特許第6097613号(P6097613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097613帯状フィルムを用いた製袋充填方法および製袋充填装置
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  • 特許6097613-帯状フィルムを用いた製袋充填方法および製袋充填装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097613
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】帯状フィルムを用いた製袋充填方法および製袋充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20170306BHJP
   B65B 9/087 20120101ALI20170306BHJP
【FI】
   B65B51/10 300
   B65B9/087
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-67332(P2013-67332)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-189311(P2014-189311A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 耕治
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/003754(WO,A1)
【文献】 特開平11−079114(JP,A)
【文献】 国際公開第98/26997(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B9/00−9/24
B65B47/00−47/10
B65B51/00−51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の帯状の第1フィルムから長手方向に沿った折り線による折り重ね、または2枚の帯状の第1フィルムの側縁部を合わせた重ね合わせにより、厚さ方向に2つのフィルム壁が重なり合うように組み合わせ、
前記2つのフィルム壁の幅方向の3か所以上で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムをシールして第1縦シール部を形成し、
前記2つのフィルム壁と前記第1縦シール部により囲まれて構成される、前記第1縦シール部の数より1少ない数である、2以上の筒状の第1収容空間のそれぞれに内容物を充填し、
前記第1縦シール部の間を幅方向にシールして第1横シール部を形成することにより前記第1収容空間を密封して中間包装袋を作製し、
前記中間包装袋の外面に、帯状の第2フィルムを重ね合わせ、
前記第2フィルムの幅方向の両側2か所で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムと前記第2フィルムをシールして、前記中間包装袋の幅方向の両側2か所の前記第1縦シール部と重なるように、第2縦シール部を形成し、
前記中間包装袋と前記第2フィルムと前記第2縦シール部により囲まれて構成される、筒状の第2収容空間に内容物を充填し、
前記第2縦シール部の間を幅方向にシールして、前記第1横シール部と重なるように、第2横シール部を形成することにより、前記第2収容空間を密封することを特徴とする製袋充填方法。
【請求項2】
前記第1フィルムをその長手方向に搬送しながら、前記第1横シール部を前記第1フィルムの長手方向に離間して3以上形成し、
前記第2フィルムをその長手方向に搬送しながら、前記第2横シール部を前記第2フィルムの長手方向に離間して3以上形成することを特徴とする請求項1に記載の製袋充填方法。
【請求項3】
1枚の帯状の第1フィルムから長手方向に沿った折り線による折り重ね、または2枚の帯状の第1フィルムの側縁部を合わせた重ね合わせにより、厚さ方向に2つのフィルム壁が重なり合うように組み合わせる組み合わせ手段と、
前記2つのフィルム壁の幅方向の3か所以上で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムをシールして第1縦シール部を形成する第1縦シール手段と、
前記2つのフィルム壁と前記第1縦シール部により囲まれて構成される、前記第1縦シール部の数より1少ない数である、2以上の筒状の第1収容空間のそれぞれに内容物を充填する第1充填手段と、
前記第1縦シール部の間を幅方向にシールして第1横シール部を形成することにより前記第1収容空間を密封して中間包装袋を作製する第1横シール手段と、
前記中間包装袋の外面に、帯状の第2フィルムを重ね合わせる重ね合わせ手段と、
前記第2フィルムの幅方向の両側2か所で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムと前記第2フィルムをシールして、前記中間包装袋の幅方向の両側2か所の前記第1縦シール部と重なるように、第2縦シール部を形成する第2縦シール手段と、
前記中間包装袋と前記第2フィルムと前記第2縦シール部により囲まれて構成される、筒状の第2収容空間に内容物を充填する第2充填手段と、
前記第2縦シール部の間を幅方向にシールして、前記第1横シール部と重なるように、第2横シール部を形成することにより、前記第2収容空間を密封する第2横シール手段を備えることを特徴とする製袋充填装置。
【請求項4】
前記第1フィルムをその長手方向に搬送する第1搬送手段を有し、前記第1横シール部を前記第1フィルムの長手方向に離間して3以上形成し、
前記第2フィルムをその長手方向に搬送する第2搬送手段を有し、前記第2横シール部を前記第2フィルムの長手方向に離間して3以上形成することを特徴とする請求項3に記載の製袋充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状フィルムを用いた製袋充填方法および製袋充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の収容空間を有する包装袋(複室包装)の製造方法として、特許文献1には、連続した包装用紙に分包仕切りを順次形成して製袋した部分に対し、複数種類の医薬(散薬と錠剤等)を任意の配列で順次供給し、1回服用分ごとに所要分包数で切断する分包方法が記載されている。
また、特許文献2には、長尺の分包シートに上部が開口した区画室を順次形成する区画シール部材と、区画室を深さ方向に分割する分割シール部材と、分割シールの前後において上部開口から薬剤を投入する薬剤投入部材と、上部開口を密閉する開孔シール部材とを備えた分包装置が記載されている。
また、特許文献3には、連続移送される包装フィルムを縦シールし、この縦シール部箇所により包装フィルムを筒状に形成するとともに、この筒状に形成された包装フィルムを横シールして包装袋となる底部を形成し、被包装物を充填し、さらに袋口部側となる箇所を横シールして包装袋として連続包装してなる包装機において、左右両縁部と中間部の3箇所に縦シール部を形成して左右並設状態に二つの包装袋を形成する充填包装機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−171310号公報
【特許文献2】実開昭62−179901号公報
【特許文献3】特開2001−240008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の複室包装では、並設される複数の収容空間がフィルム(または用紙)の長手方向または幅方向に配列されるので、収容空間の数に比例して包装袋の面積が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、包装袋の厚さ方向に複数の収容空間を配置することが可能な製袋充填方法および製袋充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、1枚の帯状の第1フィルムから長手方向に沿った折り線による折り重ね、または2枚の帯状の第1フィルムの側縁部を合わせた重ね合わせにより、厚さ方向に2つのフィルム壁が重なり合うように組み合わせ、前記2つのフィルム壁の幅方向の3か所以上で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムをシールして第1縦シール部を形成し、前記2つのフィルム壁と前記第1縦シール部により囲まれて構成される、前記第1縦シール部の数より1少ない数である、2以上の筒状の第1収容空間のそれぞれに内容物を充填し、前記第1縦シール部の間を幅方向にシールして第1横シール部を形成することにより前記第1収容空間を密封して中間包装袋を作製し、前記中間包装袋の外面に、帯状の第2フィルムを重ね合わせ、前記第2フィルムの幅方向の両側2か所で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムと前記第2フィルムをシールして、前記中間包装袋の幅方向の両側2か所の前記第1縦シール部と重なるように、第2縦シール部を形成し、前記中間包装袋と前記第2フィルムと前記第2縦シール部により囲まれて構成される、筒状の第2収容空間に内容物を充填し、前記第2縦シール部の間を幅方向にシールして、前記第1横シール部と重なるように、第2横シール部を形成することにより、前記第2収容空間を密封することを特徴とする製袋充填方法を提供する。
前記第1フィルムをその長手方向に搬送しながら、前記第1横シール部を前記第1フィルムの長手方向に離間して3以上形成し、前記第2フィルムをその長手方向に搬送しながら、前記第2横シール部を前記第2フィルムの長手方向に離間して3以上形成することが好ましい。
【0007】
また、本発明は、1枚の帯状の第1フィルムから長手方向に沿った折り線による折り重ね、または2枚の帯状の第1フィルムの側縁部を合わせた重ね合わせにより、厚さ方向に2つのフィルム壁が重なり合うように組み合わせる組み合わせ手段と、前記2つのフィルム壁の幅方向の3か所以上で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムをシールして第1縦シール部を形成する第1縦シール手段と、前記2つのフィルム壁と前記第1縦シール部により囲まれて構成される、前記第1縦シール部の数より1少ない数である、2以上の筒状の第1収容空間のそれぞれに内容物を充填する第1充填手段と、前記第1縦シール部の間を幅方向にシールして第1横シール部を形成することにより前記第1収容空間を密封して中間包装袋を作製する第1横シール手段と、前記中間包装袋の外面に、帯状の第2フィルムを重ね合わせる重ね合わせ手段と、前記第2フィルムの幅方向の両側2か所で、それぞれ長手方向に沿って前記第1フィルムと前記第2フィルムをシールして、前記中間包装袋の幅方向の両側2か所の前記第1縦シール部と重なるように、第2縦シール部を形成する第2縦シール手段と、前記中間包装袋と前記第2フィルムと前記第2縦シール部により囲まれて構成される、筒状の第2収容空間に内容物を充填する第2充填手段と、前記第2縦シール部の間を幅方向にシールして、前記第1横シール部と重なるように、第2横シール部を形成することにより、前記第2収容空間を密封する第2横シール手段を備えることを特徴とする製袋充填装置を提供する。
前記第1フィルムをその長手方向に搬送する第1搬送手段を有し、前記第1横シール部を前記第1フィルムの長手方向に離間して3以上形成し、前記第2フィルムをその長手方向に搬送する第2搬送手段を有し、前記第2横シール部を前記第2フィルムの長手方向に離間して3以上形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、包装袋の厚さ方向に複数の収容空間を配置することができるので、包装袋の面積を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の製袋充填装置の一例を示す図面であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図2図1(b)の「step1」から「step3」に対応する断面図である。
図3】横シール装置のボックスモーション動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、本発明の製袋充填装置の一例を示す。この製袋充填装置10の概略構成は、一般的な縦型の製袋充填装置と同様に、フィルムを長手方向に沿ってシールして縦シール部を形成する縦シール装置21,31と、フィルムを幅方向にシールして横シール部を形成する横シール装置22,32と、フィルムにより構成される筒状の収容空間にノズルを挿入して内容物を充填する充填装置23,33を備える。各フィルムは、長手方向に搬送される、連続した帯状のフィルムである。
【0011】
本形態の製袋充填装置10では、上方から帯状の第1フィルム1が搬送され、縦シール装置21、横シール装置22、充填装置23を用いて、中間包装袋4が作製される。さらに、途中から搬送される1枚の帯状の第2フィルム5を、中間包装袋4と重ね合わせ、縦シール装置31、横シール装置32、充填装置33を用いて、最終的な包装袋8が作製される。
各フィルム1,5をその長手方向に搬送する搬送手段として、フィルムごとに1つまたは複数の搬送ロール11a,11bが設けられている。搬送ロール11aは第1フィルム1の搬送手段(第1搬送手段)であり、搬送ロール11bは第2フィルム5の搬送手段(第2搬送手段)である。
【0012】
図1では、第1フィルム1として、1枚の帯状の第1フィルム1の長手方向に沿った折り線1bを折込み部材12により形成して折り重ねることにより、厚さ方向に2つのフィルム壁1c,1d(図2の「step1」参照)が重なり合うように組み合わせる。折り線1bは、第1フィルム1の幅方向の中央に形成され、側縁部1a,1a同士が合わされる。2つのフィルム壁を形成する組み合わせ手段としては、1枚のフィルムの折り重ねの代わりに、2枚の帯状フィルムの側縁部同士を合わせた重ね合わせによることもできる。
【0013】
第1縦シール部手段は、2つのフィルム壁1c,1dの幅方向の3か所以上で、それぞれ長手方向に沿って第1フィルム1をシールして第1縦シール部2a,2b,2cを形成する(図2の「step2」参照)。第1縦シール部2aは、第1フィルム1の一対の側縁部1a,1aを重ね合わせた箇所に形成され、第1縦シール部2bは、第1フィルム1の折り線1bを重ね合わせた箇所に形成され、第1縦シール部2cは、フィルム壁1c,1dの幅方向の中間に形成される。
【0014】
第1縦シール部手段として例示される縦シール装置21は、略円柱状または円筒状の回転体21a(ロール本体)と、回転体21aの外周面上に突設された凸状の縦シール部材21b,21c,21bを具備した縦シールロールを備える。回転体21aの中心軸は、搬送される第1フィルム1の幅方向と平行(図1(b)の左右方向)に配されている。縦シール部材21b,21c,21bは回転体21aの外周面上で周方向に沿って円環状に形成されている。
縦シール装置21に搬送されたフィルムは、図1(a)に示すように、2つの縦シールロールの縦シール部材21b,21bの間(または縦シール部材21c,21cの間)に挟持される間に加熱されることによりヒートシールされ、第1縦シール部2a,2b,2cが形成される。
【0015】
横シール装置22は、略円柱状または円筒状の回転体22a(ロール本体)と、回転体22aの外周面上に突設された凸状の横シール部材22bを具備した横シールロールを備える。回転体22aの中心軸は、搬送される第1フィルム1の幅方向と平行(図1(b)の左右方向)に配されている。横シール部材22bは回転体22aの回転軸に平行に形成されている。
図3に示すように、各横シールロールの回転軸は互いに平行であり、各横シールロールは回転体22aの回転軸を中心として互いに逆方向に回転可能である。横シール部材22bは、回転体22aの周方向に沿って複数(ここでは4本)等間隔に形成されている。これにより、フィルムの長手方向に一定のピッチごとに第1横シール部3,3,・・・が形成され、上下の第1横シール部3,3間に2つの第1収容空間4a,4bを有する包装袋4が製造される。各回転体22aの有する横シール部材22bの数は1以上であればよく、任意に設定可能である。
【0016】
第1横シール手段の横シール装置22は、第1縦シール部2a,2b,2cの間をフィルム壁1c,1dの幅方向にシールして第1横シール部3を形成する。図1(b)では、模式的に、第1横シール部3が第1縦シール部2a,2b,2cの間に形成されるように図示しているが、第1横シール部3の形成範囲は第1縦シール部2a,2b,2cと重なってもよい。この例の場合、第1フィルムの側縁部1aから折り線1bまで幅方向の全体にわたってフィルムが横シール部材22b,22bに挟持され、幅方向の全体に第1横シール部3が形成される。
【0017】
各包装袋4の上下にある2つの第1横シール部3,3のうち、下側にある第1横シール部3は先に閉鎖される底部であり、上側にある第1横シール部3は、後に閉鎖される充填口である。充填口は、内容物の充填後に閉鎖される。同じ第1横シール部3が、下側の包装袋4の充填口と、上側の包装袋4の底部を兼ねることができる。
各包装袋の底部は、内容物の充填前に閉鎖してもよく、内容物の充填中に閉鎖してもよく、内容物の充填後に閉鎖してもよい。内容物の充填前に底部を閉鎖すると、底部のシール時に内容物がフィルム壁の間に挟み込まれにくいので好ましい。内容物の充填中または充填後に底部を閉鎖すると、底部のシールを待たずに内容物の充填を開始でき、工程をより高速にできる。
【0018】
横シール装置22に搬送されたフィルムは、図1(a)に示すように、2つの横シールロールの横シール部材22b,22bの間に挟持される間に加熱されることによりヒートシールされ、第1横シール部3が形成される。横シールロールは、図示略の駆動手段により、図3に示すように、フィルムの搬送方向(図3の上から下への方向)に沿って移動可能であることが好ましい。矢印Fで示す移動方向は、フィルムの第1横シール部3が形成される箇所が横シール部材22b,22bの間に挟持されているときに、フィルムの搬送速度を超えない速度で、各横シールロールが下降することを表す。これにより、横シールロールが定位置で回転する場合に比べて、横シール部材22b,22bがより長い時間フィルムを挟持でき、フィルムの搬送速度が速くても十分な加熱時間を確保することができる。
また、矢印Rで示す移動方向は、一の第1横シール部3の加熱が終了した後、第1横シール部3から離れてフィルムの搬送方向とは反対(図3の下から上への方向)に移動(上昇)することを表す。矢印Fの下降距離と矢印Rの上昇距離が等しいことにより、各横シールロールの移動は周期的になる。矢印Rに沿って移動した後、次に第1横シール部3が形成される箇所(一つ上の箇所)が横シール部材22b,22bの間に挟持される。その後は、再び矢印Fに沿って各横シールロールが下降する。矢印Fと矢印Rの動きが略長方形の周に沿った経路である場合、一般にボックスモーションと呼ばれる。
図3では、横シール装置22の横シールロールだけでなく、第1横シール部3の冷却装置25(後述)の冷却ロールも同様に上下移動(ボックスモーション)をする構成を示す。第1横シール部3が液中シールにより形成される場合、加熱時間とその後の冷却時間を十分に確保することにより、より確実にシールすることができる。
【0019】
第1フィルム1のシールにより、フィルム壁1c,1dと第1縦シール部2a,2b,2cにより囲まれた、2以上の筒状の第1収容空間4a,4bが形成される。第1収容空間4a,4bの数は、第1縦シール部2a,2b,2cの数より1少ない数である。
図2の「step2」では、第1収容空間4aは第1縦シール部2a,2cの間に形成され、第1収容空間4bは第1縦シール部2b,2cの間に形成される。
【0020】
充填装置23は、第1収容空間4a,4bのそれぞれにノズル23a,23bを挿入して内容物を充填することができる。ノズル23a,23bは、図1に示すように、第1フィルム1の縦シールされていない側縁部1a,1aの隙間からフィルム壁1c,1d間(図2の「step1」参照)に挿入されている。ノズル23a,23bを挿入される箇所で側縁部1a,1aの隙間を保持するため、第1フィルム1に保持部材13を挿入することができる。保持部材13はノズルが側縁部1aと交差する箇所の上流側、下流側、あるいはその両方に設けてもよい。
【0021】
ノズル23a,23bから充填される内容物は、特に限定されるものではないが、液体または固体を含むことが好ましい。縦型の装置で高速な充填を行う場合、ノズルの先端から筒状の収容空間内に吐出した後、重力で所定の位置(包装袋の底部)に収まることができる、流動性のある内容物が好ましい。流動性の内容物として、例えば液体、粉体、粒体等が挙げられる。
充填装置23は、第1収容空間4a,4bごとに異なるノズル23a,23bが設けられる。各ノズルにより各収容空間に供給される内容物は、同一でも異なってもよい。複数のノズルが同一の内容物を充填されるために用意される場合、それらのノズルが同じ供給源(容器、タンク、ホッパーなど)から内容物の供給を受けてもよい。ノズルにはポンプや充填量の制御器(コントローラ)等を付設することができる。
【0022】
本形態の製袋充填装置10では、横シール装置22の上側に一対のしごきロール24,24が設けられている。しごきロール24,24は、第1フィルム1の縦シールにより筒状とされた筒状フィルムの両側に接触して加圧するとともに、筒状フィルムから離間可能に設けられている。横シールを行う直前から横シール中にかけての間、しごきロール24は筒状フィルムを両側から挟圧することにより、ノズルから吐出される内容物の流れを遮断して、横シールが形成される前のシール予定部に対する内容物の付着量を低減する。また、横シールの完了後には、しごきロール24,24の間隔が広がって筒状フィルムから離間し、横シール部の上への内容物の流れ込みが許容される。
【0023】
必要によりしごきロール24の上方に液面センサー(図示略)を設け、ノズルから吐出された内容物の高さが、しごきロールよりも常に上側の一定範囲内となるように維持することができる。この状態でシールすることにより、横シールはフィルム壁の間の内容物を押しのけてシールする、いわゆる液中シールとなり、内容物が所定量充填される。
この場合、包装袋への内容物の充填量(包装袋1個あたりの質量または体積)は、しごきロールが液流を遮断するタイミングと、収容空間の膨らみ具合とによって決まり、一定の充填量を容易に得ることができる。収容空間の膨らみ具合は、フィルムの材質が有する腰の強さで決まり、概ね一定であるが、精度を期すのであれば、膨らみ具合を規制するガイドを設けてもよい。膨らみ規制ガイドは横シール部が熱い状態での内容物の荷重を緩和する効果もあるので設置することが好ましい。
【0024】
本形態の製袋充填装置10では、加熱により形成された第1縦シール部2a,2b,2cや第1横シール部3を冷却して、フィルムの固化を促進するため、シール部の冷却手段を設けることができる。
第1横シール部3の冷却装置25は、横シール装置22と同様に、略円柱状または円筒状の回転体25a(ロール本体)と、回転体25aの外周面上において回転体25aの回転軸に平行に形成された凸状の冷却部材25bを具備した冷却ロールを備える。第1横シール部3は、一対の冷却ロールの冷却部材25b,25bの間に挟持される間に冷却される。
第1縦シール部2a,2b,2cの冷却装置26は、縦シール装置21と同様に、略円柱状または円筒状の回転体26a(ロール本体)と、回転体26aの外周面上で周方向に沿って円環状に形成された凸状の冷却部材26b,26c,26bを具備した冷却ロールを備える。第1縦シール部2a,2b,2cは、一対の冷却ロールの冷却部材26b,26bの間(あるいは冷却部材26c,26cの間)に挟持される間に冷却される。冷却装置26の冷却部材26b,26c,26bの個数は、第1縦シール部2a,2b,2cの個数と同じく3つである。
【0025】
シールと充填が完了した包装袋4は、第1横シール部3を介して、複数(多数)の包装袋4が上下につながった状態で製造される。第1横シール部3により、各包装袋4の第1収容空間4a,4bは互いに分離されて内容物が密封される。
一連の第1フィルム1に対し、第1横シール部3は、少なくとも包装袋4の数より1大きい数(例えば包装袋が2個なら第1横シール部は3以上)が形成される。
【0026】
本形態では、図2の「step2」から「step3」に示すように、第1収容空間4a,4bを密封して作製した中間包装袋4に対し、帯状の第2フィルム5を重ね合わせて、中間包装袋4の外面のフィルム壁1cと第2フィルム5の間に第2収容空間8aを形成し、内容物を充填して、最終的な包装袋8を作製する。
【0027】
図1および図2の「step2」に示すように、第2フィルム5は、それぞれの側縁部5a,5bを中間包装袋4の幅方向両側の第1縦シール部2a,2bと対向させ、合わせロール14により重ね合わせられる。
第2フィルム5の側縁部5a,5bと中間包装袋4の第1縦シール部2a,2bとの間は、第2縦シール部手段によりシールされ、第2縦シール部6a,6bが形成される。
第2縦シール部6a,6bは、第2フィルム5の長手方向に沿って第1フィルム1のフィルム壁1cと第2フィルム5の間が接着される。中間包装袋4にはあらかじめ第1縦シール部2a,2bが形成されていることから、第1縦シール部2a,2bと第2縦シール部6a,6bとが重なることにより、内容物が充填された中間包装袋4にも容易にシールすることができる。
【0028】
第2縦シール部手段として例示される縦シール装置31は、第1縦シール部手段の縦シール装置21と同様に、略円柱状または円筒状の回転体31a(ロール本体)と、回転体21aの外周面上で周方向に沿って円環状に形成された凸状の縦シール部材31bを具備した縦シールロールを備える。回転体31aの中心軸は、搬送される第2フィルム5の幅方向と平行(図1(b)の左右方向)に配されている。
縦シール装置31に搬送された包装袋4と第2フィルム5は、図1(a)に示すように、2つの縦シールロールの縦シール部材31b,31bの間に挟持される間に加熱されることによりヒートシールされ、第2縦シール部6a,6bが形成される。第2縦シール部6aを形成する縦シールロールと第2縦シール部6bを形成する縦シールロールは、中心軸に沿って連結して一体に構成してもよく、別体に構成することもできる。
【0029】
第2充填手段の充填装置33は、中間包装袋4と第2フィルム5と第2縦シール部6a,6bにより囲まれて構成される、筒状の第2収容空間8aにノズル33aを挿入して内容物を充填する。
充填装置33のノズル33aは、図1に示すように、側方の隙間から第1フィルム1のフィルム壁1cと第2フィルム5の間(図2の「step2」参照)に挿入されている。
ノズル33aから充填される内容物は、特に限定されるものではないが、液体または固体を含むことが好ましい。例えば流動性のある、液体、粉体、粒体等が挙げられる。ノズル33aは、ノズル23a,23bと同様に構成してもよく、内容物の相違に応じてノズル23a,23bとは異なる構成でもよい。
【0030】
第2横シール手段の横シール装置32は、第2縦シール部6a,6bの間を第2フィルム5の幅方向にシールして第2横シール部7を形成する。図1(b)では、模式的に、第2横シール部7が第2縦シール部6a,6bの間に形成されるように図示しているが、第2横シール部7の形成範囲は第2縦シール部6a,6bと重なってもよい。この例の場合、第2フィルム5の側縁部5aから側縁部5bまで幅方向の全体にわたってフィルムが横シール部材32b,32bに挟持され、幅方向の全体に第2横シール部7が形成される。
【0031】
図1に示す横シール装置32は、第2横シール手段の横シール装置22と同様に、回転体32aと凸状の横シール部材32bを具備した横シールロールを備える。
横シール装置32に搬送された包装袋4と第2フィルム5は、図1(a)に示すように、2つの横シールロールの横シール部材32b,32bの間に挟持される間に加熱されることによりヒートシールされ、第2横シール部7が形成される。第1横シール部3と第2横シール部7が重なることにより、内容物が充填された中間包装袋4にも容易にシールすることができる。
【0032】
本形態の製袋充填装置10では、横シール装置22の上側のしごきロール24,24と同様に、横シール装置32の上側にも、一対のしごきロール34,34が設けられている。また、縦シール部や横シール部を冷却して、フィルムの固化を促進するため、横シール装置32の下方には、第2横シール部7の冷却装置35と、第2縦シール部6a,6bの冷却装置36が設けられている。
第2横シール部7の冷却装置35は、第1横シール部3の冷却装置25と同様に、回転体35aと凸状の冷却部材35bを具備した冷却ロールを備える。
第2縦シール部6a,6bの冷却装置36は、第1縦シール部2a,2b,2cの冷却装置26と同様に、回転体36aと凸状の冷却部材36b,36bを具備した冷却ロールを備える。冷却装置36の冷却部材36b,36bの個数は、第2縦シール部6a,6bの個数と同じく2つである。
第2横シール手段の横シール装置32や第2横シール部7の冷却装置35は、図3に示す横シール装置22および冷却装置25と同様に、上下移動(ボックスモーション)をすることが好ましい。
【0033】
シールと充填が完了した包装袋8は、第2横シール部7を介して、複数(多数)の包装袋8が上下につながった状態で製造される。第2横シール部7により、各包装袋8の第2収容空間8aは互いに分離されて内容物が密封される。
一連の第2フィルム5に対し、第2横シール部7は、少なくとも包装袋8の数より1大きい数(例えば包装袋が2個なら第2横シール部は3以上)が形成される。
【0034】
各包装袋8を切り分ける場合、両方の包装袋8に十分な幅のシール部が残るように、横シール部が分断される。
横シール部にミシン目を形成したり、その近傍の縦シール部にノッチを形成したりするため、カッター15を設けることができる。ここでは、カッター15は刃を有する切断装置15aと受け台15bを備え、刃と受け台の間にシール部を挟み込んで加工する。このカッターは、横シール部がつながったまま加工を行うものであるが、この段階で横シール部を切断して個々の包装袋8,8,・・を切り離してもよい。
【0035】
最終的に得られる包装袋8は、図2の「step3」に示すように、3つの収容空間4a,4b,8aを有し、そのうち2つの第1収容空間4a,4bが幅方向に並設され、1つの第2収容空間8aはフィルム壁1cを介して厚さ方向に重なって配置されている。
第1収容空間4a,4bを仕切る第1縦シール部2cは、他の縦シール部と同等のシール強度としてもよく、他の縦シール部より弱いシール強度としてもよい。第1縦シール部2cのシール強度が弱い場合、包装袋を開封することなく(例えば内部に強い圧力が加わるように圧迫する等により)第1縦シール部2cを剥離して、2つの第1収容空間4a,4bの内容物を混合することができる。
【0036】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
組み合わせたフィルム壁の搬送方向に関し、図1では重力方向に沿って上から下に搬送される縦型の装置であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィルムが水平に搬送される横型の装置に適用することもでき、フィルムを斜めに搬送することもできる。
【0037】
中間包装袋の外面に重ね合わせる第2フィルムは、2枚以上であってもよい。また、第1フィルムの2つのフィルム壁のうち、一方のフィルム壁の外面に1枚以上の第2フィルムを重ね合わせるとともに、他方のフィルム壁の外面にも1枚以上の第2フィルムを重ね合わせることもできる。これにより、厚さ方向に3つ以上の収容空間を重ねて形成することができる。
【0038】
図1に示す製袋充填装置10では、縦シール装置21、横シール装置22、充填装置23を備える第1の充填ユニットと、縦シール装置31、横シール装置32、充填装置33を備える第2の充填ユニットを、フィルムの搬送方向に順次配置しているが、充填ユニットの数を3以上とすることもできる。3つの充填ユニットを備える場合、第1フィルムから第1の充填ユニットにより作製した中間包装袋の外面に第2フィルムを重ね合わせ、第2の充填ユニットにより第1フィルムと第2フィルムの間に内容物を充填して密封した後、さらに第2フィルムの外面に他のフィルム(第3フィルム)を重ね合わせ、第3の充填ユニットにより第2フィルムと第3フィルムの間に内容物を充填して密封することができる。第1の充填ユニット、第2の充填ユニット等の充填ユニットの構成や動作(方法)は、基本的に同様なものを採用することができる。
【0039】
縦シール手段や横シール手段に用いられるシール装置において、シール部材の内部にはヒータなどの加熱手段(図示略)やシール部材の温度を測定する温度測定手段(図示略)を設けることが好ましい。また、シール部の冷却装置において、シール部材の内部には熱媒体を流した配管などの冷却手段(図示略)やシール部材の温度を測定する温度測定手段(図示略)を設けてもよい。
シール装置は軸周りに回転するシールロールを備えるものに限らず、往復移動するシールバーを備えるものも採用可能である。
【0040】
内容物の充填手段は、ノズルに限定されるものではなく、ホッパーでフィルム壁間に流し込む方法、トングスで保持した内容物をフィルム壁間に配置する方法、スプーン、枡等で計量した内容物をフィルム壁間に投入する方法等、各種の充填手段を利用することができる。
本発明は、例えば液体、粉体、粒体等の内容物が袋に密封充填された包装品の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…第1フィルム、1a…側縁部、1b…折り線、1c,1d…フィルム壁、2a,2b,2c…第1縦シール部、3…第1横シール部、4…中間包装袋、4a,4b…第1収容空間、5…第2フィルム、5a,5b…側縁部、6a,6b…第2縦シール部、7…第2横シール部、8…包装袋、8a…第2収容空間、10…製袋充填装置、11a…搬送ロール(第1搬送手段)、11b…搬送ロール(第2搬送手段)、12…折込み部材(組み合わせ手段)、14…合わせロール(重ね合わせ手段)、21…縦シール装置(第1縦シール手段)、22…横シール装置(第1横シール手段)、23…充填装置(第1充填手段)、23a,23b…ノズル、31…縦シール装置(第2縦シール手段)、32…横シール装置(第2横シール手段)、33…充填装置(第2充填手段)、33a…ノズル。
図1
図2
図3