(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス微粒子合成用のバーナと回転するターゲットロッドとを相対的に往復移動させながら、ガラス原料ガスと燃焼ガスとを前記バーナに供給して合成せしめたガラス微粒子を前記ターゲットロッドの外周に堆積させる光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法において、
製造する光ファイバ用多孔質ガラス母材の最終的な外径をL[mm]、製造途中のガラス微粒子堆積体の外径をR[mm]としたとき、
0.5L≦R≦0.8L
となる部分のガラス微粒子堆積層を合成する際に、
前記ターゲットロッドの回転速度をr[rpm]とし、前記ターゲットロッドと前記バーナとの相対的移動速度をV[mm/min.]としたとき、V/rで表わされるバーナの掃引ピッチP[mm]の変動が中心値の±10%の範囲以内としながら、前記ターゲットロッドの回転速度r[rpm]を200から20の範囲内で徐々に低下させ、前記バーナの移動速度V[mm/min.]を4000から400の範囲で徐々に低下させることを特徴とする光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法の詳細を実施形態として説明し、その後に多くの実験の中から代表的なものを選択し、実施例および比較例として開示する。
【0017】
〔実施形態〕
図1は、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法に用いられる製造装置の要部を模式的に示す斜視図である。本実施形態の説明では、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法の一例として、OVD法による製造方法を用いるが、本発明の実施はOVD法に限定されず、ガラス微粒子合成用のバーナと回転するターゲットロッドとを相対的に往復移動させながら、ガラス原料ガスと燃焼ガスとをバーナに供給して合成せしめたガラス微粒子をターゲットロッドの外周に堆積させる光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法の一般に適用され得る。
【0018】
OVD法は、ターゲットロッド1の外側からガラス原料ガスを火炎とともに吹き付けて、ガラス微粒子をターゲットロッド1上に堆積させる製造方法である。このOVD法に用いる製造装置の一例は、
図1に示すように、要部としてチャック3と回転駆動機構4とバーナ5と外径測定器7と制御部8とを備えている。
【0019】
典型的なターゲットロッド1は、最終製品の光ファイバにてコアを構成する材料とその周囲のクラッドの一部を構成する材料とをガラス化して構成した芯棒である。なお、ガラス微粒子堆積層を堆積した後にターゲットロッド1を引き抜く製造方法もあり、ターゲットロッド1の構成は用途に応じて適切なものを選択して用いることができる。
【0020】
ターゲットロッド1の両端には、支持部2a,2bが設けられ、チャック3を介して回転自在に軸支されている。なお、
図1では支持部2bに取り付けられるチャック等の構成は記載を省略している。
【0021】
回転駆動機構4は、モータと重量センサとを備えている。モータは、チャック3を介してターゲットロッド1を矢印Aで示すように回転させるためのであり、重量センサはターゲットロッド1に堆積したガラス微粒子の重量を測定するためのものである。
【0022】
バーナ5は、ガラス原料ガスであるSiCl
4ガスと、燃焼ガスであるH
2ガス及びO
2ガスとが供給され、燃焼ガスによって形成される火炎中でガラス原料ガスを火炎加水分解させてガラス微粒子を合成するためのものである。このガラス微粒子を回転するターゲットロッド1の外周に噴射し、ターゲットロッド1上にガラス微粒子を堆積させる。なお、このようにターゲットロッド1上に堆積したガラス微粒子堆積層をスート6という。
【0023】
バーナ5は、矢印Bで示すように、ターゲットロッド1の回転軸方向に往復直線移動するように構成されている。なお、バーナ5は、ターゲットロッド1に対して相対的に往復直線移動していればよく、バーナ5を固定して、ターゲットロッド1を回転軸方向に往復直線移動させてもよい。以下では、両者のうち何れが移動しているかを区別せず、バーナ5とターゲットロッド1との相対的な移動速度を、単にバーナ5の移動速度と云う。
【0024】
ターゲットロッド1は、回転駆動機構4によって矢印A方向に回転駆動する。一方、バーナ5は、矢印Bで示すように直線往復移動する。結果、バーナ5がターゲットロッド1上のスート6の堆積面上を掃引する位置をプロットすると、破線Cで示されるような螺旋状の軌跡を描くことになる。したがって、ターゲットロッド1の回転速度およびバーナ5の移動速度を適切に調整することにより、バーナ5から噴射されるガラス微粒子は、ターゲットロッド1上に万遍なく堆積することになる。
【0025】
外径測定器7は、ターゲットロッド1上に堆積されたスート6の厚さを測定するための測定器である。外径測定器7は、例えば反射型変位計を用いて構成することができる。すなわち、外径測定器7は、レーザビームをスート6の表面へ所定の角度で照射し、スート6の表面にて反射して外径測定器7に帰還する位置をラインセンサ等で検出することにより、外径測定器7とスート6の表面との距離を測定する。予め、外径測定器7とターゲットロッド1の表面との距離を測定しておけば、外径測定器7とスート6の表面との距離からスート6の厚さが算出できる。なお、ターゲットロッド1とスート6とを含めた中間製造物をガラス微粒子堆積体と云い、このガラス微粒子堆積体の外径はスート径とも呼ばれる。
【0026】
制御部8は、回転駆動機構4に設けられた重量センサの出力と外径測定器7の出力とに基づいて、回転駆動機構4およびバーナ5を制御するよう構成されている。先述のように、重量センサは、ターゲットロッド1に堆積したスート6の重量を測定することができ、外径測定器7は、ターゲットロッド1に堆積したスート6の厚さを測定することができる。したがって、制御部8は、ターゲットロッド1に堆積したスート6の密度を算出することが可能である。なお、制御部8は、ターゲットロッド1に堆積したスート6の厚さおよび重量の時系列履歴を取得し、これら時系列履歴の差分情報から任意のスート径位置におけるスート6の密度を取得することも可能である。
【0027】
制御部8は、上記のように取得するスート6の密度を監視し、かつ、回転駆動機構4のモータの回転速度、バーナ5の移動速度、および、バーナ5から噴射するガラス原料ガスのガス条件を制御する。取得されたスート6の密度は、自動処理によって回転駆動機構4のモータの回転速度およびバーナ5の移動速度等に反映してもよく、オペレータの作業を介して回転駆動機構4のモータの回転速度およびバーナ5の移動速度等に反映してもよい。取得されたスート6の密度のデータを統計的に利用し、次以降の製造における回転駆動機構4のモータの回転速度、バーナ5の移動速度、および、バーナ5から噴射するガラス原料ガスのガス条件を決定してもよい。
【0028】
ここで、比較参考のために、従来の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法を説明する。従来の製造方法では、同一の光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造している間は、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度を一定にし、バーナ5から噴射するガラス原料ガスのガス条件(流量など)のみを制御して光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造していた。
【0029】
ところが、スート6の密度ρ
c[g/cm
3]が、例えば0.65以上など、高密度の場合、バーナ5から噴射するガラス原料ガスのガス条件のみを制御しては、十分に均質な密度の光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造することが困難になってくる。そこで、バーナ5から噴射するガラス原料ガスのガス条件のみならず、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度を調整する必要が生じてくる。
【0030】
光ファイバ用多孔質ガラス母材の合成初期は、ガラス微粒子堆積体の外径が小さいので、一般的にバーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度を速く設定した方が、ガラス微粒子の堆積効率がよい。一方、合成中期においてガラス微粒子堆積体の外径がある程度大きくなると、バーナ5の移動速度やターゲットロッド1の回転速度が速いと堆積するガラス微粒子の密度が低くなってしまう。このため、合成が進むにつれて、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度を徐々に下げてガラス微粒子の密度を所望範囲内に保つように調整する。
【0031】
一方、堆積させるガラス微粒子の密度を上げ過ぎると堆積面上に瘤欠陥が生じる頻度が高くなることが知られている。よって、歩留まりを悪化させないためには、光ファイバ用多孔質ガラス母材に堆積させるガラス微粒子の密度を抑制しなければならない。
【0032】
本発明の発明者らは、詳細なる実験の結果、同程度のガラス微粒子の密度であっても瘤欠陥が生じる場合と生じない場合があることを確認した。また、瘤欠陥が生じる頻度は、バーナ5がターゲットロッド1上のスート6の堆積面上を掃引する掃引ピッチの変動に相関があることを発見した。すなわち、掃引ピッチの変動を抑制すれば、瘤欠陥が生じる頻度を低減することが可能となることを見出した。
【0033】
ここで、掃引ピッチPとは、ターゲットロッド1の回転速度をr[rpm]、ターゲットロッド1とバーナ5との相対移動速度をV[mm/min.]としたとき、これらの比V/r[mm]で定義される量である。この掃引ピッチP(=V/r)は、ターゲットロッド1が1回転するうちにバーナ5が回転軸方向に相対移動する距離を表している。
【0034】
さらに、掃引ピッチPの変動は、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造における所定の範囲において低減されることが重要であることを確認した。具体的には、製造する光ファイバ用多孔質ガラス母材の最終的な外径をL[mm]、合成途中のガラス微粒子堆積体の外径をR[mm]としたとき、
0.5L≦R≦0.8L
となる範囲のスート6を合成する際に、掃引ピッチPの変動を抑制することが有効となる。
【0035】
上記条件に従う光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造は、少なくとも単位時間あたりに堆積させたスート6の密度ρ
c[g/cm
3]が0.90以下という高密度な場合においても、瘤欠陥の発生率を低減することが認められた。
【0036】
なお、このようにバーナ5の掃引ピッチP[mm]の変動を小さくすることで、瘤欠陥の発生を抑制できる理由は、バーナ5の掃引ピッチP[mm]の変動を小さくすることで、ガラス微粒子堆積体に対して一定の速度でバーナ5の火炎を当てることができ、ガラス微粒子堆積体の温度が急激に変化することがないので、急激に密度等の状態の変化が起こる部分が少なくなるからであると考えられる。
【0037】
また、光ファイバ用多孔質ガラス母材の最終的な外径をL[mm]としたときの、0.5L≦R≦0.8Lとなる範囲のスート6を堆積させる際に、バーナの掃引ピッチP[mm]の変動が大きく寄与する理由は以下のようなものが考えられる。
【0038】
合成途中のガラス微粒子堆積体の外径Rが0.5Lより小さい場合は、ガラス微粒子堆積体の外径が小さいので、堆積効率を高めるため、比較的速いバーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度でガラス微粒子を堆積させる。結果、そもそも瘤欠陥は生じにくい。実際、後に提示する実施例や比較例を見ると解るように、合成途中のガラス微粒子堆積体の外径Rが、R<0.5Lとなる範囲では、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度が急激に低下しているが、瘤欠陥の発生に影響が観測されない。
【0039】
一方、合成途中のガラス微粒子堆積体の外径Rが0.8Lより大きい場合は、ガラス微粒子堆積体の外径が十分に大きく、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度を遅くしても密度が上がりにくいので、急激に密度等の状態の変化も起こらず、瘤欠陥は生じにくい。
【0040】
なお、上記説明から解るように、掃引ピッチPの変動を抑制するガラス微粒子堆積体の外径Rの範囲は、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度によっても規定することができる。すなわち、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造工程を、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度を比較的早く減速させていく合成初期と、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度を比較的遅く減速させていく合成中期と、バーナ5の移動速度およびターゲットロッド1の回転速度をさらに遅く減速させていくが、密度の上昇が起きにくい合成後期とに分け、合成中期において掃引ピッチPの変動を抑制するのである。
【0041】
この場合、合成途中のガラス微粒子堆積体の外径Rに関する範囲は、R<0.5Lとなる範囲が合成初期に対応し、0.5L≦R≦0.8Lとなる範囲が合成中期に対応し、R>0.8Lとなる範囲が合成後期に対応している。
【0042】
また、光ファイバ用多孔質ガラス母材の大型化を実現するには、堆積させるガラス微粒子の密度を上げる必要がある。特に合成後期は密度が低下しやすいが、ガラス微粒子堆積体の外径Rが0.5L以上の領域においては、密度ρ
c[g/cm
3]が0.65以上であることが好ましく、より好ましくは0.70以上である。密度ρ
c[g/cm
3]が0.85以下という高密度であっても、掃引ピッチPの変動を中心値の±10%の範囲以内に収めることにより瘤欠陥の発生を十分に抑制することができる。また、少なくとも密度ρ
c[g/cm
3]が0.90以下であれば、掃引ピッチPの変動を中心値の±10%の範囲以内に収めることにより、許容し得る程度に瘤欠陥の発生を抑制することができる。
【0043】
以下、本発明の検証実験で得られた光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造データの一部を
図2〜
図4に開示する。
図2、
図3は、上記説明した製造条件に従う光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造データであり、特に、
図2は、単位時間あたりに堆積させるスートの密度ρ
c[g/cm
3]が0.85以下である光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造データであり(実施例1)、
図3は、単位時間あたりに堆積させるスートの密度ρ
c[g/cm
3]が0.85より大きく0.90以下となる部分を含む光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造データである(実施例2)。また、
図4は、掃引ピッチの変動が中心値の±10%の範囲外となった光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造データである(比較例)。
【0044】
掃引ピッチの変動(%)は(任意の位置での掃引ピッチ−掃引ピッチの中心値)/掃引ピッチの中心値×100で求める値とする。なお、掃引ピッチの中心値は、合成途中のガラス微粒子堆積体の外径Rについて、0.5L≦R≦0.8Lとなる範囲内における掃引ピッチの最大値と最小値の平均値とする。
【0045】
(実施例1)
実施例1の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法では、ターゲットロッドの外径を40mmとし、合成終了時の光ファイバ用多孔質ガラス母材の外径をおよそ250mmとしている。
【0046】
ターゲットロッドの回転速度およびバーナの移動速度は、
図2(b)(c)に示すように合成初期においては比較的急激に減少させ、合成中期においては徐々に低下させている。また、
図2(a)に示すように、合成中期において掃引ピッチの変動が中心値の±10%の範囲以内に抑えられている。
【0047】
以上の条件の下に、単位時間あたりに堆積させるスートの密度ρ
c[g/cm
3]が0.85以下となるようにターゲットロッドの回転速度とバーナの移動速度を制御して、光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造した。
【0048】
図2(d)に示すように、上記条件の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造では、スートの密度ρ
cを0.65≦ρ
c≦0.85に保つことができている。また、製造された光ファイバ用多孔質ガラス母材には、瘤欠陥は検出されなかった。
【0049】
(実施例2)
実施例2の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法では、実施例1と同様に、ターゲットロッドの外径を40mmとし、合成終了時の光ファイバ用多孔質ガラス母材の外径をおよそ250mmとしている。
【0050】
ターゲットロッドの回転速度およびバーナの移動速度は、
図3(b)(c)に示すように合成初期においては比較的急激に減少させ、合成中期においては徐々に低下させている。
図3(a)に示すように、実施例2でも、実施例1と同様に、合成中期において掃引ピッチの変動が中心値の±10%の範囲以内に抑えられている。
【0051】
以上の条件の下に、単位時間あたりに堆積させるスートの密度ρ
c[g/cm
3]が0.90以下となるようにターゲットロッドの回転速度とバーナの移動速度を制御して、光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造した。
【0052】
図3(d)に示すように、上記条件の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造では、スートの密度ρ
cを0.65≦ρ
c≦0.90に保つことができている。また、製造された光ファイバ用多孔質ガラス母材は、0.85[g/cm
3]より大きく0.90[g/cm
3]以下という高い密度の部分を含むが、瘤欠陥は検出されなかった。
【0053】
(比較例)
比較例の光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造方法では、実施例と同様に、ターゲットロッドの外径を40mmとし、合成終了時の光ファイバ用多孔質ガラス母材の外径をおよそ250mmとしている。
【0054】
ターゲットロッドの回転速度およびバーナの移動速度は、実施例と同様に、
図4(b)(c)に示すように合成初期においては比較的急激に減少させ、合成中期においては徐々に低下させている。一方、
図4(a)に示すように、比較例では、実施例とは異なり、合成中期において掃引ピッチの変動が中心値の±10%の範囲以内に収まっていない。
【0055】
この条件の光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造では、
図4(d)に示すように、スートの密度ρ
cを0.65≦ρ
c≦0.85に保つことができているが、製造された光ファイバ用多孔質ガラス母材に瘤欠陥が検出された。
【0056】
(検証実験のまとめ)
ここで、上記開示した以外の例も含めた検証実験の結果についてまとめる。下記表1は、バーナの掃引ピッチの変動を変えた場合における瘤欠陥の発生率をまとめたものである。
【0058】
なお、上記表1に示された検証実験のサンプルは、以下の条件で取得された。光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造において、0.5L≦R≦0.8Lとなる範囲のスートを堆積させる際に、ターゲットロッドの回転速度r[rpm]を200から20の範囲内で徐々に低下させ、バーナの移動速度V[mm/min.]を4000から400の範囲で低下させる。このとき、掃引ピッチP=V/rの中心値は、例えば20.0とする。ただし、適正な掃引ピッチP=V/rの中心値は、ガス条件や製造する多孔質母材のサイズ等、様々な条件により変化するため、実験的に好適な値を導き出し、適切な値を選択し得る。
【0059】
表1から明らかなように、バーナの掃引ピッチPの変動は少ないほど好ましい。具体的には、掃引ピッチPの変動が中心値の±10%の範囲以内であれば十分効果的であるが、中心値の±5%の範囲以内であればさらに効果的である。
【0060】
具体的には、掃引ピッチPの変動が中心値の±10%の範囲外の場合に瘤欠陥の発生率が30%であったものが、掃引ピッチPの変動が中心値の±5%の範囲外かつ±10%の範囲以内の場合では、瘤欠陥の発生率が約7%に低下し、瘤欠陥の発生率が大幅に低下する。さらに、掃引ピッチPの変動が中心値の±5%の範囲以内の場合では、瘤欠陥の発生率が約3%に低下する。
【0061】
以上、本発明を実施形態に従い説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。