【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例等を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
[参考例1]
廃白土に対する低級アルコールの使用割合に対する、低級アルコールの脂肪酸エステル量、抽出油脂量、及び得られる再生白土の有する脱色能について検討した。
≪条件1≫
まず、四つ口フラスコに対してスターラー(パワースターラーAMGH(商品名)、アサヒ理科製作所社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を乳鉢で均一化した後、フラスコ内に廃白土75g、メタノール75g、硫酸1.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、水浴の設定温度を75℃として攪拌を行い、メタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スターラーの目盛りで3.5とし、反応時間は4時間とした。また、反応開始より1時間後から、1時間おきに計4回、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。
【0067】
反応終了後、予め風袋を測定しておいたナス型フラスコ及びブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、メタノールを用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄し、固体部から流出する液体部が透明となるまで洗浄を行った。その後、漏斗及び四つ口フラスコを80℃の恒温槽に1時間静置してメタノールを揮発させ、残存した固体部の重量を測定した。また、ナス型フラスコに対してエバポレートを行い、メタノールを除去したものを液体部とし、その重量を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
≪条件2≫
廃白土15g、メタノール135g、及び硫酸1.5gを用いた以外は、上記条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部を得た。固体部及び液体部の重量を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
(ガスクロマトグラフィー分析)
反応中にサンプリングを行ったガスクロマトグラフィー用試料のうち、条件1では約30mg、条件2では約200gをそれぞれスクリューキャップ付試験管へ移した。各試料にそれぞれヘキサン1mL及び飽和食塩水2mLを加え、混合し、遠心分離を行って2層に分けた。ヘキサン層をサンプルバイアルへ移し、ガスクロマトグラフィー用のサンプルとした。前記サンプルを用いて、以下の条件でガスクロマトグラフィーを行い、得られたピークを脂肪酸メチルエステル(FAME)、遊離脂肪酸(FA)、モノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)に分類し、それぞれの組成比を、総ピーク面積に対するピーク面積の割合から算出した。条件1の結果を表2及び
図1に、条件2の結果を表3及び
図2に示す。
【0071】
カラム:DB−5ht(15m)(アジレント・テクノロジー社製)。
キャリア:ヘリウム、水素。
ヘリウム流量:50mL/分間。
水素流量:50mL/分間。
空気流量:500mL/分間。
気化室温度:300℃。
検出器温度:350℃。
昇温条件:100℃(1分間)→10℃/分間で昇温→350℃(20分間)
導入量:1μL。
スプリット比:50。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
図1〜2及び表2〜3の結果では、条件1、2共に遊離脂肪酸は検出されなかった。反応中に分解された遊離脂肪酸はほぼ全量がメチルエステル化されたと考えられる。
また、条件1では、トリグリセリドの割合が時間経過と共に減少し、それに対応して脂肪酸メチルエステル(FAME)が増加した。条件2では、トリグリセリド(TG)、ジグリセリド(DG)、及びモノグリセリド(MG)がいずれも時間経過と共に分解されて減少し、脂肪酸メチルエステル(FAME)が増加した。
【0075】
(油脂抽出量について)
上記ガスクロマトグラフィー分析のチャートから得られたピーク総面積を、サンプリング量で割り、油脂の抽出量を算出した。結果を
図3(条件1)及び
図4(条件2)に示す。
図3〜4の結果から、条件1では油脂抽出量は時間が経過しても変わらなかったが、一方、条件2では時間経過と共に油脂抽出量が増加した。条件2では、抽出時間をより長く設定することにより、油脂抽出量がさらに増加する可能性が示唆された。
【0076】
(再生白土が有する脱色能について)
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌棒、スターラー及び温度計ホルダーを設置し、100gの大豆脱酸油をフラスコ内に投入した。スターラーにより攪拌を行いながら、条件1若しくは条件2により得られた再生白土、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)のいずれかを1g投入し、減圧下、105℃で1時間脱色反応を行った。なお、未使用白土は白色、条件1により得られた再生白土は濃灰色、条件2により得られた再生白土は淡灰色であり、再生前の使用済白土は黒色であった。また、条件1の再生白土と条件2の再生白土とを比較すると、条件1の方が重い感触があった。これは条件1の再生白土の方が、油性成分が内部に残存しているためであると推察される。
その後、ろ過により油脂を抽出し、分光色彩計SD5000(商品名、日本電色工業社製;ガラスセル;光路長10mm)により得られた油脂の色彩測定を、CIElabを評価基準として行った。色彩測定の結果を
図5(L*値)及び
図6(a*値、b*値)に示す。
【0077】
まず、脱色工程前後の油脂の外観は、脱色工程前の油脂は琥珀色であるのに対し、条件1〜2の再生白土又は未使用白土による脱色工程後の油脂は黄色であった。但し、条件1と条件2とを比べると、僅かに条件1の方が赤みがあった。
次に、CIElabのL*値の結果では、脱色前の油脂(大豆脱酸油)はL*値が90.34であるのに対し、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)による脱色後の油脂はL*値が98.8、条件1の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.03、条件2の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.77であり、条件1〜2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同等に、得られる脱色油脂の明度が上がることが確認できた。
さらに、CIElabのa*値、b*値の結果では、条件1〜2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同様の、色相と彩度を有することが確認できた。
【0078】
[参考例2]
廃白土に対する低級アルコールの使用割合に対する、低級アルコールの脂肪酸エステル量、について検討した。
【0079】
≪条件1〜4≫
条件2〜4については表4に示す量の廃白土、エタノール(純度99.5%以上)及び硫酸を用いた以外は、上記条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部の重量を測定した。結果を表4に併せて示す。
ガスクロマトグラフィーにより得られたピークを、脂肪酸エチルエステル(FAEE)、遊離脂肪酸(FA)、モノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)に分類し、それぞれの組成比を、総ピーク面積に対するピーク面積の割合から算出した。条件1の結果を表5及び
図7に、条件2の結果を表6及び
図8に、条件3の結果を表7及び
図9に、条件4の結果を表8及び
図10にそれぞれ示す。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
図7〜10及び表5〜8の結果では、条件1〜4の全てにおいて遊離脂肪酸は検出されなかった。反応中に分解された遊離脂肪酸はほぼ全量がエチルエステル化されたと考えられる。
また、条件1〜3では、トリグリセリドの割合が時間経過と共に減少し、それに対応して脂肪酸エチルエステル(FAEE)が増加した。条件4では、トリグリセリド(TG)、ジグリセリド(DG)、及びモノグリセリド(MG)がいずれも時間経過と共に分解されて減少し、脂肪酸エチルエステル(FAEE)が増加した。エタノールの仕込み割合が高い程得られる脂肪酸エチルエステルの割合が高くなる傾向が認められた。
【0086】
[参考例3]
低級アルコールとしてエタノールを用い、廃白土に対する低級アルコールの使用割合と反応時間について検討した。
まず、四つ口フラスコに対してスターラー(パワースターラーAMGH(商品名)、アサヒ理科製作所社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を乳鉢で均一化した。均一化した廃白土の水分率は6.8%、ソックスレー抽出法(エーテル)で得られた油分は28.3%であった。
上記フラスコ内に表9に示す量の廃白土、エタノール(純度99.5%以上)及び硫酸を投入した後、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、パワースターラー(アサヒ理化製作所製、製品名:AMG−H)の目盛りで2とし、反応時間は8時間とした。また、反応開始より2時間後から、2時間おきに計4回、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。
反応終了後、予め風袋を測定しておいたナス型フラスコ及びブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノールを用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄し、固体部から流出する液体部が透明となるまで洗浄を行った。その後、漏斗及び四つ口フラスコを100℃の恒温槽に1時間静置してエタノールを揮発させ、残存した固体部の重量を測定した。また、ナス型フラスコに対してエバポレートを行い、エタノールを除去したものを液体部とし、その重量を測定した。結果を表9に示す。
【0087】
【表9】
【0088】
ガスクロマトグラフィーにより得られたピークを、脂肪酸エチルエステル(FAEE)、遊離脂肪酸(FA)、モノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)に分類し、それぞれの組成比を、総ピーク面積に対するピーク面積の割合から算出した。また、上記ガスクロマトグラフィーチャートで得られたFA、FAEE、MG、DG、TGの総面積をサンプリング量で割り、油脂の抽出量を算出した。条件1の結果を
図11及び13に、条件2の結果を
図12及び14に、それぞれ示す。
【0089】
この結果、条件1及び2のいずれにおいても、反応開始から8時間後にはTGがほぼ分解されてFAEEが大部分を占めていることが確認できた。また、油脂の抽出量は、条件1及び2の双方で経時的な増加が見られた。このため、還流反応(エステル化反応)の時間をさらに延ばすことにより、油脂の抽出量がより増大させられる可能性も示唆された。
【0090】
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌棒、スターラー及び温度計ホルダーを設置し、100gの大豆脱酸油をフラスコ内に投入した。スターラーにより攪拌を行いながら、油浴で100℃まで加温し、100℃に達した時点で、条件1若しくは条件2により得られた再生白土、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)のいずれかを1g投入し(1%)、105℃まで加温した。105℃に達した後、30分間かけて減圧を行った。30分間経過後、常圧まで戻した後に攪拌しながら85℃まで空冷し、ろ過を行って白土を分離した。ろ過後の油脂については、外観観察及び色彩測定を、参考例1と同様にして行った。
【0091】
外観観察によれば、脱色処理後の条件1により得られた再生白土及び条件2により得られた再生白土は、脱色処理後の未使用白土よりも僅かに赤みがあったものの、これら3つのサンプルはいずれもそれほど変わらないように見えた。また、本参考例では参考例2とは異なり、還流反応(エステル化反応)の時間を4時間から8時間に延長したが、廃白土の再生度が大幅に向上したようには見えなかった。
次に、CIElabのL*値の結果では、脱色前の油脂(大豆脱酸油)はL*値が90.34であるのに対し、未使用白土(ガレオンアース(商品名)、水澤化学工業社製)による脱色後の油脂はL*値が98.44、条件1の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.11、条件2の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.06であり、条件1〜2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同等に、得られる脱色油脂の明度が上がることが確認できた。
【0092】
[参考例4]
低級アルコールとしてエタノールを用い、廃白土に対する低級アルコール及び酸触媒の使用割合について検討した。
表10に示す量の廃白土、エタノール(純度99.5%以上)及び硫酸を用いた以外は、参考例3の条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部の重量を測定した。
【0093】
【表10】
【0094】
ガスクロマトグラフィーにより得られたピークを、脂肪酸エチルエステル(FAEE)、遊離脂肪酸(FA)、モノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)に分類し、それぞれの組成比を、総ピーク面積に対するピーク面積の割合から算出した。さらに、上記ガスクロマトグラフィーチャートで得られたFA、FAEE、MG、DG、TGの総面積をサンプリング量で割り、油脂の抽出量を算出した。条件1の結果を
図15及び17に、条件2の結果を
図16及び18に、それぞれ示す。
【0095】
この結果、条件1では、還流反応(エステル化反応)の時間依存的にFAEEの割合が高まっていき、TG・DG・MGの割合が減少していった。また、条件2では、各組成は反応開始の2時間後からほぼ横ばいだが、僅かにDGでの減少が見られていた。
また、油脂の抽出量は、条件1では時間変化を示す曲線の形が若干歪であったものの、上昇傾向が見られた。また、条件2では、油脂の抽出量は還流反応の2時間後からほぼ横ばい状態になっていた。これらの結果から、条件1では還流反応の時間が8時間経過後にも油脂の抽出が続き、条件2では油脂の抽出は、反応開始4時間ほどで終了していることが示唆された。
【0096】
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、参考例3と同様にして、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
この結果、外観観察によれば、条件1により得られた再生白土が有する脱色能は、参考例3において条件1により得られた再生白土よりも僅かに向上していたものの、未使用白土よりは劣っていた。一方で、条件2により得られた再生白土が有する脱色能は、未使用白土とほぼ同等の脱色性能が目視では確認できた。
次に、CIElabのL*値の結果では、脱色前の油脂(大豆脱酸油)はL*値が90.34であるのに対し、未使用白土による脱色後の油脂はL*値が99.05、条件1の再生白土による脱色後の油脂はL*値が98.67、条件2の再生白土による脱色後の油脂はL*値が99.28であり、条件1〜2の再生白土を用いた場合、未使用白土を用いた場合と同等に、得られる脱色油脂の明度が上がることが確認できた。
【0097】
[参考例5]
廃白土の処理条件の差異により、得られる再生白土が有する脱色能がどのように変化するかについて検討した。
【0098】
≪条件1≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0099】
≪条件2≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土25g、99.5%エタノール125g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は4時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0100】
≪条件3≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土15g、95%エタノール135g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は1時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約30mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄し、固体部から流出する液体部が透明となるまで洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0101】
≪条件4≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土25g、95%エタノール125g、硫酸0.15gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約30mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄した。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0102】
≪条件5≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土25g、50%エタノール125g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度はスリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約50mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿を洗浄した。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0103】
≪条件6≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、p-トルエンスルホン酸(PTS)12.0gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0104】
≪条件7≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0105】
≪対照条件1≫
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、ヘキサン100gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、ヘキサンの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、ヘキサン(約100mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してヘキサンを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0106】
≪対照条件2≫
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、ヘキサン100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、ヘキサンの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、ヘキサン(約100mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してヘキサンを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0107】
(再生白土が有する脱色能確認)
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌棒、スターラー及び温度計ホルダーを設置し、100gの大豆脱酸油をフラスコ内に投入した。スターラーにより攪拌を行いながら、条件1〜条件7、及び対照条件1により得られた再生白土のいずれかを1g投入し、減圧下、105℃で0.5時間脱色反応を行った。
その後、ろ過により油脂を抽出し、分光色彩計SD5000(商品名、日本電色工業社製;ガラスセル;光路長10mm)により得られた油脂のL*値を測定した。
同様に、得られた油脂の色度につき、LOVIBOND TINTOMETER MODEL E(商品名、THE TINTOMETER LTD.製;ガラスセル;光路長5.25インチ)にてY値を測定した。
各エステル化反応の反応条件にて得られた再生白土により脱色された脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない大豆脱酸油の色度測定結果を表11に示す。なお、表11のL*値中、「77+」は、使用した測定装置の計測限界値(77)以上の色味であったことを意味する。
【0108】
【表11】
【0109】
条件1〜7にて処理された再生白土によって脱色された脱酸油は、いずれも未処理廃白土によって脱色された脱酸油よりもL*値が高く、Y値が低いことが確認された。一方、ヘキサンによって硫酸のない状態で油分抽出された廃白土(対照条件1)によって脱色された脱酸油では、脱色前の脱酸油よりはL*値が高く、Y値が低いものの、未処理廃白土にて脱色した油よりもL*値が低く、Y値が高いことが確認された。ヘキサンによって硫酸の存在下で油分抽出された廃白土(対照条件2)によって脱色された脱酸油では、脱色前の脱酸油よりはL*値が高いものの、Y値は逆に高くなっており、対照条件2では廃白土が有する脱色能をほとんど再生できないことがわかった。
【0110】
[参考例6]
廃白土に対するエタノールの純度及び反応時間による、油脂組成変化、洗浄の影響、及び得られる再生白土が有する脱色能について検討した。
表12に示す量の廃白土、エタノール及び硫酸を用い、かつ還流反応(エステル化反応)の反応時間で行った以外は、参考例5の条件1と同様にして、ガスクロマトグラフィー用の試料を採取しながら反応を行い、固体部及び液体部の重量を測定した。
【0111】
【表12】
【0112】
ガスクロマトグラフィーにより得られたピークを、脂肪酸エチルエステル(FAEE)、遊離脂肪酸(FA)、モノグリセライド(MG)、ジグリセライド(DG)、トリグリセライド(TG)に分類し、それぞれの組成比を、総ピーク面積に対するピーク面積の割合から算出した。算出結果を表13〜17にそれぞれ示す。
【0113】
【表13】
【0114】
【表14】
【0115】
【表15】
【0116】
【表16】
【0117】
【表17】
【0118】
条件1〜5の全てにおいて、反応時間の結果とともに脂肪酸エチルエステル(FAEE)の比率が上がった。また、条件2〜5の結果より、他の条件が同じであれば、酸性触媒の配合比率が高いほど早く脂肪酸エチルエステルが生成される傾向が見られるが、遊離脂肪酸(FA)の比率については、エタノールの純度が同じであれば大きな差が見られないことが確認された。
【0119】
(再生白土が有する脱色能の確認)
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、参考例5と同様にして再生白土が有する脱色能の検討を行った。各エステル化反応の反応条件にて得られた再生白土により脱色された脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない大豆脱酸油の色度測定結果を表12に示す。条件1〜5にて処理された再生白土によって脱色された脱酸油は、いずれもL*値、Y値ともに、未使用白土によって脱色された脱酸油とほぼ同等の数値であった。
【0120】
[参考例7]
エステル化反応後の再生白土をさらに水で洗浄することの影響について検討した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土50g、95%エタノール100g、硫酸4.5gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応開始より1時間毎にガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
その後、固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を行った。この水洗浄操作につき、1回行ったものの他に、更なる比較のため、2回及び3回行った。
攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部に分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0121】
得られた固体部(再生白土)を用いて、参考例5と同様にして再生白土が有する脱色能の検討を行った。反応条件、得られた再生白土により脱色された脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない大豆脱酸油の色度測定結果を表18に示す。水洗浄操作を行った場合でも、脱色能が有意に低下しないことが確認された。
【0122】
【表18】
【0123】
[参考例8]
エステル化反応後の再生白土を洗浄する前に、中和処理を行うことの影響について検討した。
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土125g、95%エタノール250g、硫酸11.25g(反応液全体の3%)を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応開始より1時間毎にガスクロマトグラフィー用の試料を採取した。反応時間は4時間とした。
反応終了後、反応液に水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムを、反応液全体に対するこのアルカリの添加量が表19に示す量(%モル)となるように添加し、混合した後、ブフナー漏斗を用いてこの混合液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
得られた固体部に95%エタノールを添加して、洗浄した。洗浄に要したエタノール量は、水酸化ナトリウムによって中和した場合には400mL、炭酸ナトリウムによって中和した場合には700mLであった。ろ液には、エタノールに難溶の褐色滴が付着していた。
エタノール洗浄後の固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を1回又は2回繰り返して行った。攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部に分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0124】
【表19】
【0125】
洗浄液のpH、及び洗浄後に得られた固体部(再生白土)のY値を測定した。測定結果を表19に示す。この結果、固液分離する前に、エステル化反応後の反応液にアルカリを添加することによって、排出される排液のpHを比較的高くできること、中和処理によって排水を特にpH4〜5にすることにより、Y値の小さいより良好な再生白土が得られることがわかった。
【0126】
[参考例9]
連続再生による脱色能変化について検討した。
【0127】
≪条件1≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100g、95%エタノール200g、硫酸3gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を80℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
得られた固体部に95%エタノールを添加して攪拌した後、ろ過することによって洗浄した。エタノール洗浄後の固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を行った。攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部に分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部(再生白土)を回収した。
参考例5と同様にして、回収された再生白土により大豆脱酸油を脱色し、脱色された脱色油の色度を測定した。
使用後の廃白土を、再び廃白土として新たに再生させた。この再生・脱色の工程を5回繰り返した。
【0128】
≪条件2≫
四つ口フラスコに対して攪拌機(マイティマグシールMG−4型(商品名)、中村科学機器工業社製)、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、大豆脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100g、95%エタノール200g、硫酸3gを投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を80℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、反応液に65%モルの水酸化ナトリウムを添加し、混合して中和した後、ブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(約70mL)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。
得られた固体部に95%エタノールを添加して攪拌した後、ろ過することによって洗浄した。エタノール洗浄後の固体部を500mL容のステンレスジョッキにかき取り、水(100g)を加え、スターラーにて10分間攪拌洗浄を行った。攪拌洗浄後、ブフナー漏斗にて固体部と液体部とに分離し、漏斗を110℃の恒温槽に8時間静置して水を主成分とした液体部を揮発させ、得られた固体部(再生白土)を回収した。
参考例5と同様にして、回収された再生白土により大豆脱酸油を脱色し、脱色された脱色油の色度を測定した。
使用後の廃白土を、再び廃白土として新たに再生させた。この再生・脱色の工程を5回繰り返した。
【0129】
条件1及び2における再生白土により脱色された脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない大豆脱酸油の色度測定結果を、再生回数ごとに表20(条件1)及び表21(条件2)にそれぞれ示す。この結果、中和反応を行わなかった条件1では、再生回数の繰り返しによってはほとんど脱色能に変化はみられず、再生工程を5回繰り返した後の再生白土も、非常に高い脱色能を示した。また、中和反応を行った条件2でも、再生回数の繰り返しによって若干脱色能の低下が観察されたものの、再生工程を5回繰り返した後の再生白土も、充分に高い脱色能を示した。
【0130】
【表20】
【0131】
【表21】
【0132】
[実施例1]
本発明の再生白土の製造方法により、連続再生の難しい菜種油廃白土を再生し、連続再生による脱色能変化について検討した。
【0133】
≪参考条件1≫
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100部、95%エタノール200部、硫酸9部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点を反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール(100部)を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0134】
≪参考条件2≫
廃白土100部に対する硫酸の使用量を15部とした以外は参考条件1と同様にして、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土を95%エタノールと硫酸と混合して還流状態で5時間反応させた後、固体部と液体部とに分離し、回収した固体部からエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0135】
≪条件1≫
本発明の第1の態様における再生白土の製造方法により、菜種油廃白土を再生した。
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100部、95%エタノール200部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、20分間かけてエタノールが還流する状態まで昇温した。その後、液性成分と固形成分の一部をそれぞれサンプリングした後、硫酸15部を投入し、反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応終了後、液性成分の一部をサンプリングした後、参考条件1と同様にして、反応液を固体部と液体部とに分離し、回収した固体部からエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0136】
また、硫酸投入直前時にサンプリングした液性成分と、反応終了後にサンプリングした液性成分とを、ガスクロマトグラフィーにて分析した。この結果、硫酸投入直前時にサンプリングした液性成分では、5時間反応させたときに抽出される量の50〜60%の油性成分が抽出されていたことが確認された。
【0137】
その他、油浴の設定温度を60℃とし、5分間かけてエタノールが還流する状態まで昇温させた以外は同様にして、硫酸投入直前時と反応終了後にサンプリングし、両サンプルをガスクロマトグラフィーにて分析した場合にも、硫酸投入直前時にサンプリングした液性成分では、5時間反応させたときに抽出される量の50〜60%の油性成分が抽出されていたことが確認された。
【0138】
≪条件2≫
本発明の第1の態様における再生白土の製造方法と第3の態様における再生白土の製造方法とを組み合わせた方法により、菜種油廃白土を再生した。
具体的には、条件1と同様にして、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土と95%エタノールと硫酸の混合物を還流状態で5時間反応させた。反応終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール100部を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、得られた固体部を撹拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した四つ口フラスコに回収し、95%エタノール200部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、エタノールの還流が確認された時点から1時間撹拌処理した。
撹拌終了後、ブフナー漏斗で固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール100部を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0139】
≪条件3≫
本発明の第1の態様における再生白土の製造方法と第2の態様における再生白土の製造方法とを組み合わせた方法により、菜種油廃白土を再生した。
四つ口フラスコに対して攪拌機、温度計ホルダー、及びガラス蓋を設置した。次に、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製)を脱色工程で用いたもの)を、フラスコ内に廃白土100部、95%エタノール200部を投入した。
上記フラスコに対し、ジムロート冷却器を接続し、油浴の設定温度を85℃として攪拌を行い、20分間かけてエタノールが還流する状態まで昇温した後、硫酸15部を投入し、反応開始時間とした。攪拌速度は、スリーワンモータFBL3000(商品名、新東科学社製)にて300rpmとし、反応時間は5時間とした。
反応開始1時間後に撹拌及び加熱を一時停止し、白土が沈降したことを確認後、反応液を100部抜き取った。その後、95%エタノールを新たに投入し、エタノールの還流が確認された時点から更に4時間反応させた。
反応終了後、ブフナー漏斗を用いて反応液を固体部と液体部とに分離した。分離を行う際、エタノール100部を用いて、四つ口フラスコ内部やブフナー漏斗の目皿の洗浄を行った。その後、漏斗を110℃の恒温槽に4時間静置してエタノールを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0140】
≪対照条件1≫
ヘキサンのみを用いて、廃白土から油性成分の抽出を行った。
具体的には、フラスコ内に、廃白土100部、95%エタノール200部及び硫酸9部を投入することに替えて、廃白土100部及びヘキサン200部のみを投入した以外は、参考条件1と同様にして、菜種脱酸油の脱色工程において得られた廃白土を還流状態で5時間反応させた後、固体部と液体部とに分離し、回収した固体部からヘキサンを揮発させ、得られた固体部を回収した。
【0141】
(再生白土が有する脱色能確認)
上記のようにして得られた固体部(再生白土)を用いて、再生白土が有する脱色能の検討を行った。
具体的には、四つ口フラスコに、攪拌機及び温度計ホルダーを設置し、100部の菜種脱酸油をフラスコ内に投入した。攪拌機により攪拌を行いながら、参考条件1及び2、条件1〜3、並びに対照条件1により得られた再生白土のいずれかを1.5部投入し、減圧下、105℃で0.5時間脱色反応を行った。
その後、ろ過により得られた油脂(脱色処理後の脱酸油)の色度につき、LOVIBOND TINTOMETER MODEL E(商品名、THE TINTOMETERLTD.製;ガラスセル;光路長5.25インチ)にてY値を測定した。
また、対照試験として、未使用白土(ガレオンアース(商品名、水澤化学工業社製))、再生前の廃白土(未処理廃白土)のそれぞれにつき、同条件にて脱色反応を行った。
【0142】
(連続再生の確認)
菜種油の脱色に使用した再生白土を廃白土として回収し、さらにそれぞれの再生条件による再生・脱色を繰返し、脱色処理後の脱酸油の色度測定を行った。
表22に、それぞれの条件、対照試験によって得られた脱色油の色度の測定結果、未使用白土を用いた脱色反応によって得られた脱色油の色度の測定結果、未処理廃白土を用いた脱色反応によって得られた脱色油の色度の測定結果、及び脱色工程を行っていない菜種脱酸油(表中、「脱色前脱酸油」)の色度測定結果を示す。
【0143】
【表22】
【0144】
この結果、参考条件1及び2、条件1〜3で再生させた廃白土は、1回目の再生ではいずれも未使用白土と同程度の脱色能を有していることがわかった。これに対して、対照条件1(ヘキサン抽出)で再生させた廃白土を用いて脱色を行った場合には、処理後の脱酸油のY値は、脱色前の値よりはやや低いものの、未処理廃白土を用いた場合よりも高く、ヘキサン抽出では脱色能はほとんど再生されないことがわかった。
【0145】
参考条件1及び2で再生させた廃白土では、連続5回再生後であっても、なお、ヘキサン処理後の廃白土や未処理廃白土よりも遥かに高い脱色能を有していたが、再生回数が増えるにしたがって、脱色処理後の脱酸油のY値が高くなる傾向にあり、脱色能が徐々に低下する傾向が観察された。これに対して、本発明の再生白土の製造方法である条件1〜3で再生させた廃白土を用いて脱色を行った場合には、再生回数が4〜5回目であっても、未使用白土とほぼ同程度の脱色能を有しており、参考条件1及び2で再生させた廃白土を用いた場合よりも、連続再生による脱色能の低下の程度が明らかに低かった。特に、条件1で再生させた廃白土よりも、条件2及び3で再生させた廃白土のほうが、より脱色能が高い傾向が観察された。
【0146】
さらに、条件1において、硫酸投入直前時にサンプリングした固形成分(白土)を、エタノールを用いて洗浄し、乾燥させることによって得られた白土についても、同条件にて脱色反応を行ったところ、脱色処理した脱酸油の色味は、未処理の廃白土を用いて脱色処理した色味と同程度であった。この結果から、硫酸投入前にも廃白土から50〜60%程度の油性成分は抽出されているものの、白土としての脱色能は回復できていないことが確認できた。