(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤流れ止め部は、前記プルバック領域よりも前記基台の側面に対して後退量が大きい切り欠きで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
前記載置領域と前記接着剤流れ止め部との間に、前記プルバック領域を塞ぐように形成した封鎖材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光学モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、光学結合する2つの光学素子間の光学結合路に接着剤が入り込むと、光の強度の減衰や接着剤の劣化という問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光学結合路に接着剤が入り込むことが防止された光学モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光学モジュールは、基台と、該基台の表面に形成された表面金属層とを有する基台部と、前記基台部の前記表面金属層上に載置された半導体素子と、前記半導体素子と光学結合する光学素子と、を備え、前記光学素子は、前記半導体素子と前記光学素子とが光学結合する側の前記基台の側面において接着剤にて前記基台に接着されており、前記表面金属層の前記半導体素子と前記光学素子とが光学結合する側の側面は、前記半導体素子と前記光学素子とが光学結合する側の前記基台の側面に対して後退した位置に設けられることによって、前記基台の表面にプルバック領域が形成されており、前記基台と前記光学素子とが接着される接着領域と、前記半導体素子の光出力端面の下側に位置する載置部との間において、前記表面金属層は、前記接着剤が前記プルバック領域を前記載置部側に流れることを防止するようにパターニング形成された接着剤流れ止め部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る光学モジュールは、前記接着剤流れ止め部は、前記プルバック領域よりも前記基台の側面に対して後退量が大きい切り欠きで構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る光学モジュールは、前記接着剤流れ止め部は、前記プルバック領域を塞ぐように形成された突起部で構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る光学モジュールは、前記載置領域と前記接着剤流れ止め部との間に、前記プルバック領域を塞ぐように形成した封鎖材が配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る光学モジュールは、前記接着剤流れ止め部は、前記半導体素子から100μm以上離間していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る光学モジュールは、前記表面金属層の厚さが10μm以上であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る光学モジュールは、前記基台部は、前記基台の表面と対向する裏面に形成された裏面金属層をさらに有し、前記表面金属層および前記裏面金属層の厚さは、前記基台部と前記半導体素子との間の線膨張係数差が2ppm/K以下となるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光学結合路に接着剤が入り込むことが防止されるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明に係る光学モジュールの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各層の厚さや厚さの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体レーザモジュールの模式的な斜視図である。
図2は、
図1に示す半導体レーザモジュールの側面図である。
図1、
図2に示すように、この半導体レーザモジュール10は、基台部1と、半導体素子としての半導体レーザ素子2と、光学素子としてのシリンドリカルレンズ3と、を備えている。
図1ではシリンドリカルレンズ3は透明なものとして表している。
【0018】
基台部1は、基台1aと、基台1aの表面およびこれと対向する裏面にそれぞれ形成された表面金属層1bと裏面金属層1cとを有する。
【0019】
基台1aは、半導体レーザ素子2の動作時の発熱を放熱するために、たとえば熱伝導率が170W/m・Kと高い窒化アルミニウム(AlN)からなるが、アルミナ、ガラス、シリコンなどの他の材料からなるものでもよい。
【0020】
表面金属層1bと裏面金属層1cとは、たとえば銅(Cu)からなるメタライズ層またはメッキ層であり、半導体レーザ素子2に対する配線を施したり半導体レーザ素子2を半田接合したりするため等に使用される。なお、表面金属層1bおよび裏面金属層1cは、後述するように基台部1の熱膨張係数を調整するためにも使用される。
【0021】
半導体レーザ素子2は、基台部1の載置領域1dにおいて、表面金属層1b上に載置されている。具体的には、半導体レーザ素子2は、裏面は金(Au)メッキ等で被覆され、金(Au)−スズ(Sn)等の半田により表面金属層1bに接合されている。半導体レーザ素子2は、不図示の電源装置から駆動電流を供給されて、たとえば光通信の分野で用いられる980nm波長帯、1480nm波長帯、1550nm波長帯などに含まれる波長のレーザ光Lを、活性層部にて発生し、光出力端面2aから出力する。
なお、表面金属層1bの側面1baにおいて、光出力端面2aの下側に位置する部分を載置部1baaと呼ぶ。
【0022】
また、表面金属層1bは、半導体レーザ素子2に隣接して形成された絶縁溝1bdを有する。絶縁溝1bdは、半導体レーザ素子2に沿って、表面金属層1bを2つに分離するように形成されている。絶縁溝1bdは、半導体レーザ素子2の両側の表面金属層1bから半導体レーザ素子2へワイヤで電気配線をする際に、両側の表面金属層1bを絶縁するための溝である。
【0023】
シリンドリカルレンズ3は、半導体レーザ素子2の光出力端面2aと同じ側の面である基台1aの側面1aaから上面にかけて広がっている2つの接着領域1eにおいて、接着剤4によって接着されている。シリンドリカルレンズ3は、側面1aa側において半導体レーザ素子2と光学結合しており、半導体レーザ素子2から出力されたレーザ光Lを略円形のビーム形状に集光またはコリメートし、不図示の光ファイバ等の光学素子に光学結合させる。
【0024】
接着剤4は、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、またはシリコーン樹脂等であって、その硬化特性としては、紫外線硬化性、可視光硬化性、熱硬化性、紫外線および熱のハイブリッド硬化性、可視光および熱のハイブリッド硬化性等であるが、特に限定はされない。
【0025】
基台1aには、プルバック領域1fが形成されている。プルバック領域1fは、表面金属層1bの側面1baを、半導体レーザ素子2とシリンドリカルレンズ3とが光学結合する側の基台1aの側面1aaに対して後退した位置に設けることによって、基台1aの表面に棚状に形成されている。なお、このようなプルバック領域は、側面1aa側だけではなく、基台1aの各側面に対して形成されている。このようなプルバック領域は、基台1aに金属層をメタライズまたはメッキで形成したあとに、所望の大きさのチップに切断するときに、金属層によるバリの発生を防止するための切り代に相当する。プルバック領域1fの幅はたとえば10μm〜50μmである。
【0026】
なお、表面金属層1bは、基台1aの上面の接着領域1eに対応する部分において、2つの切り欠き部1bcを有する。切り欠き部1bcは、表面金属層1bの側面1baが、プルバック領域1fよりも大きく後退した領域である。接着領域1eは、切り欠き部1bcの存在によって露出した基台1aの表面にまで広がっている。切り欠き部1bcの存在によって、接着領域1eを基台1aの表面にまで広げることができる。その結果、シリンドリカルレンズ3を、基台1aの側面1aaと表面とで基台1aに接着固定できるので、シリンドリカルレンズ3の基台1aへの接着強度を強くできる。
【0027】
ここで、表面金属層1bは、接着領域1eと載置部1baaとの間において、接着剤4がプルバック領域1fを伝って載置部1baa側に流れることを防止するようにパターニング形成された接着剤流れ止め部1bbを有する。
この接着剤流れ止め部1bbは、プルバック領域1fよりも基台1aの側面1aaに対して後退量が大きい切り欠きで構成されている。なお、接着剤流れ止め部1bbの幅Wは、接着剤4の流れ止めの観点から、プルバック領域1fの幅(後退量)と等しいかプルバック領域1fの幅よりも広いことが好ましい。
【0028】
接着剤流れ止め部1bbの作用を説明する。まず、このような半導体レーザモジュール10を製造する際は、たとえば以下のように行う。はじめに、基台部1に載置した半導体レーザ素子2からレーザ光Lを出力させた状態で、半導体レーザ素子2との光学結合が適正な状態となるように、シリンドリカルレンズ3の位置を調整する。つぎに、シリンドリカルレンズ3を調整した位置から一旦移動させてから、接着領域1eに接着剤4を塗布する。つぎに、シリンドリカルレンズ3を、接着剤4を介して基台部1に取り付け、シリンドリカルレンズ3の位置を微調整する。その後、接着剤4を硬化させて、シリンドリカルレンズ3を基台部1に接着固定する。
【0029】
図3は、接着剤流れ止め部1bbの作用を説明する図である。上述した接着領域1eに接着剤4を塗布した後、接着領域1eからはみ出た流動性を有する接着剤4は、
図3に示すように毛細管現象によってプルバック領域1fを伝わっていくことがある。しかしながら、接着領域1eと載置部1baaとの間には、切り欠きで構成された接着剤流れ止め部1bbがあるため、接着剤流れ止め部1bbによって毛細管力が遮断され、接着剤4が接着剤流れ止め部1bbよりも載置部1baa側に伝わることが防止される。その結果、半導体レーザ素子2とシリンドリカルレンズ3との光学結合路に接着剤4が入り込むことが防止され、半導体レーザモジュール10の組立て作業性も向上する。
【0030】
このような接着剤流れ止め部1bbは、表面金属層1bの形成パターンを変更するだけで容易に形成でき、かつ既存の表面金属層1bを利用しているので、追加の構成を必要とせずに安価且つ簡易に接着剤4の流れ止めを実現することができる。また、接着剤流れ止め部1bbの効果によって、接着剤4として比較的粘度が低いものを利用することができるようになる。さらには、接着剤流れ止め部1bbの形状や位置の設定によって、2つの接着領域1eにおける接着剤4の厚さを均等に調整できるので、シリンドリカルレンズ3はより光軸の傾きや位置ズレが無く、精密な配置で接着固定される。
【0031】
なお、表面金属層1bの厚さが10μm以上であれば、接着剤流れ止め部1bbによる流れ止めの効果を発揮するうえで好ましい。
【0032】
また、接着剤流れ止め部1bbは、半導体レーザ素子2の光出力端面2aからはある程度離間していることが好ましく、接着剤流れ止め部1bbと載置部1baaとの距離Dが100μm以上、さらに好ましくは500μm以上離間していれば、光学結合路に接着剤4が入り込むことを防止するうえで好ましい。
ここで、接着剤流れ止め部1bbと載置部1baaとの距離Dは、光出力端面2aの側壁に対応する表面金属層1bの位置から接着剤流れ止め部1bbの載置部1baaに近い側の側壁までの距離である。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態1に係る半導体レーザモジュール10は、半導体レーザ素子2とシリンドリカルレンズ3との光学結合路に接着剤4が入り込むことが防止されたものである。
【0034】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る半導体レーザモジュールの模式的な要部斜視図である。
図4に示すように、この半導体レーザモジュール10Aは、
図1に示す実施の形態1に係る半導体レーザモジュール10の構成において、基台部1を基台部1Aに置き換えた構成を有する。基台部1Aは、基台部1において、表面金属層1bを表面金属層1Abに置き換えた構成を有している。なお、
図4ではシリンドリカルレンズ3は不図示としてある。
【0035】
プルバック領域1fは、基台1aの側面1aaと表面金属層1Abの側面1Abaとの間に形成されている。表面金属層1Abは、プルバック領域1fを塞ぐように形成された突起部で構成されている接着剤流れ止め部1Abbを有する。なお、表面金属層1Abは、表面金属層1bの切り欠き部1bcおよび絶縁溝1bdと同様の構成の切り欠き部1Abcおよび絶縁溝1Abdを有する。
【0036】
このように、接着剤4の接着領域1eと半導体レーザ素子2の載置部1Abaaとの間に接着剤流れ止め部1Abbがあることによって、プルバック領域1fが塞がれるため、接着剤4が接着剤流れ止め部1Abbよりも載置部1Abaa側に伝わることが防止される。その結果、半導体レーザ素子2とシリンドリカルレンズ3との光学結合路に接着剤4が入り込むことが防止される。なお、接着剤流れ止め部1Abbと載置部1Abaaの距離DAは、100μm以上、さらに好ましくは500μm以上離間していることが好ましい。
【0037】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係る半導体レーザモジュールの模式的な要部斜視図である。
図5に示すように、この半導体レーザモジュール10Bは、
図1に示す実施の形態1に係る半導体レーザモジュール10の構成にさらに封鎖材5を追加した構成を有している。なお、
図5ではシリンドリカルレンズ3は不図示としてある。
【0038】
封鎖材5は、半導体レーザ素子2の載置部1baaと接着剤流れ止め部1bbとの間に配置され、プルバック領域1fを塞ぐように形成されている。このような封鎖材5は、たとえば樹脂接着剤を硬化させたもの、あるいは粘性が高いオイル等で実現される。
【0039】
このような封鎖材5を備えることによって、仮に接着剤4が接着剤流れ止め部1bbからはみ出て載置領域1d側に伝わったとしても、載置部1baaまで到達することがより確実に防止される。
【0040】
なお、このような封鎖材5は、
図4に示す実施の形態2に係る半導体レーザモジュール10Aに適用してもよい。
【0041】
ところで、上述したように、基台1aの表面に形成した表面金属層1bおよび裏面金属層1cは、基台部1の熱膨張係数を調整するためにも使用される(たとえば特許文献4参照)。
【0042】
そこで、上記実施の形態1に係る構成の半導体レーザモジュール10の構成において、基台1aの厚さならびに表面金属層1bおよび裏面金属層1cの厚さを変化させたときの、半導体レーザ素子2に掛かるフォン・ミーゼス応力を計算した。なお、半導体レーザ素子2の載置状態はジャンクションダウンに限定されない。また、基台1aはAlNからなるものとし、表面金属層1bおよび裏面金属層1cはCuからなるものとし、半導体レーザ素子2はGaAs系半導体材料からなるものとした。各材料の線膨張係数については、AlNが4.5×10
-6(1/K)、Cuが17.0×10
-6(1/K)、GaAsが5.9×10
-6(1/K)である。基台1aの厚さは0.3mm、0.5mm、0.7mm、1.0mm、または1.5mmとし、表面金属層1bおよび裏面金属層1cの厚さは等しくし、いずれも10μm、35μm、55μm、75μm、または100μmとした。なお、接着剤流れ止め部1bbは、半導体レーザ素子2から500μm以上離間させた。これによって、接着剤流れ止め部1bbの構造が半導体レーザ素子2に掛かるフォン・ミーゼス応力に影響を与えることが防止される。
【0043】
図6は、表面および裏面金属層の厚さを変化させたときの基台の厚さと応力との関係を示す図である。横軸は基台の厚さ、縦軸は半導体レーザ素子2の活性層部の中心軸上の長手方向の平均のフォン・ミーゼス応力を示している。
【0044】
図6に示すように、いずれの表面金属層1bおよび裏面金属層1cの厚さにおいても、基台1aの厚さが0.5mm〜0.7mmの範囲で応力が小さくなった。特に、1)基台厚さ:0.5mmかつ表面および裏面金属層厚さ:10μm、または、2)基台厚さ:0.7mmかつ表面および裏面金属層厚さ:55μmの場合、表面金属層1bの表面における基台1aの線膨張係数は6.3×10
-6(1/K)となった。この値は、半導体レーザ素子2を構成するGaAs系半導体材料の線膨張係数の値との差が、きわめて小さい0.4×10
-6(1/K)となる値である。
【0045】
また、
図6に示す場合では、基台厚さ:0.3mmかつ表面および裏面金属層厚さ:100μmのときは平均のフォン・ミーゼス応力が100MPaより大きい111MPaとなった。このときの基台部1と半導体レーザ素子2との間の線膨張係数差が約2.5ppm(1/K)であった。これに対して、その他の条件では、いずれも平均のフォン・ミーゼス応力が100MPaより小さく、線膨張係数差が2ppm(1/K)以下であった。
基台部1と半導体レーザ素子2との間の線膨張係数差が2ppm(1/K)を超えると、半導体レーザ素子2に割れが生じるなどの不具合が生じる可能性がある。したがって、表面金属層1bおよび裏面金属層1cの厚さは、基台部1と半導体レーザ素子2との間の線膨張係数差が2ppm/K以下となるように設定することが好ましい。なお、表面金属層1bおよび裏面金属層1cとの厚さは必ずしも等しくなくても良く、基台部1と半導体レーザ素子2との間の線膨張係数差が2ppm/K以下となれば良い。ただし、基台部1の反りを抑制する観点から、表面金属層1bと裏面金属層1cとの厚さを等しくすることがより望ましい。
【0046】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4に係る半導体レーザモジュールの模式的な要部斜視図である。
図7に示すように、この半導体レーザモジュール10Cは、
図1に示す実施の形態1に係る半導体レーザモジュール10の構成において、基台部1を基台部1Cに置き換えた構成を有する。基台部1Cは、基台部1において、表面金属層1bを表面金属層1Cbに置き換えた構成を有している。なお、
図4ではシリンドリカルレンズ3は不図示としてある。
【0047】
プルバック領域1fは、基台1aの側面1aaと表面金属層1Cbの側面1Cbaとの間に形成されている。表面金属層1Cbは、表面金属層1bの載置部1baa、接着剤流れ止め部1bb、切り欠き部1bcおよび絶縁溝1dbとそれぞれ同様の構成の載置部1Cbaa、接着剤流れ止め部1Cbb、切り欠き部1Cbcおよび絶縁溝1Cbdを有する。
【0048】
また、この表面金属層1Cbでは、接着剤流れ止め部1Cbbと切り欠き部1Cbcとは溝1Cbeで連通している。このように、接着剤流れ止め部1Cbbと切り欠き部1Cbcとがプルバック領域1f以外の溝1Cbeで連通していてもよい。この半導体レーザモジュール10Cにおいても、接着剤流れ止め部1Cbbにより接着剤4が接着剤流れ止め部1Cbbよりも載置部1Cbaa側に伝わることが防止され、接着剤4の塗布量を精密に制御でき、接着剤硬化収縮量のバラツキを低減できる。
【0049】
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5に係る半導体レーザモジュールの模式的な要部斜視図である。
図8に示すように、この半導体レーザモジュール10Dは、基台部1Dと、半導体レーザ素子2Dと、シリンドリカルレンズ3Dと、を備えている。基台部1Dは、基台1Daと、基台1Daの表面およびこれと対向する裏面にそれぞれ形成された表面金属層1Dbと裏面金属層1Dcとを有する。基台1Daは、シリンドリカルレンズ3Dの接着のために、側面1Daaから上面にかけて広がっている2つの接着領域1Deを有する。シリンドリカルレンズ3Dは、2つの接着領域1Deにおいて接着剤によって接着されている。さらに、基台1Daには、プルバック領域1Dfが形成されている。表面金属層1Dbは絶縁溝1Dbdを有し、側面1Dbaに載置部1Dbaaを有する。さらに、表面金属層1Dbは、2つの切り欠き部1Dbc、および幅WDの接着剤流れ止め部1Dbbを有する。半導体レーザモジュール10Dのこれらの構成要素は、半導体レーザモジュール10における対応する構成要素と同様のものである。
【0050】
また、半導体レーザ素子2Dは、基台部1Dの載置領域1Ddにおいて、表面金属層1Db上に載置され、半田により表面金属層1Dbに接合されている。ここで、半導体レーザ素子2Dは、マルチエミッター方式の半導体レーザ素子であり、不図示の電源装置から駆動電流を供給されて、たとえば光通信の分野で用いられる980nm波長帯、1480nm波長帯、1550nm波長帯などに含まれる波長のレーザ光LDを、活性層部にて発生し、光出力端面2Da上の多数の発光点から出力する。このようなマルチエミッター方式の半導体レーザ素子を備える半導体レーザモジュールでは、半導体レーザ素子に対して、シリンドリカルレンズ等の光学素子をより一層精密に固定する必要がある。この半導体レーザモジュール10Dにおいては、接着剤流れ止め部1Dbbにより接着剤が接着剤流れ止め部1Dbbよりも載置部1Dbaa側に伝わることが防止され、接着剤の塗布量を精密に制御でき、接着剤硬化収縮量のバラツキを低減できる。したがって、この半導体レーザモジュール10Dはマルチエミッター方式の半導体レーザ素子2Dに適する構成となっている。
【0051】
なお、上記実施の形態では、半導体素子が半導体レーザ素子であり、光学素子がシリンドリカルレンズであるが、半導体素子および光学素子は他の種類の素子でもよい。たとえば、半導体素子はLED等の半導体発光素子または受光素子などでも良い。光学素子は、半導体素子と光学結合されるべき素子であればよく、たとえばロッドレンズ等の他の集光素子、プリズム、またはビームスプリッタなどでもよい。
【0052】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。