(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送方向(T)に沿った基板移送のための、及び、前記搬送方向に沿って伸びる第1の搬送経路(T1)と第2の搬送経路(T2)との間の変更のための、移送デバイス(100)であって、前記第1の搬送経路は、前記第2の搬送経路に対して、前記搬送方向に直角の切り替え方向(S)に変位され、前記移送デバイスは:
基板又は基板キャリアをチャンバ内で支持するための第1のトラックを画定する、第1の基板支持アセンブリ(110);
基板又は基板キャリアを前記チャンバ内で支持するための第2のトラックを画定する、第2の基板支持アセンブリ(120)を備え、
前記第1の基板支持アセンブリ及び前記第2の基板支持アセンブリは、互いに対して少なくとも前記切り替え方向に可動である、移送デバイス。
前記第1の基板支持アセンブリは少なくとも前記切り替え方向に可動であり、前記第1のトラックは、前記第1の搬送経路と、及び代替的に、前記第2の搬送経路と、位置合わせ可能であり;
前記第2の基板支持アセンブリは、少なくとも前記切り替え方向に可動であり、前記第2のトラックは、前記第1の搬送経路と、及び代替的に、前記第2の搬送経路と、位置合わせ可能である、請求項1に記載の移送デバイス。
前記第1の基板支持アセンブリ及び前記第2の基板支持アセンブリは互いに対して可動であり、前記第1のトラック及び前記第2のトラックが前記切り替え方向に互いを通過する、請求項1又は2に記載の移送デバイス。
前記磁気支持素子の第1の組及び前記磁気支持素子の第2の組は、実質的に垂直に配向された基板(50、60)又は基板キャリア(52、62)の最上部を磁力によって支持するように配置され、前記ローラ支持素子の第1の組及び前記ローラ支持素子の第2の組は、実質的に垂直に配向された基板(50、60)又は基板キャリア(52、62)の底部を支持するように配置され、
前記磁気支持素子の第1の組及び前記磁気支持素子の第2の組は上昇されるように適合され、前記ローラ支持素子の第1の組及び前記ローラ支持素子の第2の組は下降されるように適合され、前記磁気支持素子の第1の組(312)及び前記ローラ支持素子の第1の組(314)は、基板(50)又は基板キャリア(52)を保持しているとき、前記第1の基板支持アセンブリ(310)と前記第2の基板支持アセンブリ(320)との前記切り替え方向の相対的な移動中、前記磁気支持素子の第2の組(322)及び前記ローラ支持素子の第2の組(324)によって通過されることができ、及び、逆も同様である、請求項6に記載の移送デバイス。
前記基板を移送することは、前記基板が、第1の基板支持アセンブリ(310)の第1の支持素子(312、314)によって画定される第1のトラックによって支持されるように、前記基板を移送することを含み、前記空の基板支持アセンブリは第2の基板支持アセンブリであり、前記空の基板支持アセンブリの前記支持素子は第2のトラックを画定する第2の支持素子であり、前記基板を移動させることは、前記基板を支持している前記第1のトラックを移動させることを含み;
前記基板を支持している前記第1のトラック及び前記第2の支持素子によって画定される前記第2のトラックは、前記切り替え方向に互いに対して移動されて互いを通過する、請求項10又は11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、各図に一又は複数の例が示されている様々な実施形態を細部にわたり参照する。各例は説明として提示されており、限定を意味するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示されたもしくは説明された特徴を用いて、又は他の実施形態と組み合わせて、さらに別の実施形態を得ることができる。本開示は、このような修正形態又は変形形態を含むことが意図されている。
【0013】
図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ又は類似の構成要素を指す。全体的に、個々の実施形態に関して相違点のみが説明される。対応する実施形態のより深い理解のために、図示される構造は必ずしも縮尺通り又は角度通り描かれておらず、特徴が強調されていることがある。
【0014】
本明細書で使用する「方向」という用語は、ベクトル方向(「AからBへ」)の意味に限定されず、直線をたどることのできる両方のベクトル方向(「AからBへ」及び「BからAへ」)を含む。例えば、垂直方向は上へ及び下への両方の概念を含む。したがって、図面において、方向は、2つの頭部を備えた矢印で示される。
【0015】
本明細書で使用する「基板」という用語は、ガラス基板などの基板を包含する。したがって、基板は、典型的には、1.4m
2及びそれを上回るサイズの、典型的には5m
2及びそれを上回るサイズの大面積基板である。例えば、1.43m
2(Gen5)及びこれを上回る、5.5m
2(Gen8.5)、9m
2(Gen10)など又はこれらよりも大きい基板サイズが実現可能である。
【0016】
典型的には、基板は垂直に配向される、又は、実質的に垂直に配向される。したがって、実質的に垂直に配向される基板は、例えば、最大で15°又は最大で10°の、例えば、5°〜7°又はそれ未満の数度の傾斜を伴う安定した移送を可能にするために、処理システム内で、垂直配向からの幾らかの偏差を有することができることを理解されたい。したがって、基板は、実質的に又は本質的に垂直に配向されると称される。その最大表面(前面及び背面)に対する法線が、実質的に水平に配向される場合、すなわち、法線が、例えば5°から7°もしくはそれ未満の、例えば最大で15°又は最大で10°の、最大で数度の傾斜を有する基板は、実質的に垂直に配向される。最大表面のうちの少なくとも1つ、すなわち、前面及び背面のうちの少なくとも1つは、典型的には、本明細書に記載の実施形態による基板移送デバイスが使用され得る基板処理システム内でコーティングされる。実質的に水平に配向される基板は、最大で15°又は最大で10°など、5°から7°もしくはそれ未満などの、垂直方向から最大で数度傾斜される、その最大表面に対する法線を有する。
【0017】
一実施形態によれば、移送デバイスが提供される。当該移送デバイスは、基板移送のために構成される。これを基板移送デバイスと称してもよい。当該移送デバイスは、実質的に垂直に配向された基板を移送するために構成され得る。当該移送デバイスは、代替的に、例えば、スパッタアップ又はスパッタダウン処理のために、実質的に水平に配向された基板を移送するために構成され得る。
【0018】
基板は、例えば、Gen5及びこれを上回る、又はGen8をも上回る、ガラス基板などの大面積基板であり得る。実質的に垂直な配向での基板移送は、大面積基板では特に有利である。ハンドリングによって基板の最上部で発生した粒子が基板上に落下し得るので、ハンドリングシステムに起因する粒子発生の問題は、垂直に配向される基板においてより顕在化する。したがって、本明細書に記載の実施形態による移送デバイスは、実質的に垂直に配向された基板の移送に対して特に有利である。
【0019】
移送デバイスは、基板処理システムのチャンバ内に、例えば処理チャンバ内、移送チャンバ内、ロックチャンバ内、又はスイングチャンバ内に、配置されるように適合され得る。典型的には、チャンバは典型的には真空チャンバである。基板処理システムは、インライン基板処理システムあり得る、又は、少なくとも部分的にインライン基板処理システムであり得る。基板処理システムは、基板上に層を堆積するための真空堆積チャンバ、例えば、スパッタチャンバを含むシステムであり得る。基板処理システムは、TFTメタライゼーションプロセスのためのシステムであり得る。インライン処理システムは、典型的には、一連の層を堆積するための一連のチャンバを提供する。これにより、1つのチャンバで1つの層が、その後別のチャンバで別の層が、順に堆積される。例えば、基板上にモリブデンの薄層が堆積され、続いてこのモリブデン層上にアルミニウムの厚い層が堆積されることができ、さらなるモリブデンの薄層がアルミニウム層上に堆積される。
【0020】
移送デバイスは、搬送方向に沿った基板移送のために構成される。当該移送デバイスはさらに、第1の搬送経路と第2の搬送経路との間の変更のために構成される。第1の搬送経路と第2の搬送経路との間の変更において、基板又は基板キャリアは、第1の搬送経路から第2の搬送経路へと、又は第2の搬送経路から第1の搬送経路へと、移動される。第1の搬送経路及び第2の搬送経路は、搬送方向に沿って伸びる。第1の搬送経路及び第2の搬送経路は、切り替え方向に、互いに対して変位される。切り替え方向は、搬送方向に対して直角である。
【0021】
移送デバイスは、第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリを含む。第1の基板支持アセンブリは、チャンバ内で基板又は基板キャリアを支持するための第1のトラックを画定する。第2の基板支持アセンブリは、同じチャンバ内で基板又は基板キャリアを支持するための第2のトラックを画定する。トラックは、基板又は基板キャリアを支持することができる基板支持アセンブリによって画定されたスペースである。
【0022】
基板もしくは基板キャリアが下方から支持されるだけではなく、同時に上方からも支持され得る、例えば保持される及び/又は案内される、にも関わらず、垂直配向の基板もしくは基板キャリアがトラック上に立つ又は位置すると述べる場合がある。単一の基板支持アセンブリは、異なる搬送経路上の幾つかの基板もしくは基板キャリアを同時に支持する物体、又は、幾つかのチャンバ内に配置される物体として解釈されるべきではない。基板支持アセンブリによって画定されるトラックに、1つよりも多い基板又は基板キャリアが取り付けられる場合には、1つの基板支持アセンブリが1つよりも多い基板又は基板キャリアを支持するかも知れないが、典型的には1つのみの基板又は基板キャリアを支持する。
【0023】
第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリは、少なくとも切り替え方向に、互いに対して可動である。第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリの、切り替え方向の互いに対しての相対的な移動は、第1の基板支持アセンブリのみが切り替え方向に移動される場合、第2の基板支持アセンブリのみが切り替え方向に移動される場合、両方の基板支持アセンブリが互いに反対方向に切り替え方向に移動される場合、又は、両方の基板支持アセンブリが同じベクトル方向にただし異なる速度で切り替え方向に移動される場合を含む。
【0024】
図1は、一実施形態による移送デバイス100の概略図を示す。移送デバイス100は、第1の搬送経路T1に沿って及び第2の搬送経路T2に沿って、基板又は基板キャリアを搬送方向Tに移送するように適合される。搬送経路T1及びT2は、搬送方向Tに直角の切り替え方向Sに、互いから距離dで離間される。移送デバイス100は、第1の基板支持アセンブリ110及び第2の基板支持アセンブリ120を含む。これらの基板支持アセンブリは、両者の間の両矢印で示すように、切り替え方向Sに互いに対して可動である。
【0025】
特に、基板又は基板キャリアが、第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリのうちの1つによって画定されるトラックによって支持されているとき、当該基板又は基板キャリアは、前記基板支持アセンブリと共に切り替え方向に移動されることができる。この状況は、基板又は基板キャリアを支持しているトラック上の基板移動、又は、基板又は基板キャリアを支持しているトラック内の基板移動と称され得る。空でないトラックの移動、又は、トラックを支持するキャリアの移動、又は、基板支持トラックの移動と称される場合もある。基板支持アセンブリと共に切り替え方向に移動されるとき、基板又は基板キャリアは、自身を現在支持しているトラックを離れない。基板又は基板キャリアをフックで持ち上げて一方のトラックから他方のトラックへと動かす、別個の基板ハンドリングデバイスは不要である。後続する基板処理の障害となり得る粒子発生のリスクが大幅に低減される。さらに、基板ハンドリングデバイスによって要求される余分なタクトタイムがないので、タクトタイムも改善される。
【0026】
さらに、特に移送デバイスが基板処理チャンバ内に配置されるとき、例えば、硬直的に連結され(rigidly connected)、空間を消費する3つのトラックの組み合わせを備える、国際出願第2009/156196A1号の移送手段に比べて、基板支持アセンブリが切り替え方向に相対的に可動であることにより、層の堆積が行われる処理領域内の空間を節減することができる。国際出願第2009/156196A1号の内容は、本開示の内容と適合する限りにおいて、参照により本明細書に組み込まれる。相対的な移動が可能であることによりプロセスの実施に関する柔軟性も増大し、したがって、タクトタイムを削減した改善された基板処理の実施が可能となり得る。
【0027】
図1は、垂直に配向された基板を移送するための移送デバイス及び水平に配向された基板を移送するための移送デバイスの両方を表すことができる。垂直に配向された基板では、
図1は上面図を示す。垂直方向は、図に入ってくる及び図から出ていく方向となり、搬送方向に沿った搬送方向は第1の水平方向となり、切り替え方向Sは第1の水平方向に直角の第2の水平方向となる。水平に配向された基板では、
図1は側面図を示す。切り替え方向は垂直方向であり、搬送方向は水平方向となる。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、第1の基板支持アセンブリは切り替え方向に可動であり得る。第2の基板支持アセンブリは切り替え方向に可動であり得る。第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリは、互いから独立して切り替え方向に可動であり得る。第1の基板支持アセンブリによって画定される第1のトラックが、第1の搬送経路と位置合わせされることができるように、及び異なるときに第2の搬送経路とも位置合わせされることができるように、第1の基板支持アセンブリは切り替え方向に可動であり得る。換言すれば、第1のトラックは、第1の搬送経路と位置合わせ可能であり、代替的に第2の搬送経路と位置合わせされ得る。第2の基板支持アセンブリによって画定される第2のトラックが、
第1の搬送経路と位置合わせされることができるように、及び異なるときに第2の搬送経路とも位置合わせされることができるように、第2の基板支持アセンブリは切り替え方向に可動であり得る。換言すれば、第2のトラックは、
第1の搬送経路と位置合わせ可能であり、代替的に第2の搬送経路と位置合わせされ得る。
【0029】
第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリは、第1のトラック及び第2のトラックが切り替え方向に互いを通過するように、互いに対して可動であり得る。互いを通過することは、下記を意味する。Xが、第1のトラック及び第2のトラックの法線に平行な法線を有する平面であると仮定し、ここで、平面Xは基板支持アセンブリ間になく、したがって、切り替え方向に見たときにトラック間にない。1つの時点で、第1の基板支持アセンブリ(及びしたがって第1のトラック)が、切り替え方向に測定して、第2の基板支持アセンブリ(及びしたがって第2のトラック)よりも平面Xに近い場合、第1の基板アセンブリと第2の基板支持アセンブリとが、及びしたがって第1のトラックと第2のトラックとが、互いを通過した後、近位性の関係は逆転する。通過後、第2の基板支持アセンブリ(及びしたがって第2のトラック)は、切り替え方向に測定して、第1の基板支持アセンブリ(及びしたがって第1のトラック)よりも平面Xに近い。図示のために、当該平面が
図4のチャンバ200のチャンバ壁202を包含するとする。第2の基板支持アセンブリ120及び第2のトラックは、第1の基板支持アセンブリ及び第1のトラックよりも、切り替え方向Sに壁202に近い。基板支持アセンブリ110、120が、及びしたがって、第1のトラックと第2のトラックとが、互いを通過すると、第1の基板支持アセンブリ110及び第1のトラックは、第2の基板支持アセンブリ120及び第2のトラックよりも、チャンバ壁202に近い。
【0030】
通過は切り替え(switching)とも称され得る。したがって、本明細書において、相対的な移動の方向は切り替える方向(switching direction)とも称される。切り替えることは、第1のトラックが第2のトラックのかつての位置を占めること、及びその逆を必ずしも含意しない。第1の基板アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリは、対応するトラックが交換されるように互いの位置を交換し得るが、必ずしもこうである必要はない。
【0031】
図2は、位置合わせ及び通過を示す。基板支持アセンブリ110は、基板支持アセンブリ110の左の曲線矢印で示すように、任意選択で第1の搬送経路T1に位置合わせされ、任意選択で第2の搬送経路T2に位置合わせされる。第2の基板支持アセンブリ120もまた、第2の基板支持アセンブリ120の右の曲線矢印で示すように、任意選択で第1の搬送経路T1に位置合わせされ、任意選択で第2の搬送経路T2に位置合わせされる。図の中間部の2つの対向する矢印で示すように、第1の基板支持アセンブリ110は第2の基板支持アセンブリ120を、又は第2の基板支持アセンブリ120は第1の基板支持アセンブリ110を、通過することができる。
【0032】
さらなる実施形態によれば、例えば、処理チャンバ、移送チャンバ、ロックチャンバ、又はスイングモジュールなど、基板処理システムのためのチャンバが提供される。チャンバは真空チャンバであり得る。チャンバは、例えばスパッタチャンバなどの真空堆積チャンバであり得る。チャンバは、チャンバ内への又はチャンバ外への、搬送経路に沿った基板移送のための、少なくとも1つの基板移送ポートを含み得る。一又は複数の移送ポートは、基板が一又は複数の移送ポートを通ってチャンバ内の真空を破ることなく移送を可能にするように構成され得る。チャンバは、本明細書に記載の任意の実施形態による基板移送のための、移送デバイスを含む。
【0033】
図3は、移送デバイス100が内部に配置されたチャンバ200を示す。チャンバ200は、第1の搬送経路T1がチャンバ壁201を横断する位置で第1の基板移送ポート210を含み、第2の搬送経路T2がチャンバ壁201を横断する位置で第2の基板移送ポート220を含む。
図3で、第1の搬送経路及び第2の搬送経路はチャンバ200内で終端する。チャンバ200は、例えば、インライン基板処理システムにおける最初のチャンバ又は最後チャンバであり得る。搬送経路T1及びT2は、他の実施形態ではチャンバ壁201に対向するチャンバ壁を横断し、これらの実施形態ではさらなる基板移送ポートが存在する。
【0034】
図4は、基板処理チャンバとして構成されるチャンバ200の一実施形態を示す。チャンバ200は、移送デバイス100、基板を第1の搬送経路T1に沿ってチャンバ200の内へ又は外へ移送するための第1の基板移送ポート210、
第1の搬送経路T1がチャンバ壁203を横断する位置で基板を第1の搬送経路T1に沿ってチャンバ200の内へ又は外へ移送するための別の第1の基板移送ポート212、基板を第2の搬送経路T2に沿ってチャンバ200の内へ又は外へ移送するための第2の基板移送ポート220、及び、
第2の搬送経路T2がチャンバ壁203を横断する位置で基板を第2の搬送経路T2に沿ってチャンバ200の内へ又は外へ移送するための別の第2の基板移送ポート222、を含む。チャンバは、基板上に層を堆積するための堆積ソース250、例えばスパッタカソードも含む。基板をコーティングするために基板又は基板キャリアが移動されていく、基板処理位置Pが示されている。処理位置は、典型的には搬送経路に対して平行であり、搬送経路とは異なる。代替的に、処理位置は、チャンバ内の搬送経路のうちの1つ、例えば搬送経路T2の、一部分と一致する。
【0035】
本明細書に記載の実施形態による移送デバイスの基板支持アセンブリは、第1の搬送経路及び第2の搬送経路と、並びに基板処理位置と、位置合わせされ得る。このことは、第1の基板支持アセンブリ110に関しては、基板支持アセンブリ110の左の3つの曲線矢印で示され、第2の基板支持アセンブリ120に関しては、基板支持アセンブリ120の右の3つの曲線矢印で示されている。図の中間部の2つの対向する矢印で示すように、第1の基板支持アセンブリ110及び第2の基板支持アセンブリ120は、第1の搬送経路T1及び第2の搬送経路T2と並びに処理位置Pと、個別に位置合わせされることができるように、互いを通過し得る。
図1〜
図4に示す基板支持アセンブリの現在位置は、単に図示のために、ランダムに選択されている。
【0036】
第1の基板支持アセンブリは第1の支持素子を含み得、第2の基板支持アセンブリは第2の支持素子を含み得る。支持素子は一般的に、機械的支持素子及び/又は磁気支持素子を含み得る。機械的支持素子は、例えば、ローラ、ベルト、又はクランプもしくはグリッパなどの機械的案内素子であることができる。磁気支持素子は、例えば、磁気案内素子であり得る。支持素子は、基板又は基板キャリアを支持する、例えば、基板もしくは基板キャリアを保持する及び/又は案内するように構成される。幾つかの支持素子は、ドライバ又はドライバシステムに連結され得る。被駆動支持素子、例えば、基板もしくは基板キャリアがその上に立つ被駆動ローラ又は被駆動ベルトは、基板移送を実施するため又は基板移送を助けるために、基板又は基板キャリアに対し搬送方向に運動を付与することができる。
【0037】
基板支持アセンブリは、基板支持のためのトラックを画定するのに適した任意の数の及び任意のタイプの支持素子含み得る。例えば、基板支持アセンブリは1つのベルト及び/又は2〜20個のローラ、典型的には2〜10個のローラ、例えば3個もしくは5個のローラを含み得る。移送デバイスは、後述する静止ローラのような、追加の静止した支持素子を含み得る。基板支持アセンブリは、付加的に又は代替的に、1〜20個の磁気支持素子、典型的には2〜10個、より典型的には5〜9個の磁気支持素子を含み得る。垂直に配向された基板の処理において、これら複数のローラ及び/又は一もしくは複数のベルトは、基板又は基板キャリアの底部を支持するように配置され得る。複数のローラは基板又は基板キャリアを運び得る。複数のローラ及び/又は一もしくは複数のベルトは少なくとも部分的に、基板の搬送方向の能動的な移動を可能にする、複数の被駆動ローラ又は一もしくは複数の被駆動ベルトであり得る。基板又は基板キャリアに接する複数のローラ又は他の機械的支持素子は、有利には、基板又は基板キャリアの底部に配置される。この場合、機械的接触に起因して発生する粒子は基板上に落下しない。磁気支持素子は、基板又は基板キャリアの最上部を磁力によって支持するように配置され得る。磁気支持素子は、基板又は基板キャリアが複数のローラによって運ばれる間、及び可能な場合は移動される間、基板又は基板キャリアの最上部を案内するための磁気案内素子であり得る。磁気支持素子は、基板又は基板キャリアの少なくとも最上部で、基板又は基板キャリアの非接触案内を可能にする。基板上に落下して基板処理に不利に影響するかもしれない粒子がない。
【0038】
図5〜8は、さらなる実施形態による移送デバイス及び移送システム、及び、当該移送デバイス又は移送システムによって基板が移動される方法を示す。
図5は、第1の支持素子312を含む第1の基板支持アセンブリ310、及び、第2の支持素子322を含む第2の基板支持アセンブリ320を示す。
図5及び
図6〜8は動作原理を示す概略図であるので、支持素子の実際の数及びタイプは必ずしも図に反映されていない。図示の支持素子は、例えば、磁気案内素子であり得る。
【0039】
図5に示すように、第1の基板支持アセンブリ310は基板50を支持する。支持は、少なくとも部分的に第1の支持素子312を介して提供される。支持素子312は、基板50又はそのキャリアを支持しながら処理位置Pに移動される。第2の基板支持アセンブリの第2の支持素子322は、第1の搬送経路T1へと移動される。基板50はそのトラックで支持されて移動され、基板又はそのキャリアの追加のハンドリングは存在しない。基板50及び第1の支持素子312は、処理位置Pへの移動の過程で第2の支持素子322を通過する。第1の支持素子312及び第2の支持素子322は、同時に移動し得る。代替的に、支持素子の組のうちの1つのみが移動する。例えば、基板50を支持している第1の支持素子312は、まず処理位置Pへと移動し得、次いで第2の基板支持素子322が第1の搬送経路T1との位置合わせへと移動し得る。いずれの場合にも、切り替え方向に、第1の支持素子と第2の支持素子との間で相対的な移動がある。
【0040】
図6は、基板50が処理位置Pにあり堆積ソース250からのコーティング層を受ける状況を示す。基板50上への層の堆積後、第1の支持素子312及び基板50は、
図7で示すように、第2の搬送経路T2へと移動する。
図7は、もう1つの基板処理チャンバ又は移送チャンバ、ロックチャンバ、又はスイングモジュールであり得るさらなるチャンバ500も示す。さらなるチャンバ500は、本明細書に記載の任意の実施形態による基板移送デバイスであり得る、第2の移送デバイスを含む。
【0041】
第2の移送デバイスは、基板支持素子412及び422をそれぞれ含む、2つのさらなる基板支持アセンブリ410、420を含む。第2の基板60は、第1の搬送経路T1と位置合わせされ、基板支持素子412によって支持される。
図8は、第2の搬送経路T2に沿ったチャンバ200からチャンバ500への第1の基板50の、及び、第1の搬送経路T1に沿ったチャンバ500からチャンバ200への第2の基板60の、同時の移送を示す。以前は空であった支持アセンブリ420の支持素子422は、チャンバ500において第1の基板50を受け、以前は空であった支持アセンブリ320の支持素子322は、チャンバ200において第2の基板60を受ける。
図5〜7と同様、基板60が移動されて以前の基板50と同様の方式でコーティングされ、基板処理が続行され得る。
【0042】
本明細書に記載の実施形態による、2つ又はそれよりも多い移送デバイスは、基板処理システム内の又は基板処理システムを通過する基板移送のための、搬送システムを形成することができる。さらなる実施形態は、少なくとも2つの搬送デバイスを含む搬送システムに関し、そのような搬送システムを含む少なくとも2つのチャンバ、典型的には真空チャンバに関し、及び、搬送システムを含む基板処理システムもしくは搬送システムを含む少なくとも2つのチャンバを含む基板処理システム関する。基板処理システムは、典型的には、真空基板処理システム、例えばインライン真空基板処理システムである。基板処理システムのチャンバは、真空気密式に相互連結され得、基板をチャンバ内へ又はチャンバ外へ移送するための、対応する基板移送ポートを含み得、移送ポートはロックによって連結され得る。基板処理システムは、「基板処理システム及び基板を処理する方法(Substrate rocessing System and Method of Processing Substrates)」と題する、本願と同日に出願され同一の出願人に譲渡された、代理人整理番号17507P−WOのPCT出願に記載され、その内容は全体として本願に組み込まれる。
【0043】
本明細書に記載の実施形態による搬送デバイスは、2つよりも多い基板支持アセンブリ、例えば、3つ、4つ、5つ、又は5つよりも多い基板支持アセンブリを含み得る。典型的な実施形態では、搬送デバイスは厳密に2つの基板支持アセンブリを有する。そのような搬送デバイスは、国際出願第2009/156196A1号の硬直的なトリプルトラック又はデュアルトラックデバイスに対して、デュアルトラック切り替え搬送デバイスと称される。デュアルトラック切り替え搬送デバイスを含むチャンバは、デュアルトラック切り替えチャンバと称される。デュアルトラック搬送デバイス(切り替え可能であっても硬直的であってもよい)のみを含む搬送システムは、デュアルトラック搬送システムと称され、デュアルトラックチャンバのみを含む又はデュアルトラック搬送システムを含む基板処理システムは、デュアルトラック基板処理システムと称される。デュアルトラック搬送システム又はデュアルトラック基板処理システムが、少なくとも1つのデュアルトラック切り替え搬送デバイスを含む場合、デュアルトラック切り替え搬送システム又はデュアルトラック切り替え基板処理システムと称される。
【0044】
図9は、第1の基板支持アセンブリ310と第2の基板支持アセンブリ320とを含む搬送デバイスを示し、これらアセンブリの両方は、アセンブリ320の左及びアセンブリ310の右に示す両矢印で示されるように、互いから独立して切り替え方向Sに可動である。第1の基板支持アセンブリ310は、
ローラの第1の組314を含む第1の支持素子を含み、第2の基板支持アセンブリ320は、ローラ
の第2の組324を含む第2の支持素子を含む。
ローラの第1及び第2の組314、324は、切り替え方向に可動である。
図9で、基板60はローラ324によって支持されている。
【0045】
搬送デバイスは、付加的に、切り替え方向に可動でない、例えば静止ローラなどの静止した支持素子を含み得る。搬送デバイスは、例えば、トラックあたり1〜10個の静止ローラ、典型的にはトラックあたり2〜4個の静止ローラ、トラックあたり2個の静止ローラなどを含み得る。静止ローラは被駆動ローラであり得る。
図9は、第1の搬送経路T1に位置合わせされた2つの第1の静止ローラ394、及び、第2の搬送経路T2に位置合わせされた2つの第2の静止ローラ384を示す。例として、基板60が、右からチャンバに入り、対応する基板移送ポートを通って搬送方向Tに沿って一又は複数のローラ394を通過し、現在はローラ324によって支持されているとする。
【0046】
図9のローラ314及び324は
図5〜8に示すのと同様の方式で移動され得る。具体的には、ローラ314、324は、ローラの一方の組、例えばローラの組324が基板を支持していても、切り替え方向Sに互いを通過することができる。
図5〜8は任意の種類の支持素子を概略的に示すが、支持素子の組312及び322によって磁気案内素子が表されている例、並びに、これら支持素子が垂直に配向された基板又は基板キャリアの最上部を支持している例を想定されたい。したがって、
図8のチャンバ200の視点は、基板60又はそのキャリアの最上部を通る平面での、チャンバ200の水平断面とみなすことができる。したがって
図9は、基板60又はそのキャリアの底部を通るより低い平面での、同じチャンバ200の水平断面を表すことができる。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、1つの支持アセンブリの支持素子は、1つのグループとして切り替え方向に可動であり得る。1つの支持アセンブリの支持素子によって画定されるトラックは、したがって、法線が実質的に切り替え方向である平面内にある。したがって、基板又は基板キャリアは、実質的に傾斜なく、例えば、最大で10°又は最大で7°の傾斜を伴って、トラック上で移動されることができる。
【0048】
空の基板支持アセンブリ、すなわち基板又は基板キャリアを現在支持していない基板支持アセンブリ、及び、装填された基板支持アセンブリ、すなわち基板又は基板キャリアを現在支持している基板支持アセンブリが、切り替え方向に互いを通過するとき、3つの状況が起こり得る。空の基板支持アセンブリ、またその支持素子が、装填された基板支持アセンブリの基板と支持素子との両方を、衝突することなく通過することができる。しかしながら、典型的には、空の基板支持アセンブリの支持素子は、装填された基板支持アセンブリの基板及び/又は基板支持素子を切り替え方向に通過しようとするときに、これと衝突することがある。ここで、空の基板支持アセンブリ支持素子は、そのような衝突を避けるために回避移動を実施することができる。両方の支持アセンブリの支持素子が、例えば互いに対してオフセットされているためこれらが空であれば衝突することなく互いを通過することができる場合、回避移動は、基板との衝突を避ける必要があるのみである。そうでない場合は、装填された基板支持アセンブリの基板との及び支持素子との衝突が、避けられる必要がある。
【0049】
さらなる実施形態によれば、第1の基板支持アセンブリは第1の支持素子を含み得、第2の基板支持アセンブリは第2の支持素子を含み得、第1の支持素子の少なくとも部分及び第2の支持素子の少なくとも部分は、回避方向に、互いに対して可動である。回避方向は、搬送方向に対して直角であり、切り替え方向に対して直角である。垂直に又は実質的に垂直に配向された基板もしくは基板キャリアにおいて、回避方向は垂直方向である。回避方向の相対的な移動は、少なくとも、第1の基板支持アセンブリと第2の基板支持アセンブリとの切り替え方向の相対的な移動中に、可能となる。第1の基板支持アセンブリの第1の支持素子及び第2の基板支持アセンブリの第2の支持素子は、切り替え方向及び回避方向の両方に、互いに対して可動であり得る。
【0050】
第1の支持素子は、又は少なくともその部分は、回避方向に可動であり得る。付加的に又は代替的に、第2の支持素子は、又は少なくともその部分は、回避方向に可動であり得る。第1の支持素子及び第2の支持素子は、又は少なくともその各々の部分は、回避方向に独立して可動であり得る。
【0051】
回避移動のために、支持素子は傾斜される又はピボットされるように構成され得る。支持素子は、傾斜又はピボットを通じて、回避方向に変位をとり得る。ここで、傾斜又はピボットによる変位の量は、上述のような必要性に応じて、傾斜された又はピボットされた支持素子が、装填された支持アセンブリによって支持される基板を通過することができる、又は、装填された支持アセンブリの支持素子を通過することができる、又はそれらの両方を通過することができるような量である。典型的には、基板との衝突のみを避けるための回避移動は、装填された基板支持アセンブリの支持素子との衝突を避けるための移動に比べて、傾斜又はピボットによるより少ない変位を必要とする。傾斜又はピボットの量、及びしたがって回避方向の変位の量は、状況に応じて決定される。
【0052】
第1の支持素子及び第2の支持素子は、基板がない状態で切り替え方向に移動されるとき、衝突することなく互いを通過することができるような寸法とすることができる。この方式で、回避移動はより小さくすることができ、より少ない傾斜又はピボットが要求される。代替的に、第1の支持素子及び第2の支持素子は、基板がない状態で切り替え方向に移動されるとき、衝突するような寸法とすることができる。これにより、搬送方向により大きい寸法の支持素子が可能となり、これは磁気案内素子のような案内素子において特に有利である。
【0053】
第1の支持素子は上方支持素子の第1の組を含み得る。上方支持素子は、実質的に垂直に配向された基板又は基板キャリアの上方部分を支持するように構成される。第2の支持素子は上方支持素子の第2の組を含み得る。第1の支持素子は下方支持素子の第1の組を含み得る。下方支持素子は、実質的に垂直に配向された基板又は基板キャリアの下方部分を支持するように構成される。第2の支持素子は下方支持素子の第2の組を含み得る。上方支持素子は、例えば、磁気案内素子などの磁気支持素子、又は、ローラなどの機械的支持素子であり得る。下方支持素子は、例えば、ローラ又はベルトなどの機械的支持素子であり得る。上方支持素子及び/又は下方支持素子は、ピボット可能もしくは傾斜可能であり得る。
【0054】
第1の支持素子は磁気支持素子の第1の組を含み得、第2の支持素子は磁気支持素子の第2の組を含み得る。磁気支持素子の第1の組及び第2の組のうち少なくとも一方は、磁気支持素子の互いの他方の組に対して回避方向に変位をとるため、ピボットされる又は傾斜されるように構成され得る。第1の支持素子はローラ支持素子の第1の組を含み得る。第2の支持素子はローラ支持素子の第2の組を含み得る。ローラ支持素子の第1の組及び第2の組のうち少なくとも一方は、ローラ支持素子の互いの他方の組に対して回避方向に変位をとるため、ピボットされる又は傾斜されるように構成され得る。
【0055】
磁気支持素子の第1の組及び第2の組は、実質的に垂直に配向された基板又は基板キャリアの最上部を磁力によって支持するように構成され得、すなわち、これらは上方支持素子であり得る。ローラ支持素子の第1の組及び第2の組は、実質的に垂直に配向された基板又は基板キャリアの底部を支持するように構成され得、すなわち、これらは下方支持素子であり得る。回避方向は、垂直に配向された基板又は基板キャリアにおいては垂直方向である。磁気支持素子の第1の組及び第2の組は、上昇されるすなわち垂直方向に沿って上に移動されるように適合され、
ローラ支持素子の第1の組及び第2の組は、下降されるすなわち垂直方向に沿って下に移動されるように適合される。この上下運動は、第1の基板支持アセンブリと第2の基板支持アセンブリとの切り替え方向の相対的な移動中に、磁気支持素子の第1の組とローラ支持素子の第1の組とが、基板又は基板キャリアを保持しているときに、
磁気支持素子の第2の組とローラ支持素子
の第2の組とによって通過されることができるためのものである。この上下運動は、第1の基板支持アセンブリと第2の基板支持アセンブリとの切り替え方向の相対的な移動中に、磁気支持素子の第2の組とローラ支持素子の第2の組とが、基板又は基板キャリアを保持しているときに、
磁気支持素子の第1の組及びローラ支持素子の第1の組によって通過されることができるためのものである。
【0056】
図10〜13は、傾斜による回避移動を概略的に示す。図示の例は、垂直に位置合わせされた基板60及び基板キャリア62に関する。この例は、
図5及び6に示す基板50の移動に類似した基板60の移動を実現する、特定の実施形態と見なされることができる。傾斜角及び他の寸法は、図示のために誇張されている。
【0057】
図10は、堆積ソース250を含む真空チャンバ200を示す。真空チャンバ200は、堆積ソース250に対向する壁204を有する。搬送デバイスは、第1の基板支持アセンブリ310及び第2の基板支持アセンブリ320を有する。第1の基板支持アセンブリ310は、ローラの組314及び磁気案内素子の組312を含む。第2の基板支持アセンブリ320は、基板60を保持している基板キャリア62を現在支持する、ローラの組324及び磁気案内素子の組322を含む。ローラの軸は、真空チャンバ200の壁204における開口を通って、非真空領域600へと伸びる。軸が壁204を通る点において、例えば下記のシールのようなシールが提供され得る。シールは、開口を真空気密式に密閉する。開口及びシールは、軸の傾斜を可能にするような寸法とされる。開口及びシールは、軸の切り替え方向の傾斜移動を可能にするような寸法とされ得る。
【0058】
キャリア62の基板60は、
図10の第1の搬送経路に位置合わせされる。例として、基板60及び基板キャリア62は、例えば、
図8に示すのと同様に第1の搬送経路に沿ってチャンバ内へと移送された。第1の基板支持アセンブリの、現在は空の支持素子312及び314は、それらが存在する軸を傾斜することによって、回避方向Eに移動される。一般的な特徴として、傾斜移動における回転の中心は、支持素子の軸が通過するチャンバ壁における各開口に位置し得る。
図10に示す実施形態で、一又は複数の磁気案内素子312は上方に移動され、ローラ素子314は下方に移動され、
図11に示す状況となる。
【0059】
図10〜13に示す実施形態で、ローラ314及び324は、チャンバ内に基板がなければ、衝突することなく互いを通過することができる。
図11に示すように、ローラ314は、キャリア62の最も低い部分の下を通過することができる量だけ傾斜される。磁気案内素子312及び322は、チャンバ内に基板がなくとも、傾斜されない状態では、衝突することなく互いを通過することができない。これらは互いを通過することができる量だけ傾斜され、
図11に示すように、基板キャリア62の最も上方の部分との衝突のみが避けられる状況と比較して、より大きい傾斜角を要求し得る。
【0060】
傾斜角αは、所望の変位e、並びに、回転の中心と他の支持素子を通過させるための変位位置であるとされる支持素子の点との間の長さlに依存し、すなわち、sinα=e/lである。傾斜角は、例えば、0.5°〜20°であり得る。傾斜角は、基板又は基板キャリアの底部における支持素子においては1°〜5°、典型的には2°〜4°、例えば約2.5°であり得る。傾斜角は、基板又は基板キャリアの最上部における支持素子においては10°〜20°、典型的には12°〜16°、例えば約14°であり得る。
【0061】
図11に示すように、支持素子312及び314が傾斜した第1の基板支持アセンブリ310は、壁204の方へと切り替え方向Sに移動され、支持素子322及び324が基板キャリア62を支持している第2の基板支持アセンブリ320は、堆積ソース250の方へと切り替え方向Sに移動される。
図12で、基板キャリア62及び基板60は、第2のトラックによって支持されながら、処理位置へと移動された。傾斜した支持素子312及び314は、第2の基板支持アセンブリ320の基板60及び支持素子322、324を通過すると、傾斜解除されることができる、すなわち、それらの軸が水平位置に戻されることができる。
図13は、第1のトラックが第1の搬送経路と位置合わせされ、基板60を伴う第2のトラックが処理位置と位置合わせされている状況を示す。第1の基板支持アセンブリ310によって画定される第1のトラック、及び、第2の基板支持アセンブリ320によって画定される第2のトラックは、互いを通過した。基板の処理が完了した後、基板60及び基板キャリア62は左に移動されて第2の搬送経路と位置合わせされ、ここで、
図7及び
図8と同様に、隣接するチャンバとの基板の交換が実行され得る。
【0062】
代替的に、傾斜される支持素子は可動でなくてもよい。そのような実施形態では、空の支持素子は傾斜され、装填された基板支持アセンブリがこれらを通過し、次いで、空の支持素子は傾斜されず任選択的にその後移動されてもよい。特に、傾斜運動の回転の中心が
図11に示すようにチャンバ壁204における開口に存在するとき、壁204における開口の直径及び真空シールによって提供される必要な公差は、傾斜した状態での移動を可能にする実施形態と比較して減少する。これにより真空状態を維持することがより容易となる。傾斜した状態での移動を可能にする実施形態は、より速く運動パターンを完了し、プロセスの実施方法によっては、より高速な処理タクトにつながり得る。
【0063】
傾斜可能な支持素子は、例えば、ローラの実際のロール又は磁気案内素子の実際の磁気ヘッドなどの基板支持部分、並びに、支持部分に連結されるシャフトを含み得る。支持素子はさらに、例えばボールスプラインシャフトなどのシャフト、及び、軸受を備えるボールスプラインブッシングを含み得る。支持素子は、傾斜となる偏差をもたらすための、シャフト上に配置される傍心(excenter)を含み得る。傍心は、傍心ドライバによって駆動されることができる駆動軸を含み得る。支持素子は、例えば、膜べローズシール(membrane bellow seals)及び/又は磁性流体シール(ferro seal)などの真空気密であり得るシールを含み得る。
【0064】
支持素子を傾斜させる利点は、真空チャンバ内に追加の機構が不要であること、傾斜に必要な機械的構成要素を外側の非真空領域に配置することができることである。特に基板の上方に配置される支持素子に関するさらなる利点は、基板上に落下し得る粒子を生み出すことがある機械的な相互作用が、支持素子のどの部分間でも発生しないことである。
【0065】
図14〜19は、磁気案内素子322及び312がピボット可能である一実施形態を示す。磁気案内素子322及び312は、基板キャリア62及び72などの基板キャリアの最上部を支持するように適合される。
図14〜19で、磁気案内素子の形態の支持素子は、ピボット点周囲で切り替え方向Sにピボット可能である。しかしながら、同じ基板支持アセンブリの隣接する支持素子間の空間が許容する場合には、代替的に搬送方向にも、すなわち、図の平面内へ及び図の平面の外へと、ピボット可能であってもよい。
【0066】
図14で、磁気案内素子322は、基板キャリア62を第2のトラック上で支持することに寄与し、磁気案内素子312は、第1のトラックを画定する現在は空の第1の基板支持アセンブリに属する。第1の磁気案内素子312は、チャンバ壁の開口を通って隣接する非真空領域へと至るシャフト313、ピボット点315、及び、ピボット点315を介してシャフト313に連結されるバー316を含む。
図14において、磁気案内素子が垂直に配向された基板キャリアの最上部を支持できるように、バー316はシャフト313に対して直角の向きを有する。ピボット点315は、玉継手又はこれに類する構成要素であり得る。第2の磁気案内素子322は同様に形成され得る。
【0067】
磁気案内素子312はピボットされる、すなわち、バー316がピボット点315の周囲でピボットされる。
図15で、バー316は90°ピボットされてシャフト313と位置合わせされる。ピボット角は、例えば45°〜110°、より典型的には80°〜100°、例えば約90°であり得る。第2の磁気案内素子322に対するこの回避方向Eへの移動は、第1の磁気案内素子312を回避方向へと変位する。
図16に示すように、この変位は、一方では第1の磁気案内素子312、及び、他方では第2の磁気案内素子322と基板キャリア62、の間の切り替え方向の相対的な移動が、衝突なく可能であるようなものである。第1の磁気案内素子及び第2の磁気案内素子の形態の支持素子は、切り替え方向に互いを通過し得る。
【0068】
次いで、磁気案内素子312は、バー316及びシャフト313が再び直角を形成するように、ピボット解除され又はピボットバックされ、第1の磁気案内素子312は基板キャリアを受ける準備が整う。例として、
図17でキャリア62によって保持される基板が処理位置にあり、次いで
図18で第2の搬送経路に移動される。次いで、基板を伴うキャリア62は第2のチャンバへと移送され、同時に又は続けて、異なる基板を伴うキャリア72が、第2のチャンバからもしくは別の、第3のチャンバから、第1の搬送経路上に受けられる。
図19に示す状況は、第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリ並びに対応する磁気案内素子が交換されているのみで、
図14に示す状況と同様である。
【0069】
支持素子は、切り替え方向の移動のために、個々の横断方向ドライバ又は横断方向ドライバシステムに連結され得る。基板又は基板キャリアを搬送方向に移動させることができる、非駆動支持素子は、チャンバ内へ又はチャンバ外への基板搬送のための、ベルトシステムなどの個々のドライブ又はドライバシステムに連結され得る。傾斜可能な支持素子は、傾斜運動をもたらすための、個々の傍心ドライバ又は傍心ドライバシステムに連結され得る。これらのドライバはすべて、制御システムによって制御され得る。支持素子の移動及び基板処理のすべてのプロセス実施は、制御システムにより完全に自動で制御され得る。
【0070】
図20に示すように、さらなる実施形態によれば、基板処理システムにおいて基板を移動する方法800が提供される。当該方法は、本明細書に記載の任意の実施形態による、搬送デバイス、搬送システム、チャンバ、又は基板処理システムによって実施され得る。
【0071】
当該方法は、基板をチャンバ内へと第1の搬送経路に沿って移送すること
(ステップ810)を含む。第1の搬送経路は搬送方向に沿っており、基板はチャンバ内へと搬送方向に沿って移動される。当該方法は、チャンバ内で基板を、少なくとも、第1の搬送経路に対して直角の切り替え方向に、移動させること
(ステップ820)を含む。
【0072】
当該方法は、チャンバ内で、基板支持アセンブリの空の支持素子を移動させること
(ステップ830)を含む。空の基板支持アセンブリの支持素子の移動は、回避方向の移動を含み得る。回避方向は第1の搬送経路に対して直角であり、また搬送方向に対して、及び切り替え方向に対して直角である。空の基板支持アセンブリの支持素子の移動は、付加的に又は代替的に、切り替え方向の移動を含み得る。
【0073】
本明細書に記載の実施形態の方法によれば、空の基板支持アセンブリの基板及び支持素子が、切り替え方向に互いに対して移動される
(ステップ840)。基板及び支持素子は互いを通過し得る。
【0074】
基板をチャンバ内に移送することは、基板が第1の基板支持アセンブリの第1の支持素子によって画定される第1のトラックによって支持されるように、基板をチャンバ内に移送することを含み得る。そのような実施形態において、空の基板支持アセンブリは第2の基板支持アセンブリであり得、空の基板支持アセンブリの支持素子は第2の支持素子であり得る。第2の、空の基板支持アセンブリ、またその支持素子は、第2のトラックを画定する。これらの実施形態で、基板を移動させることは、基板を支持している第1のトラックを移動させる、すなわち、第1のトラックが基板を支持している間に第1のトラックを移動させることを含む。基板を支持している第1のトラック、及び第2のトラックは、切り替え方向に互いに対して移動され得、互いを通過し得る。
【0075】
方法は、第2の支持素子の少なくとも部分をピボットさせること又は傾斜させることを含み得る。方法は、第1の支持素子の少なくとも部分をピボットさせること又は傾斜させることを含み得る。ピボットさせること又は傾斜させることは、本明細書で例えば
図10〜19に関して先述したように、実施され得る。
【0076】
チャンバは、基板処理位置を有する基板処理チャンバであり得る。基板を移動させることは、基板を基板処理位置へと移動させることを含み得る。方法は、処理位置において基板上に層を堆積させることを含み得る。
【0077】
方法はさらに、基板を第2の搬送経路に沿ってチャンバ外へと移送することを含み得る。同時に又は続けて、第2の基板が第1の搬送経路に沿ってチャンバ内へと移送され得る。第2の基板は、空の基板支持アセンブリの支持素子によって受けられ得る。異なるチャンバ間での基板の交換が、本明細書で例えば
図7〜8及び
図18〜19に関して先述したように、実施され得る。
【0078】
さらなる実施形態によれば、真空処理システムにおいて基板を移動させる方法が提供される。当該方法は、第1の基板を第1の搬送経路に沿って真空チャンバ内へと移送すること、第1の基板を真空処理位置へと移動するために、真空チャンバ内で第1の基板支持アセンブリを、第1の搬送経路に対して直角の切り替え方向に移動させることを含む。当該方法は、第1の基板が真空処理位置にある間に、第2の基板を受けるために、真空チャンバ内で第2の基板支持アセンブリを切り替え方向に移動させることを含む。当該方法はさらに、第2の基板を真空処理位置へと移動させるために、真空チャンバ内で第2の基板支持アセンブリを切り替え方向に移動させることを含む。
【0079】
本明細書で用いられる用語及び表現は説明するものであり限定するものではなく、そのような用語及び表現の使用において、示され説明される特徴の任意の等価物を排除する意図はない。先述の説明は実施形態を対象としているが、範囲を逸脱することなくその他の実施形態及び追加の実施形態を考案することができ、当該範囲は添付の特許請求の範囲によって定められる。