【実施例】
【0019】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。
【0020】
実施に際しては、以下のものを使用した。
【0021】
(使用油脂)
バターフレーバーオイル
Savor Up バターフレーバーオイル(株式会社J−オイルミルズ社製)
ガーリックオイル
Savor Up ガーリックオイル(株式会社J−オイルミルズ社製)
ねぎ油
Savor Up ねぎ油(株式会社J−オイルミルズ社製)
【0022】
(使用乳化剤)
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(CRS−75 HLB 1 阪本薬品工業株式会社製)
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(CR−ED HLB 3 阪本薬品工業株式会社製)
ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル(PO−5S HLB 4.9 阪本薬品工業株式会社製)
蒸留ジグリセリンモノオレイン酸エステル(DO−100V HLB 7.3 理研ビタミン株式会社製)
テトラグリセリンモノラウリン酸エステル(ML−310 HLB 10.3 阪本薬品工業株式会社製)
ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル(MO−5S HLB 11.6 阪本薬品工業株式会社製)
デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(MM−750 HLB 15.5 阪本薬品工業株式会社製)
ショ糖エルカ酸エステル(ER−290 HLB 2 三菱化学フーズ株式会社製)
クエン酸モノオレイン酸グリセリン(623M HLB 7 太陽化学株式会社製)
【0023】
<評価方法1>
ステンレスシャーレ(直径5cm、高さ1.5cm)に各風味油を2ml添加し、ホットプレートに乗せ、200℃になるまで加温した。2分後、4分後、6分後ににおいをかぎ、その強弱を以下の基準に基づいて評価した。
◎:非常に強い(初期臭と同等)
○:強い
△:弱い
×:香りがしない
【0024】
<評価方法2>
ステンレスシャーレ(直径5cm、高さ1.5cm)をホットプレートに乗せ、200℃になるまで加温した。ステンレスシャーレに各風味油を2ml添加した。風味油特有の匂いが消失するまでの時間を測定した。2回測定し、その平均値を算出した。
【0025】
(1−1)乳化剤の種類
表1に示すようにバターフレーバーオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法1に従い、加熱時の風味の持続性を測定した。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示すように、乳化剤のHLBが1以上の場合に、加熱時の風味持続性効果が得られた。特に、4.9以上でその効果が高く、さらに、7以上では、加熱6分後であっても風味を有していた。一方、乳化剤のHLBが15.5の場合に、4分経過時に風味が消失しており、加熱時の風味持続性効果を得ることができなかった。
【0028】
(1−2)乳化剤の添加量
表2に示すようにバターフレーバーオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法1に従い、加熱時の風味の持続性を測定した。その結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2に示すように、乳化剤は、0.01重量%以上添加することで、加熱時の風味持続性の効果が得られ、0.1重量%以上でその効果が大きく、1重量%以上で、さらにその効果が大きかった。一方、0.005重量%の添加では、効果を得ることができなかった。
【0031】
(1−3)乳化剤の組み合わせ
表3に示すようにバターフレーバーオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法1に従い、加熱時の風味の持続性を測定した。その結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
表3に示すように、2種類の乳化剤を組み合わせても、加熱時の風味持続性効果を得ることができた。特に623MとMO−5Sの組合せが好ましく、加熱4分後まで、相乗効果を得ることができた。
【0034】
(2−1)
表4に示すようにガーリックオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法1に従い、加熱時の風味の持続性を測定した。その結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
(2−2)
表5に示すようにガーリックオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法1に従い、加熱時の風味の持続性を測定した。その結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】
(3−1)
表6に示すようにバターフレーバーオイルに乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法2に従い、加熱時の風味の持続性を測定した。その結果を表6に示す。
【0039】
【表6】
【0040】
表6に示すように、200℃加熱時の風味消失時間を、無添加のときに比べ1.8倍に延長することができた。
【0041】
(3−2)
表7に示すようにねぎ油に乳化剤を添加した風味油を調製した。評価方法2に従い、加熱時の風味の持続性を測定した。その結果を表7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】
表7に示すように、200℃加熱時の風味消失時間を無添加のときに比べ1.7倍に延長することができた。
【0044】
(4−1)スクランブルエッグ
卵(100g)、牛乳(15g)、食塩(0.5g)を混合し、スクランブルエッグの生地を作製した。表面温度約110℃にあたためたフライパンに実施例2−5の油脂8gをひいた。20秒後、スクランブルエッグの生地を加え、スクランブルエッグを調理した。同様に対照(乳化剤無添加)の油脂で調理した。スクランブルエッグを食したところ、実施例2−5の油脂で調理したときは、対照の油脂に比べ、バター様の風味が強く、コクも強かった。
【0045】
(4−2)パスタ
120℃に加熱したフライパンに実施例4−1の油脂15gをひいた。10秒後、1%塩水で茹でたパスタ100g、茹で汁20cc、食塩、こしょうを加え、炒めて、ガーリック風味パスタを調理した。同様に実施例4−2、対照(乳化剤無添加)の油脂で調理した。ガーリック風味パスタを食したところ、実施例4−1の油脂で調理したときは、対照の油脂に比べ、ガーリックの風味、香りが強かった。また、乳化剤の添加量が多い実施例4−2の油脂のほうが、実施例4−1の油脂に比べ、ガーリックの風味、香りが強かった。
【0046】
(4−3)スープ
鶏がらスープ(粉末)(ユウキ食品株式会社製)3.5g、水200cc、表8に記載の実施例8−1の油脂3gを片手なべに加え、加熱沸騰した。沸騰10秒間加熱し、スープを調製した。同様に対照(乳化剤無添加)の油脂でスープを調製した。スープを食したところ、実施例8−1の油脂で調製したときは、対照の油脂に比べ、口に入れたときのねぎ風味が強かった。
【0047】
【表8】
【0048】
このように、実際に調理した食品においても、風味が維持できることが確認された。