリアおよびプラテンはどちらも、該キャリアおよびプラテンから垂直に伸びるそれらの各軸の周囲を回転させられる。該回転するキャリア軸は該回転するプラテンに対して位置が固定されたままとなってよい、または該プラテンに対して水平方向に振動してよい。該キャリアの回転方向は、必ずではないが、該プラテンの回転方向と同一である。該キャリアおよびプラテンの回転速度は、概して、必ずではないが、異なる数値に設定される。
【0155】
慣習的には、該プラテンの温度は、10〜70℃の温度に設定される。
【0156】
さらなる詳細は、国際公開第2004/063301号パンフレットの特に第16頁第0036段落から第18頁第0040段落を
図1と結び付けて参照されたい。
【0157】
本発明の方法によって、素晴らしい平坦性を有する、パターン化されたポリシリコンおよび誘電体酸化ケイ素膜、特に二酸化ケイ素膜を含むICsを備える半導体ウェーハを得ることができる。このため、素晴らしい平坦性、および完成したICでは素晴らしい電気的機能性をさらに有する銅ダマシンパターンを入手することができる。
【実施例】
【0158】
[実施例および比較実験]
【実施例1】
【0159】
両親媒性非イオン性界面活性剤(B)を含有している水性研磨組成物1〜9および両親媒性非イオン性界面活性剤(B)を含有していない水性研磨組成物10の調製
水性研磨組成物1〜10を調製するために、セリア(動的レーザー光散乱法によって決定した平均粒径d
50:120〜180nm)およびヘキサメタリン酸ナトリウム(PP;セリア対PPの重量比=200:1、以下ではPP
200と指定する)を超純水中に分散または溶解させた。
【0160】
水性研磨組成物1〜9を調製するためには、表1に列挙した両親媒性非イオン性界面活性剤(B)を追加して加えた。
【0161】
水性研磨組成物10の調製のためには、両親媒性非イオン性界面活性剤(B)を加えなかった。
【0162】
該水性研磨組成物の成分の量は、表2にまとめられている。
【0163】
【表1】
【0164】
a)ポリエチレンオキシド−ポリ−1,2−ブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドブロックコポリマー;
b)ポリエチレンオキシド−ポリ−2,3−ブチレンオキシドブロックコポリマー;
c)方法B:100gの5重量%塩化ナトリウム水溶液中の1gの界面活性剤;
方法E:25gの25重量%ブチルジグリコール水溶液中の5gの界面活性剤;
d)表面張力:25℃で45.3ダイン/cm
【0165】
【表2】
【0166】
[実施例2〜9および比較実験C1]
シリコン半導体ウェーハ上の二酸化ケイ素、窒化ケイ素膜およびポリシリコン膜のCMP
実施例2〜9のためには実施例1の水性研磨組成物1〜9を使用した。
【0167】
比較実験C1のためには実施例1の水性研磨組成物10を使用した。
【0168】
HDP二酸化ケイ素膜を有する200mmブランケットシリコンウェーハ、LPCVD窒化ケイ素膜を有する200mmブランケットシリコンウェーハおよび非晶質ポリシリコン膜を有する200mmブランケットシリコンウェーハを、以下の条件下で水性研磨組成物1〜10を用いて化学的機械的に研磨した。
【0169】
−研磨装置:AMAT Mirra(回転型);
−プラテンの速度:93rpm;
−キャリアの速度:87rpm;
−研磨パッド:IC1010−k溝付きパッド;
−パッドのコンディショニング:現場で;
−コンディショナー:3M A166;
−コンディショニングダウンフォース:5lbf(22.24N);
−スラリー流量:160mL/分;
−研磨ダウンフォース:3.5psi(205mbar);
−研磨時間:60秒間
MRRは、半導体基板上のHDP二酸化ケイ素、窒化ケイ素膜およびポリシリコン膜のCMP前後の厚さをThermawave Optiprobe 2600を使用して測定することによって決定した。
【0170】
MRRおよび計算酸化物対ポリシリコン、窒化物対ポリシリコンおよび酸化物対窒化物選択性は、表3にまとめられている。
【0171】
【表3】
【0172】
表3の結果は、実施例1の水性研磨組成物1〜9内の両親媒性非イオン性界面活性剤(B)が素晴らしいポリシリコン抑制剤として機能し、さらに、窒化物対−ポリシリコン選択性に有害な影響を及ぼさなかったことを明白にしている。